JP3923784B2 - レンズ駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD及びDVDなどの記録媒体であるディスクを記録または再生するディスクプレーヤ用のレンズ駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、CD及びDVDなどの記録媒体であるディスクを記録・再生するディスクプレーヤ用のレンズ駆動装置は、小型・軽量で、且つ薄型化の要望に対応すべく開発が盛んに行われている。レンズ駆動装置は、光ビームを発射する発光素子、グレーティング、ビームスプリッタ、受光素子等の半導体光学部と、可動部を有するアクチュエータ部とに大別することができる。上記半導体光学部は、発光素子や受光素子等の半導体素子をチップの状態で配線し、その他の光学部品と共にセラミックや樹脂部材でパッケージしてモジュール化にすることで大幅に小型化することができる。
【0003】
また、光学部品や半導体素子等を一体化したモジュールは、専用の工程で生産されるため、個別の部品を夫々プリント基板等に組み立てる従来の方法に比較して光学部品等の組み立て精度を高めることができる。このため、モジュールとしての性能が向上し、安定した性能が得られる利点が有る。また、光学部品のモジュール化は、小型化することで標準化され、量産効率が高まりコストの低減が図れる。
【0004】
一方、アクチュエータ部は、ボビンタイプのレンズホルダにトラッキングコイルやフォーカスコイル等の駆動コイルを巻回した従来の形態に代わって、例えばフイルム状の銅張積層プリント基板をエッチングして駆動コイルを形成したプリント基板コイルを採用することで大幅に小型・軽量化することができる。
【0005】
アクチュエータ部は、マグネットと、プリント基板コイル及び対物レンズを装着したレンズホルダが4本の棒状弾性部材で移動可能に支持された可動部とで構成されている。アクチュエータ部は、構成部品も少なく、構造も簡単であるが、ディスクの情報トラック上に正確にビームスポットを形成すると共に、トラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号に対して正確に可動部を追従させる重要な役目を担っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、アクチュエータ部を構成するプリント基板コイルは、一般に中央にフォーカスコイルを形成し、フォーカス方向に配列された上下2個からなる組を該フォーカスコイルの両側に配置した4つのトラッキングコイルを平面上に形成する構成になっている。この場合、アクチュエータ部を構成するマグネットは、上方に配置される2個のコイルと下方に配置される2個のコイルに対してジッタ方向に沿った互いに反対向きの磁束を付与する構造のものが使用される。このように構成されたアクチュエータ部は、フォーカス方向に駆動されるとプリント基板コイルに回転駆動力(ローリング現象)が発生することが知られている。
【0007】
回転駆動力が発生すると、アクチュエータ部は、トラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号に対して正確に可動部を追従させることができなくなる。従って、アクチュエータ部は、係る回転駆動力を打ち消す処置が必要となる。アクチュエータ部は、パターン形状の異なる2種類のプリント基板コイルと、これに対応して構成した多極着磁された一対のマグネットを用いることで回転駆動力を打ち消す方法が考えられるが、回転駆動力を打ち消すための部品を新たに追加するスペースが確保できないことと、標準化や省部品化に逆行してしまう。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み成されたものであり、その目的は、新たに部品を追加すること無く簡単な構造で可動部の回転駆動力を抑制することが可能なレンズ駆動装置を提供することに有る。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、フォーカスコイル、トラッキングコイル、対物レンズ、及びレンズホルダを備えるアクチュエータ部と、前記フォーカスコイル及び前記トラッキングコイルに磁束を付与する磁気回路と、を有し、前記アクチュエータ部をフォーカス方向及びトラッキング方向に駆動するレンズ駆動装置であって、前記トラッキングコイルは、フォーカス方向に隣接して配列された2個のコイルからなる組を2組有し、当該2組は、前記フォーカスコイルのトラッキング方向両側縁部にそれぞれ隣接して配置され、前記磁気回路は、一方のフォーカス方向に配置される2個のコイルと他方のフォーカス方向に配置される2個のコイルとに対してジッタ方向に沿った互いに反対向きの磁束を付与する2つの磁極面が互いに接合するよう形成され、前記アクチュエータ部が中立位置にある状態において、前記磁極面の接合位置は、そのフォーカス方向の位置が前記2個のコイルの隣接部の位置に等しく、当該磁極面は、前記フォーカスコイルの幅と略同一であり前記接合位置に位置する天面部と、前記天面部の両端部から前記コイルの略中心に延設された一対の傾斜部とから形成される台形状磁極面と、トラッキング方向に前記2個のコイルの略中心までを覆う幅を有し、フォーカス方向に前記2個のコイルの略中心から前記フォーカスコイルのフォーカス方向側縁部までを覆う幅を有する方形状磁極面とから構成されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、請求項1または2に記載のレンズ駆動装置であって、前記2組は、前記アクチュエータ部の重心に対して対称に配置されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、請求項1乃至3の何れか1つに記載のレンズ駆動装置であって、前記フォーカスコイルは単一のコイルであり、前記磁気回路は前記フォーカスコイルの上部と下部に反対向きの磁束を付与することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、請求項1乃至4の何れか1つに記載のレンズ駆動装置であって、フォーカスコイル及びトラッキングコイルは単一の平面基板上にプリントされたプリント基板コイルであることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態によるレンズ駆動装置100について図面を参照しつつ以下に説明する。本実施形態によるレンズ駆動装置100は、波長の異なる光ビームを発射する2つの発光素子や、グレーティング、ビームスプリッタ、受光素子等の光学部品を一つに樹脂パッケージした光ピックアップ用光学部品収納モジュールであるモジュール70と、対物レンズが内蔵されたアクチュエータ部30とで構成し、小型・薄型化されている。また、係るレンズ駆動装置100は、通常行われるグレーティング調整を上記モジュール70の外側より行うように構成されたものである。以下、図1及び図2を用いてレンズ駆動装置100全体の構成から説明する。尚、図1及び図2は、本実施形態によるレンズ駆動装置100の構成展開図である。
【0014】
本実施形態のレンズ駆動装置100は、樹脂成形されたキャリジボディ80と、後述する光ビームを発射する発光素子や受光素子等を収納したモジュール70と、キャリジボディ80の所定位置に固定されたコリメータレンズ28及び立上げミラー29と、一部をL状に折り曲げて離間形成した2つのヨーク部27に一対のマグネット25を固着した金属平板のアクチュエータベース26と、可動体としての可動部20とサスペンションベース21で構成されるアクチュエータ部30と、上記モジュール70のグレーティング調整機構であるスライドカム部材62とで構成されている。
【0015】
モジュール70は、一方の側面にカバーガラス51を嵌め込んだ円環状ガイド部50が形成され、他方の側面に円弧状の突起49が形成されている。モジュール70の円環状ガイド部50は、光ビームが放射される開口部であり、外周が略円形状に形成され、その中心の延長線上に突起49の中心軸が形成されている。つまり、円環状ガイド部50の中心軸と突起49の中心軸は、同一の直線上に形成されており、これを以下軸線と呼ぶことにする。なお、突起の代りに、円環状ガイド部50とは別個の円環状ガイド部50を設け、その中心軸が同一の直線上に形成されるようにしても良い。モジュール70は、係る軸線を中心に回転されるため、軸線から外れた箇所に当接面52が設けられている。
【0016】
モジュール70は、キャリジボディ80の所定の位置に装着される。モジュール70の円弧状の突起49は、キャリジボディ80に形成されたV字状支持部82aに挿入され、モジュール70の円環状ガイド部50は、キャリジボディ80に形成されたV字状支持部82bに挿入される。この時、モジュール70の円環状ガイド部50は、キャリジボディ80に固定されたコリメータレンズ28と対向する位置に配置される。そして、モジュール70の当接面52は、キャリジボディ80の摺動溝83に挿入されたシフトカム部材62上に配置される。係るシフトカム部材62は、キャリジボディ80の摺動溝83とモジュール70の当接面52により挟まれ、横転や脱落することなく摺動自在に保持される。以上により、モジュール70は、キャリジボディ80に形成されたV字状支持部82aとV字状支持部82bにより回転自在に支持される。
【0017】
一方、一部をL状に折り曲げて離間形成した一対のヨーク部27の各々にマグネット25を固着したアクチュエータベース26は、キャリジボディ80の底面側から2本のビス88によってキャリジボディ80に形成された2つの取付孔81a、81bに取り付けられる。そして、アクチュエータ部30は、キャリジボディ80の上面側より装着される。これによりアクチュエータ部30のプリント基板コイル15は、一対のマグネット25の略中央に挿入される。また、アクチュエータ部30の対物レンズ19は立上げミラー29を覆う位置に配置される。
【0018】
モジュール70は、図2に示すようにモジュールプレート84によってキャリジボディ80の内部に保持される。モジュールプレート84は、熱伝導性に優れた弾性銅板で形成され、保持孔85aを有する複数の固定部85と、内側に湾曲して形成された押圧部86と、内側に折り曲げて形成された保持部87が設けられている。モジュールプレート84は、キャリジボディ80に形成された図示しない複数の突起部に固定部85の保持孔85aを挿入して固定される。モジュール70は、モジュールプレート84の保持部87によりキャリジボディ80のV字状支持部82a側に押圧されると共に、押圧部86によってキャリジボディ80の底面側に押圧された状態で保持される。また、モジュールプレート84は、押圧部86をモジュール70の底面に押圧することでモジュール70で発熱された熱を放熱するヒートシンクの役目を担っている。
【0019】
また、アクチュエータ部30は、図2に示すようにアクチュエータカバー89によってキャリジボディ80内に保持される。アクチュエータカバー89は、モジュールプレート84と同様に保持孔90aを有する複数の固定部90と、内側に湾曲して形成された押圧部91と、内側に折り曲げて形成された保持部92が設けられている。アクチュエータカバー89は、キャリジボディ80に形成された図示しない複数の突起部に固定部90の保持孔90aを挿入すると共に、2個所の固定孔93を貫通する2本のビス94で固定される。なお、アクチュエータ部30の詳細は後述する。
【0020】
アクチュエータカバー89の保持部92は、可動部20とサスペンションベース21の隙間に挿入され、サスペンションベース21をキャリジボディ80側に押圧する。アクチュエータ部30は、サスペンションベース21がキャリジボディ80に固定されることで保持される。また、アクチュエータカバー89の押圧部91は、コリメータレンズ28の脱落及び保護用に設けられている。また、アクチュエータカバー89は、中央に一部ストッパー部95を残して窓を設けることで対物レンズ19の上方を開放させると共に、ストッパー部95により可動部20のフォーカス方向の移動範囲を規制する役目を担っている。
【0021】
次に、本実施形態のレンズ駆動装置100に用いられるモジュール70の構造を図3乃至図5を用いて説明する。レンズ駆動装置100に用いられるモジュール70は、トラッキングエラー信号を生成する方法をCDとDVDとを異ならせて構成している。トラッキングエラー信号を生成する方法は、3ビーム法と位相差法が有る。3ビーム法は、CDに対しては最適であるが、DVDに適用すると、特に2層の場合は目的外の層からの信号の漏れ込みが生じたり、相変化媒体に高密度で記録するランドグルーブ記録等では、隣接トラックからのクロストーク等が問題となる。また、位相差法は、DVDには適しているが、CDに適用するとビームスポットが小さいときにトラックエラー信号の波形が正弦波にならず、トラッククロス時に問題となる場合が有る。従って、本実施形態のレンズ駆動装置100は、CDを再生する場合は、グレーティング43を通過させてCDのトラッキング制御に適した3ビーム法によりトラッキングエラー信号を生成し、DVDを再生する場合は、DVDのトラッキング制御に適した位相差法によりトラッキングエラー信号を生成するように構成している。以下、これらの構成を説明する。
【0022】
モジュール70は、内部が中空に樹脂成形されたボトムケース40に後述する複数の半導体発光素子等が収容された出射部55と、該出射部55と同様に内部が中空に樹脂成形されたトップケース56に半導体受光素子等が収容された受光部65とで構成されている。以下、モジュール70の各構成部品について構造を説明する。
【0023】
図3は、出射部55の内部展開図である。出射部55は、図3に示すように筐体の一部となるボトムケース40の内部底面に波長780nmの光ビームを出射する第1発光素子41と、波長650nmの光ビームを出射する第2発光素子42と、第1発光素子41から出射された光ビームからトラッキングエラー生成用の一対のサブビームを生成するグレーティング43と、ビームスプリッタ44と、反射ミラー45を収容して構成されている。
【0024】
ボトムケース40は、導電性の優れた金属板に半導体チップ用の固定フレーム46や電極フレーム47を複数打ち抜き形成したフープ材と一体に樹脂成形して形成されている。ボトムケース40は、内部底面に固定フレーム46や電極フレーム47が露出されて成形されており、固定フレーム46や電極フレーム47の一方端が端子48として外部に引出された構造になっている。
【0025】
また、ボトムケース40は、一方の外部側面に円弧状の突起49を形成すると共に、他方の側面に円環状ガイド部50を設け、該円環状ガイド部50の開口窓50aを覆うように円盤状のカバーガラス51が嵌め込まれている。上記円弧状の突起49の中心軸と円環状ガイド部50の中心軸を結ぶ軸線は、後述する光学部品の光軸と一致するように形成されている。また、ボトムケース40は、円弧状の突起49の中心軸と円環状ガイド部50の中心軸を結ぶ軸線から離れた外壁角の一部に当接面52を設けている。係る当接面52は、光軸を中心にモジュール70に回転を与えるために設けられたものであり、ボトムケース40の底面に対して傾斜した面で形成されている。
【0026】
出射部55は、第1発光素子41及び第2発光素子42の各半導体チップをボトムケース40の内部底面に露出して成形された固定フレーム46上にダイボンディング等で固定され、各電極は電極フレーム47にワイヤボンディング等により接続された構成になっている。また、出射部55は、その他の光学部品であるグレーティング43、ビームスプリッタ44、反射ミラー等を所定の位置に配置した構成になっている。出射部55は、各端子48に外部より電源が供給されることで、第1発光素子41又は第2発光素子42の何れか一方のみを単独で発光され、グレーティング43及びビームスプリッタ44を介して円環状ガイド部50の中心から光ビームを放射するように構成されている。
【0027】
次に、受光部65の構造について図4を用いて説明する。
【0028】
図4に示すように受光部65は、筐体の一部となるトップケース56の内部底面に受光素子57とモニタPD58を収容している。トップケース56は、ボトムケース40と同様に導電性の優れた金属板に半導体チップ用の固定フレーム59や電極フレーム60を複数打ち抜き形成したフープ材と一体に樹脂成形して形成されている。トップケース56は、内部底面に固定フレーム59と電極フレーム60が露出された状態で成形され、一方端が端子61として外部に引出された構造になっている。
【0029】
受光部65は、受光素子57及びモニタPD58の半導体チップを固定フレーム59上にダイボンディング等で固定され、各電源及び出力電極は電極フレーム60にワイヤボンディング等で接続された構成になっている。従って、電源の供給や受光素子57及びモニタPD58の出力信号の検出は、端子61を介して行なわれる。
【0030】
モジュール70は、図5に示すように出射部55と、受光部65とを光学部品を内側にして接合して、接着剤等で接着して構成される。上述したようにモジュール70は、波長の異なる光ビームを発射する2つの発光素子41、42や、グレーティング43、ビームスプリッタ44、受光素子57等の光学部品を単一の樹脂筐体内にパッケージしたものであり、性能が管理された1つの光学部品として取り扱うことができるように構成されている。
【0031】
次に、本実施形態によるレンズ駆動装置100の光学部品全体の光路とモジュール70の光路を図6乃至図8を用いて説明する。尚、図6はレンズ駆動装置100の光学部品全体の光路を示し、図7は出射部55の光路を、図8は出射部55から受光部65に至る光路を示した。
【0032】
出射部55において、第1発光素子41から出射された第1光ビームは、図7に示すようにグレーティング43を通過して、ビームスプリッタ44の一方の主面から一旦入射した後、ビームスプリッタ44の裏面で反射して再び主面から円環状ガイド部50の中心軸に向かう光路となる。また、第2発光素子42から出射された第2光ビームは、ビームスプリッタ44の他方の主面から一旦入射した後、ビームスプリッタ44の裏面で反射して再び主面から円環状ガイド部50の中心軸に向かう光路となる。ビームスプリッタ44は、第1光ビームがビームスプリッタ44の裏面で反射して円環状ガイド部50の中心軸に向かう光路と、第2光ビームがビームスプリッタ44の裏面で反射して円環状ガイド部50の中心軸に向かう光路を同一にするため、第1発光素子41と第1発光素子42に対して傾斜の異なる2つの主面を有した構造になっている。このように構成することで、第1及び第2光ビームの光軸とモジュール70の軸線を一致させることが可能となる。
【0033】
モジュール70から出射された第1光ビーム又は第2光ビームは、図6に示すように光ビームを平行光に変換するコリメータレンズ28を通過して立上げミラー29により対物レンズ19に向かう光路となる。立上げミラー29で反射された第1光ビーム又は第2光ビームは、対物レンズ19で集束され、ディスク1の情報記録面上にビームスポットを形成する。
【0034】
また、ディスク1の情報記録面で反射された第1光ビーム又は第2光ビームは、対物レンズ19、立上げミラー29、コリメータレンズ28を経てモジュール70を構成する円環状ガイド部50の中心軸に入射する。モジュール70に入射された第1光ビーム又は第2光ビームは、ビームスプリッタ44を透過し、反射ミラー45で反射されて、図8に示すように受光素子57に照射される。上記ビームスプリッタ44は、出射部55からディスク1に向かう往路ビームと、ディスク1から受光部65に向かう復路ビームを分岐する役目を担っている。
【0035】
受光素子57は、第1発光素子41が駆動された時は、3ビーム法に基づく演算処理がなされ、第2発光素子42が駆動された場合は、位相差法に基づく演算処理がなされる。そして、受光素子57は、トラッキングエラー信号とフォーカスエラー信号及びRF信号を出力する。また、モニタPD58は、第1発光素子41及び第2発光素子42の光ビームの出射強度を検出して出力する。レンズ駆動装置100は、モニタPD58から出力される検出レベルに基づき第1及び第2発光素子41、42の出射強度の制御を行う。
【0036】
本実施形態のレンズ駆動装置100は、3ビーム法におけるサブビームの相対位置の初期調整としてグレーティング調整が行われる。係るグレーティング調整及びグレーティング調整機構について図9乃至図15を用いて以下に説明する。
【0037】
既に、図7を用いて説明したように、第1発光素子41から出射された第1光ビームは、グレーティング43を通過することで一対のサブビームが生成され、ビームスプリッタ44で反射されて円環状ガイド部50の中心軸から3ビームが出射される。係る3ビームは、コリメータレンズ28、立上げミラー29、対物レンズ19を経てディスク1上の情報トラック2にビームスポットを形成する。レンズ駆動装置100は、図9に示すようにディスク1の情報トラック2の中央にメインビームMを形成し、2つのサブビームS1、S2を、その並び方向が追従すべき情報トラックの接線方向に対して所定の角度(図中θで示す角度)傾いた状態で情報記録面に照射する。
【0038】
上述したようにモジュール70は、円環状ガイド部50の中心軸と突起49の中心軸を結ぶ軸線を中心に回転自在に保持されている。また、モジュール70は、光軸と軸線が一致するように構成されている。従って、レンズ駆動装置100は、モジュール70を軸線中心に回転(図中矢印Rで示す)することで、2つのサブビームS1、S2のビームスポットを、その並び方向が追従すべき情報トラックの接線方向に対する所定角度(θ)から更にプラス・マイナス方向に所定角度回転させることが可能となる。つまり、レンズ駆動装置100は、メインビームMを情報トラック2の中央に固定したままで2つのサブビームS1、S2のビームスポット位置だけを回転するグレーティング調整が可能となる。また、本実施形態のレンズ駆動装置100は、DVDの記録・再生が行われる際に位相差法によりトラッキングエラー信号を生成するように構成しているので、CDに対して最適となるグレーティング調整が行われてもDVDの記録・再生時に影響を与えることが無い。
【0039】
次に、図10乃至図15を用いてモジュール70のグレーティング調整機構に付いて説明する。図10、12、14は、スライドカム部材62付近のキャリジボディ80の一部断面図である。また、図11、13、15は、円環状ガイド部50側から見た時のモジュール70の平面図である。尚、図10、12、14に示す断面図は、図2に示したキャリジボディ80のA−A部分を示している。
【0040】
図10に示すようにスライドカム部材62は、一部を折り曲げて強度を持たせた金属平板であり、モジュール70の当接面52に当接するカム面63とグレーティング調整部材であるマイナスドライバ98等を挿入する凹状の調整孔64を設けている。スライドカム部材62は、キャリジボディ80の摺動溝83に挿入された後、モジュール70の当接面52がスライドカム部材62のカム面63上に載置される。これにより、スライドカム部材62は、キャリジボディ80の摺動溝83と当接面52に挟まれ転倒或いは脱落することがない。また、スライドカム部材62は、軸線を含む面に対して平行に直線移動が可能である。また、カム面63は、上記直線方向に対して傾斜している。
【0041】
モジュール70は、調整孔64に対してマイナスドライバ98を垂直に挿入できる位置を傾きゼロの初期位置として構成されている。レンズ駆動装置100は、通常スライドカム部材62を初期位置にしてモジュール70を装着するようにしている。従って、モジュール70は、当初は図11に示すように傾きがゼロの状態でキャリジボディ80に固定されている。
【0042】
図12は、調整孔64に挿入したマイナスドライバ98を右方向に回転した場合の例を示したものである。スライドカム部材62は、図中矢印の方向に移動される。モジュール70の当接面52は、スライドカム部材62のカム面63に沿って下方に移動する。モジュール70は、図13に示すように初期位置に対して例えば約−2度程傾いた状態で固定される。従って、レンズ駆動装置100は、2つのサブビームS1、S2のビームスポットを、その並び方向が追従すべき情報トラックの接線方向に対する所定角度(θ)から約−2度回転させた位置に形成することが可能となる。
【0043】
また、図14は、調整孔64に挿入したマイナスドライバ98を左方向に回転した場合の例を示したものである。スライドカム部材62は、図中矢印の方向に移動される。モジュール70の当接面52は、スライドカム部材62のカム面63に沿って上方に移動する。モジュール70は、図15に示すように初期位置に対して例えば約+4度程傾いた状態で固定される。従って、レンズ駆動装置100は、2つのサブビームS1、S2のビームスポットを、その並び方向が追従すべき情報トラックの接線方向に対する所定角度(θ)から約+4度回転させた位置に形成することが可能となる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のレンズ駆動装置100は、モジュール70をキャリジボディ80に対してモジュールプレート84で固定し、モジュール70の当接面52がスライドカム部材62のカム面63上に当接して支持されるようにしている。スライドカム部材62は、摺動溝83の内部に挿入され、カム面63上にモジュール70の当接面52が支持され、接触抵抗が大きい状態で保持されている。従って、本実施形態のレンズ駆動装置100は、グレーティング調整が行われた後にグレーティング調整機構を固定する必要がない。また、スライドカム62部材はグレーティング調整の回転中心線であるモジュール70の軸線を含む面に対して平行に直線移動可能であるので、グレーティング調整に要するスライドカム部材62の移動許容スペースをモジュール70の厚み幅内に集約化することができ、全体の小型化に寄与することができる。
【0045】
次に、本実施形態のレンズ駆動装置100に用いられるアクチュエータ部30の構成を図16乃至図21を用いて説明する。図16はアクチュエータ部30の外形斜視図、図17はプリント基板コイル15の平面図、図18はマグネット25の外形斜視図、図19はマグネット25を固着したアクチュエータベース26の外形斜視図、図20はヨーク部27に固着されたマグネット25とプリント基板コイル15の位置関係を示す一部断面図、図21はマグネット25とプリント基板コイル15の位置関係を示す平面図である。
【0046】
アクチュエータ部30は、図16に示すように可動部20がサスペンションベース21に固定された4本の棒状弾性部材22a、22b、23a、23bで移動可能に支持された構造をしている。可動部20は、対物レンズ19が固定されたレンズホルダ16とプリント基板コイル15とで構成されている。レンズホルダ16は、樹脂成形された略方形部材であり、一方端に対物レンズ19用の取付孔18が設けられ、中央に方形の開口部17が形成されている。係る開口部17は、略中央にプリント基板コイル15が装着されると共に、その開口内部において該プリント基板コイル15の両側に一対のマグネット25を離間配置するために設けられている。
【0047】
レンズホルダ16及びサスペンションベース21は、樹脂成形される際に4本の棒状弾性部材22a、22b、23a、23bと一体に成形される。4本の棒状弾性部材22a、22b、23a、23bの一方端は、サスペンションベース21の側面から引出され、プリント基板コイル15に対するトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号供給用端子として用いられる。また、4本の棒状弾性部材22a、22b、23a、23bの他方端は、レンズホルダ16の内部に渡って設けられレンズホルダ16の開口部17に装着されるプリント基板コイル15と接続される。
【0048】
アクチュエータ部30を構成するプリント基板コイル15は、図17に示すように単一平面基板である両面銅張積層基板10上に複数のコイルをプリントしてエッチング形成したものである。プリント基板コイル15は、一方の銅箔面の略中央にフォーカスコイル14を形成すると共に、該フォーカスコイル14の右側に隣接して2つのトラッキングコイル11a、11dと、フォーカスコイル14の左側に隣接して2つのトラッキングコイル11b、11cが設けられている。つまり、4つのトラッキングコイル11a〜11dは、フォーカス方向に配列された上下2個のコイルからなる組を2組有すると共に、該2組がトラッキング方向に配列して構成されている。また、プリント基板コイル15は、両面銅張積層基板10の外周縁部に2つのトラッキング入出力端子部12a、12bと2つのフォーカス入力端子部13a、13bを設けている。
【0049】
トラッキング入力端子部12aに接続されたトラッキングAコイル11aは、左回りで外周から内周に渦巻き状にコイルが形成され、図示しないスルホール及び銅箔パターンを介してトラッキングBコイル11bに接続されている。トラッキングBコイル11bは、右回りで内周から外周にコイルが形成されると共に、トラッキングCコイル11cに接続されている。トラッキングCコイル11cは、左回りで外周から内周にコイルが形成され、図示しないスルホール及び銅箔パターンを介してトラッキングDコイル11dに接続されている。トラッキングDコイル11dは、右回りで内周から外周にコイルが形成され、トラッキング出力端子部12bに接続される。
【0050】
従って、プリント基板コイル15を構成する4つのトラッキングコイル11a〜11dは、トラッキング入出力端子部12a、12bに対して直列接続されている。従って、例えば、トラッキング入力端子部12aにプラス電圧が供給され、トラッキング出力端子部12bにマイナス電圧が供給されたとすれば、4つのトラッキングコイル11a〜11dは、図中矢印で示す方向の電流が流れるように構成されている。
【0051】
また、プリント基板コイル15を構成するフォーカスコイル14は、2組のトラッキングコイルの間に配置された単一のコイルである。フォーカス入力端子部13aに接続されたフォーカスコイル14は、左回りで外周から内周に渦巻き状にコイルが形成され、スルホールを介してフォーカス出力端子部13bに接続されている。フォーカスコイル14は、フォーカス入出力端子部13a、13bに対して直列接続され、フォーカス入力端子部13aにプラスの電圧が供給され、フォーカス出力端子部13bにマイナスの電圧が供給されると、図中矢印で示す方向の電流が流れるように構成されている。
【0052】
プリント基板コイル15は、レンズホルダ16に形成された開口部17の所定の位置に装着される。この時、プリント基板コイル15の2組のコイルは、可動部20の重心に対して対称となる位置に配置される。レンズホルダ16は、上述したように4本の棒状弾性部材22a、22b、23a、23bと一体に成形されている。4本の棒状弾性部材22a、22b、23a、23bの端部は、レンズホルダ16の表面に一部露出して形成されており、開口部17に装着されるプリント基板コイル15の各端子部12a、12b、13a、13bと半田付けして接続される。
【0053】
プリント基板コイル15のトラッキング入出力端子部12a、12bは、2本の棒状弾性部材22a、22bに半田付けされ、プリント基板コイル15のフォーカス入出力端子部13a、13bは、2本の棒状弾性部材23a、23bに夫々半田付けされる。従って、プリント基板コイル15は、2本の棒状弾性部材22a、22bからトラッキングエラー信号が供給されると4つのトラッキングコイル11a〜11dにトラッキング駆動電流が流れ、2本の棒状弾性部材23a、23bにフォーカスエラー信号が供給されると、フォーカスコイル14にフォーカス駆動電流が流れるように構成されている。そして、プリント基板コイル15は、アクチュエータ部30がキャリジボディ80に装着されることで一対のマグネット24の間の空隙に配置される。
【0054】
次に、アクチュエータ部30を構成するマグネット25の構造について図18を用いて説明する。マグネット25は、図18に示すように両極着磁された台形状の小マグネット24を2つ密着させて構成したものである。小マグネット24は、底面部24aと、底面部24aよりも幅の狭い天面部24bと、2つの略45度傾斜した傾斜部24cとで構成される台形状に形成されている。マグネット25は、小マグネット24の天面部24b上に別の小マグネット24を逆さにして天面部24b同士を密着させ、且つ異なる磁極面が同一面上に配置するように構成したものである。
【0055】
マグネット25は、図19示すようにアクチュエータベース26の一部をL状に折り曲げて離間形成した2つのヨーク部27に夫々接着剤等で固定される。この時、対向する小マグネット24の磁極が異なるようにするため、一方のマグネット25を反転してヨーク部27に固定するようにしている。このマグネット25の極性の配置について図20を用いて説明する。
【0056】
図20は、ヨーク部27に固定されたマグネット25とプリント基板コイル15の位置関係を示した側面図である。図20に示すようにマグネット25は、プリント基板コイル15と対向する小マグネット24の極性が互いに異なるように配置すると共に、対向する小マグネット24の極性が異なるように配置している。このように配置することにより一方の小マグネット24からプリント基板コイル15を通過して対向する他方の小マグネット24に到達する磁束(図中点線矢印で示す)が形成される。また、上に配置された小マグネット24からプリント基板コイル15を通過して下に配置された小マグネット24に到達する磁束が形成される。従って、一対のマグネット25は、プリント基板コイル15のトラッキングコイル11及びフォーカスコイル14に対して強い磁束を与えることができる。
【0057】
図21は、マグネット25とプリント基板コイル15の位置(初期位置)関係を示した平面図である。図21に示すようにマグネット25を構成する小マグネット24の底面部24aの幅は、4つのトラッキングコイル11a〜11dの略中心付近まで覆うように形成されている。また、小マグネット24の天面部24bの幅は、フォーカスコイル14のトラッキング方向の幅とほぼ同一に形成されている。また、小マグネット24の傾斜部24cは、各トラッキングコイル11a〜11dの中心を通る略45度の中心線と重なるように形成されている。
【0058】
磁気回路であるマグネット25は、図21に示すように上方に配置される2個のトラッキングコイル11a、11bと下方に配置される2個のトラッキングコイル11c、11dに対して、ジッタ方向(対向する一対のマグネット25の配列方向、図8中においては紙面に垂直な方向)に沿った互いに反対向きの磁束を付与すると共に、フォーカスコイル14の上部と下部に反対向きの磁束を付与するように構成している。また、マグネット25は、上下2個のトラッキングコイル11a、11d及び11b、11cの隣接部に対して磁束を与えないように構成している。レンズ駆動装置100は、このようなマグネット25を採用することで、後述するプリント基板コイル15に作用する回転駆動力を抑制するようにしている。
【0059】
次に、プリント基板コイル15に発生する回転駆動力の動作を図22乃至図25を用いて説明する。プリント基板コイル15の動作を説明するに際し、回転駆動力の発生を数値化して表すため、マグネット25及び4つのトラッキングコイル11a〜11dを数値化し易い形状で示すことにする。つまり、4つのトラッキングコイル11a〜11dの各部分における駆動力(磁束の向きとコイルに流れる電流の向きにより発生するコイルの一部の駆動力)を明確にするため、図9に示すようにコイルを正方形で示している。正方形のコイル四隅部分は、プリント基板コイル15のトラッキング方向に生じる駆動力と、フォーカス方向に生じる駆動力の境目であり、この部分を斜線(図中(イ))で示し、明確に分離して考えるものとする。また、プリント基板コイル15に発生する回転駆動力の抑制効果を明確にするため、比較例としてマグネット25を方形状のマグネット28に置き換えた場合の回転駆動力と併せて説明することにする。
【0060】
図22において、マグネット25が図に示す極性を有し、トラッキングコイル11a〜トラッキングコイル11dに図中点線矢印で示す方向に駆動電流が流れると仮定すれば、各トラッキングコイル11a〜11dのP、Q、R、Sの領域から発生する駆動力はトラッキング方向の同じ向きに沿った力(図22においては紙面左方向)となり、この合成力が本来のトラッキング駆動力となる。ところが、トラッキングコイル11a〜11dは上述したP、Q、R、S以外の領域もマグネット25に対面し磁束が付与されるため、この領域からも駆動力が発生する。
【0061】
図22において、トラッキングコイル11aのA部分に矢印で示すフォーカス方向の駆動力が発生する。ここで、トラッキングコイル11aのA部分の面積は、1つの正方形と1つの直角三角形で示すことができるので、正方形の部分を「1」、直角三角形の部分を「0.5」とすれば、「1.5」と数値化することが可能である。また、トラッキングコイル11aのA部分に発生する駆動力は、フォーカス方向上向き方向に発生するので、これを上向きの矢印で示すと共に、上記数値化と併せて「+1.5」と示すことにする。
【0062】
同様の方法で、各トラッキングコイル11の駆動力を求めると、トラッキングコイル11bのC部分の駆動力は「−1.5」、トラッキングコイル11cのF部分の駆動力は「+1.5」、トラッキングコイル11dのH部分の駆動力は「−1.5」となる。トラッキングコイル11aのA部分に発生する駆動力とトラッキングコイル11dのH部分に発生する駆動力は、大きさが同じで方向が逆であるため、互いに打ち消しが行われる。同様に、トラッキングコイル11bのC部分には発生する駆動力とトラッキングコイル11cのF部分に発生する駆動力は、大きさが同じで方向が逆であるため、互いに打ち消しが行われる。従って、トラッキングコイル11a〜11dの各々はフォーカス方向の駆動力は発生しないものとなり、よってプリント基板コイル15は、回転駆動力が発生しない。
【0063】
次に、比較例としてマグネット25を方形状のマグネット28に置き換えた場合について、図23を用いて説明する。図23に示すように、方形状のマグネット28を用いた場合の各トラッキングコイル11に発生するフォーカス方向の駆動力は、台形状のマグネット25を用いた場合に比較して、トラッキングコイル11aのB部分、トラッキングコイル11bのD部分、トラッキングコイル11cのE部分、トラッキングコイル11dのG部分に新たに発生する。上記同様に、各トラッキングコイル11a〜11dの駆動力を求めてこれらを比較すると、トラッキングコイル11a〜11dの各部分のフォーカス方向の駆動力は、大きさが同じで方向が逆の駆動力を発生するのでトラッキングコイル11a〜11dの各々の内部で互いに打ち消しが行われる。従って、プリント基板コイル15は、回転駆動力が発生しない。
【0064】
次に、図24に示すようにプリント基板コイル15を初期位置に対してフォーカス方向上方に移動させた場合の比較例について説明する。この場合は、トラッキングコイル11cのE部分とトラッキングコイル11dのG部分がマグネット28のN極からの磁束の影響を受ける状態となる。上記同様に、各駆動力を求める。トラッキングコイル11a及びトラッキングコイル11bは、初期位置にある場合と同様にフォーカス方向の駆動力が発生しない。
【0065】
一方、トラッキングコイル11cは、E部分がN極からの磁束により「+1.5」の駆動力を発生し、F部分が「+1.5」の駆動力を発生するため合成されて「+3.0」のフォーカス方向の駆動力(図中白抜矢印で示す)を発生する。また、トラッキングコイル11dは、G部分がN極からの磁束により「−1.5」の駆動力を発生し、H部分が「−1.5」の駆動力を発生するため合成されて「−3.0」のフォーカス方向の駆動力(図中白抜矢印で示す)を発生する。従って、プリント基板コイル15は、これら2つの重心に対称的なフォーカス方向の駆動力によって右方向の回転モーメント力が発生する。この回転モーメント力は、合成駆動力「3.0」に比例した大きさとなる。
【0066】
次に、図25に示す本実施形態の場合に付いて説明する。上記同様にプリント基板コイル15を初期位置に対して上方に移動させた状態を示している。トラッキングコイル11aのB部分は、マグネット25の傾斜部24cによりN極から磁束を受ける面積が狭められ、磁束の影響が受け難くなっている。トラッキングコイル11aのB部分は、2つの直角三角形で示す領域なので、「−1.0」のフォーカス方向の駆動力を発生する。同様に、トラッキングコイル11bのD部分は、「+1.0」の駆動力を発生する。
【0067】
一方、トラッキングコイル11cのE部分は、マグネット25のN極の磁束を受ける面積がほとんど無いので発生する駆動力は非常に小さい。これは、トラッキングコイル11dのG部分も同様である。ここで4個のトラッキングコイル11a〜11dから発生するフォーカス方向の駆動力の合成を考えると、トラッキングコイル11aのA部分の駆動力とトラッキングコイル11dのH部分の駆動力は、同じ大きさで方向が逆なので互いに打ち消し合う。また、トラッキングコイル11bのC部分の駆動力とトラッキングCコイル11cのF部分の駆動力は、同じ大きさで方向が逆なので互いに打ち消し合う。従って、トラッキングコイル11aのB部分のフォーカス方向駆動力「−1.0」とトラッキングコイル11bのD部分のフォーカス方向駆動力「+1.0」が残り、プリント基板コイル15には、これら2つの重心に対称的なフォーカス方向の駆動力によって右方向の回転モーメント力が発生する。この回転モーメント力は、合成駆動力「1.0」に比例した大きさとなるが、これは比較例と比較して略1/3であり、回転モーメント力が大幅に抑制されたことを示すものである。
【0068】
以上説明したように、本発明の実施形態によるレンズ駆動装置100は、アクチュエータ部30を構成するマグネット25に両極着磁された台形状の小マグネット24を2つ密着させて構成したものを採用している。プリント基板コイル15を構成する組となる上下2個のトラッキングコイルは、小マグネット24の傾斜部24cと対向する位置に配置されるので、上下2個のトラッキングコイルの隣接部(図中B部、D部、E部、G部)に対して磁束の影響が受け難くなり、回転駆動力を大幅に抑圧することができる。また、アクチュエータ部30は、1枚のプリント基板コイル15と一対のマグネット25で構成され、部品点数を増やすことなく回転駆動力を抑圧することが可能となる。
【0069】
尚、本発明のアクチュエータ部30を構成するマグネット25は、略45度の傾斜部24cを有する台形状の小マグネット24を2個組み合わせて構成したが傾斜部24cの傾斜角度に限定されるものではなく、例えば、マグネットが隣り合う磁極の接合部分周辺においてコの字状の欠落部を有する構成のように、上下2個のトラッキングコイルの隣接部分に対して磁束を付与しない構成であれば、如何なる形態であってもよい。また、上述のように本願は、初期位置においてトラッキングコイルの隣接部に磁束を与えないようにマグネットを構成することで、トラッキングコイルがフォーカス方向に移動したときにでもトラッキングコイルの隣接部が受ける磁束を低減させ、トラッキングコイルに発生する回転駆動力を抑制するものである。そして、上述の実施例では初期位置においてトラッキングコイルの隣接部に磁束を与えない例を示したが、本願の変形例としてトラッキングコイルの隣接部に与える磁束をトラッキングコイルの他の部分に与える磁束に比べ、少なくするようなマグネットで構成しても良い。具体的にはマグネット28のような方形状のマグネットに、マグネット25の形状のような着磁を行なう。それにより、そのマグネットは着磁を行なわなかったトラッキングコイルの隣接部に相当する部分も、着磁を行なった箇所の影響により、着磁を行なった箇所より弱いながらも磁束を発生することになる。これにより、初期位置においてトラッキングコイルの隣接部に相当する部分が他の部分に比べ磁束が少ないマグネットが構成される。この構成でも上述の実施例と同様の原理によりトラッキングコイルに発生する回転駆動力を低減することが可能となる。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、新たに部品を追加することなく簡単な構造で可動部の回転モーメント力を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態によるレンズ駆動装置の構成展開図。
【図2】本実施形態によるレンズ駆動装置のモジュールプレートとアクチュエータカバーの構成展開図。
【図3】モジュールを構成する発光部の内部展開図。
【図4】モジュールを構成する光検出部の内部展開図。
【図5】モジュールの外形斜視図。
【図6】レンズ駆動装置全体の光路を示す図。
【図7】発光部の光路を示す図。
【図8】発光部から光検出部に至る光路を示した図。
【図9】3ビームと情報トラックの関係を示す図。
【図10】モジュールのグレーティング調整の方法を説明するのに用いた図。
【図11】モジュールのグレーティング調整の方法を説明するのに用いた図。
【図12】モジュールのグレーティング調整の方法を説明するのに用いた図。
【図13】モジュールのグレーティング調整の方法を説明するのに用いた図。
【図14】モジュールのグレーティング調整の方法を説明するのに用いた図。
【図15】モジュールのグレーティング調整の方法を説明するのに用いた図。
【図16】アクチュエータ部の外形斜視図。
【図17】プリント基板コイルの平面図。
【図18】マグネットの外形斜視図。
【図19】アクチュエータベースのヨーク部に固定されたマグネットの外形斜視図。
【図20】ヨーク部に固定されたマグネットとプリント基板コイルの側面図。
【図21】マグネットとプリント基板コイルの位置関係を示す平面図。
【図22】プリント基板コイルに発生する回転駆動力の動作を説明するのに用いた図。
【図23】プリント基板コイルに発生する回転駆動力の動作を説明するのに用いた図。
【図24】プリント基板コイルに発生する回転駆動力の動作を説明するのに用いた図。
【図25】プリント基板コイルに発生する回転駆動力の動作を説明するのに用いた図。
【符号の説明】
15・・・プリント基板コイル
19・・・対物レンズ
20・・・可動部
25・・・マグネット
26・・・アクチュエータベース
27・・・ヨーク部
28・・・コリメータレンズ
29・・・立上げミラー
30・・・アクチュエータ部
49・・・突起
50・・・円環状ガイド部
52・・・当接面
62・・・スライドカム部材
80・・・キャリジボディ
82a・・円弧状支持部
82b・・椀状支持部
83・・・摺動溝
100・・レンズ駆動装置
Claims (5)
- フォーカスコイル、トラッキングコイル、対物レンズ、及びレンズホルダを備えるアクチュエータ部と、
前記フォーカスコイル及び前記トラッキングコイルに磁束を付与する磁気回路と、
を有し、
前記アクチュエータ部をフォーカス方向及びトラッキング方向に駆動するレンズ駆動装置であって、
前記トラッキングコイルは、フォーカス方向に隣接して配列された2個のコイルからなる組を2組有し、当該2組は、前記フォーカスコイルのトラッキング方向両側縁部にそれぞれ隣接して配置され、
前記磁気回路は、一方のフォーカス方向に配置される2個のコイルと他方のフォーカス方向に配置される2個のコイルとに対してジッタ方向に沿った互いに反対向きの磁束を付与する2つの磁極面が互いに接合するよう形成され、
前記アクチュエータ部が中立位置にある状態において、
前記磁極面の接合位置は、そのフォーカス方向の位置が前記2個のコイルの隣接部の位置に等しく、
当該磁極面は、
前記フォーカスコイルの幅と略同一であり前記接合位置に位置する天面部と、前記天面部の両端部から前記コイルの略中心に延設された一対の傾斜部とから形成される台形状磁極面と、
トラッキング方向に前記2個のコイルの略中心までを覆う幅を有し、フォーカス方向に前記2個のコイルの略中心から前記フォーカスコイルのフォーカス方向側縁部までを覆う幅を有する方形状磁極面と
から構成されることを特徴とするレンズ駆動装置。 - 前記磁気回路は、方形状の部材に前記磁極面が形成されていることを特徴する請求項1に記載のレンズ駆動装置。
- 前記2組は、前記アクチュエータ部の重心に対して対称に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズ駆動装置。
- 前記フォーカスコイルは単一のコイルであり、前記磁気回路は前記フォーカスコイルの上部と下部に反対向きの磁束を付与することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載のレンズ駆動装置。
- 前記フォーカスコイル及びトラッキングコイルは単一の平面基板上にプリントされたプリント基板コイルであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載のレンズ駆動装置。
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