JP3922969B2 - アレーアンテナ装置及びこれを用いた無線通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のアンテナ素子からなる指向特性を変化させることのできるアレーアンテナ装置及びそのアレーアンテナ装置を含む無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
屋内などで高速な無線データ通信を行う際には、アンテナ利得を向上させ、かつマルチパスフェージングの影響を低減させることが重要となる。そのため、多セクタアンテナやフェーズドアレーアンテナの利用が検討されている。
【0003】
屋内での無線LAN(Local Area Networks)用セクタアンテナとしては、例えば特開平10−75116「アンテナ、接続装置、カップラ及び基板積層方法」に示す多セクタアンテナがある。
【0004】
この多セクタアンテナはセクタ数は4である。この多セクタアンテナは、水平方向の利得を向上させるため四角錐の各側面にパッチアンテナ等の素子アンテナを設置し、これらをスイッチなどで切り換えることにより、所望波の到来する方向にアンテナのビームを向ける。さらに、所望波方向以外から到来する遅延波、干渉波方向に対する指向性利得を低くすることにより、マルチパスフェージングによる影響を低減することが可能となる。
【0005】
また、フェーズドアレーアンテナは、各素子アンテナあるいは複数個の素子アンテナから構成されるサブアレー毎に可変移相器及び可変振幅調整回路(可変利得増幅器あるいは可変減衰器)が接続され、所定の位相で励振するように給電することにより、所望の放射パターンを実現することができる。しかしながら、各素子アンテナあるいはサブアレー毎に可変移相器、可変振幅調整回路(可変利得増幅器あるいは可変減衰器)を接続する必要があり構成が複雑になるとともに高価となる。
【0006】
そのため、これを解決する手段の1つとして、例えば特開2001−24431「アレーアンテナ装置」に示すアレーアンテナ装置がある。このアレーアンテナ装置においては、接地導体上に形成された中心にある放射素子のみに給電され、まわりにある非励振素子には給電されず、非励振素子にはそれぞれ可変リアクタンス素子が接続されている。可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、アレーアンテナ装置の指向特性を変化させるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特開平10−75116に示す多セクタアンテナにおいては、水平面の利得を向上させるために立体的な構造となっている。そのため、立体構造のアンテナへの給電が複雑になり、製造コストが高くなるという問題がある。また、各セクタを構成するアンテナ、給電回路がセクタ数必要となるために、給電回路が複雑になる、面積が大きくなる、製造コストが高くなるという問題がある。また構造的に同じ系統を複数個用意する必要があるためにアンテナの小型化が困難であるという問題もある。
【0008】
また、特開2001−24431に示すアレーアンテナ装置では、励振素子が1つであるため給電回路の簡略化が可能である。しかしながら、非励振素子の各々に接続されている可変リアクタンス素子のリアクタンス値を制御するための制御装置及びその電源を個々の非励振素子に供給しなければならないので、回路が複雑になるとともに製造コストが高くなるという問題がある。
【0009】
以上述べたように本発明では従来技術に比較して、構成が単純であってかつ製造コストを軽減でき、しかも指向特性の制御が容易であるアレーアンテナ装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係るアレーアンテナ装置は、移相手段が接続された第1の素子アンテナと、第1の素子アンテナから等距離で、互いに等間隔をもって配列された複数n(nは2以上の整数)個の第2の素子アンテナ群からなるサブアレーとを有することを特徴とするアレーアンテナ装置であり、上記第1の素子アンテナへの励振位相のみを変化させることにより、上記アレーアンテナ装置の指向特性を変化させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のアレーアンテナ装置は、2つ以上の給電点をもつ第1の素子アンテナと、第1の素子アンテナから等距離で、互いに等間隔をもって配列された複数n(nは2以上の整数)個の第2の素子アンテナ群から構成されるサブアレーと、前記第1の素子アンテナの給電点を選択する給電点選択手段とを有するアレーアンテナ装置であり、前記第1の素子アンテナの給電点は、複数個ある給電点のうち1つを選択して給電することにより、第1の素子アンテナの励振位相を変化させ、上記アレーアンテナ装置の指向特性を変化させることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る第1の実施形態であるアレーアンテナ装置の構成を示す斜視図であり、図2は図1のアレーアンテナの給電部を示すブロック図である。
【0015】
本実施形態においては、図1に示すように、接地導体板4上の誘電体基板3に形成されたマイクロストリップパッチアンテナである第1の素子アンテナ1と、サブアレーを形成する4個の第2の素子アンテナ2−1乃至2−4が、第1の素子アンテナ1を中心とする半径Rの円形形状に互いに隣合う第2の素子アンテナ同士のなす角度が90°となるように配置されている。
【0016】
図2において、回線網を形成しているLAN20を伝送した信号は無線回路21により変調され無線信号になり、この無線信号は分配/合成器8(この場合は分配)において、第1の素子アンテナ1への信号と4つの第2の素子アンテナ2−1乃至2−4への信号とに分配される。分配された第1の素子アンテナ1への信号は、移相制御器6からの制御信号によって通過位相を変化させる移相器5を介して第1の素子アンテナ1へ所望の励振位相で給電され、第1の素子アンテナから放射される。
【0017】
一方、分配/合成器8(この場合は分配)において分配された第2の素子アンテナへの信号は、4つの第2の素子アンテナ2−1乃至2−4の各々に所望の固定の位相差をつけて信号を分配する給電回路7を介して所定の位相差をもって4つの第2の素子アンテナ2−1乃至2−4に給電され、第2の素子アンテナ2−1乃至2−4から放射される。この給電回路7は線路7−1〜7−4の線路長を変えることにより分配する信号の位相を変えることができる。
【0018】
本実施形態においては、隣り合う第2の素子アンテナ間の位相差を90°になるように、すなわち第2の素子アンテナ2−2は第2の素子アンテナ2−1に対して90°位相が遅れ、第2の素子アンテナ2−3は第2の素子アンテナ2−2に対して90°遅れ、第2の素子アンテナ2−4は第2の素子アンテナ2−3に対して90°遅れるように給電する。
【0019】
次に本実施形態のアレイアンテナ装置の動作について説明する。
【0020】
例えば、図1に示されているように第2の素子アンテナ2−1と第2の素子アンテナ2−3の中心を結んだ線とアレーアンテナに垂直な面によって形成される面(図中X−Z面)内での指向特性を考える。第2の素子アンテナ2−2と第2の素子アンテナ2−4は上述したように180°の位相差がついており、この面内では常に等距離にありキャンセルするので、この2つの素子アンテナの寄与はない。
【0021】
一方、第2の素子アンテナ2−1と第2の素子アンテナ2−3も180°位相差をつけているが、どちらもこの面内にあるため、第1の素子アンテナは第2の素子アンテナ2−1に対して−90°の位相差を移相器5で与えることにより、第2の素子アンテナ2−3側へビームを向けることができる。また第1の素子アンテナに第2の素子アンテナ2−1に対して+90°の位相差を与えると、第2の素子アンテナ2−1側にビームを向けることができる。
【0022】
また、X−Z面に対して45°傾いた面(D−D’面)内での指向特性について考察する。第2の素子アンテナ2−1の励振位相を基準として、第2の素子アンテナ2−1と第2の素子アンテナ2−2の合成パターンはA点に振幅√2倍、位相差−45°の等価波源、第2の素子アンテナ2−3と第2の素子アンテナ2−4の合成パターンはB点に振幅√2倍、位相差135°の等価波源があるものとみなすことができる。
【0023】
したがって、第1の素子アンテナへの励振位相を第2の素子アンテナ2−1の励振位相に対して−135°の位相で給電することにより第2の素子アンテナ2−3と第2の素子アンテナ2−4側へビームを向けることができ、また、第1の素子アンテナへの励振位相を第2の素子アンテナ2−1の励振位相に対して+45°の位相差で給電することにより、第2の素子アンテナ2−1と第2の素子アンテナ2−2側へビームを向けることが可能となる。
【0024】
したがって、図1のアレーアンテナ装置において第2の素子アンテナ2−1乃至2−4に固定の位相差を与えて給電し、第1の素子アンテナ1の励振位相のみを変えることにより、図1に示すアレーアンテナ装置のX−Y面内でビームを走査することができる。
【0025】
なお、X-Y面に垂直な面内の指向特性は、第1及び第2の素子アンテナの素子単体の放射パターンと円の半径Rの調整によって与えることができる。
【0026】
本発明者は、上記実施形態に係るアレーアンテナ装置の性能を検証するために以下の計算機シミュレーションを行った。図3と図4にその結果を示す。
【0027】
図3は第1乃至第2の素子アンテナの放射パターンをZ軸方向をピークとするcosθパターン、第1の素子アンテナ1と第2の素子アンテナ2−1乃至2−4の間の距離(半径)は動作波長の0.6倍とし、第1の素子アンテナ1の振幅は、第2の素子アンテナ2−1乃至2−4の2倍とした。また、図3は第1の素子アンテナの第2の素子アンテナ2−1に対する位相差を45°、135°、−135°、−45°と変化させた場合のθ=30°(天頂方向から30°)の面内での放射パターンを計算したものである。この結果より、上記4つの位相設定で全水平面内をカバーできることがわかる。
【0028】
一方、図4は第1の素子アンテナ1と第2の素子アンテナ2−1との位相差を45°とした場合の、D−D‘面内の指向性パターンである。この結果より、垂直面内でビームは所望方向に向けられ、かつ所望方向とは反対方向への放射が抑圧されていることがわかる。したがって、本発明に係る第1の実施形態にアレーアンテナ装置において、水平面内で簡単な構成でビームを走査できることがわかる。
【0029】
また、図3の結果より、シミュレーションを行った構成では4つの位相設定で全水平面をカバーできることより、本発明のアレーアンテナ装置を図10に示すような4セクタアンテナとして用いる場合には移相器5は必ずしも高価な高ビット移相器である必要はなく、2ビット移相器程度の移相装置、あるいは線路切替型の移相器で十分であることがわかる。
【0030】
以上説明したように、特開平10−75116に示した従来技術の多セクタアンテナや特開2001−24431に示した従来技術のアレーアンテナ装置に比較して、非常に簡単な構造を有し、第1の素子アンテナの励振位相のみを変化させることで、電子的に制御可能なアレーアンテナ装置を実現できる。当該アレーアンテナ装置は、例えば、移動体通信端末用アンテナとしてノートパソコンやPDA(Personal Digital Assistance)のような電子機器へ実装が可能であり、あるいは自動車等の移動体への搭載も容易である。
【0031】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るアレーアンテナ装置について図5を用いて説明する。
【0032】
第2の実施形態に係るアレーアンテナ装置においては、第2の素子アンテナの個数が4ではなく2である点が第1の実施形態と異なる。それ以外の部分については基本的に同じであるので、同一部分に同一符号を付してその説明は省略する。
【0033】
本発明の第2の実施形態に係るアレーアンテナ装置においては、第2の素子アンテナの個数が2個と減少し、かつお互いに第1の素子アンテナ101に対して対称に形成されている。そのため第2の素子アンテナ102−1と第2の素子アンテナ102−2への給電位相は、第2の素子アンテナ102−1を基準として第2の素子アンテナ102−2が180°位相を遅らせる、あるいは早くするように給電されている。したがって、本発明の第1の実施例に係るアレーアンテナ装置におけるX-Z面内における放射パターンと全く同じ放射パターンが得られる。
【0034】
すなわち、図5に示されているように第2の素子アンテナ102−1と第2の素子アンテナ102−2は180°位相差をつけており、第1の素子アンテナ101に第2の素子アンテナ2−1に対して−90°の位相差を移相器5によって与えることにより、第2の素子アンテナ2−3側へビームを向けることができる。また第1の素子アンテナに第2の素子アンテナ2−1に対して+90°の位相差を与えると、第2の素子アンテナ2−1側にビームを向けることができる。
【0035】
したがって、本発明の第2の実施形態に係るアレーアンテナ装置では、第2の素子アンテナの数が2となったため、第2の素子アンテナ102−1、102−2と第1の素子アンテナ101を結んで形成される面内において、第1の素子アンテナへの給電位相を+90°または−90°の値に設定することで、2ビームの切り替えが実現できる。
【0036】
すなわち、本発明の第2の実施形態に係るアレーアンテナ装置は、例えば構内の壁などに設置し、基地局から右方向あるいは左方向(または上方向、下方向)のみのビームを向けるといった簡単な制御のみを行う基地局アンテナに適用可能であり、ビームの制御も第1の素子アンテナ1に接続された移相器5のみの制御で実現できるため、安価で小形なアレーアンテナ装置を提供できる。
【0037】
なお、図1および図5に示す実施形態においては、第1の素子アンテナ(1、101)と第2の素子アンテナ(12−1乃至2−4、102−1乃至102−2)として、誘電体基板4上に形成された円形のマイクロストリップアンテナを示したが、これに限らず、他の形状のマイクロストリップアンテナであってもよいし、プリンテッドダイポールアンテナであってもよい。さらに、接地導体板5上に形成されたスロットアンテナであってもよいし、誘電体チップアンテナのような小形アンテナであってもよいし、接地導体板4に平行に設置されたダイポールアンテナでもよいし、ヘリカルアンテナやスパイラルアンテナ等の線状アンテナであっても、本発明の効果に変わりはない。
【0038】
(第3の実施形態)
次に本発明の第3の実施形態に係るアレーアンテナ装置について、図6を用いて説明する。
【0039】
第3の実施形態に係るアレーアンテナ装置においては、第1の素子アンテナの給電点の個数が1点ではなく2である点が第2の実施形態と異なる。それ以外の部分については基本的に同じであるので、同一部分に同一符号を付してその説明は省略する。
【0040】
すなわち、本実施形態においては、全体構成は図5に示す本発明の第3の実施形態と同じであり、接地導体板4上の誘電体基板3に形成されたマイクロストリップパッチアンテナである、第1の素子アンテナ101と第1の素子アンテナ101と対称に2個の第2の素子アンテナ102−1、第2の素子アンテナ102−2が誘電体基板3に設けられている。
【0041】
図6は本発明の第3の実施形態に係るアレーアンテナ装置の第1の素子アンテナ1の詳細図である。図6において、第1の素子アンテナ101に設けられた第1の給電点9−1と第2の給電点9−2はy軸上に存在し、互いに第1の素子アンテナ1の中心Oに対して点対称な位置に設置されている。ここで第2の給電点9−2を開放し、第1の給電点9−1のみを励振した場合、図中実線の矢印で示すようにY軸に平行な直線偏波を励振する。
【0042】
一方、第1の給電点9−1を開放し、第2の給電点9−2を励振した場合には、図中破線の矢印のようにY軸に沿って第1の給電点9−1を励振した場合とは反対向きの偏波を励振する。この偏波は第1の給電点9−1を励振した場合の偏波とは位相が180°異なることから、第2の給電点9−2を励振することは第1の給電点9−1への給電位相を180°変化させたことに等しい。
【0043】
図7に第3の実施形態に係るアレーアンテナ装置の給電部を示す。図7において、回線網を形成しているLAN20を伝送した信号は無線回路21により変調され無線信号になり、この無線信号は、分配/合成器8(この場合は分配)において、第1の素子アンテナ101への信号と2つの第2の素子アンテナ(102−1、102−2)への信号とに分配される。分配された第1の素子アンテナ101への信号は、給電点選択器制御器11からの制御信号に従って第1の素子アンテナ101の給電点を選択する給電点選択器10を介して、選択された給電点より第1の素子アンテナ101に給電され、第1の素子アンテナ101より放射される
一方、分配/合成器8(この場合は分配)において分配された第2の素子アンテナへの信号は、2つの第2の素子アンテナ(102−1、102−2)の各々に所望の固定の位相差(ここでは+180°)をつけて信号を分配する給電回路7を介して所定の位相差をもって2つの第2の素子アンテナ(102−1、102−2)に給電され、第2の素子アンテナ(102−1、102−2)から放射される。
【0044】
本実施形態においては、第1の実施形態同様、第2の素子アンテナが2個形成されているので、第2の素子アンテナ間の位相差は180°となる。
【0045】
よって本発明の第3の実施形態に係るアレーアンテナ装置では、第1の実施形態のように第1の素子アンテナ1の励振位相を詳細に設定することはできないが、給電点選択器10により第1の素子アンテナ101の給電点を選択することにより、第1の素子アンテナ101の位相を180°変えることができるので、例えばX軸の+方向を向いたビームと−方向を向いたビームのみが必要な場合には高価な移相器を用いなくともビームを切り換えることが可能である。
【0046】
なお、図6においては、第1の素子アンテナ101の給電方法として、同軸線路の中心導体を第1の素子アンテナに直接接続したピン給電方式と呼ばれる給電方法を用いたが、これに限らず、マイクロストリップ線路等の給電線路を直接接続する給電方法、接地導体板4上に形成されたスロットを介して給電するスロット結合給電方式、第1の素子アンテナ101と接地導体板の間あるいは接地導体板4上に形成された給電線路を第1の素子アンテナ1の内部に挿入した近接結合給電方式であってもよい。
【0047】
また、図6においては、励振される偏波はY軸に沿った直線偏波であったが、これに限らず、X軸に沿った直線偏波であれば第1の給電点9−1と第2の給電点9−2をそれぞれ90°回転させた位置に設置することで実現できる。さらにマイクロストリップアンテナ等で高次モードを用いる場合には、高次モードの電磁界分布に合わせて第1の給電点9−1と第2の給電点9−2の位置関係を変えることにより、同様の効果を得ることができる。例えば、TM21モードと呼ばれる高次モードを用いた場合には、第1の給電点9−1と第2の給電点9−2を互いのなす角度が90°となるように設定すればよい。
【0048】
さらに本発明に係る第3の実施形態であるアレーアンテナ装置が円偏波を励振する場合には、例えば図8に示すように、第1の素子アンテナ201に縮退分離素子12−1、12−2を設け、第1の給電点109−1、第2の給電点109−2を図6と同様に設けることによって、直線偏波と同様の効果を得ることができる。
【0049】
図6及び図8に示す第3の実施形態においては、第1の素子アンテナ(101,201)として、誘電体基板4上に形成された円形のマイクロストリップアンテナを示したが、これに限らず他の形状のマイクロストリップアンテナであってもよい。
【0050】
また、第4の実施形態では第2の素子アンテナを2つの場合について説明したが、第2り素子アンテナが3つ以上の場合にも適用できる。
【0051】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係るアレーアンテナ装置について図9(a)、(b)を用いて説明する。
【0052】
第4の実施形態に係るアレーアンテナ装置においては、素子アンテナ毎ではなく複数個の素子アンテナから構成されるサブアレーアンテナ単位で位相制御を行うものである。
【0053】
図9(a)に示すように本発明の第4の実施形態に係るアレーアンテナ装置においては、中心軸上に複数個の素子アンテナ(13−1〜13−m)からなる第1のサブアレー13が接地導体板4上の誘電体基板3に形成されている。この第1のサブアレー13とある一定の距離だけ離れたところに複数個の素子アンテナ(14−1〜14−m)からなる第2のサブアレー14が形成されており、第1のサブアレー13からみて第2のサブアレー反対側に同じ距離だけ離れて複数個の素子アンテナ(15−1〜15−m)からなる第3のサブアレー15が形成されている。
【0054】
また、図9(b)に示すように第1のサブアレー13は第1のサブアレーの励振位相を変化させる位相器5に接続され、第2のサブアレー14と第3のサブアレー15はそれぞれにある所定の位相差をもって給電を行う給電回路7に接続されている。
【0055】
また、図9(b)に示すように回線網を形成しているLAN20を伝送した信号は無線回路21により変調され無線信号になり、この無線信号は分配/合成器8において、第1のサブアレー13への信号と、第2のサブアレー14及び第3のサブアレー15への信号とに分配される。分配された第1のサブアレー13への信号は、移相制御器6からの制御信号によって通過位相を変化させる移相器5を介して第1のサブアレー13へ所望の励振位相で給電され、第1のサブアレーから放射される。一方、分配/合成器8において分配された第2のサブアレー14と第3のサブアレー15への信号は、第2のサブアレー14及び第3のサブアレー15の各々に所望の固定の位相差をつけて信号を分配する給電回路7を介して所定の位相差、例えば180°の位相差をもって給電され、第2のサブアレー14及び第3のサブアレー15から放射される。
【0056】
本実施形態においては、第2のサブアレー14と第3のサブアレー15が互いに第1のサブアレー13に対して対称な位置に形成されている。そのため第2のサブアレー14と第3のサブアレー15への給電位相は180°の位相差をもって給電している。そのため、本発明の第2の実施例に係るアレーアンテナ装置同様、第1のサブアレーの励振位相を変化させることにより、サブアレーを配列した面内でビームを走査することができる。
【0057】
本発明の第2の実施形態に係るアレーアンテナ装置と本発明の第4の実施形態に係るアレーアンテナ装置との違いは、サブアレーを構成している面内でのビーム形状が異なる点である。例えば、第4の実施形態におけるアレーアンテナ装置では、第1のサブアレー13、第2のサブアレー14、第3のサブアレー15を構成している素子アンテナ(13−1〜13−m,14−1〜14−m,15−1〜15−m)の励振振幅及び位相を所望の値に設定することにより、サブアレーを構成している面内で低サイドローブ化やコセカント二乗ビーム等の固定成形ビームを形成することが可能である。そのため、構内の壁などに立てかけて第4の実施形態のアレーアンテナ装置を使う場合には、設置された環境に合わせたビームを予め形成することができるため、他所への電力漏洩やゾーン内での電力不足などを防ぎ、良好な通信を確保することが可能となる。
【0058】
以上の第1乃至第4の実施形態においては、送信用のアレーアンテナ装置について説明しているが、当該装置は従来技術の多セクタアンテナ装置あるいはアレーアンテナ装置と同様に、受信用として用いることも可能である。
【0059】
また、以上の第1乃至第4の実施形態においては、誘電体基板3を単層の誘電体基板として扱っているが、これに限らず複数の誘電率の異なる基板を積層した多層基板であってもよいし、同一面内で一部分のみ周りと異なる誘電率をもつ誘電体基板であってもよいし、空気層であってもよい。
【0060】
【発明の効果】
以上、述べたように本発明では第1の素子アンテナの励振位相および給電点、あるいは第1のサブアレーの励振位相のみを変化させることにより、非常に簡単な構成によって電子的に指向特性を制御可能なアレーアンテナ装置の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施形態であるアレーアンテナ装置を構成する図である。
【図2】本発明に係る第1の実施形態であるアレーアンテナ装置の給電部の構成を示す図である。
【図3】本発明に係る第1の実施形態であるアレーアンテナ装置の水平方向の指向特性例を示す図である。
【図4】本発明に係る第1の実施形態であるアレーアンテナ装置の垂直方向の指向特性例を示す図である。
【図5】本発明に係る第2の実施形態であるアレーアンテナ装置の構成を示す図である。
【図6】本発明に係る第3の実施形態であるアレーアンテナ装置を構成する第1の素子アンテナ101の構成を示す図である。
【図7】本発明に係る第3の実施形態であるアレーアンテナ装置の給電部の構成を示す図である。
【図8】本発明に係る第3の実施形態であるアレーアンテナ装置を構成する第1の素子アンテナ101の別の構成を示す図である。
【図9】本発明に係る第4の実施形態であるアレーアンテナ装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1、101・・・・・・・・・・・第1の素子アンテナ
2−1〜2−4、102−1・・・第2の素子アンテナ
3・・・・・・・・・・・・・・・誘電体基板
4・・・・・・・・・・・・・・・接地導体板
5・・・・・・・・・・・・・・・移相器
6・・・・・・・・・・・・・・・移相器制御器
7・・・・・・・・・・・・・・・給電器
8・・・・・・・・・・・・・・・分配/合成器
9−1、9−2・・・・・・・・・給電点
10・・・・・・・・・・・・・・給電点選択器
11・・・・・・・・・・・・・・給電点選択器制御器
12・・・・・・・・・・・・・・縮退分離素子
13、14・・・・・・・・・・・サブアレー
15・・・・・・・・・・・・・・励振素子
20・・・・・・・・・・・・・・LAN
21・・・・・・・・・・・・・・無線回路
Claims (3)
- 第1の素子アンテナと、
この第1の素子アンテナから等距離で、互いに等間隔をもって配列された複数個の第2の素子アンテナ群から構成されるサブアレーアンテナと、
前記第1の素子アンテナに接続され、前記第1の素子アンテナへの給電位相を変化させる可変移相手段と、
この可変移相手段の位相可変の制御を行う移相制御手段と、
前記複数の第2の素子アンテナに接続され、隣り合う前記第2の素子アンテナ同士で所定の位相差をもって、前記第2の素子アンテナの各々に給電を行う給電手段と、
前記可変移相手段と前記給電手段に接続され、前記可変移相手段と前記給電手段への電力の分配または前記可変移相手段と前記給電手段からの電力の合成を行う電力合分配手段と具備することを特徴とするアレーアンテナ装置。 - 2つ以上の給電点をもつ第1の素子アンテナと、
この第1の素子アンテナから等距離で、互いに等間隔をもって配列された複数個の第2の素子アンテナ群から構成されるサブアレーアンテナと、
前記第1の素子アンテナに接続され、前記第1の素子アンテナの有する2つ以上の給電点の1つを選択し、選択したアンテナに電力を給電する給電点選択手段と、
前記給電点選択手段の選択制御を行う給電点選択手段制御手段と、
前記複数の第2の素子アンテナに接続され、隣り合う前記第2の素子アンテナ同士で所定の位相差をもって、前記第2の素子アンテナの各々に給電を行う給電手段と、
前記給電点選択手段と前記給電手段に接続され、前記給電点選択手段と前記給電手段への電力の分配または前記給電点選択手段と前記給電手段からの電力の合成を行う電力合分
配手段とを具備し、
前記第1の素子アンテナの2つ以上ある給電点は、それぞれを単独で励振した場合に、他方の前記第1の素子アンテナ放射される電磁波の偏波が同じで位相が180°異なる位置に設けられていることを特徴とするアレーアンテナ装置。 - 前記給電手段の与える隣り合う前記第2の素子アンテナ同士の位相差が、360/n度(nは第2の素子アンテナ数)に等しいことを特徴とする請求項1記載又は請求項2記載のアレーアンテナ装置。
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