JP3924489B2 - 熱電供給システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱電供給システムおよびその運転方法に係わり、特にガスタービンと熱駆動式冷凍機とを組み合わせた熱電供給システムおよびその運転方法に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の熱電併給設備としては、特開2001−254632号公報に開示されているように、再生式ガスタービンの排熱で駆動する吸収式冷凍機を備え、該吸収式冷凍機で冷却した冷水をガスタービンのタービン吸気側の空気中(圧縮機の吐出側の空気中)に直接噴霧する加湿器を設けるようにしたものがある(従来技術1)。
【0003】
また、従来の小容量のガスタービンコージェネレーションシステムとしては、特開2002−4946号公報に開示されているように、ガスタービンと発電機と排熱回収ボイラを備え、排熱回収ボイラで発生した蒸気の一部を燃焼器へ供給するようにしたものがある(従来技術2)。
【0004】
これらの従来技術1、2は、タービンに流入する空気を加湿することにより、タービンに流入する空気の質量流量を増大してガスタービンの出力を増加するようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術1、2において、ガスタービンで圧縮した空気に噴霧する冷水や、燃焼器に噴霧する蒸気は、装置内のスケール付着や装置の腐食等を防止してシステムの信頼性を確保するため、イオン交換樹脂を充填した軟水化装置で軟水化すると共に脱気器や脱酸素剤を使用して溶存酸素を除去したものを用いることが必要である。
【0006】
しかし、従来技術1、2では、冷水や蒸気としてガスタービンに注入したこれらの処理水は、ガスタービンの排気と共に無駄に大気中に放出されてしまうため、貴重な処理水が有効に利用されず、新たにイオン交換樹脂を充填した軟水化装置で軟水化すると共に脱気器や脱酸素剤を使用して溶存酸素を除去した処理水を生成して供給し、システムの信頼性を確保する必要があるという課題があった。
【0007】
また、従来技術1では、吸収式冷凍機で冷却した温度の低い冷水をガスタービンの吸気側の空気中に直接噴霧するようにしているため、加湿量を増大してガスタービンの出力を増大させようとすると、噴霧した冷水が完全に蒸発できず、燃焼器に水滴が流入して燃焼を維持できなくなり、ガスタービンの出力増加に限界を生じるという課題もあった。
【0008】
本発明の第1の目的は、ガスタービンの排気に含まれる水分を回収し、水の有効利用とシステムの信頼性確保を図りつつガスタービンの出力の増大が図れる熱電供給システムおよびその運転方法を提供することにある。
【0009】
本発明の第2の目的は、ガスタービンの排気に含まれる水分を回収すると共にこの回収した水分を排気を利用して加熱し、排気の水および熱の有効利用とシステムの信頼性確保を図りつつガスタービンの格段の出力増大が図れる熱電供給システムを提供することにある。
【0010】
なお、本発明のその他の目的と有利点は以下の記述から明らかにされる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するための本発明の熱電供給システムは、発電機を駆動するガスタービンの排気から熱を回収して該ガスタービンの燃焼器に流入する空気を予熱するためのタービン側再生器を有し、前記タービン側再生器を通過したガスタービンの排気から熱を冷凍機側再生器により回収して熱駆動式冷凍機を駆動する熱電供給システムにおいて、前記熱駆動式冷凍機により生成される冷熱を利用して前記熱駆動式冷凍機により生成される冷熱を利用して水分を回収し、この回収した水分を前記ガスタービンの吸気側の空気中に供給する水分回収供給装置を設け、前記熱駆動式冷凍機として空気調和機に冷却水を供給するための水・臭化リチューム系の吸収式冷凍機を用い、前記空気調和機から前記吸収式冷凍機に戻る冷水を前記水分の回収の冷熱に使用する前記水分回収供給装置としたことにある。
【0013】
前記第2の目的を達成するための本発明の熱電供給システムは、発電機を駆動するガスタービンの排気から熱を回収して該ガスタービンの燃焼器に流入する空気を予熱するためのタービン側再生器を有し、前記タービン側再生器を通過したガスタービンの排気から熱を冷凍機側再生器により回収して熱駆動式冷凍機を駆動する熱電供給システムにおいて、前記熱駆動式冷凍機により生成される冷熱を利用して前記熱駆動式冷凍機により生成される冷熱を利用して水分を回収し、この回収した水分を前記冷凍機側再生器から大気に放出されるガスタービンの排気により加熱し、この加熱された水分を前記ガスタービンのタービン吸気側の空気中に供給する水分回収供給装置を設け、前記熱駆動式冷凍機として空気調和機に冷却水を供給するための水・臭化リチューム系の吸収式冷凍機を用い、前記空気調和機から前記吸収式冷凍機に戻る冷水を前記水分の回収の冷熱に使用する前記水分回収供給装置としたことにある。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る熱電供給システムの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明に係る熱電供給システムの一実施例を示す図である。
【0016】
熱電供給システム20は、ガスタービン設備21と、冷凍機設備22と、水分回収供給装置23とを備えて構成されている。
【0017】
ガスタービン設備21は、圧縮機1、加湿器3、タービン側再生器4、燃焼器5およびタービン2を備えて構成されている。これらの構成要素は流路を介してこの順に接続されている。
【0018】
圧縮機1は、タービン2と発電機6の間に回転軸を共通にして配置され、外気を吸い込んで所定の圧力まで圧縮して圧縮空気を生成するものである。加湿器3は、タービン2の吸気中に水分を供給して蒸発させるものであり、この実施例では、圧縮機1から吐出された圧縮空気中で、タービン側再生器4の流入前に水分を供給するようになっている。タービン側再生器4は、タービン2の吸気と排気とを熱交換させるものであり、この実施例では、加湿器3と燃焼器5との間の加湿された圧縮空気と、タービン2から出た直後の排気との熱交換を行なうようになっている。燃焼器5は、圧縮機1から吐出された圧縮空気に燃料を混合して燃焼させ、高温・高圧ガスをタービン2に供給するものである。タービン2は、供給された高温・高圧ガスにより駆動され、圧縮機1および発電機6を駆動するものである。
【0019】
冷凍機設備22は、冷凍機側再生器13を有する熱駆動式冷凍機12と、冷水循環ポンプ14と、流量調整弁15とを備えて構成されている。熱駆動式冷凍機12は、空気調和機(図示せず)に冷却水を供給するためのものであり、この実施例では水・臭化リチューム系冷凍機が用いられている。冷水循環ポンプ14は熱駆動式冷凍機12で生成された冷却水を空気調和機に供給するものである。流量調整弁15は空気調和機から熱駆動式冷凍機12に戻る冷水の流量を調整するものである。
【0020】
水分回収供給装置23は、水分回収装置8、循環ポンプ10、加熱器7および補給手段を備えて構成されている。水分回収装置8は、冷凍機側再生器13から大気に至る放出路に連通する水分回収器8aと、水分回収器8a内に熱駆動式冷凍機12の冷水流路から冷水を導く水分凝縮熱交換器8bとを備えて構成されている。この実施例では、水分回収器8aは加熱器7を介して冷凍機側再生器13に接続されており、水分凝縮熱交換器8bは流量調整弁15の両側に接続されている。循環ポンプ10は、水分回収器8a内に回収された冷水9をタービン2の吸気側の空気中に供給するものであり、この実施例では、水分回収器8aの底面から冷水を取り出し、加熱器7を通して加湿器3に供給するように構成されている。加熱器7は、冷凍機側再生器13からの排気と冷水9とを熱交換させて冷水を温水にするためのものであり、冷凍機側再生器13と水分回収装置8との間で、かつ循環ポンプ10と加湿器3との間に設けられている。補給手段は、軟水化装置や脱気装置などで処理した補給水を水分回収器8aに補給するためのものである。
【0021】
係る熱電供給システム20において、圧縮機1に吸入された外気は圧縮・昇圧された後、加湿器3に至る。水分回収装置8から循環ポンプ10で搬送されて加熱器7で加熱された温水11は、加湿器3内の空気中に噴霧される。これによって、加湿器3を通過する際に加湿される。例えば夏場の場合、35℃程度の外気は圧縮機1で圧縮され200℃程度まで温度が上昇するが、冷凍機側再生器13から排出された加熱器7に流入する排気の温度は160℃程度であるので、水分回収装置8の冷水は100〜140℃程度まで加熱された温水となって、加湿器3で噴霧され完全に蒸発する。なお、圧縮機1で圧縮された空気の圧力は400kPa程度であるので、100〜140℃に加熱された温水は液体の状態で加湿器3内に噴霧される。
【0022】
加湿器7で加湿された空気は、タービン側再生器4でタービン2の排気と熱交換して600℃以上に加熱された後、燃焼器5に送られ燃料と混合して燃焼し高温・高圧ガスとなる。この高温・高圧ガスはタービン2内で膨張する際にタービン2を回転させ、圧縮機1と発電機6を駆動する。
【0023】
ここで、圧縮機1で圧縮した空気を加湿し、タービン2に流入する作動流体(空気)の質量流量を増加するようにしているので、タービン2の出力が増加する。特に、加湿する水は、冷凍機側再生器13から大気に放出されるタービン2の排気により加熱されているので、排気熱を有効に利用できると共に、加湿器3への供給量を増加しても完全に蒸発させることができ、燃焼器5の燃焼維持できる。これによって、タービン2の出力を効率よく格段に増大することができる。
【0024】
タービン2の排気は、タービン側再生器4で加湿器3からの空気と熱交換して300℃弱まで温度が低下した後、冷凍機側再生器13に流入し、熱駆動式冷凍機12を駆動して冷熱を発生させる。熱駆動式冷凍機12で発生した7℃程度の冷熱は、冷却水として冷水循環ポンプ14により空気調和機へ搬送され、冷房に使用された後に15℃程度の冷水となって熱駆動式冷凍機12に戻ってくる。この15℃程度の戻り冷水の流量を流量調整弁15により調整して、水分回収器8a内の水分凝縮熱交換器8bに循環させる。
【0025】
ここで、冷凍機側再生器13から流出した160℃程度の排気は、加熱器7において加湿器3で噴霧する温水を加熱して温度が100℃程度に低下しているが、15℃程度の冷水を使用することにより、水分凝縮熱交換器8b表面に水分を凝縮・結露させることができる。水分凝縮熱交換器8b表面で凝縮・結露した水分は、水分回収器8a内に回収水9として蓄えられ、循環ポンプ10により、加熱器7に搬送され加熱された後、再び加湿器3で空気中に噴霧される。
なお、水分回収器8aには、軟水化装置や脱気器装置で処理した補給水を補給できる補給手段が接続されている。
【0026】
このように、冷凍機側再生器13を通過して大気に放出される排気から熱駆動式冷凍機12により生成される冷熱を利用して水分を回収し、この回収した水分をタービン2の吸気側の空気中に供給するようにしているので、ガスタービンの排気に含まれる貴重な処理水を回収でき、水の有効利用とシステムの信頼性確保を図りつつガスタービンの出力の増大が図れる。
【0027】
さらには、熱駆動式冷凍機12により生成される冷熱を利用して水分を回収しているので、簡単に水分の回収を行なうことができる。特に、熱駆動式冷凍機12として空気調和機に冷却水を供給するための水・臭化リチューム系の吸収式冷凍機を用い、空気調和機から吸収式冷凍機12に戻る冷水を水分の回収の冷熱に使用しているので、低温の冷水を空気調和機の冷凍能力に直接的に影響を与えることなく水分回収に利用できる。
【0028】
図2は本発明の他の実施例であり、加熱器7の下流に燃料を燃焼させ加熱器7で加熱された温水を蒸発させる蒸気発生器16を設置した点が図1に示した実施例と異なる。このように構成することにより、蒸気となった水で加湿できるので燃焼を損なうことなく加湿量を増加でき、タービンの出力を増大できる。
【0029】
図3は本発明の更に他の実施例であり、空気調和機へ搬送される7℃程度の冷水を、流量調整弁17で流量を調整して水分回収器8a内の水分凝縮熱交換器8bに循環させるように構成した点が図1および図2に示した実施例と異なる。このように構成することにより、更に低温の冷水で排気中の水分を凝縮・結露できるので水分回収器8aの性能を向上できる。
【0030】
図4は本発明のさらに他の実施例であり、ガスタービンのタービン側再生器4の下流に加湿器3を設置した点が図1に示した実施例と異なる。このように構成することにより、図1に示した実施例に比べタービン側再生器4を通過する空気の流量が減少するので、タービン側再生器4における圧力損失を低減でき、タービン2の出力を増加できる。
【0031】
図5は本発明の更に他の実施例であり、加熱器7の下流に燃料を燃焼させ加熱器7で加熱された温水を蒸発させる蒸気発生器16を設置し、更に加湿器3をガスタービンのタービン側再生器4の下流に設置した点が図1から図4に示した実施例と異なる。このように構成することにより、蒸気となった水で加湿できると共に、タービン側再生器4を通過する空気量を増加させることなく加湿できるので、加湿量を増加させても燃焼を損なうことなく、またタービン側再生器4における圧力損失も増加せずタービンの出力を更に増加できる。
【0032】
図6は本発明の更に他の実施例であり、加熱器7の下流に設置した燃料を燃焼させ加熱器7で加熱された温水を蒸発させる蒸気発生器16の排気を、冷凍機側再生器13から排出される排気と合流し、加熱器7に循環させるようにした点が図5に示した実施例と異なる。このように構成することにより、蒸気発生器16の排熱も回収でき、更にシステムの効率を向上できる。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、ガスタービンの排気に含まれる水分を回収し、水の有効利用とシステムの信頼性確保を図りつつガスタービンの出力の増大が図れる熱電供給システムおよびその運転方法を得ることができる。
【0034】
また、本発明によれば、ガスタービンの排気に含まれる水分を回収すると共にこの回収した水分を排気を利用して加熱し、排気の水および熱の有効利用とシステムの信頼性確保を図りつつスタービンの格段の出力増大が図れる熱電供給システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る熱電供給システムの構成図である。
【図2】本発明の他の実施例に係る熱電供給システムの構成図である。
【図3】本発明の更に他の実施例に係る熱電供給システムの構成図である。
【図4】本発明の更に他の実施例に係る熱電供給システムの構成図である。
【図5】本発明の更に他の実施例に係る熱電供給システムの構成図である。
【図6】本発明の更に他の実施例に係る熱電供給システムの構成図である。
【符号の説明】
1…圧縮機、2…タービン、3…加湿器、4…タービン側再生器、5…燃焼器、6…発電機、7…加熱器、8…水分回収装置、8a…水分回収器、8b…水分凝縮熱交換器、11…温水、12…熱駆動式冷凍機、13…冷凍機側再生器、冷水循環ポンプ、15…流量調整弁、16…蒸気発生器、20…熱電供給システム、21…ガスタービン設備、22…冷凍機設備、23…水分回収供給装置。
Claims (5)
- 発電機を駆動するガスタービンの排気から熱を回収して該ガスタービンの燃焼器に流入する空気を予熱するためのタービン側再生器を有し、前記タービン側再生器を通過したガスタービンの排気から熱を冷凍機側再生器により回収して熱駆動式冷凍機を駆動する熱電供給システムにおいて、
前記熱駆動式冷凍機により生成される冷熱を利用して水分を回収し、この回収した水分を前記ガスタービンのタービン吸気側の空気中に供給する水分回収供給装置を設け、
前記熱駆動式冷凍機として空気調和機に冷却水を供給するための水・臭化リチューム系の吸収式冷凍機を用い、
前記空気調和機から前記吸収式冷凍機に戻る冷水を前記水分の回収の冷熱に使用する前記水分回収供給装置としたことを特徴とする熱電供給システム。 - 発電機を駆動するガスタービンの排気から熱を回収して該ガスタービンの燃焼器に流入する空気を予熱するためのタービン側再生器を有し、前記タービン側再生器を通過したガスタービンの排気から熱を冷凍機側再生器により回収して熱駆動式冷凍機を駆動する熱電供給システムにおいて、
前記熱駆動式冷凍機により生成される冷熱を利用して水分を回収し、この回収した水分を前記冷凍機側再生器から大気に放出されるガスタービンの排気により加熱し、この加熱された水分を前記ガスタービンのタービン吸気側の空気中に供給する水分回収供給装置を設け、
前記熱駆動式冷凍機として空気調和機に冷却水を供給するための水・臭化リチューム系の吸収式冷凍機を用い、
前記空気調和機から前記吸収式冷凍機に戻る冷水を前記水分の回収の冷熱に使用する前記水分回収供給装置としたことを特徴とする熱電供給システム。 - 請求項1または2において、前記回収した水分を供給する位置を前記タービン側再生器の上流側としたことを特徴とする熱電供給システム。
- 請求項1または2において、前記水分回収供給装置は、前記冷凍機側再生器から大気に至る放出路に連通する水分回収器と、前記水分回収器内に前記熱駆動式冷凍機の冷水流路から冷水を導く水分凝縮熱交換器と、前記水分回収器内に回収された冷水を前記ガスタービンのタービン吸気側の空気中に供給するポンプとを備えたことを特徴とする熱電供給システム。
- 請求項4において、前記水分回収供給装置は軟水化装置や脱気装置などで処理した補給水を前記水分回収器に補給する補給手段を備えたことを特徴とする熱電供給システム。
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