JP3917937B2 - 改良した膜濾過システム - Google Patents

Description

【０００１】
発明の分野
本発明は、膜濾過システムに関し、より詳細には、大気に開口するタンクまたはセル内に配置された多孔質または透過性の膜を用いる膜濾過システムに関する。
【０００２】
背景技術
明細書を通して、従来技術の説明は、そのような技術が周知であるか、あるいは、当該技術分野において共通する一般的な知識の一部分を成すものであることを認めたとみなすべきではない。
【０００３】
多孔質膜濾過システムでは、膜間圧を減少させながら、フラックスおよび濾過効率を維持するために膜を定期的に逆流洗浄（または逆洗）する必要がある。膜間圧（ＴＭＰ）は、不純物によって膜の孔が閉塞されるにつれて増加する。典型的には、逆流洗浄サイクルの間、加圧したガスもしくは液体またはそれらの双方によって、膜の孔から供給タンクまたはセルへと不純物を押し出す（または流出させる）。その後、膜の不純物および堆積物（または付着物）を含む液体をタンクからドレイン（または抜き出し）またはフラッシュ（または洗い流し）する。
【０００４】
通常は環境に安全な方法でもってタンクから排出した排液を処分または再処理する必要があり、従って、かかる排液の体積を減少させることが、環境的な影響およびコストの点で有利であると理解されている。
【０００５】
また、特に膜の大きいアレイを用いる場合、タンクのドレインまたはフラッシュには、時間を要し、その結果、濾過サイクルに休止時間（または停止時間）をもたらすことになる。この休止時間を減少させるために、大きいポンプ・システムによって迅速にドレインおよびタンクに再充填を行なう必要がある。バンクにタンクまたはセルが配置され、フィード（または供給）を用いてタンクを再充填する場合、再充填プロセスの間で他のセル内のレベル（または液位）が低下することがある。このことも、濾過システムの運転効率を悪化させることになる。
【０００６】
更に、膜の気泡洗浄（ｇａｓ ｂｕｂｂｌｅ ｓｃｏｕｒｉｎｇ）を用いる濾過システムでは、洗浄プロセスを助けるように膜領域にできる限り多くの気泡を閉じ込める（または集める）ことが有利であることが判った。
【０００７】
また、逆流洗浄体積の減少によって、システムに必要な化学洗浄剤（または化学清浄剤）の量が減少する。これによって、化学物質に必要なコストが減少する一方、廃棄物処分の問題もまた減少するという２倍の利益がもたらされる。
【０００８】
濾過セル内のフィード液体の体積が減少することは、上述の問題を緩和し、また、上述の利点の少なくとも幾つかを供する点で有利であることが判った。
【０００９】
発明の開示
本発明は、従来技術の１またはそれ以上の上述の問題を克服して、１またはそれ以上の上述の利点を供するか、あるいは簡単であって、コスト的に効率の良い方法でもって、多孔質膜に供するフィード体積を減少させることによって有用な代替方法を少なくとも供することを目的としている。
【００１０】
１つの要旨において、本発明は、濾過されるフィード液体に浸漬する複数（または多く）の多孔質膜を有する膜濾過システムに必要なフィード液体の体積を減少させる方法であって、濾過されるフィード液体内に充填物（または充填材）要素を供する工程を含んで成る方法を提供する。
【００１１】
好ましくは、液体が膜と接触して流れることを可能にしつつ、充填物要素によって、多孔質膜の間の空隙を実質的に充填する。
【００１２】
もう１つの要旨において、本発明は、濾過されるフィード液体に浸漬する複数の多孔質膜を有する膜濾過システムであって、該濾過されるフィード液体の体積を減少させるために、１またはそれ以上の充填部材が該膜の間の空隙に供される膜濾過システムを供する。
【００１３】
１つの好ましい態様において、膜は、膜モジュールを形成すべく束（またはバンドル）状に配置された多孔質中空繊維膜（または多孔質中空糸膜）である。モジュールは、大気圧に解放した（または大気圧下にある）タンクまたはセル内に供された液体に浸漬される。発明のこのような形態において、モジュール間の空隙は、１または複数の充填部材によって少なくとも部分的に充填される。
【００１４】
好ましくは、充填部材は、一体的なユニットを構成するように、相互に適合する（または嵌まる）複数の要素から各々構成される。これによって、モジュールを取り外すことなく、膜モジュールの周りに充填部材を組み立てることができる。これによって、初期のセットアップ（または設置）ならびに取り替えおよびメンテナンス法が助力されることになる。
【００１５】
充填物要素は、空隙を塞ぐべく膜の周りに詰めることができる球状物を有して成り、好ましくは中空である。球状物は、濾過システムに関連する入口／出口またはバルブを塞ぐことのないサイズまたはそこを通過してしまうことのないサイズであることが好ましい。
【００１６】
以下にて、添付図面を参照して、本発明の好ましい態様を実施例によって説明するが、これは単に実施例にすぎない。
【００１７】
好ましい態様の説明
図面を参照して、我々の同時継続のＰＣＴ出願第（ＷＯ）００／６２９０８号（相互に引用することによって本明細書に組み込まれている）に開示されるマニホールドおよび濾過システムに関して態様を説明するが、本発明は、同様な利点を必要とする他の形態の濾過システムに等しく適用できることが理解されよう。
【００１８】
システムは、膜濾過マニホールド７に群を成すように各々取り付けられたフィルター・サブモジュール６のバンク５を含む。かかる態様において、サブモジュール６は、支持ケージ（図示せず）によって典型的に包囲される多孔質中空繊維膜（図示せず）の細長い束を有して成る。サブモジュール６はフィード・タンクまたはセル（図示せず）内に配置され、タンクが充填されると、サブモジュールはフィード液体内に浸漬されることになる。各々のマニホールド７は、濾液を取り出すための濾液導管８に接続されている。
【００１９】
逆洗プロセスの間、繊維膜の外表面をスクラブ（またはこすり洗い）するために、サブモジュール６の繊維束は、各々のサブモジュールに注入される空気／液体の混合物または気泡によって外部から洗浄される。なお、繊維の孔を通る逆洗用液体および／または気体によってサブモジュール６を更に洗浄することができる。
【００２０】
この態様において、逆流洗浄体積を減少させるために、各々のサブモジュール６は、細長い繊維束の周りで各々が接近して適合できるようにセグメントを成す複数の充填部材９によって部分的に包囲される。この態様において、充填部材９は、上方のマニホールドおよび下方のマニホールド７から離隔しており、液体および／または不純物がサブモジュール６内に流れ込むことができ、また、それから流れ出ることができる。液体が流れることが可能な他のアレンジメントを用いることもでき、例えば、充填部材９は各々の繊維束のサブモジュール６の外周から半径方向に離隔してよく、また、各々のサブモジュール６の間の空隙を実質的に依然充填しつつ、液体がサブモジュール６へと流れ込むことができるまたはそこから流れ出ることができる種々の形状の充填部材９を用いてもよいことが理解されよう。
【００２１】
気泡洗浄法を用いるこのシステムでは、充填部材９の使用によって、サブモジュール６内にて気泡を閉じ込めるという付加的な利点が供され、従って、洗浄効率が向上することになる。
【００２２】
図３〜図１１に最も良く示すように、充填部材９は、向い合う半円形状の断面を有する並行なチャンネル１１を２セット有する中央要素１０またはコア要素１０を有して成る相補的なセグメントから構成されており、チャンネル１１は中央要素１０の長さに沿って長手方向に延在している。チャンネル１１は、サブモジュール６を収容し、その周りで接近して適合する大きさの直径を有する。要素１０の側部１２および内側エッジ１３には、他方の充填物のセグメント１６の相補的スロット１５に適合する（または嵌り合う）外側に延在するタブまたはボス（または凸部）１４が供されており、使用に際して一体的な充填部材９が供される。
【００２３】
サイド充填セグメント１６の断面は略Ｔ形状であり、中央要素１０と同じ直径を有する円を４分割した形状の側部１７を有する。
【００２４】
繊維束の頂部および底部へと流体が流れることができるように、また、そこから流体が流れ出ることができるように、マニホールド７から空間関係（または離隔関係）を有した状態で充填物要素９を配置（または定置）させるスペーサー・ペグ１９が中央要素１０の上部表面および下部表面１８に供される。
【００２５】
充填部材９は、フィード・ストリーム内に存在する有害な（または破壊性を有する）物質ならびに逆流洗浄もしくは他の洗浄プロセスで使用され得る化学薬品、ガス等に対して耐性を有する材料から構成されることが望ましい。また、充填部材９は、中立の浮力を有するのが望ましく、従って、充填部材９は、フィード・タンク中にサブモジュールを浸漬する間、所定の位置で維持される。充填部材９は、ポリエチレン発泡プラスチック、吹込成形プラスチック、または回転成形プラスチック等の発泡プラスチック材料から形成することができる。吹込成形する場合、必要とされる中立の浮力が生じるように、充填物要素を流体（通常は水）で満たすことができる中空にしてもよい。
【００２６】
図１２は、２つの濾過機の膜間圧特性の効果を示す。上方のグラフは、充填部材を用いていない濾過機を示す一方、下方のグラフは、テスト・サイクルで充填部材を部分的に用いた濾過機を示す。このグラフは、充填部材を用いる場合の逆流洗浄の効率の向上を示す。
【００２７】
本発明に記載の概念または範囲を逸脱することなく、本発明の更なる態様および例示が可能であることは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【図１】 図１は、本発明の１つの態様の充填部材を有する濾過モジュールのバンクの斜視図を示す。
【図２】 図２は、図１の濾過モジュールのバンクの上方部分を拡大した斜視図を示す。
【図３】 図３は、濾過モジュールの周りで組み立てられる図１の充填部材の展開図を示す。
【図４】 図４は、図３の中央の充填部材の端面図を示す。
【図５】 図５は、図４の充填部材の側面図を示す。
【図６】 図６は、図４の充填部材の斜視図を示す。
【図７】 図７は、図４の充填部材の平面図を示す。
【図８】 図８は、図３のサイド充填部材の端面図を示す。
【図９】 図９は、図８の充填部材の側面図を示す。
【図１０】 図１０は、図８の充填部材の斜視図を示す。
【図１１】 図１１は、図８の充填部材の平面図を示す。
【図１２】 図１２は、２種類の濾過システム（テスト期間の一部分にて一方のシステムに充填方式を用いた）における時間の経過に伴う膜間圧のグラフを示す。

Claims (2)

1. 束状に配置された複数の多孔質中空繊維膜を有して成る膜濾過システムであって、
   該束状の多孔質中空繊維膜はケージに包囲され、それによって、濾過されるフィード液体に浸漬される膜モジュールが形成されており、
   該膜モジュール間の空隙には少なくとも１つの充填部材が少なくとも部分的に配置され、
   該充填部材は、それが用いられなければフィード液体によって占められ得る空間を占めつつも、流体が膜モジュールへと流れるように、濾過される該フィード液体に浸漬され、また
   該充填部材は、一体的なユニットを構成するために、中央要素および複数のサイド充填物セグメントを有して成る複数の相補的セグメントから形成されており、中央要素は、向い合う半円形状の断面を有する並行なチャンネルを２セット有し（チャンネルは中央要素の長手方向に延在する）、各々のチャンネルは、繊維束を収容し、その周りで接近して適合する大きさの直径を有しており、また、サイド充填物セグメントは、略Ｔ形状の断面を有し、該中央要素と係合して該充填部材を形成すべく、前記チャンネルと同様の直径を有する円を４分割したような形状の側部を有する、膜濾過システム。
2. 各々の充填部材は、他の充填部材の関連する係合手段と係合する相補的な係合構造を有して成る、請求項１に記載の膜濾過システム。

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