JP3921094B2 - 地下室潜函工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大規模地下室でも安全にかつ正確にケーソンのレベル調整ができ、しかも、その後の掘削穴の掘削、地下室地業、土間打ちなどに障害が生じない地下室潜函工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、周囲に余地がほとんどないような狭小地に地下室を建築することができ、しかも、工期が短く、工費が安価な地下室建設方法として、地下室建設地上で地下室の外周壁躯体を構成するケーソンを形成した後、このケーソンの内側と下側の地盤を掘削してこのケーソンを所定の設置深さまで沈下させることを特徴とする地下室潜函工法が注目を浴びている(特開2001−248171号公報参照)。
【0003】
この従来の地下室潜函工法においては、設置深さにケーソンの底面が水平になる状態にケーソンを沈下させることが必要とされ、このため、先ず、地上に底面が水平になるようにケーソンを形成し、潜函工事において可能な限り平均的にケーソンが沈下するようにケーソン下側の掘削を進めている。
【0004】
しかしながら、ケーソンの全周にわたって完全に均等に掘削を進めることは実際には不可能であり、ケーソンの底面が設置深さよりも少し浅い所定の深さに沈下した後、ケーソンの底面を設置深さに水平に位置合わせするレベル調整を行う必要がある。
【0005】
前記従来の地下室潜函工法においては、沈設されるケーソンのレベル調整をするために、予めケーソンの適当な複数箇所に分散して、複数本の調整ネジをケーソンから上方に突出するようにケーソンに固定し、このケーソンを掘削穴内の所定の深さに沈下させてから、前記調整ネジを各箇所でハンガービームに挿通し、各ハンガービームの両端を掘削穴の周縁部に受止めさせた後、各調整ネジに調整ナットを螺合してからハンガービームに受止められるまで締め込んで前記ハンガービーム、調整ナット及び調整ネジを介して前記ケーソンを掘削穴の周縁部に吊持させた後、更に地盤を掘り下げ、調整ナットの締め込み量を調整することにより、レベル調整を行っている。
【0006】
又、予めケーソンの適当な複数箇所に分散して、複数本の調整ネジをケーソンから上方に突出するようにケーソンに固定し、このケーソンを掘削穴内の所定の深さに沈下させてから、前記調整ネジを各箇所でハンガービームに挿通し、各ハンガービームの両端を掘削穴の周縁部に受止めさせた後、各調整ネジに調整ナットを所定の位置まで螺合してから、調整ナットがハンガービームに受止められるまで地盤を掘削することにより、レベル調整を行うこともできる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この従来の地下室潜函工法は、一般住宅の地下室の建設方法として開発されたものであり、例えば地下1階、33 (10坪)程度までの小規模な地下室の建設に多数の実績を重ねているが、最近になって、更に大規模な地下室、即ち、床面積が広い地下室や、階数が地下2階以上の地下室や、床面積が広く、かつ階数が地下2階以上の地下室の建設にも適用することが検討されている。
【0008】
しかし、この従来の地下室潜函工法においては、規模が大きくなるとケーソンの重量が増大し、ハンガービームを支持する掘削穴周縁部の耐圧力が不足し、ケーソンを掘削穴の周縁部に吊持させることができなくなることが判明した。この問題は、ケーソンの4隅部以外にも調整ネジを設け、掘削穴の中央部を横断して架設したハンガービームにその調整ネジ挿通し、調整ナットを締め込んでケーソンの重量を更に分散して掘削穴周縁部に支持させることにより解決することが可能である。
【0009】
しかしながら、この解決方法によると、掘削穴中央部を横断するハンガービームの長さは当然のことながら地下室の幅よりも長くなり、同じ重量を支持するために掘削穴の隅部に架装するハンガービームよりも太いハンガービームを用いる必要があり、レベル調整用の資材費用が著しく高くなるという難点があることが判明した。
【0010】
又、この解決方法によると、規模が大きくなればなる程、掘削穴の中央部に多数のハンガービームを配置する必要があり、その後の地下室工事、例えば掘削穴の掘削、地下室基礎工事などを行う上で、この掘削穴中央部を横断するハンガービームが邪魔になる虞れが生じる。
【0011】
本発明は、このような従来技術の課題を解消し、大規模地下室でも安全にかつ正確にケーソンのレベル調整ができ上、その後の掘削穴の掘削、地下室地業、土間打ちなどに障害が生じないようにした地下室潜函工法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明に係る地下室潜函工法(以下、本発明方法という。)は、地上に地下室の外周壁躯体を構成するケーソンを配置した後、このケーソンの下側の地盤を掘削して形成した掘削穴に当該ケーソンを所定の設置深さまで沈下させる地下室潜函工法において、前記設置深さよりも浅い所定の掘削中断深さまでケーソンを沈下させた時に掘削穴の掘削を中断し、この後、前記ケーソンの下側の予め定められた複数箇所のみを局部的に掘り下げてレベル調整穴を形成し、各レベル調整穴に支柱を挿入してから、各支柱の上面を所定の高さに調整し、この後、前記掘削穴を掘り下げて、各支柱で前記ケーソンを設置深さに水平に受止めることを特徴とする、という技術的手段を採用したものである。
【0013】
これによれば、ケーソンの規模に対応して支柱及びレベル調整穴の数及び配置を適宜決定することにより、各支柱に分担されるケーソンの重量をその規模に関係なくレベル調整穴底面の耐圧力以下に設定して、支柱にケーソンを受止めたときに支柱が土中にめり込むことを防止することができる。
【0014】
従って、ケーソンの規模に対応して支柱及びレベル調整穴の数及び配置を適宜決定し、支柱上面の高さを設置位置に水平に位置するケーソンに下側から当接する高さに調整しておけば、ケーソンを支柱に受止められる位置まで沈下させると、ケーソンの規模に関係なくケーソンを設置深さに水平に水平に位置合わせすること、即ち、設置深さにおけるケーソンのレベル調整ができる。
【0015】
しかも、支柱はケーソン下側に掘削されたレベル調整穴内に配置されるので、掘削中断深さから掘削穴を掘り下げる掘削作業や、地下室基礎底面の地均し、地業、基礎コンクリート工事などの作業の妨げにはならない。
【0016】
又、ケーソンがその下側の地盤で掘削中断深さに支持されている状態で、支柱を配置するレベル調整穴を掘削し、更にこの後、各レベル調整穴に支柱を設置し、各支柱の上面の高さを所定の高さに調整するので、すこぶる安全に各支柱を配置し、その上面の高さを正確に調整することができる。
【0017】
更に、前記掘削中断深さから掘削穴を掘り下げる時には、支柱の周囲にレベル調整穴が形成されているので、支柱に接触することなくケーソン下側の掘削を進めることができ、この掘削時に掘削機が支柱に接触して支柱を倒したり、支柱を曲げてその高さを狂わせたり、支柱の高さ調整機構を動かして支柱の高さを狂わせたりすることを防止できる。
【0018】
以下、本発明方法を更に詳細に説明する。
先ず、本発明方法は、地上に地下室の外周壁躯体を構成するケーソンを配置した後、このケーソンの下側の地盤を掘削して形成した掘削穴に当該ケーソンを所定の設置深さまで沈下させる地下室潜函工法に広く適用される。
【0019】
即ち、地上に配置されるケーソンは、地下室の外周壁躯体を構成するものであればその地上で形成されたケーソンに限らず、例えばコンクリート工場で形成された後地下室建設用地に搬入されたものであってもよい。又、地下室建築用地上で形成されるケーソンの中には、地下室建設用地上に型枠と鉄筋とを組んでコンクリートを打設することにより形成されるものや、コンクリート工場において形成されたプレハブ部材を地下室建設用地上で組立てるものが含まれる。更に、地下室建設用地上で型枠と鉄筋とを組んでコンクリートを打設することにより形成されるケーソンの中には、ケーソン全体の型枠及び鉄筋を組んでからケーソン全体のコンクリートを打設したものと、ケーソンを上下複数段に分割して、下から上に順に継ぎ足すように、各段の型枠と鉄筋とを組立ててからコンクリートを打設することを繰返して形成されるものとが含まれる。
【0020】
このケーソンは、その底面が水平の状態で地下に沈下させることが必要であり、このため、地面の上にその底面が水平になるように設置されることが好ましい。
【0021】
地上にケーソンをその底面が水平になるように設置する方法としては、多数のジャッキベースをケーソンの下側に配置し、各ジャッキベースの高さを適宜調整する方法が採用される。
【0022】
例えば現地でケーソンを形成する場合には、例えば下型枠を組立てる前に地面にジャッキベースを並べ、その上に下型枠部材を載せて組立ててから下型枠部材の上面が水平にかつ面一状になるように各ジャッキベースの高さを調整し、この上面が水平面になるように組立てた下型枠に内外両型枠及び鉄筋、アンカーなどを組付け、コンクリートを打設する。もちろんこの場合のジャッキベースの数及び配置は各ジャッキベースが分担するケーソンの重量、地面の耐圧力などを考慮して決定される。
【0023】
ところで、本発明方法に係る地下室潜函工法においては、ケーソンを沈下させると共に地下室空間を確保するため、結果的にケーソンの下側と内側の地盤が設置深さまで掘削されるが、ケーソン内側の地盤の掘削は、ケーソンから所定の距離内の周縁部とそれよりも内側の中央部とに分けて掘削してもよい。
【0024】
ここで、ケーソンから所定の距離内の周縁部とは、その距離よりも内側の掘削、即ち、ケーソン内側中央部の掘削によりケーソン下側の地盤の崩壊を招かない程度の法上での距離を意味し、それよりもケーソン側の地盤を掘削するとケーソン下側の地盤の崩壊が招かれ、ケーソンの沈下に影響が出るので、このケーソン内側周縁部はケーソン下側と並行して掘削することが好ましい。
【0025】
しかし、ケーソン内側中央部は、ケーソン下側の崩壊を招かない限り、ケーソン下側及びケーソン内側周縁部の掘削に先立って掘削しても何ら問題はなく、むしろ、例えばケーソンを地上に設置する前にケーソン内側中央部を設置深さまで掘削すると、作業空間が限定されるケーソン内での掘削に比べて掘削や掘削穴からの残土の排出が容易になり、工期の短縮及び工費の節約などの観点から好ましいことになるのである。
【0026】
ケーソン内側中央部を残してケーソン内側周縁部を掘削すると、ケーソン内側中央部がその掘削穴の中に崩壊するが、この崩壊はケーソンの沈下に影響を与えないので、問題はない。もちろん、ケーソン下側及びケーソン内側周縁部と並行してケーソン内側中央部を掘削することは問題がない。しかし、ケーソン下側及びケーソン内側周縁部の掘削に先立ちケーソン内側中央部の掘削をする場合には、ケーソン内側周縁部の崩壊が発生し、ケーソン下側の掘削深さに影響が出ることを防止する必要がある。
【0027】
そこで、ケーソン内側中央部の掘削に当たっては、その周囲部には適当に傾斜した法面を設けるなどの土留が行われる。もっとも、ケーソン内側周縁部とケーソン内側中央部との境界に例えば矢板などの土留を設け、必要に応じて、この土留を支える支保工を設ける場合にはその土留の際までケーソン内側中央部を掘り下げることができるが、工期を短縮し、工費を節約するためには、傾斜法面によってケーソン下側の地崩れを防止したり、この土留箇所をケーソン組立用の作業場にできるので好ましい。
【0028】
なお、ケーソンが掘削穴の土留の役目を担う地下室潜函工法においてはケーソン下側の掘削がケーソン内側から行われるので、ケーソン内側周縁部の掘削を伴わずにケーソン下側の掘削のみを先行させることはできない。
【0029】
本発明方法は、このような地下室潜函工法において、前記設置深さよりも浅い所定の掘削中断深さまでケーソンを沈下させた時に掘削穴の掘削を中断することを一つの特徴としている。
【0030】
ここで、前記設置深さとは、ケーソンの下縁を沈下させる最終的な深さのことであり、地下室の室内高さ、階数などを考慮して決定される。又、掘削を中断する所定の掘削中断深さは、設置深さよりも浅く設定してあればよく、ケーソンの下縁から支柱が受止めるケーソンの部位までの高さ、支柱の高さ、調整代及び後述するレベル調整穴の深さ等を考慮して設定すればよい。
【0031】
具体的には、例えば最短高さ150mm、調整代100mm程度のジャッキベースからなる支柱を用いて下縁から150mm程度高い部位でケーソンを受止める場合には、レベル調整穴の深さを設置深さと同じにするとして、設定深さよりも150〜200mm浅い深さにケーソンが沈下した時に掘削穴の掘削を中断すればよい。
【0032】
なお、掘削穴の掘削を中断するとは、ケーソン下側及びケーソン内側周縁部の掘削を中断すると言う意味であり、上述したように、ケーソン内側中央部の地盤は予め設置深さまで掘り下げておいてもよく、又、ケーソン下側及びケーソン内側周縁部と並行して掘り下げ、ケーソンが前記掘削中断深さに沈下した時以後も継続してケーソン内側中央部を設置深さまで掘り下げてもよいのである。
【0033】
本発明方法において、ケーソンが前記掘削中断深さまで沈下した時に前記掘削穴の掘削を中断すると、当該ケーソンはその下側の地盤に受止められて前記掘削中断深さに保持される。
【0034】
本発明方法においては、この後、前記ケーソンの下側の予め定められた複数箇所のみを局部的に掘り下げてレベル調整穴を形成し、各レベル調整穴に支柱を配置し、各支柱の上面の高さを所定の高さに調整する。
【0035】
前記レベル調整穴の数と配置は、ケーソンがコンクリートの硬化により高剛性になっていることを考慮すれば、ケーソンの歪み破壊の問題は無視して、前記ケーソンの重量及び各レベル調整穴底面の耐圧力を考慮して決定すればよいのである。
【0036】
具体的には、例えばケーソンの重量の一部分は掘削穴の底面にも分担され、各レベル調整穴底面のみに分担されるわけではないが、安全上、ケーソンの全重量が各レベル調整穴底面のみに分担されると仮定して、各レベル調整穴底面が分担するケーソンの重量が当該レベル調整穴底面の耐圧力よりも小さくなるようにレベル調整穴の数及び配置を決定すればよいのである。
【0037】
一層具体的には、例えば、掘削前にケーソンを設置した地盤とレベル調整穴の底面との耐圧力に大差がない場合には、ケーソン設置時にケーソンをジャッキベースで地上に支持した箇所と同数、かつ、同位置にレベル調整穴を形成すればよいのである。
【0038】
このレベル調整穴の深さ、正確に表現すればレベル調整穴の底面の深さは、前記支柱の上面を所定の高さに調整できる範囲であれば特に限定されず、例えば設置深さよりも深くても、浅くてもよい。しかし、後に掘削穴底面を地均しして地下室基礎底面を形成するときにレベル調整穴の底を削り取ったり、レベル調整穴の底に土砂を埋め戻したりする手間と時間とを節約するために、設置深さと同じ深さまで掘り下げることが好ましいのである。
【0039】
又、このレベル調整穴の幅は、少なくとも支柱を配置し、その高さを手作業で調整する作業空間を確保できる幅が必要であるが、この広さに加えて、後に掘削穴を掘り下げる時にレベル調整穴に突入した掘削機のショベルが支柱に接触することを防止するために、前記作業空間の両横にそれぞれ例えばショベル幅の半分以上が加えられた程度以上に広くしておくことが好ましい。
【0040】
更に、このレベル調整穴の奥行きは、特に限定されないが、ケーソン外側の埋め戻しや、レベル調整穴の奥側の掘削を不用にするためにケーソンの外周面まであることが理想である。しかし、実際の工事においては、正確にレベル調整穴の奥をケーソンの外周面に揃えることは容易ではなく、沈下するケーソンが削り取る程度にケーソン外周面よりも内側まで掘削されていることが好ましい。
【0041】
なお、このことは、ケーソン外周面よりも外側にレベル調整穴がはみ出してはいけないという意味ではなく、レベル調整穴がケーソンの外側にはみ出して掘削されたときには、ケーソン外側に形成される空洞を埋め戻せばよいのであり、又、この埋め戻しも特別な埋め戻し工事が必要になるという意味ではなく、ケーソン沈設終了後にその周囲に形成されている空洞の一部として埋め戻せばよいのである。
【0042】
ところで、掘削前の地面よりもレベル掘削穴の底面の方が含水率、成分などの違いから耐圧力が小さくなると、ケーソン設置時にケーソンをジャッキベースで地上に水平に支持した箇所と同数、かつ、同位置に形成したレベル調整穴の底面に支柱を介してケーソンを支えきれなくなるおそれが生じる。
【0043】
この問題を解決する方法としては、レベル調整穴を形成する際に、ユンボ、バックホー、フェースショベルなどその掘削作業に用いる建機の重量をそのショベルを介してレベル調整穴の底面に加えたり、ショベルでレベル調整穴の底面を繰返し叩いたりしてレベル調整穴の底面を締め込むことによりレベル調整面の耐圧力を高める方法がある。
【0044】
又、砂、砂利などの土質改良材をレベル調整穴底面に敷いてからレベル調整面を掘削機のショベルで締め固める方法もある。
【0045】
この他にこの問題を解決できる好適な方法としては、支柱の接地圧を分散させる方法、例えば少なくとも1箇所のレベル調整穴において、支柱の底面積よりも広面積の補助プレートを該レベル調整穴の底面に配置し、この補助プレートの上に支柱を配置する方法や、レベル調整穴の耐圧力を高める方法、例えば少なくとも1箇所のレベル調整穴において、土質改良材により底面の土質を改良して耐圧力を高めた後、前記支柱を配置する方法、これらを併用する方法、即ち、少なくとも1箇所のレベル調整穴において、土質改良材により底面の土質を改良して耐圧力を高めた後、支柱の底面積よりも広面積の補助プレートを当該レベル調整穴の底面に配置し、この補助プレートの上に支柱を配置する方法などがあり、これらの方法の中から現場に最適の方法を適宜選択して採用すればよい。
【0046】
もちろん、この補助プレートは必要な機械的強度を備えることが必要であり、例えば鉄板や鋼板が用いられる。又、土質改良の方法は特に限定されず、例えばモルタルなどの土質改良剤を注入したり、砂、砂利などを敷詰めたりする方法を採用すればよい。
【0047】
次に、本発明方法においては、各レベル調整穴に支柱を挿入し、各支柱の上面の高さを所定の高さに調整する。支柱上面の高さ調整が必要な理由は、実際には工事現場で各レベル調整穴をケーソンのレベル調整に要求される程度に均一に所定の深さに掘削することができないからである。
【0048】
ここで、支柱の上面の高さを調整するときは、支柱という部材の上面の高さを調整することのみに限らず、支柱を介してケーソンを受け止める高さを調整するという意味である。
【0049】
支柱の上面を調整する方法としては、高さが固定された支柱とレベル調整穴底面との間に板状ないし塊状の高さ調整材を挿入する方法と、高さが固定された支柱の上に板状ないし塊状の調整材を載置する方法と、例えばジャッキベースのように高さ調整可能な支柱を用いて、支柱自体の高さを調整する方法と、これらを併用する方法とがある。
【0050】
前記高さ調整材としては、板、塊などの定形物と、モルタル(グラウト)、セメントなどの非定形物を硬化させたものが含まれるが、施工の容易性、工期の短縮などの観点からは定形物を用いることが好ましい。
【0051】
しかし、定形物からなる高さ調整材を用いる場合には、厚さ或いは高さが異なる多種類の高さ調整材を用意する必要がある上、実際の工事において使用される枚数或いは個数よりも数量を多く見積もる必要があり、しかも、調整作業が面倒で、時間が掛る上、調整代が比較的小さく、段階的な調整しかできないという問題が伴う。
【0052】
これに対し、例えばジャッキベースなどの高さ調整可能な支柱を用いる場合には、一種類のものを用意すればよく、余分な使用数量の見積もりをする必要がなくなる上、簡単な操作で短時間に比較的大きな範囲にわたって高さ調整ができ、又、連続的な微調整も可能であるので有益である。
【0053】
この種の高さ調整可能な支柱としては、一般的に土木、建築などで多用されているスクリュー式のジャッキベースを用いればよいが、この他に例えば空気圧式ジャッキ、水圧式ジャッキ、油圧式ジャッキなどを用いてもよい。
【0054】
なお、例えばジャッキベースからなる支柱は地下に沈下させたケーソンのレベル調整専用に用意してもよいが、例えば地上にケーソンを水平に設置する際にケーソンのレベル調整に用いたジャッキベースをそっくりそのまま再利用して、工費を節約することが好ましい。
【0055】
ところで、各レベル調整穴に配置された各支柱の上面の高さは所定の高さに調整されるが、この所定の高さとは、ケーソンが設置深さに水平に位置する時に各支柱の真上に位置するケーソンの各部位が位置すべき高さであり、ケーソンの形状に対応して各支柱の位置により異なる場合もあれば、全ての支柱のそれが一致する場合もある。
【0056】
このように、ケーソンが設置深さに水平に位置する時に各支柱の真上に位置するケーソンの各部位が位置すべき高さに各支柱の高さを調整しておけば、ケーソンが各支柱の上面に受止められるまで沈下した時に、それぞれの所定の高さで支柱がケーソンの対応する部位を受止め、当該ケーソンを設定深さに水平に位置させることになるのである。
【0057】
もちろん、本発明方法においては、各支柱の上面の高さが所定の高さに調整されたことを例えばトランシットなどを用いる測量により確認してから掘削穴の掘削を再開することが好ましい。
【0058】
ところで、本発明方法においては、各支柱の上面の高さを所定の高さに調整した後、掘削穴の掘削を再開し、各支柱の上面にケーソンを受止めさせる。ケーソンが各支柱の上面に受止められ、設置深さにおけるケーソンのレベル調整が完了した後は、各支柱にケーソンの重量が掛っているので、地下室基礎工事、即ち、地下室基礎底面の地均し、地下室地業、土間打ちなどに際して他物が支柱に接触しても支柱が移動したり、傾倒したりすることはなく、支柱を気遣うことなく基礎工事を進めることができる。又、このように支柱を撤去することなく前記ジャッキベースを地下室の基礎内に打ち捨てると、ケーソンの設置精度が非常に高くなるので好ましい上、工期の短縮および工費の節約を図る上でも好ましい。
【0059】
【作用】
以上に説明したように、本発明方法によれば、ケーソンの規模に対応して支柱及びレベル調整穴の数と配置とを適宜決定しておけば、ケーソンの規模に関係なく各支柱が分担するケーソンの重量をレベル調整穴の底面の耐圧力よりも小さくして、各支柱がケーソンを支持した時に、支柱が土中にめり込むことを防止できるという作用が得られる。
【0060】
又、本発明方法においては、ケーソンの規模に対応して支柱及びレベル調整穴の数及び配置を決定し、更に、各支柱の上面の高さを設置深さに水平に位置させたケーソンに下側から当接する高さに調整しておけば、ケーソンを支柱に受止められるまで沈下させると、ケーソンに規模に関係なく、各支柱によりケーソンが設置深さに水平に位置合わせされるという作用が得られる。
【0061】
更に、本発明方法においては、ケーソンをその下側の地盤で所定の掘削中断深さに保持した状態で、レベル調整穴を掘削し、各レベル調整穴に支柱を設置し、その上面高さを調整するので、これらの作業をすこぶる安全に行うことができるという作用が得られる。
【0062】
加えて、本発明方法において、支柱は、ケーソン下側に掘削されたレベル調整穴内に配置されるので、掘削穴を掘削中断深さよりも深く掘削する作業の妨げにならないという作用が得られるのであり、又、地下室基礎工事をする時には支柱にケーソンの重量が掛っているので、支柱の移動や傾倒が起こるおそれがなくなるという作用が得られるのである。
【0063】
【発明の実施の態様】
以下、本発明方法の実施例を図面に基づいて具体的に説明するが、本発明方法はこれに限定されるものではない。
【0064】
図面中、図1は本発明方法の原理を示す断面図であり、図2ないし図4は本発明方法の一実施例の工程図であり、この図2に示すように、本発明の一実施例に係る地下室潜函工法によれば、粗整地(S1)をした後、地下室の位置を割り出す遣り方(S2)を行い、地下室の外周壁躯体から内側に一定の距離以上離れた領域、即ち、ケーソン内側中央部を例えば設置深さまで掘り下げるケーソン内側中央部掘削(S3)とを順に行い、ケーソン内側中央部の周囲に掘残された地上にケーソンを構築する。
【0065】
図5は地上に構築されたケーソンの断面図であるが、この図5に示すようにケーソン内側中央部掘削(S3)では、地下室の外周壁躯体を構成するケーソン1の下側A及びケーソン1の内側でケーソン1から一定の距離以内の領域、即ち、ケーソン内側周縁部Bの地崩れを防止したり、ケーソン組立用の作業場にするために、ケーソン内側中央部Cの掘削穴2の周囲部に適度の傾斜を有する法面3が形成される。
【0066】
このケーソン内側中央部Cの掘削に用いた掘削機は、ケーソン内側中央部Cの掘削が終了した後、撤収しても、ケーソン構築の邪魔にならない限り、そのままケーソン内側中央部Cに居残りさせて、ケーソン構築後のケーソン下側A及びケーソン内側周縁部Bの掘削に利用してもよい。
【0067】
前記ケーソン1を構築する手順としては、図2に示すように、先ず、遣り方(S2)で割り出された位置にケーソン1の下型枠3を組立てる下型枠組立(S4)が行われる。
【0068】
図5に示すように、この下型枠組立(S4)では、ケーソン下側Aの地面に適当な間隔をおいてジャッキベース4を立て、その上に下型枠部材を載せて順次ボルト・ナットを用いて仮連結することにより平面視において所定の形状を備える下型枠5が仮組され、この後、例えば水準器を当てながら各ジャッキベース4の高さを調整することにより下型枠5の上面を水平に、かつ面一に位置させてから、各下型枠部材を連結するボルト・ナットを締め込んで本組される。
【0069】
このようにして下型枠が組立てられた後、下型枠5に外面型枠6、内面型枠7、補強鉄筋8を、例えば、下型枠5に外面型枠6を組付ける外面型枠組付(S5)、補強鉄筋8を配筋する壁配筋(S6)、下型枠5に内面型枠7を組付ける内面型枠組付(S7)の順に行う。
【0070】
なお、下型枠3の内部には壁配筋(S6)と同時にアンカー8aを組み付ける。又、外面型枠組付、内面型枠組付及び壁配筋の順序は現場の状況に応じて適宜決定され、又、途中でその順序が変更されることもある。
【0071】
この後、図2に示すように、内外両面型枠5、6の間にコンクリート打設(S8)を行い、適当な期間にわたってこのコンクリートの養生(S9)をした後、ケーソン下側A及びケーソン内側周縁部Bの掘削、即ち、掘削穴の掘削を開始する(S10)。
【0072】
この掘削穴の掘削にはケーソン1の外側に配置された掘削機を用いてもよいが、この実施例では、ショベルをケーソン1に妨げられることなく視認しながら作業ができ、作業性および安全性を高めることができるので、又、ショベルの昇降範囲とケーソン1の高さや設置深さとに関係なく深く掘削穴を掘削できるので、掘削穴ケーソン構築前からケーソン内側に居残らせてある掘削機或いはケーソン構築後にケーソン内側に吊り込まれた掘削機を用いる。
【0073】
なお、掘削穴の掘削(S10)を開始して程なくジャッキベース4は地面の土とともに掘削機にすくい取られるが、このジャッキベース4は回収して保管しておく。
【0074】
さて、この掘削穴の掘削(S10)が進められるに連れてケーソン1は地下に沈んで行き、図1に2点鎖線で示すように、ケーソン1が所定の掘削中断深さD1に達すると(S11)、この掘削穴の掘削が中断される(S12)。
【0075】
この掘削中断深さD1は、特に限定されないが、ここでは、後述するレベル調整穴9の底面の深さを設置深さD2と同程度とし、最短高さ150mm、調整代100mm程度のジャッキベースからなる支柱11を用いて、ケーソン1の下縁から150mm程度高い部位でケーソン1を受止めるようにするために、設定深さD2よりも200mm浅い深さに設定している。
【0076】
この後、図3に示すように、ケーソン下側及びケーソン内側周縁部の予め定められた複数箇所を設置深さまで掘削して複数のレベル調整穴9の掘削するレベル調整穴掘削を開始するが(S13)、この実施例では、1台の掘削機でレベル調整穴9を順次掘削する。
【0077】
このレベル調整穴9の数及び配置は、地上でケーソン1の下型枠組立(S4)の際に地上に並べたジャッキベース4の数及び配置と同じにしている。
【0078】
又、各レベル調整穴9の深さは、前記掘削中断深さD1まで沈下したケーソン1の下側に最短高さ150mmのジャッキベースからなる支柱11を配置できるようにすると共に、以下のような理由で設置深さD2と同等にしている。
【0079】
即ち、レベル調整穴9の底面と掘削中断深さD1に沈下したケーソン1との間には、このジャッキベースからなる支柱11を配置するために当該ジャッキベースの最低高さ、即ち、150mm以上の間隔を置くことが必要であり、又、レベル調整穴9の底面の深さにばらつきが生じることを考慮して、それ以上、例えば160mm以上の間隔を置くことが好ましい。更に、後述するように支柱上面高さを水平に設置された定規とゲージとを用いて調整し、測量により支柱上面高さを確認するためにはレベル調整穴9の底面と掘削中断深さD1に沈下したケーソン1との間には更に大きい間隔、例えば170mmの間隔が置かれることが好ましい。
【0080】
しかし、後述するようにこのレベル調整穴9には支柱11が設置され、支柱11と接触しないように掘削機を操縦するので、支柱11を気にせずに掘削できる掘削中断深さD1よりも浅い時の掘削に比べると作業性が若干低下するから、このレベル調整穴9の底面と掘削中断深さD1に沈下したケーソン1との間隔を大きくすることは掘削作業全体としての作業性を低下させて工期を長くすることになり、工費の増大を招きかねない。
【0081】
又、レベル調整穴9の底面を設置深さD2よりも浅くすると、地下室基礎底面を地均しする時に、支柱11の周囲の土を削り取る必要があり、掘削の手間と時間が余分に要るし、設置深さD2よりも深くすると、地下室基礎底面を地均しする時に、支柱11の周囲に土、砂、砂利などを埋め戻す手間と時間が余分に要る。
【0082】
そこで、このレベル調整穴9の底面の深さを設置深さD2と同じ深さに設定して、地均しのための余分な掘削や埋め戻しの手間と時間とを節約するとともに、レベル調整穴9の掘削誤差と、レベル調整穴9に配置した支柱11の高さ調整及びその高さ調整の結果の測量による確認とのための余裕を見込んで、このレベル調整穴9の底面の深さ、即ち、設置深さD1と掘削中断深さD2との差を約200mmとし、レベル調整穴9の底面と掘削中断深さD1に沈下したケーソン1との間に約200mmの間隔が置かれるようにしているのである。
【0083】
又、各レベル調整穴9の幅は、その内部に配置される支柱11の高さ調整を手作業でできるようにすると共に、掘削機のショベルを支柱11に接触させずにレベル調整穴9の両側の地盤を掘削できるようにするために、使用する掘削機のショベルの幅と同等にしている。
【0084】
更に、このレベル調整穴9は、図1に示すように、レベル調整穴9がケーソン1の外周面から若干外側にはみ出すような奥行きを備えている。
【0085】
もっとも、このレベル調整穴9の奥行きは、ケーソン1の外周外側の地盤との間に隙間が生じないようにするためにケーソン1の外周面よりもケーソン1の沈下により削り取られる程度の内側までの奥行き、或いは、ケーソン1の外周面までの奥行きを備えるようにしてもよい。
【0086】
なお、この実施例のようにケーソン1の外側までレベル調整穴9がはみ出すようにレベル調整穴9の奥行きをレベル調整穴9が備えている場合には、ケーソン1の沈設後にケーソン1の外側にはみ出したレベル調整穴の部分は、ケーソン1が設置高さに水平に配置された後に当該ケーソン1の周囲に形成された他の隙間と一緒に埋め戻せばよい。
【0087】
ところで、この地下室潜函工法では、レベル調整穴9は1箇所ずつ順に掘削され、1穴のレベル調整穴9の掘削が終ると(S14)、そのレベル調整穴9が支柱未配置であることを確認した上で(S15)、そのレベル調整穴9の底面に補助プレート10を敷設し(S16)、この補助プレート10の上にジャッキベースからなる支柱11を配置する(S17)。
【0088】
このように、支柱11の底面積よりも広面積の補助プレート10を介在させると、支柱11の底面が接触する面の平面性が高められて、支柱11を安定良く配置できるようになると共に、レベル調整穴7の底面に作用する接地圧が広面積に分散され、各支柱11がケーソン1を受止めた時に該支柱11が対応するレベル調整穴9の底面にめり込んで、支柱上面が沈下することが確実に防止される。
【0089】
又、1穴のレベル調整穴9の掘削終了が確認されるごとに(S14)、次に掘削すべきレベル調整穴9が有るか否かを認識し(S18)、無いと認識した時には掘削したばかりのレベル調整穴9が支柱未配置であることを確認する段階(S15)に移行し、有ると認識した場合には次に掘削すべきレベル調整穴9の掘削を開始する(S19)。
【0090】
このようなプログラムによれば、掘削済みのレベル調整穴9への補助プレート敷設(S16)及び支柱配置(S17)と、次のレベル調整穴9の掘削とが並行して処理されるので、工期を短縮して工費を節約できる。
【0091】
次に掘削すべきレベル調整穴9の掘削が開始された後(S19)、その終了が確認されると(S14)、この掘削し終えたばかりのレベル調整穴9が支柱未配置であることを確認した上で(S15)、当該レベル調整穴9の底面に補助プレート10が敷設され(S16)、更にその補助プレート10の上に支柱11が配置される(S17)。
【0092】
ここでは、先に地上でのケーソン1のレベル調整に使用され、掘削穴の掘削開始(S10)後に回収して保管していたジャッキベース4を支柱11としてそっくりそのまま再利用することにより、工費の節約を図っている。
【0093】
そして、1穴のレベル調整穴9に支柱11が配置された後(S17)、支柱未配置のレベル調整穴9がないことが確認されると(S15)、掘削中のレベル調整穴9の有無が確認される(S20)。
【0094】
ここで、掘削中のレベル調整穴9が有りと確認された場合には、1穴のレベル調整穴9の掘削終了を確認する段階(S14)に戻り、それ以降の手順、即ち、そのレベル調整穴9が支柱未配置であることを確認してから他のレベル調整穴が掘削中であるか否かを確認するまでの手順(S15、S16、S17、S15、S20)が繰返される。
【0095】
又、掘削中のレベル調整穴有無の確認(S20)において無しと確認された場合には、改めて次に掘削すべきレベル調整穴9が有るか否かを確認して(S21)、有る場合には、次に掘削すべきレベル調整穴の掘削開始(S19)に移行し、無い場合には、全てのレベル調整穴9の掘削が終了し、全ての支柱11の配置が終了しているので、図4に示すように、各支柱上面の高さ調整をする(S22)。
【0096】
支柱上面の高さ調整(S22)は、その上面高さを測量により確認しながら調整する方法を採用することが好ましいが、この実施例では、例えば掘削中断深さD1の掘削穴底面上に水準器を用いて水平に配置した定規と支柱11の上面との間にゲージを挟むことにより、例えば0.1mmオーダーの誤差がある程度のラフな高さ調整をして作業性を高めている。
【0097】
又、この支柱上面の高さ調整(S22)は、レベル調整穴9への支柱11の設置に引き続き、他のレベル調整穴9の掘削中に行うこともできるが、ここでは全てのレベル調整穴9に支柱11を配置した後に順次行い、これにより、全体的な作業性を高めると共に、作業者の集中力を高めて高さ調整のバラツキが小さくなるようにしている。
【0098】
なお、支柱上面の高さを測量しながらその高さ調整をする場合には、これに加えて、測量機器の設置と撤去との回数を減らして作業時間を短縮することができ、工期の短縮と工費の節約とが図れる。
【0099】
ところで、この地下室潜函工法では、全ての支柱11の上面高さ調整が終了した後(S23)、測量により全支柱11が正確に高さ調整されていることを順次確認してから(S24)、掘削穴の掘削を再開する(S25)。
【0100】
この全支柱11の上面高さの測量による確認(S24)は、各支柱11の高さ調整(S22)の実行により全支柱上面の高さ調整が正確になされたものとして省略することも可能であるが、ここでは、最終的な高さ調整の精度を確認するために、全支柱11の高さ調整の終了(S23)後に改めて全支柱11の上面高さを測量により確認しているのである。
【0101】
掘り残していた掘削穴の掘削を進めると、やがてケーソン1は図1に実線で示すように、各支柱11の上面に受止められ、設置深さに水平に位置合わせされ、これにより設置深さにおけるケーソンのレベル調整が完了する(S26)。
【0102】
そして、掘削穴の掘削は、ケーソン1が支柱11に受止められた深さ以上に進める必要がないので、全支柱11の上面にケーソン1が受止められると掘削を終了する(S27)。
【0103】
ところで、再開された掘削穴の掘削を進める際には、支柱11の周囲にはレベル調整穴9が広がっているので、掘削機のショベルと支柱11とを視認しながらレベル調整穴9の周囲の地盤を掘削機のショベルで支柱11に接触しない範囲でレベル調整穴9に突入させることにより確実に掘削することができる。
【0104】
つまり、支柱11に接触させることなく掘削穴全体を設置深さD2まで掘り下げることができるので、言い換えると、支柱11に邪魔されることなく掘削穴を設置深さD2まで掘り下げることができるので、作業性が高く、安全に、短時間で、かつ正確に掘削穴を設置深さD2まで掘り下げることができる。
【0105】
又、掘削機のショベルを支柱11に接触させることなく掘削穴全体を設置深さD2まで掘り下げることができるので、掘削穴を掘削中断深さD1から設置深さD2まで掘り下げる間に、掘削機のショベルが支柱11に接触して、支柱11を倒したり、支柱11を曲げたり、支柱11の高さ調整機構を動かしてその上面高さを狂わせたりすることはなく、正確に調整された支柱上面の高さにケーソン1を受止めることができる。その結果、設置深さD2において、すこぶる正確なケーソン1のレベル調整ができることになるのである。
【0106】
掘削穴の掘削を設置深さD2で終了した後(S27)、地下室基礎工事が行われる。即ち、ケーソン1の下側及び内側全体にわたって掘削穴の底面を地下室基礎底面として地均しし(S28)、所定の厚さに砂利13を敷詰め(S29)、この砂利の上に捨てコン14を打ち(S30)、この捨てコン14の上に土間配筋15を組んでから(S31)、土間コンクリート16を打設し(S32)、養生することにより土間基礎が完成される(S33)。
【0107】
この地下室基礎底面の地均し(S28)に際しては、支柱11がケーソン11の下側に配置され、又、その周囲の地盤は地均しの際に掘削や埋め戻しが不用な設置深さD2まで掘削され、しかも、掘削機のショベルとレベル調整穴9及び支柱11とを目視しながら掘削されるので、支柱11に接触せずに地均しをすることができる。
【0108】
又、砂利13を敷詰める時には(S28)、ケーソン1と掘削穴の底面との間に介在する支柱11がケーソン1の重量で押え付けられているので、下側に詰め込まれる砂利13によって支柱11が押し流されたり、倒されたりすることはない。そして、ケーソン1の下側に砂利13が詰め込まれると、この砂利13によってケーソン1が支えられるようになるので、支柱11の役目は終る。従って、この支柱11が基礎工事の妨げとなるおそれは全くない。
【0109】
更にこの基礎工事の後、地下室床工事、内壁工事、天井工事、地上構造物の工事などが行われるが、これらの工事は本発明方法との関連性が薄いので、その詳細な説明は省略する。
【0110】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明方法においては、前記構成を有し、規模が大きく重量が重いケーソンでもレベル調整穴及び支柱の数と配置とを適宜選定して、各支柱がケーソンを受止める時に、ケーソンの重量で各支柱が土中に押込められることを防止すると共に、各支柱の上面の高さを設置深さに水平に位置するケーソンを下から受止める高さに調整しておけば、重量が重い大規模なケーソンであっても、ケーソンを沈下させて各支柱に受止めさせると、各支柱で該ケーソンを設置深さで水平に位置合わせすることができるという効果、即ち、設置深さにおけるケーソンのレベル調整ができるという効果を得ることができるのである。
【0111】
又、本発明方法においては、ケーソンが掘削穴の底面により掘削中断深さに支持されている状態でレベル調整穴の掘削、レベル調整穴への支柱の配置、レベル調整穴に配置された支柱の上面の高さ調整などが行われるので、これらの作業をすこぶる安全に実行できるという効果も得ることができる。
【0112】
更に、本発明方法においては、支柱がケーソンの下側に配置され、その周囲にレベル調整穴が形成されているので、掘削機のショベルを支柱に接触せずに支柱の両側の地盤を掘削することができる結果、ショベルの接触により支柱が倒れたり、曲がったり、高さ調整機構が動かされて上面高さの位置が変化したりすることを防止できるという効果を得ることができる。
【0113】
特に、本発明方法において、ケーソン内側に配置した掘削機で掘削穴を掘り下げる場合には、掘削機のショベルを目視しながら掘削機を操縦できるので、一層確実にショベルと支柱との接触を防止できたり、ショベルの接触により支柱が倒れたり、曲がったり、高さ調整機構が動かされて上面高さの位置が変化したりすることを確実に防止できるという効果を得ることができる。
【0114】
加えて、本発明方法によれば、掘削穴の掘削が完了した後に行われる地下室基礎工事においては、支柱にケーソンの重量が掛って、支柱が移動したり、傾倒したりするおそれがないので、支柱を気に掛けることなく地下室基礎工事をすることができ、地下室基礎工事の安全性及び作業性を高めることができるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明方法の原理を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明方法の工程図である。
【図3】図3は、本発明方法の工程図である。
【図4】図4は、本発明方法の工程図である。
【図5】図5は、本発明方法に好適に用いられるケーソンの断面図である。
【符号の説明】
1 ケーソン
9 レベル調整穴
10 補助プレート
11 支柱
D1 掘削中断深さ
D2 設置深さ

Claims (11)

  1. 地上に地下室の外周壁躯体を構成するケーソンを配置した後、このケーソンの下側の地盤を掘削して形成した掘削穴に当該ケーソンを所定の設置深さまで沈下させる地下室潜函工法において、
    前記設置深さよりも浅い所定の掘削中断深さまでケーソンを沈下させた時に掘削穴の掘削を中断し、この後、前記ケーソンの下側の予め定められた複数箇所のみを局部的に掘り下げてレベル調整穴を形成し、各レベル調整穴に支柱を挿入してから、各支柱の上面を所定の高さに調整し、この後、前記掘削穴を掘り下げて、各支柱で前記ケーソンを設置深さに水平に受止めることを特徴とする地下室潜函工法。
  2. 各レベル調整穴及び支柱の数及び配置が前記ケーソンの重量及び掘削穴底面の耐圧力を考慮して決定される請求項1に記載の地下室潜函工法。
  3. 前記レベル調整穴が設定深さまで掘り下げられる請求項1又は2に記載の地下室潜函工法。
  4. 少なくとも1箇所のレベル調整穴において、支柱の底面積よりも広面積の補助プレートを該レベル調整穴の底面に配置し、この補助プレートの上に支柱を配置する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の地下室潜函工法。
  5. 少なくとも1箇所のレベル調整穴において、底面の土質を改良して耐圧力を高めた後、前記支柱を配置する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の地下室潜函工法。
  6. 各レベル調整穴に配置された各支柱の上面の高さが、該支柱の上側に位置するケーソンの部位の設置深さにおける高さに調整される請求項1又は2に記載の地下室潜函工法。
  7. 各支柱の上面の高さがレベル調整穴の底面と支柱との間に調整材を挿入することにより調整されたり、或いは支柱の上側に調整プレートを載置することにより調整される請求項1ないし6に記載の地下室潜函工法。
  8. 前記支柱が高さ調整可能なジャッキベースからなり、このジャッキベースの高さを調整することにより当該支柱の上面の高さが所定の高さに調整される請求項1ないし7に記載の地下室潜函工法。
  9. 前記地上でケーソンを設置する際に、ケーソンのレベル調整のために用いるジャッキベースを前記レベル調整穴に挿入するジャッキベースからなる支柱に兼用する請求項8に記載の地下室潜函工法。
  10. 前記支柱の上面の高さが所定の高さに調整されたことを測量により確認してから掘削穴の掘削を再開する請求項1ないし9のいずれか1項に記載の地下室潜函工法。
  11. 前記ケーソンを設置深さに沈設した後、前記支柱を地下室基礎内に打ち捨てる請求項1ないし10のいずれか1項に記載の地下室潜函工法。
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