JP3921084B2 - スイッチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加速度に応答する偏向可能な慣性質量を備え、スイッチング装置を作動させることのできるスイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
車の衝突を表示する(負の)加速度が検知されたときにのみ拘束装置が作動されるようにするため、車にてかかるスイッチが必要とされる。かかるスイッチの機能上の信頼性について極めて高い要求を課さなければならない。
【0003】
ドイツ国特許第19518824号には、既に案内ハウジング内を動き得るように案内され且つ休止位置までばね負荷が加えられた慣性質量を有する、この型式のスイッチが開示されている。この慣性質量は、回転体又は球状となるような形態とされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
慣性質量は、対の電気接点を作動させる一方、該接点は、休止位置に偏倚される。第一の動作段階において、慣性質量は、電気接点対に接近するだけである。慣性質量に対して押し付けるばねに加えて、そのより大きい復帰力に打ち勝ったときにのみ、接触が為される。このようにして、接点が飛び出すことなく所定の時間に亙って確実な接触が為される。
【0005】
その他の既知のスイッチの場合、スナップ効果又は磁性的に作動されるスイッチング要素を有する機械式の作動要素が使用される。既知の解決策の全ては、確実で且つ再現可能なスイッチング動作を実現するためには、複雑な構造体及び/又は臨界的な調節を必要とするという共通点がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、幾つかの簡単な構成要素を備えるのみにて、何らの調節も必要とせずに、確実で且つ容易に再現可能なスイッチング機能を保証するスイッチを提供するものである。
【0007】
本発明によるスイッチは、加速度に応答する偏向可能な慣性質量を備え、スイッチング装置を作動させることができる。この慣性質量は、各々が第一の端部たる強固に固定された端部と、慣性質量が取り付けられる第二の端部たる可動端部とを有する、平行で弾性的に偏向可能な2つの支持アーム上に懸架されている。これらの2つの弾性的に偏向可能な支持アームは、案内平行四辺形を形成し、この平行四辺形は、慣性質量が偏向したとき、該慣性質量を強制的に、略平行な動作をさせ、また、これと同時に、復帰力を作用させる。慣性質量は、両側部に空隙を有する支持アームの間に固着されることが好ましいため、この質量は、偏向したとき、何らその他の構成要素に接触せず、このためその動作が何らかの摩擦によって妨げられることはない。
【0008】
車内にて拘束装置を作動させるための従来のスイッチは、一方向への加速度にしか応答できない。通常、これらのスイッチは、正面衝突用として設計されている。しかし、本発明によるスイッチは、慣性質量が2つの反対方向に偏向することができるから、一方が正面衝突用であり、もう一方が後端部の衝突(追突)用である、2つのスイッチング装置を極めて簡単な方法にて作動させることを許容する。
【0009】
好ましくは、スイッチは、支持アームの固定された端部が固着されるベースプレート上に形成されるようにする。ベアリング及びスイッチング装置を有する慣性質量は、ベースプレートの周端縁に接続されたフード状のハウジングによって包み囲まれている。接点ピンもベースプレート内に固着されており、これらの接点ピンは、スイッチの接点部材をプリント回路板に直接取り付けることを許容する。このスイッチは、極めてコンパクトな設計である。平行六面体のハウジングの場合、端縁の長さは20mm以下とすることができる。
【0010】
本発明によるスイッチの形態の場合、スイッチング装置の多面体の形態及び構成を使用することができる。最も簡単な場合、慣性質量はばねの接点要素に係合する作動アームを有している。この場合、好ましくは、通常閉成型の接点対が使用され、これによれば慣性質量がその非偏向の休止状態にある限り、接点対は慣性質量の作動アームによりその開成位置に保持され、また慣性質量が偏向したとき作動アームが後退して、対の接点は自動的に閉成位置となる。この場合、慣性質量の動きはスイッチング装置のスイッチング動作に何ら影響を与えない。この動作は、スイッチング装置の状況すなわちオン・オフ状況のみを決定する。
【0011】
スイッチの機能に対してより大きな要求が必要とされるなら、例えば、光学式又は磁性スイッチングユニットのような、より複雑なスイッチング装置を使用することができる。基本的なスイッチング機能を別にして、これらの装置は、色々な目的のための追加的なスイッチング信号、特に、診断目的にも使用することのできる信号を発生させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の追加的な有利な点及び特徴は、参照する以下の説明及び添付図面から明らかになる。
【0013】
スイッチは、プラスチック材料で出来た全体として矩形のベースプレート10を有している。垂直方向に直立する2つの平行な支持アーム12、14の下端がベースプレート10内に固着されている。図2に図示した実施の形態において、ベースプレート10内に固着された支持アーム12、14の端部が曲げられ且つベースプレートの材料内に完全に埋め込まれている。支持アーム12、14は、弾性的に偏向可能であり且つばね鋼、又は適当なプラスチック材料で出来ている。慣性質量16が支持アーム12、14の上端に取り付けられている。慣性質量16は図示した実施の形態において全体として平行六面体である。支持アーム12、14は支持アーム12、14の上端に懸架された慣性質量16を案内する平行四辺形を形成する。支持アーム12、14が両側部にて慣性質量16から隔てられているため、慣性質量は慣性力の作用の下で2つの反対方向に偏向することができ、また、慣性質量は、支持アームによって案内され実質的に平行な動作を行い且つこれと同時に、復帰力により付勢されて休止状態となる。
【0014】
図3には、支持アーム12、14がベースプレート10内に固着された領域内で改変された1つの実施の形態が図示されている。この実施の形態によれば、支持アームはまた、慣性質量16を取り囲む略閉じたブラケットを形成する。図3には、偏向した状態の慣性質量16が図示されている。図3には、スイッチを取り巻き且つベースプレート10の周端縁に取り付けられたフード18が図示されている。慣性質量16とフード18の内面との接触を防止するため、板ばね状のストッパ要素20が設けられている。
【0015】
慣性質量16は、全体として参照番号24で表示したスイッチング装置を作動させる、一体に形成された作動アーム22を有している。図示した実施の形態において、スイッチング装置24は、ベースプレート10の内部に支持された固定型の接点部材26(この接点部材から接点ピンがベースプレート10を通って下方に伸びている)から成っており、また、スイッチング装置24は、ばねブラケットの形態とされ且つ同様にベースプレート10を通って伸びる接点ピン30に取り付けられた可動の接点部材28を更に有している。可動の接点部材28は、固定された接点部材26と協働する湾曲した接点タグ部28aを有している。可動の接点部材28は、固定された接点部材26に向けてばね負荷が加えられ且つ慣性質量16が非偏向休止状態にある限り、慣性質量16の作動アーム22によって開成位置に保持されている。この状態は図4aに図示されている。慣性質量16が質量の慣性力の結果として偏向した位置まで動くと(図3)、作動アーム22は可動の接点部材28を解放し、その接点タグ部28aが図4bに図示するように固定の接点部材26と接触する。
【0016】
慣性質量16は、支持アーム12、14の上端への取り付け箇所を除いて完全に自由であるから、その動作が摩擦又はヒシテリシス効果のような何らかの悪影響によって損なわれることはない。慣性質量16はその作動アーム22によってのみスイッチング装置を開成し、固定接点部材26と接触を為すことは、可動の接点部材28の弾性によってのみ決定されるから、スイッチング装置24のスイッチング動作は、可動の接点部材28の性質によってのみ決定される。極めて簡単な手段であること及び構成要素の数が少ないことの結果、何らの調節作業を必要としない信頼性が高く再現可能なスイッチング機能が得られる。
【0017】
図5に図示した実施の形態において、スイッチング装置のみが上述した実施の形態のものと相違する。この場合、このことは、慣性質量16内に埋め込んだ永久磁石40と、ベースプレート10に埋め込んだ3つのリードスイッチングユニット42、44、46とにより実現される。リードスイッチングユニット42、44、46の配置は、検出すべき慣性質量16の位置に相応する。図示した実施の形態において、中間の休止位置及び反対方向に偏向した慣性質量16の2つの作動位置の各々を検出することができる。図5に図示した慣性質量16の偏向した位置において、永久磁石40は、リードスイッチングユニット42の垂直上方に配置され、これによりリードスイッチングユニット42は永久磁石40によって閉成される。次に、慣性質量16の休止位置において、永久磁石40はリードスイッチングユニット44の垂直上方に配置され、これによりリードスイッチングユニット44は閉成される。最後に、永久磁石40は、車の後端部の衝突に相応して、反対の偏向位置でリードスイッチングユニット46の垂直上方に配置され、これによりリードスイッチングユニット46は閉成される。
【0018】
スイッチング装置のその他の多数の実施の形態が可能である。特に、光バリア又は反射器を有する光学的な解決策、また、ホール要素を有する磁性装置が具体可能である。
【0019】
特に有益な実施の形態において、スイッチの構成要素の全て又は略全ては、2成分射出成形技術によって形成される。2つのプラスチック材料構成要素の2つを金属被覆し且つ必要な箇所にて金属層を受け入れる。金属層の厚さは、スイッチの機能上の性質、特に、慣性質量の質量、支持アームのばね定数、従って、スイッチの作動閾値を決定する。スイッチは均一な射出成形部品であるため、全ての組み立てステップを省くことが可能である。上述した実施の形態の接点ピンに代えてベースプレートは、金属被覆した接点領域を有しており、このため、SMD構成要素(表面取り付け型装置)のようなスイッチをプリント回路板に取り付け且つ直接、はんだ付けすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フードを除去した、本発明によるスイッチの全体的な斜視図である。
【図2】フードを除去した、休止状態にあるスイッチの概略図的な側面断面図である。
【図3】フードが所定の位置にて作動状態にあるスイッチの断面側面図である。
【図4】4aはフードが除去された、休止状態にあるスイッチの平面図である。
4bは図4aのスイッチが作動状態にあるときの平面図である。
【図5】別の実施の形態の概略図的な断面図である。
【符号の説明】
10 ベースプレート 12 支持アーム
14 支持アーム 16 慣性質量
18 フード 20 ストッパ要素
22 作動アーム 24 スイッチング装置
26 固定の接点部材 28 可動の接点部材
28a 接点タグ部 30 接点ピン
40 永久磁石 42、44、46 リードスイッチングユニット

Claims (16)

  1. 車両の加速度に応答する偏向可能な慣性質量(16)と、該慣性質量(16)により作動可能なスイッチング装置(24)とを備えるスイッチにおいて、前記慣性質量(16)が、平行で弾性的に偏向可能な2つの支持アーム(12、14)上に懸架され、該各支持アームが強固に固着された第一の端部と、前記慣性質量(16)が該支持アーム(12、14)によって案内されて実質的に平行な動作ができるように取り付けられる可動の第二の端部とを有する、スイッチにおいて、
    前記慣性質量(16)が、その休止位置において該質量(16)の両側部の各々に空隙を有する状態で前記支持アーム(12、14)の間で固着され、
    前記慣性質量(16)が、前記休止位置から移動開始して2つの反対方向に向けて偏向可能であることにより、スイッチング装置(24)を正面衝突用及び追突衝突用に夫々作動可能としたことを特徴とする、スイッチ。
  2. 請求項1によるスイッチにおいて、前記支持アーム(12、14)が前記慣性質量(16)を取り巻く連続的なブラケットを形成する、スイッチ。
  3. 請求項2によるスイッチにおいて、前記支持アーム(12、14)の前記第一の端部がベースプレート(10)内に固着されることを特徴とする、スイッチ。
  4. 請求項1によるスイッチにおいて、前記慣性質量(16)が前記スイッチング装置用の作動アーム(22)を有することを特徴とする、スイッチ。
  5. 請求項4によるスイッチにおいて、前記作動アーム(22)が電子機械式接点対(26、28)に係合することを特徴とする、スイッチ。
  6. 請求項5によるスイッチにおいて、前記接点対(26、28)が通常閉成接点対であり、該通常閉成接点対(26、28)は閉成位置方向へばね負荷(28)が加えられており、前記休止位置にある慣性質量(16)の前記作動アーム(22)と係合することにより開成位置に保持されていることを特徴とする、スイッチ。
  7. 請求項5によるスイッチにおいて、前記接点対(26、28)が、前記偏向した慣性質量(16)の前記作動アーム(22)との係合によって閉成する通常開成接点対であることを特徴とする、スイッチ。
  8. 請求項6によるスイッチにおいて、前記接点対(26、28)が、接点ピンに取り付けられた第一の固定の接点部材(26)と、第二の可動の接点ばね要素(28)とを備えることを特徴とする、スイッチ。
  9. 請求項8によるスイッチにおいて、前記接点ピンがキャリアベース(10)内に固着されることを特徴とする、スイッチ。
  10. 請求項3によるスイッチにおいて、前記慣性質量(16)及び前記スイッチング装置(24)が、前記ベースプレート(10)の周縁に取り付けられたフード(18)により取り囲まれることを特徴とする、スイッチ。
  11. 請求項10によるスイッチにおいて、前記慣性質量(16)と前記フード(18)の内面との間に弾性的なストッパ要素(20)が配置されることを特徴とする、スイッチ。
  12. 請求項1によるスイッチにおいて、前記スイッチング装置(24)が複数のスイッチングユニット(40;42、44、46)を有し、該各スイッチングユニットが前記慣性質量(16)の異なった位置と関係していることを特徴とする、スイッチ。
  13. 請求項12によるスイッチにおいて、前記スイッチングユニット(40;42、44、46)の1つが前記慣性質量(16)の前記休止位置と関係することを特徴とする、スイッチ。
  14. 請求項1によるスイッチにおいて、前記慣性質量(16)が磁性作動要素(40)を有することを特徴とする、スイッチ。
  15. 請求項1によるスイッチにおいて、前記慣性質量(16)が光学式作動要素を有することを特徴とする、スイッチ。
  16. 請求項3によるスイッチにおいて、前記ベースプレート(10)、前記慣性質量(16)及び前記支持アーム(12、14)の少なくとも1つが2成分射出成形技術によって形成され、前記成分の1つが金属被覆可能であるプラスチック材料(plasticsmaterial)であり、金属被覆可能である前記プラスチック材料の少なくとも一部分がその上に堆積させた金属層を有することを特徴とする、スイッチ。
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