JP3921718B2 - 半導体記憶装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、NAND型マスクROM等に適用して有用な半導体記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりNAND型マスクROM等において、微小なデータ信号読出しを確実に行うために、ダミービット線を用意して選択ビット線とダミービット線の信号レベル差を検出するセンス方式が用いられている。具体的には例えば、メモリセルブロックのワード線終端側にダミーセルとダミービット線とを配置し、メモリセルブロックの一つのビット線が選択されたときに、参照電位に設定されたダミービット線との比較により選択ビット線の“H”,“L”を検出する、という方式が用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のセンス方式では、ダミーセルとダミービット線がメモリブロックの端に配置されるため、メモリセルアレイの容量が大きくなると次のような問題が生じる。第1に、基板等からのノイズがある場合、ダミーセルと選択されたメモリセルが近ければノイズの影響はある程度相殺されるが、ダミーセルから離れた位置のメモリセルが選択されたときには局所的ノイズの影響が異なり、誤動作の原因となる。第2に、ワード線はメモリトランジスタの多結晶シリコンゲートを連続的に配設して形成されるため抵抗が大きく、ダミービット線に近い位置のメモリセルが選択されたときと、ダミービット線から離れた位置のメモリセルが選択されたときとでは、ワード線遅延が大きく異なり、これも誤動作の原因となる。
【0004】
この発明は、上記事情を考慮してなされたもので、ノイズやワード線遅延の影響による誤動作を防止できる半導体記憶装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る半導体記憶装置は、複数本ずつの互いに交差するビット線とワード線、およびこれらのビット線とワード線により選択される二値データが不揮発に書き込まれたm個のMOSトランジスタであるメモリセルからなるNANDセルを有するメモリセルアレイと、前記複数本のビット線の一端側にそれぞれ接続された、前記メモリセルに比べてオン抵抗の大きい1つのMOSトランジスタからなるダミーセルと、前記メモリセルアレイの互いに隣接する2本のビット線の一方をデータが読み出される選択状態、他方を非選択状態にし、前記選択状態のビット線にデータが読み出されるNANDセルを直列接続されたn個の選択トランジスタからなる選択ゲートを介して接続し、前記非選択状態のビット線をダミービット線としてこのダミービット線につながる前記ダミーセルをオン駆動するビット線選択手段と、前記選択状態のビット線とこれに隣接する前記ダミービット線の電位差を検出する差動型センス回路と、前記2本のビット線のいずれが選択状態になるかに応じて前記差動型センス回路により読み出される出力を反転させるデータ反転手段とを有し、前記NANDセルのMOSトランジスタ及び前記選択トランジスタのチャンネル長をL1、チャンネル幅をW1とし、前記ダミーセルのチャンネル長をL2、チャンネル幅をW2としたとき、L1×(m+n)/W1<L2/W2なる寸法関係を満たすことを特徴とする。
【0006】
この発明において好ましくは、前記メモリセルは複数のMOSトランジスタが直列接続されたNAND型セルであって、隣接する2本のビット線のそれぞれに沿って、ワード線により共通に駆動される2個ずつのNAND型セルが配置され、かつ、前記ビット線選択手段は、前記2個ずつのNAND型セルと前記2本のビット線との間にそれぞれ設けられて、4個のNAND型セルの一つのデータを選択して前記2本のビット線の一方に読み出すための4段のMOSトランジスタからなる選択ゲートを有するものとする。
【0007】
この発明によると、専用のダミービット線を配設することなく、メモリセルデータが読出される選択状態のビット線に隣接するビット線を非選択状態として、この非選択状態のビット線がダミービット線として用いられる。従って、対となる選択ビット線とダミービット線とは常に近接した位置にあり、基板ノイズ等の影響が相殺され、ワード線遅延の影響もなくなって、誤動作が防止される。またダミーセルとして、メモリセルよりオン抵抗の大きい一つのMOSトランジスタを各ビット線に接続することにより、選択ビット線に隣接する非選択ビット線をダミービット線として用いて、データ“0”,“1”の判別を行うことが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施例を説明する。
図4は、この発明の一実施例によるNAND型マスクROMのブロック構成であり、マスクプログラミングによって二値データが書き込まれたメモリセルアレイ1、アドレスを取り込むアドレスバッファ2、取り込まれたアドレスをデコードするアドレスデコーダ3、メモリセルアレイ1のビット線選択を行うカラムセレクタ4、選択されたビット線のデータを読み出すセンス回路5および出力回路6により構成される。
【0009】
図1は、メモリセルアレイ1の要部構成を示している。複数本ずつのビット線BL(図では、隣接する2本のビット線BL1,BL2のみを示す)とワード線WL(WL0,WL1,…)が互いに交差して配設され、これらのビット線BLとワード線WLにより選択されるメモリセルMC(MC1,MC2,…)がマトリクス配列されている。各メモリセルMCは、この例では、16個のnチャネルMOSトランジスタM10,M11,…が直列接続された16段NAND型セルを構成して、各ビット線BLに沿って2個ずつ配置されている。これらの各メモリセルMCの横方向に並ぶMOSトランジスタは、それらのゲート電極を連続的に配設して得られる一つのワード線WLにより共通に駆動される。メモリセルMCのMOSトランジスタは、マスクプログラミングにより、データ“0”,“1”にそれぞれ対応してエンハンスメント(E)型,デプレション(D)型に設定されている。
【0010】
各メモリセルMCは、選択ゲートSG(SG1〜SG4)を介してそれぞれビット線BLに接続されている。選択ゲートSGはそれぞれ、4個の選択信号S1〜S4により駆動される4段のnチャネルMOSトランジスタS11〜S14,S21〜S24,S31〜S34,S41〜S44により構成されている。各選択ゲートSGのなかでは、1個がE型MOSトランジスタであり、残りの3個がD型MOSトランジスタ(ゲート部にハッチングを施して示す)である。即ち、選択ゲートSG1,SG2,SG3,SG4について、それぞれ選択信号S1,S2,S3,S4により駆動されるトランジスタS11,S22,S33,S44がE型となっている。
【0011】
上述の4段の選択ゲートSGは、隣接する二つのビット線BL1,BL2の一方をメモリセルデータが読み出される選択状態、他方を非選択状態とするためのビット線選択手段の一部を構成しており、非選択状態のビット線がダミービット線として用いられる。即ち、選択信号S1又はS2が“H”、選択信号S3とS4が“L”のとき、メモリセルMC1又はMC2のデータがビット線BL1に読み出され、このときビット線BL2は非選択状態となり、選択信号S3又はS4が“H”、選択信号S1とS2が“L”のとき、メモリセルMC3又はMC4のデータがビット線BL2に読み出され、このときビット線BL1は非選択状態となる。
【0012】
ビット線BLの端部には、ダミーセルDM(DM1,DM2)が接続されている。ビット線BL1側のダミーセルDM1は、選択信号S3又はS4により駆動されるE型のnチャネルMOSトランジスタであり、ビット線BL2側のダミーセルDM2は選択信号S1又はS2により駆動されるE型のnチャネルMOSトランジスタである。即ち、ビット線BL1が選択状態になるときに、非選択状態のビット線BL2側のダミーセルDM2がオン駆動され、ビット線BL2が選択状態になるときに、非選択状態のビット線BL1側のダミーセルDM1がオン駆動されるようになっている。
ビット線BLの端部にはまた、読出しサイクルに入る前にビット線BLをVDD/2にプリチャージするためのプリチャージ用MOSトランジスタQ1,Q2が設けられている。
【0013】
図2は、メモリセルMCとダミーセルDMのレイアウトを示している。“0”データと“1”データが読み出されるときの選択ビット線の電位変化に対して、ダミービット線がそれらの中間の電位変化を示すように、メモリセルMCとダミーセルDMが設計される。図示のように、メモリセルMCは16段のMOSトランジスタが基本であり、これに選択ゲートSGの4段のMOSトランジスタが付加されるから、ダミーセルDMは、選択ゲートSGを含めたメモリセルMCに比べてオン抵抗が大きい、チャネル長の長い一つのnチャネルMOSトランジスタにより構成される。具体的には、メモリセルMC側の各トランジスタのチャネル長をL1、チャネル幅をW1とし、ダミーセルDMのチャネル長をL2、チャネル幅をW2としたとき、
L1×20/W1<L2/W2
なる寸法関係を満たすようにする。
【0014】
ビット線データを読み出すセンス回路5には、この実施例では図3に示すような差動型センスアンプ51を用いている。図3では、図1における対をなすビット線BL1,BL2がカラムセレクタ4により選択されて差動型センスアンプ51に接続された場合を示している。この差動型センスアンプ51は、pチャネルMOSトランジスタQ11,Q12とnチャネルMOSトランジスタQ21,Q22からなるCMOSフリップフロップにより構成されている。MOSトランジスタQ11,Q12のソースと電源VDDの間には活性化用のpチャネルMOSトランジスタQ13が設けられ、MOSトランジスタQ21,Q22のソースと接地VSSの間には同様に活性化用のnチャネルMOSトランジスタQ23が設けられている。
【0015】
差動型センスアンプ51と出力ビット線DBL1,DBL2の間には、出力回路6の一部を構成する出力セレクタ61が設けられている。この出力セレクタ61は、対をなすビット線BL1,BL2のいずれが選択状態であるかに応じて出力データを反転させるデータ反転回路であって、図示のように、クロックA,Bにより制御されるクロックドインバータにより構成される。クロックAは、選択信号S1又はS2が“H”になったときに“H”、クロックBは、選択信号S3又はS4が“H”になったときに“H”になる相補的クロックであり、これにより、差動型センスアンプ51の“H”,“L”出力をそのまま出力ビット線DBL1,DBL2に転送するか、切替えて出力ビット線DBL1,DBL2に転送するかが選択される。
【0016】
なお出力セレクタ61は、差動型センスアンプ51の出力側ではなく、図6に示すように、差動型センスアンプ51の入力側に、カラムセレクタ4の一部として配置してもよい。図6では、出力セレクタ61を、図3より簡単に、nチャネルMOSトランジスタQ24,Q25,Q26,Q27からなる転送ゲートを用いて構成した例を示している。
【0017】
この様に構成されたマスクROMの動作を図5を用いて説明する。プリチャージ信号PREが“H”の間、プリチャージ用MOSトランジスタQ1,Q2が オンとなり、その間センスアンプ51は非活性であって、ビット線BLはVDD/2にプリチャージされる。読出しアドレスが取り込まれると例えばアドレス遷移検出により、タイミングt1でプリチャージ信号PREが“L”になりビット線BLがフローティング状態の読出しサイクルに入る。
【0018】
タイミングt2でアドレスデコーダ3により、選択信号S1〜S4のいずれかが“H”になり、16本のワード線WLは選択されたものが“L”、残りの非選択ワード線が全て“H”になる。図5では、選択信号S1が“H”になる場合を示しており、これにより、選択ゲートSG1の全てのトランジスタS11〜S14がオンして、図1に示す4個のメモリセルMC1〜MC4のうち、MC1が選択されてそのデータがビット線BL1に読み出される。即ち、隣接する二つのビット線BL1,BL2のうち、BL1が選択状態となり、BL2は非選択状態に保持されてこれがダミービット線となる。また選択信号S1によって同時に、ダミーセルDM1,DM2のうちDM2がオン駆動される。
【0019】
メモリセルMC1の選択されたデータが“0”(選択メモリMOSトランジスタがE型)のときは、ビット線BL1の電流引き込みは殆どなく、データが“1”(選択メモリMOSトランジスタがD型)のときはビット線BL1の電流引き込みが生じる。ダミーセルDM2が接続された非選択状態のビット線BL2側では、ダミーセルDM2による電流引き込みが生じる。ダミー側のビット線BL2の電位変化は、選択ビット線BL1のデータ“0”のときの電位変化と、データ“1”のときの電位変化の中間の電位変化を示すように予め設定されているから、図5に示したように、データ“0”,“1”に応じて、VDD/2にプリチャージされたビット線BL1,BL2が電位変化する。
【0020】
したがって、アドレス遷移から所定遅延時間後のタイミングt3で、センスアンプ活性化信号SEN,SEPがそれぞれ“H”,“L”になって差動型センスアンプ51が活性化されると、ビット線BL1,BL2間の微小な電位差が拡大検出され、読出しデータに応じて一方が“H”(=VDD),他方が“L”(=VSS)になる。
差動型センスアンプ51において確定したデータは、ビット線BL1,BL2のいずれが選択ビット線であるかに応じて、セレクタ61で切替えられて出力ビット線DBL1,DBL2に転送される。
【0021】
以上のようにこの実施例によれば、隣接する2本のビット線の一方が選択状態となるときに他方が非選択状態になって、この非選択状態のビット線がダミービット線として用いられ、隣接ビット線間で差動的にデータセンスがなされる。従って、ワード線の端部に専用のダミービット線が配設される従来の方式と異なり、選択ビット線とダミービット線とが大きく離れることはなく、基板ノイズが発生した場合にも誤動作が発生しにくい。同様の理由で、ワード線遅延の影響による誤動作も防止される。
【0022】
実施例では、差動型センスアンプとして通常DRAMにおいて用いられているのと同様のフリップフロップ型センスアンプを用いたが、図7に示すように、プリセンスアンプ71a,71bと差動アンプ72とからなる差動型センスアンプを用いることもできる。プリセンスアンプ71a,71bはそれぞれ、ソースが電源に接続されたプルアップ用pチャネルMOSトランジスタQ31,Q41と、ソースがビット線BL1,BL2につながるnチャネルMOSトランジスタQ32,Q42を有し、MOSトランジスタQ32,Q42のソース・ゲート間には、データセンス時のビット線レベルの変化を抑制するための負帰還回路を構成するインバータI1,I2が設けられて、電流検出回路を構成している。
この差動型センスアンプを用いると、ビット線をVDD,VSSまでスイングさせることなく、データ読出しを行うことができる。
【0023】
また実施例では、NAND型マスクROMを説明したが、この発明はこれに限られるものではなく、NOR型マスクROMは勿論、フィールドプログラマブルROM等、不揮発に二値データ記憶がなされる他の半導体記憶装置に同様に適用することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明によれば、不揮発にデータが書き込まれたMOSトランジスタからなるメモリセルを有する半導体記憶装置において、ビット線の一端側にメモリセルに比べてオン抵抗の大きいMOSトランジスタからなるダミーセルを配置して、互いに隣接する2本のビット線の一方をデータが読み出される選択状態、他方を非選択状態として、非選択状態のビット線をダミービット線としてデータセンスを行うことにより、基板ノイズの影響やワード線遅延の影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例のマスクROMのメモリセルアレイを示す。
【図2】 同実施例のメモリセルとダミーセルのレイアウトを示す。
【図3】 同実施例の差動型センスアンプとセレクタの構成を示す。
【図4】 同実施例のブロック構成を示す。
【図5】 同実施例の動作を説明するためのタイミング図である。
【図6】 差動型センスアンプとセレクタの他の配置例を示す。
【図7】 他の実施例の差動型センスアンプを示す。
【符号の説明】
1…メモリセルアレイ、2…アドレスバッファ、3…アドレスデコーダ、4…カラムセレクタ、5…センス回路、6…出力回路、MC…メモリセル、SG…選択ゲート、DM…ダミーセル、BL…ビット線、WL…ワード線、51…差動型センスアンプ、61…出力セレクタ。
Claims (2)
- 複数本ずつの互いに交差するビット線とワード線、およびこれらのビット線とワード線により選択される二値データが不揮発に書き込まれたm個のMOSトランジスタであるメモリセルからなるNANDセルを有するメモリセルアレイと、
前記複数本のビット線の一端側にそれぞれ接続された、前記メモリセルに比べてオン抵抗の大きい1つのMOSトランジスタからなるダミーセルと、
前記メモリセルアレイの互いに隣接する2本のビット線の一方をデータが読み出される選択状態、他方を非選択状態にし、前記選択状態のビット線にデータが読み出されるNANDセルを直列接続されたn個の選択トランジスタからなる選択ゲートを介して接続し、前記非選択状態のビット線をダミービット線としてこのダミービット線につながる前記ダミーセルをオン駆動するビット線選択手段と、
前記選択状態のビット線とこれに隣接する前記ダミービット線の電位差を検出する差動型センス回路と、
前記2本のビット線のいずれが選択状態になるかに応じて前記差動型センス回路により読み出される出力を反転させるデータ反転手段とを有し、
前記NANDセルのMOSトランジスタ及び前記選択トランジスタのチャンネル長をL1、チャンネル幅をW1とし、前記ダミーセルのチャンネル長をL2、チャンネル幅をW2としたとき、
L1×(m+n)/W1<L2/W2
なる寸法関係を満たすことを特徴とする半導体記憶装置。 - 前記メモリセルは複数のMOSトランジスタが直列接続されたNAND型セルであって、隣接する2本のビット線のそれぞれに沿って、ワード線により共通に駆動される2個ずつのNAND型セルが配置され、かつ、
前記ビット線選択手段は、前記2個ずつのNAND型セルと前記2本のビット線との間にそれぞれ設けられて、4個のNAND型セルの一つのデータを選択して前記2本のビット線の一方に読み出すための4段のMOSトランジスタからなる選択ゲートを有する
ことを特徴とする請求項1記載の半導体記憶装置。
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