JP3917389B2 - 弾球遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機などの弾球遊技機に関し、特に、CPUが割込み禁止状態となっても、それ以前と同様の時間管理が可能な遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、パチンコ機などの弾球遊技機は、遊技盤に設けた図柄始動口と、複数個の図柄を所定時間変動させた後に停止させる図柄表示手段と、開閉板を開閉駆動する大入賞手段などを備えて構成されている。そして、図柄始動口に設けられた検出スイッチが遊技球の通過を検出すると、図柄表示手段が表示図柄を所定時間変動させ、その後、特別図柄が整列して停止すると、大入賞手段が機能して遊技者に有利な利益状態を発生させるようにしている。
【0003】
この種の遊技機では、大当り用カウンタCTをソフトウェア的に実現すると共に、大当り確率が1/Nの場合、大当り用カウンタCTを0〜N−1の数値範囲内で循環動作させている。この大当り用カウンタCTの値は、図柄始動口の検出スイッチが遊技球を検出したことを条件に抽選用乱数値RNDとして抽出され、抽出された抽選用乱数値RNDが大当り当選値Hitと一致する場合には、図柄表示手段の変動後の停止状態で特別図柄が整列するように制御される。
【0004】
このような遊技機では、大当り用カウンタCTを一定時間毎に更新するなどの目的で、タイマ割込みによる割込み制御プログラムにおいて大当り用カウンタCTの値を更新すると共に、遊技制御動作の実質的な部分を全て割込み制御プログラムで処理するようにしている。典型的には、図14に示す通りであり、遊技動作を実現する遊技制御プログラムは、無限ループ状に繰り返される無限ループ処理ST41と、無限ループ処理ST41の実行中にタイマ割込みによる割込み信号INTに応答して実行される割込み処理ST42とで構成されている。
【0005】
ところで、停電などによって遊技機への通電が突然遮断される可能性もあるので、かかる不慮の事態に有効に対処して電源復旧後は正常にゲームを再開できるよう、電源電圧の低下に応答してCPU(以下Z80CPU相当品とする)に最優先割込みNMI(Non Maskable Interrupt)をかけ、その割込み処理プログラムにおいてゲーム状態を保存することが考えられる。このような発明では、NMIに応答する割込み処理によって必要なデータをRAMエリアに保存し、そのRAMエリアにバックアップ電源を供給して内容を維持し、電源電圧が復旧すればバックアップされたデータを読み出して中断前の遊技動作を再現することになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような発明は、停電などによって中断したゲームを正確に再現できる点で優れているが、更なる改善が望まれるところである。すなわち、電源電圧の降下に応答してCPUに最優先割込みNMIをかけると、(BUSREQ端子がLレベルである特別な場合を除き)CPUが如何なる動作状態であっても割込み処理が開始されるが、一方、その後のCPUは割込み禁止状態となるので、割込み処理プログラム中ではタイマ割込みINTによる時間管理ができない点が問題である。
【0007】
かかる問題点に対処すべく、専用のハードウェアタイマを設けることは可能であるが、停電の発生などのように極めて稀な事態のために、わざわざ専用のタイマ回路を追加するのは対策として妥当でない。
【0008】
この発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、他の回路素子を追加することなく、CPUが割込み禁止状態となっても、それ以前と同一タイミングの時間管理することの可能な遊技機を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は、遊技者に遊技球を払い出す払出装置を制御する払出制御基板と、遊技動作を中心的に制御する主制御基板と、前記払出制御基板や主制御基板に供給される電源電圧を監視する電源監視手段と、前記電源監視手段が異常状態を検出することを条件に遊技動作を中断して遊技動作を再開するに必要な情報を保存するバックアップ手段とを備え、前記主制御基板及び/又は前記払出制御基板は、遊技制御プログラムを記憶したメモリと、前記制御プログラムに基づいて動作するCPUと、初期設定された数値範囲内で循環動作を繰り返すと共に、その計数値がCPUから読み出し可能なカウンタを有するカウンタ部と、を内蔵したワンチップマイコンを搭載して構成され、前記主制御基板及び/又は前記払出制御基板では、前記CPUに対する割込み許可状態では、前記計数値が基準値に達すると前記カウンタ部から発生される割込み信号に応答して、遊技制御動作を所定時間ごとに間欠的に実行する一方、前記CPUに対する割込禁止状態であっても、前記CPUが前記カウンタのカウンタ値を読み出すことで、一定時間ごとの処理を繰り返して実行可能に構成されたことを特徴とする。
【0010】
遊技動作中は、前記計数値が所定値に達するごとに前記カウンタから発生される割込み信号に応答して遊技球通過の検出動作を行うのが好ましい。また、遊技球通過の検出動作に先だって又はその後に、前記計数値を取得しつつその値が所定値に達するのを待機する処理を実行するのが典型的である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例であるカード式弾球遊技機に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本実施例のパチンコ機2を示す斜視図であり、図2は、同パチンコ機2の側面図である。
【0012】
図1に示すパチンコ機2は、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製の外枠3と、外枠3に固着されたヒンジHを介して開閉可能に枢着される前枠4とで構成されている。なお、このパチンコ機2は、カード式球貸し機1に電気的に接続された状態で、パチンコホールの島構造体の長さ方向に複数個が配設されている。
【0013】
ヒンジHを介して外枠3に枢着される前枠4には、遊技盤5が裏側から着脱自在に装着され、遊技盤5の前側に対応させて、窓部を有するガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。前面板7には発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠4の下部には、上皿8から溢流し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射手段10の発射ハンドル11とが設けられている。
【0014】
この発射手段10は、回動操作可能な発射ハンドル11と、この発射ハンドル11の回動角度に応じた打撃力で打撃槌12(図4)により遊技球を発射させる発射モータなどを備えている。上皿8の右部には、カード式球貸し機1に対する球貸し操作用の操作パネル13が設けられ、この操作パネル13には、カード残額を3桁の数字で表示するカード残額表示部13aと、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチ13bと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチ13cとが設けられている。
【0015】
図3に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール15がほぼ環状に設けられ、このガイドレール15の内側の遊技領域5aには、カラーの液晶ディスプレイ16、図柄始動手段(図柄始動兼入賞手段)17、開閉式入賞手段(大入賞手段)18、複数の普通入賞手段19(上段の普通入賞手段19以外に、開閉式入賞手段18の左右両側部に6つの普通入賞手段19)、2つのゲート20(通過口)が夫々所定の位置に配設されている。
【0016】
液晶ディスプレイ16は、変動図柄を表示するとともに背景画像や各種のキャラクタの動画などを表示する第1図柄表示手段22として機能する。第1図柄表示手段22は、背景画やキャラクタをアニメーション的に表示するとともに、左右方向に並ぶ3個(左、中、右)の図柄表示部22a〜22cを有し、図柄始動手段17に遊技球が入賞することを条件に、各図柄表示部22a〜22cの表示図柄が所定時間だけ変動表示(スクロール表示)され、図柄始動手段17への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄パターンで停止する。
【0017】
液晶ディスプレイ16の直ぐ上側に、普通入賞手段19と第2図柄表示手段23とが設けられている。第2図柄表示手段23は1個の普通図柄を表示する普通図柄表示部を有し、ゲート20を通過した遊技球が検出されたとき、普通図柄表示部の表示図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート20通過時点において抽選された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。図柄始動手段17は、開閉自在な左右1対の開閉爪17aを備えた電動式チューリップであり、第2図柄表示手段23の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合に、開閉爪17aが所定時間だけ開放されて入賞し易くなる。
【0018】
開閉式入賞手段18は前方に開放可能な開閉板18aを備え、第1図柄表示手段22の変動後の停止図柄が「777」などの当り図柄のとき、「大当り」と称する特別遊技が開始され、開閉板18aが前側に開放される。この開閉式入賞手段18の内部に特定領域18bがあり、この特定領域18bを入賞球が通過すると、特別遊技が継続される。ここで、特別遊技状態が遊技者に有利な状態に相当する。
【0019】
開閉式入賞手段18の開閉板18aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞して開閉板18aが閉じるときに、遊技球が特定領域18bを通過していない場合には特別遊技が終了するが、特定領域18bを通過していれば最大で例えば16回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。
【0020】
図4に示すように、前枠4の裏側には、遊技盤5を裏側から押さえる裏機構板30が着脱自在に装着され、この裏機構板30には開口部30aが形成され、その上側に賞球タンク33と、これから延びるタンクレール34とが設けられ、このタンクレール34に接続された払出し手段35が裏機構板30の側部に設けられ、裏機構板30の下側には払出し手段35に接続された通路ユニット36が設けられている。払出し手段35から払出された遊技球は通路ユニット36を経由して上皿排出口8a(図1)から上皿8に払出される。
【0021】
裏機構板30の開口部30aには、遊技盤5の裏側に装着された裏カバー37と、入賞手段17〜19に入賞した遊技球を排出する入賞球排出樋(不図示)とが夫々嵌合されている。この裏カバー37に装着されたケース38の内部に主制御基板39が配設され、その前側に図柄制御基板40が配設されている(図2)。主制御基板39の下側で、裏カバー37に装着されたケース41aの内部にランプ制御基板42が設けられ、このケース41aに隣接するケース41bの内部にサウンド制御基板43が設けられている。
【0022】
これらケース41a,41bの下側で裏機構板30に装着されたケース44の内部には、電源基板45と払出し制御基板46が夫々設けられている。この電源基板45には、図3に示すように、電源スイッチ80と初期化スイッチ85とが配置されている。これら両スイッチ80,85に対応する部位はケース44が切欠かれ、両スイッチ80,85の各々を指で同時に操作可能になっている。
【0023】
また、発射手段10の後側に装着されたケース47の内部には、発射制御基板48が設けられている。これら制御基板39〜40,42〜43,45〜46,48は夫々独立の基板であり、電源基板45と発射制御基板48を除く制御基板39,40,42,43,46には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路が搭載されており、主制御基板39と他の制御基板40,42,43,46とは、複数本の信号線でコネクタを介して電気的に接続されている。
【0024】
図5に示すように、主制御基板39とその他の制御基板40,42,43,46とは、複数本の信号線でコネクタを介して電気的に接続され、主制御基板39から各制御基板40,42,43,46に、所定の遊技動作を実行させる制御コマンドを一方向通信で送信可能になっている。制御コマンドの一方向通信を採用することで、不正を確実に防止できると共に主制御基板39の制御負荷を格段に軽減でき、送信制御を簡単化することができる。
【0025】
主制御基板39には、不図示の中継基板(信号を中継する回路基板)を介して、普通入賞口19や始動入賞口17やゲート20からのスイッチ信号などの遊技盤情報が供給される。一方、払出し制御基板46には、中継基板50を介して、球貸し計数スイッチ、賞球計数スイッチ、下受け皿スイッチ、補給切れ検出スイッチの各信号が供給される。このうち、賞球計数スイッチの信号は、中継基板50を介して、主制御基板39にも供給されている。なお、払出し制御基板46は、中継基板50を介して遊技球の払出しモータMを駆動している。
【0026】
図6は、遊技球を払い出す払出カセットCAの分解斜視図であり、図4に示す払出し手段35を具体的に例示したものである。図示の通り、払出カセットCA(払出し手段35)は、払出しモータMと、払出しモータMによって回転される払出回転体51と、球貸し状態か賞球状態かに応じて切換えられる切換え羽根52と、左右の球貸し計数スイッチ53a,53bと、左右の賞球計数スイッチ54a,54bなどで構成されている。左右の誘導路55a,55bを移動してきた遊技球は、払出回転体51の左右の保持部Hに捕捉され、払出回転体51の回転に応じて上皿8に導出される。
【0027】
図7は、切換え羽根52が賞球側に位置する状態を図示したものであり、賞球数が賞球計数スイッチ54によってカウントされる。なお、左右の誘導路55a,55bの遊技球は、払出回転体51の回転に応じて導出されて、通常は100mS以内に計数スイッチ54の位置を通過する。遊技球の通過は、それぞれ左右の計数スイッチ54a,54bによってカウントされ、その後、賞球動作が完了すると図7(a)の状態から図7(b)の状態に移行する。球貸し動作も同様であり、図8のように、切換え羽根52が球貸し側に位置する状態において、貸し球数が球貸し計数スイッチ53によってカウントされる。なお、左右の誘導路55a,55bの遊技球が、それぞれ左右の計数スイッチ53a,53bによってカウントされる。その後、球貸し動作が完了すると、図8(a)の状態から図8(b)の状態に移行する。
【0028】
図5に示す制御基板39,40,42,53,46は、全てほぼ同じ回路構成であるので、代表的に主制御基板39について説明する。図9は、主制御基板39の回路構成を示すブロック図である。図示の通り、主制御基板39は、ワンチップマイコンからなるCPU回路60と、CPUに供給されるシステムクロックCKの整数倍の周波数であるクロック信号を発生するシステムクロック発生部61と、CPUからのアドレス信号に基づき各部のチップセレクト信号を生成するデコード回路62と、CPUからのデータを出力するための出力ポート回路63と、外部データをCPUが取り込むための入力ポート回路64と、各制御基板にコマンドなどを出力する出力駆動回路65と、遊技盤各部のスイッチ類のON/OFF状態を入力するスイッチ入力回路66とを中心に構成されている。
【0029】
ワンチップマイコン60は、具体的には、Z80(Zilog社)相当品のCPUと、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access memory)と、カウンタ部などを内蔵して構成されている。図10(a)は、ワンチップマイコン60に内蔵されたカウンタ部の具体的構成を図示したものである。図10(a)に示すように、ワンチップマイコン60のカウンタ部は、パルス周期τのクロックパルスΦを受けてデクリメント(−1)動作するダウンカウンタ70と、ダウンカウンタ70のプリセット値Nを保持する初期値レジスタ71と、ダウンカウンタのカウント値DW(8ビット長)がゼロに達するとCPUに割込み信号INTを出力する割込み制御部72と、CPUとの中継部であるインターフェイス部73などを備えて構成されている。
【0030】
この実施例の場合、プリセット値Nは125に設定され、クロックパルスΦのパルス周期τは16μSに設定されている。そのため、ダウンカウンタ70の動作開始からT=τ×N=16×125μS=2mS経過すると、ダウンカウンタ70のカウンタ値DWはゼロとなり、ワンチップマイコン内部のCPUにタイマ割込みがかかることになる。そして、この実施例では、この割込み信号INT(Maskable Interrupt)を利用して遊技制御動作をT(=2mS)ごとに間欠的に実行している。なお、ダウンカウンタ70の値がゼロになった後は、プリセット値N(=125)が再設定されてカウントダウン動作が継続される。
【0031】
図示の通り、ダウンカウンタ70とCPUとは、インターフェイス部73を介して接続されているので、CPUは、必要に応じてダウンカウンタ70のカウント値DWをIN命令やLD命令によって読み出すことができる。そのため、CPUが割込み禁止状態となった後でも、CPUは、ダウンカウンタ70の値を把握することによって時間管理をすることが可能となる。すなわち、クロックパルスΦのパルス周期τが16μSであるから、CPUが読み出したダウンカウンタ70のカウント値DWの推移量(減少数M)によって、M×τの時間が経過したことを把握でき、別途ハードウェアタイマを設けなくても時間の管理が可能となる。
【0032】
例えば、処理時間Pの処理(図10では網かけ□で図示)を一定時間(T)毎に繰り返したい場合には、CPUは、常時ダウンカウンタ70のカウンタ値DWを監視しつつ、カウント値DWが特定値n1に達するのを待ち、カウンタ値DWがn1になった段階で処理を開始すれば良い。図10(b)は、この状態を図示したものであり、割込み信号の受付禁止状態であっても、CPUは、カウント値DWがn1となったタイミングで処理時間Pの処理を開始することで、一定時間T(=2mS)ごとに処理を実行できることを示している。n1は、N以下の任意の整数であるがn1=1の場合には、割り込み信号INTによる割込み処理とほぼ同一タイミングで処理を開始することができる。なお、N×τ=Tであるが、一定間隔Tで繰り返される処理の処理時間Pは、(N−n1)×τ>P−n1×τの関係を満たす必要があり、具体的にはP<N×τでなければならない。
【0033】
図11は、NMI割込みに対応して主制御基板39で実行される割込み処理プログラムの内容を例示したものであり、停電などによって電源電圧が降下した際に実行される。なお、電源異常を検出する検出回路は、電源基板45に設けられており、検出回路からのNMI信号が各制御基板のCPUに伝送されるようになっている。NMI(Non Maskable Interrupt)の割込みは、最優先の割込みであるから、その時CPUがINT(Maskable Interrupt)割込み中であっても、図11の処理が開始され、当然、CPUは、その後はINT(Maskable Interrupt)信号を受け付けない割込み禁止状態となる。
【0034】
NMIの割込み処理では、先ず、各レジスタ(AF,I,BC,DE,HL)の内容がスタックエリアにPUSHされる(ST20)。但し、Iレジスタの値を直接スタックエリアにPUSHすることはできないので、LD A,Iの命令を実行した後、PUSH AFの命令を実行することで代行している。
【0035】
次に、ステップST20におけるPUSH命令実行後のスタックポインタSPの値がRAMのSP記憶エリアに保存される(ST21)。このSP記憶エリアも含めて、RAMの所定エリアには、通電停止後も電池等のバックアップ電源の供給によってデータが保持される。なお、ゲーム進行中、RAMの作業領域(ワークエリア)には各種のデータが一時保存されているが、それらのデータもバックアップ電源によって保持される。
【0036】
続いて、CPUは変数NTに105を代入する(ST22)。この処理は、NMI割込み時が、たまたま賞球の払出し中であった場合もあるので、一定時間(具体的には210mS)、賞球計数スイッチの状態を繰り返し検出するためのものである。変数NTの初期設定が終われば、CPUはワンチップマイコン内部のカウンタ部からダウンカウンタ70のカウント値DWを取得する(ST23)。そして、カウント値DWが所定値(この例では1)に達するのを待つ(ST24,ST23)。
【0037】
先に説明したように、ダウンカウンタ70は、パルス周期τ=16μSごとに125→124→…→1→(0→125)→…のように変化するが、この実施例ではスイッチ入力処理(ST25)を、カウンタ値DW=1のタイミングで開始させるべく、ステップST23,ST24の待機処理を設けている。その後、カウンタ値DWが1になると、CPUは、左右の賞球スイッチ54a,54bの信号を取得して、把握した賞球数に基づいてRAMの該当エリアに必要なデータを記憶する(ST25)。なお、この記憶データが停電中もバックアップされるのは勿論である。
【0038】
その後、変数NTをデクリメントし(ST26)、NT=0となるまで、ステップST23〜ST27の処理を繰り返す。先に説明したように、ステップST25の処理は、ダウンカウンタ70のカウンタ値DWが1に達するタイミングで開始されるが、カウンタ値DWが1に達するタイミングは、一定時間T(=2mS)ごとに発生する(図10(b)参照)。そのため、CPUが割込み禁止状態であるにも係わらず、後述する割込み処理(図13)と同様の間隔T(=2mS)でスイッチ入力処理を実行することができる。
【0039】
スイッチ入力処理(ST25)は、合計105回繰り返されて、105×2mS=210mS後に次の処理に移行するが、通常は100mSで通過する遊技球を210mSをかけて監視するので、賞球数の読み落としが防止される。この点を図6、図7に関して具体的に説明する。NMI割込みによって、主制御基板39で図11の処理が開始され、払出し制御基板46でも同様の処理が開始されるので、払出回転体51は動作を停止する。
【0040】
例えば、払出回転体51は、図7(a)の状態で停止し、送り出された遊技球は、図7(a)の状態から所定時間を経過して図7(b)の状態に移行する。NMIの処理が開始されると、INT割込みによって同期をとったスイッチ処理を行うことはできないが、本実施例ではダウンカウンタの値DWによって同期をとってスイッチ入力処理を所定時間(=210mS)繰り返すので、図7(a)に示す数個分の賞球を読み落とす恐れがない。
【0041】
以上のようにして払い出し中の賞球数を正確に把握した後、バックアップフラグBFLのRAMエリアにフラグ値5AHを記憶し(ST28)、以降、RAMのアクセスを禁止して電源電圧が降下してCPUが非動作状態になるのを待つ(ST29)。その後、CPUは非動作状態となるが、RAMにはバックアップ電源が供給されているので、バックアップされたデータがそのまま保存され続ける。
【0042】
以上、主制御基板39におけるNMI割込み処理プログラムについて説明したが、払出し制御基板46の場合には、賞球係数スイッチに加えて玉貸し計数スイッチの値も管理している。NMI割込みに応答した処理内容は、図11の場合と同様であり、210mSの時間、遊技球の移動を監視するので、玉貸し中や賞球中に停電となっても、遊技球の計数を誤ることがない。
【0043】
図12は、主制御基板39で実行される遊技制御プログラムのメインルーチンを示すフローチャートである。メインルーチンでは、最初に、CPUは、自らを割込み禁止状態(DI)に設定し、CPUを含むワンチップマイコン60の各部を初期設定する(ST1)。なお、電源がON状態になる場合には2つのパターンがあり、停電状態からの復旧時のように、初期化スイッチ85がOFF状態で電源がON状態になる場合と、パチンコホールの開店時のように、初期化スイッチ85がON状態で電源がON状態になる場合がある。
【0044】
その後、CPUは、RAMクリア信号の値を判定する(ST2)。RAMクリア信号は、RAM領域を初期値設定するか否かを示す信号であって、初期化スイッチ85のON/OFF状態に対応した値を有している。今、パチンコホールの開店時であって、初期化スイッチ85がON状態で電源投入されたと仮定すると、ステップST2の判定がYesとなり、RAMのワークエリアが初期化され、その他のRAM領域がゼロクリアされる(ST4)。そして、CPUは割込み許可状態(EI)に設定され(ST4)、その後は無限ループ状に乱数発生処理が行われる(ST5)。なお、ステップST5の処理は、後述する大当り判定処理などの判定によって外れ状態となった場合に、どのような態様の外れゲームを演出するかを決定するための処理である。
【0045】
一方、停電状態からの復旧時のように、初期化スイッチ85がOFF状態であった場合には、ステップST2の判定に続いて、バックアップフラグBFLの内容が判定される(ST3)。バックアップフラグBFLとは、NMI処理において退避されていた中断動作時のバックアップデータが、元の状態に復帰されているか否かを示すデータであり、この実施例では、ステップST28の処理でバックアップフラグBFLが5AHとされ、ステップST10の処理においてゼロクリアされるようになっている。
【0046】
今、停電状態からの復旧時を想定すると、バックアップフラグBFLの内容は5AHである。そのため、CPUの処理は、ステップST3からステップST6に移行し、RAMのSP記憶エリアから読み出された16ビットデータをCPUのスタックポインタSPに書き込む(ST6)。
【0047】
次に、バックアップ電源によって保持されていたデータを読み出して、中断されたコマンドを復帰させる処理を行う(ST7)。ここでコマンドとは、主制御基板から各制御基板に伝送されるコマンドであって、画像や音声によってゲームを盛り上げたり、或いは、賞球を払出すためのものであるが、CPUは、保持データを読み出すことによって必要なコマンドを作成する。次に、CPUは、POP命令を実行して、スタックエリアからAFレジスタを除く各レジスタ(BC,DE,HL)の値を復帰させる(ST8)。そして、この処理が終われば、SP記憶エリアのデータをゼロクリアする(ST9)。
【0048】
以上の処理の結果、停電時からの復帰処理は一応完了するので、そのことを示すべくバックアップフラグBFLをゼロクリアする(ST10)。本実施例では、AFレジスタの復帰が完了していないのに、SP記憶エリアのデータをゼロクリアし、且つバックアップフラグBFLをゼロクリアするのは、ST9やST10の処理ではAレジスタを使用するしかないので、これらST9やST10の処理を後回しにすると折角復帰させたAレジスタのデータが壊れてしまうからである。
【0049】
そのため、この実施例では、バックアップフラグBFLをゼロクリアした後にIレジスタやAFレジスタの復帰処理を行っている。具体的には、先ず、POPAFの命令を実行してIレジスタの内容をFレジスタに復帰させている(ST11)。NMIの割込み処理プログラムでは、Iレジスタの値をAレジスタにロードした後、Aレジスタの値をPUSHしているので、このPOP命令によってFレジスタのP/Vフラグには、CPU内部の割込み許可フリップフロップIFFの値が格納されることになる。
【0050】
ここで、P/Vフラグが1の場合にはNMI処理時のCPUが割込み許可状態であったことになり、逆に、P/Vフラグが0の場合にはNMI処理時のCPUが割込み禁止状態であったことになる。そこで、P/Vフラグが0なら再度POP命令を実行してAFレジスタの値を復帰し、割込み禁止状態のままRET命令を実行する(ST13、ST14)。一方、P/Vフラグが1なら再度POP命令を実行してAFレジスタの値を復帰すると共に、割込み許可状態に変更してRET命令を実行する(ST15〜ST17)。何れにしても、RET命令が実行されることによって、スタック領域にPUSH処理されていた中断時のPC(プログラムカウンタ)の値が復元され、停電等により中断されていた処理が再開されることになる。
【0051】
図13は、メインルーチン(図12)の無限ループ処理(ST5)の間に2mS毎に生じるタイマ割込みINT(Maskable Interrupt禁止可能割込み)の割込み処理プログラムの内容を示すフローチャートである。タイマ割込みが生じると、各レジスタの内容はスタック領域に退避され、乱数作成処理、スイッチ入力管理処理、エラー管理処理などが行われる(ST30)。スイッチ入力管理処理は、ゲートや電動チューリップなどを遊技球が通過したか否かの判定であり、エラー管理処理は、機器内部に異常が生じていないかの判定である。また、乱数作成処理とは、ハードウェア的に更新されている当り用乱数値や大当たり乱数値の取得処理を意味する。
【0052】
その後、処理分けカウンタの値が判定されて、ST32〜ST36のうちの該当する処理が行われる。上記したエラー管理やスイッチ管理は、短い時間間隔で繰り返し行うべきであるが、一方、パチンコゲームの演出に係わる処理は遊技者のニーズに応じて複雑高度化するため、ある程度以上の処理時間を要することになる。そこで、この実施例では、全ての遊技制御動作を1回の割込み処理で完了させのではなく、5種類の処理に区分し、区分された各処理を割込み毎に分担して実行するようにしている。そのため、0〜4の範囲で循環動作する処理分けカウンタを設けて、処理分けカウンタの値に応じた処理を行うようにしている。
【0053】
具体的に説明すると、処理分けカウンタが0の場合には大入賞口の開放などに関する処理を行い(ST32)、処理分けカウンタが1の場合には当り状態(電動チューリップの開放)か否かに関する普通図柄処理を行い(ST33)、処理分けカウンタが2の場合には大当り状態か否かに関する処理を行っている(ST34)。また、処理分けカウンタが3の場合には、電動チューリップや大入賞口の開閉タイミングに関係するタイマ管理処理や、主制御基板から各制御基板に伝送されるコマンド作成処理が行われる(ST35)。処理分けカウンタが4の場合には、情報出力やエラー表示コマンドの作成処理が行われる(ST36)。
【0054】
ステップST32〜ST36の何れかの処理が終わると、処理分けカウンタの値が更新された後(ST37)、生成されているコマンドが各制御基板に伝送される(ST38)。また、各レジスタの値が復帰されると共に割込み許可状態に変更されて、割込み処理ルーチンからメインルーチンに戻る(ST39)。
【0055】
以上、本発明の一実施例について説明したが、具体的な技術内容は、特に、本発明を限定するものではない。すなわち、実施例ではCPUがZ80CPU相当品であることを前提に具体的に説明したが、その他のCPUであっても良いのは当然である。また、カウンタ部の具体的構成も特に本発明を限定するものではなく、ダウンカウンタに代えてアップカウンタであっても良いのは勿論である。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、他の回路素子を追加することなく、CPUが割込み禁止状態となっても、それ以前と同一タイミングの時間管理することの可能な遊技機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るパチンコ機の斜視図である。
【図2】図1のパチンコ機の側面図である。
【図3】図1のパチンコ機の正面図である。
【図4】図1のパチンコ機の背面図である。
【図5】図1のパチンコ機の回路ブロック図である。
【図6】払出カセットCA(払出し手段)を具体的に例示したものである。
【図7】賞球動作を図示したものである。
【図8】玉貸し動作を図示したものである。
【図9】主制御基板の回路構成を示すブロック図である。
【図10】ワンチップマイコン内のタイマ部の回路構成を示すブロック図である。
【図11】停電時などに実施されるNMI割込み処理プログラムのフローチャートである。
【図12】実施例に係る遊技制御プログラムのメインルーチンのフローチャートである。
【図13】タイマ割込みにおけるINT割込み処理プログラムのフローチャートである。
【図14】従来装置の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
2 弾球遊技機(パチンコ機)
46 払出制御基板
39 主制御基板
70 カウンタ(ダウンカウンタ)
ST20−29 バックアップ手段(NMI処理)
DW カウンタの計数値
CA 払出装置(払出カセット)
Claims (9)
- 遊技者に遊技球を払い出す払出装置を制御する払出制御基板と、遊技動作を中心的に制御する主制御基板と、前記払出制御基板や主制御基板に供給される電源電圧を監視する電源監視手段と、前記電源監視手段が異常状態を検出することを条件に遊技動作を中断して遊技動作を再開するに必要な情報を保存するバックアップ手段とを備え、
前記主制御基板及び/又は前記払出制御基板は、遊技制御プログラムを記憶したメモリと、前記制御プログラムに基づいて動作するCPUと、初期設定された数値範囲内で循環動作を繰り返すと共に、その計数値がCPUから読み出し可能なカウンタを有するカウンタ部と、を内蔵したワンチップマイコンを搭載して構成され、
前記主制御基板及び/又は前記払出制御基板では、前記CPUに対する割込み許可状態では、前記計数値が基準値に達すると前記カウンタ部から発生される割込み信号に応答して、遊技制御動作を所定時間ごとに間欠的に実行する一方、
前記CPUに対する割込禁止状態であっても、前記CPUが前記カウンタのカウンタ値を読み出すことで、一定時間ごとの処理を繰り返して実行可能に構成されたことを特徴とする弾球遊技機。 - 前記バックアップ手段の動作時は、前記割込み禁止状態であり、遊技球通過の検出動作が繰り返し実行されている請求項1に記載の弾球遊技機。
- 前記主制御基板及び/又は前記払出制御基板では、遊技動作中は、前記計数値が所定値に達するごとに前記カウンタから発生される割込み信号に応答して遊技球通過の検出動作を行っていることを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
- 前記主制御基板及び/又は前記払出制御基板では、バックアップ手段の動作時には、遊技球通過の検出動作に先だって又はその後に、前記計数値を取得しつつその値が所定値に達するのを待機する処理を実行していることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾球遊技機。
- 前記電源監視手段は別に設けられた電源基板に設けられ、前記主制御基板及び/又は前記払出制御基板には、前記バックアップ手段が設けられている請求項1〜3の何れかに記載の弾球遊技機。
- 前記電源監視手段が異常状態を検出すると、前記主制御基板及び/又は前記払出制御基板のCPUに対して最優先の割込み信号が供給されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の弾球遊技機。
- 前記主制御基板では、前記バックアップ手段の動作時に検出される遊技球通過に基づき、賞球個数を把握していることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の弾球遊技機。
- 前記払出制御基板では、前記バックアップ手段の動作時に検出される遊技球通過に基づき、賞球個数及び/又は玉貸し個数を把握していることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の弾球遊技機。
- 前記バックアップ手段は、予め定められた複数回の遊技球の通過検出を行った後にその動作を完了させることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の弾球遊技機。
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