JP3922355B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特にバリア性に優れたバリア層を有する半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】
LSIなどの半導体装置においては、素子の微細化,高密度化および多層化に伴い、アスペクト比の大きいコンタクトホールが必要とされている。このようなコンタクトホールへの配線材料の埋め込みは難しく、近年、重要な技術的課題となっている。そして、配線材料として有用なアルミニウムあるいはアルミニウム合金によってコンタクトホール内を埋め込むことが試みられている。
【0003】
また、バリア層は、アルミニウム配線に起因するエレクトロマイグレーション不良や、アルミニウムとシリコン基板との反応を防止するために重要であり、特に、コンタクトホール内にアルミニウムを埋め込む場合には、バリア層のバリア性を十分に高める必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れたバリア性を有するバリア層を含む半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体装置は、素子を含む半導体基板、
前記半導体基板の上に形成された層間絶縁膜、
前記層間絶縁膜に形成されたコンタクトホール、
前記層間絶縁膜および前記コンタクトホールの表面に形成されたバリア層、および
前記バリア層の上に形成された配線層、
を含み、前記バリア層は、該バリア層を構成する金属のオキサイドが島状に分布する状態で含まれることを特徴とする。
【0006】
この半導体装置においては、バリア層が該バリア層を構成する金属のオキサイドを島状に分布する状態で含むことから、バリア層のバリア性を前記金属のオキサイドを含まない場合に比べて高めることができる。
【0007】
その理由は、以下のように考えられる。従来、たとえばチタンを含むバリア層はアモルファスの状態であると考えられていた。しかし、本願発明者らの研究によれば、本発明におけるバリア層は、結晶構造が乱れたチタンナイトライド層中にチタンオキサイド(TiO2)の結晶粒子がランダムに島状に散在していることが判明した。チタンオキサイドは、ほぼ完全な絶縁体であり、また、アルミニウムなどの金属の拡散が極めて生じにくい物質である。このようなチタンナイトライドの粒子がバリア層に島状に存在することにより、バリア層を構成するチタンナイトライドの結晶構造が乱され、その粒界(結晶粒子間の境界)を通して拡散するアルミニウムの進入を阻害する。その結果、バリア層のバリア性が飛躍的に向上したものと考えられる。そして、この現象は、バリア層がコバルトあるいはタングステンなどの金属を含む場合も同様に生じる。
【0008】
前記バリア層を構成する金属のオキサイドは、バリア層中に島状に分散して存在するため、バリア層の導電性を阻害することがない。言い換えれば、前記バリア層に含まれる金属のオキサイドの粒子は、バリア層の導電性を阻害することがない状態で分布することが重要である。
【0009】
前記バリア層を構成する金属のオキサイドの粒子は、バリア性および導電性を考慮すると、平均粒径が2〜20nmであることが望ましい。
【0010】
前記バリア層は、チタン、コバルト、タングステン、およびこれらの金属のナイトライドから選択される少なくとも1種を含むことが望ましく、特に、前記チタン、コバルト、タングステンからなる金属層と、これらの金属のナイトライド層とが積層された多層構造を有することが望ましい。例えば、バリア層がチタン層およびチタンナイトライド層から構成される場合には、基板の不純物拡散層と配線層とのコンタクト部の層構造は、実質的に、チタンシリサイド層、チタンナイトライドの結晶層、チタンオキサイド粒子を島状に含み結晶構造が乱されたチタンナイトライド層を有する。
【0011】
また、前記層間絶縁膜は、熱処理によってガス化成分が除去されたものであることが望ましい。その理由については後述するが、前記層間絶縁膜のガス化成分を除去することにより、良好なステップカバレッジのアルミニウム膜あるいはアルミニウムを主成分とする合金からなるコンタクト部を形成することができる。
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法は、以下の工程(a)ないし(f)を含むことを特徴とする。
(a)素子を含む半導体基板の上に形成された層間絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程、
(b)前記層間絶縁膜および前記コンタクトホールの表面にバリア層を構成するための膜を形成する工程、
(c)前記バリア層を構成するための膜中に酸素を導入して、該膜を構成する金属のオキサイドを島状に分布させてバリア層を形成する工程、
(d)基板温度を100℃以下に冷却する工程、
(e)前記バリア層の上に、200℃以下の温度で、アルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金からなる第1のアルミニウム膜を形成する工程、および
(f)前記第1のアルミニウム膜の上に、300℃以上の温度で、アルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金からなる第2のアルミニウム膜を形成する工程。
【0013】
前記工程(c)によって、前記バリア層を構成する金属のオキサイドを島状に分布する状態で形成することができる。前記工程(c)においては、第1の方法として、バリア層を構成するための膜を堆積させ、その後、減圧下において該膜を酸素プラズマ中にさらした後にアニール処理する方法により、あるいは第2の方法として、バリア層を構成するための膜を堆積させ、その後、該膜を酸素雰囲気中で熱処理する方法などを用いることができる。
【0014】
また、前記工程(a)の後に、減圧下において、300〜550℃の基板温度で熱処理することにより、前記層間絶縁膜に含まれるガス化成分を除去する脱ガス工程(g)を含むことが望ましい。このように前記層間絶縁膜に含まれるガス化成分を除去する工程(g)を含むことにより、後の工程(f)、例えば、300℃以上の高温条件下で行われる第2のアルミニウム膜の形成工程などにおいて、層間絶縁膜に含まれる水、窒素、水素あるいは酸素などのガスの発生を抑制することができる。
【0015】
本願発明者によれば、このような層間絶縁膜から発生するガスは、バリア層に吸収され、かつコンタクトホール内のアルミニウム膜には吸収されないことが確認されている。従って、工程(g)により層間絶縁膜に含まれるガス化成分を除去することにより、このようなガスがバリア層と第1のアルミニウム膜との間に存在することによる、バリア層の濡れ性の低下やボイドの発生を確実に抑制することができる。その結果、コンタクトホール内にカバレッジが良好で低抵抗のアルミニウム膜からなるコンタクト部を形成することができる。
【0016】
ここにおいて、「ガス化成分」とは、例えば、減圧下において、基板温度が300℃以上の時に、堆積層、すなわち層間絶縁膜あるいはバリア層から発生する水、水素、酸素あるいは窒素などのガス成分をいう。また、「減圧下」とは、好ましくは0.1〜1Paの圧力をいう。
【0017】
また、本発明においては、前記工程(d)において、基板温度を100℃以下、好ましくは常温〜50℃に冷却する。この工程(d)で基板温度を冷却することにより、第1のアルミニウム膜を成膜する前に基板温度を十分に下げることができる。前記工程(g)の脱ガス工程で基板温度を300℃以上の高温にするため、この工程(d)で基板温度を確実に低下させることにより、以後の工程(e)での温度調節を確実に行うことができる。
【0018】
そして、前記工程(e)において、前記バリア層の上に、200℃以下、好ましくは30〜100℃の温度で、第1のアルミニウム膜を形成することにより、前記層間絶縁膜およびバリア層に含まれるガス化成分をガス化させることを抑制でき、バリア層から外部に発生するガスによるバリア層の濡れ性の低下を防止することができる。その結果、第1のアルミニウム膜をバリア層に対して良好に密着させることができ、ステップカバレッジの良い成膜が可能である。
【0019】
そして、この第1のアルミニウム膜があることにより、基板の温度が上がったとしても、第1のアルミニウム膜より下層の層間絶縁膜およびバリア層からのガスの発生を抑制することができるため、第2のアルミニウム膜の成膜工程(f)において、比較的高い温度、すなわちアルミニウムあるいはアルミニウム合金が流動拡散できる程度の高い温度、具体的には300℃以上、好ましくは350〜450℃で第2のアルミニウム膜を形成することができる。
【0020】
このように、工程(e)において比較的低温の温度で第1のアルミニウム膜を形成する工程、および工程(f)において比較的高い温度で第2のアルミニウム膜を形成することにより、ボイドの発生がなく良好なステップカバレッジのコンタクトホールへの埋め込みが可能となる。さらに、本発明の製造方法は、0.2μmのコンタクトホールに適用できることが確認されている。
【0021】
前記工程(e)および(f)におけるアルミニウム膜の成膜は、スパッタ法が望ましく、さらに第1のアルミニウム膜および第2のアルミニウム膜は同一チャンバ内で連続的に行われることが望ましい。このようにアルミニウム膜の成膜を同一チャンバ内で連続的に行うことにより、基板温度のコントロールが容易であると共に、雰囲気の制御なども正確にすることができ、第1のアルミニウム膜の表面に酸化膜が形成されるなどの不都合を回避することができる。
【0022】
また、本発明のコンタクト構造は、ソース領域やドレイン領域を構成する不純物拡散層の表面に形成されたシリサイド層に好適に適用できるが、これに限定されず、他の領域あるいはシリサイド層を有しない不純物拡散層におけるコンタクトにも適用することができる。
【0023】
さらに、本発明におけるコンタクトホールは、異方性のドライエッチングによって形成されたものの他に、等方性のウエットエッチングと異方性のドライエッチングとを組み合わせてコンタクトホールの上端部を適度にテーパ状に形成させたものであってもよい。例えば、このタイプのコンタクトホールであって、下部の異方性のドライエッチングによって形成された部分の口径が0.5〜0.8μmで、アスペクト比が0.5〜3μmの場合には、第2のアルミニウム膜を300〜350℃で成膜できるため、高温仕様でない一般的なスパッタ装置を使用できるので、実用上有用である。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1(A)〜(C)は、本発明に係る半導体装置の製造方法および半導体装置の一実施の形態を説明するための概略断面図である。
【0025】
以下に、半導体装置の製造方法の一例を示す。
【0026】
(A)(素子の形成)
まず、一般的に用いられる方法によって、シリコン基板11にMOS素子が形成される。具体的には、例えば、シリコン基板11上に選択酸化によってフィールド絶縁膜12が形成され、アクティブ領域にゲート酸化膜13が形成される。チャネル注入により、しきい値電圧を調整した後、モノシラン(SiH4)を熱分解して成長させたポリシリコン膜の上にタングステンシリサイドがスパッタされ、さらにシリコン酸化膜18を積層し所定パターンにエッチングすることにより、ゲート電極14が形成される。このとき、必要に応じて、フィールド絶縁膜12上にポリシリコン膜およびタングステンシリサイド膜からなる配線層37が形成される。
【0027】
次いで、リンをイオン注入することによりソース領域あるいはドレイン領域の低濃度不純物層15が形成される。次いで、ゲート電極14のサイドにシリコン酸化膜からなる側壁スペーサ17が形成された後、ヒ素をイオン注入し、ハロゲンランプを用いたアニール処理によって不純物の活性化を行うことにより、ソース領域あるいはドレイン領域の高濃度不純物層16が形成される。
【0028】
次に、100nm以下の気相成長シリコン酸化膜を成長させ、HFとNH4Fの混合水溶液で選択的にエッチングすることにより、所定のシリコン基板領域を露出させる。続いて、例えばチタンを30〜100nm程度の膜厚でスパッタし、酸素を50ppm以下に制御した窒素雰囲気中において650〜750℃の温度で数秒〜60秒程度の瞬間アニールを行うことにより、開口したシリコン基板表面にチタンのモノシリサイド層が、シリコン酸化膜18上にはチタンリッチのチタンナイトライド層が形成される。次いで、NH4OHとH22の混合水溶液中に浸漬すると、前記チタンナイトライド層はエッチング除去されてシリコン基板表面のみにチタンのモノシリサイド層が残る。さらに、750〜850℃のランプアニールを行って、前記モノシリサイド層をダイシリサイド化させて、高濃度不純物層16の表面に自己整合的にチタンシリサイド層19が形成される。
【0029】
なお、ゲート電極14をポリシリコンのみで形成して選択エッチングで露出させた場合には、ゲート電極とソース,ドレイン領域の両者が側壁スペーサで分離されたチタンサリサイド構造になる。
【0030】
(B)(層間絶縁膜の形成)
次に、層間絶縁膜として、まず、テトラエトキシラン(TEOS)と酸素とをプラズマ反応させることにより、膜厚100〜200nmのシリコン酸化膜20が形成される。このシリコン酸化膜20は、シリサイド層19の酸化やカスピングもなく、SiH4から成長させた膜より絶縁性も高くフッ化水素の水溶液に対するエッチング速度も遅く、緻密な膜となる。
【0031】
ここでは、チタンシリサイド層19上に直接シリコン酸化膜を形成させるが、このときの成膜温度が高いと成膜初期に酸化性ガスとチタンシリサイドとが簡単に反応してクラックや剥離を生じ易いため、処理温度は好ましくは600℃以下、より好ましくは250〜400℃で行うことが望ましい。そして、シリコン酸化膜がチタンシリサイド層19上に100nm程度の膜厚で前述した比較的低温で形成された後は、水蒸気以外の酸化雰囲気にさらされるアニールや気相酸化処理であれば、温度を900℃位まで上げても問題とならない。
【0032】
次に、層間絶縁膜として、前記シリコン酸化膜20上に、SiH4あるいはTEOSなどのシラン化合物と、酸素やオゾン等と、リンおよびホウ素とを含むガスを気相反応させることにより、膜厚数百nm〜1μm位のBPSG膜30が形成される。その後、窒素雰囲気中で800〜900℃のアニールを行い、高温フローによる平坦化を行う。なお、BPSG膜30の高温フローを行う代わりに、一般的に用いられるSOG膜を用いて平坦化を行うこともできる。
【0033】
さらに、前記BPSG膜30の代わりに、本出願の出願人による特許願(たとえば特願平9−314518号)に記載された、シリコン化合物と過酸化水素とを化学気相成長法によって反応させて形成されるシリコン酸化膜(以下、これを「第1のシリコン酸化膜」という)を用いてもよい。このシリコン酸化膜は、それ自体で高い流動性を有し、優れた自己平坦化特性を有する。そのメカニズムは、シリコン化合物と過酸化水素とを化学気相成長法によって反応させると、気相中においてシラノールが形成され、このシラノールがウエハ表面に堆積することにより流動性のよい膜が形成されることによると考えられる。以下に、このシリコン酸化膜の技術に関する要点を説明する。
【0034】
例えば、シリコン化合物としてモノシランを用いた場合には、下記式(1),(1)’などで示される反応でシラノールが形成される。
【0035】
式(1)
SiH4+2H22 → Si(OH)4+2H2
式(1)’
SiH4+3H22 → Si(OH)4+2H2O+H2
そして、式(1),(1)’で形成されたシラノールは、下記式(2)で示される重縮合反応で水が脱離することにより、シリコン酸化物となる。
【0036】
式(2)
Si(OH)4 → SiO2+2H2
前記シリコン化合物としては、例えばモノシラン、ジシラン、SiH2Cl2、SiF4などの無機シラン化合物、およびCH3SiH3、トリプロピルシラン、テトラエトキシシランなどの有機シラン化合物などを例示することができる。
【0037】
また、このシリコン酸化膜の成膜工程は、前記シリコン化合物が無機シリコン化合物の場合には、0〜20℃の温度条件下で、前記シリコン化合物が有機シリコン化合物の場合には、100〜150℃の温度条件下で、減圧化学気相成長法によって行われることが望ましい。この成膜工程で、温度が前記上限値より高いと、前記式(2)の重縮合反応が進みすぎることにより、第1のシリコン酸化膜の流動性が低くなり、良好な平坦性が得られにくい。また、温度が前記下限値より低いと、チャンバー内での分解水分の吸着およびチャンバー外での結露が発生し、成膜装置のコントロールが困難となる不都合がある。
【0038】
前記第1のシリコン酸化膜は、シリコン基板表面の段差を十分にカバーできる程度の膜厚で形成されることが望ましい。第1のシリコン酸化膜の膜厚は、その下限値は素子を含むシリコン基板表面の凹凸の高さに依存するが、好ましくは300〜1000nmである。第1のシリコン酸化膜の膜厚が前記上限値を超えると、膜自体のストレスでクラックを生ずることがある。
【0039】
そして、前記第1のシリコン酸化膜の上に、シリコン化合物、酸素および酸素を含む化合物の少なくとも1種、および不純物を含む化合物を化学気相成長法によって反応させて、多孔性の第2のシリコン酸化膜を形成することが望ましい。
【0040】
この第2のシリコン酸化膜は、キャップ層として機能するだけでなく、多孔性であって、後のアニール処理において、第1のシリコン酸化膜から発生するガス成分を徐々に外部に放出できる。さらに、この第2のシリコン酸化膜は、多孔性であることに加え、該膜にリン、ボロンなどの不純物、好ましくはリンを添加することにより、該膜を構成するシリコン酸化物のSi−O分子間結合力を弱めることで該膜の応力を緩和することができ、いわば適度に柔らかく更に割れにくい層を構成できる。また、前記第2のシリコン酸化膜の重要な役割として、該シリコン酸化膜に含まれるリンなどの不純物がアルカリイオンなどの素子の信頼特性に悪影響を及ぼす可動イオンのゲッターとしての機能がある。第2のシリコン酸化膜に含まれる不純物の濃度は、前述したゲッタリング機能や膜の応力緩和の点を考慮すると、好ましくは1〜6重量%である。
【0041】
また、第2のシリコン酸化膜は、100〜600MPaの圧縮ストレスを有しているため、第1のシリコン酸化膜が重縮合する際に引張ストレスが増大してクラックが入るのを防止する機能がある。さらに、第2のシリコン酸化膜は、第1のシリコン酸化膜の吸湿を防止する機能も有する。
【0042】
前記第2のシリコン酸化膜は、300〜450℃の温度条件下で、1MHz以下の高周波によるプラズマ化学気相成長法によって行われることが望ましい。この温度条件で成膜を行うことにより、後のアニール処理でガス成分がアニール初期段階で抜けやすくなり、デバイスの信頼性が向上する。
【0043】
また、前記第2のシリコン酸化膜の形成で用いられる、酸素を含む化合物は、一酸化二窒素(N2O)であることが望ましい。反応ガスとして一酸化二窒素を用いることにより、プラズマ状態の一酸化二窒素は第1のシリコン酸化膜を構成するシリコン化合物の水素ボンド(−H)と反応しやすいので、第2のシリコン酸化膜を成膜中にも第1のシリコン酸化膜のガス化成分(水素、水)の脱離を促進することができる。また、前記第2のシリコン酸化膜は、プラズマ化学気相成長法の代わりに、300〜550℃の温度条件下で常圧化学気相成長法によって行われてもよい。この場合、前記酸素を含む化合物はオゾンであることが望ましい。
【0044】
さらに、前記第2のシリコン酸化膜を成膜する前に、前記第1のシリコン酸化膜をオゾン雰囲気にさらすことが望ましい。この工程を経ることにより、オゾンが第1のシリコン酸化膜を構成するシリコン化合物の水素ボンド(−H)や水酸基(−OH)と反応しやすいので、第1のシリコン酸化膜中の水素や水の脱離を促進することができる。
【0045】
また、第2のシリコン酸化膜の膜厚は、平坦性、クラックの防止の点を考慮すると、好ましくは100nm以上である。
【0046】
前記第1および第2のシリコン酸化膜を形成した後に、600〜850℃の温度でアニール処理を行うことにより、第1および第2のシリコン酸化膜は緻密化され、絶縁性ならびに耐湿性が向上する。つまり、第1のシリコン酸化膜についてみると、このアニール処理の初期において、前述した式(2)による重縮合反応が完了し、この反応に伴って生じる水や水素は第2のシリコン酸化膜の孔を介して外部に放出され、第1のシリコン酸化膜は、十分にガス化成分が除去された状態で緻密に形成される。また、第2のシリコン酸化膜は、アニール処理によって、多孔質から緻密な膜になる。
【0047】
このアニール処理において、温度を600℃以上とすることにより、第1および第2のシリコン酸化膜を十分に緻密にすることができるとともに、例えばMOS素子を構成するソース,ドレイン拡散層の不純物の活性化を十分に行うことができる。また、アニール温度を850℃以下とすることにより、BPSG膜で必要とされている温度よりも低い温度で層間絶縁膜の平坦化が可能であるとともに、第1および第2のシリコン酸化膜を十分に緻密化できる。また、アニール温度を850℃を越える温度で行うと、ソース,ドレイン拡散層が必要以上に拡大してパンチスルー等の問題を起こし、素子の微細化が困難となる場合がある。
【0048】
第1のシリコン酸化膜上に多孔性の第2のシリコン酸化膜を形成しておくことにより、アニール処理において、ウエハを600〜850℃の温度下に直接置いた場合のように急激な温度変化があっても、前記第2のシリコン酸化膜が適度な柔らかさを有し、第1のシリコン酸化膜の応力を吸収できるので、該第1のシリコン酸化膜にクラックを生じることなく、アニール処理を行うことができる。
【0049】
(コンタクトホールの形成)
次いで、CHF3とCF4とを主ガスとした反応性イオンエッチャーで層間絶縁膜を構成するBPSG膜30およびシリコン酸化膜20を選択的に異方性エッチングすることにより、口径が0.2〜0.5μmのコンタクトホール32が形成される。
【0050】
(C)(脱ガス処理)
次に、脱ガス工程を含む熱処理ついて説明する。
【0051】
まず、ランプチャンバで、1.5×10-4Pa以下のベース圧力、150〜250℃の温度で30〜60秒間のランプ加熱(熱処理A)を施す。次いで、別のチャンバで1×10-1〜15×10-1Paの圧力でアルゴンガスを導入し、300〜550℃の温度で、30〜120秒間の熱処理(脱ガス工程;熱処理B)を行うことによって、脱ガス処理を行う。
【0052】
この工程においては、まず、熱処理Aにおいて、主として、ウエハの裏面および側面を含むウエハ全体を加熱処理することにより、ウエハに付着している水分などを除去できる。
【0053】
さらに、熱処理Bにおいて、主として、層間絶縁膜を構成するBPSG膜30中のガス化成分(酸素,水素,水,チッ素)を除去することができる。その結果、次工程のバリア層およびアルミニウム膜の形成時に、BPSG膜からのガス化成分の発生が防止できる。
【0054】
本実施の形態においては、バリア層33は、バリア機能を有するバリア膜と、導電膜とからなる多層膜によって構成される。導電膜は、高抵抗のバリア膜とシリコン基板に形成された不純物拡散層、つまりソース領域あるいはドレイン領域との導電性を高めるために、バリア膜と不純物拡散層との間に形成される。バリア膜としては、一般的な物質、例えばチタン,コバルトなどのナイトライドを好ましく用いることができる。また、導電膜としては、チタン,コバルトなどの高融点金属を用いることができる。これらのチタンおよびコバルトは基板を構成するシリコンと反応してシリサイドとなる。
【0055】
バリア層、例えばチタンナイトライド膜/チタン膜は数十原子%のガス化成分(酸素,水素,水,チッ素)を固溶することから、これらの膜を形成する前に、層間絶縁膜のBPSG膜30中のガス化成分を除去することが、コンタクトホール内でのアルミニウム膜の成膜を良好に行う上で、極めて有効である。バリア層の下位のBPSG膜中のガス化成分を十分に除去しておかないと、バリア層の形成時の温度(通常、300℃以上)で、BPSG膜中のガス化成分が放出され、このガスがバリア層中に取り込まれる。さらに、このガスがアルミニウム膜の成膜時にバリア層から離脱してバリア層とアルミニウム膜との界面に出てくるため、アルミニウム膜の密着性や流動性に悪影響を与える。
【0056】
(バリア層の成膜)
スパッタ法により、バリア層33を構成する導電膜として、チタン膜を20〜70nmの膜厚で形成し、次いで、別のチャンバで、バリア膜としてチタンナイトライド膜を30〜150nmの膜厚で形成する。スパッタの温度は、膜厚に応じて、200〜450℃の範囲で選択される。
【0057】
次に、0.1×102〜1.5×102Paの圧力で酸素プラズマ中に10〜100秒間さらし、次いで、450〜700℃の窒素または水素雰囲気中で10〜60分間にわたってアニール処理することにより、バリア層のチタンナイトライド層中にチタンオキサイドを島状に形成することができる。そして、この処理によりバリア層のバリア性を向上させることができることを確認している。
【0058】
また、バリア層中にチタンオキサイドを島状に形成する方法としては、少なくとも数百ppm〜数%の酸素を含むランプアニール炉における400〜800℃の熱処理によっても行うことができ、同様にバリア層のバリア性を向上させることができる。
【0059】
本実施の形態では、バリア層に分布する金属のオキサイドとしてチタンオキサイドについて述べたが、前記オキサイドはバリア層に用いられる他の金属、たとえばコバルト、タングステンの場合も同様である。
【0060】
コバルトの場合、コバルト層を5〜30nm、コバルトナイトライド層を20〜100nmの膜厚で、それぞれ異なるチャンバでスパッタ法によって形成し、さらに前述したチタンの場合と同様の熱処理によってコバルトナイトライド層中にコバルトオキサイドが島状に分布したバリア層を形成することができる。そして、このバリア層の場合にも、良好なバリア性が得られることを確認している。また、タングステンの場合も同様の構造および作用が得られることを確認している。
【0061】
さらに、バリア層の形成後、後述するウエハの冷却工程の前にウェッテング層、例えばチタン層を形成してもよい。
【0062】
(アルミニウム膜の成膜前の熱処理およびウエハの冷却)
まず、ウエハの冷却を行う前に、ランプチャンバ内において、1.5×10-4Pa以下のベース圧力、150〜250℃の温度で30〜60秒間の熱処理(熱処理C)を行い、基板に付着した水などの物質を除去する。その後、アルミニウム膜を成膜する前に、基板温度を100℃以下、好ましくは常温〜50℃の温度に下げる。この冷却工程は、上記熱処理Cにより上昇した基板温度を下げるために重要なもので、例えば水冷機能を有するステージ上にウエハを載置して該ウエハ温度を所定温度まで下げる。
【0063】
このようにウエハの冷却を行うことにより、第1のアルミニウム膜を成膜する際に、BPSG膜30およびバリア層33、さらにウエハ全面から放出されるガス量を極力少なくすることができる。その結果、バリア層33と第1のアルミニウム膜34との界面に吸着する、カバレッジ性や密着性に有害なガスの影響を防ぐことができる。
【0064】
この冷却工程は、同一の構成のチャンバを複数有する、アルミニウム膜を成膜するためのスパッタ装置を兼用して行われることが望ましい。例えばスパッタ装置内における水冷機能を有するステージ上に基板を載置して該基板温度を所定温度まで下げることが望ましい。以下に、この冷却工程について詳述する。
【0065】
図2(a)は、水冷機能を有するステージを含むスパッタ装置の一例の模式図を、図2(b)は、ステージの一例の平面図を示す。
【0066】
このスパッタ装置は、同一の構成のチャンバ50を複数備えたものである。チャンバ50内に、電極をかねるターゲット51およびステージをかねる電極52を有し、電極52上には冷却される基板(ウエハ)Wが設置されるように構成されている。チャンバ50には、チャンバ内を減圧状態にするための排気手段60およびアルミニウムをスパッタリングする際にガスをチャンバ内に供給する第1のガス供給路53が設けられている。電極52は、基板Wを電極52上に載置した際に、電極52と基板Wとの間に所定の空間が生じるように、具体的には図2(b)のように、電極52の上面の外周部分に沿って、突起状の支持部52aが設けられている。さらに、電極52には、第2のガス供給路54が接続されている。そして、熱伝導媒体としてのガス、たとえばアルゴンガスは、第2のガス供給路54から、電極52と基板Wとの間の空間に供給される。また、電極52は、基板Wを冷却するための冷却システムの役割も兼務している。電極52は、冷媒供給路56から供給される冷媒、たとえば水の還流により一定温度に調節される。電極52の上面は、たとえば図2(b)に示すように、前記空間に均一にガスを供給させるため、所定のパターンで溝58が形成され、溝が交差する部分に第2のガス供給路54の吹き出し口54aが設けられている。
【0067】
上記のスパッタ装置は以下のように動作して、ウエハを冷却する。
【0068】
チャンバ50内を排気手段60により6×10-6Pa以下の減圧状態として、電極52の支持部52a上に基板Wを載置する。電極52と基板W間の熱伝導媒体としての役割を果たすガスを、第2のガス供給路54から、電極52と基板Wとの間の空間に導入し、該空間の圧力を600〜1000Paに保ち、かつ、該空間からチャンバ内に漏出したガスを排気手段60で排気しながら、基板Wを冷却する。
【0069】
基板Wを冷却をする際、冷却効率を保つために電極52と基板Wとの間の空間に、ある程度の圧力が必要である。つまり、基板Wの冷却効率を高めるためには、電極52と基板Wとの間の熱コンダクタンスを向上させる必要があり、この向上のためには、電極52と基板Wとの間の空間のガス(熱伝導媒体)の圧力を高める必要がある。
【0070】
基板の冷却方法として、真空チャンバにおいて、チャンバ内の冷却機構を有するステージ上に基板を載置して冷却を行う方法が考えられる。この冷却工程によると、ステージと基板との間の空間に直接にガスを供給するのではなく、該空間の圧力をチャンバー内の圧力に依存させるため、ステージと基板との間の空間の圧力を高めるためには、チャンバ内の圧力を高める必要がある。しかし、冷却効率を高めるために、チャンバ内の圧力を高めると、それだけチャンバ内のガス分子が増すので、基板Wの上面がガス分子によって汚染され易くなるという事態が生じ、それによりアルミニウムのリフローを害し、ボイドの発生および配線の高抵抗化につながることがある。逆にウエハーの汚染を防止するため、チャンバー内の圧力を低くすると、ウエハーとステージとの間の空間の圧力も低下し、これによりウエハーとステージとの間の熱コンダクタンスが低下し、その結果、冷却効率に悪影響が及ぼされることになる。
【0071】
上記した本実施の形態の冷却工程によれば、電極52と基板Wの裏面との間にガスを流入させ、それにより電極52と基板Wとの間の空間の圧力を確保するため、該空間の圧力は、チャンバー内の圧力から独立して制御できる。そして、基板とステージとの間の熱伝導媒体の圧力を所定の値に確保することにより、チャンバ内の圧力を、前記空間の圧力と独立して、圧力1×10-3〜0.1Paまで抑えることができる。これにより、ガス分子による基板の上面の汚染を確実に防止することができ、その結果、アルミニウムのリフロー性の向上および低抵抗化がもたらされる。さらに、チャンバ内の圧力を高めることなく、前記空間の圧力を、600〜1300Paの範囲に設定することができるために、熱コンダクタンスが向上し、冷却効率を高めることができる。このように、この冷却工程によれば、基板Wと電極52との間の空間の圧力を高めつつ、チャンバ内の圧力を下げることができるので、基板の汚染を防ぎながら、良好な冷却効率を得ることができる。
【0072】
(アルミニウム膜の成膜)
まず、200℃以下、より好ましくは30〜100℃の温度で、0.2〜1.0重量%の銅を含むアルミニウムを膜厚150〜300nmでスパッタによって高速度で成膜し、第1のアルミニウム膜34が形成される。続いて、同一チャンバ内で基板温度350〜460℃に加熱して、同様に銅を含むアルミニウムをスパッタにより低速度で成膜し、膜厚300〜600nmの第2のアルミニウム膜35が形成される。ここで、アルミニウム膜の成膜において、「高速度」とは、成膜条件や製造されるデバイスの設計事項によって一概に規定できないが、おおよそ10nm/秒以上のスパッタ速度を意味し、「低速度」とは、おおよそ3nm/秒以下のスパッタ速度を意味する。
【0073】
アルミニウムのスパッタは、前述のウエハの冷却の際に用いられた、図2に示すスパッタ装置内で行われる。このように、減圧状態が保たれた同一の装置内で冷却工程およびアルミニウムの成膜の工程を行うことにより、基板の移動および設置の工程の減少が図られ、その結果、工程の簡便化および基板の汚染を防止することができる。
【0074】
ここで、図2に示すスパッタ装置においては、第1のガス供給路53および第2のガス供給路54からは、いずれもアルゴンガスが供給される。そして、アルミニウム膜の成膜時の温度は、第2のガス供給路54から供給されるガスによって制御されたウエハWの温度(基板温度)を意味する。
【0075】
このようなスパッタ装置を用いて基板温度をコントロールした一例を図3に示す。図3において、横軸は経過時間を示し、縦軸は基板(ウエハ)温度を示す。また、図3において、符号aで示すラインはスパッタ装置のステージ52の温度を350℃に設定したときの基板温度変化を示し、符号bで示すラインは第2のガス供給路54を通してアルゴンガスをチャンバ内に供給することによってステージ52の温度を高めていったときの基板温度の変化を示している。
【0076】
例えば、基板の温度制御は以下のように行われる。まず、ステージ52の温度は、予め、第2のアルミニウム膜を形成するための温度(350〜500℃)に設定されている。第1のアルミニウム膜を形成する際には、第2のガス供給路54からのガスの供給はなく、基板温度はステージ52による加熱によって、図3の符号aで示すラインのように徐々に上昇する。第2のアルミニウム膜を形成する際には、第2のガス供給路54を介して加熱されたガスが供給されることによって図3の符号bで示すラインのように、基板温度は急激に上昇し、所定の温度で一定になるように制御される。
【0077】
図3に示す例では、ステージ温度が350℃に設定され、そして、基板温度が125〜150℃に設定されている間に第1のアルミニウム膜34が成膜され、その後すぐに第2のアルミニウム膜35の成膜が行われる。
【0078】
アルミニウム膜の成膜においては、成膜速度および基板温度の制御とともに、スパッタ装置に印加されるパワーの制御も重要である。つまり、成膜速度とも関連するが、第1のアルミニウム膜34の成膜は高いパワーで行われ、第2のアルミニウム膜35は低いパワーで行われ、さらに高いパワーから低いパワーに切り換える際にパワーをゼロにしないことが重要である。パワーをゼロにすると、減圧下においても第1のアルミニウム膜の表面に酸化膜が形成され、第1のアルミニウム膜に対する第2のアルミニウム膜の濡れ性が低下し、両者の密着性が悪くなる。言い換えれば、パワーを常に印加することにより、成膜中のアルミニウム膜の表面に活性なアルミニウムを供給し続けることができ、酸化膜の形成を抑制できる。なお、パワーの大きさは、スパッタ装置や成膜条件などに依存し一概に規定できないが、例えば図3に示す温度条件の場合、高パワーが5〜10kW、低パワーが300W〜1kWに設定されることが望ましい。
【0079】
このように、同一チャンバ内で第1のアルミニウム膜34および第2のアルミニウム膜35を連続的に成膜することにより、温度およびパワーの制御を厳密に行うことができ、従来よりも低温でかつ安定したアルミニウム膜を効率よく形成することが可能となる。
【0080】
前記第1のアルミニウム膜34の膜厚は、良好なステップカバレッジで連続層を形成することができること、並びに該アルミニウム膜34より下層のバリア層33および層間絶縁膜を構成するBPSG膜30からのガス化成分の放出を抑制できることなどを考慮して、適正な範囲が選択され、例えば200〜400nmが望ましい。また、第2のアルミニウム膜35は、コンタクトホールの大きさ並びにそのアスペクト比などによって決定され、例えばアスペクト比が3程度で口径が0.5μm以下のホールを埋めるためには、300〜1000nmの膜厚が必要である。
【0081】
(反射防止膜の成膜)
さらに、別のスパッタチャンバで、スパッタによりチタンナイトライドを堆積することにより、膜厚30〜80nmの反射防止膜36が形成される。その後、Cl2とBCl3のガスを主体とする異方性ドライエッチャーで前記バリア層33、第1のアルミニウム膜34、第2のアルミニウム膜35および反射防止膜36からなる堆積層を選択的にエッチングして、金属配線層40のパターニングを行う。
【0082】
このようにして形成された金属配線層40では、アスペクト比が0.5〜3で、口径が0.2〜0.8μmのコンタクトホール内において、ボイドを発生させることなく良好なステップカバレッジでアルミニウムが埋め込まれることが確認された。
【0083】
(実験例)
(1)バリア層の構造およびバリア性
(a)透過型電子顕微鏡(TEM)による膜構造の解析
前述した方法によって図1(C)に示す構造のサンプルとしての半導体装置を形成し、コンタクト部を含む領域の断面の電子顕微鏡写真を撮影した。この透過型電子顕微鏡写真をもとに、前記断面構造を模式的に図7に示す。なお、このコンタクト部の断面構造を図6に模式的に示す。図7は、図6において、符号Aで示す部分の構造を示す。この実験で使用したサンプルは、以下のようにして形成されたものである。
【0084】
まず、図6に示すように、前述した方法で素子が形成されたシリコン基板11上に層間絶縁膜30を形成した後、口径が0.3μmのコンタクトホールを形成した。その後、チタン膜およびチタンナイトライド膜をスパッタによって堆積した。その後、ウエハを酸素プラズマ中でさらし、さらに、600℃の窒素雰囲気中でアニール処理し、バリア層33を形成した。ついで、ウェッテング層37としてチタン膜をコリメータスパッタで形成した。ついで、銅を含む第1のアルミニウム膜34を形成し、続いて銅を含む第2のアルミニウム膜35を形成した。ついで、スパッタによりチタンナイトライド層からなる反射防止膜36を形成した。
【0085】
図7に示すように、透過型電子顕微鏡により得られた写真をもとに得られた、コンタクト部の各膜の組成および膜厚は、以下のようであった。
【0086】
Figure 0003922355
図7から、バリア層33を構成するチタンナイトライド(TiN)層の上層約30nm中に、チタンオキサイドの結晶が粒状で分布していることが分かる。このチタンオキサイドの結晶は、平均粒径が約10nmであった。そして、チタンオキサイドの結晶粒子が島状に分布することにより、チタンナイトライド層の結晶格子は歪んだ状態となる。これをチタンナイトライド歪み層という。このチタンナイトライド歪み層とチタンオキサイドの粒子がアルミニウムの拡散を抑制し、バリア性を飛躍的に向上させることができる。チタンナイトライド層に分散された粒子の材質は、透過型電子顕微鏡による画像をフーリエ変換し、格子像を観察することにより特定した。
【0087】
さらに、ウェッテング層を構成するチタンはアルミニウムと反応してAl3Ti系の合金となり、この層上にアルミニウム(Al−Cu)膜が形成される。そして、バリア層は、Al3Ti系の合金とも反応せず、安定で優れたバリア性と導電性を備えている。
【0088】
(b)バリア性
本発明のサンプルと、バリア層にチタンオキサイドの結晶が存在しない他は本発明のサンプルと同じ比較用サンプルとについて、透過型電子顕微鏡および、サンプルに熱処理を施すことによるリーク特性について調べた。リーク特性は、サンプルを種々の条件でアニール処理し、コンタクト部でリーク電流が発生したときのアニール条件を求めた。
【0089】
その結果、本発明に係るサンプルでは、550℃で10時間にわたるアニール処理でもリーク電流の発生、およびアルミニウムがバリア層を突き抜けてシリコン基板に進入するスパイク現象の発生がなかった。これに対し、比較用サンプルにおいては、450℃で2時間のアニール処理でリーク電流の発生が確認された。
【0090】
このことから、本発明のサンプルは比較用サンプルに比べ、バリア性が格段に優れていることが確認された。
【0091】
(2)脱ガス工程の影響の検討
図4および図5に、脱ガス工程の有無によってウエハから放出されるガスの量(分圧)の相違を調べるために行った実験結果を示す。
【0092】
図4および図5において、横軸はアルミニウム膜の形成前に行われる熱処理(熱処理C)から第2のアルミニウム膜35の成膜後に至るまでの処理のタイミングを示し、縦軸はチャンバ内の残留ガスの分圧を示している。図4および5において、符号Aで示すラインは、層間絶縁膜の形成後に脱ガス工程を経た場合、符号Bで示すラインは、層間絶縁膜の形成後に脱ガス工程を経ない場合、を示す。この実験例では、脱ガス工程は、気圧0.1〜1Pa、温度460℃、時間120秒で行われた。
【0093】
各図において、横軸の符号aおよびbは、アルミニウム膜の成膜前に行われる熱処理C(第1のチャンバ)におけるタイミングを示し、符号aは第1のチャンバ内にウエハを入れた直後の時、符号bはランプ加熱によってウエハを250℃で60秒間加熱した時、を示す。第1のチャンバでは、気圧は1×10-4Pa以下に設定されている。
【0094】
符号cおよびdは、ウエハの冷却工程(第2のチャンバ)におけるタイミングを示し、符号cは第2のチャンバ内にウエハを入れた直後の時、符号dはウエハの温度を20℃まで冷却した時、を示す。第2のチャンバでは、気圧は3×10-1Paに設定されている。そして、分圧を測定する際には、チャンバの気圧を3×10-6Paまで減圧した。
【0095】
符号e、fおよびgは、アルミニウム膜の成膜工程(第3のチャンバ)におけるタイミングを示し、符号eは第3のチャンバ内にウエハを入れた直後の時、符号fは第1のアルミニウム膜を成膜した直後の時、および符号gは第2のアルミニウム膜を成膜した直後の時、を示す。第3のチャンバでは、気圧は3×102Paに設定されている。そして、分圧を測定する際には、チャンバの気圧を3×10-6Paまで減圧した。
【0096】
図4および図5から、層間絶縁膜の成膜後であってバリア層の成膜前に脱ガス工程を行うことにより、その後の熱処理およびアルミニウム膜の成膜時に、水および窒素がほどんど発生しないことが確認された。これに対し、前記脱ガス工程を経ない場合には、その後の熱処理、特に符号bで示す熱処理Cの時に、水および窒素が共に多量に放出されていることがわかる。
【0097】
本実施の形態において、上述したように、コンタクトホールに第1および第2のアルミニウム膜34,35が良好に埋め込まれた理由としては、以下のことが考えられる。
【0098】
(a)脱ガス工程を行うことにより、層間絶縁膜、特にBPSG膜やシリコン化合物と過酸化水素との反応によって得られるシリコン酸化膜に含まれる水,水素,酸素あるいは窒素をガス化して充分に放出することにより、その後の第1のアルミニウム膜34および第2のアルミニウム35の成膜において層間絶縁膜やバリア層33からのガスの発生を防止することで、バリア層33と第1のアルミニウム膜34との密着性を高め良好なステップカバレッジの成膜が可能であったこと。
【0099】
(b)第1のアルミニウム膜34の成膜において、基板温度を200℃以下の比較的低温に設定することにより、層間絶縁膜およびバリア層33に含まれる水分や窒素を放出させないようにして、前記脱ガス工程の効果に加えて第1のアルミニウム膜34の密着性を高めたこと。
【0100】
(c)さらに、第1のアルミニウム膜34自体が、基板温度が上がった場合に下層からのガスの発生を抑制する役割を果たすため、次の第2のアルミニウム膜35の成膜を比較的高い温度で行うことができ、第2のアルミニウム膜の流動拡散を良好に行うことができること。
【0101】
以上のように、本発明によれば、アルミニウム膜のスパッタ前に少なくとも脱ガス工程と冷却工程を含み、さらに同一チャンバ内で連続的にアルミニウム膜を成膜することにより、0.2μm程度までのコンタクトホールをアルミニウムあるいはアルミニウム合金だけで埋め込むことが可能となり、信頼性および歩留まりの点で向上がはかれた。また、コンタクト部を構成するアルミニウム膜における銅等の偏析や結晶粒の異常成長もなく、マイグレーション等を含めた信頼性の点でも良好であることが確認された。
【0102】
さらに、本発明の半導体装置によれば、バリア層に該バリア層を構成する金属のオキサイドを島状に含むことにより、バリア層の導電性を確保しながら優れたバリア性を有する。
【0103】
なお、上記実施の形態では、Nチャネル型MOS素子を含む半導体装置について説明したが、Pチャネル型あるいはCMOS型素子を含む半導体装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A),(B)および(C)は本発明の半導体装置の製造方法の一例を工程順に模式的に示す断面図である。
【図2】(a)は、本発明に係る実施の形態に用いられるスパッタ装置の一例を模式的に示す図であり、(b)は、スパッタ装置のステージの一例を示す図である。
【図3】図2に示すスパッタ装置を用いて基板温度を制御したときの、時間と基板温度との関係を示す図である。
【図4】本発明に係る半導体装置の製造方法における、処理タイミングとチャンバ内の残留ガス(水)の分圧の関係を示す図である。
【図5】本発明に係る半導体装置の製造方法における、処理タイミングとチャンバ内の残留ガス(窒素)の分圧の関係を示す図である。
【図6】本発明に係る半導体装置のコンタクト部の断面構造を模式的に示した図である。
【図7】本発明に係る半導体装置の断面の透過型電子顕微鏡写真をもとに作成した図である。
【符号の説明】
11 シリコン基板
12 フィールド絶縁膜
13 ゲート酸化膜
14 ゲート電極
15 低濃度不純物層
16 高濃度不純物層
17 側壁スペーサ
18,20 シリコン酸化膜
19 チタンシリサイド層
30 BPSG膜
32 コンタクトホール
33 バリア層
34 第1のアルミニウム膜
35 第2のアルミニウム膜
40 金属配線層

Claims (6)

  1. 以下の工程(a)ないし(f)を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
    (a)素子を含む半導体基板の上に形成された層間絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程、
    (b)前記層間絶縁膜および前記コンタクトホールの表面にバリア層を構成するための膜を形成する工程、
    (c)前記バリア層を構成するための膜を堆積させ、その後、減圧下において該膜を酸素プラズマ中にさらした後に熱処理をして、該膜を構成する金属のオキサイドを島状に分布させてバリア層を形成する工程、
    (d)基板温度を100℃以下に冷却する工程、
    (e)前記バリア層の上に、200℃以下の温度で、アルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金からなる第1のアルミニウム膜を形成する工程、および
    (f)前記第1のアルミニウム膜の上に、350℃〜460℃の温度で、アルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金からなる第2のアルミニウム膜を形成する工程。
  2. 以下の工程(a)ないし(f)を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
    (a)素子を含む半導体基板の上に形成された層間絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程、
    (b)前記層間絶縁膜および前記コンタクトホールの表面にバリア層を構成するための膜を形成する工程、
    (c)前記バリア層を構成するための膜を堆積させ、その後、酸素の存在下において熱処理することにより、該膜を構成する金属のオキサイドを島状に分布させてバリア層を形成する工程、
    (d)基板温度を100℃以下に冷却する工程、
    (e)前記バリア層の上に、200℃以下の温度で、アルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金からなる第1のアルミニウム膜を形成する工程、および
    (f)前記第1のアルミニウム膜の上に、350℃〜460℃の温度で、アルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金からなる第2のアルミニウム膜を形成する工程。
  3. 請求項1または2のいずれかにおいて、
    前記工程(a)の後に、減圧下において、300〜550℃の基板温度で熱処理することにより、前記層間絶縁膜に含まれるガス化成分を除去する脱ガス工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    前記工程(e)および(f)でのアルミニウム膜の形成は、スパッタ法で行われることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
    前記工程(e)および(f)でのアルミニウム膜の形成は、同一チャンバー内で連続的に行われることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
    前記工程(d)、(e)および(f)は、減圧状態が保たれている複数のチャンバーを有する同一の装置内で連続的に行われる半導体装置の製造方法。
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