JP3923447B2 - 板材のエッチング用治具およびエッチング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、板状のスパッタリング用ターゲット(以下、「ターゲット材」という)をはじめ、オリエンテーションフラット付き(以下、「OF付き」という)のウェーハを含む各種のウェーハ等にも適用できるエッチング用治具およびその治具を用いるエッチング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
板状のターゲット材や各種のウェーハ等(これらを、以下「板材」というが、通称に従い「ワーク」ともいう)は、例えばシリコン等の単結晶インゴットから、切断、研削、ラッピング等の機械加工を経て成形される。
【0003】
加工が終了したターゲット材等の板材(ワーク)は、その表面の加工変質層(加工ダメージ層)や、汚れを除去するためにエッチング処理を施される。エッチングは、通常、専用の治具に保持された複数枚のワークを治具とともにエッチング液に浸漬することにより行われる。これにより、ワークの表面および側面がエッチングされ、表面の汚れ、加工ダメージや歪みが除去される。
【0004】
このとき使用されるエッチング用治具としては、バスケットタイプ(溝タイプ)のものや、一定間隔でワークを設置するための多数の溝が形成された支持部を備えるタイプ(櫛歯タイプ)のものが主流である。
【0005】
図9は、従来使用されているエッチング用治具例とワークの保持状態を示す概略外観図で、(a)は溝タイプの治具例、(b)はそのときのワークの保持状態を示す図であり、(c)は櫛歯タイプの治具例、(d)はそのときのワークの保持状態を示す図である。
【0006】
図9(a)に示したように、溝タイプの治具8では、多数形成された溝9のそれぞれにワークが保持され、治具8ごとエッチング液中に浸漬される。
【0007】
一方、図9(c)に示した櫛歯タイプの治具10は、特許文献1に開示された治具で、ワークは、金属製の芯棒にフッ素系の樹脂をコーティングし、これに所定間隔の櫛歯状の溝11を多数形成した支持ロッド12の前記溝11に載置される。なお、この治具10は、一対の端板13、13の双方に、前記支持ロッド12の端部を挿通、移動可能とした長穴14が形成されているので、支持ロッド12の架設位置を変更してワーク載置部の大きさを変更することができ、一つの治具でサイズの異なるワークを扱うことができるという特徴を有している。
【0008】
また、特許文献2には、OF付きウェーハ用の治具として、軸線方向に多数の周溝が併設された複数個(5個以上)の溝付きローラがサイドプレート(端板)間に平行となるように掛け渡された構造を有する治具が提案されている。ウェーハを前記周溝によって保持し、治具ごとエッチング液中に浸漬して回転する。
【0009】
このように、従来の治具は、溝または櫛歯状の溝でワークを保持するように構成されているが、ワークを安定して保持するためには、溝探さを深くし、または櫛歯の丈を長く採ることが必要である。しかし、これらを大きくすると次のような問題が生じる。
【0010】
▲1▼ワークを直接保持する溝または櫛歯部分では、ワークが、他の部分に比べて過剰にエッチングされる。
【0011】
▲2▼エッチング処理後、液中から治具を取り出した場合にも、前記図9(b)に示すように、ワーク15と治具の溝9との隙間部分、または図9(d)に示すように、ワーク16と櫛歯状の溝11との隙間部分が狭いためにエッチング液が残留しやく、過剰エッチングされやすい。特に、閉塞部17ができて液の滞留が生じる櫛歯溝(図9(d)拡大図参照)では、この傾向が著しい。
【0012】
▲3▼一方、ワークと治具が直接接触している部分では、液の進入が少ないため、他の部分に比べてエッチング量が少なくなり、所定のエッチング量を確保できない。
【0013】
▲4▼さらに、複数枚のワークを同時にエッチングする場合、それぞれのワーク間の液の循環が十分ではないため、ワーク面内でのエッチングむらを生じる。
【0014】
▲5▼ワークを直接保持する溝または櫛歯の幅が固定されているため、保持するワークの厚さが限定される。
【0015】
ターゲット材の場合は、加工後の高い寸法精度、および表面状態(光沢等)の均一性が要求される。また、厚さがあるので、ワーク側面の寸法精度や表面状態の均一性も要求される。このため、前記のようにエッチング速度に差があると、部分的な寸法の差異を生じたり、規定のエッチング量を維持することができない。また、表面性状の不均一や、エッチング液成分が残留していると、スバッタ時のパーティクル発生の要因になる。
【0016】
これらの点を解決するため、OF付きウェーハ用の治具等では、前述の溝深さ、櫛歯の丈を極力小さくすることが行われているが、これをなくすことは、ワークの安定保持ができなくなるため不可能であり、保持部における液の残留や、ワーク間の液の循環が不十分であることによるエッチング速度の差を完全に除去することはできない。
【0017】
また、特許文献2では、ウェーハと治具との常時一定位置での接触を避けるために、駆動ローラでウェーハを回転させ、接触個所を一定としない方法が提案されているが、保持部分は櫛歯状で、図9(d)の拡大図に示したように、ワークと治具の接触部に閉塞された空間17ができるため、エッチング速度の差異抑制には不十分である。各ウェーハ間の液の循環の促進も考慮されておらず、治具の構造が複雑で、ウェーハを回転させるための駆動ローラを要する等、設備コストが高いという問題もある。
【0018】
【特許文献1】
特開平8−274051号公報
【特許文献2】
特開2000−21843号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、複数のワークの表裏面および側面を均一かつ効果的にエッチングすることができ、ワークと、治具との接触部におけるエッチングむらの発生を抑制できるエッチング用治具およびその治具を用いるエッチング方法を提供することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するために、ワーク外周部を保持する複数の保持部(これを、「保持部材」という)を有する台座でワークを挟み込む治具について検討を重ねた。その結果、前記保持部材の形状、台座への取り付け位置、保持方法等を工夫することにより、ワークの表裏面および側面を均一かつ効果的にエッチングできることを知見し、本発明をなすに至った。
【0021】
本発明の要旨は、下記(1)の板材のエッチング用治具、ならびに、(2)のその治具を用いる板材のエッチング方法、および(3)のその治具を用いるシリコン板材の洗浄方法にある。
【0022】
(1)板材をエッチングする際に板材を保持するためのエッチング用治具であって、板材を両面から保持する台座を2個以上有し、前記台座は、中央部が開口をなし、外周部に板材に接触する2個以上の保持部材を、板材を両面から保持したときに保持可能な位置に、かつ前記両面の台座の保持部材が対向しないように備え、前記保持部材は、板材に接触する部分が線状をなし、板材を保持する際の板材と保持部材との接触箇所が板材の平面部と側面部がなす外周角部のみである板材のエッチング用治具。
【0023】
前記の「台座」は、通常は板状のものが用いられるが、これに限定されず、棒状、管等であってもよい。その形状も、保持する板材に合わせて円形が普通であるが、例えば六角形、八角形などの多角形、その他の形状であってもよい。また、「保持部材」も、板状が普通であるが、板材を保持し得るものであれば、棒状、その他の形状であってもよい。
【0024】
この治具において、前記台座が、保持部材を表裏両面に備えるものであれば、コンパクトな治具で多数のワークを保持することができる。
【0025】
また、前記板材が、保持部材と板材との接触部分が固定されないように可動自在に保持されていれば、ワークと保持部材との接触部のエッチングむらを効果的に抑制できる。
【0026】
(2)前記(1)に記載のエッチング用治具を用いて板材を保持し、前記板材を保持した治具をエッチング液中で板材の周方向に回転させる板材のエッチング方法。
【0027】
(3)前記(1)に記載のエッチング用治具を用い、複数の台座を板材の厚さ方向に連結して、略円盤状の、厚さが2mm以上の複数のシリコン板材を保持し、前記板材を保持した治具を洗浄液中で板材の周方向に回転させるシリコン板材の洗浄方法。
【0028】
ここで、前記(1)に記載の「板材を両面から保持する」とは、溝や、櫛歯状の溝で保持するのではなく、台座で板材の表面および裏面から挟み込むようにして保持することをいう。「保持可能な位置に(保持部材を備える)」とは、板材を両面から保持したときに、保持できずに治具から脱落することがないような位置に保持部材が設けられていることを意味する。また、「両面の台座の保持部材が対向しないように」とは、板材を両面から台座で保持したときに、両面の台座の保持部材が板材を挟んで対向する位置に来ないように、ということを意味する。
【0029】
前記(3)に記載の「略円盤状」とは、円盤状または円盤に近い形状をいう。例えば、円周の一部に切れ込みがあるOF付きウェーハ等もこの「略円盤状」に含まれる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の板材のエッチング用治具、ならびに、その治具を用いる板材のエッチング方法およびシリコン板材の洗浄方法について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面では、台座、保持部材のいずれも板状で、台座は円形としているが、これに限定されない。
【0031】
図1は、本発明のエッチング用治具の主要構成要件である台座の一例の外観と板材(ワーク)の保持状態を模式的に示す図である。図示するように、台座1は、板状で、中央部が開口2をなし、外周部に2個以上(この例では、3個)の保持部材3を有している。中央部を開口2とするのは、ワークを両面から台座1で保持してエッチング液に浸漬したときに、液の流通を良好にするためである。保持部材3を2個以上とするのは、1個(もう一方の台座の保持部材を合わせても2個)ではワークの安定保持ができないからである。保持部材3とワーク4との接触箇所を減らすために、2個以上で極力少ないことが望ましい。なお、この例では、台座1は保持部材3を表裏両面に備えている。
【0032】
ワーク4は、その両面から台座1により挟み込まれた状態で保持される。すなわち、図1に示したように、下方の台座1上に載置されたワーク4の上に上方の台座1が白抜き矢印で示すように載置され、ワーク4は、下方の台座1の保持部材3には下端外周部を(後述の図4参照)、上方の台座1の保持部材3には上端外周部を接触させた状態で保持される。
【0033】
保持部材3は、ワーク4をその両面から保持したときに、保持可能な位置に、かつ両面の台座1の保持部材3が対向しないように設けられている。「保持可能な位置に」保持部材3を設けるのは、治具の使用時には、台座1を立てて、しかも回転させるので(後述の図6参照)、ワーク4が台座1から抜け落ちないようにする必要があるからである。例えば、ワークを挟む2個の台座のうちの一方の台座の保持部材が2個(保持部材の中心に対して対称位置にあるとする)で、他方の台座の保持部材が同じく2個(位置は任意とする)として、合計4個の保持部材でワークを保持する場合、前記一方の台座の保持部材の位置と前記他方の台座の保持部材の位置とが互い違いに(交互に)なっていなければ、治具の使用時に回転させるので、ワークは抜け落ちてしまう。
【0034】
また、「両面の台座の保持部材が対向しないように」保持部材3を設けるのは、対向すると、ワークと治具の接触部が隣接し、エッチング液が滞留および残留しやすく、過剰エッチングされやすいからである。
【0035】
図2は、ワークを両面から保持する台座と、そのそれぞれの保持部材の位置関係を示す図である。図示した例では、ワークの保持に同一形状の(すなわち、台座の形状、保持部材の取り付け位置や個数が同じ)2個の台座1a、1bが用いられ、保持部材3a、3bが対向しないように保持部材距離Aを設けてワークを保持している。保持部材距離Aは、10mm以上とするのが望ましい。保持部材3aが保持部材3bとそれに隣接する保持部材3cの中間位置に来るように台座1a、1bの位置を調整するのがより望ましい。
【0036】
図2に示したように、台座1a、1bは同じ形状とし、ワークと交互に積層させる(前記図1参照)。台座1a、1bの互いの角度(円周方向の位置関係)は、通常は、各々の保持部材が対向しない位置とするために、一方の台座の二つの保持部材(図2でいえば、台座1bの保持部材3b、3c)の中間位置に他方の台座の保持部材(台座1aの保持部材3a)が位置する角度となるように互いに位置決めされる。
【0037】
また、後述するように「保持部材と板材との接触部分が固定されないように可動自在に保持」するためには、台座同士の位置が一定に保たれる構造であることが望ましいが、例えば、台座1aの保持部材の先端部と台座1bとの接触部分を嵌め合わせ構造等にするのが合理的である。このような構造にすれば、前記台座の互いの角度(円周方向の位置関係)の保持も容易に行える。
【0038】
図3は、台座の上面図である。保持部材3は台座1の上面に等間隔で3個、台座1の下面の同じ位置に等間隔で3個設けられている。保持部材3は、台座1の表面に対して垂直で、台座1の中心から放射状に配置されているのが望ましい。さらに、図示するように、台座1の中心線5に対して一定の角度で配置されていれば、エッチングの際に液の流れが生じ、均一なエッチングが行われるので、より望ましい。すなわち、図示した例では、保持部材3がインペラ(羽根車)状をなしており、しかも前記角度が台座1の上面と下面で逆向きになっているので、エッチング液中で治具を回転させたときに、台座の外周から内部へ、また内部から外周への液の流れができ、ワークの表裏面の液が常時循環する。なお、前記一定の角度は、10〜65度が望ましい。その角度が小さすぎると液の循環作用が十分には得られず、角度が大きすぎるとワークを確実に保持することが難しくなるからである。
【0039】
前記保持部材は、ワークに接触する部分が線状、すなわち、直線状または曲線状をなしている。特に、ワークに対して凸となるような曲線状をなしている保持部材が望ましい。
【0040】
図4は、ワークと保持部材との接触状態を示す図である。この例では、保持部材3は、ワーク4に接触する部分がワークに対して凸の曲線状をなしている。図中のR1が30度を超え、その断面の厚さがワークを保持できる強度の範囲内で極力薄いものが望ましい。なお、図4に示すように、ワーク4と保持部材3との接触箇所は、ワーク4の平面部4aと側面部4bがなす外周角部(エッジ部)のみである。
【0041】
保持部材の断面形状については、例えば、図5(a)〜(c)に示すような形状があるが、(a)に示した形状の場合は、保持部材3の厚さTが5mm未満が望ましい。(b)または(c)に示した形状の場合でも、ワーク4との接触部における厚さTは5mm未満で、かつワーク4と保持部材3がなす角度R2が30度より大きい状態が望ましい。
【0042】
このように、ワークと治具の隙間の角度が大きくなると、エッチング液の滞留および残留が少なくなり、過剰エッチングやエッチング液の残留を抑制する効果が向上する。
【0043】
本発明のエッチング用治具は、対をなす槽取りつけ板の間に、前述した台座を2個以上有している。
【0044】
図6は、このエッチング用治具の全体構成例とワークの保持状態を模式的に示す図である。図6に示した例では、槽取りつけ板6、6の間に、ワーク4を両面から保持する台座1が複数枚取り付けられ、3本の貫通シャフト7で連結、固定されている。槽取りつけ板6は、エッチング槽や、洗浄に使用する場合には洗浄槽への取り付けに適した形状とすればよい。前述の構造を有したものを、ワークの取りつけ取り外しが容易になるように、例えば、上下に分割(半割)可能な形状としてもよい。なお、図示した例では、台座1の両面に保持部材3が設けられているので、台座1とワーク4を交互に配置することができ、治具をコンパクトに構成することが可能である。
【0045】
本発明のエッチング用治具で、ワークが、保持部材とワークとの接触部分が固定されないように可動自在に保持される場合には、可動自在に保持される範囲ならばワークの厚さが変わってもエッチング可能である。
【0046】
また、台座1同士の間隔を変更できる構造にしておけば、エッチングするワークの厚さが変更されても同じエッチング用治具を用いることができる。
【0047】
台座1同士の間隔を変更する方法としては、例えば、貫通シャフト7によって位置決めされる構造にして、貫通シャフト7を交換することにより台座1同士の間隔を変更できるようにしてもよいし、貫通シャフト7に沿った位置に位置決め部材を各シャフト7の外側からはめ込むことにより台座1同士の間隔を広げて固定するようにしてもよい。
【0048】
このように、本発明のエッチング用治具では、保持するワークの厚さが限定されることがない。
【0049】
図6に例示した槽取りつけ板6、6は必須ではない。例えば、台座1の外周部に複数本のフレーム(前記の貫通シャフト7を利用することも可能)を横に(台座1に直角またはそれに近い方向に)通してエッチング槽等に取り付け、治具全体を回転させてもよいし、前記の槽取りつけ板を「対」ではなく、片側だけとしてもよい。また、板に限定されず、枠などであってもよい。
【0050】
図6に示したようにワークを保持した治具を用いてエッチングを行うには、この治具をエッチング槽に浸漬し、ワークの周方向に回転させる。回転速度や回転の仕方に特に制約はない。エッチング効果等を考慮して適切な条件を採択すればよい。
【0051】
治具の材質は、エッチング液または洗浄液に侵食されない軟質の材料であればよい。構造上強度をもたせるため、ワークと接触する部分(保持部材)のみを軟質の材料とし、その他の部分は硬質の強度の高い材料を用いてもよい。
【0052】
本発明のエッチング用治具はこのように構成されているので、ワークは治具内に安定して支えられ、しかも、ワークと治具の接触部分は、従来の溝や櫛歯状の溝で保持する場合とは異なり、ワークのエッジ部を最小限の保持部材で保持するので、治具とワーク間に狭い隙間や閉塞部分を生じない。このため保持部分の過剰エッチングおよびエッチング液の残留の抑制効果が向上する。
【0053】
前記のエッチング用治具において、保持部材とワークとの接触部分が固定されないように可動自在に保持されていれば、ワークと保持部材との接触部のエッチングむらを抑制する効果を一層高めることができる。
【0054】
図7は、ワークを可動自在に保持する場合の保持状態を模式的に示す図である。図示するように、ワーク4は2個の台座1a、1bの間に挟まれ、保持部材3a、3bにより保持されているが、可動自在に保持するためには、治具設計上のワーク保持径R3がワーク径R4より大きく、治具内径R5がワーク径R4より小さくなるようにする。すなわち、
R5<R4<R3
の関係を満たすように、台座を設計する。これにより、ワークは治具で囲われ、治具から脱落したり、横に倒れて、隣接して保持されているワークと干渉することなく、治具内で一定の自由度を持つこととなる。
【0055】
このようにワークが保持された治具をエッチング液中に浸漬し、治具をワークの周方向に回転させると、図8に示すように、治具の回転に伴ってワーク4も回転するが、ワーク4は治具内(前記治具設計上のワーク保持径R3内)で一定の自由度をもっており、治具の回転中心Cに対してワーク4の中心Cwがずれるので、ワークと治具間に回転差が生じる。その結果、保持部とワークとの接触位置が随時変化してワークと治具が同一位置で常時接触することがなくなり、接触部のエッチングむらの抑制効果が向上するとともに、ワークの側面も均一にエッチングされる。また、治具の回転によって槽内の液が攪拌され、さらに、保持部材にインペラの効果を持たせてあれば、治具の外周から内部へ、また内部から外周への液の流れができるので、ワークの表裏面の液が常時循環され、均一なエッチング、洗浄等が行われる。なお、洗浄の場合は、US(超音波洗浄装置)を併用しても構わない。
【0056】
本発明のエッチング用治具は、円盤状のターゲット材だけではなく、保持部材の数や取り付け位置に適切な配慮をすれば、円形以外の、例えばOF付きウェーハや、楕円形、多角形の板材にも有効に活用できる。
【0057】
また、エッチングに限定されず、洗浄、リンス等にも適用でき、有効である。特に、シリコン板材の洗浄において、前記エッチング用治具を用い、複数の台座を板材の厚さ方向に連結して、略円盤状の、厚さが2mm以上の複数のシリコン板材を保持し、前記板材を保持した治具を洗浄液中で板材の周方向に回転させる方法を用いれば、効果的な洗浄を行うことができる。
【0058】
シリコン板材の厚さを2mm以上に限定したのは、2mm以上の厚い板材を例えば櫛歯状の溝で保持すると、エッチング液から引き上げて純水洗浄工程へ移動する際に、前記図9(d)に示した閉塞部17(V字部分)に、表面張力によりエッチング液が多量に残留し、板材の側面周辺のみが不均一にエッチングされるからである。前掲の特許文献2に記載の方法のように、板材を回転させても、櫛歯状の溝に板材を保持した場合にはエッチング液が残留するので、問題は完全には解決されない。
【0059】
また、デバイス用シリコンウェーハでは、ウェーハ周辺部の面精度等は一般に要求されないが、厚さ2mm以上(一般に、5mm程度)のシリコンターゲット材に対しては側面の面精度も要求される。前掲の特許文献2に記載の方法を適用すると、前記のように側面の面精度が悪化し、さらには、V字部分に多量に残留したエッチング液が空気に曝されつつ局部的な過剰エッチングを生じさせることによって側面が不均一に着色し、使用上問題となる。
【0060】
略円盤状の板材を対象としたのは、ターゲット材の多くが円盤状であることと、円盤またはそれに近い形状ならば、前記本発明の治具で可動自在に、「遊び」をもたせて保持し、治具を回転させることにより板材を台座内で自由に回転させ、局部的な洗浄不良を生じさせずに洗浄できるからである。
【0061】
本発明のエッチング用治具およびその治具を用いるエッチング方法の効果を確認するために、直径200mm、厚さ3mmの単結晶シリコンターゲット材10枚を同時に、フッ酸、硝酸および酢酸の混酸により、全面100μmを除去するエッチングを実施した。シリコンターゲット材を保持する際、保持部材とターゲット材との接触部分が固定されないように可動自在に保持した。なお、比較のため、従来の「溝タイプ」、「櫛歯タイプ」および「櫛歯+ワーク移動タイプ」の治具を用いた場合についても同様のエッチングを行った。前記の「櫛歯+ワーク移動タイプ」とは、ワークを櫛歯状の溝で保持し、かつワークをエッチング液中で回転させるタイプの治具である。
【0062】
エッチング後のシリコンターゲット材を、外観観察および寸法測定を行って評価した結果を表1に示す。なお、「評価」の欄の○印は良好であることを、△印はやや不良であることを、×印は不良であることを表す。
【0063】
【表1】
【0064】
表1に示したように、本発明のエッチング用治具を用いた場合は、ターゲット材10枚の全てにおいて、表裏面および側面とも、エッチング速度差による表面層(100μm)の除去むらおよび過剰エッチングのない、均一なエッチング面が得られた。
【0065】
【発明の効果】
本発明のエッチング用治具およびその治具を用いるエッチング方法によれば、ワークと治具との接触部におけるエッチングむらを抑制し、複数のワークの表裏面および側面を均一かつ効果的にエッチングすることができる。この治具は、洗浄、リンス等で使用する治具としても有効で、厚さ2mm以上のシリコンターゲット材の洗浄に適用すれば、洗浄むらを生じさせずに効果的な洗浄を行うことができる。また、ワークの厚さが限定されないので、一つの治具で数種類の厚さのワークを処理することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエッチング用治具の主要構成要件である台座の一例の外観と板材(ワーク)の保持状態を模式的に示す図である。
【図2】板材を両面から保持する台座と、そのそれぞれの保持部材の位置関係を示す図である。
【図3】台座の上面図である。
【図4】ワークと保持部材との接触状態を示す図である。
【図5】保持部材の断面形状を例示する図である。
【図6】本発明のエッチング用治具の全体構成例を模式的に示す図である。
【図7】ワークを可動自在に保持する場合の保持状態を模式的に示す図である。
【図8】治具を回転させたときのワークの治具内における位置を模式的に示す図である。
【図9】従来使用されているエッチング用治具例とワークの保持状態を示す概略外観図である。
【符号の説明】
1:台座
2:開口
3:保持部材
4:ワーク
5:中心線
6:槽取りつけ板
7:貫通シャフト
8:溝タイプの治具
9:溝
10:櫛歯タイプの治具
11:櫛歯状の溝
12:支持ロッド
13:端板
14:長穴
15:ワーク
16:ワーク
17:閉塞部
Claims (5)
- 板材をエッチングする際に板材を保持するためのエッチング用治具であって、板材を両面から保持する台座を2個以上有し、前記台座は、中央部が開口をなし、外周部に板材に接触する2個以上の保持部材を、板材を両面から保持したときに保持可能な位置に、かつ前記両面の台座の保持部材が対向しないように備え、前記保持部材は、板材に接触する部分が線状をなし、板材を保持する際の板材と保持部材との接触箇所が板材の平面部と側面部がなす外周角部のみであることを特徴とする板材のエッチング用治具。
- 前記台座が、保持部材を表裏両面に備えることを特徴とする請求項1に記載の板材のエッチング用治具。
- 前記板材が、前記保持部材と板材との接触部分が固定されないように可動自在に保持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の板材のエッチング用治具。
- 請求項1〜3の何れかに記載のエッチング用治具を用いて板材を保持し、前記板材を保持した治具をエッチング液中で板材の周方向に回転させることを特徴とする板材のエッチング方法。
- 請求項1〜3の何れかに記載のエッチング用治具を用い、複数の台座を板材の厚さ方向に連結して、略円盤状の、厚さが2mm以上の複数のシリコン板材を保持し、前記板材を保持した治具を洗浄液中で板材の周方向に回転させることを特徴とするシリコン板材の洗浄方法。
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JP2003160280A JP3923447B2 (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | 板材のエッチング用治具およびエッチング方法 |
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