JP3924896B2 - 高周波加熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は冷凍食品の解凍等、高周波を用いた大量食品加熱装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品の冷凍技術は近年急速な進歩を遂げている反面、解凍に関してはあまり進歩が見られず、流水解凍が依然として主流の地位を占めている。またコロッケ等解凍後調理するものは冷凍された食材を直接180℃程度の油中に投入し、油の熱で解凍し、そのまま85℃まで加熱する方法がとられている。
【0003】
流水解凍はその名の通り食材を水に浸して解凍する方法であるから水道水等の清潔な水が必要であり、その清潔な水も解凍後には食品カス等が溶け込み、清潔ではなくなる。従って大規模事業場では取り扱う食材によっては、カスが溶け込んだ水を処理した後でなければ下水に流せない例もあり、上下水道代を加えこれら水に関する費用は経営に大きな影響を与えている。食材が大きい場合には解凍に長時間必要となり、長時間解凍に伴う歩留まり悪化も経営に影響を与えている。
【0004】
また良く知られる如く氷の融解熱は80カロリーであり、これは0℃の水を80℃にまで上昇させる熱量に等しいから、コロッケ等冷凍食品を直接調理する例では投入する熱量の半分以上が解凍に使われることとなり、燃費の大きさが経営に影響するだけでなく、大量処理をする工場では油の熱および油を熱するガスの熱とで室内が高温となり、作業環境の悪化も問題となっている。
【0005】
これらの解決策としてベルトコンベアー式高周波解凍装置がすでに市販されており、短時間解凍や水が不要である点を訴求している。
【0006】
しかしながら現状のコンベアー式高周波解凍装置は、食品をプラス温度にまで加熱し完全に解凍すると煮えが発生する等品質低下が生じる為、テンパリングと呼ばれるマイナス温度で止めており、従って最も大きな熱量を必要とする融解過程は別の熱源に依存しているのが現状である。
【0007】
またこれら高周波加熱装置あるいは解凍装置の多くは、家庭用電子レンジで使用されている2450MHzではなく周波数の低い915MHzあるいは13.56MHzが用いられており、食品の内部深く浸透する性質があるため均一加熱が可能と言われている。
【0008】
しかし、いくら周波数が低く食品内部に浸透しやすいといえ、内部のみを選択的に加熱する性質があるとは考えられないので同一強度の高周波が加えられれば、表面付近も内部も同様に加熱されるはずである。実際には食品に高周波を加えると高周波は表面から内部に進むはずであり、その途中、加熱した分だけ減衰するから効率よく吸収される高周波は内部に進むに従い指数関数的に急速に減衰し、逆に吸収され難い高周波は内部に浸透してもそこでもあまり吸収されないと推測する。したがって食品内部まで完全解凍すると表面に煮えが生じる恐れがありマイナス温度で止めているのが現状である。
【0009】
従来はこの過剰加熱を解消する方法としてもっぱら均一加熱手段の改良が追求されていたが、最近これと趣を変え、熱伝導を考慮し、過剰加熱を避けながら均一加熱を実現せんとしたものが現れてきた。特開平7−253216号公報がその例であり、必要十分な熱量(高周波電力)のみを食品に加える方法、時間配分する方法は、その食品が通常の熱伝導によって上昇する食品中央部の温度変化と、時間との関係を表す一種の指数関数に沿って時間配分するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の高周波加熱装置では、熱伝導の応用技術であるから大きな肉の塊等、熱が伝わる範囲内の均一加熱に効果があるとしても、前記した冷凍コロッケの揚げ調理のように、小さな形状でしかも厚みがない多数の冷凍食品の解凍に対しては、コロッケ個々の温度差に対しては効果があるだろうが、電界の強い場所のコロッケと弱い場所のコロッケでは解凍に必要な電力量が違うためコロッケ間の温度差はあまり小さくならないはずである。これらの点に関してはこの上記特開平7−253216号公報には記載されていない。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために隣接して設けられた複数個のキャビティと、各々のキャビティに設けられた入口と出口2つの被加熱物用開口と、これら開口およびキャビティ全てを貫通するコンベアベルトと、前記コンベアベルトを駆動する駆動装置と、各々のキャビティ内部に高周波を供給する高周波源と、高周波をキャビティ内に導く導波管と、高周波をキャビティ内に照射する開口部と、各々の高周波源の電力および前記コンベアベルトの走行速度を制御する制御手段と、隣接して設けられたキャビティの外部に面した2つの開口に設けちられた高周波漏洩防止機構とを有し、各々のキャビティに複数個の高周波照射用開口と高周波源を設け、前記複数個の高周波源は各キャビティ毎に駆動させる高周波源の個数を任意に設定し、各キャビティの加熱パターンを変えるようにしたものである。
【0012】
上記発明によれば、それぞれのキャビティで複数個ある高周波発生個数を変えることで、それぞれのキャビティ内の定在波が異なる。すなわちそれぞれのキャビティの分布を変えることが出来る。コンベアーで搬送されるコロッケ等の食品は、分布の異なるキャビティを通過することで小型形状多数量食品の均一加熱が実現できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は上記課題を解決するために隣接して設けられた複数個のキャビティと、各々のキャビティに設けられた入口と出口2つの被加熱物用開口と、これら開口およびキャビティ全てを貫通するコンベアベルトと、前記コンベアベルトを駆動する駆動装置と、各々のキャビティ内部に高周波を供給する高周波源と、高周波をキャビティ内に導く導波管と、高周波をキャビティ内に照射する開口部と、各々の高周波源の電力および前記コンベアベルトの走行速度を制御する制御手段と、隣接して設けられたキャビティの外部に面した2つの開口に設けられた高周波漏洩防止機構とを有し、各々のキャビティに複数個の高周波照射用開口と高周波源を設け、前記複数個の高周波源は各キャビティ毎に駆動させる高周 波源の個数を任意に設定し、各キャビティの加熱パターンを変えるようにしたものであり、複数個のキャビティ間は食品が通過できる開口部を除き仕切られているため、それぞれのキャビティで複数個ある高周波発生個数を変えることで、それぞれのキャビティ内の定在波を変えることができる。すなわちそれぞれのキャビティの分布を変えることが出来、コンベアーで搬送されるコロッケ等の食品は、分布の異なるキャビティを通過することで小型形状多数量食品の均一加熱が実現できる。
【0014】
また複数個の高周波をキャビティ内に照射する開口は、ベルトの走行方向に対し垂直方向に設置したものである。ベルトの進行方向は、電界の強弱があっても食品が通過するため平均化され個々の食品の温度差は比較的少ない。しかし、ベルトの進行方向に対し垂直方向の電界の強弱があると垂直方向の食品の温度差は大きくなる。キャビティへ高周波を照射する給電口を垂直方向に配置することで垂直方向の電界の強弱を駆動させる高周波発生源を選択することにより、食品の温度を均一にするものである。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について図面を用いて説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施例の高周波加熱装置であり、図1(a)は側面断面図、図1(b)は上面図である。また図2は本発明の高周波加熱装置の要部断面図である。
【0017】
ほぼ直方体のキャビティ1の上下面にはアルミニウム製の回転スタラー2が設けられ、キャビティ1の上下面の外部に設けたスタラーモータ3で回転させる。またキャビティ1の上下面には各面3個のマグネトロン4を配置し、導波管5でキャビティ1に結合する。この構成のキャビティ1を5個一直線上に左右の壁を接触させて配列し、外部に面した二つの面に電波漏洩防止機構6を設ける。電波漏洩防止機構6は長さ約1/4波長のステンレス製ネジを近接して金属壁にナット止めしたものであり、USP4,182,946号に準じる。電波漏洩防止機構6並びに5個のキャビティ1の接触した左右の壁には、一直線上に開口7を設け、アラミド繊維で織られ表面をフッ素コートしたベルト8を通す。ベルト8はキャビティ1の外部に設けた四つのローラー9でテンションをかけ張りモーター9により回転駆動する。電波漏洩防止機構6並びに5個のキャビティ1の接触した左右の壁の開口7のベルト8が接触する下面にはテフロンのベルト受け11を設けている。キャビティ1の上下面に設けた各3個のマグネトロン4はベルト8の進行方向に対し垂直方向に配置している。各キャビティ1の6個のマグネトロン4はそれぞれ単独で動作可能な回転構成としている。
【0018】
次に動作,作用について説明するにあたり、対象食品として重さ60g程度の野菜コロッケが−18℃に冷凍されている場合をとりあげる。またベルト8が移動し続けている間、1つのキャビティにはコロッケ40個が常に収容される。各キャビティには850W出力のマグネトロン4が6個配置してある。このキャビティ1のマグネトロン4の動作個数,動作位置を変えた時のコロッケの加熱分布パターンを(表1)に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
(表1)の分布パターンは1コのキャビティ1にコロッケを40個並べ、ベルトを停止して加熱条件を種々変えて加熱した時のコロッケの温度分布を示したものである。このとき、コロッケが全てプラス温度になるように加熱時間を調整している。したがって、(表1)に示す温度分布は、加熱時間,出力がそれぞれ違い、各条件毎で平均温度も一定でなく、あくまでも加熱の強弱のパターンを示すものである。
【0021】
この結果よりマグネトロン4の動作個数、動作位置を変えることで、加熱ムラのパターンが変わることがわかる。5個のキャビティ間は被加熱物12が通過できる最小限の大きさにしてあるが、ここにはチョーク等の高周波漏洩防止機構が設けられていないため、個々のキャビティ間は独立しないで結果的に5個のキャビティは全て同一の加熱パターンになるのではないかとの危惧がある。しかし、一般に高周波発生装置は被加熱物に電力の大半が吸収されるよう設計する事が当業界の常識であるから、被加熱物があれば隣接するキャビティに漏洩するで電力はきわめて小さい。電力が漏洩しないことはほぼキャビティが独立したものになっていると考えられる。したがって、5個のキャビティのマグネトロン4の動作個数,位置の組み合わせを変えることで(表1)に示すように加熱パターンを変える事ができる。冷凍コロッケのような小型形状を大量に調整する場合は上下6本のマグネトロン4の全てを駆動させる比較的中央の強い分布パターンのキャビティ1と、上下中央を除く4本のマグネトロン4を駆動させる比較的外側の強い分布パターンのキャビティ1との組み合わせにすることで加熱ムラの改善がはかれる。
【0022】
【発明の効果】
以上述べた様に本発明の高周波加熱装置によれば、加熱ムラの少ない小型形状大量調理が簡単なコンベアー方式で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)本発明の一実施例の高周波加熱装置の側面断面図
(b)同高周波加熱装置の上面図
【図2】 本発明の高周波加熱装置の要部断面図
【符号の説明】
1 キャビティ
4 マグネトロン(高周波発生源)
5 導波管
6 高周波漏洩防止機構
7 開口
8 ベルト
Claims (2)
- 隣接して設けられた複数個のキャビティと、各々のキャビティに設けられた入口と出口2つの被加熱物用開口と、これら開口およびキャビティ全てを貫通するコンベアベルトと、前記コンベアベルトを駆動する駆動装置と、各々のキャビティ内部に高周波を供給する高周波源と、高周波をキャビティ内に導く導波管とキャビティ内に照射する開口部と、各々の高周波源の電力および前記コンベアベルトの走行速度を制御する制御手段と、隣接して設けられたキャビティの外部に面した2つの開口に設けられた高周波漏洩防止機構とを有し、各々のキャビティに複数個の高周波照射用開口と高周波源を設け、前記複数個の高周波源は各キャビティ毎に駆動させる高周波源の個数を任意に設定し、各キャビティの加熱パターン変える事を特徴とする高周波加熱装置。
- 複数個の高周波源の高周波をキャビティ内に照射する開口部はベルトの走行方向に対し垂直方向に設置する構成とした請求項1記載の高周波加熱装置。
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JP02945198A JP3924896B2 (ja) | 1998-02-12 | 1998-02-12 | 高周波加熱装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP02945198A JP3924896B2 (ja) | 1998-02-12 | 1998-02-12 | 高周波加熱装置 |
Publications (2)
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JPH11233253A JPH11233253A (ja) | 1999-08-27 |
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ID=12276486
Family Applications (1)
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JP02945198A Expired - Lifetime JP3924896B2 (ja) | 1998-02-12 | 1998-02-12 | 高周波加熱装置 |
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-
1998
- 1998-02-12 JP JP02945198A patent/JP3924896B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
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