JP3918562B2 - カラー刻印プレート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー刻印プレートの色の表出に好適な層構造および刻印方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
企業のロゴや商標、個人の写真やマークを数センチ角のカラー刻印プレート上に刻印し、パーソナルコンピュータ(PC)や周辺機器等の装置表面に貼り付ける個性化サービスが普及してきている。このカラー刻印プレートは、ロゴバッチとも言い、台紙の上に両面(接着)テープがあり、さらにその上に3から4層程度の異なった色の塗装面を有する構造となっている。刻印は、この塗装面にレーザマーキングを施して所望の層の色を露呈させる。出来上がると台紙から両面テープを含むシート部分をはがして装置に圧着もしくは熱着する。例えば、特開昭62−203692に、このような複数の色の異なる層を設け、レーザマーキングにより層を除去し指定された層の色を露呈させる技術が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
カラー刻印プレートのロゴで使用する色の種類が少ない場合には、対応する色層をあらかじめ設けておけばよい。しかし、前記のロゴや商標の色は多種多様であり、この方法だと色の組合わせに応じて多数の種類のカラー刻印プレートを用意しなければならないので、予め用意しておくカラー刻印プレートが多種となる問題がある。また、注文が来てからカラー刻印プレートを塗装し、その後に刻印をおこなう方法では、製造時間がかかるという問題もある。
【0004】
本発明の目的は、上記問題を解決し、少ない在庫で多種の色を表現できるカラー刻印プレートを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のカラー刻印プレートは、複数の着色層でプレートを構成し、前記着色層は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の3原色をそれぞれ少なくとも1層含み、かつYM、MC、CYの3原色の組合せが隣接して層となるように層構成するようにした。さらに、前記着色層の各層を、レーザーマーキング等により複数の着色層の中の指定の着色層を露呈させる浅堀りと、該着色層の下層の着色層と減法混色する程度に露呈させる深堀りの2つの刻印加工のいずれかを行い色を表出するようにした。
【0006】
より詳細には、前記浅掘りは、レーザマーキングにより、多色層の中の指定の層を露呈させるもので、具体的には指定の層より上の層を除去するものである。また、前記深掘りは、2つの異なる色の層を重ねて上から見る場合、上の層が薄いなら減法混色のルールにより混色して別の色に見える程度に、レーザマーキングにより、多色層の中の指定の層を露呈させるものである。つまり、Y層の下層にC層を設け、C層の下層にM層を設け、M層の下層にY層を設けた4層構造とした。これにより、例えば、M層を深掘りすることにより、M層とM層の下層のY層の減色混色であるR(レッド)色を表出することができる。なお、上記説明では、YMCY層の4層としたが、これに限ったものではない。
【0007】
上記のとおり、C層、M層、Y層を深彫りすることによりR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)色の表出をおこなうことができるが、W(ホワイト)色の表出をおこなうことはできない。このため、CMY層の表層にW層を設け、また、CMYの減色混色であるブラック色の発色を改善するために、K(ブラック)層をCMY層の下層に設けた。
【0008】
また、カラー刻印プレートに露光するレーザースポット径を微細にし、表出する色の加法混色をおこなうことで、カラー刻印プレートで複数色の発色を可能にする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0010】
図6は、本発明の利用する色の減法混色の原理を説明する図である。一般に図6の(1)に示す減法混色のルールが知られている。つまり、色材の3原色であるY(イエロー)とM(マゼンタ)を混ぜると、色光の3原色のひとつであるR(レッド)を得られる。同様に、M(マゼンタ)とC(シアン)を混ぜるとB(ブルー)になり、C(シアン)とY(イエロー)を混ぜるとG(グリーン)になり、YとMとCを混ぜるとK(ブラック)になる。図6の(2)に、この原理をカラー刻印プレートに適用する例を説明する。図6の(2)には、一例としてCとYの減法混色の実現例を示す。Cの上に薄い微少片Yを重ねて上から見ると、光はY層を突き抜けてC層で跳ね返って戻るので、Y+CでグリーンGになって見える。
【0011】
図7は、本発明の利用する色光の加法混色の原理を説明する図である。一般に図7の(1)に示す加法混色のルールが知られている。つまり、色光の3原色であるR(レッド)とB(ブルー)を混ぜると、色材の3原色のひとつであるM(マゼンタ)を得られる。同様に、R(レッド)とG(グリーン)を混ぜるとY(イエロー)になり、G(グリーン)とB(ブルー)を混ぜるとC(シアン)となり、
RとGとBを混ぜるとW(ホワイト)になる。図7の(2)に、この原理をカラー刻印プレートに適用する例を説明する。つまり、異なる点で表出した色を加法混色した色を得ることができる。図7の(2)では、R(レッド)とG(グリーン)からY(イエロー)を表出することができる。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態であるカラー刻印プレートの断面図である。プレートの着色層は、W(ホワイト)、Y(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)、K(ブラック)の5色7層とした。このYCM層に減法混色を適用して、所望の色を表出することができる。W層10はRGBの3つの色が同時に重ね合わせになる時必要である。K層15はRGBのどの色もない場合に必要である。Y層11、C層12、M層13は、それぞれ単独の色YCMを表現するために必要である。
【0013】
混色によるRはY層11を深く掘り、C層12との境界近くを露呈して実現する。BはC層12を深く掘り、M層13の境界近くを露呈して実現する。GはM層13を深く掘り、Y層14との境界近くを露呈して実現する。この層の色順番では、YはY層11とY層14に重複して現れる。その理由は2つの層の2段重ねによりRGBの各色を作るからである。順番はYCMYのほかYMCYやCMYCやCYMC、MYCMやMCYMなどでもよい。図1の左側の彫り込みはY層11が露呈しているので、上からみるとYが見える。ここでは層の厚さが十分厚いとする。薄いとYとCの減法混色による色が見えてしまうからである。図1の右側の彫り込みはM層13の深堀りなので、上から見るとMとYとの混色でRが見えることを示す。ここではM層は十分薄いとする。
【0014】
なお、レーザ光のスポット直径は300スポットパーインチのレーザマーカなら、約80マイクロメータ(um)となる。600スポットパーインチのレーザマーカなら約40マイクロメータとなる。各層の厚さは100マイクロメータ程度である。透明層16はレーザマーキングした後に層の保護を目的としてコーテイングしたものである。K層15は両面テープを兼用しており、台紙17とK層15の間を剥離して電子機器に貼り付ける。
【0015】
図5は、カラー刻印プレートをノートブック型のパーソナルコンピュータ100のふたに貼り付けた例である。パーソナルコンピュータ100はキーボード102等が設けられた本体101とヒンジ103を介して本体101に折り畳み可能に接続され、内面側に液晶デイスプレイ105が向けられたふた104からなる。この例では電子装置の外側の目立つ場所にカラー刻印プレート106を貼り付け、その所有者が一目でわかるようにしている。
【0016】
図3は、2値化されたRGBのデータが図1の層構成の場合、どのようなレーザスポットでマーキングすべきかを対応させた表である。2値化については図8で後述する。各画素のR、G、Bはオンかオフかどちらかである。オンを1オフを0で表示した。RGBの色表示に従うと、No1の000はRGBの各色とも「無」を表示しているので、レーザスポットではK層15を露呈させる。No8の111はRGBのいずれもオンなので、合成した色は図7の(1)のルールに示すようにW(ホワイト)になる。従って、W層10を露呈させればよい。W層10は表面層なので、何もしなくても露呈しており、特に浅掘りも必要ない。No4、No6、No7は、注目する画素のRGBの2つの色がオンになっている場合である。図7(1)の光の色混色ルールにより、それぞれC、M、Yの色となるので、図1のC層12、M層13、Y層11を露呈させればよい。No2、No3、No5は、その画素がそれぞれB、G、Rの色であることを示している。図1の層構成では、B色はc層12の深堀りを行い、C層12とM層13の境界近くを露呈させればよい。同様にNo3のG色はY層11の深堀りを行えばよく、No5のR色はM層13の深堀りを行えばよい。なお、浅掘りとは、その層の色が露呈されればよく浅く掘るとしたのは、その上の層の色の影響を完全になくすためである。図2の注1にあるように、YMC色を層に用いた場合、混色が1レーザスポットで実現できるので、原画像の1画素の大きさは変わらないで済む。よって、例えば300dpiのカラースキャナで読んだデータを300スポットパーインチのレーザマーカでマーキングするなら、原画と同じのサイズでマーキングされる。
【0017】
図8を用いて画像を2値化するやり方を説明する。通常、原画像をカラースキャナで読みRGBデータを得るが、各値は8ビットで表される。従って1画素は3バイトで表される。このデータをデイザを通して2値化する。プリンタやレーザマーカなどオンかオフかで表示する機器では2値化する必要がある。
ここでは4×4の計16個の画素をデイザの1つの単位とした。このデイザをRGB各面に敷き詰めてすべてのRGBのオンとオフを判定する。デイザの各値はしきい値で8ビットの0から255の値を8つに分け0から7とした。各値を2回使用している。これにより8つの階調を表現できる。例えば600スポットパーインチのレーザマーカなら、1スポットは40マイクロメータだから4×4の一片は160マイクロメータ、すなわち0.16mmとなる。このスポットで8段階の濃さを表現できることに対応する。図8の(1)を参照。
【0018】
次に、デイザの各値と原画の値を比較して、デイザの値に等しいか大きいならオンとし、小さいならオフとしてゆく。これをRGBの各面について行う。このようにして得られたデータが2値化データで図8(2)に示す。オンは1、オフは0で表示している。
【0019】
具体的な数値で言うと、今原画の4×4のエリアすべてがRの数値で40とする。薄いR色と言える。数値40は8つに分けたレベルで言うと40÷32=1.25である。これは2より小さく、デイザをかけた後は0と1の数値ある4個所がオンと判定される。薄い一律の色が4個のR点に変換されたことを意味する。
【0020】
図2は、本発明のもう1つの実施形態であるカラー刻印プレートの断面図である。5色6層品と表現される。色はW、R、G、B、Kの5色とした。レッドR、グリーンR、ブルーB、ホワイトW、ブラックKである。このRGBに加法混色が適用できるなら表現できる色を増やすことができる。図7の(1)に加法混色のルールを示す。これはRとGを混ぜるとイエローYとなり、BとGを混ぜるとシアンCになり、RとBを混ぜるとマゼンタMになり、RとGとBを混ぜるとホワイトWになることを示す。図7の(2)には、一例としてRとGの加法混色の実現例を示す。Rの微少片の横にGの微少片を並置して上から見ると、光はR色とG色の2つが干渉して、R+GでYになって見える。
【0021】
このことから、図2のカラー刻印プレートの層数は6層とした。W層20はRGBの3つの色が同時に重ね合わせになる時必要である。K層24はRGBのどの色もない場合に必要である。R層21、G層22、B層23は、それぞれ単独の色RGBを表現するために必要である。透明層25はレーザマーキングした後に層の保護を目的としてコーテイングしたものである。K層24は両面テープと兼用しており、台紙26とK層24の間を剥離して電子機器に貼り付ける。
図2の左側の彫り込みはR層21を露呈させているので上からみるとRが見える。また、右側の彫り込みはB層23を露呈させているので上から見るとBが見える。ここでの層の堀り方はすべてその層の浅掘りである。各層は十分な厚さがあり露呈させた層の下の層の色は露呈層の色に影響しないとする。レーザ光のスポット直径は約80ないしは40マイクロメータ程度の精度は出せる。各層の厚さは100マイクロメータ程度である。なお塗料によっては、層厚さを厚くしても光の透過性がなお残る場合がある。その場合は、各層の上下にW層を置いて色を閉じこめると良い。
【0022】
図4は、2値化されたRGBのデータが図2の層構成の場合、どのようなレーザスポットでマーキングすべきかを対応させた表である。異なった色のスポットを隣接して配置し別の色に見せる加法混色を行うには、横方向に2スポット必要となるが、ここでは縦2スポット横2スポットの計4スポットを使用する。各スポットの色は必要に応じて組合わせが決まっている。この状況を図4の下段に示す。
【0023】
各画素のR、G、Bは2値化されているのでオンかオフかどちらかである。オンを1オフを0で表示した。RGBの色表示に従うと、No1の000はRGBの各色とも「無」を表示しているので、レーザスポット4個によりK層24を露呈させる。No8の111はRGBのいずれもオンなので、合成した色は図7の(1)のルールに示すようにW(ホワイト)になる。従って、W層20を露呈させる。W層20は表面層なので、特に浅掘りも必要ない。
【0024】
No2、No3、No5は、その画素がそれぞれB、G、Rの色であることを示している。BならB層23を露呈させればよい。GならG層22を露呈させ、RならR層21を露呈させる。No4、No6、No7は、注目する画素のRGBの2つの色がオンになっている場合である。図7(1)の光の色混色ルールにより、それぞれC、M、Yの色となるが、その層の色は用意してないので、GBもしくはRBもしくはRGをそのまま2組み並べておく。No4では左上がG、右上がB、左下がB、右下がGと配置している。No6では左上がR、右上がB、左下がB、右下がRと配置している。No7では左上がR、右上がG、左下がG、右下がRと配置している。上から見ると、加法混色によりそれぞれC、M、Yに変化して見える。ここでは原画像の1画素を2×2のレーザスポットに置き換えたので、300dpi(ドットパーインチ)のカラースキャナで読んだデータは600スポットパーインチのレーザマーカでマーキングする。これにより、原画と同じのサイズでマーキングできる。
【0025】
図1のYMC色を用いた層構成において、2つのスポット色が加法混色し別の色に見えることはある。しかし、原画が2つのY色を示している時、図3の変換表に従うならY層露呈するのであって、一方のスポットをY+CでG色を出し、他方のスポットをY+MでR色を出し、RとGの加法混色でYを感じさせるという加法混色の手法は、図1では採用していない。
【0026】
図1のYMC色を用いた層構成において、深堀りによる層境界付近の露呈には、層厚が均一であること、またレーザマーカには縦方向の加工精度が要求される。これらが得られない場合、境界付近に混合層を積極的に設けてしまう案がある。この案は、減法混色による色合成は実施していない。また、層数が増えるのでプレートの製造ならびに刻印加工の手間が増える。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、層数を必要最小限にして簡便な方法で色の混色を実現したので、カラー刻印プレートに対する、ユーザのより個性化した要求に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるYMC色を用いたカラー刻印プレートの5色7層構造品の断面図である。
【図2】本発明の他の一実施の形態であるRGB色を用いたカラー刻印プレートの5色6層品の断面図である。
【図3】RGB表示の原画像データをYMC色ベースのカラー刻印プレートのどの層を露呈させるかとその加工方法を示す対応表である。
【図4】RGB表示の原画像データをRGB色ベースのカラー刻印プレートのどの層を露呈させるかとレーザスポットの色の組合わせを示す対応表である。
【図5】ノートブックタイプのパソコンにカラー刻印プレートを貼り付け、そのロゴにより所有者を明示するようにした実施例である。
【図6】(1)は絵の具の3原色を混色させた時に生成される色をチャートで示したものである。(2)減法混色の一実現方法を示す。
【図7】(1)は光の3原色を混色させた時に生成される色をチャートで示したものである。(2)は加法混色の一実現法を示す。
【図8】(1)4×4のデイザの一例を示す。(2)は原画像データにデイザを適用して2値化する場合の様子を示す図である。
【符号の説明】
10…W層、11…Y層、12…C層、13…M層、14…Y層、15…K層、
16…透明な保護層、17…台紙、
20…W層、21…R層、22…G層、23…B層、24…K層、
25…保護層、26…台紙、
100…ノートパソコン、101…パソコン本体、102…キーボード、
103…ヒンジ、104…ふた、105…液晶デイスプレイ、
106…カラー刻印プレート
Claims (3)
- 複数の着色層から成るカラー刻印プレートであって、
前記着色層は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の3原色をそれぞれ少なくとも1層含み、かつYM、MC、CYの3原色の組合せが隣接して層となるように層構成され、
前記着色層の各層を、該着色層を露呈させる浅掘りと、該着色層の下層の着色層と減法混色する程度に露呈させる深掘りの2つの刻印加工のいずれかを行い色を表出したことを特徴とするカラー刻印プレート。 - 請求項1記載のカラー刻印プレートにおいて、
前記YMCの着色層の最表層にW(ホワイト)層を設けるか、あるいは最下層にK(ブラック)層を設けたことをを特徴とするカラー刻印プレート。 - 請求項1または請求項2記載のカラー刻印プレートにおいて、
前記各着色層を微細に刻印し、表出した色の加法混色をおこなうことを特徴とするカラー刻印プレート。
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