JP3924317B2 - 陰イオン交換樹脂を使用する、ノボラック樹脂溶液中の金属イオン低減 - Google Patents

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Description

発明の背景
本発明は、金属イオン、特にナトリウムおよび鉄、のレベルが非常に低いノボラック樹脂の製造法、およびその様なノボラック樹脂の感光性組成物への使用方法に関するものである。また本発明は、ポジ型フォトレジスト組成物に有用な感光性組成物の製造法にも関するものである。さらに本発明は、基材をこれらの感光性組成物で被覆する方法、ならびに基材上にこれらの感光性混合物を塗布し、画像形成させ、現像する方法にも関するものである。
フォトレジスト組成物は、小型の電子部品の製造、例えばコンピュータチップおよび集積回路の製造、のためのマイクロ平版印刷に使用される。一般的に、これらの方法では、まずフォトレジスト組成物の薄い被膜が基材、例えば集積回路の製造に使用するシリコンウエハー、に施される。次いで被覆された基材は焼き付けられて、フォトレジスト組成物中の溶剤がすべて蒸発し、被覆は基材上に固定される。次に、基材の焼き付けた被覆表面は、放射線で像様露光される。
この放射線露光により、被覆表面の露光区域で化学的な変換が起こる。可視光、紫外(UV)光、電子線およびX線の放射エネルギーが、現在のマイクロ平版印刷製法で一般的に使用されている種類の放射線である。この像様露光の後、被覆された基材は現像剤溶液で処理され、基材の被覆表面の、放射線に露出された、または露出されていない区域は溶解して除去される。
高密度集積回路およびコンピュータチップの製造では金属汚染が以前から問題になっており、欠陥の増加、生産性の低下、劣化および性能低下を引き起こすことが多い。プラズマ製法では、金属、例えばナトリウムおよび鉄、がフォトレジスト中に存在すると、特にプラズマ剥離の際に汚染を引き起こすことがある。しかし、これらの問題は製造工程中で大幅に改善されている。例えば高温アニールサイクルの際に汚染物のHClゲッタリングを使用することにより。
半導体デバイスがより高度化するにつれて、これらの問題は解決するのがより困難になっている。シリコンウエハーを液体ポジ型フォトレジストで被覆し、続いて、例えば酸素マイクロ波プラズマで、剥離する場合、半導体デバイスの性能および安定性が低下することが多い。プラズマ剥離工程を繰り返すと、デバイスがさらに劣化することが多い。その様な問題の主な原因は、フォトレジスト中の金属汚染、特にナトリウムおよび鉄イオン、であることが分かっている。フォトレジスト中1.0ppm未満の金属レベルがその様な半導体デバイスの特性に悪影響を及ぼすことが分かっている。
ノボラック樹脂は、液体フォトレジスト組成物に使用されることが多い重合体状バインダーである。これらの樹脂は一般的に、酸触媒、例えばシュウ酸、の存在下で、ホルムアルデヒドおよび1種またはそれより多い多置換フェノール間の縮合反応を行なうことにより製造される。複雑な半導体デバイスの製造では、分子量が本質的に一定しており、金属汚染物のレベルが1.0ppmよりはるかに低いノボラック樹脂を得ることが益々重要になっている。
2種類のフォトレジスト組成物、ネガ型およびポジ型がある。ネガ型フォトレジスト組成物は放射線で像様露光される場合、レジスト組成物の放射線に露出された区域が現像剤溶液に対して難溶性になる(例えば架橋反応が起こる)のに対し、フォトレジスト被覆の非露光区域はその様な溶液に対して比較的可溶性のままである。そのため、露光されたネガ型レジストを現像剤で処理することにより、フォトレジスト被覆の非露光区域が除去され、被覆中に陰画像が形成される。それによって、フォトレジスト組成物が堆積していた下側基材表面の所望の部分が表に出る。一方、ポジ型フォトレジスト組成物は放射線で像様露光される場合、フォトレジスト組成物の放射線に露出された区域が現像剤溶液に対してより可溶性になる(例えば転位反応が起こる)のに対し、フォトレジスト被覆の非露光区域は現像剤溶液に対して比較的不溶性のままである。そのため、露光されたポジ型フォトレジストを現像剤で処理することにより、被覆の露光区域が除去され、フォトレジスト被覆中に陽画像が形成される。やはり、下側基材表面の所望の部分が表に出る。
この現像作業の後、部分的に保護されていない基材を基材エッチング剤溶液またはプラズマガス、およびその他で処理することができる。エッチング剤溶液またはプラズマガスは、基材の、現像の際にフォトレジスト被覆が除去された部分を腐食させる。フォトレジスト被覆がまだ残っている基材区域は保護され、したがって放射線の像様露光に使用したフォトマスクに対応する、エッチングされたパターンが基材中に形成される。その後、フォトレジスト被覆の残留区域が剥離作業の際に除去され、清浄なエッチングされた基材表面が残る。現像工程の後で、エッチング工程の前に、残留するフォトレジスト層を加熱処理して、その下側基材に対する密着性およびエッチング溶液に対する耐性を強化するのが望ましい場合がある。
ポジ型フォトレジスト組成物は、一般的に解像度およびパターン転写特性がより優れているので、現時点ではネガ型レジストよりも好まれている。フォトレジストの解像度は、露光および現像の後に、レジスト組成物がフォトマスクから基材に高度の画像縁部の鋭さをもって転写できる最小の特徴(feature)として定義される。今日の多くの製造用途で、1ミクロン未満のオーダーのレジスト解像度が必要である。その上、現像されたフォトレジスト壁の輪郭は基材に対して垂直に近いことがほとんど常に望まれる。レジスト被覆の現像された区域と現像されていない区域のその様な境界により、マスク画像が基材上に精確にパターン転写される。
発明の概要
本発明は、非常に低いレベルの金属イオン、特にナトリウムおよび鉄、を含有する、水に不溶で、水性アルカリに可溶なノボラック樹脂の製造法、およびそれらの、フォトレジスト組成物における使用に関するものである。本発明はさらにこれらのノボラック樹脂および光増感剤を含有するポジ型フォトレジストの製造法、およびその様なフォトレジストを半導体デバイスの製造に使用する方法にも関するものである。
得られるノボラック樹脂は、金属イオン、例えば鉄、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、銅および亜鉛、のレベルが非常に低い。ナトリウムおよび鉄は、最も一般的な金属イオン汚染物であり、最も容易に検出できる。これらの金属イオンのレベルは、他の金属イオンレベルの指針として役立つ。ナトリウムおよび鉄イオンのレベルは、それぞれ100ppb未満、好ましくは50ppb未満、最も好ましくは20ppb未満、である。
金属イオンレベルが非常に低い、水に不溶で、水性アルカリに可溶なノボラック樹脂は、金属イオンのレベルが非常に少ないホルムアルデヒドを、金属イオンの量が非常に少ない1種またはそれより多いフェノール性化合物、例えばm−クレゾール、p−クレゾール、3,5ジメチルフェノールまたは3,5−キシレノール、と縮合させることにより得られる。縮合反応は、好ましくは酸触媒、例えばシュウ酸または無水マレイン酸、の存在下で行なう。
金属イオンレベルが非常に低い、水に不溶で、水性アルカリに可溶なノボラック樹脂は、本発明により、陰イオン交換樹脂を使用し、その様なノボラック樹脂を精製することにより得られる。本発明の方法において、陰イオン交換樹脂は、予期せぬことに、陽イオンを除去するのに有効である。一般的に、陰イオン交換樹脂は、陰イオン、特に酸性陰イオン、例えばCl-、SO4 -2、CH3COO-、およびその他、を除去するのに使用する。
米国特許第5,073,622号明細書には、ノボラック樹脂を有機溶剤に溶解させ、その溶液を酸性錯体形成化合物の水溶液と接触させることにより、ナトリウムおよび鉄イオンレベルが500ppb未満であるノボラック樹脂を製造する方法が開示されている。
ここで特許請求される発明は、錯体形成剤の溶液の代わりに、a)水および鉱酸溶液、b)脱イオン(DI)水、c)水酸化アンモニウム溶液、d)DI水、およびe)ノボラック樹脂溶剤と同じであるか、または少なくともそれと相容性がある溶剤で前処理して、ほとんどすべての水を除去し、陰イオン交換樹脂の金属イオン、例えばナトリウムおよび鉄、のレベルをそれぞれ300ppb未満、好ましくはそれぞれ200ppb未満、より好ましくはそれぞれ100ppb未満、最も好ましくはそれぞれ50ppb以下、にした塩基性陰イオン交換樹脂を使用する点でその方法とは異なっている。
好ましい実施態様の詳細な説明
本発明は、金属イオン、特にナトリウムおよび鉄、のレベルが非常に低い、水に不溶で、水性アルカリに可溶なノボラック樹脂の製造法を提供するものである。本方法は、一実施態様で、塩基性陰イオン交換樹脂を使用し、ノボラック樹脂溶液、例えばプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)中2〜50%溶液、を精製する。本方法は、下記のa)〜d)を含んでなる。
a)陰イオン交換樹脂を水、好ましくはDI水、で洗浄し、続いて鉱酸溶液(好ましくは、硫酸、硝酸または塩酸の5〜98%溶液)で洗浄し、水、好ましくはDI水、で再度洗浄し、続いて水酸化アンモニウム溶液(好ましくは2〜28%溶液)で洗浄し、続いてDI水で洗浄することにより、陰イオン交換樹脂中のナトリウムおよび鉄イオンのレベルをそれぞれ200ppb未満、好ましくは100ppb未満、最も好ましくは50ppb以下、に下げること、
b)ノボラック樹脂を適当なノボラック樹脂溶剤に入れた溶液を製造すること、
c)ノボラック樹脂溶剤と同じであるか、または少なくともそれと相容性がある溶剤で陰イオン交換樹脂を洗浄して、本質的にすべての水を除去すること、および
d)ノボラック樹脂の溶液を洗浄した陰イオン交換樹脂床に、滞留時間が約10分間を超える、好ましくは約60分間を超える、より好ましくは約100分間を超える、最も好ましくは約200分間を超える、様な流量で通して、ノボラック樹脂溶液中のナトリウムおよび鉄イオンのレベルをそれぞれ100ppb未満、好ましくはそれぞれ50ppb未満、最も好ましくはそれぞれ20ppb未満、に下げること。
本発明は、ナトリウムおよび鉄イオンのレベルが非常に低いポジ型フォトレジスト組成物の製造法をさらに提供する。本方法は、下記a)〜e)を含んでなる。
a)陰イオン交換樹脂を水、好ましくはDI水で洗浄し、続いて鉱酸溶液(好ましくは、硫酸、硝酸または塩酸の5〜98%溶液)で洗浄し、水、好ましくはDI水、で再度洗浄し、続いて水酸化アンモニウム溶液(好ましくは2〜28%溶液)で洗浄し、続いてDI水で洗浄することにより、陰イオン交換樹脂中のナトリウムおよび鉄イオンのレベルをそれぞれ200ppb未満、好ましくは100ppb未満、最も好ましくは50ppb以下、に下げること、
b)ノボラック樹脂を適当なノボラック樹脂溶剤に入れた溶液を製造すること、
c)ノボラック樹脂溶剤と同じであるか、または少なくともそれと相容性がある溶剤で陰イオン交換樹脂を洗浄して、本質的にすべての水を除去すること、
d)ノボラック樹脂の溶液を洗浄した陰イオン交換樹脂床に、滞留時間が500分間を超える、好ましくは約60分間を超える、最も好ましくは約100分間を超える、様な流量で通して、溶液中のナトリウムおよび鉄イオンのレベルをそれぞれ100ppb未満、より好ましくはそれぞれ50ppb未満、最も好ましくはそれぞれ20ppb未満、に下げること、および
e)1)フォトレジスト組成物を光増感させるのに十分な量の感光性成分、2)金属イオンのレベルが低いノボラック樹脂および3)適当なフォトレジスト溶剤の混合物を形成させることにより、フォトレジスト組成物を製造すること。
本発明は、適当な基材を下記a)〜f)によるポジ型フォトレジスト組成物で被覆し、基材上に写真画像を形成することにより半導体デバイスを製造する方法をさらに提供するものである。
a)陰イオン交換樹脂を水、好ましくはDI水で洗浄し、続いて鉱酸溶液(好ましくは、硫酸、硝酸または塩酸の5〜98%溶液)で洗浄し、水、好ましくはDI水、で再度洗浄し、続いて水酸化アンモニウム溶液(好ましくは2〜28%溶液)で洗浄し、続いてDI水で洗浄することにより、陰イオン交換樹脂中のナトリウムおよび鉄イオンのレベルをそれぞれ200ppb未満、好ましくは100ppb未満、最も好ましくは50ppb以下、に下げること、
b)ノボラック樹脂を適当なノボラック樹脂溶剤に入れた溶液を製造すること、
c)ノボラック樹脂溶剤と同じであるか、または少なくともそれと相容性がある溶剤で陰イオン交換樹脂を洗浄して、本質的にすべての水を除去すること、
d)ノボラック樹脂の溶液を洗浄した陰イオン交換樹脂床に、滞留時間が約10分間を超える、好ましくは約60分間を超える、より好ましくは約100分間を超える、最も好ましくは約100分間を超える、様な流量で通して、溶液中のナトリウムおよび鉄イオンのレベルをそれぞれ100ppb未満、好ましくはそれぞれ50ppb未満、最も好ましくはそれぞれ20ppb未満、に下げること、および
e)1)フォトレジスト組成物を光増感させるのに十分な量の感光性成分、2)ナトリウムおよび鉄イオンのレベルが低いノボラック樹脂および3)適当なフォトレジスト溶剤の混合物を形成させることにより、フォトレジスト組成物を製造すること、
f)被覆された基材を、本質的にすべての溶剤が除去されるまで加熱処理し、感光性組成物を像様露光し、その様な組成物の像様露光された区域を適当な現像剤、例えば水性アルカリ現像剤、で除去し、必要に応じて、除去工程のすぐ前または後に基材の焼付けを行なうこと。
酸触媒の存在下でホルムアルデヒドを1種またはそれより多いフェノール性化合物と縮合させ、次いで陰イオン交換樹脂を使用して樹脂から金属イオンを除去しても、1)適当な溶剤を使用してノボラック樹脂の溶液を形成させ、2)陰イオン交換樹脂を上記の様に水および鉱酸溶液、水酸化アンモニウム溶液および水で洗浄して、金属イオンのレベルを本質的に下げ、3)ノボラック樹脂溶剤と同じであるか、または少なくとも相容性がある溶剤でイオン交換樹脂を完全に洗浄して、本質的にすべての水を除去し、4)次いでノボラック樹脂溶液を陰イオン交換樹脂に非常に低い速度で通さない限り、金属イオン汚染物のレベルが非常に低いノボラック樹脂は得られないことが分かった。
本発明の方法では、陰イオン交換樹脂、例えばスチレン/ジビニルベンゼン陰イオン交換樹脂、を使用する。その様な陰イオン交換樹脂には、例えばRohm and Haas社から市販のAMBERLYSTR21またはAMBERLYSTR26樹脂がある。これらの樹脂は一般的に80,000〜200,000ppbものナトリウムおよび鉄を含有する。本発明の方法に使用する前に、陰イオン交換樹脂は水、次いで鉱酸溶液で、再度水、水酸化アンモニウム溶液、およびDI水で洗浄し、金属イオンレベルを本質的に低くしなければならない。好ましくは、陰イオン交換樹脂を最初にDI水で、続いて鉱酸溶液、例えば10%硫酸溶液、ですすぎ、再度DI水ですすぎ、再度鉱酸溶液ですすぎ、もう一度DI水ですすぐ。次いで樹脂を水酸化アンモニウム溶液で洗浄し、続いてDI水で洗浄する。ノボラック樹脂溶液を精製する際、ノボラック樹脂溶剤と同じであるか、または少なくとも相容性がある溶剤でイオン交換樹脂を最終的に洗浄し、実質的にすべての水を除去することが重要である。
ノボラック樹脂は、洗浄した陰イオン交換樹脂を含むカラムに、溶液として、例えばPGMEA中約40%ノボラック樹脂の溶液として通すことができる。その様な溶液は一般的にそれぞれ250〜1000ppb以上のナトリウムおよび鉄イオンを含有する。本発明の方法により、これらのレベルはそれぞれ10ppb程度まで低くなる。
本発明では、ノボラック溶液は、陰イオン交換カラム中を、滞留時間(総床体積を流量で割ったもの)が長く、すなわち約10分間〜200分間を超える位になる様な流量で通過させる必要がある。
本発明は、フォトレジスト組成物の製造法およびその様なフォトレジスト組成物を使用する半導体デバイスの製造法を提供する。フォトレジスト組成物は、光増感剤、本発明のノボラック樹脂および適当な溶剤を混合することにより形成される。その様なフォトレジストおよび水に不溶で、水性アルカリに可溶なノボラック樹脂に適当な溶剤には、プロピレングリコールモノ−アルキルエーテル、プロピレングリコールアルキル(例えばメチル)エーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、乳酸エチル、エチル−3−エトキシプロピオネートと乳酸エチルの混合物、酢酸ブチル、キシレン、ジグライム、2−ヘプタノン、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートがある。好ましい溶剤は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチルおよびエチル−3−エトキシプロピオネート(EEP)である。
フォトレジスト組成物を基材に塗布する前に、他の必要に応じて使用する成分、例えば着色剤、染料、縞防止剤、レベリング剤、可塑剤、接着促進剤、速度増加剤、溶剤、および界面活性剤、例えば非イオン系界面活性剤、をノボラック樹脂、増感剤および溶剤の溶液に加えることができる。本発明のフォトレジスト組成物と共に使用できる染料添加剤の例は、ノボラックおよび増感剤の合計重量に対して1〜10重量%レベルの、メチルバイオレット2B(C.I.No.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.No.42000)、ビクトリアブルーB(C.I.No.44045およびニュートラルレッド(C.I.No.50040)である。染料添加剤は、基材による光の後方散乱を防止することにより、解像度を増加させるのに役立つ。
縞防止剤は、ノボラックと増感剤の合計重量に対して約5重量%レベルまで使用することができる。可塑剤には、例えば、リン酸トリ−(ベータ−クロロエチル)−エステル、ステアリン酸、ジカンファー、ポリプロピレン、アセタール樹脂、フェノキシ樹脂、およびアルキル樹脂があり、ノボラックと増感剤の合計重量に対して約1〜10重量%のレベルで使用することができる。可塑剤は材料の被覆特性を改良し、平滑で均一な厚さの被膜を基材に塗布できる様にする。
接着促進剤には、例えばベータ−(3,4−エポキシ−シクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、p−メチル−ジシラン−メチルメタクリル酸エステル、ビニルトリクロロシラン、およびガンマ−アミノ−プロピルトリエトキシシランがあり、ノボラックと増感剤の合計重量に対して約4重量%レベルまで使用することができる。現像速度増加剤には、例えばピクリン酸、ニコチン酸またはニトロケイ皮酸があり、ノボラックと増感剤の合計重量に対して約20重量%レベルまで使用することができる。これらの増加剤は、露光区域と非露光区域の両方でフォトレジスト被覆の溶解性を増加させる傾向があり、したがって、コントラストをある程度犠牲にしても現像速度の方が重要である場合に使用され、すなわち現像剤により、フォトレジスト被覆の露光区域がより急速に溶解するが、速度増加剤により、非露光区域からもフォトレジスト被覆が大量に失われる。
溶剤は組成物全体の中に組成物の固体の95%の量で存在することができる。溶剤は、無論、フォトレジスト溶液を基材上に塗布した後、乾燥により実質的に除去される。
製造されたフォトレジスト組成物溶液は、浸し塗り、吹き付け、回転、およびスピンコーティングを包含する、フォトレジスト分野で使用される通常の方法により、基材に塗布することができる。例えば、スピンコーティングする場合、使用するスピニング装置の種類およびスピニング工程に許される時間に対して、所望の厚さの被覆を得るために、レジスト溶液を固体の含有量の百分率に関して調整することができる。適当な基材には、シリコン、アルミニウム、重合体状樹脂、二酸化ケイ素、ドーピングされた二酸化ケイ素、窒化ケイ素、タンタル、銅、ポリシリコン、セラミック、アルミニウム/銅混合物、ヒ化ガリウム、および他の、III/V族化合物がある。
上記の手順により製造されたフォトレジスト組成物は、マイクロプロセッサー、その他の小型集積回路部品の製造に使用されている様な、熱的に成長させたケイ素/二酸化ケイ素被覆されたウエハーの被覆に特に適当である。アルミニウム/酸化アルミニウムウエハーも使用できる。基材は、各種の重合体状樹脂、特に透明重合体、例えばポリエステル、でもよい。基材は適当な組成物、例えばヘキサ−アルキルジシラザンを含む組成物、の接着促進層を有することができる。
次いで、フォトレジスト組成物溶液を基材上に塗布し、基材を約70℃〜約110℃の温度で、ホットプレート上で約30秒間から約180秒間、あるいは対流加熱炉中で約15〜約90分間処理する。この温度処理は、フォトレジスト中の残留溶剤の濃度を下げるが、光増感剤の著しい熱劣化を引き起こさない様に選択する。一般的に、溶剤の濃度を最少にすることが望ましく、この最初の熱処理は、実質的にすべての溶剤が蒸発し、厚さ1ミクロンのオーダーのフォトレジスト組成物の薄い被覆が基材上に残るまで行なう。好ましい実施態様では、温度は約85℃〜約95℃である。この処理は、溶剤除去の変化率が比較的問題にならなくなるまで行なう。温度と時間の選択は、使用者が望むフォトレジストの特性、ならびに使用する装置および商業的に望ましい被覆時間により異なる。次いで、被覆基材を化学放射線、例えば約300nm〜約450nmの波長の紫外放射線、X線、電子線、イオン線またはレーザー放射線に、適当なマスク、ネガ、ステンシル、テンプレート、およびその他を使用して形成した所望のパターンで露光することができる。
次いで、フォトレジストに必要に応じて、現像の前または後に、露光後の第二焼き付けまたは熱処理を行なう。加熱温度は約90℃〜約120℃、より好ましくは約100℃〜約110℃、である。加熱はホットプレート上で約30秒間〜約2分間、より好ましくは約60秒間〜約90秒間、または対流加熱炉中で約30〜約45分間、行なう。
露光されたフォトレジスト被覆基材は、アルカリ性現像溶液に浸漬するか、あるいはスプレー現像工程で現像して、像様露光した区域を除去する。溶液は、例えば窒素噴流攪拌により攪拌するのが好ましい。基材は、露光区域からすべての、または本質的にすべてのフォトレジスト被覆が溶解するまで、現像剤中に入れておく。現像剤は、アンモニウムまたはアルカリ金属の水酸化物の水溶液を含むことができる。好ましい水酸化物は、水酸化テトラメチルアンモニウムである。被覆したウエハーを現像溶液から取り出した後、必要に応じて現像後の熱処理または焼付けを行ない、被覆の密着性、およびエッチング溶液、その他の物質に対する耐薬品性を向上させることができる。現像後の熱処理は、被覆の軟化点より低い温度で被覆および基材を加熱炉焼付けすることができる。工業用途、特にケイ素/二酸化ケイ素型基材上の微小回路装置の製造では、現像された基材を、緩衝したフッ化水素酸系のエッチング溶液で処理することができる。本発明のフォトレジスト組成物は、酸を基剤とするエッチング溶液に耐性があり、基材の非露光フォトレジスト被覆区域を効果的に保護する。
下記の諸例により、本発明の組成物を製造および使用する方法を詳細に説明する。しかし、これらの例は、本発明の範囲を制限または限定するものではなく、本発明を実行するために必ず使用しなければならない条件、パラメータ、または値を与えるものではない。
例1
AMBERLYSTR21陰イオン交換樹脂ビーズ75グラムをコニカルフラスコに入れ、すべてのビーズが水の下になる様にDI水を加えた。このフラスコを密封し、一晩放置して樹脂ビーズを膨潤させた。次の朝、水をデカンテーションし、再度脱イオン水を加えて樹脂ビーズを覆い、フラスコをゆっくり振とうした。水を再度デカンテーションした。脱イオン水によるすすぎ、およびデカンテーションの工程をさらに3回繰り返した。得られた陰イオン交換樹脂のスラリーを、多孔質のディスクおよび止め栓を備えたガラスカラムの中に注ぎ込んだ。樹脂を底に沈降させ、カラムを脱イオン水で25分間バックフラッシュした。樹脂を再度底に沈降させた。
床の長さを測定し、床体積は120mlと計算された。樹脂床を通して10%硫酸溶液を約10ml/分の速度で下方向に通過させた。6床体積の酸溶液を樹脂床に通した。次いで十分な量のDI水をほぼ同じ流量で樹脂床を下方向に通過させ、酸を除去した。次いで水酸化アンモニウム溶液(6%、6床体積)を同じ流量で樹脂床を下方向に通過させ、続いてDI水(約60床体積)を通し、水酸化アンモニウムを除去した。流出水のpHを測定し、新しい脱イオン水のpH約6に適合していることを確認した。2床体積の電子工業用級のアセトンを通過させ、水を除去し、ついで、2床体積のPGMGAを通過させ、アセトンを除去する。
ナトリウム約33ppbおよび鉄約232ppbを含む、m−クレゾール5,5−キシレノールおよびホルムアルデヒド縮合したノボラック樹脂30%のPGMEA溶液500グラムを、滞留時間が90分間になる様な流量で樹脂床に通した。得られた樹脂溶液は、金属イオンレベルが非常に低く、ナトリウム19ppbおよび鉄47ppbであった。
例2
例1を繰り返し、ナトリウム約33ppbおよび鉄311ppbを含有する例1のノボラック樹脂をPGMEAに溶解させた30%溶液300グラムを、例1で製造した樹脂床に、滞留時間が90分間になる様な流量で通した。得られた樹脂溶液は、金属イオンレベルが非常に低く、ナトリウム19ppbおよび鉄63ppbであった。
例3
例1を繰り返し、ナトリウム約33ppbおよび鉄311ppbを含有する例1のノボラック樹脂をPGMEAに溶解させた30%溶液300グラムを、例1で製造した樹脂床に、滞留時間が180分間になる様な流量で通した。得られた樹脂溶液は、金属イオンレベルが非常に低く、ナトリウム19ppbおよび鉄43ppbであった。
例4
例1の精製したノボラック樹脂をPGMEA中に溶解させた樹脂溶液から、トリヒドロキシフェニルエタンおよび2,1,4−および2,1,5−ジアゾナフトキノンスルホニルクロリド(RI 292)の混合エステルを、フォトレジスト溶液がPGMEA76%および固体総量24%を含有し、その固体の18%がRI 292であり、82%がノボラック樹脂になる様に加えることにより、フォトレジスト溶液を製造した。標準的な技術を使用し、フォトレジスト溶液を石英板上に約4000rpmの一定速度でスピンコーティングして、初期厚さ1.1マイクロメートル(1.1μm)を有するフォトレジスト層を得た。被膜を循環空気加熱炉中、90℃で30分間焼き付けた。各フォトレジスト組成物について、RoおよびRを測定した。
Roは0.263N TMAH現像剤中で測定した(25±0.5℃)。Roは未露光または暗被膜損失(dark film loss)であり、被膜を現像剤中に30分間入れ、総被膜損失を測定することにより決定した。Roは、被膜損失速度オングストローム/分で表示する。
完全に漂白された被膜の被膜損失速度であるRも、各フォトレジスト組成物に対して、0.263N TMAH現像剤中で測定した(25±0.5℃)。各被膜を完全に漂白させるのに必要な線量は、石英板上の1.5マイクロメートル(1.5μm)被膜に対して、様々な量の放射線に露出した後、377ナノメートル(nm)における吸収を測定することにより決定した。Rは1.1マイクロメートル(1.1μm)の退色した被膜を完全に溶解させるのに必要な時間を測定することにより計算した。Rもオングストローム/分で表示する。
透明にする線量は、1.1マイクロメートル(1.1μm)の被膜を、OptolineR階調度マスクの下で、狭い帯域365±10nmの放射線に露出し、最初の透明または完全に現像されたステップを得るのに必要なエネルギーを計算することにより決定した。現像はすべて0.263N TMAH中、25±0.5℃で1分間行なった。
透明にする線量 80mj/sq.cm
プリントする線量 155mj/sq.cm
解像度 0.35μm
焦点深度 0.4μm

Claims (16)

  1. 下記a)〜d)を含んでなる、塩基性陰イオン交換樹脂を使用してノボラック樹脂溶液を精製することにより、金属イオンレベルが非常に低い、水に不溶で、アルカリに可溶なノボラック樹脂を製造する方法。
    a)陰イオン交換樹脂を水で洗浄し、続いて鉱酸溶液で洗浄し、再度水で洗浄し、続いて水酸化アンモニウム溶液で洗浄し、続いて脱イオン水で洗浄することにより、陰イオン交換樹脂中のナトリウムおよび鉄イオンのレベルをそれぞれ200ppb未満に下げること、
    b)ノボラック樹脂をノボラック樹脂溶剤に入れた溶液を製造すること、
    c)ノボラック樹脂溶剤と同じであるか、または少なくともそれと相容性がある溶剤で陰イオン交換樹脂を洗浄して、本質的にすべての水を除去すること、および
    d)ノボラック樹脂の溶液を洗浄した陰イオン交換樹脂床に、滞留時間が10分間を超える様な流量で通して、ノボラック樹脂溶液中のナトリウムおよび鉄イオンのレベルをそれぞれ100ppb未満に下げること。
  2. 段階a)において、前記イオン交換樹脂を洗浄して、ナトリウムおよび鉄イオンのレベルをそれぞれ100ppb未満に下げる、請求項1に記載の方法。
  3. 段階a)において、前記イオン交換樹脂を洗浄して、ナトリウムおよび鉄のレベルをそれぞれ50ppb未満に下げる、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ノボラック樹脂溶剤が、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチルおよびエチル−3−エトキシプロピオネートからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  5. 下記a)〜e)を含んでなる、ナトリウムおよび鉄イオンのレベルが非常に低いポジ型フォトレジスト組成物の製造法。
    a)陰イオン交換樹脂を水で洗浄し、続いて鉱酸溶液で洗浄し、再度水で洗浄し、続いて水酸化アンモニウム溶液で洗浄し、続いて再度脱イオン水で洗浄することにより、陰イオン交換樹脂中のナトリウムおよび鉄イオンのレベルをそれぞれ200ppb未満に下げること、
    b)ノボラック樹脂をノボラック樹脂溶剤に入れた溶液を製造すること、
    c)ノボラック樹脂溶剤と同じであるか、または少なくともそれと相容性がある溶剤で陰イオン交換樹脂を洗浄して、本質的にすべての水を除去すること、
    d)ノボラック樹脂の溶液を洗浄した陰イオン交換樹脂床に、滞留時間が20分間を超える様な流量で通して、溶液中のナトリウムおよび鉄イオンのレベルをそれぞれ100ppb未満に下げること、および
    e)1)フォトレジスト組成物を光増感させるのに十分な量の感光性成分、2)段階d)からの金属イオンのレベルが低いノボラック樹脂、および3)フォトレジスト溶剤の混合物を形成させることにより、フォトレジスト組成物を製造すること。
  6. 段皆a)において、前記イオン交換樹脂を洗浄して、ナトリウムおよび鉄のレベルをそれぞれ100ppb未満に下げる、請求項5に記載の方法。
  7. 前記ノボラック樹脂溶剤またはフォトレジスト溶剤が、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチルおよびエチル−3−エトキシプロピオネートからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
  8. 下記a)〜h)によって基材をポジ型フォトレジスト組成物で被覆し、基材上に写真画像を形成することにより、半導体デバイスを製造する方法。
    a)陰イオン交換樹脂を水で洗浄し、続いて鉱酸溶液で洗浄し、再度水で洗浄し、続いて水酸化アンモニウム溶液で洗浄し、続いて脱イオン水で洗浄することにより、陰イオン交換樹脂中のナトリウムおよび鉄イオンのレベルをそれぞれ200ppb未満に下げること、
    b)ノボラック樹脂をノボラック樹脂溶剤に入れた溶液を製造すること、
    c)ノボラック樹脂溶剤と同じであるか、または少なくともそれと相容性がある溶剤で陰イオン交換樹脂を洗浄し、本質的にすべての水を除去すること、
    d)ノボラック樹脂の溶液を洗浄した陰イオン交換樹脂床に、滞留時間が20分間を超える様な流量で通して、溶液中のナトリウムおよび鉄イオンのレベルをそれぞれ100ppb未満に下げること、
    e)1)フォトレジスト組成物を光増感させるのに十分な量の感光性成分、2)段階d)からのナトリウムおよび鉄イオンのレベルが低いノボラック樹脂、および3)フォトレジスト溶剤の混合物を形成させることにより、フォトレジスト組成物を製造すること
    f)段階e)からのフォトレジスト組成物を基材上に塗布すること、
    g)被覆された基材を、本質的にすべての溶剤が除去されるまで加熱処理すること、および
    h)感光性組成物を像様露光し、その様な組成物の像様露光された区域を現像剤で除去すること。
  9. 前記現像剤が水性アルカリ現像剤を含んでなる、請求項8に記載の方法。
  10. 除去工程のすぐ前または後に、被覆された基材の焼付けをさらに行なう、請求項8に記載の方法。
  11. 段階d)において、上記ノボラック樹脂の溶液のナトリウムおよび鉄イオンのレベルをそれぞれ50ppb未満に下げる、請求項8に記載の方法。
  12. 段階a)において、前記イオン交換樹脂を洗浄して、ナトリウムおよび鉄のレベルをそれぞれ100ppb未満に下げる、請求項8に記載の方法。
  13. 段階d)において製造された前記ノボラック樹脂の溶液のナトリウムおよび鉄イオンのレベルがそれぞれ20ppb未満である、請求項8に記載の方法。
  14. 前記ノボラック樹脂溶剤またはフォトレジスト溶剤が、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチルおよびエチル−3−エトキシプロピオネートからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
  15. ノボラック樹脂溶剤および前記イオン交換樹脂の洗浄に使用される溶剤が同一である、請求項8に記載の方法。
  16. ノボラック樹脂溶剤、前記イオン交換樹脂の洗浄に使用される溶剤および前記フォトレジスト組成物用の溶剤がすべて同一である、請求項8に記載の方法。
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