JP3921568B2 - 多機能電解水生成装置およびその電解水生成方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、水道水を原水として使用し電気分解してアルカリイオン水と強酸性水を所望によって吐水する多機能電解水生成装置の改良に関するものである。更に詳述すると、所望によって、原水に電解質を添加して強酸性水を吐水するとき安定した特性の吐水を得るための機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
原水中に含まれる飲料に不適な成分を取り除くため、電解槽の流入前に浄水器を取り付け、水道水などの原水を浄水器に供給し濾過、精製すると共に、濾過した原水の陽極室に至る流路にミネラル成分としてアルカリ土類金属塩を添加した後、電解槽に流入するように構成した電解水生成装置がある。これに使用される電解槽は、電解槽内をイオン透過性隔膜によって陰極室と陽極室に分域し、それぞれの室内に陰電極と陽電極を設け、陰陽極室内に供給した原水を電極間に印加した直流電流の通電によって電気分解する。原水の電気分解の結果、陰極室からpHの高い陰極水を、陽極室からpHの低い陽極水を吐水する。
【0003】
このようにして生成した陰極水は人体に不足しがちなミネラル成分を補充し、且つ、適度のアルカリ性は人体の酸性化を防止するのに有効であるとされるため、健康に好ましい作用をする水としてアルカリイオン水の名称で主に飲料水として使われる。一方、同時に吐水する陽極水はアストリンゼン水などとして使われている。
【0004】
上記のアルカリイオン水とは別に、水道水に含まれる僅かの塩素および塩素イオン自体を積極的に利用するか、更に、電解槽供給前の原水中に電解質としてNaCl、KClなどのハロゲン化合物を一定の割合で添加して、電解槽で電気分解すると、陽極室から次亜塩素酸などを含んだ低いpHの陽極水が得られる。とりわけ、pHが2.7以下でORPが1100mV以上あるものは強力な消毒および殺菌効果があるため、強酸性水の名称で消毒や殺菌洗浄用水として重宝され、強酸性水を生成する専用の電解水生成装置として市販されている。
【0005】
アルカリイオン水を生成する電解水生成装置はその用途から販路は家庭や飲食店を主体にするのに対し、強酸性水を生成する電解水生成装置はその用途から病院などの医療機関を主な需要対象としてきたため、販路の面から各々専用の装置として市販されてきた。ところが、強酸性水の殺菌効果とその安全性が認識されてから、家庭などにおいても消毒・殺菌用として強酸性水生成のための電解水生成装置を使用したいとの要望が強い。家庭において強酸性水の使用は医療機関ほどの量を必要としない。このため、一台の装置をもってアルカリイオン水と適量の強酸性水を所望によって吐水する多機能電解水生成装置が開発されている。
【0006】
アルカリイオン水を吐水する装置と強酸性水を吐水する装置とは電解槽そのものの構成は殆ど同じなので、電解槽へ供給する原水の溶解成分を変えることによって両機能を得ることができる。つまり、電解槽を同一とし、配管経路や添加する薬液、電解槽への印加電圧などを適宜変えることにより、あるときはアルカリイオン水を主に生成するための装置として、また、あるときは強酸性水を主に生成するための装置として使える多機能電解水生成装置とすることができる。
【0007】
用途の違う処理水、つまり、アルカリイオン水と強酸性水を同じ装置で生成する多機能電解水生成装置として、同じ出願人は特願平10−327556号で、カルシウムを添加する第1の添加筒と食塩を添加する第2の添加筒とを同一個所で互換可能に嵌挿し、第1の添加筒を挿入したとき第1の電解質が供給され、第2の添加筒を挿入したとき第2の電解質を供給すると共に、電解槽の最上部から下方に設けられた添加筒の近傍にスイッチ手段を設け、上記スイッチ手段で第1と第2の添加筒の差異を識別し、それぞれの添加筒の構造自体で電解質の排出溶解量を特定値に変えると共に、第1の添加筒と第2の添加筒を入れ替えたとき、陰陽極に印加する電圧極性を反転させ、同じ吐出管から飲料用アルカリイオン水と殺菌用強酸性水を吐出する装置を提案した。
【0008】
図6はこの装置を示すものである。2種類の添加筒、第1の添加筒8−1および第2の添加筒8−2は相互に互換性をもって着脱できる構成となっている。すなわち、アルカリ土類金属塩を充填した添加筒と強い電解質、例えば、食塩を充填した添加筒を取り変えることにより、あるときはアルカリイオン水を、またあるときは強酸性水をそれぞれ吐水するものである。図6(a)はアルカリイオン水を吐水する場合を説明する図であり、図6(b)は強酸性水を吐出する場合を説明する図である。
【0009】
図6(a)おいて、原水は浄水器2を流れ浄水となって配管3を介して流出した後、アルカリ土類金属塩を充填した第1の添加筒8−1に至る配管4と電解槽に流入する配管5とに分岐される。配管4を通過した浄水は第1の添加筒8−1を通り配管7を介して下方部管口部11aで配管5を流れる浄水に合流する。配管5を流れた浄水は電解槽12の下方部管口部11a、11bからイオン透過性隔膜13をもって分域した陰極14を設けた陰極室15と陽極16を設けた陽極室17で電気分解されて、それぞれの極室の吐水口18、19から陰極水および陽極水を吐水する。また、図6(b)において、配管3から分岐した配管4を流れる浄水は第2の添加筒8−2を通過した後、配管6を介して配管5を流れる浄水に合流する。なお、29は電解槽に流入する浄水の量を測る流量センサであり、一方の極室側の流量を測ることにより、陰陽極室流量比から陰陽極室の流量を測ることができる。
【0010】
図7に示すように、第1の添加筒8−1および第2の添加筒8−2は形状をほぼ同一に形成した筒状収納容器で配管4、配管6、配管7の端部と嵌挿する対象管口部25、26、27をもち、配管4、配管6、配管7に対して図横方向の移動をもってパッキング28を介して着脱自在に嵌挿される。添加筒8−1にあっては管口部26aの孔は閉塞され、配管4から流入する浄水は管口部25から管口部27aへと流れる。従って、キャップ30を開き添加筒内にカルシウムを含む薬剤を充填するとき、薬剤は浄水に溶解して薬剤を含む浄水が管口部27aから排出する。同様に、添加筒8−2にあっては管口部27bの孔は閉塞され、配管4から流入する浄水は管口部25から管口部26bへと流れる。従って、添加筒8−2内に食塩を挿入するとき、食塩は浄水に溶解して食塩水となって管口部26bから排出する。
【0011】
添加筒8から所要の量および所定の電解室への薬液の添加を行うため、第1の添加筒8−1と第2の添加筒8−2のいずれかを使用した場合、薬液が流れる流路および量が選択的に変わる。図6(a)の実線に示すように、第1の添加筒8−1を挿入した場合、浄水器2から配管3を出た浄水の一部は配管4を介して添加筒8−1でカルシウム剤を溶解したのち、配管7を介して電解槽の陽極室に流れ浄水と共に電解される。この場合、鎖線で示される配管6は閉塞されているので実質的に動作には係っていない。他方、第2の添加筒8−2を挿入した場合、図6(b)の実線に示すように、浄水器2から配管3を出た浄水の一部は添加筒8−2で食塩を溶解した後、配管6を介して配管5に戻され、管口部11a、11bから電解槽の陰陽両極室に分岐され電解される。この場合、図6(b)の鎖線に示すように配管7は閉塞されているので実質的に動作には係っていない。なお、第1の添加筒8−1から第2の添加筒8−2に変えるとき、スイッチ手段9が作動してNaClなどの電解質を添加するとの信号を発すると共に、電極への印加電圧の極性を反転することにより、前述したように、同じ吐出管から飲料用アルカリイオン水と殺菌用強酸性水を吐水することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記装置においては、原水の供給量はアルカリイオン水の場合も強酸性水の場合も同じ流路を通って供給されるため、また、電解時間の経過と共に減少する添加筒内の電解質の量によって浄水への電解質の溶解濃度が変動する。特に、第2の添加筒にNaClなどの電解質を挿入した場合、添加筒に充分電解質が残っているときには電解槽への供給水は高い電気伝導度を示すのに反して、添加筒の電解質残量が少ない場合には、浄水への電解質の濃度が低くなり、その電気伝導度が低くなる。この間電解槽への印加電圧が同じならば、電解度を所定通り上げることができず、殺菌水として適合する濃度に対応する所定の電解度、例えば、pH2.7以下でORP1100以上の水が吐水されない場合があり、結局、使用者は殺菌等に効果のある酸性水を利用出来ない恐れがあった。特に、家庭などで装置を使う場合、第2の添加筒を装填したとき、上記のpH、ORPの確認をしないまま、吐水している陽極水は強酸性水と思い込み容器に受けて手洗いなどに使用しても、実際は電解度の高いときに吐水した強酸性水と電解度が低くなったとき吐水した強酸性水が混じりあい、容器中の強酸性水は所定の値に達しておらず、殺菌性の劣る吐水を使用するといった不都合が生じる。また、水圧の変動などによる原水の供給量の変動に対応する機構が具備されていないため、水圧の増減に対して電解槽の負荷の変動があり、安定した水質の強酸性水が得にくいという課題があった。
【0013】
そこで本発明者は、原水の供給量をアルカリイオン水の場合と強酸性水の場合で変える機構、入水制御部材を電解槽の原水流入部に設けると共に、この入水制御部材の制御と共に、強酸性水を吐水する場合、電解質を充填した添加筒内の電解質の量に対応して、電極に最適な電解電圧を印加して所望の水質の強酸性水を得るための電流を流すことにより、安定した強酸性水を吐水する経済的な多機能電解水生成装置を提供しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の多機能電解水生成装置は、電解槽を隔膜で分域し陰陽極室に設けた陰陽電極に直流電圧を印加してアルカリイオン水と強酸性水を所望によって吐水する多機能電解水生成装置であって、着脱自在の電解質添加筒に充填した個体電解質を原水で溶解した後電解槽に供給するものにおいて、原水流入路に上記強酸性水吐水と連動して原水の入水量を制御する制御手段を具備すると共に、上記電解質添加筒に充填した固体電解質の量に合わせて印加電圧を制御することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項2の多機能電解水生成装置の電解水生成方法は、電解水の種類および原水圧の変動に対応して、原水の入水量を制御する上記制御手段の作動を一時的に電解質の溶解度を増加するため、期間を定めてもしくは断続的に行わせることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項3の多機能電解水生成装置は、原水の入水量を制御する上記制御手段が作動しても上記固体電解質の添加量が所定量以下になったとき、上記添加量の減少に合わせて電解電圧の印加電圧が所定の値に制御され、所望の強電解水を常に吐水することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の多機能生成装置の構成図であり、図6と対比されるものである。図6と同じ部材には同じ符号をつけ、重複する説明は省略する。
【0018】
水道水の接続用管口部20から浄水器2に至る流路に吐水しようとする電解水の種類および原水圧の変動に対応して入水量を制御する制御手段として機能する入水制御部材21が設けられている。入水制御部材21は添加筒の種類、つまり、電解水の種類に対応して開閉する電磁弁24と強酸性水を吐水する際の流量を制御する定流量弁23とから構成されている。図において、電磁弁は理解を容易にするために制御手段10からの信号のオン/オフによって矢示のように移動するプランジャー22−1とプランジャーの移動で開閉する弁22−2自体をもって示しているが、同じ機能を果たす電磁弁であれば他のものも使用できる。電磁弁24はスイッチ手段9の信号で作動する制御手段10を介して制御され、第1の添加筒8−1が挿入されているとき作動を解除して管口部20から浄水器2に至る流路を全て開放する。また、第2の添加筒8−2が挿入されているとき電磁弁に関わる流路を閉塞し、原水が定流量弁23を介して、浄水器2に至るようにする。
【0019】
この制御によって、第2の添加筒8−2にNaClのような水への僅かな溶解によって高い電気伝導度を示す電解質が充填されていても、電解槽への流入水量が少なくなるので電解槽の電流負荷をアルカリイオン水吐水時の電流負荷と同じ程度の電流値として所定の時間強電解水を吐水することができる。例えば、家庭用の場合、強電解水としてバケツ一杯分、例えば、31程度の容量をもって使用する場合が多いが、常水圧状態で、これを、例えば、3分間で吐水するように定流量弁23の流出量を設定することにより、所望の目的を達成することができる。
【0020】
また、生成装置を強電解水生成の目的で使用しているときであっても、電解質を急激に溶解したいときには、制御手段10から入水制御部材21へオン・オフ信号を断続的に流すことにより添加筒へ流れる水量に時系列的な増減を行わせ、入水圧力の衝撃で電解質を溶かして浄水中への電解質の溶解度を増加させ、一時的に原水の電気伝導度を増大することができる。
【0021】
図2は強酸性水の成水に合わせ添加筒の電解質の溶解のため入水制御部材21の電磁弁24の開閉を行う場合のタイムチャートの一例を示す図である。図においては管口部20の原水が添加筒に至る時間に合わせて初期値として10秒間を設定し、次いで3秒間毎の断続を繰り返えし、添加筒内の電解質に衝撃を与えた後、電磁弁24を閉塞する。この衝撃により、原水の水圧が小さな場合や電解質が塊状態を呈し、溶解しにくいものであっても、所定の量の電解質を浄水に溶解することができる。図においては初期値として10秒間を、また、衝撃時間として3秒間間隔を設定しているが、繰り返し回数や時間は装置の構造等に合わせて最適値を選択することができる。
【0022】
定流量弁23は水圧の増加に伴って管口部20から浄水器2に流れる原水の量を制御する。定流量弁23としては公知のものを使うことができる。例えば、実開平3−123595号公報に開示されている定流量弁等で、水圧の変動に拘らず1.5l/min程度の水が流れるものが好適に使用できる。
【0023】
図3は本発明に係る入水制御部材が具備された流路分配器の構成を示す図で、図3aはその外観と流路とを示す図であり、図3bは流路分配器の流入部に設けた入水制御部材の縦断面を示す図であり、また、図3cは流路分配器の横断面を示す図である。流路分配器は装置の給排水を制御する部材で、設けられた管口部は浄水器、添加筒、電解槽の流入口および流出口とそれぞれ結ばれている。
【0024】
流路分配器1は第1管路d1と、その一端に交叉して連通する第2管路d2と、第2管路d2の一端に交叉して連通する第3管路d3の3つの主要管路を備えている。
【0025】
第1管路d1には、その一端に水道水の接続用管口部20を有し、入水制御部材21が具備されている。接続用管口部20は定流量弁23に至る流路41と電磁弁24に至る流路42に2分割されている。流路41を通る原水は定流量弁23を介して細孔43から第1管路d1に流れる一方流路42を通る原水は電磁弁24を構成するダイヤフラム44と環状突状部45の隙間からなる弁を通り第1管路d1に流れる。
【0026】
また、第2管路d2と交叉する近傍部位には、浄水器2の流入口に接続される管口部31が設けられている。第2管路d2には、第3管路d3と交叉する部位に、前記浄水器の流出口に接続される管口部32が設けられ、その近傍部位に添加筒8の流入口25に接続される管口部33が設けられ、さらにその前方部位に、アルカリイオン水の生成の場合に機能する定流量制部34が設けられ、その先に電解槽の陰極室側管口部11bおよび陽極室側管口部11aに接続される管口部35が設けられている。第3管路d3には、その一端に、管路の水圧、水流変化で作動する圧力スイッチ手段36が設けられ、電解槽の起動、停止、極性転換操作ができるようになっている。
【0027】
また、第3管路d3には、圧力スイッチ手段36と反対方向部位に、ボール37および弁口38よりなる逆止弁部が設けられ、その先に排水管口部39が設けられている。40は逆止弁部のボール制止部材であり、図示ボール37の右側に所定以上の水圧がかかるとボール37は弁口38を閉塞する。41は排水導入部である。添加筒の流出口は電解槽12に流入する水に合流するように接続されている。
【0028】
図4は多機能電解水生成機の強酸性水生成の動作フローを示す図である。図に示された動作の要部は制御手段10を介して行われる。
【0029】
図において、図示していない装置の電源スイッチをオン100すると共に、電磁弁24は開放101される。次いで添加筒8−2を挿入102するが、挿入に先立ち、配管4から添加筒8−2の管口部25などへの水漏れを防ぐため図示しない止水弁をもって止水103する。なお、止水は装置の電源スイッチをオン100に先立ち装置外の蛇口をもって行ってもよい。この結果、スイッチ手段9がオン104されると共に、電磁弁24は閉塞105する。この状態で蛇口などを開放すると流路41を通る通水が開始106され、流量センサ29及び感圧スイッチ手段36がオン状態107、108になる。それと共に電解槽12への印加電圧を10Vとして電解を開始109する。電解開始より10秒間は流量に関係なく電磁弁を閉塞110し、10秒後、電磁弁を3秒間隔で電解電流が第1の所定値以上に達するまで、開閉動作を繰り返す111。電磁弁が閉塞しているとき、水圧が低く、入水制御部材を流れる水量が所定値未満のときには、電磁弁を強電解水の吐水が終わるまで開放112する。また、入水制御部材を流れる水量が所定値以上のときには、電磁弁を強電解水の吐水が終わるまで閉塞113する。この状態で電解電流が第2の所定値以下のときには電解印加電圧を15Vにシフトフアップ114し、電解電流が第3の所定値以下のときには電解印加電圧を20Vにシフトフアップ115する。そして電解開始109から3分間たったら電気分解を自動的に停止116する。
【0030】
図5は強酸性水生成の動作フローに基づく強電解水生成時の電解時間と電解槽の印加電圧のシフトアップに基づく電解電流の変化の関係を示す図である。
【0031】
強電解水生成時に原水量を絞る制御手段の作動があって、電解槽に供給される浄水の水量が減少したとしても、また、供給される原水の水圧に応答して制御手段を開閉したとしても、電解質を充填した添加筒8−2から流出する電解質を含む溶液の濃度は次第に変化する。すなわち、制御手段から添加筒8−2に浄水が流れる所定の時間、例えば、10秒後添加筒8−2に充分に充填された電解質の溶解が始まると共に、電解槽に供給される給水の電気伝導度が上昇し、第1の所定値に達し、電解槽の陰陽極間には図示Pの電流が流れる。そしてその電流は電解質の溶解に伴い急激に増加し図示Qに達し、その後、添加筒8−2の電解質の消費に合わせ時間と共に次第に低下して行く。図示Rに達した後仮想線aに従うように低下するならば、そのとき吐水される陽極水はもはや殺菌効力のないものとなる。そこで、殺菌効力がなくなる吐水の直前、すなわち、第2の所定値以下になったとき、陰陽極間に印加する電圧を上昇する。この結果、残りの添加筒8−2の電解質の量が少なくなり、電解槽に供給される給水の電気伝導度がQ−R間に較べ小さくなったとしても電解槽の陰陽極間に図示Sの電流が流れ、吐水される陽極水は殺菌効力のあるものが吐水される。その後仮想線bに従うように電解電流は低下するが、上記同様に、添加筒8−2の減少に合わせ、第3の所定値以上になるように電解槽の陰陽極間の印加電圧を高めて、殺菌効力のある陽極水が吐水するように維持する。また、更に図示Tの電流値まで同様に電圧上昇を繰返してもよい。このようにして所定の期間、添加筒8−2の電解質の残存量に対応させて電極への印加電圧を上昇すことにより、所定の時間殺菌効力のある陽極水が吐水される。
【0032】
前記の動作フロー等に示した、動作時間、印加電圧、電流値は実装装置の実験結果に基づき適宜制御手段に記憶することにより行うことができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、多機能電解水生成装置の添加筒から電解質を添加して強電解水を生成するとき、原水の給水を制御する制御手段を流路分配器流入口に設け、アルカリイオン水の場合に較べ原水の供給量を制御することにより、所望以上の電解質が電解槽に流れ電解電源の負荷が増大することを防ぐことができる。また、電解槽への印加電圧を電解筒の電解質の残存量による原水への電解質の供給量の変動に合わせて適宜変えることにより、吐水の性状を常時監視しなくとも所定の吐水期間に殺菌性のある吐水が確実に得られる。この結果、殺菌性の劣る吐水を使用するといった不都合が生じることがない。
【0034】
水圧の変動などによる原水の供給量の僅かな変動に対して電解槽の負荷の変動を少なくし、安定した水質の強酸性水を得ることが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多機能生成装置の構成図である。
【図2】本発明の強酸性水の成水に合わせ、添加筒の電解質の溶解のため入水制御部材の電磁弁の開閉を行う場合のタイムチャートの一例を示す図である。
【図3】本発明に係る入水制御部材が具備された流路分配器の構成を示す図で
【図4】本発明に係る多機能電解水生成機の強酸性水生成の動作フローを示す図である。
【図5】本発明に係る強酸性水生成の動作フローに基づく強電解水生成時の電解時間と電解槽の印加電圧のシフトアップに基づく電解電流の変化の関係を示す図である。
【図6】従来の多機能電解水装置を示す図である。
【図7】多機能電解水装置の添加筒を示す図である。
【符号の説明】
8−1 第1の添加筒
8−2 第2の添加筒
9 スイッチ手段
10 制御手段
12 電解槽
21 入水制御部材
23 定流量弁
24 電磁弁
Claims (3)
- 電解槽を隔膜で分域し陰陽極室に設けた陰陽電極に直流電圧を印加してアルカリイオン水と強酸性水を所望によって吐水する多機能電解水生成装置であって、着脱自在の電解質添加筒に充填した固体電解質を原水で溶解した後電解槽に供給するものにおいて、
原水流入路に上記強酸性水吐水と連動して原水の入水量を制御する制御手段を具備すると共に、上記電解質添加筒に充填した固体電解質の量に合わせて印加電圧を制御することを特徴とする多機能電解水生成装置。 - 電解水の種類および原水圧の変動に対応して、原水の入水量を制御する上記制御手段の作動を一時的に電解質の溶解度を増加するため、期間を定めてもしくは断続的に行わせることを特徴とする請求項1記載の多機能電解水生成方法。
- 原水の入水量を制御する上記制御手段が作動しても上記固体電解質の添加量が所定量以下になったとき、上記添加量の減少に合わせて電解電圧の印加電圧が所定の値に制御され、所望の強電解水を常に吐水することを特徴とする請求項1記載の多機能電解水生成装置。
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