JP3921703B2 - N−(α−アルキルベンジリデン)−α−フェニルアルキルアミン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般式(1)
(式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を、R2 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、ハロアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、ハロアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を表し、*は不斉炭素を表す。ただしXが水素原子であるとき、R1 がメチル基であることはない。)
で示されるN-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミンの光学活性体及びそのラセミ体、ならびに、それらの製造方法及びそれらを用いることによる一般式(2)
(式中、R1 、R2 、X及び*は前記と同じ意味を表す。)
で示されるα- フェニルアルキルアミンの光学活性体又はそのラセミ体のうちで、そのラセミ体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学活性なα- フェニルアルキルアミン類は、農薬、医薬の中間体として有用な化合物である(特開昭 63-238054号公報、特開平 2-76846号公報、特開平 2-11550号公報、) 。例えば1-(2',4'-ジクロロフェニル) エチルアミンの光学活性体の製造方法としては、そのラセミ体をN-ホルミルフェニルアラニン等を分割剤として光学分割する方法(特開平 2-306942 号公報) が知られており、また、1-(3- メトキシフェニル) エチルアミンの光学活性体の製造方法としては、そのラセミ体をリンゴ酸等を分割剤として光学分割する方法(特開昭58-41847号公報) が知られている。
しかしながら、有用な一方の光学活性体を分離した残りの望ましくない対掌体の有効利用、例えばラセミ化して、より有用なラセミ体として再利用することが工業上の大きな課題となっている。
【0003】
従来より、光学活性体のラセミ化によるラセミα- アリールアルキルアミン類の製造方法としては、例えばナトリウムナフタレンを作用させることによるラセミα- フェニルエチルアミンの製造方法( 特開昭50-49235号) 、水素化ナトリウムを作用させることによるラセミα- ナフチルエチルアミンの製造方法( 特開昭54-5967 号) 、アルミナ担持のナトリウムを作用させることによるラセミα- フェニルエチルアミンの製造方法( 特開昭50-50328号) 等が知られている。
しかしながら、上記公知方法を、例えば光学活性なα- ハロゲン置換フェニルアルキルアミン類に適用したところ、ラセミ化反応が全く進行しないという問題が生じた。また、光学活性なα- アルコキシ置換フェニルアルキルアミン類に適用したところ、該アミンの種類によってはラセミ化反応が全く進行せず、また反応が進行するアミンであっても多量の触媒を必要とすること、満足できる収率ではないことなどの問題が生じた。
一方α- ハロゲン置換フェニルアルキルアミン類のラセミ化によるラセミα- ハロゲン置換フェニルアルキルアミン類の製造方法としては、ジメチルスルホキシド中でアルカリ金属アルコキシドを作用させることによるラセミ 1-(4-クロロフェニル) エチルアミンの製造方法( 特開平4-275258号) も知られているが、この方法を、例えば種々の光学活性なα- ハロゲン置換フェニルアルキルアミン類やα- アルコキシ置換フェニルアルキルアミン類に適用しても、該アミンの種類によってはラセミ化反応が全く進行せず、また反応が進行するアミンであっても多量の触媒を必要とすること、満足できる収率ではないことなどの問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況下、本発明者らは、光学活性体のラセミ化によるα- フェニルアルキルアミン類の製造方法を見出すべく、ラセミ化反応について鋭意検討を重ねた結果、α- フェニルアルキルアミン類の光学活性体をα- フェニルアルキルケトン類と縮合した光学活性なイミンに一旦誘導し、これにジメチルスルホキシド中でアルカリ金属アルコキシドを作用させれば、ラセミ化反応が効率良く進行することを見出すとともに、このラセミイミンを加水分解すれば目的とするα- フェニルアルキルアミン類のラセミ体が容易に得られることを見出し本発明を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、前記一般式(1)で示されるN-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミンの光学活性体及びそのラセミ体、それらの製造方法ならびにそれらを用いることによる前記一般式(2)で示されるα- フェニルアルキルアミンのラセミ体の製造方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるN-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミン(1)の光学活性体は、α- フェニルアルキルアミン(2)の光学活性体と一般式(3)
(式中、R1 、R2 及びXは前記と同じ意味を表す。)
で示されるα- フェニルアルキルケトンとを脱水縮合させることにより製造し得る。
【0007】
ここでα- フェニルアルキルアミン(2)の光学活性体におけるR1 としては、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルなどの炭素数1〜4のアルキル基を挙げることができ、好ましくは、メチルである。
R2 としては例えば、水素原子、フルオロ、クロル、ブロムなどのハロゲン原子、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルなどの炭素数1〜4のアルキル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ジクロロメチル基、モノクロロメチル基などのハロアルキル基、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシなどの炭素数1〜3のアルコキシ基を挙げることができる。
Xとしては水素原子や、R2 で挙げたものと同様のハロゲン原子、ハロアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基を挙げることができる。
【0008】
α- フェニルアルキルアミン(2)の光学活性体の具体例としては、例えば1-(2'-クロロフェニル) エチルアミン、1-(3'-クロロフェニル) エチルアミン、1-(4'-クロロフェニル) エチルアミン、1-(2',3'- ジクロロフェニル) エチルアミン、1-(2',4'- ジクロロフェニル) エチルアミン、1-(2',5'- ジクロロフェニル) エチルアミン、1-(2',6'- ジクロロフェニル) エチルアミン、1-(3',4'- ジクロロフェニル) エチルアミン、1-(3',5'- ジクロロフェニル) エチルアミン、1-(4'-ブロモフェニル) エチルアミン、1-(2',4'- ジブロモフェニル) エチルアミン、1-(3'-ブロモフェニル) エチルアミン、1-(3',4'- ジブロモフェニル) エチルアミン、1-(2'-メトキシフェニル) エチルアミン、1-(3'-メトキシフェニル) エチルアミン、1-(4'-メトキシフェニル) エチルアミン、1-(2',3'- ジメトキシフェニル) エチルアミン、1-(2',4'- ジメトキシフェニル) エチルアミン、1-(3',4'- ジメトキシフェニル) エチルアミン、1-(3',5'- ジメトキシフェニル) エチルアミン、1-(2'-メチル-4'-クロロフェニル) エチルアミン、1-(3'-メチル-4'-クロロフェニル) エチルアミン、1-(2'-ブロモ-4'-エチルフェニル) エチルアミン、1-(3'-クロロ-4'-エチル) エチルアミン、1-(2'-メトキシ-4'-ブロモフェニル) エチルアミン、1-(3'-メトキシ-4'-クロロフェニル) エチルアミン、1-(2'-ブロモ-4'-エトキシフェニル) エチルアミン、1-(3- トリフルオロメチルフェニル) エチルアミン、1-(3'-クロロ-4'-エトキシフェニル) エチルアミン、1-(2',4'- ジクロロフェニル) イソブチルアミン、1-(3',4'- ジクロロフェニル) イソブチルアミン、1-(3'-メトキシフェニル) イソブチルアミン、1-(3',4'- ジメトキシフェニル) イソブチルアミン、1-(2'-フルオロフェニル)-3-メチルブチルアミン、1-(4- メチルフェニル) ブチルアミン、1-フェニルプロピルアミン、1-(3',4'- ジクロロフェニル) プロピルアミン、1-(2'-フルオロフェニル) エチルアミン、1-(3'-フルオロフェニル) エチルアミン、1-(3'-メトキシフェニル) プロピルアミンのR体、S体およびこれらの一方が過剰である混合物などを挙げることができる。
【0009】
また、もう一方の原料であるα- フェニルアルキルケトン(3)におけるR1 としては、例えばα- フェニルアルキルアミン(2)で示したR1 と同様の基を挙げることができ、好ましくはメチルである。
R2 としては、例えば、α- フェニルアルキルアミン(2)で示したR2 と同様の基を挙げることができる。
Xとしては、例えばα- フェニルアルキルアミン(2)で示したXと同様の基を挙げることができる。
【0010】
α- フェニルアルキルケトン(3)の具体例としては、例えば2'- クロロアセトフェノン、3'- クロロアセトフェノン、4'- クロロアセトフェノン、2',3'-ジクロロアセトフェノン、2',4'-ジクロロアセトフェノン、2',5'-ジクロロアセトフェノン、2',6'-ジクロロアセトフェノン、3',4'-ジクロロアセトフェノン、3',5'-ジクロロアセトフェノン、3'- ブロモアセトフェノン、4'- ブロモアセトフェノン、2',4'-ジブロモアセトフェノン、3',4'-ジブロモアセトフェノン、2'- メチル-4'-クロロアセトフェノン、3'- メチル-4'-クロロアセトフェノン、2'- ブロモ-4'-エチルアセトフェノン、3'- クロロ-4'-エチルアセトフェノン、2'- メトキシ-4'-ブロモアセトフェノン、3'- メトキシ-4'-クロロアセトフェノン、2'- ブロモ-4'-エトキシアセトフェノン、3'- クロロ-4'-エトキシアセトフェノン、(2',4'- ジクロロフェニル) イソプロピルケトン、(3',4'- ジクロロフェニル) イソプロピルケトン、(3'-メトキシフェニル) イソプロピルケトン、(3',4'- ジメトキシフェニル) イソプロピルケトン、(3',4'- ジクロロフェニル) エチルケトン、2'- メトキシアセトフェノン、3'- メトキシアセトフェノン、4'- メトキシアセトフェノン、2',3'-ジメトキシアセトフェノン、2',4'-ジメトキシアセトフェノン、3',4'-ジメトキシアセトフェノン、3',5'-ジメトキシアセトフェノン、2'- フルオロアセトフェノン、3'- フルオロアセトフェノン、1-(3- メトキシフェニル) エチルケトン、プロピオフェノン、2'- フルオロフェニル-i- ブチルケトン、1-(4- メチルフェニル) プロピルケトン、3-トリフルオロアセトフェノンなどを挙げることができ、他方の原料であるα- フェニルアルキルアミン(2)の光学活性体と、置換基R1 、R2 及びXの種類ならびに置換位置が同じであるようなα- フェニルアルキルケトンが通常用いられる。
【0011】
N-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミン(1)の光学活性体は公知の方法、例えばJ.Chem.Soc.14,2624(1984)の方法に準拠して、α- フェニルアルキルアミン(2)の光学活性体とα- フェニルアルキルケトン(3)を脱水縮合させることにより得ることができる。この際、α- フェニルアルキルケトン(3)は、α- フェニルアルキルアミン(2)の光学活性体に対して、通常0.5 〜2モル倍、好ましくは0.95〜1.05モル倍使用される。
【0012】
該脱水縮合反応は通常、溶媒、触媒下で実施されるが、無溶媒、触媒下でも実施し得る。溶媒を使用する場合、溶媒としては、反応を阻害しないものであればよく、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族系溶媒、ジオキサン、メチル-t- ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系溶媒、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒などが挙げられる。脱水縮合により生成した水を系外に除去しながら反応させることが好ましい。
溶媒の使用量は、α- フェニルアルキルアミン(2)の光学活性体に対して、通常0〜20重量倍、好ましくは3〜10重量倍程度である。
【0013】
また脱水縮合触媒としては、例えば塩化亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、三臭化ホウ素、三塩化リン、臭化マグネシウム、塩化鉄、塩化アルミニウム、四塩化スズ、チタンアルコキシド、銅(II)トリフラート等のルイス酸類、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、スルホン酸系のイオン交換樹脂等のスルホン酸類、12タングスト(IV)リン酸、12タングスト(IV)ケイ酸等のヘテロポリ酸類などが挙げられる。
なかでも塩化亜鉛、チタンアルコキシド、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、p-トルエンスルホン酸等が好ましく使用される。より好ましくは、塩化亜鉛、チタンアルコキシド等である。
触媒の使用量は、α- フェニルアルキルアミン(2)の光学活性体に対して、通常0.001 〜0.1 モル倍、好ましくは0.005 〜0.05モル倍である。
縮合の反応温度は、通常70〜180 ℃程度であり、脱水縮合により生成した水を系外に除去しながら反応させることが好ましい。
反応時間は、通常1〜20時間程度である。
【0014】
生成したN-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミン(1)の光学活性体は、反応マスから触媒を除去した後、そのまま次工程に用いてもよいし、例えば低沸分留去等により分離してもよいし、分離した後さらに蒸留、再結晶、各種クロマトグラフィー等の手段により精製してもよい。
【0015】
かくしてN-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミン(1)の光学活性体が得られるが、その具体的化合物としては、例えばN-( α- メチル- 2'- クロロベンジリデン)-α-(2'- クロロフェニル) エチルアミン、N-( α- メチル- 3'- クロロベンジリデン)-α-(3'- クロロフェニル) エチルアミン、N-( α- メチル- 4'- クロロベンジリデン)-α-(4'- クロロフェニル) エチルアミン、N-( α- エチル- 2'- クロロベンジリデン)-α-(2'- クロロフェニル) プロピルアミン、N-( α- エチル- 3'- クロロベンジリデン)-α-(3'- クロロフェニル) プロピルアミン、N-( α- エチル- 4'- クロロベンジリデン)-α-(4'- クロロフェニル) プロピルアミン、N-( α-n- プロピル- 2'- クロロベンジリデン)-α-(2'- クロロフェニル)-n-ブチルアミン、N-( α-n- プロピル- 3'- クロロベンジリデン)-α-(3'- クロロフェニル)-n-ブチルアミン、N-( α-n- プロピル- 4'- クロロベンジリデン)-α-(4'- クロロフェニル)-n-ブチルアミン、N-( α- メチル-2',3'- ジクロロベンジリデン)-α-(2',3'-ジクロロフェニル) エチルアミン、N-( α- メチル-2',4'- ジクロロベンジリデン)-α-(2',4'-ジクロロフェニル) エチルアミン、N-( α- メチル-2',5'- ジクロロベンジリデン)-α-(2',5'-ジクロロフェニル) エチルアミン、N-( α- メチル-2',6'- ジクロロベンジリデン)-α-(2',6'-ジクロロフェニル) エチルアミン、N-( α- メチル-3',4'- ジクロロベンジリデン)-α-(3',4'-ジクロロフェニル) エチルアミン、N-( α- メチル-3',5'- ジクロロベンジリデン)-α-(3',5'-ジクロロフェニル) エチルアミン、N-( α- メチル-2',5'- ジクロロベンジリデン)-α-(2',5'-ジクロロフェニル) エチルアミン、N-( α- エチル-2',4'- ジクロロベンジリデン)-α-(2',4'-ジクロロフェニル) プロピルアミン、N-( α- エチル-3',4'- ジクロロベンジリデン)-α-(3',4'-ジクロロフェニル) プロピルアミン、N-( α- エチル-2',5'- ジクロロベンジリデン)-α-(2',5'-ジクロロフェニル) プロピルアミン、N-( α- メチル- 4'- ブロモベンジリデン)-α-(4'- ブロモフェニル) エチルアミン、N-( α- エチル- 2'- ブロモベンジリデン)-α-(2'- ブロモフェニル) プロピルアミン、N-( α- エチル- 3'- ブロモベンジリデン)-α-(3'- ブロモフェニル) プロピルアミン、N-( α- エチル- 4'- ブロモベンジリデン)-α-(4'- ブロモフェニル) プロピルアミン、N-( α- メチル-2',4'- ジブロモベンジリデン)-α-2',4'- ( ジブロモフェニル) エチルアミン、N-( α- エチル-2',4'- ジブロモベンジリデン)-α-(2',4'-ジブロモフェニル) プロピルアミン、N-( α- メチル-2'-クロロ-4'-メチルベンジリデン)-α-(2'- クロロ-4'-メチルフェニル) エチルアミン、N-( α- エチル-3'-クロロ-4'-メチルベンジリデン)-α-(3'- クロロ-4'-メチルフェニル) プロピルアミン、N-( α- メチル-2'-クロロ-4'-メトキシベンジリデン)-α-(2'- クロロ-4'-メトキシフェニル) エチルアミン、N-( α- エチル-3'-クロロ-4'-メトキシベンジリデン)-α-3'-クロロ-4'-メトキシフェニル) プロピルアミン、N-( α- イソプロピル-2',4'- ジクロロベンジリデン)-α-(2',4'-ジクロロフェニル) イソブチルアミン、N-( α- イソプロピル-3',4'- ジクロロベンジリデン)-α-(3',4'-ジクロロフェニル) イソブチルアミン、N-( α- エチル- 3'- メトキシベンジリデン)-α-(3'- メトキシフェニル) プロピルアミン、N-( α- エチル- 3',4'-ジメトキシベンジリデン)-α-(3',4'-ジメトキシフェニル) プロピルアミン、N-( α- メチル- 2'- メトキシベンジリデン)-α-(2'- メトキシフェニル) エチルアミン、N-( α- メチル- 3'- メトキシベンジリデン)-α-(3'- メトキシフェニル) エチルアミン、N-( α- メチル- 4'- メトキシベンジリデン)-α-(4'- メトキシフェニル) エチルアミン、N-( α- メチル- 2',3'-ジメトキシベンジリデン)-α-(2',3'-ジメトキシフェニル) エチルアミン、N-( α- メチル- 2',4'-ジメトキシベンジリデン)-α-(2',4'-ジメトキシフェニル) エチルアミン、N-( α- メチル- 3',4'-ジメトキシベンジリデン)-α-(3',4'-ジメトキシフェニル) エチルアミン、N-( α- メチル- 3',5'-ジメトキシベンジリデン)-α-(3',5'-ジメトキシフェニル) エチルアミン、N-( α- メチル- 2'- フルオロベンジリデン)-α-(2'- フルオロフェニル) エチルアミン、N-( α- メチル- 3'- フルオロベンジリデン)-α-(3'- フルオロフェニル) エチルアミン、N-( α- エチルベンジリデン)−α- フェニルプロピルアミン、N-( α- イソブチル-2'-フルオロベンジリデン)- α-(2'- フルオロフェニル) イソペンチルアミン、N-( α- プロピル-4- メチルベンジリデン)-α-(4-メチルフェニル) ブチルアミン等の光学活性体が挙げられる。
【0016】
N-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミン(1)の光学活性体をラセミ化してラセミ体を製造するにあたっては、ジメチルスルホキシドの共存下、アルカリ金属アルコキシドを作用させることにより実施される。
ここでアルカリ金属アルコキシドとしては、例えばカリウム-t- ブトキシド、ナトリウム-t- ブトキシド、カリウム -t-アミレート、ナトリウム-t- アミレート等の三級アルコールのアルカリ金属アルコキシドが好ましく使用される。
その使用量は、N-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミン(1)の光学活性体に対して、通常0.01〜2モル倍、好ましくは0.03〜0.2 モル倍である。
またジメチルスルホキシドの使用量は、N-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミン(1)の光学活性体に対して、通常0.1 〜10モル倍程度、好ましくは0.5 〜5モル倍程度である。もちろん溶媒として多量用いることもできる。
【0017】
ラセミ化反応は通常、溶媒の存在下に実施される。かかる溶媒としては、反応を阻害しないものであればよく、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族系溶媒、ジエチルエーテル、メチル-t- ブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系溶媒、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
溶媒の使用量は、用いる溶媒の種類によって異なるが、N-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミン(1)の光学活性体に対して、通常0.3 〜100 重量倍程度、好ましく0.5 〜10重量倍程度である。
ラセミ化の反応温度、反応時間は、アルカリ金属アルコキシドの種類、量等により異なるが、温度は、通常0℃〜溶媒の沸点、好ましくは0〜100 ℃、より好ましくは10〜50℃であり、反応時間は通常1 〜48時間程度である。
反応の進行は、反応マスの一部を採取し、旋光度を測定する又は加水分解した後に光学活性カラムを有する高速液体クロマトグラフィーにより分析する等の方法により追跡し得る。
【0018】
生成したN-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミン(1)のラセミ体は、反応マスからジメチルスルホキシド、アルカリ金属アルコキシド等を例えば食塩等の無機塩を含有する水溶液で洗浄除去した後、通常はそのまま次工程に用いられるが、例えば低沸分留去等により分離してもよいし、分離した後さらに蒸留、再結晶、各種クロマトグラフィー等の手段により精製してもよい。
【0019】
N-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミン(1)のラセミ体は、例えば常法に従つて加水分解することにより、α- フェニルアルキルアミン(2)のラセミ体とα- フェニルアルキルケトン(3)とに分解することができる。
加水分解は、例えば希塩酸、硫酸等の酸類の存在下、無溶媒又は溶媒を使用して実施される。この場合酸類は、N-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミン(1)のラセミ体に対して通常1 〜10当量倍程度、好ましくは1.05〜1.5 当量倍程度使用される。
また水はN-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミン(1)のラセミ体に対して、通常1〜1000モル倍程度、好ましくは20〜100 モル倍程度使用される。
【0020】
溶媒を用いる場合は、N-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミン(1)のラセミ体に対して通常0.1 〜5重量倍程度使用される。溶媒としては反応を阻害しないものであればよく、例えばメタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系溶媒、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒などが挙げられる。
加水分解の反応温度、反応時間は、用いる酸類の種類、量にもよるが、温度は通常0℃〜溶媒の沸点、好ましくは30〜70℃程度であり、反応時間は通常10分〜5時間程度である。
【0021】
加水分解することにより、水溶性のα- フェニルアルキルアミン(2)のラセミ体と酸類との塩、及びα- フェニルアルキルケトン(3)が生成する。無溶媒で実施した場合は、例えば反応マスに非水溶性の溶媒を加えて有機層にα- フェニルアルキルケトン(3)を抽出分離した後、水層を水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を用いてアルカリ性にし、ついでこれを非水溶性の溶媒を用いて抽出し、得られた有機層を減圧濃縮することにより、α- フェニルアルキルアミン(2)のラセミ体を取り出すことができる。
アルコール系溶媒等の水溶性溶媒を用いて加水分解した場合は、アルコールを留去した後、上記と同様に処理すればよいし、非水溶性の溶媒を用いた場合は、反応マスをそのまま分液して有機層にα- フェニルアルキルケトン(3)を抽出する以外は上記と同様に処理すればよい。
【0022】
また、反応マスを水蒸気蒸留することにより、α- フェニルアルキルケトン(3)を留出分離した後、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を用いてアルカリ性にして非水溶性の溶媒を用いて抽出し、得られた有機層を減圧濃縮することにより、α- フェニルアルキルアミン(2)のラセミ体を取り出すことができる。
また、反応マスを水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を用いてアルカリ性にして非水溶性の溶媒を用いて抽出し、得られたα- フェニルアルキルケトン(3)とα- フェニルアルキルアミン(2)のラセミ体の混合物を得、これを常法の分離手段、例えばカラムクロマトグラフィー等の分離手段を付すことにより、両者を分離することができる。
分離回収したα- フェニルアルキルケトン(3)はリサイクルすることができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、α- フェニルアルキルアミン(2)の無用な光学活性体から、N-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミン(1)の光学活性体を経由することにより、有用なα- フェニルアルキルアミン(3)のラセミ体を容易にしかも効率良く製造し得る。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、光学異性体比(S体/R体)はいずれも光学活性カラムを用いる高速液体クロマトグラフ分析により求めた。
【0025】
実施例1
(1) (S)-1-(2',4'-ジクロロフェニル) エチルアミン (S体/R体=80.3/19.7) 62g と2',4'-ジクロロアセトフェノン62g とトルエン130gからなる混合物に塩化亜鉛 0.28gを加えた後、生成する水を系外に除去しながら20時間還流させた。次いで、25℃下、これを5%水酸化ナトリウム水溶液10g で洗浄、分液した後、得られたトルエン層を4時間共沸脱水することにより水分を除去した。
このものの一部を採取してガスクロマトグラフィーにより分析したところ、N-( α- メチル-2',4'- ジクロロベンジリデン)-α-(2',4'-ジクロロフェニル) エチルアミンの含量は116g、未反応1-(2',4'- ジクロロフェニル) エチルアミンの含量は1g、2',4'-ジクロロアセトフェノンの含量が0.5gと算出された。
(2) 次いで、30℃下、上記の水分を除去したトルエン溶液に、カリウム-t- ブトキシド1.2g、ジメチルスルホキシド 10.1gからなる溶液を加えて同温度で10時間攪拌した後、10%食塩水233gで1回、飽和食塩水233gで2回洗浄した。
【0026】
(3) 得られたトルエン溶液に5%塩酸285gを加えて60℃で1時間攪拌後、同温度で30分間静置して分液し、水層とトルエン層を得た。
水層にトルエン194gを加え60℃で抽出し、ここで得られたトルエン層と上記で得られたトルエン層と合わせた後、溶媒留去することにより、2',4'-ジクロロアセトフェノン60.7g を得た。
トルエン抽出後の水層に27%水酸化ナトリウム水溶液72g を加えた後、トルエン580gで抽出、トルエン留去することにより1-(2',4'- ジクロロフェニル) エチルアミン(S体/R体=52.3/47.7)61.7g を得た。
【0027】
実施例2
実施例1において、(S)-1-(2',4'- ジクロロフェニル) エチルアミンの代わりに(R)-1-(2',4'- ジクロロフェニル) エチルアミン (S体/R体=1/99) を用いる以外は実施例1に準拠することにより、2',4'-ジクロロアセトフェノン59.7g と1-(2',4'- ジクロロフェニル) エチルアミンS体/R体=(45.1/54.9)61g を得た。
【0028】
実施例3
実施例1-(1)に準拠して反応を実施することにより、光学活性なN-( α- メチル-2',4'- ジクロロベンジリデン)-α-(2',4'-ジクロロフェニル) エチルアミンを含むトルエン溶液を得た。
次いでトルエン、未反応の原料を留去することにより、光学活性なN-( α- メチル-2',4'- ジクロロベンジリデン)-α-(2',4'-ジクロロフェニル) エチルアミンを白色結晶として111g得た。
E/Z=8/92
融点:77〜85℃
1H-NMR: 1.32(2d,3H)、1.51(d,3H)、2.23(s,3H)、2.29(2s,3H) 、
4.56(m,1H) 、5.18(m,1H)、6.6-7.8(m,12H)
【0029】
実施例4
実施例1-(2)において、トルエン溶液として、実施例3で得られた結晶111gと乾燥トルエン130gからなる溶液を用いる以外は、実施例1-(2)に準拠して実施した。
次いで、得られたトルエン溶液を減圧濃縮した後、100 ℃、20mmHgで5時間低沸分留去することにより、ラセミN-( α- メチル-2',4'- ジクロロベンジリデン)-α-(2',4'-ジクロロフェニル) エチルアミンを無色透明な油状物として110gを得た。
E/Z=8/92
【0030】
実施例5
実施例1-(3)において、トルエン溶液として、実施例4で得られた油状物110 g とトルエン130gからなる溶液を用いる以外は、実施例1-(3)に準拠して実施しすることにより、2',4'-ジクロロアセトフェノン56.9g と1-(2',4'- ジクロロフェニル) エチルアミン(S体/R体=51.9/48.1)57.8g を得た。
【0031】
実施例6
実施例1において、塩化亜鉛の代わりにチタンテトライソプロポキシド0.45g を用いる以外は、実施例1に準拠して実施し、2',4'-ジクロロアセトフェノン59.2g と1-(2',4'- ジクロロフェニル) エチルアミン(S体/R体=53.3/46.7)60.8g を得た。
【0032】
実施例7
実施例1において、塩化亜鉛の代わりにp-トルエンスルホン酸0.62g 、トルエンの代わりにキシレンを用いる以外は、実施例1に準拠して実施し、2',4'-ジクロロアセトフェノン59.1g と1-(2',4'- ジクロロフェニル) エチルアミン(S体/R体=53/47)60.1g を得た。
【0033】
比較例1
実施例1において、ジメチルスルホキシドのかわりにt-ブタノール20g を用いる以外は実施例1に準拠して実施することにより、2',4'-ジクロロアセトフェノン60.3g と1-(2',4'- ジクロロフェニル) エチルアミン(S体/R体=80.3/19.7)61.5g を得た。
【0034】
比較例2
80℃下、実施例1で用いたと同じ(S)-1-(2',4'- ジクロロフェニル) エチルアミン6gとジメチルスルホキシド9gからなる混合物にカリウム-t- ブトキシド1.8gを加え、同温度で10時間攪拌を続けた。
室温まで冷却後、このものの一部を採取して光学活性カラムを用いた高速液体クロマトグラフ分析したところ、光学異性体比:S体/R体=80.3/19.7であった。
【0035】
実施例8
(R)-1-(2'-クロロフェニル) エチルアミン(S体/R体=24.8/75.2)5gと2'- クロロアセトフェノン5gをトルエン30g からなる混合物に塩化亜鉛0.05g を加えた後、生成する水を系外に除去しながら17時間還流させた。
次いで、実施例3に準拠して処理することにより光学活性なN-( α- メチル- 2'- クロロベンジリデン)-α-(2'- クロロフェニル) エチルアミンを淡黄色油状物として8.9g得た。
E/Z=37/63
1H-NMR: 1.35(2d,3H)、1.57(d,3H)、2.22(s,3H)、2.31(2s,3H) 、
4.65(2m,1H)、5.2(m,1H) 、6.6-7.9(m,8H)
【0036】
実施例9
実施例8で得られた油状物8gにトルエン10g を加え、30℃下、カリウム- t- ブトキシド0.6gとジメチルスルホキシド6.8gからなる溶液を加えて同温度で23時間攪拌した後、10% 食塩水20g で 1回、飽和食塩水20g で 2回洗浄した。得られたトルエン溶液を減圧濃縮し、次いで100 ℃、20mmHgで5時間低沸分留去することにより、ラセミN-( α- メチル-2'-クロロベンジリデン)-α-(2'- ジクロロフェニル) エチルアミンを淡黄色油状物として7.9gを得た。
E/Z=37/63
【0037】
実施例10
実施例9で得られた油状物7.9gにトルエン10g 及び5%塩酸25g を加えて60℃で1 時間攪拌後、同温度で30分静置して分液し、水層とトルエン層を得た。
水層にトルエン17g を加え60℃で抽出し、ここで得られたトルエン層と上記で得られたトルエン層を合わせた後、溶媒留去することにより、2'- クロロアセトフェノン4.1gを得た。
トルエン抽出後の水層に27% 水酸化ナトリウム水溶液6.4gを加えた後、トルエン50gで抽出、トルエン留去することにより1-(2'-クロロフェニル) エチルアミン(S体/R体=40.4/59.6)4.1gを得た。
【0038】
実施例11
(R)-1-(3',4'- ジクロロフェニル) エチルアミン(S体/R体=6.3 /93.7)5gと3',4'-ジクロロアセトフェノン5gをトルエン30g からなる混 合物に塩化亜鉛0.05g を加えた後、生成する水を系外に除去しながら27時間還流させた。
次いで、実施例3に準拠して処理することにより光学活性なN-( α- メチル- 3',4'-ジクロロベンジリデン)-α-(3',4'-ジクロロフェニル) エチルアミンを淡黄色油状物として9g得た。
E/Z =94/6
1H-NMR: 1.35(2d,3H)、1.47(d,3H)、2.23(s,3H)、2.31(s,3H)、
4.15(m,1H) 、4.77(m,1H)、7.25-8.0(m,6H)
【0039】
実施例12
実施例11で得られた油状物8gにトルエン10g を加え、30℃下、カリウム- t- ブトキシド0.25g とジメチルスルホキシド2.8gからなる溶液を加えて同温度で2 時間攪拌した後、10% 食塩水20g で 1回、飽和食塩水20g で 2回洗浄した。得られたトルエン溶液を減圧濃縮し、次いで100 ℃、20mmHgで5時間低沸分留去することにより、ラセミN-( α- メチル-3',4'- ジクロロベンジリデン)-α-(3',4'-ジクロロフェニル) エチルアミンを淡黄色油状物として7.9gを得た。
E/Z =94/6
【0040】
実施例13
実施例12で得られた油状物7.9gにトルエン10g 及び5%塩酸25g を加えて60℃で1 時間攪拌後、同温度で30分静置して分液し、水層とトルエン層を得た。
水層にトルエン17g を加え60℃で抽出し、ここで得られたトルエン層と上記で得られたトルエン層を合わせた後、溶媒留去することにより、3',4'-ジクロロアセトフェノン4gを得た。
トルエン抽出後の水層に27% 水酸化ナトリウム水溶液6.4gを加えた後、トルエン50gで抽出、トルエン留去することにより1-(3',4'- ジクロロフェニル) エチルアミン(S体/R体=49.2/50.8)4gを得た。
【0041】
実施例14
(R)-1-(4'-クロロフェニル) エチルアミン(S体/R体=20.0/80.0)5gと4'- クロロアセトフェノン5gをトルエン30g からなる混合物に塩化亜鉛0.05g を加えた後、生成する水を系外に除去しながら25時間還流させた。
次いで、実施例3に準拠して処理することにより光学活性なN-( α- メチル- 4'- クロロベンジリデン)-α-(4'- クロロフェニル) エチルアミンを淡黄色油状物として9g得た。
E/Z =93/7
1H-NMR: 1.35(d,3H) 、1.47(d,3H)、2.23(s,3H)、2.30(s,3H)、
4.32(m,1H) 、4.78(m,1H)、6.95-7.8(m,8H)
【0042】
実施例15
実施例14で得られた油状物8gにトルエン10g を加え、30℃下、カリウム- t- ブトキシド0.21g とジメチルスルホキシド2.4gからなる溶液を加えて同温度で2 時間攪拌した後、10% 食塩水20g で 1回、飽和食塩水20g で 2回洗浄した。得られたトルエン溶液を減圧濃縮し、次いで100 ℃、20mmHgで5時間低沸分留去することにより、ラセミN-( α- メチル-4'-クロロベンジリデン)-α-(4'- クロロフェニル) エチルアミンを淡黄色油状物として7.9gを得た。
E/Z =93/7
【0043】
実施例16
実施例15で得られた油状物7.9gにトルエン10g 及び5%塩酸25g を加えて60℃で1 時間攪拌後、同温度で30分静置して分液し、水層とトルエン層を得た。
水層にトルエン17g を加え60℃で抽出し、ここで得られたトルエン層と上記で得られたトルエン層を合わせた後、溶媒留去することにより、4'- クロロアセトフェノン4gを得た。
トルエン抽出後の水層に27% 水酸化ナトリウム水溶液6.4gを加えた後、トルエン50gで抽出、トルエン留去することにより1-(4'-クロロフェニル) エチルアミン(S体/R体=48.5/51.5)4gを得た。
【0044】
比較例3
80℃下、実施例8で用いたと同じ(R)-1-(2'-クロロフェニル) エチルアミン2gとジメチルスルホキシド10g からなる混合物にカリウム-t- ブトキシド0.6gを加え、同温度で6 時間攪拌を続けた。
次いで、トルエン10g を加え、飽和食塩水10g で2 回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、トルエン留去することにより、2.1gの褐色油状物を得た。蒸留により精製し1-(2'-クロロフェニル) エチルアミン(S体/R体=28.4/71.6)1.58g を得た。
【0045】
比較例4
80℃下、実施例11で用いたと同じ(R)-1-(3',4'- ジクロロフェニル) エチルアミン2gとジメチルスルホキシド6gからなる混合物にカリウム-t- ブトキシド0.6gを加え、同温度で6 時間攪拌を続けた。
次いで、トルエン10g を加え、飽和食塩水10g で2 回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、トルエン留去することにより、2.1gの褐色油状物を得た。蒸留により精製し1-(3',4'- ジクロロフェニル) エチルアミン(S体/R体=22.9/77.1)0.6gを得た。
【0046】
比較例5
80℃下、実施例14で用いたと同じ(R)-1-(4'-クロロフェニル) エチルアミン2gとジメチルスルホキシド4gからなる混合物にカリウム-t- ブトキシド0.24g を加え、同温度で4 時間攪拌を続けた。
次いで、トルエン10g を加え、飽和食塩水10g で2 回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、トルエン留去することにより、2.1gの褐色油状物を得た。蒸留により精製し1-(4'-クロロフェニル) エチルアミン(S体/R体=48.5/51.5)1.66g を得た。
【0047】
実施例17
(S)-1-(3'- メトキシフェニル) エチルアミン (S体/R体=72.0/28.0) 5gと3'- メトキシアセトフェノン5gとトルエン30g からなる混合物に塩化亜鉛 0.045g を加えた後、生成する水を系外に除去しながら10時間還流させた。
次いで、実施例3に準拠して処理することにより光学活性なN-( α- メチル- 3'- メトキシベンジリデン)-α-(3'- メトキシフェニル) エチルアミンを淡黄色油状物として8.7g得た。
E/Z=78/22
1H-NMR: 1.38(2d,3H)、1.53(d,3H)、2.25(s,3H)、2.31(2s,3H) 、
3.79(s,3H) 、3.82(s,3H)、4.09(m,1H)、4.79(m,1H)、
6.5-7.5(2m,8H)
【0048】
実施例18
実施例17で得られた油状物8gに乾燥トルエン10g を加え、30℃下でこれにカリウム-t- ブトキシド1.58g とジメチルスルホキシド 14.4gを加えて同温度で6.5 時間攪拌した後、10%食塩水20g で1回、飽和食塩水20g で2回洗浄した。
得られたトルエン溶液を減圧濃縮した後、 100℃、20mmHgで5時間かけて低沸分を留去することによりラセミN-( α- メチル- 3'- メトキシベンジリデン)-α-(3'- メトキシフェニル) エチルアミンを淡黄色油状物として7.9g得た。
E/Z =78/22
【0049】
実施例19
実施例18で得られた油状物7.9gにトルエン10g 及び5%塩酸25g を加えて60℃で1時間攪拌後、同温度で30分間静置して分液し、水層とトルエン層を得た。水層にトルエン17g を加え60℃で抽出し、ここで得られたトルエン層と上記で得られたトルエン層と合わせた後、溶媒留去することにより、3'- メトキシアセトフェノン4.1gを得た。
トルエン抽出後の水層に27%水酸化ナトリウム水溶液6.4gを加えた後、トルエン50g で抽出、トルエン留去することにより1-(3'-メトキシフェニル) エチルアミン(S体/R体=54.0/46.0)4.1gを得た。
【0050】
実施例20
実施例17において、(S)-1-(3'-メトキシフェニル) エチルアミン5gの代わりに(S)-1-(3',4'- ジメトキシフェニル) エチルアミン (S体/R体=80.6/19.4) 5gを、3'- メトキシアセトフェノン5gの代わりに3',4'-ジメトキシアセトフェノン5gを用い、還流時間を10時間から12時間に代える以外は実施例17に準拠して縮合反応を実施した。
次いで、実施例3に準拠して処理することにより光学活性なN-( α- メチル- 3',4'-ジメトキシベンジリデン)-α-(3',4'-ジメトキシフェニル) エチルアミンを淡黄色結晶として8.9g得た。
E/Z=76/24
1H-NMR: 1.28(2d,3H)、1.44(d,3H)、2.20(s,3H)、2.28(2s,3H) 、
3.79(s,3H) 、3.83(s,3H)、3.89(2s,3H) 、4.03(m,1H)、
4.72(m,1H) 、6.7-7.5(2m,6H)
【0051】
実施例21
実施例18において、実施例17で得られた油状物8gの代わりに実施例20で得られた結晶8gを用い、カリウム-t- ブトキシド1.58g を1.31g に、ジメチルスルホキシド 14.4gを11.9g に、攪拌時間6.5 時間を4 時間に各々代える以外は実施例18に準拠することによりラセミN-( α- メチル- 3',4'-ジメトキシベンジリデン)-α-(3',4'-ジメトキシフェニル) エチルアミンを淡黄色油状物として7.9g得た。
E/Z =76/24
【0052】
実施例22
実施例19において、実施例18で得られた油状物7.9gの代わりに実施例21で得られた油状物7.9gを用いる以外は実施例19に準拠することにより3',4'-ジメトキシアセトフェノン4g及び1-(3',4'- ジメトキシフェニル) エチルアミン(S体/R体=55.5/44.5)4gを得た。
【0053】
実施例23
実施例17において、(S)-1-(3'-メトキシフェニル) エチルアミン5gの代わりに(R)-1-(2'-フルオロフェニル) エチルアミン (S体/R体=13.6/86.4) 5gを、3'- メトキシアセトフェノン5gの代わりに2'- フルオロアセトフェノン5gを用い、塩化亜鉛を0.045gから0.05g に、還流時間を10時間から5.5 時間にに代える以外は実施例17に準拠して縮合反応を実施した。
次いで、実施例3に準拠して処理することにより光学活性なN-( α- メチル- 2'- フルオロベンジリデン)-α-(2'- フルオロフェニル) エチルアミンを淡黄色油状物として8.7g得た。
E/Z=66/34
1H-NMR: 1.39(2d,3H)、1.56(d,3H)、2.28(d,3H)、2.33(s,3H)、
4.63(m,1H) 、5.17(m,1H)、6.9-7.7(2m,8H)
【0054】
実施例24
実施例18において、実施例17で得られた油状物8gの代わりに実施例23で得られた油状物8gを用い、カリウム-t- ブトキシド1.58g を0.69g に、ジメチルスルホキシド 14.4gを6.3gに、攪拌時間6.5 時間を1 時間に各々代える以外は実施例18に準拠することによりラセミN-( α- メチル-2'-フルオロベンジリデン)-α-(2'- フルオロフェニル) エチルアミンを淡黄色油状物として7.9g得た。
E/Z =66/34
【0055】
実施例25
実施例19において、実施例18で得られた油状物7.9gの代わりに実施例24で得られた油状物7.9gを用いる以外は実施例19に準拠することにより2'- フルオロアセトフェノン4.1g及び1-(2'-フルオロフェニル) エチルアミン(S体/R体=49.3/50.7)4.1gを得た。
【0056】
比較例6
(S)-1-(3'-メトキシフェニル) エチルアミン (S体/R体=72.0/28.0) 2gにカリウム-t- ブトキシド1.34g とジメチルスルホキシド 6.8g を加えて30℃で16時間攪拌した。次いでトルエン10g を加え、飽和食塩水10g で2回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒留去することにより、褐色油状物2.1gを得た。これを蒸留により精製し、1-(3'-メトキシフェニル) エチルアミン(S体/R体=72.0/28.0)1.9gを得た。
【0057】
比較例7
比較例6において、 (S)-1-(3'- メトキシフェニル) エチルアミン2gの代わりに(S)-1-(3',4'- ジメトキシフェニル) エチルアミン(S体/R体=80.6/19.4) 2gを用い、カリウム-t- ブトキシド1.34g を0.62g に、ジメチルスルホキシド 6.8g を5.7gに、攪拌時間16時間を6 時間に代える以外は比較例6に準拠することにより、褐色油状物2.1gを得た。これを蒸留により精製し、1-(3',4'- ジメトキシフェニル) エチルアミン(S体/R体=80.6/19.4)1.9gを得た。
【0058】
比較例8
比較例6において、 (S)-1-(3'- メトキシフェニル) エチルアミン2gの代わりに(R)-1-(2'-フルオロフェニル) エチルアミン(S体/R体=13.6/86.4) 2gを用い、カリウム-t- ブトキシド1.34g を0.38g に、ジメチルスルホキシド 6.8g を3.5gに、攪拌時間16時間を5 時間に代える以外は比較例6に準拠することにより、褐色油状物2.1gを得た。これを蒸留により精製し、1-(2'-フルオロフェニル) エチルアミン(S体/R体=13.6/86.4)1.9gを得た。
【0059】
比較例9
実施例18において、ジメチルスルホキシドの代わりにtert- ブタノール15g を用いる以外は実施例18に準拠して反応を実施し、次いで実施例19に準拠して処理することにより、3'- メトキシアセトフェノン4.1g及び1-(3'-メトキシフェニル) エチルアミン(S体/R体=72.0/28.0)4.1gを得た。
【0060】
実施例26
(R)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミン(S体/R体=27.5/72.5)1gと3’−トリフルオロメチルフェニルアセトフェノン1gをトルエン6gに溶解し、塩化亜鉛0.01gを加え、留出した水を除去しながら110℃に20時間加熱した。
その後、実施例3に準拠して処理して、光学活性なN−(α−メチル−3−トリフルオロメチルベンジリデン)−α−(3’−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンを黄色油状物として1.8g得た。
E/Z=82.5/17.5
1H−NMR 1.38(d,3H)、1.52(d,3H)、2.30(s,3H)、2.32(s,3H)、4.16(m,1H)、4.89(m,1H)、7.1−8.2(m,8H)
【0061】
実施例27
実施例26で得た油状物1.8gに乾燥トルエン2gを加え、これに30℃でカリウム−t−ブトキシド0.11gとジメチルスルホキシド1.8gとを加え、同温度で1時間攪拌した。次いで10%塩化ナトリウム水溶液5gを用いて1回、飽和塩化ナトリウム水溶液5gを用いて2回洗浄したのち、濃縮して残渣を得、次いで100℃、20mmHgにて5時間低沸分留去して、ラセミのN−(α−メチル−3’−トリフルオロメチルベンジリデン)−α−(3’−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンを淡黄色油状物として1.7g得た。
E/Z=82.5/17.5
【0062】
実施例28
実施例27で得た油状物1.7gに5%塩酸10gを加え、60℃で1時間攪拌後、同温度で30分間静置したのち分液して、トルエン層と水層とを得た。水層をトルエン10gを用いて60℃にて抽出処理し、得られたトルエン層を先のトルエン層と合わせ、溶媒留去して3’−トリフルオロメチルアセトフェノン0.8gを得た。
抽出後の水層に27%水酸化ナトリウム水溶液3gを加えたのちトルエン10gを用いて抽出処理し、得られたトルエン層を溶媒留去して1−(3’−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミン0.9g(S体/R体=47.0/53.0)を得た。
【0063】
実施例29
(R)−1−フェニルプロピルアミン5g(S体/R体=11.5/88.5)とプロピオフェノン5gをトルエン30gに溶解し、塩化亜鉛0.05gを加え、100℃で留出した水を除去しながら25時間加熱した。
その後、実施例3に準拠して処理して、光学活性なN−(α−エチル−ベンジリデン)−α−フェニルプロピルアミンを淡黄色油状物として9g得た。
E/Z=80/20
1H−NMR 0.74(t,3H)、0.89(t,3H)、1.00(t,3H)、1.09(t,3H)、1.82(q,2H)、1.92(q,2H)、2.59(q,2H)、2.70(q,2H)、4.09(m,1H)、4.57(m,1H)、6.9−7.8(m,10H)
【0064】
実施例30
実施例29で得た油状物8gに乾燥トルエン10gを加え、これに30℃でカリウム−t−ブトキシド1.7gとジメチルスルホキシド8gとを加えて、60℃で2時間攪拌した。次いで10%塩化ナトリウム水溶液20gで1回、飽和塩化ナトリウム水溶液20gで2回洗浄したのち、減圧濃縮し、100℃、20mmHgで5時間低沸分留去して、ラセミのN−(α−エチル−ベンジリデン)−α−フェニルプロピルアミンを淡黄色油状物として7.9g得た。
E/Z=80/20
【0065】
実施例31
実施例30で得た油状物7.9gに5%塩酸25gを加え、60℃に加熱して同温度で1時間攪拌後、同温度で30分間静置したのち分液して、トルエン層と水層とを得た。水層をトルエン17gを用いて60℃にて抽出処理し、得られたトルエン層を先のトルエン層と合わせ、溶媒留去して、プロピオフェノン4gを得た。
抽出後の水層に27%水酸化ナトリウム水溶液6.4gを加えたのちトルエン50gを用いて抽出処理し、得られたトルエン層を溶媒留去して、1−フェニルプロピルアミン(S体/R体=45.7/54.3)4gを得た。
Claims (8)
- 縮合触媒として、ルイス酸類、スルホン酸類、ヘテロポリ酸類から選ばれる少なくとも1種を使用することを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
- 一般式(1)で示されるN-( α- アルキルベンジリデン)- α- フェニルアルキルアミンの光学活性体又はラセミ体。ただし、R2が塩素原子または臭素原子であり、かつXが水素原子であるとき、R1がメチル基であることはない。また、R2とXとが同時に水素原子であることもない。
- 一般式(1)で示されるN-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミンの光学活性体。ただし、R 2 が塩素原子または臭素原子であり、かつXが水素原子であるとき、R 1 がメチル基であることはない。また、R 2 とXとが同時に水素原子であることもない。
- 一般式(2)で示されるα- フェニルアルキルアミンの光学活性体又はラセミ体のうちで、その光学活性体と一般式(3)で示されるα- フェニルアルキルケトンとを、ルイス酸類またはヘテロポリ酸類を触媒として縮合反応させることを特徴とする一般式(1)で示されるN-( α- アルキルベンジリデン)- α- フェニルアルキルアミンの光学活性体の製造方法。ただし、R 2 が塩素原子または臭素原子であり、かつXが水素原子であるとき、R 1 がメチル基であることはない。また、R 2 とXとが同時に水素原子であることもない。
- 一般式(1)で示されるN-( α- アルキルベンジリデン)-α- フェニルアルキルアミンのラセミ体。ただし、R 2 が塩素原子または臭素原子であり、かつXが水素原子であるとき、R 1 がメチル基であることはない。また、R 2 とXとが同時に水素原子であることもない。
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