JP3918420B2 - 反射体、表示パネル、携帯端末装置および反射体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶パネル、プラズマディスプレー等に用いる反射体あるいは反射層の構造と反射体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
反射型の表示装置として、液晶層を透過した光を反射型の電極を用いて再び液晶層の方向に反射させ、所望の画像を表示する反射型の液晶パネルなどが知られている。この反射型の電極の表面(反射面)には、周囲からの光を画像を表示する方向に効率良く反射するために、複数のおわん型あるいはボール型など略点対称で微細な球面形状の凹状または凸状のパターンが配置されている。さらに、これら凹状または凸状のパターンはほぼランダムになるように配置され、表示した画像に筋やモアレが生じないようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
反射型の液晶パネルは、軽量、小型(薄型)および低消費電力という優れた点を生かし、携帯電話機の表示パネル、ノートパソコンまたはPDA(パーソナルデータ機器)などの携帯型のディスプレィ(表示パネル)として、急速に需要が高まっている。特に、反射型の液晶パネルの用途の1つである携帯電話機においては、暗い場所でのみバックライトなどを補助光源として用いて、明るい場所では、自然光または照明光などの周囲光を光源とすることができ、携帯電話の1つの大きな問題である電池による長時間駆動を可能とする重要なファクタとなっている。
【0004】
しかしながら、反射型の液晶パネルは得られる光量が小さい。近年の携帯電話機などでは表示のカラー化が進む中で、明るさの向上、色再現の向上など表示性能のより一層の向上が要求されているため、反射型の表示パネルおよびそれに用いられる反射型の電極などの反射体において、光の利用効率のいっそう向上することが不可欠となっている。
【0005】
光の利用効率の向上は、液晶パネルに用いられる反射型の電極などの反射体に限らず、プラズマディスプレーパネルなどに用いられる反射体等においても同様である。
【0006】
そこで、本発明では、量産性があり、より光の利用効率の高い反射体を提供することを目的としている。さらに、明るく、色再現性が良い表示性能の高い液晶パネルおよび携帯機器を提供することも目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
反射型の液晶パネルなどの表示パネルの大きな適用分野は携帯電話などの携帯型の機器である。携帯電話機などにおける表示パネルは、表示面積が小さく、個人で見ることができれば良いので、視野角はそれほど必要ではない。さらに、携帯電話機本体を手に持って、つまり表示面(液晶パネル)を傾けて使用することが多い。このため、自然光または照明光の入射方向は限定される。したがって、表示パネル(液晶パネル)が利用されている実態に即して反射体の構造を決定することにより、光の利用効率の向上を図ることが可能であることに本願出願人は着目した。
【0008】
そこで、本発明においては、光の反射方向、あるいは角度をほぼ均一にするのではなく、すなわち、反射電極などの反射体における凹状または凸状の基本パターンを円形または球形にするのではなく、凹状または凸状の形状の縦方向と横方向(Y軸方向とX軸方向)とで意図的に異なる形状とすることにより、実際の表示パネルの利用形態に即した方向に効率的に配光できるようにしている。
【0009】
すなわち、本発明の反射体では、縦方向と横方向とで形状の異なる凹状または凸状の基本形状にほぼ相似する複数の微細な反射形状を縦方向および横方向は変えずにほぼランダムにほぼ隙間がないように配置するようにしている。また、本発明の反射型の液晶パネルなどの表示パネルにおいては、液晶層などの透過型の表示層を透過した光を表示層の方向に反射する反射層(反射体)に、縦方向と横方向とで形状の異なる凹状または凸状の基本形状にほぼ相似する複数の微細な反射形状を縦方向および横方向は変えずにほぼランダムにほぼ隙間がないように配置するようにしている。
【0010】
本発明の反射体および反射型の表示パネルにおいては、基本形状を縦方向と横方向とで異なる形状とし、さらに、これらの相似形、すなわち、サイズが特に一定していない形状で構成される反射形状を複数設けている。したがって、縦方向と横方向とでは、配光性能が異なり、縦方向と横方向に均等に広がっていた(発散していた)光を所望の方向に向けることができる。したがって、所望の方向では反射光量を大きくすることができる。たとえば、基本形状が平面または複数の平面の組み合わせで構成される場合は、横方向の面の平均的な傾きが、縦方向の面の平均的な傾きに対し大きくすることができる。また、基本形状が凹状または凸状を曲面で形成する場合は、横方向の面の平均曲率半径が縦方向の面の平均曲率半径より小さく設けることができる。
【0011】
ユーザが見る方向の光量を増加することにより、ユーザが見ることができる光の利用効率を上げることにより、明るく、色再現性も良い表示性能の高い表示パネルを提供できる。また、これらの複数の反射形状は、それぞれ基本形状に対して同方向とした状態でランダムに配置することで、モアレや筋の発生を抑えることができる。
【0012】
さらに、同一の方向でも、その方向の形状を非対称にすることにより、特定の方向にさらに反射光を配光して利用効率を上げることができる。すなわち、縦方向が非対称な凹状または凸状の基本形状に、ほぼ相似する複数の微細な反射形状が縦方向は変えずにほぼランダムに配置した反射体あるいは表示パネルでは、縦方向に反射される光を一方に配光しやすくすることができる。基本形状が平面または平面の組み合わせで構成される場合は、縦方向の一方を向いた面の平均的な傾きが、他方を向いた面の平均的な傾きよりも小さくすることができる。また、基本形状が曲面で構成される場合は、縦方向の一方を向いた面の平均曲率半径が、他方を向いた面の平均曲率半径よりも大きくすることができる。
【0013】
本発明の表示パネルを用いた携帯端末装置においては、ユーザが使用する状態では、上方または斜め上方がライトや太陽などの光源の方向となる。また、ユーザは表示パネルを斜め上方あるいは横方向から見る。したがって、縦方向の一方を向いた面を、該反射体あるいは表示パネルを使用するときに斜め上方または光源に近い方向を向く面とし、縦方向の他方を向いた面を斜め下方または光源から遠い方向を向く面とすることにより、反射光をユーザが見る方向に効率良く反射することができる。このため、光の利用効率がさらに高く、いっそう明るく、色再現性も良い表示性能の高い表示パネルを提供できる。
【0014】
円形あるいは球面上の凹凸を備えた反射体は、凹凸に対応する位置が2値にパターニングされたマスク等を利用して、フォトリソグラフィー技術などにより製造できる。しかしながら、本発明にかかる反射体は、基本形状が円形あるいは球形ではないので、同じ方法では製造できない。そこで、本発明においては、透過率変調マスク(グレイマスク)を用いることにより、縦方向と横方向が異なる反射形状を備えた反射体を製造し、反射体として採用できるようにしている。すなわち、本発明の反射体の製造方法は、基本形状にほぼ相似な複数の微細な凹凸形状がランダムにほぼ隙間がないように配置された反射面を有する反射体を製造する際に、凹凸形状を表現する空間分布データを作成する工程と、空間分布データに基づき透過率が変化した透過率変調マスクを製造する工程と、この透過率変調マスクにより感光性材料を露光して、この感光性材料を立体加工する工程と、立体加工された感光性材料の表面に沿った反射面を形成する工程とを有する。反射面を形成する工程としては、立体加工された感光性材料の表面に反射膜を製膜する工程、あるいは、反射性材料からなる反射体の表面を立体加工された感光性材料を通してエッチングする工程を採用することができ、上記のような光を特定の方向に効率良く反射することにより光の利用効率を上げることができる反射体を簡単に、生産性が良い方法で製造できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1に、本発明の反射体を用いた液晶パネルが搭載された端末機器として携帯電話機を例に示してある。本例の携帯電話機1は、データが表示される表示パネルとして反射型の液晶パネル10が採用されており、明るい場所では、上方からの自然光または照明光70を光源として画像を表示できる。したがって、液晶パネルのバックライトを省略あるいはバックライトを必要とする時間を減らすことができるので薄型で省電力タイプの携帯電話機となっている。
【0016】
このため、本例の液晶パネル10は、液晶層(セル)12と反射電極となる層(反射体)20が積層された構成になっている。なお、以降では、透明電極、カラーフィルタなどの公知のカラー液晶パネルを構成する他の層についての説明は省略する。本例の反射層20は、アルミニウム製で、微細な複数の凹凸により形成された反射面21を備え、液晶セル12を透過した外部からの光71が反射面21で反射し、再び液晶セル12の方向に出射光72を出力し、その結果、液晶パネル10で表示された所望の画像をユーザ90が見ることができるようになっている。液晶パネルは、明るく、色再現性が良いなど表示性能が高いものが要求されており、バックライトを設けて光量を確保しているが、本例の液晶パネル10においては、反射層20の反射方向を適切に制御することにより光の利用効率を向上し、バックライトを用いずに低消費電力でありながら表示性能の高い液晶パネルを提供可能にしている。
【0017】
図2に本例の反射層20の反射面21の一部を拡大して示してある。本例の反射層20の反射面21には、縦方向と横方向とで形状の異なる凹面状の複数の微細な反射形状28がほぼランダムに配置されている。これらの反射形状28は、縦方向(Y軸方向)および横方向(X軸方向)のサイズが数ミクロンから数10ミクロンのオーダの微細な形状であり、図2に示した集合の左端の形状を基本形状26とすると、その基本形状26に対して相似形の、すなわち、基本形状26と同一またはミクロンオーダで拡大または縮小された形の様々なサイズの反射形状28が縦方向Yおよび横方向Xの向きは変えずにランダムに、ほぼ隙間がないように配置されている。
【0018】
これらの反射形状28はアレイ状に2次元方向に整列させることも可能である。しかしながら、本例においては、ランダムに配置することにより液晶パネル10で表示される画像にモアレや筋が発生することを防いでいる。
【0019】
図3(a)および(b)に、反射層20を基本形状26の部分で横方向Xおよび縦方向Yで切断した様子を示してある。本例の基本形状26は、反射面21が凹んだ凹形状であり、横方向Xの曲面21xと、縦方向Yの曲面21yの曲率が異なった縦方向Xと横方向Yとで形状が異なる凹形状である。本例の基本形状26では、横方向Xの曲面21xの平均曲率半径Rxが、縦方向Yの曲面21yの平均曲率半径Ryより小さくなっており、縦方向Yの曲面21yに比べ、横方向Xの曲面21xの曲率が大きく、曲面21xの方が勾配が大きい。
【0020】
図4(a)に示すように、縦方向Yに対し横方向Xの勾配が大きく、曲率半径Rxの小さな基本形状26で周囲から集まる光71を反射すると、反射された光(光束)72の断面は、縦方向Yに対し横方向Xが広い楕円形になり、横方向Xの利用度が上がる。したがって、この基本形状26に相似する反射形状28が反射面21に配列された反射層20を採用した本例の液晶パネル10においては、縦方向Yに対して、横方向Xに反射される光72が横方向X、すなわち、縦方向Yを鉛直方向とすると左右の水平方向に発散する割合を大きくし、液晶パネル10の正面(反射層20の法線方向)の、すなわち眼90に入る光を多くできる。
【0021】
また、図4(b)に比較例とし、平坦な反射面97である液晶パネル98における光路を模式的に示してある。この図から分かるように、反射面97が平坦の場合には、横方向からの入射光71は、反射されると光72のようになり、図に示す正面方向にはそれほど配光されず利用効率が悪い。したがって、液晶パネル10の正面(反射層20の法線方向)の側のユーザ90では明るい画面が得られない。
【0022】
これに対して、上記の図4(a)に示した本例のように、反射面21の基本形状26を凹状とし、さらに、この反射面21の曲面21xおよび21yの曲率半径を小さくすることで、すなわち、曲率を大きくすることで反射する光72を図に示す方向に発散できる。このため、平坦な面97では、ユーザ90に届かず、すなわち見えなかった光が、見えるようになるので利用効率を向上でき、明るい画面が得られる。
【0023】
したがって、曲率半径の小さな、すなわち、曲率を大きな凹状の反射面21を備えた液晶パネル10では、ユーザ90の側が正面となるように携帯電話機1に取付けた際に、ユーザ90に向けて出射される光72の水平方向の利用度を増しやすく、ユーザ90に届く光量を大きくすることができる。
【0024】
携帯電話機1などの携帯型の装置を考えた場合、これらはパーソナルユースであり、同時に表示パネルを見る機会のある人間は1人にほぼ限定され、また、1人に限定しても機能が阻害されることはない。したがって、携帯電話機1あるいはその他の携帯用機器に用いる液晶パネル10では、ユーザが手で携帯電話機1を持ったときの左右の方向、すなわち、横方向Xの視野角はそれほど必要なく、本例のように、横方向Xの側面(反射面)21xの勾配を大きくすることにより、反射された出射光72をできるだけ正面に向け、輝度を上げることができる。
【0025】
このように、反射層20の反射面21に設けられた反射形状28の横方向の反射面21xおよび縦方向の21yをそれぞれの方向に適した形状とすることにより、携帯用機器1の液晶パネル10としては性能を落とすことなく正面側(反射層20の法線方向で、ユーザ90に向いた側)の有効な光束を増加することが可能であり、反射型の液晶パネル10における光の利用効率を向上させることができる。したがって、バックライトを省いて省電力化できると共に、明るく、色再現性の良く、見やすい液晶パネル10を提供できる。
【0026】
上記の例では、凹状の反射形状を採用した例を示してあるが、横方向Xの反射面21xの勾配を縦方向Yの反射面21yの勾配より大きくすることにより反射光72の横方向Xの広がりを大きくすることができるので、凸状の反射形状を採用することも可能である。図5には、凸形状の反射形状38を採用した例を示してある。さらに、反射型の液晶パネル10を携帯電話機1などの手持ちのポータブルな機器に用いる場合には、携帯電話機1を手で持って使うので、図5に模式的に示すように、液晶パネル10が傾いた状態で用いられる。このため、液晶パネル10の上方、すなわち、反射層20の縦方向Yの上方に光源70が位置し、上方からの入射光71を水平方向あるいは若干上方に位置するユーザの眼90の方向に反射することが望ましい。さらに、ユーザが携帯電話機1などを把持したときの手と顔の位置関係より、ユーザの眼90は液晶パネル10を覗き込むような高さになるので、反射光72の向きは、斜め上方になることが望ましい。逆に、縦方向Yの他方(下方)側には光源がなく、また、ユーザ自身により光が遮蔽されるので、縦方向Yの下方からは光が殆ど反射面21に到達しない。また、ほとんどのケースでは、携帯電話機1を顔の上方に持つことはないので、液晶パネル10から下方に光を反射する必要はない。
【0027】
したがって、本例においては、縦方向Yの上下の形状も意図的に変えた基本形状36を採用することにより、反射光72の縦方向Yの分布も最適化し、さらに光の利用効率を向上するようにしている。図6に、本例の反射層20の反射面21の一部を拡大して示してある。本例の反射層20も反射面21にミクロンあるいは数10ミクロンオーダのサイズの反射形状38がランダムに配置されており、これらの反射形状38は、図6の左端の形状を基準形状36としたときに、重なる(接する)部分など一部を除き、この基本形状36とほぼ相似な形状になっている。この基本形状36は、正面、すなわち横方向Xおよび縦方向Yに対して直交する方向(Z方向)にユーザ90の側に突き出た凸状で、縦方向Yの上方が狭く下方が広く、上側に比べて下側が膨らんだドロップ型(涙型)になっている。
【0028】
さらに、図7に断面を用いて示すように、本例の基本形状36は、縦方向Yの上下が非対称な凸状に形成されている。すなわち、本例の基本形状36のY軸方向の反射面21yは、上側を向いた曲面21yuの平均曲率半径Ryuが、下側を向いた曲面21ydの平均曲率半径Rydよりも大きく形成されており、縦方向Yの上方を向いた面21yuの平均的な傾きθ1が、下方を向いた面21ydの平均的な傾きθ2より小さくなっている。
【0029】
したがって、上側を向いた面21yuの方が下側を向いた面21ydに比べて緩やかな曲面となり、基本形状36の中で、上方を向いた面21yuの表面積が占める比率(割合)が大きくなる。縦方向Yの面21yのうち、上方を向いた面21yuは上方から入射された光71を斜め上方のユーザの眼90の方向に反射するのに適した面であり、上方に向いた面21yuの面積を広くすることにより上方からの入射光71を有効にユーザの眼90の方向に反射できる。このように縦方向Yの形状を上下において非対称とすることで、上方からの入射光71を眼90の方向に当たり易くなった基本形状36に相似する反射形状38を、縦方向Yは揃えて反射面21にランダムに配置することにより、上方からの入射光71を上方側の眼90の角度に効率的に反射でき、眼90の方向に出射光72を集束できる。したがって、本例の液晶パネル10を搭載した携帯電話機1を手で持ったときに、出射光72を正面のユーザ90の側に効率良く配光することができ、光の利用効率が高く、さらに明るくカラー画像の綺麗な液晶パネル10およびそれを搭載した携帯電話機1などの携帯端末を提供できる。
【0030】
また、図8に示すように、基本形状36は、凸状であることを除くと、図2に示した凹状の基本形状26と同様に、横方向Xの反射面21xの平均曲率半径Rxが、縦方向Yの反射面21yの平均曲率半径Ryよりも小さくなるように形成されている。したがって、図8に示すように、反射面21から反射される光束72は縦方向Yに対し横方向Xの発散度が高く、横方向Xの光が眼に入る率が向上されている。したがって、曲率半径の小さな(曲率の大きな)凹状の反射面21を備えた、すなわち、本例の涙滴型の基本形状36に相似する反射形状38を備えた反射層20を採用した液晶パネル10では、縦方向Yおよび横方向Xの光の利用効率が向上されており、反射型でありながら非常に明るい液晶パネルとすることができる。
【0031】
このように、反射層20の基本形状の縦方向および横方向の形状を対称にするのではなく、上述したような考え方にしたがって携帯端末の利用状態を考慮して意図的に変えることで、携帯端末に使用されたときの液晶パネルにおける光の利用効率を上げることができる。上記では、曲面を用いて基本形状および反射形状を構成した例を説明しているが、同じ思想に基づいた形状は上記に限定されるものではない。図2に示した基本形状26は凹状であるが凸状であっても良く、逆に、図6に示した基本形状36は凸状であるが凹状であっても良い。さらに、曲面の代わりに平面を組み合わせることにより基本形状および反射形状を構成することも可能である。
【0032】
図9(a)および(b)にその一例を示してある。図9(a)に示した基本形状31は、3つの面を備えた三角錐状の凹状あるいは凸状であり、縦方向Yの上方に向いた面31aおよび31bに対し、下方に向いた面31cの角度が大きい。さらに、全体は縦方向Yに長く、縦方向Yの平均的な傾きに対し横方向Xの平均的な傾きが大きくなっている。したがって、上記の曲面により構成された基本形状36と同様に、上方からの光を斜め上方に効率良く反射でき、さらに水平方向の光は正面の方向に収束するように反射することができる。
【0033】
図9(b)に示した基本形状32は、4つの面を備えた四角錐状の凹状あるいは凸状であり、縦方向Yの上方に向いた面31aおよび31bに対し、下方に向いた面31cおよび31dの角度が大きい。さらに、全体は縦方向Yに長く、縦方向Yの平均的な傾きに対し横方向Xの平均的な傾きが大きくなっている。したがって、上記の曲面により構成された基本形状36と同様に、上方からの光を斜め上方に効率良く反射でき、さらに水平方向の光は正面の方向に収束するように反射することができる。同様の効果を備えた基本形状は5つあるいはそれ以上の面を備えた多角形状でも実現することができる。
【0034】
本発明における、縦方向と横方向が非対称な基本形状を基にした反射形状を備えた反射パネル20は、2値のマスクを用いてエッチングするような縦方向と横方向が同じ速度あるいは量で加工されるような方法では実現できない。そこで、以下では、グレイマスクを用いて非対称な反射形状を備えた反射体を製造する過程を説明する。図11に示すように、グレイマスク85は、透過率が線形または非線形に制御されたマスクであり、このグレイマスク85を通して露光することにより、感光体の露光強度を自由に変えることができる。したがって、レジストなどの感光性の構造層を断面が所定の角度あるいは形状になるように加工できる。このグレイマスク85は、感光性ガラス等に電子ビームあるいはレーザビームを階調制御しながら照射することにより作成できる。
【0035】
図10にグレイマスクを用いて反射体を製造する過程の一例を示してある。まず、基本形状を決定し、その相似形を発生させ、縦方向Yおよび横方向Xを合わせてランダムに配置することにより反射体20の反射面21の凹凸を表現する空間分布データを作成する(ステップ91)。このとき、予めシミュレーションを行い、反射特性が良い形状で、後のプロセスの加工特性が良好となる形状を決定してから空間分布データを作成することが望ましい。
【0036】
次に、作成された空間分布データに基づき感光性ガラスに電子ビームを照射するなどの方法により透過率が所望の分布で変化したグレイマスク(透過率変調マスク)85を作成する(ステップ92)。そして、図11(a)に示すように、シリコン基板81の上に形成された感光性材料(レジスト)の層82をグレイマスク85を通して露光し、さらに、図11(b)に示すように、露光されたレジスト層82を現像することにより所望の立体構造体82aを加工する(ステップ93)。
【0037】
さらに、図11(c)に示すように、この立体構造体(レジスト層)82aの表面に沿ってアルミニウムなどの反射特性の高い素材の層83を蒸着などの方法により形成する。これにより、所望の形状のアルミニウム製の反射層(反射体)20を製造することができる(ステップ94)。
【0038】
また、図12および図13に示すように、エッチングにより反射体20を形成することも可能である。すなわち、上記と同様に、空間分布データを作成し(ステップ91)、グレイマスク85を作成する(ステップ92)。そして、図13(a)に示すように、シリコン基板81の上に反射体となるアルミニウムの層86を形成した後に、アルミニウムの層86に重ねてレジスト層82を形成し、グレイマスク85を通してレジスト層82を露光し、図13(b)に示すようにレジスト層82を現像することにより所望の立体形状82aを得る(ステップ93)。
【0039】
この後に、図13(b)に示すように、所望の立体形状に加工されたレジスト層82aを介してエッチングすることにより、レジスト層82の下地層であるアルミニウムの層86にレジスト層82の立体形状82aを転写することにより本例の反射体20を形成する(ステップ95)。
【0040】
このようにグレイマスク85を用いることにより、縦方向と横方向の形状が異なる非対称な形状も半導体製造技術として量産が可能で歩留まりも高いフォトリソグラフィー技術を用いて製造することができる。したがって、上述した本発明にかかる微細で複雑な立体構造を備えた反射層(反射体)20を、設計どおりに簡単に低コストで歩留まり良く製造できる。したがって、上記で説明した反射層20および液晶パネル10を、高い品質で低コストで量産することが可能となる。
【0041】
なお、上記では、本発明の反射体および反射型の液晶パネルを、携帯電話機1に用いた例を説明しているが、これに限定されず、端末機器、例えば、PDA、ノートパソコン、家庭用の小型ゲーム機、デジタルビデオなどに用いることも可能であり、これらの機器においても反射光の利用効率を向上できるので、省電力で明るく綺麗な表示が可能な機器を提供することができる。さらに、上記では、反射型の液晶パネルに基づき本発明を説明しているが、プラズマディスプレーパネルなどの他の透過性の表示パネルに対しても本発明を適用することができる。
【0042】
さらに、上記の例では、携帯電話などのユーザが手で持って操作する機器に本発明を適用する例を主に説明しており、縦方向(Y軸方向)を上下方向あるいは鉛直方向に向けて横方向(X軸方向)を左右方向あるいは水平方向に向ける例を示しているが、その他の用途、ユーザが横になった状態で見る装置などのユーザの見る姿勢が異なる装置においては、ユーザが見る方向と、光が得られる方向に合わせて縦方向および横方向を設定することにより、ユーザの利用方法に即した方向に反射光を配光することができ、光の利用効率の高い表示パネルを供えた機器を提供することができる。
【0043】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明では、反射型の液晶パネルなどの反射電極となる反射層あるいは反射体に形成される凹状または凸状の反射形状を縦方向と横方向で同一にせずに異なる形状とするで反射された光を正面に向けて配光でき、携帯電話機などの液晶パネルが用いられる機器の利用状態に合わせて光の利用効率を向上できる。さらに、縦方向の基本形状も上下で非対称な形状とすることで、上方からの入射光をユーザの方向に有効に配光できる。したがって、さらに光の利用効率を上げることができ、明るく、色再現性の良い反射型の表示パネルおよびそれを用いた携帯型の機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る反射層を用いた反射型の液晶パネルを備えた携帯電話機の概要を示す図である。
【図2】図1に示した本発明に係る反射層の概要を示す斜視図である。
【図3】図2に示した反射層の基本形状を示す図である。図3(a)は、横方向(X軸方向)から見た様子を示す断面図であり、図3(b)は、縦方向(Y軸方向)から見た様子を示す断面図である。
【図4】図4(a)は、図3(a)に示した横方向から見た反射形状における光路を示す図である。図4(b)は、図4(a)の比較図であり、平坦な面の反射面(反射形状)における光路を示す図である。
【図5】異なる基本形状に基づく反射層を用いた液晶パネルを備えた携帯電話機の概要を模式的に示す図である。
【図6】図5に示した反射層の概要を示す斜視図である。
【図7】図6に示した反射層の基本形状を示す図であり、縦方向(Y軸方向)から見た様子を示す断面図である。
【図8】図6に示した反射層の基本形状を示す図であり、横方向(X軸方向)から見た様子を示す断面図である。
【図9】さらに異なる基本形状の例を示す図である。
【図10】本発明に係る反射体(反射層)の製造工程を示す図である。
【図11】図10に示す製造工程を模式的に示す図である。
【図12】エッチングにより本発明に係る反射体の製造工程を示す図である。
【図13】図12に示す製造工程を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 携帯電話機
10 液晶パネル
12 液晶セル
20 反射体(反射層)
21 反射面
26、31、32、36 基本形状
28、38 反射形状
70 光源
71 入射光(照明光)
72 出射光(反射光)
81 基板
82 レジスト層
85 グレイマスク
90 ユーザ
Claims (14)
- 縦方向と横方向とで形状の異なる凹状または凸状の基本形状にほぼ相似する複数の微細な反射形状が前記縦方向および横方向は変えずにほぼランダムにほぼ隙間がないように配置されている反射面を有する反射体。
- 請求項1において、前記基本形状は、前記横方向の面の平均的な傾きが前記縦方向の面の平均的な傾きに対し大きい反射体。
- 請求項1において、前記基本形状は、前記横方向の面の平均曲率半径が前記縦方向の面の平均曲率半径より小さい反射体。
- 縦方向が非対称な凹状または凸状の基本形状にほぼ相似するサイズが異なる複数の微細な反射形状が前記縦方向は変えずにほぼランダムに配置されている反射体。
- 請求項1において、前記基本形状は、縦方向が非対称である反射体。
- 請求項4または5において、前記基本形状は、縦方向の一方を向いた面の平均的な傾きが、他方を向いた面の平均的な傾きよりも小さい反射体。
- 請求項4または5において、前記基本形状は、縦方向の一方を向いた面の平均曲率半径が、他方を向いた面の平均曲率半径よりも大きい反射体。
- 請求項6または7において、前記縦方向の一方を向いた面は、該反射体を使用するときに斜め上方または光源に近い方向を向く面であり、前記縦方向の他方を向いた面は、斜め下方または光源から遠い方向を向く面である反射体。
- 反射型の表示パネルであって、透過型の表示層を透過した光を該表示層の方向に反射する反射層を有し、この反射層に、縦方向と横方向とで形状の異なる凹状または凸状の基本形状にほぼ相似する複数の微細な反射形状が前記縦方向および横方向は変えずにほぼランダムにほぼ隙間がないように配置されている表示パネル。
- 反射型の表示パネルであって、透過型の表示層を透過した光を該表示層の方向に反射する反射層を有し、この反射層に、縦方向が非対称な凹状または凸状の基本形状にほぼ相似するサイズが異なる複数の微細な反射形状が前記縦方向は変えずにほぼランダムに配置されている表示パネル。
- 請求項9または10に記載の表示パネルを有し、この表示パネルでデータを表示する携帯端末装置。
- 基本形状にほぼ相似な複数の微細な凹凸形状がランダムにほぼ隙間がないように配置された反射面を有する反射体の製造方法であって、
前記凹凸形状を表現する空間分布データを作成する工程と、
前記空間分布データに基づき透過率が変化した透過率変調マスクを製造する工程と、
この透過率変調マスクにより感光性材料を露光して該感光性材料を立体加工する工程と、
立体加工された前記感光性材料の表面に沿った前記反射面を形成する工程とを有する反射体の製造方法。 - 請求項12において、前記反射面を形成する工程では、前記立体加工された感光性材料の表面に反射膜を製膜する反射体の製造方法。
- 請求項12において、前記反射面を形成する工程では、反射性材料からなる前記反射体の表面を前記立体加工された感光性材料を通してエッチングする反射体の製造方法。
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