JP3919376B2 - ベルト状転写部材の製造方法 - Google Patents

ベルト状転写部材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する利用分野】
本発明は、ベルト状転写部材の製造方法に関し、詳しくは特定のポリアリレート樹脂を用いたベルト状転写部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー(複数色成分の)画像情報に対応する複数色成分のトナー画像を、順次積層転写することでカラー画像を合成再現した画像形成物を出力する、カラー画像形成装置には、中間転写ベルト(感光体上に形成されたトナー像を、紙等の転写材に転写する前に、一旦前記トナー像を中間転写ベルト上に転写して、その後、中間転写ベルト上のトナー像を転写材に転写して画像を得るために用いるベルト)や、転写搬送ベルト(感光体上に形成されたトナー像を、紙等の転写材に直接転写するために用いるベルト)が用いられている。
【0003】
ここでは中間転写ベルトを用いた画像形成装置について、図1を用いて説明する。
【0004】
図1において、1は第1の画像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下感光ドラムと記す)であり、矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
【0005】
そして感光ドラム1は、回転過程で1次帯電器2により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで不図示の露光手段による露光光3を受ける。このようにして目的のカラー画像の第1の色成分像(例えばイエロー色成分像)に対応した静電潜像が形成される。
【0006】
次いで、その静電潜像が第1の現像器(イエロー色現像器41)により第1色であるイエロー成分像に現像される。この時、第2〜第4の現像器、すなわちマゼンタ現像器42、シアン色現像器43及びブラック色現像器44は作動しておらず、感光ドラム1には作用していないので、上記第1色のイエロー成分画像は上記第2〜第4の現像器による影響を受けない。
【0007】
中間転写ベルト5は、矢印の方向に感光ドラム1とほぼ同じ表面移動速度で(又は中間転写ベルト5の方が若干速く)回転駆動される。感光ドラム1上に形成された上記第1色のイエロー成分像が、感光ドラム1と中間転写ベルト5とのニップ部を通過する過程で、1次転写ローラ6を介してバイアス電源30から中間転写ベルト5に印加される1次転写バイアスによって形成される電界により、中間転写ベルト5の外周面に順次転写(1次転写)されていく。1次転写バイアスは、例えば+100V〜+2kVの範囲である。中間転写ベルト5に対応する第1色のイエロートナー画像の転写を終えた感光ドラム1の表面は、クリーニング装置13により清掃される。
【0008】
以下、同様に第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のブラックトナー画像が順次中間転写ベルト5上に重ね合わせて転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が中間転写ベルト5上に形成される。なお、感光ドラム1から中間転写ベルト5への第1〜第3色のトナー画像の1次転写工程において、2次転写ローラ7及び転写残トナー帯電部材9は中間転写ベルト5から離間している。2次転写ローラ7は、2次転写対向ローラ8に対応し平行に軸受させて中間転写ベルト5の下面部に配設してある。
【0009】
目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が中間転写ベルト5上に形成された後、2次転写ローラ7が中間転写ベルト5に当接され、給紙ローラ11から中間転写ベルト5と2次転写ローラ7との当接部分に所定のタイミングで第2の画像担持体である転写材Pが給送され、2次転写バイアスがバイアス電源31から2次転写ローラ7に印加されることにより、中間転写ベルト5上に転写された合成カラートナー画像は、転写材Pに2次転写される。合成カラートナー画像が転写された転写材Pは、定着器15へ導入され加熱定着される。
【0010】
転写材Pへの画像転写終了後、中間転写ベルト5には転写残トナー帯電部材9が当接され、感光ドラム1とは逆極性のバイアスを印加することにより、転写材Pに転写されずに中間転写ベルト5上に残留しているトナー(転写残トナー)に、感光ドラム1と逆極性の電荷が付与される。前記転写残トナーは、感光ドラム1との当接部及びその近傍において感光ドラム1に静電的に転写されることにより、中間転写ベルト5がクリーニングされる。
【0011】
前述の中間転写ベルトを用いた画像形成装置を有するカラー電子写真装置は、従来の技術である転写ドラム上に張り付け又は吸着せしめ、そこへ第1の画像担持体上から画像を転写する画像形成装置を有したカラー電子写真装置、例えば特開昭63−301960号公報中で述べられたごとくの転写装置と比較すると、第2の画像担持体である転写材になんら加工、制御(例えば、グリッパーに把持する、吸着する、曲率をもたせる等)を必要とせずに中間転写ベルトから画像を転写することができるため、封筒、ハガキ、ラベル紙等、40g/m程度の薄い紙から200g/m程度の厚い紙まで、幅の広狭や、長さの長短によらず転写可能であるという利点を有している。
【0012】
なお、図1の例では、第1色目のトナー画像から第4色目のトナー画像までが、1つの感光体から中間転写ベルト上に逐次転写されたが、複数の感光体上に各色成分のトナー画像を形成し、トナー画像を中間転写ベルト上に順次転写する方法や、1つの感光体上に複数色成分のトナー画像を形成し、その後、トナー画像を中間転写ベルト上に一括転写する方法等もある。もちろん、これ以外の画像形成プロセスを経てフルカラー画像を出力する、中間転写ベルトを用いた電子写真装置もある。
【0013】
以上が中間転写ベルトを用いた画像形成装置の概略であるが、上記の中間転写ベルトや、転写搬送ベルト(以後、中間転写ベルトと転写搬送ベルトとを総称してベルト状転写部材と呼ぶ)は、画像形成装置の画質、耐久性、コストを左右する重要な部品であることから、フルカラー電子写真装置の普及に伴って、より高機能で低コストなベルト状転写部材が求められるようになってきている。
【0014】
これに対して、ベルト状転写部材の材質の観点から、以下のような提案がなされている。
【0015】
(1)フッ素系材料を用いる方法。例えば、特開平5−40417号公報、特開平7−92825号公報、特開平8−267605号公報等にフッ素系の樹脂、エラストマー、ゴムを用いた中間転写体が開示されている。
【0016】
(2)オレフィン系材料を用いる方法。例えば、特開平5−311016号公報、特開平7−24912号公報等にオレフィン系材料を用いたフィルムが開示されている。
【0017】
(3)ポリカーボネートやポリアルキレンテレフタレートを用いる方法。例えば、特開平3−89375号公報、特開平4−313757号公報、特開平6−149081号公報等で開示されている。
【0018】
また、製造方法の観点からは、以下のような提案がなされている。
【0019】
(I)溶剤を用いて樹脂を溶解し、成膜した後に溶剤を蒸発させる方法。例えば特開平5−77252号公報では、遠心成型によるシームレスベルトの製造方法が開示されている。また、特開平9−269674号公報では、円筒基体上に多層コーティングを行い、最終的に円筒状基体を除去することによってシームレスベルトを得る方法が開示されている。
【0020】
(II)熱可塑性樹脂を加熱溶融し、押出し機を用いてこれを押出す方法。例えば特開平3−89357号公報、特開平5−345368号公報で、押出し成型による半導電性ベルトの製造方法が開示されている。
【0021】
先に述べたように、ベルト状転写部材には、より高機能で低コストものが求められるようになってきているのであるが、これを具体的に述べると、次のようになる。
【0022】
(A)耐クリープ性に優れていること
(B)靭性が高く、容易にヒビ割れたり亀裂が生じたりしないこと
(C)降伏伸度が大きく、バネ回復性に優れていること
(D)使用環境(温度/湿度)による寸法変化が小さいこと
(E)難燃性に優れていること
(F)低コストであること
【0023】
このような要求がある中で、上記の従来技術について見てみると、上記A〜Fの全ての要求を満たす材質や製造方法は、未だ提案されていないことが分かる。
【0024】
すなわち、まずフッ素系の樹脂は、上記Aの条件を満たしていない。つまり、耐クリープ性が悪いために、繰り返し使用する間にベルトの張力が低下して、色ずれ(複数色のトナーを重ねて転写する時に、色間での転写位置がずれて、所望のようにトナーが重ならないこと)の原因となったり、ついには駆動ローラとの間でスリップを起こして駆動不能となる場合がある。また、フッ素系の材料は、成型温度が高く、成形し難い上に、原料コストも高いため、上記Fの条件も満たしていない。
【0025】
これに対してオレフィン系の材料では、上記Fの条件は満たすものの、フッ素系の材料と同様にAの条件を満たしていない。また、オレフィン系の材料では、上記Eの条件も満たしていない。
【0026】
これに対して、ポリカーボネートやポリアルキレンテレフタレート(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)等のポリエステルは、上記A〜Fの項目全てをある程度満たしており、優れた材料である。しかし、ポリカーボネートやポリアルキレンテレフタレートは、耐候性が不足しているため、転写バイアス等の印加時の放電によって発生するオゾンや紫外線による劣化を起こし、繰り返し使用によって脆くなり、ついにはヒビ割れや亀裂を生じてしまうという問題がある。つまり、ポリカーボネートやポリアルキレンテレフタレートは、初期は上記A〜Fの項目をバランスよく満たすことができても、繰り返し使用によって機械特性が低下して、上記Bの項目を満たすことができなくなってしまうという問題があった。
【0027】
また、ポリカーボネートやポリアルキレンテレフタレートは、ガラス転移点(Tg)が低いために、画像形成装置内部の温度が高く(例えば30〜70℃程度に)なると、クリープが加速され、上記Aの特性を満たすことができなくなってしまう。更に付け加えると、特に繰り返し使用による分子量低下を起こし易く、やはり上記Bの項目を満たすことができなくなるという問題もある。ポリカーボネートやポリアルキレンテレフタレートが、繰り返し使用によって分子量低下が起こるのは、転写バイアス等の放電の結果発生する硝酸によって、加水分解が促進されるためと推定される。
【0028】
従って、特開平4−313757号公報で提案されているように、樹脂成分としてポリカーボネートとポリアルキレンテレフタレートとからなる中間転写ベルト用のシームレスチューブでは、繰り返し使用後も上記A〜Fの特性を満たすことはできない。すなわち、上記提案によるシームレスチューブの耐久性は十分でなかった。
【0029】
次に、成型方法について述べる。先に述べた溶媒を用いて成形する方法は、
1)溶媒に溶解する樹脂にしか適用できない
2)乾燥(溶媒の除去)工程が必須であり、製造に多くの時間とエネルギーが必要である
3)樹脂の配向(延伸)による機械特性の向上が困難である
4)乾燥工程で多量の溶媒(特に有機溶媒)が発生し、環境への影響が懸念される
等の問題点がある。
【0030】
これに対して、樹脂を加熱溶融して押出す方法は、最も効率良く、かつ排出物を極小に抑えてベルト状転写部材を製造する方法として好ましい。しかしながら、上記特開平3−89357号公報、特開平5−345368号公報では、材料がポリカーボネートやフッ素系樹脂に限定されており、そのため上記A〜Fの条件を全て満たすベルト状転写部材を得ることはできなかった。
【0031】
なお、特開平10−58525号公報には、ポリアリレートを使用した中抵抗シートが提案されているが、上記公報によれば、中抵抗シートをTダイで押出して得ているので、本発明のようにシームレスベルトを得ることはできない。従って、つなぎ目における画像濃度ムラや、つなぎ目からの破断といった問題がある。
【0032】
また、特開平5−261839号公報には、内層にポリアリレート、外層に滑り摩擦係数0.6以上の熱可塑性エラストマーを用いたシームレスベルトが提案されている。上記公報では、シームレスベルトの耐熱性を確保するために、Tgが140℃以上の樹脂を適当に選択して(その中の1つがポリアリレート)内層を設け、紙の搬送性を高めるために外層として滑り摩擦係数0.6以上の熱可塑性エラストマーを用いているに過ぎない。つまり、上記公報は、本発明のベルト状転写部材のように、クリープや、加水分解、難燃性等の諸特性について考慮されたものではない。また、転写部材として重要な、電気抵抗値や抵抗ムラについても何ら考慮されておらず、本発明とは異なるものである。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐クリープ性に優れ、靭性や降伏伸度等の機械特性が高く、使用環境による寸法変化が小さく、難燃性に優れて低コストであるベルト状転写部材の製造方法を提供することである。
【0034】
【発明を解決するための手段】
本発明に従って、下記構造式(2)で示されるポリアリレート樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂を含有する成型用原料を溶融させて溶融体を得る工程と、
該溶融体をチューブ状に押出す工程と
を有することを特徴とするベルト状転写部材の製造方法が提供される。
【0035】
化2
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0037】
まず、ベルト状転写部材の材質として、構造式(2)で示されるポリアリレート樹脂を見出した経緯について説明する。
【0038】
先に述べたように、ポリカーボネート樹脂やポリアルキレンテレフタレート樹脂は、少なくとも初期においては、上記A〜Fの項目を満たす材質として好ましいことを実験的に確かめた。そして、ポリカーボネート樹脂やポリアルキレンテレフタレート樹脂の欠点は、オゾン、紫外線、加水分解に弱いことも分かった。そこで、本願出願人らは、オゾン、紫外線、加水分解に強いポリエステル系の材料があれば、耐久後も上記A〜Fの項目を満たすベルト状転写部材が得られるのではないかと考えた。
【0039】
まず、一般のポリカーボネートは、下記構造式で表され、ジカルボン酸(2塩基酸)である炭酸とジオール(ジフェノール)であるビスフェノールAとからなるポリエステルと見ることができる。
【0040】
【化
【0041】
次に、ポリエチレンテレフタレートは、下記構造式で表され、ジカルボン酸(2塩基酸)であるテレフタル酸とジオールであるエチレングリコールとからなるポリエステルと見ることができる。
【0042】
【化
【0043】
以上から分かるように、ポリカーボネートやポリアルキレンテレフタレートは、ジカルボン酸(2塩基酸)成分、あるいはジオール(ジフェノール)成分のいずれか一方に芳香族成分が含まれている。
【0044】
一般に、樹脂の耐候性や耐熱性及びTg等は、芳香環を導入することで改善(向上)されることが多いので、本願出願人らは、ジカルボン酸(2塩基酸)成分とジオール(ジフェノール)成分の双方に芳香環を含む樹脂を用いれば、耐久後も上記A〜Fの特性を全て満足するベルト状転写部材を得ることができるのではないかと考えた。そこで、本願出願人らは、ジカルボン酸(2塩基酸)成分とジオール(ジフェノール)成分の双方に芳香環を含むポリアリレート樹脂を用いてベルト状転写部材を試作し、評価を行ったところ、耐久後も上記A〜Fの項目を全て満足することが確認された。
【0045】
更に、ポリアリレート樹脂を用いた場合には、ポリカーボネートやポリアルキレンテレフタレートを用いた場合と比較して、以下のような利点もあることも判明した。
【0046】
(1)高温環境に晒されても、クリープが小さい。従って、画像形成装置又はベルトユニットを輸送(特にコンテナ輸送)する際や、画像形成装置の使用時における機内昇温によって、ベルトの周長が長くなったり、ベルトの張力が低下する割合が非常に小さい。この利点は、特に転写同時定着方式(中間転写ベルト方式の画像形成装置において、加熱部材を用いることによって2次転写と定着を同時に行う方式)の画像形成装置において最も大きくなる。このように、ポリアリレートのクリープが小さいのは、芳香環の密度が大きいために、分子鎖が剛直になることによる効果であると考えられる。
【0047】
(2)難燃性が更に高い。例えば限界酸素指数(LOI)で比較して見ても、ポリアリレートのLOIは36.8であるのに対して、ポリカーボネートのLOIは24.9、ポリエチレンテレフタレートのLOIは26.3と、ポリアリレートの優位性は明らかである。難燃性の差も芳香環の密度の差によるものと考えられる。そして、難燃性が高いということは、高電圧(100V〜数kV程度)を印加されるベルト状転写部材の安全性の観点から非常に好ましい。
【0048】
以上のように、本願出願人等は、ポリアリレート樹脂がベルト状転写部材に非常に適した樹脂であることを見出したのであるが、構造式(2)で示されるポリアリレート樹脂を用いたベルト状転写部材について更に検討を行った結果、構造式(2)で示されるポリアリレート樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂を含有する樹脂を用いる場合は、ポリアリレート樹脂のみを用いた場合と比較して、
(1)引っ張り強度や靭性が更に向上して、より高耐久のベルト状転写部材が得られる
(2)低温での加工が可能になるため、加工時におけるポリアリレート樹脂の劣化がほとんどない。従って、ベルト状転写部材の強度と耐久性が更に増す
(3)低温での加工が可能になるため、添加剤(難燃剤、加水分解防止剤、紫外線吸収剤、導電剤、滑剤、離型剤等)の劣化が最小限に抑えられる。従って、より難燃性、耐久性、抵抗均一性に優れたベルト状転写部材が得られる
(4)低温での加工が可能になるため、加工中に発生する樹脂からの揮発成分が減少する。このため、目ヤニが減少し、より平滑性に優れたベルト状転写部材が得られる
等の特徴を有していることを見出した。
【0049】
して、構造式(2)で示されるポリアリレート樹脂成分とポリエチレンテレフタレート樹脂成分を含有する樹脂を用いた場合には、上記(1)〜(4)の全項目が大きく向上して、最も好ましいことが分かり、本発明に至った。
【0050】
このように本発明は、強靭でTgの高い構造式(2)で示されるポリアリレート樹脂に、ポリエチレンテレフタレート樹脂を加えることで、上記(1)〜(4)の特徴を有するベルト状転写部材を得ることができることを見出したものである。
【0051】
従って本願発明は、ポリエステル系樹脂を2種類用いたという点では特開平4−313757号公報に記載の技術と類似しているように見えるが、先に述べたように、ポリカーボネートとポリアルキレンテレフタレートだけでは、繰り返し使用後も前記A〜Fの特性を全て満たすことはできない。これに対し本願発明は、ポリアリレート樹脂固有の性質を利用することで、繰り返し使用後も前記A〜Fの特性を全て満たすベルト状転写部材を得ることができることを初めて見出したものであり、特開平4−313757号公報に記載の技術では実現できないベルト状転写部材を提供することができる。
【0052】
次に、本願出願人らは、上記に記載された樹脂組成物からベルト状転写部材を製造する際の製造方法について検討した。その結果、ベルト状転写部材として重要な、部材の肉厚精度、強度、電気抵抗ムラと行った特性を向上させる製造方法を見出し、本発明に至った。
【0053】
その方法とは、上記に記載された樹脂組成物を下記<1>〜<3>のいずれかの方法で成形して、ベルト状転写部材を得る方法である。
【0054】
<1>環状ダイスの先端から押出し機の押出しによってチューブ状溶融物を吐出してベルト状転写部材を得る時に、前記環状ダイスのダイギャップよりベルト状転写部材の肉厚が薄くなるようにする。
【0055】
このようにすると、ベルト状転写部材の肉厚精度を向上させることができる。その理由は、次のように考えられる。
【0056】
ベルト状転写部材の肉厚は50〜300μm程度という薄さであり、ベルト状転写部材の肉厚をダイギャップの値と同一にした場合には、例えばダイギャップが10μmズレればベルト状転写部材の肉厚も10μmズレてしまう。一方、ダイギャップよりもベルト状転写部材の肉厚が薄くなるようにした場合、例えば1mmのダイギャップで150μmの肉厚のベルト状転写部材を作る場合、ダイギャップが10μmズレてもベルト状転写部材の肉厚は1.5μmしかズレない。従って、「ダイギャップ>ベルト状転写部材の肉厚」とした場合には、ベルト状転写部材の肉厚精度が向上すると考えられる。
【0057】
ベルト状転写部材の肉厚精度が低い場合、ベルトの駆動中にベルトの薄い部分に応力が集中して亀裂を生じ易いが、本発明のベルト状転写部材はポリアリレート樹脂という強靭な樹脂成分を含有しているので、上記の製造方法と組み合わせると、長期間繰り返し使用しても亀裂が生じることのない長寿命のベルト状転写部材を得ることができる。なお、ここでいう肉厚精度とは、目標値に対するベルト状転写部材の平均肉厚のズレとベルト状転写部材の肉厚ムラの両者を指す。
【0058】
<2>環状ダイスの先端から押出し機の押出しによってチューブ状溶融物を吐出してベルト状転写部材を得る時に、前記チューブ状溶融物の吐出速度よりもフィルムの引取速度を速くしてベルト状転写部材を得る。
【0059】
このようにすると、ベルト状転写部材の肉厚精度の向上と共に、長手方向(スラスト方向)のヤング率の向上が実現できる。その理由は、以下のように考えられる。
【0060】
まず、肉厚精度向上の理由について述べる。溶融樹脂を環状ダイスから押出す時、バラス効果により、ダイギャップよりも押出されたチューブの肉厚の方が大きくなろうとする(ダイスウェル)。従って、ダイギャップのズレが増幅されてベルト状転写部材の肉厚に反映される。しかし、吐出速度よりもフィルムの引取り速度を速くしておけば、ベルト状転写部材が引き伸ばされて薄くなるために、肉厚のズレ(及び肉厚ムラ)の絶対値は減少する。
【0061】
次に、ヤング率向上の理由について述べる。吐出速度よりも押出されたチューブの引取速度を速くすると、チューブがマシーンディレクション(MD)方向に1軸延伸された状態となる。本発明のベルト状転写部材は、ポリアリレート樹脂成分を含有しているために元々高いヤング率を有しているが、1軸延伸効果が加わることによって、ベルト状転写部材の長手方向のヤング率がより高くなって、長手方向の色ずれが減少するので好ましい。
【0062】
<3>環状ダイスの先端から押出し機の押出しによってチューブ状溶融物を吐出してベルト状転写部材を得る時に、環状ダイスのダイス直径(D1)と、ベルト状転写部材の直径(D2)との比(D2/D1)を0.5〜4とする。
【0063】
特にD2/D1が1〜4の場合、ベルト状転写部材の肉厚をダイギャップよりも薄くすることができるので、ベルト状転写部材の肉厚精度が向上して好ましい。また、D2/D1を1以上とすると、ベルト状転写部材が周方向に延伸されるために、周方向のヤング率が向上して、周方向の色ずれが低減するという利点も有する。
【0064】
しかし、溶融粘度の低い樹脂を使用した場合、環状ダイスから押出されたチューブを膨らまそうとしても穴が開く等してうまく膨らまず、D2/D1を1以下にせざるを得ない場合がある。その場合でも、D2/D1をできるだけ大きく、具体的にはD2/D1を0.5以上にすることで、得られるベルト状転写部材の肉厚精度の悪化を最小限に留めることができる。好ましいD2/D1の値は0.8〜3.8、より好ましい範囲は0.9〜3.5である。
【0065】
上記D2/D1を達成するための好ましい製造方法の例として、環状ダイスから押出されたチューブ状溶融物に、大気圧以上の気体を吹き込むことによりチューブを膨らませながら連続的に成形させてベルト状転写部材を得る製造方法、所謂インフレーション法(ブローンフィルム押出し成型、チューブラーフィルム押出し成型ともいう)として知られている製造方法を挙げることができる。
【0066】
そして特に、環状ダイスから押出されたチューブ状溶融物を、狭持部材(チューブの折り径よりも狭持する幅の方が広い)によってチューブの全幅に対して狭持しながら引取ると、折り径、すなわちベルト状転写部材の周長が安定して好ましい。また、インフレーション法は、チューブ状溶融物を連続的に引取る成型方法の1種であるので、ベルト状転写部材の連続生産が可能になって、ベルト状転写部材を安価に製造することができる。
【0067】
ところで、環状ダイスから押出されたチューブ状溶融物を、狭持部材(ピンチロール)によってチューブの全幅に対して狭持しながら引取ると、ベルト状転写部材に、ピンチロールに起因する折り目ができてしまう。
【0068】
しかし、得られたベルト状転写部材を加熱して、ベルト状転写部材の表面を平滑化すれば、折り目の問題は解消される。特にポリアリレート樹脂成分は、降伏点における伸び(降伏点伸度)が大きいので、折り目跡は殆ど残らない。なお、上記の加熱とは、ポリアリレート樹脂のガラス転移温度(Tg)から50℃低い温度から分解温度以下の範囲内で加熱することをいう。ポリアリレート樹脂のTgは193℃であるので、具体的な加熱温度は143℃〜360℃(ポリアリレートはおよそ360℃で分解し始める)に加熱することをいう。好ましい加熱温度は193℃〜300℃である。
【0069】
なお、加熱を行って表面の平滑化(折り目の消去)を行う時、ベルト状転写部材の周長が増大することがある。この時、積極的に周長を増大させるようにすると、以下のような利点が出てくる。
【0070】
周方向に対する1軸延伸が行われることになり、周方向のヤング率が一層高くなる。加熱終了後の周長が一定になるように周長を増大させれば、ベルト状転写部材の周長精度を、一層向上させることができる。
【0071】
以上の理由により、本発明の製造方法で得られたベルト状転写部材、特にインフレーション法で成形されたベルト状転写部材を加熱することで、ベルト状転写部材の表面を平滑化させ、更にベルト状転写部材の周長を増大させて、最終的なベルト状転写部材を得る製造方法は、非常に好ましい製造方法である。
【0072】
更に、チューブ状溶融物を押出すための押出し機として、2軸押出し機を使用すると、ポリマーと添加剤の分散混合が良好に行われるので、分散工程の省力化あるいは省略が可能となる。従って、ベルト状転写部材を低コストで製造することが可能となる。また、分散混合が良好に行われると、分散強度による抵抗変動(抵抗ムラ)が小さくなり、転写ステーション間(1次転写と2次転写)での電源の干渉による転写不良や、抵抗が低い部分に電流が集中することによる転写ムラ及びリーク(絶縁破壊)等が発生し難くなって好ましい。つまり、2軸押出し機を用いて製造されたベルト状転写部材は、抵抗ムラが小さく、安全性と画質に優れるという特徴を持つ。
【0073】
なお、環状ダイスから押出されたチューブ状溶融物を冷却、固化した後、チューブを長手方向に対してほぼ直交方向(ラジアル平面と並行)に切断してベルト状転写部材を製造すると良い。直角に切断しない場合、最終的にベルト状転写部材として使用する際にはベルト幅を一定にする必要があるので、後工程によって、直角に裁断し直す必要がある。従って、工程数が増加すると同時に原料ロスも発生して、生産効率が低下してしまう。
【0074】
ここで、ほぼ直角とは、切断面とチューブの軸に平行な直線とが交わる角度が(90±30)°の状態を指し、好ましくは(90±20)°、より好ましくは(90±10)°で切断するとよい。
【0075】
本発明の製造方法によれば、ベルト状転写部材の周方向における体積抵抗の最大値を最小値の100倍以内にすることができる。そのため、ベルト状転写部材を中間転写ベルト又は転写搬送ベルトとして用いた時に、周方向の転写ムラの発生や、ステーション間での電源の干渉(例えば、中間転写ベルトとして用いた場合には、1次転写のバイアス電源と2次転写のバイアス電源の干渉、転写搬送ベルトとして用いた場合には1次転写バイアス電源同士の干渉等)が発生し難くなる。
【0076】
また、本発明の製造方法によれば、ベルト状転写部材の周方向における表面抵抗の最大値を最小値の100倍以内にすることができる。そのため、ベルト状転写部材を中間転写ベルト又は転写搬送ベルトとして用いた時に、ステーション間での電源の干渉(例えば、中間転写ベルトとして用いた場合には、1次転写のバイアス電源と2次転写のバイアス電源の干渉、転写搬送ベルトとして用いた場合には1次転写バイアス電源同士の干渉等)が発生し難くなる。
【0077】
また、本発明の製造方法によれば、ベルト状転写部材の長手方向における体積抵抗の最大値を最小値の100倍以内にすることができる。そのため、ベルト状転写部材を中間転写ベルト又は転写搬送ベルトとして用いた時に、長手方向の転写ムラの発生や、抵抗最小部位に過大な電流が流れ込むことによるベルト状転写部材の絶縁破壊、画像形成層装置の誤動作等を発生し難くすることができる。
【0078】
また、本発明の製造方法によれば、ベルト状転写部材の長手方向における表面抵抗の最大値を最小値の100倍以内にすることができる。そのため、ベルト状転写部材を中間転写ベルト又は転写搬送ベルトとして用いた時に、長手方向の転写ムラの発生や、ベルト状転写部材上の転写残トナーを転写残トナー帯電部材により帯電させて、その後に転写残トナーをクリーニングする際に、転写残トナー帯電部材から印加されるバイアスがベルト状転写部材の低抵抗部分に集中して流れることにより、ベルト状転写部材上の転写残トナーを均一に帯電することができなくなってクリーニング不良となることを発生し難くすることができる。
【0079】
なお、本発明において体積抵抗及び表面抵抗の測定は、以下のようにして行うものとする。
【0080】
<測定機>
抵抗計;超高抵抗計R8340A(アドバンテスト社製)
試料箱;超高抵抗測定用試料箱TR42(アドバンテスト社製)
(主電極は直径22mm、ガード・リング電極は内径41mm、外径49mm)
<サンプル>
ベルト状転写部材(肉厚30〜300μm程度)を直径56mmの円形に切断する。切断後、片面はその全面をPt−Pd蒸着膜により電極を設け、もう一方の面はPt−Pd蒸着膜により直径25mmの主電極と内径38mm、外径50mmのガード・リング電極を設ける。Pt−Pd蒸着膜は、マイルドスパッタE1030(日立製作所製)で蒸着操作を2分間行うことにより得られる。蒸着操作を終了したものを測定サンプルとする。
【0081】
<測定条件>
測定雰囲気;23℃/湿度55%
(なお、測定サンプルは予め23℃/湿度55%の雰囲気に12時間以上放置しておく)
測定モード;プログラムモード5(ディスチャージ10秒、チャージ及びメジャー30秒)
印加電圧;1〜1000(V)
印加電圧は、画像形成装置で使用されるベルト状転写部材に印加される電圧範囲の一部である1〜1000Vの間で任意に選択できる。また、サンプルの抵抗値、厚み、絶縁破壊強さ等に応じて、上記印加電圧の範囲において、測定時の印加電圧を適時変えることができる。また、前記印加電圧のいずれか一点の電圧で測定された複数個所の体積抵抗及び表面抵抗が、所望の抵抗範囲に含まれれば、目的とする抵抗範囲であると判断される。
【0082】
本発明にかかるベルト状転写部材は、環状ダイスから押出して製造されるので継ぎ目がない。また、ポリアリレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂とからなっているので、耐久後も前記A〜Fの条件を全て満たすことができる。従って、本発明にかかるベルト状転写部材は、電子写真方式の画像形成装置に供される中間転写ベルト又は転写搬送ベルトとして好適であることを確認し、本発明に至った。
【0083】
本発明において、ポリアリレート樹脂とは、下記構造式()で表わされる化合物を指す。
【0084】
化5
【0085】
構造式(2)で示される化合物は、合成のし易さ(原料入手の容易さ)、強靭性の観点からも好ましい。
【0086】
ポリアリレート樹脂は、どのような合成方法によって作られたものでも使用可能である。例えば、
(1)アルカリ水溶液に溶解したジフェノールと、ハロゲン化炭化水素等の有機溶媒に溶解したジカルボン酸ジクロリドとを、触媒の存在下に常温に近い温度で反応させる、界面重合法。
(2)ジフェノールのアセチルエステルと、ジカルボン酸とを高温で反応させ、酢酸を脱離しつつ重合を行う、アセテート法。
(3)ジフェノールと、ジカルボン酸のフェニルエステルとを高温で反応させ、フェノールを脱離しつつ重合を行う、フェニルエステル法。
(4)ジカルボン酸ジクロリドとジフェノールとを、4級アンモニウム塩やスルホニウム塩を触媒とし、脱酸剤としてのアミンの存在下に有機溶媒中で反応させる、溶液重合法。
等が挙げられる。
【0087】
これらの中でも、特に界面重合法及び溶液重合法によって得られたポリアリレートは、重合度が高く、強靭性に優れているので好ましい。
【0088】
上記構造式(2)のポリアリレートにおいて、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸とイソフタル酸の両方を用いるとよい。テレフタル酸を増やせばヤング率が向上し、イソフタル酸を増やせば靭性が向上する。テレフタル酸とイソフタル酸の好ましい混合範囲は、8対2〜4対6程度である。
【0089】
本発明において、ポリエチレンテレフタレート樹脂とは、エチレングリコールのグリコールと、テレフタル酸とからなる樹脂を指す。なお、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸、例えばイソフタル酸をテレフタル酸と併用してもよい。その場合、テレフタル酸を増やせばヤング率が向上し、イソフタル酸を増やせば靭性が向上する。テレフタル酸とイソフタル酸の好ましい混合範囲は、8対2〜4対6程度である。
【0090】
本発明において、構造式(2)で示されるポリアリレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂との比率は、95:5〜5:95程度が好ましい。より好ましくは90:10〜10:90である。ポリアリレート樹脂が95%より多いと、ポリエチレンテレフタレート樹脂の添加効果が小さく、ポリアリレート樹脂成分が5%より少ないと、ポリアリレート樹脂固有の性質が発揮され難くなって、ベルト状転写部材の耐久性や難燃性が低下する。
【0091】
本発明において使用可能な樹脂成分は、構造式(2)で示されるポリアリレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂に限定されるものではなく、発明の効果を損なわない範囲でその他の樹脂を用いてもよい。
【0092】
その他の樹脂とは、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアセタール、メタクリル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテル・エーテルケトン、脂肪族ポリケトン、ポリメチルペンテン、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、4フッ化エチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化エチレンプロピレン共重合体、4フッ化エチレン等)、液晶ポリマー等が挙げられる。もちろん、上記の材料に限定されるものではない。
【0093】
もちろん、ポリマー成分として構造式(2)で示されるポリアリレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂と、ポリカーボネート樹脂とからなる樹脂とする等、構造式(2)で示されるポリアリレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂又はポリアミド樹脂の2種類以上を含有する樹脂を用いることも可能である。
【0094】
本発明において、構造式(2)で示されるポリアリレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂は、アロイ化されていることが好ましい。
【0095】
アロイ化とは、単にポリアリレート樹脂とその他の樹脂とを混合すること(いわゆるポリマーブレンド。相容化剤を用いてもよい)、それぞれの樹脂原料(モノマー、オリゴマー)を使用して、共重合体(ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体)とすること、IPN(Inter Penetratig Network)とすること、エステル交換反応等によりポリアリレート樹脂に官能基や分子鎖を付ける、あるいは相容化を図る等の方法を指す。
【0096】
もちろん、アロイ化の方法に制限はなく、公知のあらゆるアロイ化技術を用いることができるが、経済性の観点からは、リアクティブ・プロセッシングにてアロイ化を行うことが好ましい。特に、構造式(2)で示されるポリアリレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂からなる樹脂は、エステル交換反応を利用したものを用いると、強度に優れたベルト状転写部材の原料を手軽に得ることができて好ましい。
【0097】
本発明にかかるベルト状転写部材を成形する際に、水分によって加水分解を起こしてしまうと、ポリアリレート樹脂が持つ強靭性を発揮できなくなって、ベルト状転写部材の寿命が極端に短くなってしまう。このため、本発明にかかるベルト状転写部材を成形する時には、樹脂を予め十分に乾燥しておくことが必要である。具体的には水分量が0.1重量%以下、より好ましくは0.02重量%以下にまで乾燥させるとよい。
【0098】
ベルト状転写部材において、その体積抵抗は10〜1014Ωであることが好ましいが、このような状態を達成するために、本発明においては任意の導電剤を用いることができる。例えば、カーボン、グラファイト、酸化チタン、酸化スズ、アルミニウム等をドープした酸化亜鉛、酸化スズで被覆した酸化チタン、酸化スズで被覆した硫酸バリウム、チタン酸カリウム、アルミニウム粉末、ニッケル粉末等の導電性フィラー、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルベタイン、過塩素酸塩、ホウ素を含有する有機化合物等の練り込み型導電剤が挙げられる。
【0099】
一般に、導電性フィラーを用いた場合には、ベルト状転写部材の抵抗値の環境変動が小さく、練り込み型導電剤を用いた場合には、ベルト状転写部材の抵抗ムラが小さくなるので、これらの導電剤を適宜選択して用いれば良い。上記以外の導電剤を使用することもできる。
【0100】
また、発明の効果を損なわない範囲で任意の添加剤を添加することもできる。例えば、加水分解防止剤(カルボジイミド等)、酸化防止剤(フェノール系、燐系、硫黄系、アミン系等)、光安定剤(HALS)、難燃剤(ハロゲン系、燐系、アンチモン系、水酸化マグネシウム、シリコーン樹脂等)、滑剤(フッ素樹脂、シリコーンオイル等)、補強剤(ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等)が挙げられる。
【0101】
本発明にかかるベルト状転写部材は、単層でもよいし、複数の層で構成されていても良い。複数の層からなるベルト状転写部材を得る場合、多層ダイスからの押出しによって得てもよいし、単層のベルト状転写部材を得て、その後、ベルト状転写部材の表面あるいは裏面に新たな層を設ける(例えば、スプレー、ディッピング等)ことによって複数の層からなるベルト状転写部材としてもよい。
【0102】
本発明にかかるベルト状転写部材の肉厚は、30〜300μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。30μm未満であると、ベルトの引っ張り強度が不足して、繰り返し使用中に破断し易く、300μmを越えるとベルトの剛性が大きくなりすぎて、ベルトの円滑な駆動が困難になる。
【0103】
【実施例】
以下、実施例により本願発明を更に詳細に説明する。
【0104】
(実施例1)
2軸押出し混練機により下記配合のコンパウンド(成型用原料)を調製した。
【0105】
ポリアリレート樹脂{構造式(2)} 70重量部
ポリエチレンテレフタレート樹脂 30重量部
カーボンブラック 21重量部
酸化防止剤 0.5重量部
【0106】
なお、上記ポリアリレート樹脂において、ジカルボン酸成分はテレフタル酸とイソフタル酸であり、そのモル比は6:4である。また、上記のポリアリレート樹脂とカーボンブラックは、混練機に投入する前に、水分量が0.02重量%になるまで十分に乾燥させておいたものを用いた。
【0107】
得られたコンパウンドを1〜2mmの粒径を有する顆粒状に加工した後、再び顆粒の水分量が0.02重量%になるまで十分に乾燥させて、図2に示される1軸押出し機100のホッパー120へ投入し、270〜290℃に加熱することにより溶融体とした。溶融体は、直径200mm、ダイギャップ300μmの環状ダイスに導かれ、環状ダイスからチューブ状に押出されると同時に、気体導入路150より供給される圧縮空気によってチューブ160を膨張させた。膨張したチューブは、安定板170を通過した後、狭持部材としてのピンチロール180(ロールのニップ幅=600mm)を経て、折り径380mmで引取られながら、長さ300mmになるようにカッター190で、チューブ160の軸方向と直交方向に断続的に切断することで、ピンチロールに起因する折り目を有する、肉厚150μmのベルト状転写部材の前駆体を得た。
【0108】
次に、前駆体を図3に示すような装置に張架し、支持ローラ60及び61で前駆体を回転させながら、加熱ローラ70を当接させることで、折り目の消去を行った。その後、幅を260mmに切り揃えて、ベルト状転写部材を得た。なお、ベルト状転写部材の周長は820mmであった。前駆体の周長が760mm(=380mm×2)であったので、折り目の消去と同時に、ベルト状転写部材の周長が増大したことが分かる。
【0109】
次に、得られたベルト状転写部材を、図4に示すA〜Lまでの12ヶ所(周方向4ヶ所×軸方向3ヶ所)について切り出し、前記測定手順に従って体積抵抗及び表面抵抗を測定した。その結果、体積抵抗の平均値は4×10(Ω)、体積抵抗の周方向のムラは5.8、体積抵抗の長手方向のムラは7.2、表面抵抗の周方向のムラは2.8、表面抵抗の長手方向のムラは3.5であった。
【0110】
ただし、体積抵抗の平均値とは、A〜L点までの体積抵抗の平均値であり、かつこの値をベルト状転写部材の体積抵抗とする。また、周方向のムラとは、A〜D点の測定値の最大値と最小値の比をX1とし、E〜H点の測定値の最大値と最小値の比をX2とし、I〜L点までの測定値の最大値と最小値の比をX3とした時、X1〜X3の最大値を周方向の抵抗ムラとする。また、長手方向の抵抗ムラとは、A、E、I点の測定値の最大値と最小値の比をY1とし、B、F、J点の測定値の最大値と最小値の比をY2とし、C、G、K点の測定値の最大値と最小値の比をY3とし、D、H、L点の測定値の最大値と最小値の比をY4とした時、Y1〜Y4の最大値を長手方向のムラとする。
【0111】
次に、得られたベルト状転写部材を、中間転写ベルト5として図5に示すフルカラー電子写真装置に組み込み、15万枚の繰り返し使用の耐久試験を行った。その結果、中間転写ベルト5は破断することもなく、15万枚耐久後の色ずれも少なかった。
【0112】
(実施例2)
実施例1で用いたコンパウンドを、1〜2mmの粒径を有する顆粒状に加工した後、顆粒の水分量が0.02重量%になるまで十分に乾燥させて、図6に示される1軸押出し機200のホッパー220へ投入し、270〜300℃に加熱することにより溶融体とした。
【0113】
溶融体は、直径270mm、ダイギャップ180μmのスパイラルダイ240に導かれ、スパイラルダイからチューブ状に押出した。押出されたチューブ260は冷却用内部マンドレル250、引取りローラ280を経て、チューブ260の軸方向に対して直交方向に、長さ(ベルト状転写部材の幅)が300mmになるようにカッター190で切断して、周長820mm、肉厚150μmのベルト状転写部材を得た。なお、チューブ状溶融物の吐出速度(押出し速度)に対して、引取り速度は2倍とした。
【0114】
得られたベルト状転写部材の抵抗値を、実施例1と同様にして測定した。その結果、体積抵抗の平均値は8×10(Ω)、体積抵抗の周方向のムラは8.1、体積抵抗の長手方向のムラは5.8、表面抵抗の周方向のムラは4.5、表面抵抗の長手方向のムラは10.6であった。
【0115】
次に、得られたベルト状転写部材を、中間転写ベルトとして実施例1と同様に、図5に示す画像形成装置に組み込んで、15万枚の繰り返し使用の耐久試験を行った。その結果、中間転写ベルトは破断することもなく、15万枚耐久後の色ずれも少なかった。
【0116】
(比較例1)
コンパウンドを下記配合に変えた以外は、実施例1と同様にしてベルト状転写部材を得た。
【0117】
ポリカーボネート樹脂 80重量部
ポリブチレンテレフタレート樹脂 20重量部
カーボンブラック 20重量部
酸化防止剤 0.5重量部
【0118】
得られたベルト状転写部材の抵抗値を実施例1と同様にして測定した結果、体積抵抗の平均値は4×10(Ω)、体積抵抗の周方向のムラは30.8、体積抵抗の長手方向のムラは45.2、表面抵抗の周方向のムラは46.3、表面抵抗の長手方向のムラは33.6であった。
【0119】
次に、得られたベルト状転写部材を、中間転写ベルトとして、実施例1と同様に、図5に示す画像形成装置に組み込んで、耐久試験を行った。その結果、5万枚付近から中間転写ベルトの張力が大きく低下し、色ずれが悪化し始め、およそ7万枚程度でベルトに亀裂が生じたため、その時点で耐久を終了した。
【0120】
これは、ポリアリレート樹脂と比較してTgの低いポリカーボネート樹脂と更にTgの低いポリブチレンテレフタレート樹脂とを使用しているためにクリープが大きくなったと考えられる。また、ポリアリレート樹脂と比較して芳香環の密度が低いために転写バイアスによる劣化(オゾン、紫外線、加水分解)が速く、そのためにベルトに亀裂が生じたものと考えられる。
【0121】
以上の実施例では、本発明により得られたベルト状転写部材を図5や図7の装置に組み込んで使用した例について示したが、本発明にかかるベルト状転写部材の用途はこれに限定されるものではなく、例えば、図1に示す画像形成装置や、図8に示すごとく、多重現像(感光体上に複数色成分のトナーを重ねて現像し、その後、一括してトナーの転写を行う)方式の電子写真装置、その他の電子写真装置等、様々な電子写真装置に適用することが可能である。
【0122】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明により、構造式(2)で示されるポリアリレート樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂を含有する成型用原料を溶融させて溶融体を得る工程と、該溶融体をチューブ状に押出す工程とを有するベルト状転写部材の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 中間転写ベルトを用いたカラー画像形成装置の概略図である。
【図2】 本発明にかかるベルト状転写部材の成型装置の概略図である。
【図3】 ベルト状転写部材の平滑化及び周長の増大を行う装置の概略図である。
【図4】 ベルト状転写部材の抵抗測定位置を示す図である。
【図5】 複数の感光体と中間転写ベルトとを有するカラー画像形成装置の概略図である。
【図6】 本発明にかかるベルト状転写部材の別の成型装置の概略図である。
【図7】 複数の感光体と転写搬送ベルトとを有するカラー画像形成装置の概略図である。
【図8】 多重現像方式によるカラー画像形成装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 感光ドラム
2 1次帯電器
3 露光光
5 中間転写ベルト
6 1次転写ローラ
7 2次転写ローラ
8 2次転写対向ローラ
9 転写残トナー帯電部材
10 転写材ガイド
11 給紙ローラ
12 転写搬送ベルト
13 クリーニング装置
15 定着器
30,31,32,33,34,35,36 バイアス電源
41 イエロー色現像器
42 マゼンタ色現像器
43 シアン色現像器
44 ブラック色現像器
50 ベルト状転写部材
60,61 支持ローラ
70 加熱部材
100,110 1軸押出し機
120,130,220 ホッパー
150 気体導入路
160,260 チューブ
170 安定板
180 ピンチロール
190 カッター
200 1軸押出し機
240 スパイラルダイ
250 冷却用内部マンドレル
280 引取りロール
P 転写材

Claims (1)

  1. 下記構造式(2)で示されるポリアリレート樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂を含有する成型用原料を溶融させて溶融体を得る工程と、
    該溶融体をチューブ状に押出す工程と
    を有することを特徴とするベルト状転写部材の製造方法
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