JP3922704B2 - 静電潜像現像用キャリア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真法、静電記録法に用いられる二成分現像現像剤に用いられるキャリアに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式を用いるプリント装置は急速にカラー化が進み、また、そのプリント速度の高速化が進んでいる。
従来から、二成分現像法は高速なプリントに適し、非磁性トナーの取り扱いが容易なため、フルカラー画像の形成装置にも広く利用されてきた。しかし、フルカラープリント装置は装置内に複数の現像装置を備える必要があり、モノクロ機に比べ、装置が大型化し、重量が大きくなるなどの欠点があった。特に二成分現像装置は、一成分現像装置に比べ、トナーとは別に現像剤の収納容積と、その攪拌機構を具備する必要があり、現像ユニットの小型化のためには、現像剤量の少量化が必須であった。
【0003】
現像剤中のキャリアは現像装置内でトナーとの摩擦、スリーブやブレードなどの摺擦部材、規制部材やスクリュー、パドルなどの攪拌搬送部材により機械的な摩擦や衝撃を繰り返し受けている。現像剤を少量化することは、プリント枚数あたりのトナーとキャリアの摩擦機会の増加、キャリアが現像部を通過する頻度の増加を意味し、結果として現像ユニット内のキャリアの疲労が急速に進行する。プリント速度の高速化も相まって、キャリアの耐久性、特にキャリア表層の皮膜の高い耐磨耗性とトナーや他部材によるキャリア表面の汚染(スペント)を防ぎながら、長期間に渡って、速やかな帯電性を維持することが以前にもまして重要になってきている。
【0004】
最近のデジタル複写機やプリンタでは負極性に帯電した感光体を用いて、ネガポジ現像を行なう場合が多く、負極性に帯電したトナーを用いる場合が多い。トナーを負に帯電するために、キャリア皮膜中に窒素を含有する有機化合物を含有させる例が多く知られている。
たとえば、シリコーン樹脂にアミノシランカップリング剤を混合して用いる例や、ある種の酸アミドを内添する例、メラミン、グアナミンなどのアミノ化合物やその誘導体を内添する方法、アミノ基を有するアクリル共重合体などを皮膜に用いる方法などである。
こうした窒素含有有機材料をコート材料として用いる例として、従来から、ポリアミドを用いる例が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、ナイロンに代表されるポリアミド樹脂は、一般にトナーに負帯電性を付与するには、好ましい材料であるが、その多くが溶媒溶解性に乏しいため、溶液を塗布するなど簡易な方法で層形成することが困難であったり、ポリアミド自体の耐磨耗性が充分でないなどの問題点もあった。
【0005】
そこで、ポリアミドを溶媒可溶化して用いる例として、アミド結合の水素原子をアルコキシ化、アルコキシアルキル化して用いる例が開示され(例えば、特許文献2〜6参照。)、そうしたポリアミドを主鎖に有するグラフトポリマーを用いる例が開示されている(例えば、特許文献7、8参照。)が、主成分にこうしたポリアミドを用いた皮膜は皮膜の耐磨耗性において充分とはいえなかった。
【0006】
また、N−メトキシメチル化ポリアミドを含有し、表面抵抗が13Ω・cm以下であることが開示されており、ポリアミドを一部メトキシメチル化することによって、皮膜抵抗を低抵抗化することが示されている(例えば、特許文献9参照。)が、残留メトキシ基によるキャリアの低抵抗化はメトキシ基の高い水親和性によりもたらされるものであり、帯電量の環境変動性、現像剤帯電量の保存低下が大きいなどの不具合があった。
【0007】
【特許文献1】
特開昭49−115549号公報(第1頁左下欄第3行目〜第6行目の特許請求の範囲、第2頁右上欄第19行目〜左下欄第16行目)
【特許文献2】
特開平1−118150号公報(第1頁左下欄第4行目〜末行目の特許請求の範囲第1項)
【特許文献3】
特開平1−118151号公報(第1頁左下欄第4行目〜右上欄第1行目の特許請求の範囲第1項)
【特許文献4】
特開平4−188160号公報(第1頁左下欄第4行目〜第7行目の特許請求の範囲、第3頁右上欄第6行目〜第12行目、第3頁右下欄第4行目〜第14行目)
【特許文献5】
特開2001−201894号公報(第2頁第1欄第1行目〜第45行目の特許請求の範囲)
【特許文献6】
特許第3044390号公報(第1頁第1欄第1行目〜第9行目の請求項1、第3頁第5欄第8行目〜第13行目、第3頁第6欄第2行目〜第8行目、第3頁第6欄第19行目〜第34行目)
【特許文献7】
特許第2835971号公報(第1頁第1欄第1行目〜第2頁第11行目の特許請求の範囲、第3頁第5欄第41行目〜第4頁第7欄第22行目)
【特許文献8】
特許第2835972号公報(第1頁第1欄第1行目〜第2欄第10行目の特許請求の範囲、第3頁第6欄第13行目〜第43行目)
【特許文献9】
特許第02932192号公報(第1頁第1欄第1行目〜第2欄第9行目の特許請求の範囲、第2頁第4欄第42行目〜第3頁第6欄第7行目、第3頁第5欄第46行目〜第6欄第35行目)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記の課題を解決することにある。
すなわち、長期に渡り安定した帯電付与能力を有し、かつ、皮膜の耐摩耗性に優れ、トナー組成物のスペントによる帯電変動のないキャリアを提供することにある。また、帯電性の環境変動性、放置帯電量低下を抑制し、さまざまな使用環境においても画像濃度変動、地肌汚れ、トナーによる機内汚染などの不具合のないキャリアを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば下記の構成のキャリアをもって、上記の目的が達成される。
(1)「磁性を有する微粉体表面に皮膜を有する形態を有し、該皮膜がN−アルコキシアルキル化ポリアミドと、少なくともシラノール基およびまたはシラノール誘導体を有するシリコーン(但し、櫛形シリコングラフトポリマーであるシリコン−α−メチルアクリル酸メチルを除く)を含む1種類以上の該N−アルコキシアルキル化ポリアミド樹脂と反応可能な樹脂の混合物から得られる縮合物を含有することを特徴とする静電潜像現像用キャリア」である。
これによりポリアミドの優れた正帯電性と、特に、シラノールを含有するシリコーンとを用いることで皮膜強度とスペント性に優れたキャリアを得ることができる。
(2)「前記皮膜が、触媒として沸点が100℃以上である固体有機酸を含有することを特徴とする前記第(1)項に記載の静電潜像現像用キャリア」である。
皮膜の架橋温度において有効に作用する酸触媒を用いることで反応を充分な架橋反応を行なうことができる。
(3)「前記皮膜中にメチロールメラミンを有することを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の静電潜像現像用キャリア」である。
これにより、皮膜の帯電性を向上させ、かつさらに高い皮膜強度を得ることができる。
(4)「前記皮膜中にメチロールベンゾグアナミンを有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア」である。
(5)「印加電界50V/mmにおけるLogRが14以上であり、250V/mmにおける抵抗値がLogR16以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア」である。
これにより、帯電性の環境変動、現像剤の放置帯電量低下を抑制することができる。
(6)「前記皮膜中に低抵抗物質を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア」である。
(7)「前記低抵抗物質が導電性カーボンであることを特徴とする前記第(6)項に記載の静電潜像現像用キャリア」である。
これにより、任意な電気抵抗を得ることが可能となる。
(8)「前記皮膜中に硬質微粒子を有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア」である。
皮膜の補強効果により、高い耐久性が得られる。
(9)「前記皮膜中の硬質微粒子が金属酸化物粒子であり、該金属酸化物粒子がSi、Ti、Alのいずれかの酸化物であることを特徴とする前記第(8)項に記載の静電潜像現像用キャリア」である。
(10)「前記皮膜の金属酸化物粒子の含有量が皮膜重量の5%〜70%の範囲であることを特徴とする前記第(9)項に記載の静電潜像現像用キャリア」である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について述べる。
本発明に用いられるポリアミドとしては、主鎖のアミド結合の水素原子をアルコキシアルキル化した、溶媒可溶化ポリアミドを用い、該ポリアミドの低級アルコール溶液と、該ポリアミドと反応性を有する樹脂を1種もしくは複数種および必要に応じて架橋を促進する触媒を混合溶解して調製したコート液を磁性を有するキャリア芯材に塗布、乾燥し、加熱硬化することによって皮膜を形成する。ここでいうポリアミドとは、一般的な、ジカルボン酸とジアミンから得られるものや、各種のラクタムの開環縮重合によりなるポリアミドなどである。
たとえば、ポリアミドのメトキシメチル化の方法としては、蟻酸のようなポリアミドを溶解し、酸性雰囲気中、メタノールなどの低級アルコールの存在下で、ホルマリンと反応させることにより行なう。
こうして得られたメトキシメチル化ポリアミドは、その反応比に応じてメタノールなど低級アルコールに対する溶解性が向上するため、キャリア表面に皮膜形成することが容易になる。また、該ポリアミドは未架橋の状態ではゴム弾性を示し、適当な酸触媒の存在下で加熱することにより、自己のメトキシ基と主鎖のアミド結合の活性水素との間で縮合することにより、架橋し硬度が増す。これをシラノール縮合性シリコーン(但し、櫛形シリコングラフトポリマーであるシリコン−α−メチルアクリル酸メチルを除く)と混合して、キャリア皮膜として塗布し、同じく酸触媒の存在下で加熱することにより、シリコーンとポリアミド間の相互の架橋構造を有する皮膜が形成される。
【0011】
本発明ではさらに、この皮膜中に金属酸化物粒子を混合せしめることにより、その皮膜強度をいっそう強靭なものとする。皮膜中への金属酸化物粒子の導入は、たとえば、次のように行なう。
可溶化ポリアミドをメタノール中に、必要に応じて加熱しながら溶解する。
溶解した溶液に、金属酸化物粒子を混合し、ホモジナイザーのような分散装置を用いて均一に分散する。
該分散溶液を別途用意したシラノール縮合性シリコーン(但し、櫛形シリコングラフトポリマーであるシリコン−α−メチルアクリル酸メチルを除く)の非水溶媒溶液と混合、同様にホモジナイザーで攪拌し、適宜帯電調整剤、抵抗調整剤を混合し、キャリア芯材に塗布する。
【0012】
ここで本発明に用いられるポリアミドの例を示すと、例えばジアミンとしては1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタジアミン、1,2−プロパンジアミンなどの直鎖アルキルジアミン、分岐型アルキルジアミン、m−フェニレンジアミン、P−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、N−フェニル−p−フェニルジアミン、4,4−ジアミノジフェニルアミンなどの芳香族ジアミン、カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカン酸、マロン酸などの多価脂肪酸、芳香族ジカルボン酸、各種のアミノ酸などの縮重合体、これら複数種のモノマーからなる共重合体、また、各種のカプロラクタムの開環縮重合やアミノウンデカン酸などのアミノ酸の自己縮重合体、それら相互の共重合体などである。
【0013】
ポリアミドの可溶化のためのアルキルアルコキシ化処理は、アミド結合の活性水素の置換率にして20〜70mol%程度がよい。これより少ない場合には、アルコール可溶性が乏しく、皮膜形成時に析出したり、皮膜形成後に偏析するなどの不具合がある。70%より多いと、皮膜密度が低下し、磨耗性が悪化する。金属酸化物粒子を添加した場合においても同様である。
【0014】
皮膜の充分な硬化を行なうために、酸性下で加温することが好ましいが、用いる酸触媒としては有機物の固体酸をコート剤溶液に含有させることが好ましい。触媒の沸点が100℃以下では、皮膜乾燥時に触媒の蒸発を伴い、架橋形成のための追加熱によって皮膜の硬化が充分に行なうことができない。中でも二塩基酸以上の多価カルボン酸化合物は好ましく用いられる。
酸触媒の例としては、乳酸、ラウリン酸、クロトン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、シュウ酸、コハク酸、グリコール酸、マロン酸、マレイン酸、イタコン酸、酒石酸、安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、ベンジルスルホン酸、トルエンスルホン酸などの代表的な有機酸、塩酸、硫酸、硝酸、次亜燐酸等の無機酸などを単独、もしくは、混合して用いることができるが、先の架橋反応を適切に進めるためには、少なくとも1種類の酸触媒が100℃以上の沸点を持つものを選択すればよい。
【0015】
ここでいう反応可能な樹脂とは、ポリアミド中に有するメトキシ基との縮合反応性を有するアルコール、アルキロール、カルボン酸や、活性水素を有するアミノ基などを有する樹脂をいう。代表的には熱硬化性を示す樹脂が用いられる。中でも、シリコーン樹脂はその皮膜強度とともに、得られる皮膜の表面エネルギーが低いことから、キャリアにトナーが付着、汚染する、いわゆるスペント性の抑制効果もあり、好ましく用いられる。用いるシリコーンとしては、シラノール基を有するシリコーン樹脂(但し、櫛形シリコングラフトポリマーであるシリコン−α−メチルアクリル酸メチルを除く)が用いられる。加熱によるシラノール基とポリアミドのメトキシ基間の架橋とともに、ポリアミドの触媒として用いる有機酸とのエステルが生成し、残留の酸触媒による帯電性の負極性化が抑制される。皮膜の帯電量制御、および皮膜強度の向上の目的で、他の架橋型樹脂を混合させることも可能である。なかでもヘキサメチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミンに代表される、各種のアルキロールメラミン、およびそのアルキルエーテルなどの誘導体は、皮膜強度と高い帯電量とを同時に得られるため、好ましく用いられる。皮膜強度の向上の目的で、微量のフェノール樹脂を含有させることも好ましい。フェノール樹脂の含有量は好ましくは、最表層を形成する樹脂中の2%以上10%以下であり、好ましくは4%〜8%である。2%未満では皮膜強度の向上効果が得られず、10%を超える場合、フェノールの負帯電性により、経時的な帯電性の低下が見られる。
【0016】
本発明に用いるアルコキシアルキル化ポリアミドは、非架橋状態ではその電気抵抗が低いため、画像形成時に地肌汚れや現像剤の帯電量の放置低下、温湿度による帯電量の変動などの不具合があるため、シリコーン樹脂との架橋構造を形成するための加熱工程により、残留するメトキシ成分を充分に分解する必要がある。こうして得られるキャリアの電気抵抗は50V/mmにおけるLogRが14以上17以下であり、250V/mmにおける抵抗値がLogRが8以上16以下が好ましい範囲である。50V/mmにおける電気抵抗値が14より小さいと放置時の帯電量低下が大きく、また、温湿度による帯電量の変動が大きい。また、250V/mmにおける抵抗値がLogR16より大きいと、連続印刷時にキャリアのチャージアップによる画像濃度の低下が生じ好ましくない。
【0017】
キャリアの電気抵抗を適正にするために、キャリア皮膜中に導電性物質を含有させることが可能である。ここでいう導電性物質とは、公知の導電性材料を用いることができる。導電性物質の例としてはたとえば、導電性ZnO、Al等の金属粉、各種の方法で作られたSnO2及び種々の元素をドープしたSnO2、ホウ化物、例えばTlB2、ZnB2、MoB2、炭化ケイ素及び導電性高分子(ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリ(パラ−フェニレンスルフィド)、ポリピロール)などがあるが、最も好ましくは導電性のカーボンブラックである。なかでも、カーボンブラックは広範囲に抵抗値を得られるために好ましく用いられる。
【0018】
また、先に記述したように、皮膜の補強の目的で皮膜中に他の硬質な微粒成分を含有させることができる。なかでも金属酸化物、無機酸化物粒子は均一な粒子径で、かつ皮膜の成分であるポリアミドと高い親和性が得られ、著しい皮膜の補強効果を示すため、好ましく用いられる。
こうした微粒子としては、従来公知の材料を単独、もしくは、混合して用いることが可能であり、代表的にはシリカ、酸化チタン、アルミナなどがある。
皮膜中に含有させる硬質微粒子の含有量として5%〜70%が好ましく、より好ましくは2〜40%の範囲である。含有量は用いる微粒子の粒子径、比表面積によって、適切に選ばれるが、5%未満では皮膜の耐磨耗効果が発現しにくく、70%を超えると、微粒子の脱離が生じやすくなる。
【0019】
本発明に使用される磁性粉末としては、マグネタイト、マグヘマタイトなどの磁性酸化鉄粒子粉末、鉄以外の金属(Mn、Ni、Zn、Mg、Cu等)を一種または二種以上含有するスピネルフェライト粒子粉末、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト粒子粉末、表面に酸化層を有する鉄およびその合金の微粒子粉末等を用いることができる。また、ヘマタイト、ゲータイト、ウスタイトなどの非磁性酸化鉄粒子粉末を用いることもでき、場合によっては前記磁性酸化鉄粒子と混合して用いることもできる。
好ましくはマグネタイト、マグヘマタイト等の磁性酸化鉄粒子粉末または、ヘマタイト、ゲータイトなどの非磁性酸化鉄粒子粉末である。その粒子形状は、粒状、球状、針状のいずれであっても良い。前記粒子の粒子径は、0.05〜5μmであることが好ましく、トナー中に数%〜70重量%含有させて、磁性トナーを得ることができる。
【0020】
本発明に使用されるトナーとしては、バインダー樹脂としての熱可塑性樹脂を主成分とし、着色剤、微粒子、そして帯電制御剤、離型剤等を含むものである。また、一般公知の粉砕法、重合法等の各種のトナー製法により作製されたトナーを用いることができる。
【0021】
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−o−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソブチレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが単独あるいは混合して使用できる。
【0022】
ポリエステル樹脂としては、アルコールと酸との重縮合反応によって得られ、例えばアルコールとしては、ポリエチレングリコール、ジエチルグリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどのジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAなどのエーテル化ビスフェノール類、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単量体、その他の2価のアルコール単量体、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−サルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ショ糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上の高級アルコール単量体を挙げることができる。また、ポリエステル樹脂を得るために用いられるカルボン酸としては、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸の無水物、低級アルキルエステルとリノレイン酸からの二量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボン酸−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸エンボール三量体、これらの酸の無水物等の3価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
【0023】
さらにエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合物等があり、例えば、エポミックR362、R364、R365、R366、R367、R369(以上、三井石油化学工業社製)、エポトートYD−011、YD−014、YD−904、YD−017(以上、東都化成社製)、エポコート1002、1004、1007(以上、シェル化学社製)等の市販のものがある。
【0024】
着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、ハンザイエローG、ローダミン6Gレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、染顔料など、従来公知の染顔料を単独あるいは混合して使用し得る。
【0025】
また、トナーは、通常使用されるトナーと同様に摩擦帯電性を制御する目的で含有せしめる薬剤を含有していても何ら不都合はない。そうした、いわゆる極性制御剤としては、例えばモノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸及びその塩、サリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のCo、Cr、Fe、Zn等の金属錯体等を単独または混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。カラートナーに使用される極性制御剤は無色であることが必要であり、極性を有するポリマー型の極性制御性物質は好ましく用いられる。
【0026】
本発明に使用されるトナーには流動性改質剤を添加することができる。流動性改質剤の例としては、有機樹脂微粒子、金属石鹸など、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂、ステアリン酸亜鉛のごとき滑剤、或いは酸価セリウム、炭化ケイ素などの研磨剤、一般に流動性改質の目的に用いられる公知の金属酸化物、代表的には酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの酸化金属微粒子、およびその表面を疎水化した粒子などである。これらのいずれの微粉末もその表面を疎水化することは流動性の面で優れた効果をもたらす。表面を疎水化処理するためには、例えば、シランカップリング剤やシリル化剤として一般に知られる珪素化合物を粒子表面と接触、反応させることができる。
【0027】
疎水化剤としては例えばクロロシラン類としては代表的にトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、エチルジクロロシラン、ジエチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、プロピルジクロロシラン、ジプロピルジクロロシラン、トリプロピルクロロシランなどアルキルクロロシラン、フェニルクロロシランなど。そのフッソ置換体としてフルオロアルキルクロロシラン、パーフルオロアルキルクロロシランの類。シリルアミン類としては、代表的にヘキサメチルジシラザン、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジエチルアミノトリメチルシランなど。シリルアミド類としては、代表的にN,O−ビストリメチルシリルアセトアミド、N−トリメチルシリルアセトアミド、ビストリメチルシリルトリフルオロアセトアミドなど。また、アルコキシシラン類として、メチルトリアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、トリメチルアルコキシシラン、エチルジアルコキシシラン、ジエチルアルコキシシラン、トリエチルアルコキシシラン、プロピルトリアルコキシシラン、ジプロピルジアルコキシシラン、トリプロピルアルコキシシランなど、アルキルクロロシランや、フェニル基を有するフェニルアルコキシシランなど。また、そのフッソ置換体としてフルオロアルキルアルコキシシランの類、パーフルオロアルキルアルコキシシランの類、シリコーンオイルとして、ジメチルシリコーンオイル、およびその誘導体、フッ素置換体、ジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサンなどシロキサンの類など、一般公知の疎水化剤として用いられ化合物が使用できる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はここに例示される実施例に限定されるものではない。
<製造例>
製造例1
メトキシメチル化ポリアミド(ナガセケムテック株式会社製、EF30T)10部、シラノール含有メチルシリコーン樹脂(SiOH含有量1重量%、MW15000)の固形分濃度20wt%トルエン溶液を固形分量10部相当とを混合、溶解し、さらに酢酸を用いてpH4とし、50℃にて3時間還流した。この溶液の固形分量に対してカーボンブラック(BP2000)5部を加え、さらに、メタノール80部、アセトン80部、トルエン80部にて希釈した液体をホモジナイザーで攪拌、分散して、コート液を得た。この液体の固形分に対して5部のクエン酸を溶解し、流動床乾燥装置にてフェライト芯材に対して塗布し、ナイロン−シリコーン樹脂混合皮膜を設けた。得られた粉体は、210℃にて2時間加熱乾燥し、皮膜厚さ0.6μmのキャリアAを得た。
上記キャリア抵抗率は、次の方法により、測定することができる。
図1に示すように、電極間距離2mm、表面積2×4cmの一対の平行平板電極(12a)、(12b)を収容したフッ素樹脂製容器からなるセル(11)にキャリア(13)を充填し、両極間に100Vの直流電圧を印加し、ハイレジスタンスメーター4329A(横川ヒューレットパッカード株式会社製)にて直流抵抗を測定し、電気抵抗率LogR・Ωcmを算出する。印加電圧は100Vおよび500Vにおける抵抗率を測定した。
このキャリアの電気抵抗はLogR14.2Ωcm(50V/mm)、13.4Ωcm(250V/mm)であった。
【0029】
製造例2
製造例1において、用いるシリコーン樹脂をSiOH含有量6重量%、分子量MW5000のメチルフェニルシリコーン樹脂とする以外はすべて同様にして皮膜厚さ0.6μmのキャリアBを得た。このキャリアの電気抵抗はLogR14.1Ωcm(50V/mm)、13.2Ωcm(250V/mm)であった。
【0030】
製造例3
製造例2において、メトキシメチル化ポリアミド固形分7部、シラノール型メチルフェニルシリコーン樹脂の固形分13部とする以外は全て同様にして皮膜厚さ0.6μmのキャリアCを得た。このキャリアの電気抵抗はLogR15.4Ωcm(50V/mm)、14.8Ωcm(250V/mm)であった。
【0031】
製造例4
製造例2において、メトキシメチル化ポリアミド固形分13部、シラノール型メチルフェニルシリコーン樹脂の固形分7部とする以外は全て同様にして皮膜厚さ0.6μmのキャリアDを得た。このキャリアの電気抵抗はLogR14.0Ωcm(50V/mm)、13.1Ωcm(250V/mm)であった。
【0032】
製造例5
製造例2において、さらにヘキサブトキシメチル化メラミン、トルエン、ブタノール混合溶液の固形分量2部相当を添加し、同様に皮膜を形成して皮膜厚さ0.6μmのキャリア粒子Eを得た。このキャリアの電気抵抗はLogR14.9Ωcm(50V/mm)、13.2Ωcm(250V/mm)であった。
【0033】
製造例6
製造例2において、さらにテトラブトキシメチル化ベンゾグアナミンのトルエン、ブタノール混合溶液の固形分量2部相当を添加し、同様に皮膜を形成して皮膜厚さ0.6μmのキャリア粒子Fを得た。このキャリアの電気抵抗はLogR15.1Ωcm(50V/mm)、13.8Ωcm(250V/mm)であった。
【0034】
製造例7
製造例4において、クエン酸に代えてアジピン酸を用いる以外はすべて同様にしてキャリアGを得た。このキャリアの電気抵抗はLogR14.4Ωcm(50V/mm)、14.0Ωcm(250V/mm)であった。
【0035】
製造例8
製造例5において、コート液に疎水性シリカR972の2部を添加し、ホモジナイザーで20分間分散して得られたコート液を用いて、皮膜を形成する以外はすべて同様にしてキャリアHを得た。このキャリアの電気抵抗はLogR14.7Ωcm(50V/mm)、14.4Ωcm(250V/mm)であった。
【0036】
製造例9
製造例6において、コート液にさらに粒子径0.3ミクロンのアルミナ微粒子1部を添加し、これをホモジナイザーで同様に分散して得られたコート液を用い、皮膜を形成する以外はすべて同様にしてキャリアIを得た。このキャリアの電気抵抗はLogR15.2Ωcm(50V/mm)、13.5Ωcm(250V/mm)であった。
【0037】
製造例10
製造例1において、シリコーン樹脂を用いない以外はすべて同様にしてキャリアJを得た。このキャリアの電気抵抗はLogR113.7Ωcm(50V/mm)、12.6Ωcm(250V/mm)であった。
【0038】
製造例11
製造例1において、200℃での追加熱をせずに、キャリア粒子を得た。このキャリアKの電気抵抗はLogR10.1Ωcm(50V/mm)、8.2Ωcm(250V/mm)であった。
【0039】
製造例12
メトキシメチル化ポリアミド(ナガセケムテック株式会社製、EF30T)10部、レゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト、PR51283)の固形分2部をメタノール80部に溶解し、さらに酢酸を用いてpH4とし、50℃にて3時間還流した。この溶液の固形分量に対してカーボンブラック(BP2000)5部、疎水性シリカ微粒子(R9725部、日本アエロジル社)を加え、さらに、メタノール80部、アセトン80部で希釈た液体をホモジナイザーで攪拌、分散して、コート液を得た。以下、製造例1と同様にしてキャリアLを得た。このキャリアの電気抵抗はLogR13.7Ωcm(50V/mm)、12.9Ωcm(250V/mm)であった。
【0040】
実施例1
製造例1で作成したキャリアA93部とIPSIO Color8000用黒トナー7部を混合し、現像剤とし、これをIPSIO Color8000に装填して、画像面積率12%、文字画像チャートを用いて10万枚の連続プリント試験を行なった。
【0041】
試験開始時、および、連続プリント終了時の現像剤を少量抜き出し、この現像剤中のキャリアの帯電量を測定した。また、10万枚プリント終了時の画像の地肌汚れ、現像剤の帯電量を同様に評価した。
現像剤の帯電量は、現像装置のスリーブ上から少量の現像剤を採取し、公知のブローオフ法に基づいて行なった。
キャリアの膜厚の測定は、キャリアを破砕し、走査型電子顕微鏡で観察して求めた。
地肌汚れの評価は目視評価で4段階の評価とした。
皮膜均一性は、SEM観察像から目視評価し、4段階で評価した。
スペント量は、現像剤から分離したキャリア1gをMEK、トルエンの1:1混合溶液10gに溶解し、その上澄み液を分光光度計にて320nm〜700nmの吸光度を測定し、その平均の吸光度を評価した。
評価結果を表1に示す。表中記載の記号は◎:大変良好、○:良好、△:若干不良、×:不良(×は許容不可のレベル)とした。
【0042】
実施例2〜9、比較例1〜3
実施例1においてキャリアAに換えてキャリアB〜Lをそれぞれ用いて(表1参照)、同様に現像剤とし、画像評価を行なった。結果を同様に表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明より明らかなように、本発明によると皮膜のアルコキシアルキル化ポリアミドおよびそれと相互に反応性を有する樹脂を用いた皮膜を設けたキャリアによって、皮膜の帯電性、磨耗性に優れたキャリアが提供される。さらに、用いる樹脂をシラノールを有するシリコーン樹脂とし、コート後の加温工程で触媒を作用させることにより、帯電の耐久性、使用環境による変化を低減することが可能となり、信頼性に優れたキャリアを提供できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】キャリア抵抗率の測定手段を説明する図である。
【符号の説明】
11 セル
12a 平行平板電極
12b 平行平板電極
13 キャリア
Claims (10)
- 磁性を有する微粉体表面に皮膜を有する形態を有し、該皮膜がN−アルコキシアルキル化ポリアミドと、少なくともシラノール基およびまたはシラノール誘導体を有するシリコーン(但し、櫛形シリコングラフトポリマーであるシリコン−α−メチルアクリル酸メチルを除く)を含む1種類以上の該N−アルコキシアルキル化ポリアミド樹脂と反応可能な樹脂の混合物から得られる縮合物を含有することを特徴とする静電潜像現像用キャリア。
- 前記皮膜が、触媒として沸点が100℃以上である固体有機酸を含有することを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記皮膜中にメチロールメラミンを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記皮膜中にメチロールベンゾグアナミンを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 印加電界50V/mmにおけるLogRが14以上であり、250V/mmにおける抵抗値がLogR16以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記皮膜中に低抵抗物質を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記低抵抗物質が導電性カーボンであることを特徴とする請求項6に記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記皮膜中に硬質微粒子を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記皮膜中の硬質微粒子が金属酸化物粒子であり、該金属酸化物粒子がSi、Ti、Alのいずれかの酸化物であることを特徴とする請求項8に記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記皮膜の金属酸化物粒子の含有量が皮膜重量の5%〜70%の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の静電潜像現像用キャリア。
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