JP3921090B2 - 自走式地質調査機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地質調査を目的とする自走式の地質調査機に関する。更に詳しくは、オートマチックラムサウンデイングにより地中にコーン及びロッドを貫入して試験を行う自走式地質調査機に関する。
【0002】
【従来の技術】
宅地建設予定地等の地盤調査においては、地盤の性状等土質検査のため、検査対象の地盤に先端にコーンを有する試験用ロッドを貫入させ、ロッドの自沈速度等の沈降状態を調査することが行われている。これはその土地に最適な基礎設計をなし、建物等の耐久性、耐震性をより高めるためになされるものである。地盤が軟弱な土地の場合、後で不同沈下、地盤沈下等が発生しないように対策を施すための基礎データを得るために行われる。
【0003】
これはロッドに3種類の錘を負荷して自沈させ自沈停止時にはそれ以上の負荷をかけずに試験用ロッドを回転駆動するいわゆるスウェーデン式サウンデイングと、ハンマーを自由落下させ試験用ロッドを打撃して地中に貫入させ試験を行うオートマチックラムサウンディングが知られている。
【0004】
スウェーデン式サウンデイングは、所定荷重による貫入と回転貫入により原位置を測定する試験であり、いわゆる住宅地等の地盤の静的貫入抵抗を測定して、その土質の硬軟等を判定し住宅等の建築地の地盤状況を把握することを目的としている。この試験方法は、装置及び操作が容易で迅速にできることから、深さが10m内程度の比較的浅い地盤を対象として、特に戸建住宅地の地盤調査方法として普及している。この方式の試験方法は手動操作によって行うのが一般的であるが、自動により行う方法も知られている。
【0005】
一方、オートマチックラムサウンディングは、スウェーデンで開発された動的コーン貫入試験として知られており、所定の重さのハンマーを所定の高さから落下させることによりロッド及びコーンを地中に貫入させ、打撃回数を求めN値を評価する地盤の試験を行うことを目的としている。この試験方法による貫入能力は20〜30mの深さの調査が可能である。この方式の試験方法は、自動連続貫入方法によって行うのを原則としている。
【0006】
いずれにしても住宅地等においては、規模の違いに応じて何らかの地盤調査が地質調査機等によって行われるのが一般的で、調査対象の地盤における土の貫入抵抗を測定し、その硬軟または締まり具合、あるいは土層の構成を判定するベースにしている。自走式試験機等により数多くの地点を測定をして、迅速、正確で能率のよい地盤調査をすることが望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一般に住宅地等は狭いので、試験を行う範囲が限定されたり、自走式の試験機においては、その行動範囲に制約を受け、所定地盤の試験を行い難い場合もある。このため調査機または装置を出来るだけ小さくコンパクトにする必要がある。特にオートマチックラムサウンディングは、自動化を原則にしているので、そのための装置は欠かせず、小さくするのも限界がある。
【0008】
スウェーデン式サウンデイングは、前述のように自動化されたものも提案されているが、駆動源を多く必要とし複雑な構成になっているのが現状である。仮にこの技術をオートマチックラムサウンディングに適用しても、単に操作を自動化したに過ぎず、かえって複雑にしてしまう場合が多い。このようなことから自動化され、さらに構成が簡素で迅速に調査の行える地質調査機の開発が望まれている。
【0009】
本発明はこのような技術的背景に基づき開発されたものであり、特にオートマチックラムサウンディングに適用し、次の目的を達成するものである。本発明の目的は、ハンマー落下装置の構成を簡素化し自動連続貫入装置とした自走式地質調査機を提供することにある。本発明の他の目的は、構成(構造)を簡素化したことによりコストを低減した自走式地質調査機を提供することにある。更に本発明の他の目的は、試験したデータを迅速に処理し、その結果を表示可能な構成にした自走式地質調査機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために次のような手段を採る。
本発明1の自走式試験機の試験装置は、先端にコーンを取り付けた試験用ロッドを地中に貫入して試験する自走式地質調査機において、地面を自走する自走機に設けられ案内部を有して起伏自在なリーダと、このリーダの前記案内部に昇降自在に設けられ、内蔵するハンマーを昇降動作させ機械的な動作で落下可能にさせるハンマー装置と、前記リーダの前記案内部に昇降自在に設けられ、地中に貫入する前記試験用ロッドを把持し回転させる回転装置と、前記ハンマー装置、又は前記回転装置に、当接又は連結可能な係止部が形成された案内体と、前記リーダに設けられ、前記案内体を昇降自在に駆動し、前記案内体を介して、前記ハンマー装置、又は前記回転装置を個別に昇降動作可能な駆動装置とからなり、一つの前記駆動装置により、前記ハンマー装置、又は前記回転装置の昇降動作を切り替えて行えるようにしたことを特徴とする。
【0012】
本発明2の自走式地質調査機は、前記発明1において、前記リーダを起伏自在にするためのシリンダ装置を前記自走機に設け、前記自走機に設けられた支点を中心に前記リーダを回動させるように構成している。
【0013】
本発明3の自走式地質調査機は、前記発明1において、前記ハンマー装置は、前記ハンマーと、このハンマーを上方に持ち上げるハンマーシリンダと、このハンマーシリンダの駆動により昇降動作し前記ハンマーに係合する係合部材と、この係合部材が前記ハンマーに係合して上昇したときこの係合を解除する解除部材とから構成している。
【0014】
本発明4の自走式地質調査機は、前記発明1において、前記回転装置は、前記試験用ロッドを把持するチャック装置と、把持された前記試験用ロッドを回転させる回転駆動装置とから構成している。
【0015】
本発明5の自走式地質調査機は、前記発明1において、前記ハンマー装置のハンマー動作を制御し、調査データを記憶し出力表示する制御装置を前記自走機に設けた構成にしている。
【0016】
本発明6の自走式地質調査機は、前記発明1において、前記案内体には、差し替え可能な連結体が設けられ、前記回転装置と前記案内体の前記係止部とを前記連結体で連結して前記回転装置を昇降移動自在としたことを特徴とする。
【0017】
本発明7の自走式地質調査機は、前記発明3において、前記係合部材は、前記ハンマーに固定されたフック部材と、前記ハンマーシリンダにより昇降する昇降体に設けられ前記フック部材と係合する爪部材とから構成され、前記ハンマーが下方にあるとき前記爪部材が下方に移動して前記フック部材に係合することを特徴としている。
【0018】
本発明8の自走式地質調査機は、前記発明3において、前記解除部材は、前記ハンマー装置の上部に設けられたカム部材で構成され、前記ハンマーシリンダにより昇降する昇降体に設けられた前記爪部材が上昇したとき、このカム部材と係合することにより前記爪部材と前記ハンマーに固定された前記フック部材の係合を解除し、前記ハンマーを下方に落下させるようにしたことを特徴としている。
【0019】
本発明9の自走式地質調査機は、前記発明3において、前記ハンマー装置の上部、又は前記ハンマーシリンダに検出手段を設け、前記ハンマーの動作位置を検出するようにしたことを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。図1は、本発明の自走式地質調査機1の全体正面図であり、図2はその側面図である。この自走式地質調査機1は、フルオートマチックラムサウンド方式の地質調査機であって、自走可能な自走機2にハンマー装置3を搭載した構成が基本となっている。自走機2は、無端の軌道帯輪が走行駆動されることにより、あらゆる位置に走行が可能となっている。
【0021】
この自走機2には、傾きを変えられ案内部4aを有するリーダ4が設けられている。リーダ4の傾きは、自走機2の前部に設けられた支軸5を中心に回動して変えることができる。地面に垂直方向のみならず、仮想線位置のように傾斜状態に設置することもできる。又、このリーダ4は、自走機2を軌道帯輪上で水平旋回させることにより、自走機2の周囲に位置を変えることもできる。この傾斜動作は、自走機2に設けられたリーダ起倒シリンダ6の駆動により行う。
【0022】
このリーダ起倒シリンダ6は、このシリンダ本体が自走機2に設けられた支軸6aを介して揺動可能に設けられており、リーダ起倒シリンダ6のシリンダロッド6bがリーダ4に支軸6cを介して連結しているので、リーダ起倒シリンダ6に圧油が供給されると、シリンダロッド6bが伸縮してリーダ4の傾きを変えることができる。
【0023】
又、リーダ4が所定位置に設置されたとき、地面は平坦でないのでリーダ4の高さ方向の位置を調整する必要がある。このために自走機2に調整用シリンダ7が設けられている。シリンダロッド6bはこの調整用シリンダ7を介してリーダ4に連結しているので、前述のリーダ4の傾斜を変えることは、この調整用シリンダ7を傾斜させることを意味する。
【0024】
更に、このリーダ4の案内部4aには、ハンマー装置3が昇降方向移動自在に搭載されている。このハンマー装置3は、リーダ4内に設けられた昇降シリンダ8によって、案内受け部3aを介して昇降方向に向きが規制され移動が可能である。この昇降シリンダ8は、回転駆動をする油圧モータであってもよい。ハンマー装置3についての詳細は後述するが、先端部に試験用ロッド9を取り付け、規定に従って内蔵するハンマーの落下を繰り返し、試験用ロッド9を地中に貫入させ所定長さにおける打撃回数をカウントして地質を調査する。
【0025】
リーダ4の地面側案内部4aには、地中に貫入される試験用ロッド9を把持する油圧チャック10と、この油圧チャック10で把持された試験用ロッド9を回転させる回転駆動装置11とで構成される回転装置が搭載されている。この回転装置は、ハンマー装置3と同様に案内受け部3aを介して昇降方向移動自在にリーダ4に設けられている。この回転駆動装置11の案内受け部11aとハンマー装置3の案内受け部3aとは、独立してリーダ4に跨って搭載されている。
【0026】
回転駆動装置11とハンマー装置3は、昇降方向に同時に動作することはないので、各々個別に移動することが可能である。回転装置の移動は、前述のハンマー装置3の駆動用と同じ昇降シリンダ8により行う。ハンマー装置3と回転装置の昇降を同じ昇降シリンダ8を使用するが、相互に動作を切り替えて行うようにしている。この駆動形態について、図14及び図15によって詳細に説明する。昇降シリンダ8は、リーダ4内に設けられており、リーダ4の下方の支持軸4bに揺動自在に取り付けられている。
【0027】
この昇降シリンダ8のロッド8a先端にロッド支持軸8bが設けられ、このロッド支持軸8bに案内体33が連結されている。この案内体33は、ボックス状に形成されていて、ロッド8aの移動動作で、ロッド8aがシリンダ内に入ると、図14に示すように昇降シリンダ8の本体の一部が案内体33に囲われる。図15は、ロッド8aが所定ストローク延長した状態を示すものである。案内体33の先端に突起状に係止部33aが設けられている。この係止部33aにはピン穴33bが明けられている。
【0028】
駆動装置の基本構造は以上のようになっている。案内体33がハンマー装置3、又は回転駆動装置11のどちらかに後述するピンの連結体で切り替え連結が可能である。試験用ロッド9を貫入させるときは、案内体33で当接させながらハンマー装置3をリーダ4上部へ移動させる。試験用ロッド9を引き抜くときは、案内体33に対するハンマー装置3の当接を解除して回転駆動装置11に連結させる。このように1つのシリンダにより、ハンマー装置3、又は回転駆動装置11の2つの装置の昇降動作を切り替えて行うことが可能である。この結果、昇降駆動関係の構成は簡素化され、かつ駆動装置が一つであるからコスト低減となる。
【0029】
一方、自走機2の後部には、制御装置12が搭載されている。この制御装置12は、前述した各装置の駆動を制御する制御部と、ハンマー装置3の動作による調査データ等を記憶する記憶部と、これらのデータを演算処理する演算部と、これらを操作するためのキー等の操作部等から構成されている。このような各装置から構成された本発明の自走式地質調査機1は、オートマチックサウンディング方式に基づき地質調査を行う構成となっている。
【0030】
次に、オートマチックサウンディング方式を説明する。これは、スウェーデンで開発された動的コーン貫入試験であり、1974年に日本に導入され今日に至っている。基本的には、自動連続貫入装置、自動引き抜き装置、ロッド及びコーンで構成されている。この試験は、ロッドの先端にコーンを設け、このコーンを地中に打ち込むことで調査が行われる。このコーンは、外径45mm、内径32mm、先端角90度、円筒部長90mm、質量0.4kgで定められていて、このコーンを外径32mm、長さ1000mm、質量5kgのロッドに取り付け、地中に打ち込まれる。
【0031】
ロッドが1mを超えて地中に貫入されるときは、第2のロッドをカップリングにより継ぎ足していく。ハンマーの質量は63.5kg、落下高さ50cmであり、自由落下により、ハンマーを打ち込み、貫入長さ20cm毎の打撃回数を測定する。ロッドを回転させてトルクを測定することにより、周面摩擦の影響は次式により補正した打撃回数Nd値を考慮し評価される。
【0032】
[式1]
Nd=Ndm―Nmantle
=Ndm―0.00041Mv
{Nd=Ndm―0.004Mv}
ここに、
Nd:補正された打撃回数
Ndm:測定された打撃回数
Nmantle:周面摩擦相当の打撃回数
Mv:回転トルク(N・cm){kgf・cm}
周面摩擦を補正するためのトルクの測定は、打撃回数が5回を超す場合は20cm毎に、5回以下の場合はロッド接続時(1m毎)に、ロッドを時計回りに2回転させて行われる。この試験の結果は、グラフ化され記録される。この調査方法の特徴は、貫入及び引き抜きが自動的に行われることである。貫入能力は、N値に換算して30〜50回程度の地盤であっても、20〜30mの貫入深度が可能である等である。本発明の自走式地質調査機1は、このような方法により試験を行うものであるが、次に本機について更に詳述し、本機の特徴を説明する。
【0033】
図3は本発明の主要部をなすハンマー装置3の断面図である。図4はその平面図である。ハンマーフレーム13はその断面が略四角形に構成されたフレーム体であり、端部にロッドガイド14が設けられ、試験用ロッド9を取り付ける取り付け部となっている。このロッドガイド14に支柱をなし、筒状のスリップケーシング15が取り付けられ、ハンマーフレーム13の中央部に貫通している。このスリップケーシング15の他端は、ハンマーフレーム13の上端部のスライドプレートガイド16に固定されている。
【0034】
このスリップケーシング15の外形面に、ハンマーであるラム17がスリップケーシング15の長手方向に移動自在に設けられている。このラム17には、ラムフック18が径方向に対称的に2個設けられている。このラムフック18は、一体で円柱体の部材であってもよい。このラムフック18の先端は段差部18aを有している。一方、スライドプレートガイド16には2つのガイド穴が設けられ、2本のガイドロッド19が挿入されガイドされる。このガイドロッド19下方の先端部は、キャッチャーボディ20に固定され、このキャッチャーボディ20に1対の爪部材21が支軸22を中心に揺動可能に取り付けられている。この爪部材21はバネによりやや内側に傾くようにセットされている。
【0035】
この爪部材21の先端部は鉤21aになっていて、爪部材21が下方に位置したとき、この鉤21aが支軸22を中心に揺動動作してラムフック18の段差部18aに引っかかり、係合するようになっている。又、スリップケーシング15の上方には、先端がテーパ状の筒体をなすカム23が固定されている。更に、スリップケーシング15の上端部には、ハンマー用シリンダ24がプレート25を介して取り付けられている。このハンマー用シリンダ24は、スリップケーシング15に内挿状態で取り付けられている。
【0036】
このハンマー用シリンダ24の先端にシリンダロッド24aが進退自在に設けられ、端部が連結プレート26に連結している。この連結プレート26とガイドロッド19とは、先端部でナット/ボルト締め固定されている。従って、ガイドロッド19は、ハンマー用シリンダ24の動作によりシリンダロッド24aが進退することにより、連結プレート26を介して上下方向に移動可能である。プレート25には近接スイッチ27がアングル材28を介して設けられ、また、連結プレート26には、検出ロッド29が設けられている。ガイドロッド19の動作位置は、近接スイッチ27が検出ロッド29の位置を検出することで、確認することができる。
【0037】
この検出ロッド29の検出ストロークは、ラム17の昇降ストロークに一致し、そのストロークは50cmである。又ハンマーを構成するのは、ラム17とラムフック18であり、その総重量は63.5kgである。図3は、下方のラムフック18の段差部18aに爪部材21の鉤21aが引っ掛かり係合している状態を示している。図5は、ラム17をハンマー用シリンダ24により50cm引き上げ、爪部材21がカム23に乗り上げたところを示し、鉤21aがラムフック18の段差部18aから外れる瞬間の状態を示している。
【0038】
鉤21aが段差部18aから外れると、ラム17は自由落下する。ラム17は落下によりロッドガイド14の端面を打撃し、この打撃によりロッドガイド14の下面に取り付けられた試験用ロッド9を地中に貫入させる。ロッドガイド14の端面には、カラー30が設けられていて、実際はラム17がこのカラー30に当接することにより打撃する。このカラー30は、ストロークの調整用ともなっており、ストロークが50cmに合う厚さのカラーとなっている。
【0039】
打撃されたときの位置の検出は図示していないが、リーダ4に設けられた検出装置により、試験用ロッド9が20cm貫入した状態を検出し、その情報は制御装置12に送信される。近接スイッチ27は、前述のように、スリップケーシング15上部のプレート25に取り付けられ、ハンマーの往復動作を検出する。
【0040】
一方、ガイドロッド19上部の連結プレート26には、先端に連結プレート26との取り付け部29aを有する検出ロッド29が取り付けられていて、この検出ロッド29が近接スイッチ27に対応するようになっている。即ち、検出ロッド29の移動に伴い近接スイッチ27と検出ロッド29の相対動作で、ハンマーの動作状態を検出している。
【0041】
地質調査においては、この試験用ロッド9の貫入動作とラム17の引き上げ動作を自動で繰り返し行う。試験用ロッド9を長さ方向に沿って貫入させるのは以上の方法によるが、周面摩擦の影響を補正するために、試験用ロッド9を回転させる必要があるが、試験用ロッド9を回転させる装置が前述の回転駆動装置11である。
【0042】
この回転駆動装置11に隣接して上部に油圧チャック10が設けられ、試験用ロッド9の端部を把持する。回転駆動装置11の歯車伝動機構は図示していないが、試験用ロッド9が貫通する構造になっていて、壁面に設けられた油圧モータ31により油圧チャック10を回転させる。この油圧チャック10の回転により把持された試験用ロッド9は回転し、トルクを検出する。
【0043】
トルクの検出方法は図示していないが、公知の手段で電気的に検出し、そのトルク検出結果は制御装置12に送信される。オートマチックサウンディング方式の規定では、トルクレンチで試験用ロッド9を回転させトルクを測定するようになっているが、本発明では、これを自動化している。これにより、本発明の構成は、全ての操作が自動で行えるようになっている。この自動操作を可能にするため、自走機2の後部に制御装置12が設けられている。
【0044】
この制御装置12は、図6にブロック図で示すように、基本的に自走式地質調査機1に関する操作の操作部12a、自走式地質調査機1の各装置を制御する制御部12b、検出された各データを保管する記憶部12cとこのデータを出力する出力部12dとで構成されている。この出力部12dから、データはカード等、又、ケーブル、通信回線、無線等を介して外部の処理装置に伝えられる。
【0045】
操作部12aは、各操作スイッチ類とパネル等の表示手段、ランプ等を有している。制御部12bは、CPUとプログラム等で構成され、油圧シリンダ等の駆動装置12eを制御する。記憶部12cは、近接スイッチ等のセンサー12fの応答数でカウントされた打撃回数や周面摩擦により補正したN値等のデータが記憶される。
【0046】
この制御装置12は、操作部12aの入力、各装置の検出信号を受け、各装置の負荷を制御部12bで自動制御し、得られた貫入状況のデータを記憶部12cで記憶し、これらのデータを出力部12dから外部の装置へ出力する。本実施の形態の出力形態は、カード12gを外部装置への接続記憶媒体として使用している。このカード12gは、例えば作業現場の自走式地質調査機で、直接調査データを記憶された記憶媒体のカードとして持ち運び、事務所のパソコン等の端末機に入力して分析することが可能である。
【0047】
図7に示すのはその一例である。カード12gをカード情報を読み取るためのカードボックス40に差し込む。カード情報は、パソコン本体41のディスク等の記憶装置に格納されCPUで予め入力してある分析プログラムに従い分析、計算等が行われる。データを確認したり追加の情報を入力したりするのはモニタ画面42と、キーボード43で行う。
【0048】
分析結果は、表あるいはグラフ化されてモニタ画面42に表示される。プリント出力を要する場合は、プリンタ44により出力する。この出力結果は、例えば20cmごとのN値として表示されるので、試験用ロッドの貫入した地層の層厚、硬軟、締まり具合等が即座に把握できる。
【0049】
次に、試験動作を説明する。図8は、リーダ4が地面に直角方向に設置された後、その案内部4aに昇降ガイドされるハンマー装置3のロッドガイド14に、試験用ロッド9を取り付けた構成を示している。この試験用ロッド9の地中側端部には、図示していないが、コーンが取り付けられている。
【0050】
又、試験用ロッド9の長さは前述のとおり1000mmであるので、ハンマー装置3のストロークはそれに合わせた長さ1000mm+αになっていて、作業者が取り付け易い構成になっている。油圧チャック10は開放されている。この取り付け状態が完了した後、前述の方法でラム17の落下を繰り返す。試験用ロッド9が20cm貫入するまでの打撃回数をカウントする。図9は、試験用ロッド9をハンマー装置3の昇降ストローク限度まで貫入させた状態を示している。
【0051】
ハンマー装置3と案内体33との関係を、図16に模式的に示す。ハンマー装置3のロッドガイド14の部分が案内体33の係止部33aに当接している。ハンマー装置3をリーダ4上方へ移動させるときは、昇降シリンダ8の動作で係止部33aにロッドガイド14を当接しながら案内体33を移動させる。ハンマー装置3が下降するときは、試験用ロッド9がロッドガイド14に当接している場合は、昇降シリンダ8の圧力を抜いておく。このときの案内体33はハンマー装置3及び回転装置とは連結されていない状態である。
【0052】
次に図10のように、案内体33により、ハンマー装置3を上方へストローク限度持ち上げ、この持ち上げたままの状態で、継ぎ試験用ロッド9aを前の試験用ロッド9の頭部にカップリングを介してねじ込むことにより継ぎ足す。継ぎ試験用ロッド9aの上端部に前述同様にロッドガイド14を押し当て、前述同様に継ぎ試験用ロッド9aが20cm貫入するまでハンマー落下動作を繰り返し、その回数をカウントする。
【0053】
この間に前述の条件に従い、例えば、回数が5回を超えた場合には,20cm毎に試験用ロッドを油圧チャック10で把持し、回転駆動装置11で回転動作を行い回転トルクの検出を行う。このようにして、次々と継ぎ試験用ロッドを継ぎ足してハンマーの落下動作を地中深さ20〜30mまで繰り返す。
【0054】
次に試験が完了し試験用ロッド(9,9a,・・・)を地中から引き抜くときの動作を説明する。図11は、試験用ロッド引き抜きの準備状態を示している。ハンマー装置3は必要としないので、リーダ4上部へ退避させておく。このときハンマー装置3が下方へ移動し落下しないように、ハンマーストッパーのためのピン体32をリーダ4にセットする。この詳細を図17、図18に示す。図18(a)は図17のA−A線断面図で、図18(b)は図17のB−B線断面図である。リーダ4の両側面に2つのピン支持体4cが溶接されており、ピン体32がこのピン支持体4cの穴に差し替え可能に挿入されるようになっている。
【0055】
一方、ハンマー装置3の下部にもピン挿入用のピン支持体3bが、リーダ4側のピン支持体4cに対応して溶接されている。従って、ハンマー装置3が上方の移動端にもたらされ双方のピン支持体3b,4cが一致したところでピン体32を2つのピン支持体3b、4cに跨って挿入すると、リーダ4とハンマー装置3は連結することになる。このようにしてハンマー装置3がリーダ4上部で固定され落下するおそれがないことを確かめ、安全を考慮して試験用ロッド9の引き抜きの作業を行う。
【0056】
次に、回転駆動装置11を昇降シリンダ8で昇降方向に駆動される状態にセットする。昇降シリンダ8で駆動される案内体33に第2のピン32aを介して回転駆動装置11を結合させる。この状態を示したのが図19、図20である。図20は図19のC−C線断面図である。回転駆動装置11にハンマー装置3側に張り出して係止体11cが設けられ、この係止体11cにピン穴11bが明けられている。案内体33がリーダ4の下方端に移動したとき係止部33aのピン穴33bと係止体11cのピン穴11bが一致するので、この両方のピン穴33bと11bに跨って第2のピン32aを挿入すると、案内体33と回転駆動装置11は連結される。又、このときの回転駆動装置11は、リーダ4下方に設けられたストッパー4dに当接していてこのストッパー4dから下方向には構造上移動しないようになっている。回転駆動装置11に案内体33が連結しているとき、ハンマー装置3は案内体33に対してフリーとなる。
【0057】
次に、引き抜く対象の試験用ロッド9を油圧チャック10に把持させる。このような準備がなされた後、図12のように、昇降シリンダ8の動作で油圧チャック10と回転駆動装置11の一体となった回転装置を上方へ持ち上げる。試験用ロッド9は油圧チャック10に把持されているので、油圧チャック10の上昇とともに上方へ引き上げられる。ストローク限度引き上げられた後、図13に示すように、試験用ロッド9のカップリングのねじ止めを開放し、油圧チャック10のクランプを開放し、試験用ロッド9を自走式地質調査機1から外す。
【0058】
試験用ロッド9を外した後、油圧チャック10を再び下降させ次の試験用ロッド9を把持する。試験用ロッド9を把持したら前述同様に油圧チャック10を上昇させ、引き抜き作業を再度繰り返す。このような動作で、地中に貫入されたロッドを全て順々に引き抜く。コーンのみは、試験用ロッド9にはめ込んだままで貫入しているので、油圧チャック10では把持することはできず地中に残すことになる。全ての作業を終えると各装置を所定位置に収納し移動することになるが、図21はその状態を示したものである。重心は安全上できるだけ下げるようにしなければならない。
【0059】
先ずリーダ4をリーダ起倒シリンダ6により図21のように自走機2の運転席側に許容限度まで傾斜させる。次に回転駆動装置11と案内体33との連結関係を保ったまま、案内体33を上方へ移動させハンマー装置3に当接させる。このとき下方向位置で回転駆動装置11と案内体33との連結関係を解除し、案内体33のみを上方へ移動させてもよい。この状態でピン体32をピン支持体3b,4cから外し、ハンマー装置3をリーダ4に対しフリーの状態にする。続いて、昇降シリンダ8を駆動させ係止部33aでハンマー装置3を受けながら案内体33を下降させ、下方位置に位置決めさせる。このようにハンマー装置3及び回転駆動装置11を最下方位置に設置し、重心位置を下げる。
【0060】
以上、この発明の実施の形態をオートマチックラムサウンデイング方式の自走式地質調査機として説明したが、本発明は本実施の形態の構造に限定されないことはいうまでもない。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、ハンマー落下装置の構成を簡素化し、回転トルク検出を含め自動連続貫入装置としたので能率の向上した作業ができる。又、構成を簡素化したことによりコストを低減した自走式地質調査機となった。更に、データは制御装置を介し分析され即座にその結果を自動的に表示することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の自走式地質調査機の全体を示す正面図である。
【図2】図2は、図1の側面図である。
【図3】図3は、ハンマーが降下した状態を示すハンマー装置の断面図である。
【図4】図4は、ハンマー装置の平面図である。
【図5】図5は、ハンマーが上昇した状態を示すハンマー装置の断面図である。
【図6】図6は、制御装置のブロック図である。
【図7】図7は、カード情報を処理する外部の処理装置を示す説明図である。
【図8】図8は、試験用ロッドの取り付け工程を示す説明図である。
【図9】図9は、試験用ロッドの貫入工程を示す説明図である。
【図10】図10は、継ぎ試験用ロッドの取り付け工程を示す説明図である。
【図11】図11は、試験用ロッドの引き抜き準備状態を示す説明図である。
【図12】図12は、試験用ロッドが引き抜き上げられた状態を示す説明図である。
【図13】図13は、引き抜き上げられた試験用ロッドを自走式地質調査機から取り外した状態を示す説明図である。
【図14】図14は、昇降シリンダと案内体の取り付け状態を示した説明図である。
【図15】図15は、図14で案内体が上方に位置した状態を示した説明図である。
【図16】図16は、案内体がハンマー装置に当接している状態を示した説明図である。
【図17】図17は、ハンマー装置をリーダに固定した状態を示す説明図である。
【図18】図18(a)は、図17のA−A断面図で、図18(b)は、図17のB−B断面図である。
【図19】図19は、回転駆動装置を案内体に結合させた状態を示す説明図である。
【図20】図20は、図19のC−C断面図である。
【図21】図21は、移動状態を示す自走式地質調査機の正面図である。
【符号の説明】
1…自走式地質調査機
2…自走機
3…ハンマー装置
4…リーダ
6…リーダ起倒シリンダ
8…昇降シリンダ
9…試験用ロッド
10…油圧チャック
11…回転駆動装置
12…制御装置
13…ハンマーフレーム
14…ロッドガイド
15…スリップケーシング
17…ラム
18…ラムフック
21…爪部材
23…カム
24…ハンマー用シリンダ
27…近接スイッチ
Claims (9)
- 先端にコーンを取り付けた試験用ロッドを地中に貫入して試験する自走式地質調査機において、
地面を自走する自走機に設けられ案内部を有して起伏自在なリーダと、
このリーダの前記案内部に昇降自在に設けられ、内蔵するハンマーを昇降動作させ機械的な動作で落下可能にさせるハンマー装置と、
前記リーダの前記案内部に昇降自在に設けられ、地中に貫入する前記試験用ロッドを把持し回転させる回転装置と、
前記ハンマー装置、又は前記回転装置に、当接又は連結可能な係止部が形成された案内体と、
前記リーダに設けられ、前記案内体を昇降自在に駆動し、前記案内体を介して、前記ハンマー装置、又は前記回転装置を個別に昇降動作可能な駆動装置とからなり、
一つの前記駆動装置により、前記ハンマー装置、又は前記回転装置の昇降動作を切り替えて行えるようにした
ことを特徴とする自走式地質調査機。 - 請求項1記載の自走式地質調査機において、
前記リーダを起伏自在にするためのシリンダ装置を前記自走機に設け、前記自走機に設けられた支点を中心に前記リーダを回動させるようにした
ことを特徴とする自走式地質調査機。 - 請求項1記載の自走式地質調査機において、
前記ハンマー装置は、前記ハンマーと、このハンマーを上方に持ち上げるハンマーシリンダと、このハンマーシリンダの駆動により昇降動作し前記ハンマーに係合する係合部材と、この係合部材が前記ハンマーに係合して上昇したときこの係合を解除する解除部材とからなる
ことを特徴とする自走式地質調査機。 - 請求項1記載の自走式地質調査機において、
前記回転装置は、前記試験用ロッドを把持するチャック装置と、把持された前記試験用ロッドを回転させる回転駆動装置とからなる
ことを特徴とする自走式地質調査機。 - 請求項1記載の自走式地質調査機において、
前記ハンマー装置のハンマー動作を制御し、調査データを記憶し出力表示する制御装置を前記自走機に設けた
ことを特徴とする自走式地質調査機。 - 請求項1記載の自走式地質調査機において、
前記案内体には、差し替え可能な連結体が設けられ、
前記回転装置と前記案内体の前記係止部とを前記連結体で連結して前記回転装置を昇降移動自在とした
ことを特徴とする自走式地質調査機。 - 請求項3記載の自走式地質調査機において、
前記係合部材は、前記ハンマーに固定されたフック部材と、前記ハンマーシリンダにより昇降する昇降体に設けられ前記フック部材と係合する爪部材とから構成され、前記ハンマーが下方にあるとき前記爪部材が下方に移動して前記フック部材に係合する
ことを特徴とする自走式地質調査機。 - 請求項3記載の自走式地質調査機において、
前記解除部材は、前記ハンマー装置の上部固定位置に設けられたカム部材で構成され、前記ハンマーシリンダにより昇降する昇降体に設けられた前記爪部材が上昇したとき、このカム部材と係合することにより前記爪部材と前記ハンマーに固定された前記フック部材の係合を解除し、前記ハンマーを下方に落下させるようにした
ことを特徴とする自走式地質調査機。 - 請求項3記載の自走式地質調査機において、
前記ハンマー装置の上部、又は前記ハンマーシリンダに検出手段を設け、前記ハンマーの動作位置を検出するようにした
ことを特徴とする自走式地質調査機。
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