JP3924045B2 - ばね付勢逆止弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は流体配管に取り付けて、内部に設けたばね付勢弁体により流体の順方向の流れは許容するが、その逆方向の流れは閉止する逆止弁に関し、特に、弁内部を流体が流下する場合に流れの乱れを極力少なくして、乱れに伴う圧力損失を低下し通過流量を多くすることのできるばね付勢逆止弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
ばね付勢逆止弁の一例が実公昭49−36740号公報に示されている。これは、入口と出口を有する弁ケ―シング内に環状弁座を設け、環状弁座の出口側にディスク状の弁体を配置し、ディスク状弁体の出口側にディスク状弁体を閉弁方向に付勢するコイルばねを配置し、弁ケ―シングの内周壁にリブを設けて、リブの内面にディスク状弁体の外周を摺接させたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のばね付勢逆止弁はディスク状弁体が環状弁座から離座して入口からの流体が出口へ流下する場合に、流体がディスク状弁体の入口側表面に衝突して流れ方向を変え、更にディスク状弁体の外周端部から出口側へ至る間にその流れが大きく乱れることにより、圧力損失が大きくなってしまい、出口側へ流下する流量が少なくなってしまう問題があった。
【0004】
従って本発明の課題は、入口から出口へ流下する流体の圧力損失を極力小さくして、出口側への充分な通過流量を確保することのできるばね付勢逆止弁を得ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために講じた本発明の手段は、弁ケーシングで入口と出口を形成し、入口と出口の間に環状弁座を設け、当該環状弁座の出口側に複数のリブを有する平板状の弁体をばね付勢して離着座自在に配置することにより、順方向の流体の通過は許容するが逆方向の流体は閉止するものにおいて、弁体の環状弁座との当接部外周で流体が流下する箇所に整流通路を設け、当該整流通路の外周部のリブにも貫通孔を設けて整流通路の一部とすると共に、当該貫通孔はその孔軸に傾きを設けて出口の中心軸方向へ傾斜させたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
流体が入口から出口へ流下する場合に、弁体の環状弁座との当接部外周で流体が流下する箇所に整流通路を設けたことにより、入口からの流体はこの整流通路を通って出口へ至る間に整流されて乱れが減少することによって圧力損失も小さなものとなり、出口へ流下する流体の抵抗が小さなものとなって流量を維持、確保することができる。
【0007】
整流通路は、弁体を貫通する貫通孔として設けることや、弁体の外周部と一部の入出口側表面に板状通路や翼部を設けて、整流通路とすることができる。要するに整流通路は、流体の流れ状態が乱される箇所に、その乱れを防止し、減少させ、あるいは乱れを修正して整流化させるものであれば良い。
【0008】
入口側に比較して出口側の流体圧力が高くなると、出口側の流体が入口側へ逆流しようとするが、ばね付勢された弁体が環状弁座に着座することにより入口側への流体の逆流は防止される。
【0009】
【実施例】
図1において、入口1を設けた入口部材2と出口3を設けた出口部材4、入口1と出口3の間に設けた環状弁座5、環状弁座5の出口3側に配置した平板状の弁体6、及び、弁体6の外周部に設けた整流通路13とでばね付勢逆止弁を構成する。本実施例においては、弁体6の中央部に更に補助弁体7を配置したばね付勢逆止弁の例を示す。
【0010】
入口部材2と出口部材4で弁室8を形成し、入口部材2の弁室8側端部に環状弁座5を取り付ける。環状弁座5は通過する流体の種類に応じて合成ゴムや合成樹脂、あるいは、銅系やステンレス系の金属材料で製作し、弁室8内に配置した平板状の弁体6と一端側のシ―ル面を当接させる。
【0011】
弁体6は弁室8内を左右に摺動可能なように弁室8の内径よりも僅かに小さい径の複数のリブ9を設け、出口3側に取り付けたばね受け10との間に付勢手段としてのコイルばね11を圧縮状態で配置する。従って、弁体6はコイルばね11のばね力により環状弁座5側へ常時付勢されている。
【0012】
弁体6の外周部で、環状弁座5との当接部の更に外周部に整流通路としての貫通孔13を弁体6に設ける。貫通孔13は弁体6の外周の全周に均等に複数個を設ける。貫通孔13の外周部に位置するリブ9にも貫通孔15を設けて整流通路の一部とする。このリブ9に設けた貫通孔15は、その孔軸に傾きを設けて出口3の中心軸方向へ傾斜させたものである。
【0013】
弁体6の中央部に入口1と出口3を連通する連通孔12を設け、連通孔12の出口3側に対向して補助弁体7を配置する。補助弁体7は、連通孔12を覆うことのできる大きさの平板で、環状弁座5と同様に合成ゴムや合成樹脂、あるいは金属材料で製作する。補助弁体7の出口3側にも付勢手段としてのコイルばね14をばね受け10との間に圧縮状態で配置して、常時補助弁体7を弁体6の連通孔12側に付勢させる。補助弁体7の外周部にも図示はしていないが、整流通路としての貫通孔を、弁体6と同様に設けることができる。
【0014】
弁体6と補助弁体7をそれぞれコイルばね11,14で入口1側へ付勢しているが、コイルばね11,14のばね強さは、補助弁体7を付勢するコイルばね14の方が、弁体6を付勢するコイルばね11よりも、ばね定数を小さなものとして、入口1からの流体圧力によって最初に補助弁体7が連通孔12を開孔し、続いて入口1からの流体圧力が所定値まで上昇して弁体6が環状弁座5から離座して開弁するように形成する。
【0015】
入口1から流体が流下してくる場合、その流体圧力がほとんど零に等しい場合は弁体6も補助弁体7も共にコイルばね11,14に付勢されたままで、環状弁座5と弁体6に着座しており出口3へ流体が通過することはない。
【0016】
流体圧力が上昇して、例えば0.05から0.1KG程度になると、ばね定数の小さなコイルばね14で付勢されている補助弁体7が連通孔12を開孔して、入口1からの流体を出口3へ流下させる。従って、流体圧力が低い場合であっても、弁体6が開弁する前に補助弁体7が連通孔12を開孔して入口1と出口3を連通することにより、通過流量を確保することができる。
【0017】
入口1からの流体圧力が更に上昇すると、補助弁体7のみならず弁体6もコイルばね11のばね力に打ち勝って環状弁座5から離座することにより、整流通路としての貫通孔13,15及びリブ9の空間部を介して更に多くの流体を出口3へ流下させる。この場合、出口3へ流下する流体は整流通路としての貫通孔13,15を通過する間に整流され、流体の乱れを減少させる。
【0018】
出口3側の流体圧力が入口1側の流体圧力よりも高くなると、出口3側の流体が入口1側へ逆流しようとするが、その流体流れと圧力により補助弁体7が連通孔12を閉孔すると共に、弁体6が環状弁座5に着座して、入口1側への流体の逆流を防止する。
【0019】
本実施例においては逆止弁として平板状の弁体6を用いた所謂ディスク式逆止弁の例を示したが、その他の逆止弁、例えば、スイング式逆止弁とかウェハ―式逆止弁も同様に用いることができるものである。
【0020】
【発明の効果】
上記のように本発明によるばね付勢逆止弁は、整流通路によって入口から出口へ至る流体の乱れを少なくして圧力損失を小さなものとすることができ、出口側への流量を充分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のばね付勢逆止弁の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 入口
3 出口
5 環状弁座
6 弁体
9 リブ
10 ばね受け
11 コイルばね
12 連通孔
13 整流通路
14 コイルばね
15 貫通孔

Claims (1)

  1. 弁ケーシングで入口と出口を形成し、入口と出口の間に環状弁座を設け、当該環状弁座の出口側に複数のリブを有する平板状の弁体をばね付勢して離着座自在に配置することにより、順方向の流体の通過は許容するが逆方向の流体は閉止するものにおいて、弁体の環状弁座との当接部外周で流体が流下する箇所に整流通路を設け、当該整流通路の外周部のリブにも貫通孔を設けて整流通路の一部とすると共に、当該貫通孔はその孔軸に傾きを設けて出口の中心軸方向へ傾斜させたことを特徴とするばね付勢逆止弁。
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