JP3919931B2 - 重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合体及びスケール防止剤の製造方法に関するものである。より詳しくは、ボイラー、凝縮器、熱交換器、ガス洗浄塔等に用いられるスケール防止剤及びその原料として好適な重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ボイラー、凝縮器、熱交換器などの伝熱面、ガス洗浄塔の充填物表面や配管等には、補給水、冷却水、捕集水中に存在するカルシウム、マグネシウム等の陽イオン、炭酸イオン、重炭酸イオン、亜硫酸イオン、硫酸イオン等の陰イオンのほか、場合により防蝕剤に起因する亜鉛イオンやリン酸イオンが析出し、スケールを生成しやすい。特に高Ca濃度、高pHの冷媒、いわゆるブラインを使用する系でこの現象が著しい。
【0003】
このようなスケールの付着は伝熱効果の低下や流通抵抗の増大に起因する運転コストの増大のみならず、温度計やpH計などの各種計器のセンサーへのスケール付着に起因する指示値の異常や応答速度の遅れを招く。また、局部的な腐蝕等により正常な運転の継続が困難となる。付着したスケールは硬質で剥離が容易でないため、運転の停止、スケール除去等に要するコストも多大となる。
【0004】
そこで、従来、このようなスケール付着を防止する目的でリグニン系化合物、リン系化合物、ポリ(メタ)アクリル酸塩等がスケール防止剤として使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、リグニン系化合物は品質が一定でないという問題を有している。
また、リン系化合物は前述したように防蝕剤として添加されたものも含めて、加水分解されたリン酸イオンが高濃縮時にはスケール成分となる。しかも、このようにリン酸イオンからなるスケール成分がさらにブロー水中に含まれて系外の湖沼や内海などの閉鎖水系へ放出されればアオコや赤潮などの重大な公害の原因となる。
【0006】
ポリ(メタ)アクリル酸塩は、これら従来用いられているスケール防止剤の中で高い評価は得てきているが、高濃縮時にはやはり亜鉛系、リン系などのスケールを発生しやすい。
【0007】
そこで本願発明者等は上記問題点を解決すべく、以前に無リン若しくは低リン性の優れたスケール防止剤として、(メタ)アクリル酸系単量体及びアリルエーテル系単量体を含む単量体成分から導かれた共重合体からなるスケール防止剤(特公昭62−59640号)を提示した。
【0008】
しかしながらより高性能のスケール防止剤を提供すべく、本願発明者等がさらに研究を重ねた結果、かかるポリマー性のスケール防止剤であっても、耐ゲル化性の低いものである場合は、ボイラー水系、冷却水系において不溶化しやすく、スケール防止剤としての性能が低いということが判った。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、亜鉛系や縮合リン酸系等の防蝕剤との併用においてもスケールの発生を制御すると共に、耐ゲル化性に優れ、沈殿を起こしにくい無リン若しくは低リンのスケール防止剤及びその原料として好適な重合体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、アリルエーテル系単量体の原料に含まれる不純物のうち、クロロメチルメチルジオキサンの含有量が(メタ)アクリル酸系単量体及びアリルエーテル系単量体を含む単量体成分から導かれた重合体のゲル化性に大きな影響を及ぼすことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、請求項1の発明に係る重合体の製造方法は、上記の課題を解決するために、一般式(1)
【0012】
【化2】
Figure 0003919931
【0013】
(但し、式中pは1〜4の整数を表し、q及びrはそれぞれ独立に0又は1〜100の整数を表し、R及びRはそれぞれ独立に炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Y及びZはそれぞれ独立に水酸基、炭素数1〜4のアルコキシル基、1価のリン酸基(但し、1価金属、2価金属、アンモニウム基若しくは有機アミン基の塩又は炭素数1〜4のアルキル基のモノ若しくはジエステルを含む)又は1価のスルホン酸基(但し、1価金属、2価金属、アンモニウム塩若しくは有機アミン基の塩又は炭素数1〜4のアルキル基のエステルを含む)を表すか、あるいはYとZは一緒に2価のリン酸基又は2価のスルホン酸基を表す)で示される化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアリルエーテル系単量体(I)0.5〜80モル%、(メタ)アクリル酸系単量体(II)20〜99.5モル%及びこれらの単量体と共重合可能な単量体(III)0〜40モル%を、各々の合計量が100モル%となる比率で共重合する重合体の製造方法であって、上記アリルエーテル系単量体(I)として、クロロメチルメチルジオキサンの含有量が200ppm以下の原料を用いて得られる化合物を用いることを特徴としている。
【0014】
上記アリルエーテル系単量体(I)の原料中に含まれる不純物のうち、クロロメチルメチルジオキサンの含有量が200ppm以下である構成とすることにより、耐ゲル化性に優れ、ボイラー水系、冷却水系において不溶化することのない重合体とすることができる。また、亜鉛系や縮合リン酸系等の防蝕剤との併用においても、亜鉛イオンやリン酸イオンの析出を抑制してスケールの発生を制御できるとともに、リン系の化合物を含まないことから、無リン若しくは低リンの低公害性に優れたスケール防止に有用な重合体とすることができる。
【0015】
請求項2の発明に係る重合体の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項1の構成に加えて、上記アリルエーテル系単量体(I)が、3−アリロキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン及び/又は3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸であることを特徴としている。
【0016】
上記の構成により、亜鉛系や縮合リン酸系等の防蝕剤との併用においても、亜鉛イオンやリン酸イオンの析出を抑制してスケールの発生を制御できるとともに、リン系の化合物を含まないことから、無リン若しくは低リンの低公害性に優れたスケール防止に有用な重合体とすることができる。さらに、耐ゲル化性に優れ、ボイラー水系、冷却水系において不溶化することのない重合体とすることができる。
【0017】
請求項3の発明に係る重合体の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項1に記載の構成に加えて、さらに、アリルグリシジルエーテルに水を反応させて3−アリロキシ−1,2−ジヒドロキシプロパンを得る3−アリロキシ−1,2−ジヒドロキシプロパンの合成及び/又はアリルグリシジルエーテルに亜硫酸水素ナトリウムを反応させて3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸を得る3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸の合成を含むことを特徴としている。
請求項4に係る重合体の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の構成に加えて、上記クロロメチルメチルジオキサンの含有量が200ppm以下の原料がアリルグリシジルエーテルであることを特徴としている。
【0018】
上記の構成により、より耐ゲル化性の高い重合体とすることができ、ボイラー系、冷却水系において不溶化を最小限におさえることができるため、より高性能のスケール防止を実現できる。
【0020】
上記の構成によれば、亜鉛系や縮合リン酸系等の防蝕剤との併用においても、亜鉛イオンやリン酸イオンの析出を抑制してスケールの発生を制御できるとともに、リン系の化合物を含まないことから、無リン若しくは低リンの低公害性に優れたスケール防止剤とすることができる。さらに、耐ゲル化性に優れ、ボイラー水系、冷却水系において不溶化することのない高性能のスケール防止剤を得ることができる。
【0021】
本願発明の内容について、以下に詳細に説明する。
本願発明で用いられるアリルエーテル系単量体(I)としては、例えば、3−アリロキシプロパン−1,2−ジオール、3−アリロキシプロパン−1,2−ジオールホスフェート、3−アリロキシプロパン−1,2−ジオールスルホネート、3−アリロキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパン、3−アリロキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパン、3−アリロキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパンホスフェート、3−アリロキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパンスルホネート、3−アリロキシ−1、2−ジ(ポリ)オキシプロピレンエーテルプロパン、3−アリロキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシプロピレンエーテルプロパンホスフェート、3−アリロキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシプロピレンエーテルプロパンスルホネート、6−アリロキシヘキサン−1,2,3,4,5−ペンタオール、6−アリロキシヘキサン−1,2,3,4,5−ペンタオールホスフェート、6−アリロキシヘキサン−1,2,3,4,5−ペンタオールスルホネート、6−アリロキシ−1,2,3,4,5−ペンタ(ポリ)オキシエチレンエーテルヘキサン、6−アリロキシ−1,2,3,4,5−ペンタ(ポリ)オキシプロピレンエーテルヘキサン、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、及びこれら例示の化合物の1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩若しくは有機アミン塩、又は上記例示の化合物のリン酸エステル若しくは硫酸エステル及びそれらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩又は有機アミン塩;3−アリロキシ−2−(ポリ)オキシエチレンプロパンスルホン酸及びその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩若しくは有機アミン塩、又はこれらの化合物のリン酸エステル若しくは硫酸エステル及びそれらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩又は有機アミン塩;3−アリロキシ−2−(ポリ)オキシプロピレンプロパンスルホン酸及びその1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩若しくは有機アミン塩、又はこれらの化合物のリン酸エステル若しくは硫酸エステル及びそれらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩又は有機アミン塩;などをあげることができる。これらのアリルエーテル系単量体の中でも、前記一般式(1)におけるpが1、又は4のものが工業的に入手しやすく有利である。
【0022】
本願において、上記アリルエーテル系単量体(I)は、クロロメチルメチルジオキサンの含有量が200ppm以下の原料を用いて得られる化合物である。上記アリルエーテル系単量体(I)の原料中に含まれる不純物のうち、特に、クロロメチルメチルジオキサンは、耐ゲル化性に大きな影響を及ぼす。従って、アリルエーテル系単量体(I)の原料中に含まれるクロロメチルメチルジオキサンの含有量が200ppmよりも多ければ、耐ゲル化性が低く、ボイラー水系、冷却水系において不溶化し易い。そこで、スケール防止剤としての優れた性能を得るためには、上記アリルエーテル系単量体(I)の原料中に混入しているクロロメチルメチルジオキサンの量は200ppm以下である必要があり、より高性能のスケール防止を得るためには100ppm以下であることが望ましい。
【0023】
上記アリルエーテル系単量体(I)は、例えば該アリルエーテル系単量体(I)が3−アリロキシプロパン−1,2−ジオール(3−アリロキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン)である場合は、例えばアリルグリシジルエーテルに、水を反応させることにより得ることができる。また、上記アリルエーテル系単量体が3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸である場合は、該アリルエーテル系単量体は例えばアリルグリシジルエーテルに、亜硫酸水素ナトリウムを反応させることにより得ることができる。従って、この場合には、クロロメチルメチルジオキサンの量が200ppm以下であるアリルグリシジルエーテルを原料として用いる必要がある。
【0024】
上記耐ゲル化性は、カルシウムイオン存在下での、重合体の沈殿のしやすさを評価した数値であり、本発明のスケール防止剤の性能を示す指標として用いられる。上記耐ゲル化性は後述する耐ゲル化性試験によって求めることができる。この耐ゲル化性の値が小さいほど、ゲル化性に優れており、スケール防止剤として用いた場合に高性能である。
【0025】
また、(メタ)アクリル酸系単量体(II)は、一般式(2)
【0026】
【化3】
Figure 0003919931
【0027】
(但し、式中R1 は水素又はメチル基を表し、Xは水素、1価金属、2価金属、アンモニウム基又は有機アミン基を表す)
で示される化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である。
【0028】
(メタ)アクリル酸系単量体(II)としては、例えばアクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸アンモニウム、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、メタクリル酸リチウム、メタクリル酸アンモニウムなどを挙げることができる。
【0029】
また、本発明において必要に応じて用いられるその他の単量体、すなわち、上記アリルエーテル系単量体(I)及び(メタ)アクリル酸系単量体(II)と共重合可能な単量体(III)は、アリルエーテル系単量体(I)、(メタ)アクリル酸系単量体(II)及び単量体(III)の合計に対して得られる重合体が水溶性となる範囲で40モル%以下の量で用いられる。
【0030】
単量体(III)としては例えば、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、あるいはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、及びこれらの酸の1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩若しくは有機アミン基等を挙げることができる。これら単量体(III)は、一種類のみを用いてもよいし、適宜二種類以上を混合して用いてもよい。
【0031】
上記アリルエーテル系単量体(I)、(メタ)アクリル酸系単量体(II)、単量体(III)の使用量は、アリルエーテル系単量体(I)0.5〜80モル%、(メタ)アクリル酸系単量体(II)20〜99.5モル%及び単量体(III)0〜40モル%(但し、これらの合計量は100モル%とする)である。アリルエーテル系単量体(I)及び(メタ)アクリル酸系単量体(II)、単量体(III)のいずれが上記の範囲をはずれても本発明の優れたスケール防止剤は得られない。
【0032】
アリルエーテル系単量体(I)、(メタ)アクリル酸系単量体(II)及び単量体(III)から共重合体を得るには、従来公知の方法によることができる。たとえば、水、有機溶媒、あるいは水可溶性有機溶剤と水との混合溶剤等の溶剤中での重合を挙げることができる。この際、水溶媒中での重合には、重合開始剤として過硫酸塩や過酸化水素等が用いられ、亜硫酸水素ナトリウムやアスコルビン酸等の促進剤を併用することができる。水可溶性有機溶剤と水との混合溶剤中での重合には、上記の種々の重合開始剤あるいは重合開始剤と促進剤との組み合わせの中から適宜選んで用いることができる。
【0033】
このようにして得られた共重合体はそのままでもスケール防止剤として用いられるが、必要により、さらにアルカリ性物質で中和して用いることもできる。このようなアルカリ性物質としては、1価金属及び2価金属の水酸化物、塩化物及び炭酸塩;アンモニア;有機アミン等を挙げることができる。
【0034】
本発明のスケール防止剤としては、重合体単独で使用しても充分効果があるが、当技術分野で用いられる他の添加剤と併用することもできる。たとえば、モリブデン系などの無リン防蝕剤と組み合わせて無リンの水処理剤組成物とすることができる。また必要に応じてスライム防止剤やキレート剤との併用も可能である。
【0035】
本発明のスケール防止剤は、たとえば、循環水中の濃度が一定となるように定量注入又は間欠注入するなど、通常のスケール防止剤と同様の方法で使用することができ、その添加量は一般に1〜50ppmで充分な効果が認められる。
【0036】
以上のように本願の重合体はアリルエーテル系単量体(I)の原料中に含まれる不純物のうち、クロロメチルメチルジオキサンの含有量が200ppm以下である構成である。この構成により、耐ゲル化性に優れ、ボイラー水系、冷却水系において不溶化することのない重合体として好適に用いられる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。また、実施例及び比較例に記載の「%」は、「重量%」を示している。
【0038】
以下の実施例、比較例で得られた各重合体(以下、「水溶性共重合体」と言う)の耐ゲル化性、及び、該水溶性共重合体を主成分として用いたスケール防止剤のスケール抑制率は、以下の方法により評価した。
【0039】
〔1〕耐ゲル化性試験
500mlのトールビーカーに、固形分換算で200ppmの水溶性共重合体、炭酸カルシウム換算で700ppmの濃度の塩化カルシウム及び脱塩水を、ホウ酸緩衝溶液でpH=8.5、全量500gとなるように調製して試験液とした。この試験液を90℃の恒温槽に1時間静置した後、撹拌してから、5cm石英セルに入れ、UV波長380nmでの吸光度(a)を測定した。ブランクとして、上記の試験液から塩化カルシウムを除いた試験液を用意し、同様の操作を行って吸光度(b)を測定し、下記の式よりゲル化度を求めた。
【0040】
ゲル化度=(a)−(b)
〔2〕スケール抑制率
【0041】
【数1】
Figure 0003919931
【0042】
〔実施例1〕
還流冷却器並びに滴下装置を備えた内容積2Lの4口フラスコに、脱塩水165gを仕込み、95℃にて撹拌しながら該脱塩水に、(メタ)アクリル酸系単量体(II)としてのアクリル酸ナトリウムの35%水溶液530g、アリルエーテル系単量体(I)としての3−アリロキシ−1,2−ジヒドロキシプロパンの30%水溶液215g、及び重合開始剤としての過硫酸ナトリウム15%水溶液86gをそれぞれ2時間かけて滴下した。滴下終了後、30分間にわたって95℃を維持して重合を完結させ、淡黄色透明な水溶性共重合体(1)を、本発明にかかる重合体として得た。3−アリロキシ−1,2−ジヒドロキシプロパンの合成に用いたアリルグリシジルエーテルは、不純物であるクロロメチルメチルジオキサンの含有量が80ppmのものを使用した。
【0043】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した上記水溶性共重合体(1)の重量平均分子量は4,600であった。また、上記水溶性共重合体(1)の耐ゲル化性を、上記の耐ゲル化性試験により評価した。
【0044】
〔実施例2〕
実施例1で使用した4口フラスコに、脱塩水200gを仕込み、アリルエーテル系単量体(I)としての3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムの30%水溶液327g及び(メタ)アクリル酸系単量体(II)としてのアクリル酸ナトリウム35%水溶液403g、及び重合開始剤としの過硫酸ナトリウム15%水溶液72gをそれぞれ2時間かけて滴下した。滴下終了後、30分間にわたって95℃を維持して重合を完結させ、淡黄色透明な水溶性共重合体(2)を本発明にかかる重合体として得た。3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムの合成に用いたアリルグリシジルエーテルは、不純物であるクロロメチルメチルジオキサンの含有量が80ppmのものを使用した。
【0045】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したところ、重量平均分子量は4,400であった。
【0046】
以上により得た水溶性共重合体(2)について、実施例1と同様の耐ゲル化性試験を行った。
【0047】
実施例1、2で得られた水溶性共重合体(1)、(2)をそれぞれメタノールで沈殿精製し乾燥したのち、赤外線吸収スペクトル分析を行った。その結果、−O−基、−CO−基、−OH基に基づく吸収が確認された。さらに、この乾燥した水溶性共重合体をD2 Oに溶解し、NMR分析して、三級炭素、二級炭素に結合している水素原子の存在を確認した。
【0048】
〔比較例1〕
3−アリロキシ−1,2−ジヒドロキシプロパンの合成に用いたアリルグリシジルエーテルは、不純物であるクロロメチルメチルジオキサンの含有量が800ppmのものを使用した。
【0049】
それ以外は、実施例1と同様の方法で重合体を得た。重合平均分子量は4,600であった。
【0050】
〔比較例2〕
3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムの合成に用いたアリルグリシジルエーテルは、不純物であるクロロメチルメチルジオキサンの含有量が800ppmのものを使用した。それ以外は、実施例2と同様の方法で重合体を得た。重量平均分子量は4,400であった。
【0051】
以上、比較例1で得た水溶性共重合体(3)、比較例2で得た水溶性共重合体(4)について、実施例1と同様の耐ゲル化性試験を行った。
【0052】
結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
Figure 0003919931
【0054】
表1から明らかなように、アリルエーテル系単量体(I)の原料であるアリルグリシジルエーテルに不純物として混入するクロロメチルメチルジオキサンの含有量が800ppmのものを用いた比較例1及び2の場合は、ゲル化度の高い重合体が得られたことがわかる。
【0055】
他方、本実施例で得られた水溶性共重合体(1)及び(2)は比較例で得られた水溶性共重合体(3)及び(4)より耐ゲル化性に優れていることが判った。
【0056】
〔実施例3〜4〕
容量225mlのガラス瓶に水70gを入れ、塩化カルシウム2水塩0.735%水溶液10g、及び実施例1、2で得た水溶性共重合体(1)、(2)のそれぞれの0.001、0.005、0.01%水溶液を各10g(得られる過飽和水溶液に対して1ppm、5ppm又は10ppm)混合し、さらに重炭酸ナトリウム0.42%水溶液10gを加えて混合して得られた炭酸カルシウム500ppmの過飽和水溶液を密栓して、60℃で18時間加熱処理した。次いで冷却したのち沈殿物を0.1μメンブランフィルターで濾過し、濾液をJIS K0101に従って分析しスケール抑制率を求めた。結果を表2に示した。
【0057】
〔比較例3〜4〕
実施例3で用いた水溶性共重合体のかわりに比較例1、2で得た水溶性共重合体(3)、(4)を使用したほかは、実施例3を繰り返した。結果を表2に示した。
【0058】
〔比較例5〕
実施例3で用いた水溶性共重合体のかわりに分子量4,000のポリアクリル酸ナトリウムを使用したほかは、実施例3を繰り返した。結果を表2に示した。
【0059】
〔比較例6〕
実施例3で用いた水溶性共重合体のかわりにトリポリリン酸ナトリウムを使用したほかは実施例3を繰り返した。結果を表2に示した。
【0060】
〔比較例7〕
実施例3において、水溶性共重合体を添加しないほかは実施例3を繰り返した。結果を表2に示した。
【0061】
【表2】
Figure 0003919931
【0062】
【発明の効果】
本発明は、以上のように、一般式(1)
【0063】
【化4】
Figure 0003919931
【0064】
(但し、式中pは1〜4の整数を表し、q及びrはそれぞれ独立に0又は1〜100の整数を表し、R2 及びR3 はそれぞれ独立に炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Y及びZはそれぞれ独立に水酸基、炭素数1〜4のアルコキシル基、1価のリン酸基(但し、1価金属、2価金属、アンモニウム基若しくは有機アミン基の塩又は炭素数1〜4のアルキル基のモノ若しくはジエステルを含む)又は1価のスルホン酸基(但し、1価金属、2価金属、アンモニウム塩若しくは有機アミン基の塩又は炭素数1〜4のアルキル基のエステルを含む)を表すか、あるいはYとZは一緒に2価のリン酸基又は2価のスルホン酸基を表す)
で示される化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアリルエーテル系単量体(I)を含む単量体成分を重合して得られる重合体であって、かつ、上記アリルエーテル系単量体(I)の原料中に含まれる不純物のうち、クロロメチルメチルジオキサンの含有量が200ppm以下である重合体に関するものである。
【0065】
それゆえ耐ゲル化性に優れるため、ボイラー水系、冷却水系等、各種水系において不溶化することがないという効果を奏する。また、亜鉛系や縮合リン酸系等の防蝕剤との併用においても、亜鉛イオンやリン酸イオンの析出を抑制してスケールの発生を制御できるとともに、リン系の化合物を含まないことから、無リン若しくは低リンの低公害性に優れたスケール防止に有用な重合体とすることができる。
【0066】
また、本発明は、以上のように、請求項1の構成に加えて、上記アリルエーテル系単量体(I)から選ばれた少なくとも1種のアリルエーテル系単量体(I)0.5〜80モル%、(メタ)アクリル酸系単量体(II)20〜99.5モル%及びこれらの単量体と共重合可能な単量体(III)0〜40モル%を、各々の合計量が100モル%となる比率で共重合してなる重合体に関するものである。
【0067】
それゆえ亜鉛系や縮合リン酸系等の防蝕剤との併用においても、亜鉛イオンやリン酸イオンの析出を抑制してスケールの発生を制御できるとともに、リン系の化合物を含まないことから、無リン若しくは低リンの低公害性に優れたスケール防止に有用な重合体とすることができる。さらに、耐ゲル化性に優れ、ボイラー水系、冷却水系において不溶化することのない重合体とすることができる。
【0068】
また、本発明は、以上のように、請求項1又は2の構成に加えて、アリルエーテル系単量体(I)の原料がアリルグリシジルエーテルであるという重合体に関するものである。
【0069】
上記の構成によれば、耐ゲル化性に優れるため、ボイラー水系、冷却水系等、各種水系において不溶化することがなく、優れたスケール防止に有用な重合体とすることができる。
【0070】
さらに本発明は、請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の重合体を含有するスケール防止剤に関するものである。
【0071】
上記の構成によれば、ボイラー水系、冷却水系等、各種水系において不溶化することがなく優れたスケール防止性能を得ることができるという効果を奏する。

Claims (4)

  1. 一般式(1)
    Figure 0003919931
    (但し、式中pは1〜4の整数を表し、q及びrはそれぞれ独立に0又は1〜100の整数を表し、R及びRはそれぞれ独立に炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Y及びZはそれぞれ独立に水酸基、炭素数1〜4のアルコキシル基、1価のリン酸基(但し、1価金属、2価金属、アンモニウム基若しくは有機アミン基の塩又は炭素数1〜4のアルキル基のモノ若しくはジエステルを含む)又は1価のスルホン酸基(但し、1価金属、2価金属、アンモニウム塩若しくは有機アミン基の塩又は炭素数1〜4のアルキル基のエステルを含む)を表すか、あるいはYとZは一緒に2価のリン酸基又は2価のスルホン酸基を表す)で示される化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアリルエーテル系単量体(I)0.5〜80モル%、(メタ)アクリル酸系単量体(II)20〜99.5モル%及びこれらの単量体と共重合可能な単量体(III)0〜40モル%を、各々の合計量が100モル%となる比率で共重合する重合体の製造方法であって、上記アリルエーテル系単量体(I)として、クロロメチルメチルジオキサンの含有量が200ppm以下の原料を用いて得られる化合物を用いることを特徴とする重合体の製造方法。
  2. 上記アリルエーテル系単量体(I)は、3−アリロキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン及び/又は3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸であることを特徴とする請求項1に記載の重合体の製造方法。
  3. さらに、アリルグリシジルエーテルに水を反応させて3−アリロキシ−1,2−ジヒドロキシプロパンを得る3−アリロキシ−1,2−ジヒドロキシプロパンの合成及び/又はアリルグリシジルエーテルに亜硫酸水素ナトリウムを反応させて3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸を得る3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸の合成を含むことを特徴とする請求項1に記載の重合体の製造方法。
  4. 上記クロロメチルメチルジオキサンの含有量が200ppm以下の原料がアリルグリシジルエーテルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の重合体の製造方法。
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