JP3922373B2 - プロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの安定化方法 - Google Patents

プロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの安定化方法 Download PDF

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本発明はプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの安定化に関する。
生体内のコリンエステラーゼは農薬・殺虫剤などの薬物に暴露した場合、活性が阻害されることが知られており、薬物中毒症の診断に有用なマーカーである。
コリンエステラーゼを測定する方法は数種類知られているが、正確性、迅速性、経済性などの点で酵素法が優れており、特にp-ヒドロキシベンゾエート ヒドロキシラーゼ と プロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼ を使用した測定法が優れており、これら酵素の製造方法および酵素を用いた分析方法に関して多くの報告がある。
上記のようにプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼはp-ヒドロキシベンゾエート ヒドロキシラーゼと共にコリンエステラーゼを測定する為に必要な酵素であるが、従来品は酵素製品粉末の安定性が悪く、乾燥状態で室温(25℃)保管した場合に2週間で初期活性の40%が失活し、乾燥状態で冷凍保存した場合でも一年間で20%程度失活する。
酵素製品の安定性が不良である事は、派生する管理業務、分析業務が増える事を意味する。
例えば、通常酵素製品粉末は冷凍保存されているが、使用時開封する場合、吸湿を避ける為に予め室温にまで製品温度を上昇させる必要がある。現在市販されているプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼはこの様な短時間の温度上昇によっても活性が低下してしまう事が知られており、酵素を分包した容器毎の温度履歴管理が必要になる。
更に、酵素法で測定試薬を調製する際、添加すべき活性量は正確に秤量されなければならないが、活性変動が大きな酵素粉末を取り扱う場合、調合の都度、その時点の活性を測定し添加量を計算しなおさなければならない。酵素粉末の力価を正確に評価するためには、粉末の秤量・溶解、測定用試薬の調製を含め熟練した分析作業員でも半日が必要であり、作業負担が大きい。
酵素の活性が低下していくことは、活性で評価される酵素製品の価値が低下するだけではなく、失活した酵素蛋白の析出による濁りの生成を招き、これを原料とした分析試薬の性能に致命的な欠陥を与える。
このように酵素粉末の安定性の確保は重要な問題であるにも関らず、プロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの製品化条件について先行特許文献および非特許分析にも何ら記載が無く、酵素活性の安定化に関する技術情報は極めて乏しい状態であった。(特許文献1〜3、非特許文献1及び2)
特許登録番号 2756800 「コリンエステラーゼ測定用試薬組成物」 特公平 2-36237 「p−ヒドロキシ安息香酸測定用試薬組成物」 特開昭 60-153793 「酵素の製造方法」 衛生検査,vol.34,No.4,729-733,1985 Biochemistry,vol36,No.33,10052-10066,1997
本発明が解決しようとする課題は、安定化剤の選定によりプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの保存安定性を向上させ酵素製品の長期保存を可能にするとともに、活性変動により派生する管理業務・分析業務を低減させ、失活した酵素蛋白がコリンエステラーゼ測定試薬中で析出することによって生じる不具合を回避することである。
本発明者はプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼ製品の安定性を向上させるために当該酵素の安定化剤となり得る物質を種々検討し、糖類の一部にプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの安定化効果を有するものを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下のプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの安定化方法及び安定化された凍結乾燥品の製造方法に関する。すなわち、
(1)アルドヘキソース、ケトヘキソース、ヘキソースを還元してなる糖アルコール、ヘキソースの誘導体、オリゴ糖、水溶性中性多糖からなる群から選ばれる少なくとも1種を安定化剤として添加する事を特徴とするプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの安定化方法;
(2)ヘキソースが、D-グルコース、D,L-ガラクトース、D-マンノース、D-タロース、L-ソルボース、D-タガロースから選ばれ、糖アルコールがグルシトール、マンニトールおよびイノシトールから選ばれ、ヘキソース誘導体がサリシンであり、オリゴ糖がマルトース、イソマルトース、セロビオース、トレハロース、ラクトース、スクロース、ラフィノース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオース、γ-シクロデキストリン、α-シクロデキストリン及びβ-シクロデキストリンからなる群から選ばれ、
水溶性の中性多糖類がイヌリン、アミロース、アミロペクチン、デキストリン及びプルランからなる群から選ばれる、(1)記載のプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの安定化方法;
(3)安定化剤が、D-グルコース、マルトペンタオース、トレハロース、サリシン、L-ソルボース、セロビオース、D-ガラクトース、サッカロース、マルトース、マルトトリオース、イヌリン、プルラン、マルトテトラオース、D-フルクトース、イソマルトース、D-マンノース、マンニトール、ラクトース、グルシトール、γ-シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン及びmyo-イノシトールからなる群から選ばれる少なくとも1種である(1)記載の方法;
(4) アルドヘキソース、ケトヘキソース、ヘキソースを還元してなる糖アルコール、ヘキソースの誘導体、オリゴ糖、水溶性中性多糖からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼ水溶液を凍結乾燥することを特徴とする安定化されたプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼ凍結乾燥品の製造方法;である。

本発明は、プロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの安定化にアルドヘキソース、ケトヘキソース、ヘキソースを還元してなる糖アルコール、ヘキソースの誘導体、オリゴ糖、水溶性中性多糖からなる群から選ばれる特定の糖類を使用する。

ヘキソースとは炭素数6の単糖の総称であり、アルデヒド基を持つアルドヘキソース、ケト基を持つケトヘキソースに分類される。これらは水酸基の結合によって異性体が存在し、不斉炭素を持つためそれぞれに対して対掌体が存在する。また、同様にヘキソースの還元によってなる糖アルコールにも対掌体が存在し光学活性を有する物がある。これらはD体、L体として識別されるが、いずれも本発明の安定化剤として利用する事が出来る。
単糖は鎖状構造よりもヘミアセタールまたはヘミケタールの環状構造を取ることが多いが、環状構造を取るために生じるヒドロキシル基によりαおよびβ型のアノマーが生成する。α、β-アノマーは、糖が水溶液中でアノマー変換によって相互に変化するが、溶液の条件を規定した時に数時間で比率が安定し平衡状態に達する。このα、β-アノマーは生物学的に別の物質として厳密に区別され、生体内では作用する酵素も別個に存在する。
本発明は、安定化剤として使用する糖のアノマー比率を制限しない。このため、例えば添加した糖が平衡状態に達する前に酵素液を凍結乾燥しても良いし、平衡状態に達するのを待って凍結乾燥しても良い。
少糖類・多糖類は結合する単糖の数により10個程度を境に便宜的に分類されている。これらには単一種類の糖によって構成されるホモサッカライド、異種の糖によって構成されるヘテロサッカライドがある。多糖類のうち、ヘテロサッカライドを構成する単糖には糖の誘導体も含め、ウロン酸やエステル硫酸を含む場合は酸性多糖、中性糖のみのものを中性多糖と呼ぶ。
本発明の安定化剤のオリゴ糖及び水溶性中性多糖として、ホモサッカライド、ヘテロサッカライドの何れも使用することが可能である。
本発明で言うプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの酵素製品は、製品として市場に流通する形態なら乾燥粉末品、凍結乾燥品、懸濁液、溶液など形状を問わない。安定性の面からは乾燥品(とくに凍結乾燥品)が優れる。また、取扱いの面からは液状品(とくに溶液)が優れる。
本酵素を製品化する場合、緩衝液の種類は特に限定されず、生化学の分野で一般的なものを使用する事が出来るが、酵素の安定pH域に緩衝能のある物が好ましい。例えば、リン酸カリウム塩(K-リン酸)、リン酸ナトリウム塩、トリス塩、酢酸、りんご酸、マレイン酸などの有機酸塩、PIPES,TES,MOPS,HEPES、BisTris,Bicine等の各種Good bufferを使用することが出来る。安定pH域は必ずしも至適pH域と一致するとは限らない。本発明者らの検討によれば、例えば、シュードモナス属由来のプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの場合、この酵素のpH安定域から製品化時の下限は好ましくは6.0、さらに好ましくは6.5、最も好ましくは7.0である。pH上限は好ましくは10.5、さらに好ましくは10.0、更に好ましくは9.5である。
緩衝液濃度は希薄過ぎると緩衝能が弱いため、酵素溶液のpHが変動し易く好ましくない。逆に高濃度緩衝液を用いて凍結乾燥する場合、酵素液を凍結する過程でその一部が不凍液となり、製品中酵素の失活や、粉末形状および溶解性の不良を招くため、過度に高濃度な緩衝液の使用は避けるべきである。これらのことより緩衝液濃度の下限は5mM以上、好ましくは10mM以上である。緩衝液濃度の上限は1000mM以下、好ましくは800mM以下、更に好ましくは600mM以下である。
また、プロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼは金属酵素なので、EDTA、o-Phenanthrolineなどの金属キレート剤や,還元剤を添加しない事が望ましい。一方、これらの金属キレート剤を防腐などの目的で添加したほうが好ましい場合もありうるが、そのような場合は添加濃度は酵素の安定性を損ねない程度に最低限に留める事が望ましい。
安定化剤の添加量は酵素に対して少なすぎると効果が無く、逆に多すぎても製品中の酵素蛋白が希釈されてしまい失活を招くことがある。安定化剤の添加量と酵素の添加量の比率が同じであっても、安定化効果は、さらに酵素蛋白質の濃度によっても変動する。一般的に、酵素濃度が高いと、必要な安定化剤の添加濃度の範囲は低下する傾向にあると考えられる。
プロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼを凍結乾燥品にする場合、酵素溶液の蛋白濃度は、希薄過ぎると凍結乾燥投入時の液量が大きくなり乾燥に長時間を要し、精製する氷の結晶も大きくなるため乾燥中の活性低下の原因になり得る。逆に蛋白濃度が高すぎると乾燥品化した場合に溶解性が低下するとともに、蛋白質が析出して濁質生成の原因となり、濁質生成量が大きい場合活性回収率の低下を招く。
このため、酵素を凍結乾燥する場合の蛋白濃度の下限は好ましくは1.5mg/ml、さらに好ましくは3.5mg/mlである。蛋白濃度上限は好ましくは200mg/ml、さらに好ましくは100mg/mlである。
以上のような観点から、糖類をプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの安定化剤とする場合、安定化剤の添加量は、乾燥品(凍結乾燥品を含む)では:
凍結乾燥する場合の酵素蛋白質濃度が0.3%(w/w)から2%(w/w)の場合、安定化剤の添加量下限は酵素蛋白重量に対して好ましくは30%、さらに好ましくは50%、最も好ましくは100%である。安定化剤の添加量上限は酵素蛋白重量に対して好ましくは2000%、さらに好ましくは1500%、最も好ましくは1000%である
凍結乾燥する場合の酵素蛋白質濃度が3%(w/w)から10%(w/w)の場合、安定化剤の添加量下限は酵素蛋白重量に対して好ましくは3%、さらに好ましくは10%、最も好ましくは20%である。安定化剤の添加量上限は酵素蛋白重量に対して好ましくは1000%、さらに好ましくは500%、最も好ましくは300%である。
液状品では、安定化剤の添加量下限は溶液の重量に対して好ましくは0.05%(w/w)、さらに好ましくは0.1%(w/w)、最も好ましくは1%(w/w)である。添加量上限は酵素蛋白重量に対して好ましくは20%(w/w)、さらに好ましくは10%(w/w)、最も好ましくは5%(w/w)である。
酵素は蛋白質であるため本質的に保存中に活性が低下していくものであり、製品の安定化は、初期活性の完全保持を意味しない。本発明で言う安定化は製品保存後の活性残存率が高いことを言い、具体的には、25℃で2週間保管した場合の活性残存率が70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上保持する事を言う。乾燥品の場合は、好ましくは、乾燥品中の酵素蛋白含量が25%(w/w)から75%(w/w)である製品を、乾燥条件下で保管した場合である。また、液状品の場合は、好ましくは、液中の酵素蛋白含量が0.01%(w/w)から10%(w/w)である製品を、保管した場合である。
糖類を酵素の安定化剤として使用するためには、一般に市販され容易に入手可能である事が望ましい。
このようなヘキソースは、アルドヘキソースとしてD-グルコース、D,L-ガラクトース、D-マンノース、D-タロースが、ケトヘキソースとしてL-ソルボース、D-タガロースが、糖アルコールとしてグルシトール、マンニトール、イノシトールが好適である。
また、オリゴ糖として、マルトース、イソマルトース、セロビオース、トレハロース、ラクトース、スクロース、ラフィノース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオース、γ-シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリンなどが挙げられ、水溶性の中性多糖としてイヌリン、アミロース、アミロペクチン、デキストリン、プルランなどが挙げられる。
ヘキソース誘導体としては、サリシン、アルキルグリコシド(例えばメチルグリコシド、エチルグリコシド、プロピルグリコシド、ブチルグリコシド、ペンチルグリコシド、ヘキシルグリコシド、ヘプチルグリコシド、オクチルグリコシドなど)が挙げられる。
以下実施例を挙げて発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
プロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼはシュードモナス属細菌由来の製品を使用した。
プロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの酵素活性は、プロトカテキュ酸を基質とし、その消失量を290nmの吸光度の変化で測定することにより測定した。具体的方法を以下に示す。
0.4mM、プロトカテキュ酸溶液、50mM、トリス酢酸緩衝液(pH7.5(25℃))を調製し、以下の測定のための原液とした。また、測定試料(酵素溶液)は、予め氷冷した50mM、トリス酢酸緩衝液(pH7.5(25℃))で1.0mg/ml以上溶解し、分析直前に同緩衝液で0.2〜0.8U/mlに希釈した。
各反応は、0.4mM、プロトカテキュ酸溶液を3.0ml取り、37℃で約5分間予備加温した後、測定試料(酵素溶液)0.05mlを添加し、混和後、37℃に制御された分光光度計で290nmの吸光度を3〜4分間記録し、その初期直線部分から1分間当たりの吸光度変化を求めた(ΔODtest)。盲検(blank)は酵素溶液の代わりに50mM、トリス酢酸緩衝液(pH7.5(25℃))を0.05ml加え上記同様に操作を行って1分間当りの吸光度変化量を求めた(ΔODblank)。
得られた吸光度変化量より下記計算式に基づきプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの酵素活性を算出した。なお上記条件下で1分間に1マイクロモルのプロトカテキュ酸を酸化する酵素量を1単位(1U)とする。
計算式
活性値(U/ml)={ΔOD/min(ΔODtest-ΔODblank)×3.05(ml)×希釈倍率}/{3.8×1.0(cm)×0.05(ml)}
3.05ml=反応混液液量
3.8=プロトカテキュ酸の上記測定条件下でのミリモル分子吸光係数
1.0cm=セルの光路長
0.05ml=酵素サンプル液量
プロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼを10mMのリン酸カリウム緩衝液 pH7.5で15mg-protein/mlの濃度に調製し、単糖類、少糖類、多糖類および糖の誘導体をそれぞれ20mg/mlになるように添加溶解し、これを凍結乾燥により粉末化した。
得られた凍結乾燥粉末を乾燥条件下25℃で2週間保存し、初期活性を100%として活性残存率を求めた。結果を(表-1)に示す。
Figure 0003922373
この結果から解る様に、
ヘキソース(表中ではD-グルコース、L-ソルボース、D-ガラクトース、D-マンノース)
ヘキソースの還元によってなる糖アルコール(表中ではグルシトール、マンニトール、myo-イノシトール)
少糖類(表中ではマルトース、スクロース、ラクトース、トレハロース、イソマルトース、セロビオース、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース)
水溶性中性多糖類(表中ではイヌリン、プルラン)
ヘキソースの誘導体(表中ではサリシン)
に安定化効果がみられる。
このように、ヘキソース、ヘキソースの還元による糖アルコール、少糖類、水溶性中性多糖類、ヘキソースの誘導体にはプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの安定化効果が見出せるが、D-キシロース、D-リボース、キシリトールのようなペントース及びペントースの還元により生成する糖アルコール、ヘパリンの様な酸性アミノ糖は逆に当該酵素の安定性を低下させる作用が認められる。
プロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼを10mMのリン酸カリウム緩衝液pH7.5で15mg-protein/mlになるように調製し、酵素蛋白当りのグルコースの添加濃度を0:1から20:1の範囲で変化させ、凍結乾燥により粉末化した。得られた凍結乾燥粉末を乾燥条件下25℃で2週間保存し、初期活性を100として活性残存率を求めた。結果を(表-2)に示す。
Figure 0003922373
この結果より、グルコースは広い添加濃度範囲でプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼを安定化することが分る。上記条件で凍結乾燥した場合、添加範囲として、グルコース:蛋白の比率が0.2:1以上が好ましく、0.5:1から20:1である事がより好ましく、1.5:1から10:1である事が更に好ましい。
プロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼを20mMのリン酸カリウム緩衝液pH7.5で3.5mg-protein/mlから20mg-protein/mlになるようにそれぞれ調製し、グルコースを20mg/ml濃度に添加溶解して凍結乾燥粉末化した。得られた凍結乾燥粉末を乾燥条件下25℃で2週間保存し、初期活性を100として活性残存率を求めた。その結果を(表-3)に示す。
Figure 0003922373
凍結乾燥時の酵素蛋白濃度が低い場合は活性低下し易いが、蛋白濃度が3.5mg/mlといった希薄な条件下においてもグルコースの安定化効果が示された。
プロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼを10mMから1000mMのリン酸カリウム緩衝液pH7.5でそれぞれ15mg-protein/mlになるように調製し、グルコースを20mg/ml濃度に添加溶解して凍結乾燥粉末化した。得られた凍結乾燥粉末を乾燥条件下25℃で2週間保存し、初期活性を100として活性残存率を求めた。その結果を(表-4)に示す。
Figure 0003922373
この結果から解る様に、プロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの凍結乾燥粉末化時の緩衝液濃度は1000mMまで使用することが出来るが、製品粉末の溶解性を考慮すれば800mM以下が好ましく600mM以下の濃度が更に好ましい。
プロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼを、各種バッファーを用いて15mg-protein/mlになるように調製し、それぞれグルコースを20mg/mlになるように添加溶解して凍結乾燥粉末化した。得られた凍結乾燥粉末を乾燥条件下25℃で2週間保存し、初期活性を100として活性残存率を求めた。その結果を(表-5)に示す。
Figure 0003922373
この結果から分るように、グルコースを安定化剤としたプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの製品化において広い選択肢の中からbuffer種を選定して使用することが可能である。

Claims (3)

  1. D−グルコース、L−ソルボース、トレハロース、マルトペンタオース、サリシンからなる群から選択される少なくとも一種の糖を安定化剤として添加するプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの安定化方法であって、リン酸緩衝液、モルフォリノプロパンスルホン酸(MOPS)緩衝液およびグリシルグリシン緩衝液からなる群から選択される少なくとも一種の緩衝液を共存させる、プロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの安定化方法。
  2. プロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼと共存するリン酸緩衝液の濃度が、10mMから600mMである、請求項1のプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの安定化方法。
  3. 酵素に対する糖の重量比率を1:1.5から1:10の範囲で添加する、請求項1のプロトカテキュ酸ジオキシゲナーゼの安定化方法。
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