JP3924830B2 - インクジェット記録用インク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吐出オリフィスから吐出させ液滴として飛翔させて記録を行うインクジェット記録方法に適用される水性顔料インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在知られる各種記録法式の中でも、記録時に騒音のほとんどないノンインパクト記録方式であって、且つ、高速記録が可能であり、しかも普通紙に特別の定着処理を必要とせずに記録の行える記録方式としてインクジェット記録方式が着目されている。
【0003】
そして、インクジェット記録用インクとしては一般的に水溶性染料を水性媒体に溶解させた水性染料インクが採用されている。このような水性染料インクを用いてインクジェット記録を行った場合、得られた記録画像が水溶性染料の物性に左右されて、その耐水性、耐光性において劣ったものになるという欠点がある。特に、ブラックインクの場合、良好なブラックの色再現性を有する水溶性染料が少ないため、複数の染料を混在させてブラックインクとすることがなされているが、何れかの染料が褪色するとブラックの色調が変化してしまうという問題が生じる。また、この様な水溶性染料を含んだインク自体の保存安定性もさほど高くない。
【0004】
そこで最近では、このような染料系のインクに代えて、カーボンブラック等の顔料を用いた水性インクをインクジェット記録方式に適用する試みがなされている。カーボンブラックは水に不溶であるため水溶性染料に比べて耐水性に優れており、また耐光性にも優れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、カーボンブラックはインクの媒体である水に溶解しないため、水性媒体中に微細に分散させ且つその安定性を確保することが困難であるという問題が発生する。また、カーボンブラックの分散安定性を改良するために水溶性樹脂等の分散剤を添加するとノズルの目詰まりが生じたり、その粘調性によって連続吐出性が不安定になる等の問題が生じてしまう。
【0006】
このような問題を解決するために、特開平8−3498号公報においては、特定の表面活性水素量を有するカーボンブラックを使用することによって、水溶性樹脂等の分散剤を添加することなく良好な水分散性が得られることが記載されている。
【0007】
しかしながら、このようなカーボンブラックを分散させた水性インクには画像の光沢性が不足するという問題が生じる。この問題はカラーインクとともにカラー画像を再現する場合に艶消しの黒色となって画像に違和感が生じてしまう。また、画像を水中に浸漬した場合に用紙の表面からカーボンブラックが脱離する等の問題が生じる。これは、染料が用紙に分子レベルで結合するのに対して、カーボンブラックは単に粒子が用紙表面に付着しているのみなので、染料に較べて用紙に対する結着力が低いためであると考えられる。
【0008】
本発明は、上述した問題を解決し、高い黒化度と優れた耐光性および耐水性を有する画像を得ることができるインクジェット記録用インクを提供することを目的とするものである。
【0009】
また本発明は、インク中の分散微粒子の水分散性に優れており、且つ優れた光沢性および定着性を有する画像を得ることができるインクジェット記録用インクを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも水、表面活性水素含有量が1.5mmol/g以上のカーボンブラック微粒子、ポリエチレンイミン及び平均粒径が0.05〜0.6μmのイオン性基を有する樹脂微粒子をインク全量に対して0.1〜10重量%含有するインクジェット記録用インクに関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の水性顔料インクは、少なくとも水とカーボンブラック微粒子とポリエチレンイミン及び平均粒径が0.05〜0.6μmのイオン性基を有する樹脂微粒子をインク全量に対して0.1〜10重量%含有する。本発明は、特にカーボンブラックのような黒色顔料に用いた場合に高い効果が得られる。本発明を用いた場合、カーボンブラックの高い黒化度と耐水性を維持しつつ、水への分散安定性、得られる画像の光沢性及び定着性をノズルの目詰まり等の問題を生じることなく向上することができる。本発明のインクにおいて、カーボンブラックとして表面活性水素含有量が1.5mmol/g以上であるカーボンブラックを用いる。このような表面活性水素含有量を有するカーボンブラックは活性水素を有する水酸基やカルボキシル基を表面に多く有するためカーボンブラック自体の親水性が向上しており、さらに表面積が大きくなって水溶性染料の如き化学的性質を持ち水分散性が良好になると考えられる。好ましいカーボンブラックの表面活性水素含有量は1.5〜5.0mmol/gであり、より好ましくは2.0〜5.0mmol/gである。表面活性水素含有量が上記範囲を下回るとカーボンブラック粒子の水への分散安定性が不十分になり、また上回ると水分散性に関しては同等であるが製造コストが高くなるため好ましくない。
【0012】
カーボンブラックの表面活性水素含有量はツアイゼル法により以下の如く測定される。まずカーボンブラックにジアゾメタンのジエチルエーテル溶液を滴下させることによりカーボンブラック上の活性水素を全てメチル基に交換する。このカーボンブラックに比重1.7のヨウ化水素酸を加え、加熱してメチル基をヨウ化メチルとして気化させる。このヨウ化メチルの気体を硝酸銀溶液でトラップしてヨウ化メチル銀として沈殿させる。この沈殿の重量によりメチル基の量、即ち活性水素の量を測定する。
【0013】
上述したカーボンブラックを使用することにより、インク中のカーボンブラック微粒子の分散平均粒径を20〜200nm、好ましくは20〜150nm、より好ましくは30〜100nmに調整する。カーボンブラックの分散平均粒径が200nmより大きくなると、カーボンブラックの沈降が生じやすくなり、インクの経時安定性が損なわれる。
【0014】
本発明に用いられるカーボンブラックは、酸性カーボンブラックを水中で次亜ハロゲン酸塩で更に酸化することにより製造されることが好ましい。このように製造されたカーボンブラックは、分散剤が無くても良好な分散性を有するのでインクノズル部における目詰まり生じにくくなり、黒化度が高い鮮明な画像が得られる。
【0015】
酸性カーボンブラックは、その粒子表面にカルボキシル基を有するカーボンブラックであり、そのpHが6以下、好ましくは4以下のものを用いることが好ましい。酸性カーボンブラックは、一般に、酸化剤(例えば、硝酸、オゾン、過酸化水素及び窒素酸化物等)を使用する酸化法、又はプラズマ処理等表面改質法によって、例えばファーネスブラックのようなカラー用のカーボンブラックを適度に酸化することによって得られる。
【0016】
酸性カーボンブラックを更に酸化するためには、次亜ハロゲン酸塩を用いる。具体的には次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カリウムが挙げられ、次亜塩素酸ナトリウムが反応性の点から特に好ましい。酸性カーボンブラックの酸化は、一般に酸性カーボンブラックと、カーボンブラックの重量に対して有効ハロゲン濃度で10〜30%の次亜ハロゲン酸塩とを適量の水中に仕込み、5時間以上、好ましくは10〜15時間、50℃以上、好ましくは95〜105℃で攪拌することにより行う。このようにして得られるカーボンブラックは1.5mmol/g以上の表面活性水素含有量を有する。
【0017】
次いで生成物を濾過し、副生塩をイオン交換水で洗浄することにより除去する。更に逆浸透膜や限外濾過膜のような0.01μm以下の孔径を有する分離膜を用いて精製及び濃縮する。濃縮は、一般にカーボンブラックの含有量が、水に対して10〜30重量%程度の濃厚な顔料分散液になるように行う。
【0018】
上述したように表面活性水素含有量が1.5mmol/g以上であるカーボンブラックは水分散性に優れたものであるが、このカーボンブラックを用いた水系インクにより得られた画像は光沢性および定着性が不足するという問題が生じてしまう。通常、カーボンブラックの分散剤として使用される水溶性樹脂を添加した場合には光沢性や定着性は向上するものの、上記カーボンブラックを使用することによる効果、特にノズルの目詰まり性が損なわれる。
【0019】
本発明のインクは、水性媒体中にカーボンブラック粒子に加えポリエチレンイミンを添加させることにより用紙表面におけるカーボンブラックの定着性を高めたものである。また、ポリエチレンイミンは水溶性樹脂等に比べて低分子量でありノズルの目詰まり防止性を向上させることができ、さらに、カーボンブラックによる画像の光沢性を向上することができる。また、ポリエチレンイミンはキレート化作用や抗菌作用も有することから、水性インクにおける防カビ性等のインクの安定性を向上させる効果も有する。
【0020】
本発明に用いられるポリエチレンイミンとしては、下式:
−[CH2CH2NH]−
で示される線状重合体であるが、1級、2級、3級アミノ窒素を含む枝分かれを有するものであってもよい。通常、市販されているポリエチレンイミンは、エチレンイミンの重合にあたって枝分かれを有する化合物である。ポリエチレンイミンの分子量は200〜10000、特に250〜2000のものが好適に使用される。分子量がこの範囲にあり水溶性であるかぎりは、分岐の程度に関係なく用いることができる。本発明で使用できるポリエチレンイミンの例としては、日本触媒社製の商品「エポミン」(登録商標)SP−シリーズ、その他ポリエチレンイミンに酸化エチレンを反応させたもの、アルコールやアミンを反応させたもの等の誘導体を挙げることができる。
【0021】
本発明インク全量に対してポリエチレンイミンは1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%含有させる。ポリエチレンイミンの量が1重量%より少ないと本発明の効果が得られず、20重量%より多いとインクの粘性が高くなりすぎてインク飛翔応答性や補給性が低下したり、定着速度が遅くなるため好ましくない。本発明のインクには上述した水、カーボンブラックおよびポリエチレンイミン以外に、公知の各種有機溶剤や添加剤を含有してもよい。インクの保湿性、表面張力、粘度、乾燥速度等を調整するために水溶性有機溶剤を含有させることが好ましい。水溶性有機溶剤としてはエタノール、イソプロパノールおよびブタノール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコール等のアルキレングリコール類、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびトリエチレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールの低級アルキルエーテル類、2ーピロリドンおよびNーメチル−2ーピロリドン等のピロリドン類、グリセリン等を用いることができる。これらの水溶性有機溶剤を含有させる場合には、インク全量に対して1〜30重量%含有させることが好ましい。
【0022】
また、本発明のインクにはイオン性基を有する樹脂微粒子を含有する。このような樹脂微粒子は、インク媒体である水性媒体に対する分散性に優れておりノズルの目詰まり等の問題を生じることなく、得られる画像の耐摩耗性を向上させることができる。本発明に使用可能な樹脂微粒子としては、その表面にイオン性基を有するものであれば良く、例えばポリエステル系樹脂、ビニル重合体、ポリウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体等の様々な樹脂を用いることができる。上記イオン性基としてはスルホン酸基、カルボン酸基、硫酸基、リン酸基、ホスホン酸基およびホスフィン酸基もしくはこれらのアルカリ金属塩基やアンモニウム塩基、または第1級〜第3級アミン基等を例示することができ、カルボン酸アルカリ金属塩基、カルボン酸アンモニウム塩基、スルホン酸アルカリ金属塩基およびスルホン酸アンモニウム塩基が好ましく、特にスルホン酸アルカリ金属塩基およびスルホン酸アンモニウム塩基が水分散安定性の点で好ましい。上述したイオン性基の導入は、樹脂微粒子合成時にイオン性基を有する単量体を添加すればよい。
【0023】
上記樹脂微粒子としては平均粒径が0.01〜1.0μm、好ましくは0.03〜0.8μm、より好ましくは0.05〜0.6μmのものを使用することが望ましい。これは平均粒径が小さいと耐摩擦性向上の効果が小さくなり、また大きいと長期保存した場合の樹脂微粒子の水分散安定性が低くなる傾向があるためである。また樹脂微粒子はインク全量に対して0.01〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.2〜5重量%含有させることが好ましい。樹脂粒子の含有量多すぎるとノズルが詰まる場合や画像の黒化度が低下することがあり、少なすぎると添加による効果が不十分となる。
【0024】
また、画像に光沢性を付与したり定着性を向上させるために水溶性高分子化合物を目詰まりが生じないように少量含有させてもよい。水溶性高分子化合物としては、ポリビニルピロリドン、水溶性アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、多糖類等が挙げられる。
【0025】
また、インクの保存安定性を向上させるためにインクのpHを8〜10に調整することが好ましい。pH調整剤としては、NaHCO3、Na2B4O7、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。
【0026】
さらに、本発明の水性顔料インクには、公知の粘度調整剤、防黴剤及び防錆剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散剤、分散安定剤、界面活性剤、金属イオン封鎖剤(キレート剤)等の添加剤を適宜選択して適量使用することもできる。
【0027】
本発明の水性インクは、インクジェット方式による記録用に用いた場合、紙面に記録された文字や図形の堅牢性(耐光性や耐水性)に優れ、再度水に浸漬しても顔料成分が流れ出すことは無く定着性に優れており、日光に暴露しても退色することは無く耐光性にもすぐれている。また、カラーインクと併用してカラー画像を再現する場合に必要となる光沢性にも優れている。
【0028】
【実施例】
(カーボンブラック分散液の製造例1)
カーボンブラック(MA−100、PH3.5、三菱化学社製)300gを水1000mlによく混合した後、これに次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)450gを滴下して、100〜105℃で10時間攪拌した。得られたスラリーを濾過し水洗した。この顔料ウエットケーキを水3000mlに再分散し、電解度0.2μsまで逆浸透膜で脱塩した。さらに、この顔料分散液を顔料濃度20重量%に濃縮し、カーボンブラック分散液Aを得た。
【0029】
得られたカーボンブラック分散液を塩酸水で酸性とし再度膜精製、濃縮、乾燥および微粉砕してカーボンブラックの粉末を得た。このカーボンブラックの表面活性水素含有量は2.8mmol/gであった。
【0030】
(カーボンブラック分散液の製造例2)
カーボンブラック(MA−8、PH3.5、三菱化学社製)300gを水1000mlによく混合した後、これに次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)450gを滴下して、100〜105℃で8時間攪拌した。得られたスラリーを濾過し水洗した。この顔料ウエットケーキを水3000mlに再分散し、電解度0.2μsまで逆浸透膜で脱塩した。さらに、この顔料分散液を顔料濃度20重量%に濃縮し、カーボンブラック分散液Bを得た。
【0031】
得られたカーボンブラック分散液について製造例1と同様にしてカーボンブラックの粉末を得た。このカーボンブラックの表面活性水素含有量は2.5mmol/gであった。
【0032】
(樹脂微粒子分散液の製造例)
温度計、攪拌機を備えたオートクレーブ中に、ジメチルテレフタレート130重量部、ジメチルイソフタレート56重量部、5ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル6重量部、エチレングリコール159重量部、トリシクロデカンジメタノール30重量部、テトラブトキシチタネート0.1重量部を仕込み180〜230℃で120分間加熱してエステル交換反応を行った。ついで反応系を240℃まで昇温し、系の圧力1〜10mmHgとして60分間反応を続けて共重合ポリエステル樹脂Aを得た。次に、得られたポリエステル樹脂340重量部、メチルエチルケトン150重量部、テトラヒドロフラン140重量部を80℃にて溶解した後、80℃の水680部を添加し、平均粒径約0.15μmの共重合ポリエステルの水系ミクロ分散体を得た。さらに得られた水系ミクロ分散体を蒸留用フラスコに入れ留分温度が100℃に達するまで蒸留し、冷却後に水を加え固形分濃度を10重量%とし、樹脂微粒子分散液を得た。
【0033】
(参考例1)
カーボンブラック分散液A50g、2ーピロリドン8g、イソプロピルアルコール2gおよび分子量600のポリエチレンイミン(エポミンSP−006;日本触媒社製)9gに、さらに水を加えて全量を100gとすることにより水性顔料インクを得た。このインク中のカーボンブラックの分散平均粒径は150nmであった。なお、カーボンブラックの平均粒径は、レーザー光拡散方式粒度分布測定機を用いて測定した。
【0034】
次に、このインクをインクジェット記録装置(MJ500C;エプソン社製)を用いて印字した画像を水に浸漬したところ顔料の流れがなく定着性に優れていた。画像を目視により評価したところ、黒化度および光沢性も満足できるものであった。また、インクの吐出性は安定しており、ノズルにインクが固化することもなく、数時間後の印字テストにおいても吐出不良は発生しなかった。また、このインクを50℃で1カ月保存しても沈殿物は発生せず、このインクを用いて印字テストをしてもインクの吐出は安定していた。
【0035】
(参考例2)
カーボンブラック分散液A50g、2ーピロリドン8g、イソプロピルアルコール2gおよび分子量1200のポリエチレンイミン(エポミンSP−012;日本触媒社製)6gに、さらに水を加えて全量を100gとすることにより水性顔料インクを得た。このインク中のカーボンブラックの分散平均粒径は150nmであった。
【0036】
得られたインクを参考例1と同様にして印字し、得られた画像を水に浸漬したところ顔料の流れがなく定着性に優れていた。画像を目視により評価したところ、黒化度および光沢性も満足できるものであった。また、インクの吐出性は安定しており、ノズルにインクが固化することもなく、数時間後の印字テストにおいても吐出不良は発生しなかった。また、このインクを50℃で1カ月保存しても沈殿物は発生せず、このインクを用いて印字テストをしてもインクの吐出は安定していた。
【0037】
(参考例3)
カーボンブラック分散液B50g、2ーピロリドン8g、イソプロピルアルコール2gおよび分子量600のポリエチレンイミン(エポミンSP−006;日本触媒社製)6gに、さらに水を加えて全量を100gとすることにより水性顔料インクを得た。このインク中のカーボンブラックの分散平均粒径は100nmであった。
【0038】
得られたインクを参考例1と同様にして印字し、得られた画像を水に浸漬したところ顔料の流れがなく定着性に優れていた。画像を目視により評価したところ、黒化度および光沢性も満足できるものであった。また、インクの吐出性は安定しており、ノズルにインクが固化することもなく、数時間後の印字テストにおいても吐出不良は発生しなかった。また、このインクを50℃で1カ月保存しても沈殿物は発生せず、このインクを用いて印字テストをしてもインクの吐出は安定していた。
【0039】
(実施例4)
カーボンブラック分散液A50g、樹脂微粒子分散液10g、2ーピロリドン8g、イソプロピルアルコール2gおよび分子量600のポリエチレンイミン(エポミンSP−006;日本触媒社製)9gに、さらに水を加えて全量を100gとすることにより水性顔料インクを得た。このインク中のカーボンブラックの分散平均粒径は150nmであった。
【0040】
得られたインクを参考例1と同様にして印字し、得られた画像を水に浸漬したところ顔料の流れがなく定着性に優れていた。画像を目視により評価したところ、黒化度および光沢性も満足できるものであった。また、インクの吐出性は安定しており、ノズルにインクが固化することもなく、数時間後の印字テストにおいても吐出不良は発生しなかった。また、このインクを50℃で1カ月保存しても沈殿物は発生せず、このインクを用いて印字テストをしてもインクの吐出は安定していた。また、得られた画像を指で強く摩擦しても画像の乱れはなく優れた耐摩耗性を有していた。
【0041】
(比較例1)
カーボンブラック分散液A50g、2ーピロリドン8gおよびイソプロピルアルコール2gに、さらに水を加えて全量を100gとすることにより水性顔料インクを得た。
【0042】
得られたインクを参考例1と同様にして印字し、得られた画像を水に浸漬したところ顔料の流れが生じて定着性に劣っていた。画像を目視により評価したところ、黒化度は満足できるものであったが光沢性が不足していた。
【0043】
(比較例2)
カーボンブラック分散液B50g、2ーピロリドン8gおよびイソプロピルアルコール2gに、さらに水を加えて全量を100gとすることにより水性顔料インクを得た。
【0044】
得られたインクを参考例1と同様にして印字し、得られた画像を水に浸漬したところ顔料の流れが生じて定着性に劣っていた。画像を目視により評価したところ、黒化度は満足できるものであったが光沢性が不足していた。
【0045】
(比較例3)
カーボンブラック(MA100、活性水素含有量0.13mmol/g、三菱化学社製)10g、2ーピロリドン8g、イソプロピルアルコール2gおよび分子量600のポリエチレンイミン(エポミンSP−006;日本触媒社製)6gに、さらに水を加えて全量を100gとすることにより水性顔料インクを得た。得られたインクを十数分間静置したところ、カーボンブラックの沈降により上澄みが生じて印字不能であった。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、高い黒化度と優れた耐光性および耐水性を有する画像を得ることができるインクジェット記録用インクを提供することができる。
【0047】
また本発明によれば、インク中の分散微粒子の水分散性に優れており、且つ優れた光沢性および定着性を有するインクジェット記録用インクを提供することができる。
Claims (4)
- 少なくとも水、表面活性水素含有量が1.5mmol/g以上のカーボンブラック微粒子、ポリエチレンイミン及び平均粒径が0.05〜0.6μmのイオン性基を有する樹脂微粒子をインク全量に対して0.1〜10重量%含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
- 前記ポリエチレンイミンの分子量が200〜10000であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用インク。
- 前記ポリエチレンイミンの含有量がインク全量に対して1〜20重量%であることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録用インク。
- 前記カーボンブラック微粒子のインク中における分散平均粒径が200nm以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用インク。
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