JP3922401B2 - 表面に窪みを有する移動壁面上または壁面間でのオーステナイトステンレス鋼ストリップの連続鋳造方法と鋳造設備 - Google Patents

表面に窪みを有する移動壁面上または壁面間でのオーステナイトステンレス鋼ストリップの連続鋳造方法と鋳造設備 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属の連続鋳造に関するものであり、特に、1つの移動壁面上または2つの移動壁面間で液体金属を凝固させることによってステンレス鋼等の金属を薄いストリップ状に鋳造する連続鋳造設備に関するものである。
移動壁面は水平軸を有する内部から強制冷却された一本または2本のロールの側面で構成することができる。
【0002】
【従来技術】
液体金属から薄鋼板を直接鋳造する方法は近年急速に進歩した。現在最も早く工業的に実用化されると思われる方法は2本のロールを用いた鋳造方法で、この方法では、水平軸を中心に互いに逆方向に回転する内部から冷却された2本のロールを、鋳造するストリップの所望厚さにほぼ等しい(例えば数mm)のロール表面間距離で向かい対向して配置する。液体鋼を収容する鋳造空間はストリップが凝固を開始するロール側面とロール両端に当接した耐火性の側部密閉板とによって区画される。ロールの代わりに2つの冷却された移動ベルトを使用する場合もある。厚い製品を鋳造するために、1本のロールの冷却された表面上に液体金属を堆積させ、凝固させる方法も提案されている。
【0003】
ストリップの表面がそのまま使える高い品質を有することが鋳造操作を成功させる基本要素である。事実、液体金属から薄鋼板を直接鋳造する主たる目的は、通常の厚い中間鋳造物の熱間圧延操作を不要にするか、大幅に短縮することにある。厚い鋼造物の場合には研磨によって表面の欠陥が除去でき、大きく圧延することによって欠陥は大幅に修復、回復することができる。これに対して薄板ストリップの鋳造では鋳造直後にほぼ欠陥のない表面を得ることが必要である。薄板ストリップでは特に「マイクロクラック」とよばれる表面の小さな割れをできるだけ減らす必要がある。このマイクロクラックはストリップを最終厚さにするための冷間圧延後の最終製品の品質を損なう原因になる。
【0004】
このマイクロクラックは一般に深さが約40μmで、裂け目の長さは20μm以下であり、凝固中に偏析する元素、例えばニッケルやマンガンを多く含む領域である。従って、この欠陥はロール上で金属が凝固する際に生じることは明らかである。この欠陥発生の原因は金属凝固時の収縮に関係し、その程度は凝固経路、従って、鋳造金属の組成に依存する。
凝固に関連する熱伝達を支配するという点で鋼とロール表面との間の接触状態も重要である。これは主としてロール表面の粗さによって支配され、ロール表面が完全に平滑でない場合には、凝固中に表面の凹部に存在する気体の種類によっても支配される。事実、この気体は金属とロールとの間に「ブランケット」を形成し、このブランケットが熱伝達に与える影響はその種類と存在量に依存する。これら2つのパラメータを支配するものは、金属表面がロールと接触する「メニスカス」とよばれる領域で大気による酸化から液体金属を保護するために用いられる鋳型不活化装置である。一般に、熱伝達は液体金属に対する溶解度が大きい不活化ガス、例えば窒素を用いた場合の方が液体金属に溶解しない不活性ガス、例えばアルゴンを用いた場合よりも強くなる。
【0005】
欧州特許第 0309247号ではロール表面を窪み(以下、ディンプルともいう)を付けて粗くしている。実際には直径が 0.1〜1.2 mmで深さが5〜100 μmの円形または楕円形の穴をエッチングで形成している。
欧州特許第 0409645号には不活化ガスの種類が記載されており、窪みを付けると同時に液体金属に可溶なガス(窒素、水素、二酸化炭素またはアンモニア)と不溶なガス(アルゴンまたはヘリウム)との混合物を用いることが提案されている。金属に対する溶解度が過剰に高い不活化ガスを用いた場合には金属が窪みの底部まで侵入する現象が防止されないという危険がある。この場合、急速に凝固が起こり、(表面が完全に平滑な場合同様に)マイクロクラックが生じ、さらにストリップ表面に窪み逆の凸凹模様残る。反対に、全く不溶なガスは過度に拡散してストリップ表面に穴を開ける危険がある。
窪みを形成する方法としてはレーザー加工(欧州特許第 0577833号)やショットピーニング(日本国特許第 6134553号や第 6328204号)が提案されている。いずれ特許でも窪みは互いに接触しておらず、平ら又はわずかに粗い領域を介して互いに隔てられている。
【0006】
欧州特許第0396862 号では幅10μm〜1mm、深さ30〜500 μmの周方向の溝を50μm〜3mm間隔でロール表面に設ける方法が提案されている。
国際特許第95/13889号には、表面上に深さ10〜60μmの円周方向凹凸溝を 100〜200 μm間隔で設けたロールの製造方法が記載されている。この特許のエッチング形状は特定の金属組成に対応している。例えばSUS 304 型のオーステナイト系ステンレス鋼の場合、Crequ /Niequ 比は 1.6以下でなければならず、好ましくは1.55以下である。この条件は金属の凝固が一次オーステナイト相で起きなければならないということである。Crequ /Niequ 比が上記の値よりも大きい場合には、ストリップにワニ革状の窪みが生じ、マイクロクラックができる。
【0007】
この種のオーステナイトステンレス鋼は高温割れに対して非常に弱いことが経験的に分かっている。従って、長手方向に大きな割れが生じる危険があり、少なくともマイクロクラックと同じ深刻な問題になる。この問題を解決するために、金属中に存在する脆弱化元素、例えば硫黄やリン等の量を大幅に減らす必要である。その結果、原材料の選択および/または液体鋼の精錬方法が制限され、従って、製品の製造コストが上昇する。
【0008】
上記の方法は、平滑ロール上または粗さが制御されていないロール上で鋼を鋳造する場合に比べればマイクロクラックの発生は大幅に少なくなるが、多くの場合、依然として製品にマイクロクラックの発生が見られるという点で不十分である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、残留元素含有量を極端に減らした液体金属を用いずに、マイクロクラックおよび長手方向割れを可能な限り減らした例えばSUS 304 型(これに限定されるものではない)のオーステナイト系ステンレス鋼の厚さ数mmの薄板ストリップの鋳造を可能にする方法を提案することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、外側表面にディンプル(窪みを有する移動壁面上または2つの移動壁面間で鋳造する鋳造機械を用い、この鋳造機械のメニスカス付近の領域を制御された組成を有する不活化ガスで不活化しながら、下記組成(重量%):C≦0.08%、Si≦1%、Mn≦2%、P≦0.045 %、S≦0.030 %、17.0≦Cr≦20.0%、8.0 %≦Ni≦10.5%を有する液体金属からオーステナイト系ステンレス鋼ストリップを直接連続鋳造する方法において、
下記 (a)〜(C) を特徴とする方法を提供する:
(a) 液体金属の Crequ /Niequ 比を1.55以上とし、ここで、
Cr equ=%Cr+1.37×%Mo+1.5 ×%Si+2×%Nb+3×%Ti
Ni equ=%Ni+0.31×%Mn+22×%C+14.2×%N+%Cu
(b) 移動壁面全体に不活化ガスが上記金属の表面を均一に冷却するように互いに接触したディンプル(窪み)が形成されており、各ディンプル(窪み)の直径 100〜1500μmで、深さ20〜150μmであり
(c) 少なくとも部分的に鋼に可溶な気体からなる不活化ガスを使用する。
【0011】
【発明の実施の形態】
好ましい実施例では、移動壁は水平軸を有し、互いに反対方向に回転する冷却された2本のロールの外側表面で構成される。
本発明の他の対象は上記方法を実施するための鋳造設備にある。
本発明は金属の組成に関する条件と、鋳造表面の粗さの条件と、不活化ガスの組成とを組合わせることによって達成されたものであることは理解できよう。
【0012】
既に述べたように、高温割れ対して感受性の高い金属の薄板ストリップは、凝固時に長手方向の割れを生じる危険が高い。この問題を解決するために、本発明では、ストリップの凝固が完全に一次オーステナイト相で起こるのではなく、一次フェライトを含む相で起こる方法を提案する。しかし、フェライトからオーステナイトへの変態に関連して金属の凝固時におこる収縮を最大限抑制するには、一次フェライトの割合は大きすぎてはならない。以上の条件下で上記結果を達成するためには重量組成%で、C≦0.08%、Si≦1%、Mn≦2%、P≦0.045 %、S≦0.030 %、17.0≦Cr≦20.0%、8.0 %≦Ni≦10.5%を有するオーステナイト系ステンレス鋼(例えば、AISI規格によるSUS 304 型)がさらに下記条件:
Cr equ/Niequ >1.55、好ましくは1.55<Cr equ/Niequ <1.70
を満足しなければならない。Cr equ/Niequ が1.55〜1.70であれば、凝固終了前に始まるフェライト−オーステナイト変態に起因する体積変化が非常に小さくなり、液体金属の添加によって容易に補償される。Cr equ/Niequ が1.70以上になると、鉄−オーステナイト変態に起因する収縮が増大し初め、マイクロクラックの減少率が小さくなる。
【0013】
Cr equ/Niequ 比は下記の Hammar とSwenssonの式から計算される:
Cr equ=%Cr+1.37×%Mo+1.5 ×%Si+2×%Nb+3×%Ti
Ni equ=%Ni+0.31×%Mn+22×%C+14.2×%N+%Cu
この特定の鋼組成が表面欠陥を減少させる役割を完全にはたすためには、それと同時に鋳造ロールの表面全体が極めて均一な熱伝達をするようなロール表面の構造にする必要がある。この観点からは、従来一般に使用されている構造すなわち鋳造表面を平滑またはほとんど凸凹のない領域で互いに隔てられたエッチング領域(溝または窪み)にした構造は十分とはいえない。事実、一つの窪みから別の窪みへガスが移動できないために、金属が冷却されたロールと直接接触する比較的広い部分と、冷却条件を緩和するブランケットと金属が接触する同様に広い部分とが激しく交互する。このような2つの領域が交互する現象はストリップを均一に冷却する上で有害であり、凝固中に鉄−オーステナイト変態を起し易い金属を鋳造する場合の主たる問題点になる。
【0014】
この条件下で、ロール表面に互い接触する窪みを付けることによって金属とロールとは直接接触する領域がほとんど残らなくなり、不活化ガスは一つの窪みから別の窪みへ移動することができ、所望の均一な冷却が達成できる。凸凹の突出部は凝固開始点の役目をし、窪んだ部分は凝固中の金属にとって「収縮継手」の役目をする。従って、ロール表面の窪みと窪みの間が平らかほとんど凸凹がない場合に比べて歪みの分布状態が向上する。当然、表面が完全に平滑なロールを用いても均一な冷却は達成できるが、その場合には冷却があまりにも急激に起こることになり、フェライト−オーステナイト変態を吸収する収縮継手の利点を利用することができないため、多数の割れ目が生じることになろう。また、ガスの組成や流量を変えることによって熱伝達強度を変化させことができなくなる(これらを変えられれば例えば鋳造中にロールのクラウンを調節することができる。フランス国特許第2 732 627 号参照)。
【0015】
国際特許第95/13889号に記載のような溝ではなく、窪みを用いることでロール表面がランダム特性になり製品の幅方向における凝固がより均一になる。
所望の結果を得るためには、互いに接する窪みの直径は、少なくともほぼ円形の場合に、100 〜1500μmでなければならない。窪みが楕円形でもよいことは言うまでもない。この場合、円形の窪みとほぼ同じ表面積を有するような寸法にしなければならない。窪みの深さは20〜150 μmである。
【0016】
窪みは公知の通常の手段、例えばレーザー加工、フォトエッチングまたはショットピーニングでロールに形成することができる。特に、ショットピーニングの場合、所望寸法を有する窪みを形成するためには、ロールの銅スリーブの表面を通常覆っているニッケル層の機械特性を考慮しなければならないことは明白である。
窪みの寸法は、周囲ガスがロール表面とメニスカスとの間で窪み内にトラップされる少なくともメニスカス領域では使用した不活化ガスの組成に合致したものでなければならない。例えば、鋼に不溶な純粋なアルゴンは使用できない。すなわち、アルゴンによって形成される「ブランケット」が厚くなり過ぎ、鋼とロールとの接触が不均一になり、従って、金属シェルとロールとの間の接触ポイント/非接触ポイントの差が著しく急激になり、大きな温度差が生じ、凝固、従って金属シェルの固化が遅くなり、クラックが発生し易くなる。
【0017】
反対に、窒素のような溶け易い純粋なガスの場合には、上記定義の範囲の上限値の直径で、深さが浅い窪みでは適さないことになる。そのようなガスは鋼が窪み内に深く侵入するのを阻害できず、ロールとの間に広い接触領域ができる。従って、解決しようとした問題が再び生じるだけでなく、ストリップにロールの凸凹の「ネガ」が複製される危険がある。従って、所定の窪みおよび金属組成に対してメニスカス領域に存在する不活化ガスの組成をどのようにするのが最適であるかは模型および/または実験によって決定する必要がある。最も一般的には、窒素(50〜100 %)とアルゴン(0〜50%)とからなる不活化ガスを使用する。この不活化ガスを直径が 700〜1500μmで、深さが80〜120 μmの互いに接触した窪みと組み合わせて用いてCr equ/Niequ 比が1.55〜1.70であるSUS 304 型のステンレス鋼を鋳造することによって非常に優れた結果が得られる。
【0018】
連続鋳造用機械には、メニスカス領域の大気組成を十分に制御するための不活化装置を備える必要がある。そのためには、フランス国特許第2 727 338 号に記載の装置を利用することができる。また、その他の任意の同等な装置を使用することができる。
最終製品の表面品質をさらに向上させるために、鋳造直後にインラインで、温度 800〜1200℃、圧下率5%以上の熱間圧延を行うことができる。これによって鋳造しただけのストリップの粗さを減少させることができ、冷間圧延後の最終製品に優れた外観を与えることができる。
【0019】
【実施例】
〔表1〕は例として2本のロール間で鋳造したストリップで測定したマイクロクラックの数(dm2 当たり)に対するCr equ/Niequ 比の影響を示したものである。この結果は平均直径が 600および1,000 μmである2通りの窪みを用い、90%の窒素と10%のアルゴンとからなる不活化ガスを用いて得られたものである。各試験に対応する鋼の組成を〔表2〕に示す。これらの鋼はSUS 304 型のオーステナイトステンレス鋼で、残留元素含有率は特に低いものではない。
【0020】
【表1】
Figure 0003922401
【0021】
【表2】
Figure 0003922401
【0022】
結果から明らかなように、窪みの平均直径が1000μmの場合、表面にマイクロクラックが全く存在しないか、ほとんど存在しないストリップはCr equ/Niequ 比が1.69以下の時に得られる。一般に、マイクロクラック密度(/dm2)が40以下の場合が良い結果といえる。この基準からいうと、直径の小さい方の窪みを用いた場合(600μm)の結果はさらに劣る。しかし、いずれの大きさの窪みを用いた場合でも、得られたストリップには、Cr equ/Niequ 比が1.40の場合を除いて、長手方向のクラックが存在しないことは強調されるべきである。裸眼で見える長手方向のクラックが存在することは、それが圧延後の製品にも残って製品が完全に使用に適さないものになってしまうことを意味するので、全く許されない欠陥である。既に述べたように、Cr equ/Niequ 比が1.55以下の鋼でそのような長手方向のクラックを発生させないようにするには、脆弱化元素(特に硫黄とリン)の含有率を低下させる必要がある。しかし、それは製造コストを大幅に上昇させることにある。本発明の鋳造条件の組合せを用いると、この問題は解決する。
【0023】
マイクロクラックの発生に対する窪み直径の影響についても詳細に検討した。結果を〔表3〕に示す。Cr equ/Niequ 比が1.63および1.80に相当する二種類のグレード(詳細な組成は〔表2〕を参照)を用いた。不活化ガスは90%の窒素と10%のアルゴンとで構成される。
【0024】
【表3】
Figure 0003922401
【0025】
この実施例からマイクロクラック密度の点で最も優れた結果は、窪みの直径が約 700〜1500μmで、Cr equ/Niequ 比が1.63の場合に得られることがわかる。検査した全ての試験片について長手方向のクラックは観察されなかった。
〔表4〕は不活化ガスの組成(この場合は鋼に対する溶解性)の影響に関する検討結果を示している。試験は窪みの平均直径が1000μmであるロールを用いて行った。
【0026】
【表4】
Figure 0003922401
【0027】
アルゴン含有率が50%以下で、Cr equ/Niequ 比が1.63の場合に優れた結果が得られることがわかる。最良の結果はアルゴン/窒素比が10/90〜20/80の場合に得られる。しかし、アルゴンが50%以上では、ロール上の凸凹が「ネガ」としてストリップ上に刻印されるので、この範囲の値は避けることが望ましい。
〔表5〕は鋳造直後に行ったインライン圧延がストリップの粗さRaに与える影響を示す。この結果は平均直径が1000μmの窪みを有するロールで90%の窒素と10%のアルゴンとからなる不活化ガスを用いて鋳造したCr equ/Niequ 比が1.63のストリップに対する影響を示している。
【0028】
【表5】
Figure 0003922401
【0029】
ストリップの粗さは圧延時の圧下率を高くすると減少する。従来法で熱間圧延を行わない時に得られるストリップの粗さの値Raは少なくとも約 4.5μmであるので、本発明の最適条件下でそれよりも低い粗さ値を得るには、圧下率を5%にすれば十分である。
本発明は、一つの移動壁面上または2つの移動壁面間で薄い金属製品を鋳造するための機械、例えばシングルロール鋳造装置またはツインベルト鋳造装置に適用できる。これらの設備の主たるポイントは所定の鋼の組成に対して、液体金属と接触する鋳造表面が上記特徴を備えた粗さを有し、しかも、メニスカス領域での周囲気体を上記のように調製することにある。

Claims (8)

  1. 外側表面にディンプル(窪み)を有する移動壁面上または2つの移動壁面間で鋳造する鋳造機械を用い、この鋳造機械のメニスカス付近の領域を制御された組成を有する不活化ガスで不活化しながら、下記組成(重量%):C≦0.08%、Si≦1%、Mn≦2%、P≦0.045 %、S≦0.030 %、17.0≦Cr≦20.0%、8.0 %≦Ni≦10.5%を有する液体金属からオーステナイト系ステンレス鋼ストリップを直接連続鋳造する方法において、
    下記 (a)〜(C) を特徴とする方法:
    (a) 液体金属の Crequ/Niequ比を1.55以上とし、ここで、
    Crequ=%Cr+1.37×%Mo+1.5×%Si+2×%Nb+3×%Ti
    Niequ=%Ni+0.31×%Mn+22×%C+14.2×%N+%Cu
    (b) 上記ディンプルは移動壁面全体に形成されており、各ディンプルは不活化ガスが上記金属の表面を均一に冷却するように互いに接触し、ディンプルとディンプルとの間は平らでなく、凹凸があり、各ディンプル(窪み)の直径は 100〜1500μmで、深さは20〜150μmであり、
    (c) 少なくとも部分的に鋼に可溶な気体からなる不活化ガスを使用する。
  2. Crequ/Niequ比を1.55〜1.70にする請求項1に記載の方法。
  3. ディンプル(窪み)の直径が700〜1500μmで、深さが80〜120μmである請求項1または2に記載の方法。
  4. 不活化ガスが50〜100%の窒素と0〜50%のアルゴンとからなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 鋳造直後にストリップを温度 800〜1200℃、圧下率5%以上で熱間圧延する請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 移動壁面がいに反対方向に回転する水平軸を有する2本の冷却ロールの外側表面で構成される請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. ディンプル(窪み)を有する一つまたは2つの冷却された移動壁面と、メニスカス周囲の気体の組成を制御するための装置とを有する上記移動壁面上で金属を凝固させて薄い金属製品を連続鋳造する設備において、
    上記ディンプルは移動壁面全体に形成されており、各ディンプルは不活化ガスが上記金属の表面を均一に冷却するように互いに接触し、ディンプルとディンプルとの間は平らでなく、凹凸があり、各ディンプル直径が 100〜1500μm、深さが20〜150 μmであることを特徴とする設備。
  8. 移動壁面が、水平軸を有し、互いに反対方向に回転する2本の冷却ロールの外側表面で構成される、請求項7に記載の薄い金属製品の連続鋳造設備。
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