JP3919422B2 - 可塑剤製造用混合アルコール及びそれを用いた可塑剤の製造方法 - Google Patents

可塑剤製造用混合アルコール及びそれを用いた可塑剤の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可塑剤製造用混合アルコール、及びそれを用いた可塑剤の製造方法に関し、更に詳しくは、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)等の汎用の可塑剤と同等の可塑剤性能を有すると共に、プラスチゾルとしての長期保管時の粘度安定性にも優れる樹脂組成物等を得ることができる、可塑剤製造用混合アルコール、及びそれを用いた可塑剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリ塩化ビニル樹脂等の塩化ビニル系樹脂等は、可塑剤を含有させることにより軟質化して、農業用フィルム、電線被覆材、建材、自動車部品等の幅広い用途に用いられている。そして、その可塑剤としては、フタル酸エステル系、脂肪族モノ又はジカルボン酸エステル系、燐酸エステル系、ポリエステル系等の各種のものが用いられ、中で、フタル酸ジエステル系、特にフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)が、柔軟性、耐熱性、耐寒性等に比較的バランスのとれた樹脂組成物等を与えることから多用されている。
【0003】
しかしながら、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)と言えども、プラスチゾルとしての長期保管時にゾル粘度が経時により著しく増加し、取り扱い性が低下したり、更にはゾルとしての使用ができなくなる等、粘度安定性に劣るという欠点を有しており、樹脂組成物等として用いられるいずれの用途においても市場の要求を満足し得る軟質の樹脂組成物等が得られていることとはなっていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前述の従来技術に鑑みてなされたものであって、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)等の汎用の可塑剤と同等の可塑剤性能を有すると共に、プラスチゾルとしての長期保管時の粘度安定性にも優れる樹脂組成物等を得ることができる、可塑剤製造用混合アルコール、及びそれを用いた可塑剤の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、フタル酸エステル系可塑剤についてプラスチゾルとしての長期保管時の粘度安定性にも優れる樹脂組成物等を与えることができる可塑剤を種々検討した結果、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)60〜99重量%、フタル酸(2−エチルヘキシル)−(2−エチル−4−メチルペンチル)40〜1重量%、及びフタル酸ジ(2−エチル−4−メチルペンチル)7〜0重量%〔但し、各重量%はこの三種の合計100重量%に対するものである。〕からなる可塑剤が、その目的を達成することができ、そして、その可塑剤は、カルボン酸エステルのアルコール成分として2−エチルヘキサノールと2−エチル−4−メチルペンタノールとの混合アルコールを用いることにより製造することができることを見い出し、本発明を完成したもので、即ち、本発明は、2−エチルヘキサノール80〜99.4重量%と2−エチル−4−メチルペンタノール20〜0.6重量%との混合アルコールからなる可塑剤製造用混合アルコール、及び、カルボン酸又はカルボン酸無水物と該混合アルコールとをエステル化反応させる可塑剤の製造方法、を要旨とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の可塑剤製造用混合アルコールは、2−エチルヘキサノール80〜99.4重量%と2−エチル−4−メチルペンタノール20〜0.6重量%との混合アルコールからなることを必須とし、2−エチルヘキサノール90〜99重量%、2−エチル−4−メチルペンタノール10〜1重量%であるのが好ましく、2−エチルヘキサノール95〜98重量%、2−エチル−4−メチルペンタノール5〜2重量%であるのが更に好ましい。
【0007】
ここで、混合アルコールとしての2−エチルヘキサノールと2−エチル−4−メチルペンタノールとの混合割合において、2−エチルヘキサノールが前記範囲超過で2−エチル−4−メチルペンタノールが前記範囲未満では、プラスチゾルとしての粘度安定性の優れた可塑剤を得ることが困難となり、一方、2−エチルヘキサノールが前記範囲未満で2−エチル−4−メチルペンタノールが前記範囲超過では、得られる可塑剤を用いた樹脂組成物の耐熱性、耐寒性等が低下することとなる。
【0008】
本発明において、前記の混合アルコールは、それぞれ別途に製造された2−エチルヘキサノールと2−エチル−4−メチルペンタノールを、前記混合割合となるように混合したものであってもよいが、プロピレンをヒドロホルミル化反応して得られるn−ブチルアルデヒドとi−ブチルアルデヒドとの混合アルデヒドを、両アルデヒドの分離工程を経ずに、アルドール縮合反応及び水添反応することにより得られたものであるのが最も効率的であり、好ましい。
【0009】
又、その混合アルデヒドにおけるn−ブチルアルデヒドとi−ブチルアルデヒドとの混合割合は、n−ブチルアルデヒド85〜99.6重量%、i−ブチルアルデヒド15〜0.4重量%であるのが好ましく、n−ブチルアルデヒド96〜99重量%、i−ブチルアルデヒドが4〜1重量%であるのが更に好ましい。
【0010】
尚、そのヒドロホルミル化反応における触媒としては、例えば、本願出願人による先願(特願平10−354248号)に記載されている、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、(モノ又はジ)アルキル(ジ又はモノ)アリールホスフィン等の有機ホスフィン、又は、トリアルキルホスファイト、トリアリールホスファイト、(モノ又はジ)アルキル(ジ又はモノ)アリールホスファイト等のモノホスファイト、及びそれらのビスホスファイト、ポリホスファイト等の環状又は非環状の有機ホスファイト等を配位子とするロジウム等第VIII族遷移金属の錯体触媒等が挙げられ、又、同先願にあるように、それらの錯体触媒と共に、有機ホスフェートを一定量存在させることとしてもよい。
【0011】
ヒドロホルミル化反応は、常法に従って溶媒を用いて液相で行うことができ、通常、15〜200℃の温度、0.1〜300kg/cm2 の圧力下、水素と一酸化炭素のモル比(H2 /CO)を10/1〜1/10の範囲とし、0.01〜20時間の反応時間でなされる。又、ロジウム錯体触媒の使用量はロジウム原子として1〜100000ppm、配位子の有機燐化合物の使用量はロジウムに対する燐の原子比で1〜10000モル倍とし、錯体触媒の調製は、ロジウム源化合物と有機燐化合物を反応系内にそれぞれ供給して反応系内で錯体を形成することとしても、或いは、反応系外でロジウム源化合物と有機燐化合物から予め錯体を形成してその錯体を反応系に添加することとしてもよい。
【0012】
又、前記混合アルデヒドのアルドール縮合反応も、常法に従って液相又は気相で行うことができ、例えば液相の場合、通常、苛性ソーダ等のアルカリ水溶液中で、60〜120℃の温度、該温度での液の飽和圧力以上、例えば常圧〜10kg/cm2 の圧力下でなされる。
【0013】
更に、前記アルドール縮合反応で得られた縮合混合アルデヒドの水添反応も、常法に従って液相又は気相で行うことができ、通常、例えばニッケル、パラジウム、白金等の第VIII族金属含有触媒、酸化銅と酸化亜鉛還元混合物含有固体触媒、銅−クロム系触媒又は銅−クロム−マンガン−バリウム系触媒等の触媒の存在下に、通常、50〜300℃の温度、常圧〜200kg/cm2 の水素圧力下でなされ、水添反応により得られた反応生成物は、例えば蒸留等により分離精製される。
【0014】
本発明の可塑剤の製造方法は、前記の2−エチルヘキサノールと2−エチル−4−メチルペンタノールとの混合アルコールを、カルボン酸又はカルボン酸無水物とエステル化反応させる。
【0015】
ここで、そのカルボン酸又はカルボン酸無水物としては、具体的には、例えば、オレイン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等のモノカルボン酸類、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸類又はそれらの無水物、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等のトリ及びテトラカルボン酸又はそれらの無水物等が挙げられるが、中で、フタル酸又はフタル酸無水物が特に好ましい。
【0016】
エステル化反応は、前記カルボン酸又はカルボン酸無水物と、前記2−エチルヘキサノール及び2−エチル−4−メチルペンタノールの混合アルコールとを、好ましくは硫酸等の酸触媒、或いは有機チタン化合物、有機錫化合物等の金属系触媒等のエステル化触媒の存在下に、要すれば窒素雰囲気中で、エステル生成物の沸点以下の温度に加熱し、反応により生成する水を除去しながら反応させるという、常法に従って行うことができる。
【0017】
その際の反応温度は、使用する触媒等の条件にもよるが、エステル生成物の安定性及び脱水効率等の面から、通常100〜250℃、好ましくは120〜230℃とする。反応終了後、真空蒸留(ストリッピング)、水蒸気蒸留、アルカリ中和、水洗浄、濾過等の精製処方を用いて、系内に残存する未反応カルボン酸、未反応アルコール、触媒を除去、精製することにより、目的とするエステル化反応物としての可塑剤が得られる。尚、その際、脱色剤、脱臭剤、吸着剤、濾過助剤等の品質改良助剤が添加されてもよい。
【0018】
本発明の製造方法によって得られる可塑剤は、カルボン酸又はカルボン酸無水物としてフタル酸又はフタル酸無水物を用いる場合、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)60〜99重量%、フタル酸(2−エチルヘキシル)−(2−エチル−4−メチルペンチル)40〜1重量%、及びフタル酸ジ(2−エチル−4−メチルペンチル)7〜0重量%〔但し、各重量%はこの三種の合計100重量%に対するものである。〕の混合可塑剤である。
【0019】
又、本発明の製造方法によって得られる可塑剤を含有させ組成物を構成する被可塑化物としては、特に限定されず、従来より可塑剤が用いられている樹脂やゴム、例えば、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、塩素化ポリエチレン等のビニル系樹脂、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム等のゴムや各種熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの中で、塩化ビニル系樹脂が特に好ましい。
【0020】
その塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルと、エチレン、プロピレン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、マレイン酸又はそのエステル、アクリロニトリル、アクリル酸又はそのエステル、メタクリル酸又はそのエステル等との共重合体等が挙げられる。
【0021】
又、前記被可塑化物に対する可塑剤の含有量としては、被可塑化物100重量部に対して1〜200重量部とするのが好ましく、10〜150重量部とするのが更に好ましい。可塑剤の含有量が前記範囲未満では、組成物に十分な可塑性を付与することが困難な傾向となり、一方、前記範囲超過では、機械的強度等の諸物性の低下やブリードアウトが生じる傾向となる。
【0022】
尚、前記組成物には、必要に応じて、被可塑化物に通常用いられる添加剤、例えば、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、離型剤、難燃剤、着色剤、充填材等が添加されてもよい。
【0023】
本発明により得られる可塑剤を含有する組成物を調製し、成形加工して成形体とする方法としては、その成形加工法によって二つに大別できる。その一つは、懸濁重合により得られた例えば塩化ビニル系樹脂等の被可塑化物を、可塑剤及びその他の配合剤と混合し、ミルロール、カレンダーロール、バンバリーミキサー、ブラベンダー、押出機等の混練機で溶融混練した後、押出成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等により所望の形状に成形して成形体とする方法であり、又、他の一つは、乳化重合若しくは微細懸濁重合により得られた例えば塩化ビニル系樹脂等の被可塑化物を、可塑剤及びその他の配合剤と混合して粘稠なプラスチゾルとなした後、ディップ成形、スラッシュ成形、回転成形等により所望の形状に成形した後、高温でゲル化させて成形体とする方法である。
【0024】
本発明により得られる可塑剤を含有する組成物は、可塑剤がフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)等の汎用の可塑剤と同等の可塑剤性能を有することから、各種包装用資材、建築用資材、農業用資材、産業用資材、自動車部品、家電部品等の素材として用いられるのは勿論のこと、プラスチゾルとしての長期保管時の粘度安定性にも優れることから、床材、壁紙、天井被覆材、レザー、シーリング材、鋼板被覆材等の素材としても、好適に用いられる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0026】
実施例1
n−ブチルアルデヒド98.3重量%とi−ブチルアルデヒド1.7重量%とからなる混合アルデヒドを1.6kg/時間の量、及び、2重量%の苛性ソーダ水溶液を2.8kg/時間の量で、それぞれ、内容量2lのセパラブルフラスコの2段流通反応器内に供給し、第1反応器で90℃の温度で20分間縮合反応させ、更に第2反応器で同条件で縮合反応させた後、反応生成物を冷却、相分離して、縮合反応物を得た。引き続いて、径5mm、長さ5mmの円柱状の銅−クロム系水添触媒(予め窒素を希釈流として含有する希薄水素流で200℃で還元したもの)を10cc充填した径1インチ、長さ60cmのSUS製単管反応器に、蒸気化させた前記縮合反応物を16cc/時間の量、及び、水素を2.4モル/時間の量で、それぞれ供給し、180℃の温度、4.6kg/cm2 Gの圧力下で気相水添反応させることにより、混合アルコールを製造した。得られた混合アルコールの混合割合は、ガスクロマトグラフィーにより分析した結果、2−エチルヘキサノール97.8重量%、2−エチル−4−メチルペンタノール2.2重量%であった。
【0027】
無水フタル酸148g(1.0モル)、及び、前記で得られた2−エチルヘキサノール318g(2.45モル)と2−エチル−4−メチルペンタノール7g(0.05モル)からなる混合アルコール325gを攪拌機及び冷却管付き油水分離装置を装着したフラスコに仕込み、エステル化反応触媒としてのテトライソプロピルチタネート0.2gを添加し、温度を220℃まで上げ、その昇温途上で反応生成水を系外に除去し、還流状態を維持するため必要に応じて系内を減圧にしながら反応させ、系内反応液の酸価が0.10mgKOH/gになったところで加熱を停止して、減圧度を1.3kPaまで高めながら過剰のアルコール分を除去し、反応液を5%炭酸ナトリウム水溶液100gで洗浄し油水分離を行った後、更に水で2回洗浄した。その後、140℃、5.3kPaの条件下で2時間水蒸気蒸留を行い、減圧脱水後、濾過することによりエステル化反応物としての可塑剤を得た。得られた可塑剤をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)が97.03重量%、フタル酸(2−エチルヘキシル)−(2−エチル−4−メチルペンチル)が2.97重量%の混合可塑剤であった。又、JIS K6751に準拠して測定した酸価は0.01mgKOH/gであり、同じくJIS K6751に準拠して測定した色相は、20APHAであった。
【0028】
得られた可塑剤を用いて、塩化ビニル系樹脂としての塩化ビニル単独重合体樹脂(平均重合度1300、三菱化学社製「ビニカSG−1300」)100重量部、前記可塑剤67重量部、及びカドミウム系安定剤(栄伸化成社製「L−500」)1重量部とを、予備混合した後、160℃に温調した2本ミルロールで5分間混合し、しかる後、所定の厚さとなるように、温度160℃で、1.96MPaの加圧下で2分間予熱した後、19.6MPaの加圧下で3分間保持することにより、プレスシートを作製した。
【0029】
得られたプレスシートを用いて、以下に示す方法で、揮発性、引張特性、耐熱特性、及び耐寒特性を評価し、結果を表1に示した。
揮発性
ASTM D1203に準拠して、87℃で1日及び6日放置後の可塑剤重量の初期重量に対する減量率を測定した。
引張特性
JIS K6723に準拠して、100%引張応力、破壊強さ、及び破壊伸びを測定した。
【0030】
耐熱特性
JIS K6723に準拠して、100℃で120時間放置後の100%引張応力、破壊強さの残率、破壊伸びの残率、及び重量損失を測定した。
耐寒特性
ASTM D1043に準拠して、捩り剛性が310MPaを示すときの温度、並びに、JIS K6723に準拠して脆化温度を測定した。
【0031】
一方、塩化ビニル系樹脂としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(平均重合度1100、三菱化学社製「ビニカP−500」)100重量部、及び前記で得られた可塑剤60重量部を、ケミスターラーを用いて1740rpmの回転数で2分間攪拌した後に、粗引き脱泡し、2.7kPaで1分間真空引きしてプラスチゾルを作製した。
【0032】
得られたプラスチゾルについて、以下に示す方法で、プラスチゾルとしての粘度安定性を評価し、結果を表1に示した。
粘度安定性
プラスチゾルを23℃、50%RH下で2時間放置した後、東京計器製作所社製のB8H型粘度計(Brookfield Viscometer)を用いて、5rpmの回転数にて粘度を測定してこれを初期粘度とし、その後23℃、50%RH下で14日間保管した後に同様にして粘度を測定し、それの初期粘度に対する変化率を算出した。
【0033】
実施例2
混合アルコールとして、2−エチルヘキサノール309g(2.38モル)(95.1重量%)と2−エチル−4−メチルペンタノール16g(0.12モル)(4.9重量%)の混合割合のものを用いた外は、実施例1と同様にして可塑剤を製造した。得られた可塑剤は、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)が92.45重量%、フタル酸(2−エチルヘキシル)−(2−エチル−4−メチルペンチル)が7.55重量%の混合可塑剤であった。得られた可塑剤について、実施例1と同様にして、プレスシートを作製して、揮発性、引張特性、耐熱特性、及び耐寒特性を評価し、又、プラスチゾルを作製して、粘度安定性を評価し、結果を表1に示した。
【0034】
実施例3
混合アルコールとして、2−エチルヘキサノール293g(2.25モル)(90.2重量%)と2−エチル−4−メチルペンタノール32g(0.25モル)(9.8重量%)の混合割合のものを用いた外は、実施例1と同様にして可塑剤を製造した。得られた可塑剤は、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)が83.53重量%、フタル酸(2−エチルヘキシル)−(2−エチル−4−メチルペンチル)が15.94重量%、フタル酸ジ(2−エチル−4−メチルペンチル)が0.53重量%の混合可塑剤であった。得られた可塑剤について、実施例1と同様にして、プレスシートを作製して、揮発性、引張特性、耐熱特性、及び耐寒特性を評価し、又、プラスチゾルを作製して、粘度安定性を評価し、結果を表1に示した。
【0035】
実施例4
混合アルコールとして、2−エチルヘキサノール260g(2.00モル)(80.0重量%)と2−エチル−4−メチルペンタノール65g(0.50モル)(20.0重量%)の混合割合のものを用いた外は、実施例1と同様にして可塑剤を製造した。得られた可塑剤は、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)が66.05重量%、フタル酸(2−エチルヘキシル)−(2−エチル−4−メチルペンチル)が29.74重量%、フタル酸ジ(2−エチル−4−メチルペンチル)が4.21重量%の混合可塑剤であった。得られた可塑剤について、実施例1と同様にして、プレスシートを作製して、揮発性、引張特性、耐熱特性、及び耐寒特性を評価し、又、プラスチゾルを作製して、粘度安定性を評価し、結果を表1に示した。
【0036】
比較例1
n−ブチルアルデヒド60.0重量%とi−ブチルアルデヒド40.0重量%とからなる混合アルデヒドを1.0kg/時間の量で供給し、第1反応器で82℃の温度で12分間縮合反応させ、更に第2反応器で同条件で縮合反応させた外は、実施例1と同様にして混合アルコールを製造した。得られた混合アルコールの混合割合は、2−エチルヘキサノール50.0重量%、2−エチル−4−メチルペンタノール50.0重量%であった。
【0037】
その混合アルコール、2−エチルヘキサノール163g(1.25モル)と2−エチル−4−メチルペンタノール163g(1.25モル)の混合割合のものを用いた外は、実施例1と同様にして可塑剤を製造した。得られた可塑剤は、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)が28.03重量%、フタル酸(2−エチルヘキシル)−(2−エチル−4−メチルペンチル)が49.28重量%、フタル酸ジ(2−エチル−4−メチルペンチル)が22.69重量%の混合可塑剤であった。得られた可塑剤について、実施例1と同様にして、プレスシートを作製して、揮発性、引張特性、耐熱特性、及び耐寒特性を評価し、又、プラスチゾルを作製して、粘度安定性を評価し、結果を表1に示した。
【0038】
比較例2
アルコールとして2−エチル−4−メチルペンタノールのみを325g(2.50モル)用いた外は、実施例1と同様にしてエステル化反応させることにより、フタル酸ジ(2−エチル−4−メチルペンチル)100重量%の可塑剤を製造した。得られた可塑剤について、実施例1と同様にして、プレスシートを作製して、揮発性、引張特性、耐熱特性、及び耐寒特性を評価し、又、プラスチゾルを作製して、粘度安定性を評価し、結果を表1に示した。
【0039】
比較例3
アルコールとして2−エチルヘキサノールのみを325g(2.50モル)用いて製造された可塑剤、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(三菱化学社製「ダイヤサイザーDOP」)を用いた外は、実施例1と同様にして、プレスシートを作製して、揮発性、引張特性、耐熱特性、及び耐寒特性を評価し、又、プラスチゾルを作製して、粘度安定性を評価し、結果を表1に示した。
【0040】
【表1】
Figure 0003919422
【0041】
尚、表1中の可塑剤組成において、DOPはフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、EMPはフタル酸(2−エチルヘキシル)−(2−エチル−4−メチルペンチル)、DPPはフタル酸(2−エチル−4−メチルペンチル)をそれぞれ示す。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)等の汎用の可塑剤と同等の可塑剤性能を有すると共に、プラスチゾルとしての長期保管時の粘度安定性にも優れる樹脂組成物等を得ることができる、可塑剤製造用混合アルコール、及び、それを用いた可塑剤の製造方法を提供することができる。

Claims (4)

  1. 2−エチルヘキサノール80〜99.4重量%と2−エチル−4−メチルペンタノール20〜0.6重量%との混合アルコールからなることを特徴とする可塑剤製造用混合アルコール。
  2. 混合アルコールが、n−ブチルアルデヒド85〜99.6重量%とi−ブチルアルデヒド15〜0.4重量%との混合アルデヒドのアルドール縮合反応及び水添反応により得られたものである請求項1に記載の可塑剤製造用混合アルコール。
  3. カルボン酸又はカルボン酸無水物と、請求項1又は2に記載の混合アルコールとを、エステル化反応させることを特徴とする可塑剤の製造方法。
  4. カルボン酸又はカルボン酸無水物が、フタル酸又はフタル酸無水物である請求項3に記載の可塑剤の製造方法。
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