JP3916876B2 - 複光路2重エタロン分光器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分光器に関し、より詳細には、エタロンベースの分光器に関する。本発明は、1999年2月4日出願の米国特許出願シリアル番号第09/245、134号、及び、2000年2月25日出願の米国特許出願シリアル番号第09/513、324号の一部継続出願である。
【0002】
【従来の技術】
エタロンベースの分光器は、ビームの強さを波長の関数として測定する装置として良く知られている。図1は、レーザビーム16の波長及び帯域幅を測定するために使用される従来技術のエタロン分光器の形態を示す。ビームは、拡散器2によって拡散され、非常に広い角度で伝播する光線がエタロン4を照射する。図1は、単一光線20が約90%反射するように被覆された表面8A及び8Bの間のエタロン空隙内で何度も反射しているところを示す。エタロンを通って透過されるスペクトル成分は、レンズ14によってフォトダイオード・アレー12上に集束される。フォトダイオード・アレー12は、電子データ取得基板(図示しない)を使用して読むことができるフリンジパターン15を記録する。図に描かれているようなエタロンに入射する光の透過又は反射は、良く理解されており、エタロンの設計、特に2つの反射面の反射率に左右される。
【0003】
エタロン分光器は、レーザのスペクトルを測定するために広く使用されている。エタロン分光器の利用で特に重要なのは、線狭化KrFエキシマレーザなどの線狭化エキシマレーザの帯域幅の測定である。これらのレーザは、例えば、深部UVマイクロリソグラフィーの光源として使用される。これらのレーザには、マイクロリソグラフィーへの適用にとって非常に重要な2つのスペクトル特性がある。これらは、レーザの最大強度の50%において測定され、その半値全幅帯域幅(ΔλFWHMと略される)と呼ばれるスペクトル帯域幅と、レーザエネルギの95%を包含し、95%積分帯域幅(Δλ95%と略される)と呼ばれるスペクトル帯域幅とである。マイクロリソグラフィーによるチップ製造中には、常に仕様の範囲内で作動することが非常に重要であり、何故ならば、スペクトルが広がることにより、シリコンウエーハ上にプリントされている集積回路に、歩留まり問題をもたらすことになるぶれを生じかねないからである。従って、レーザスペクトルを連続監視する機能を備えることは非常に重要である。
【0004】
従来技術のエタロン分光器は、ΔλFWHM値を正確に測定する機能を持ち、例えばサイマー・インコーポレーテッド(米国カリフォルニア州サンディエゴ所在)により製造されるものなどの生産マイクロリソグラフィーレーザにおいて、その目的で現在使用されている。しかし、従来技術のエタロン分光器は、Δλ95%を正確に測定するのにはあまり適していない。通常の生産品質KrFエキシマレーザは、正常に作動している場合、約0.6ピコメートルのΔλFWHM値と約2ピコメートルのΔλ95%値とを持つ必要がある。
【0005】
図2は、5ピコメートルの自由スペクトル領域(FSR)とフィネス係数(フィネス)38とを持つ一般的な従来技術エタロンの計算スリット関数スペクトルを示す。(FSR及びフィネスという用語は、米国マサチューセッツ州リーディング所在のアジソン・ウェスリーから出版されたユージン・ヘクト/アルフレッド・ザジャ著「光学」など、様々な光学テキストにおいて定義及び説明されている。)図2のスリット関数スペクトルは、フリンジパターン15のピークの1つから導くことができる。図2に示すグラフの計算は、エタロンを照射している光が単色性(すなわち、無限に狭い帯域幅)であると仮定している。そのようなエタロンが使用されてレーザビームの帯域幅を測定する場合、エタロンのスリット関数帯域幅は、誤差の原因となり、測定の不確定さ又は誤差の一因となる。この従来技術に対する計算された半値全幅(FWHM)帯域幅は、0.13ピコメートルであり、このエタロンに対する95%積分帯域幅は、約1.5ピコメートルである。
【0006】
実際のレーザのスペクトルを正確に測定するエタロンについては、エタロン自体のスリット関数帯域幅は、レーザ帯域幅よりもかなり小さい必要がある。この条件は、0.13ピコメートルのエタロンスリット関数FWHMが、約0.6ピコメートルの一般的レーザΔλFWHMよりも十分に小さいΔλFWHMの測定に対しては満足されるが、約1.5ピコメートルのエタロンスリット関数帯域幅が約2ピコメートルの予想レーザ帯域幅のかなりの部分であるようなΔλ95%測定に対しては、同じことが当てはまらない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、図2のスリット関数を持つ従来技術のエタロン分光器を使用してΔλ95%を測定する場合、真のΔλ95%値をデコンボルブするのに複雑な数値解析が必要である。そのような解析は、誤差や曖昧な結果が発生しやすく、そのためにマイクロリソグラフィー処理の間、信頼のおけるΔλ95%情報が得られない。結果として、レーザは、気づかれないうちに仕様範囲から外れる可能性がある。これは、非常に高価につく歩留まり問題をもたらすため、避ける必要がある。
【0008】
レーザスペクトルを正確に測定する別の方法は、高解像度の格子分光計を使用することである。これらの測定器により、正確なΔλ95%の測定を含む正確なスペクトル測定が準備されるが、装置が大きくなり高価である。これらの測定器は、実験室では有効に使用されるが、生産ラインのマイクロリソグラフィーでの使用にはあまり適していない。
必要とされるのは、マイクロリソグラフィー処理の間、現場で使用できるように内部レーザ診断セットの一部として作ることができる、ΔλFWHMとΔλ95%との両方を正確に測定できるコンパクトな分光器である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1の複光路エタロンベース分光器を提供する。好ましい実施形態において、第1の複光路エタロンに適合する第2のエタロンが使用され、非常に正確なフリンジデータを生成する。拡散ビームのスペクトル成分は、エタロンを通って透過される時、角度的に分離される。再帰反射器は、透過成分をエタロンを通って反射して戻す。2度透過されたスペクトル成分は、第2のエタロンを通って進み、第2の好ましい実施形態においてはフォトダイオード・アレーである光検出器上に集束する。該分光器は、非常にコンパクトであり、ΔλFWHM及びΔλ95%の両方に対してマイクロリソグラフィーが必要とする精度を伴う帯域幅測定を可能にする、極めて正確なフリンジデータを生成する。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1の好ましい実施形態)
図3は、本発明の好ましい実施形態を示す。望遠鏡32を使用してサイズを3回縮小されたレーザビーム16は、拡散器34を照射する。拡散器34から拡散されたビームは、エタロン25を照射する。中空再帰反射器38が使用され、2回目の通過のためにビームをエタロン25に戻す。ビームの各成分は、エタロン25を通る2回目の通過のために正確に180度、又は、ほぼ正確に180度で反射されるが、しかし、反射成分の僅かな変位がある。これらの僅かな変位は、エタロンを通る2回通過の後のビーム成分を反射する45度の鏡40の使用を可能にし、一方、入射ビームの十分な部分の通過を許す。反射ビームの成分は、焦点距離が1メートルのレンズ42によって線型フォトダイオード・アレー(PDA)44上に集束され、そこでフリンジパターン49が検出される。好ましいPDAは、2048要素を持つ14ミクロン×14ミクロンのアレーであり、米国カリフォルニア州サニーベール所在のイージー・アンド・ジー・インコーポレーテッドなどの供給元から入手可能である。
【0011】
フリンジパターン49は、図1に示す従来技術エタロンのピーク15と同じ所に位置する多重ピークから成る。しかし、その違いは、本発明の複光路構成におけるエタロン分光器の改善された解像度のため、本発明のエタロンのピークは、実際のレーザスペクトルにより近密に適合することである。
本出願人は、図3の設計に基づく試験的な複光路エタロン分光器を組み立てて試験をし、優秀な結果を得た。
【0012】
図4は、248.25nmにおいて僅か約0.003(FWHM)の極端に狭いスペクトル帯域幅を持つ光を放射する周波数2倍化アルゴンイオンcwレーザからのビームのスペクトル(PDA44により記録された)を示す。(このレーザからの光スペクトルは十分に狭いので、0.1ピコメートルを超える範囲の帯域幅を持つエタロンを試験する目的では単色光と考えられる。)PDA44によって記録されるFWHM帯域幅は、(図4に示すように)約0.12ピコメートルであり、95%積分値は、0.33ピコメートルであった。上記の条件下における直列の2つの完璧なエタロンの理論値は、0.09ピコメートル(FWHM)及び0.25(95%積分)であろう。これらの結果は、FWHMに対する0.1ピコメートル及び95%積分に対する約0.3の範囲の帯域幅解像度は、図3の複光路エタロン分光器を用いて得られることを示す。
【0013】
本発明の出願人は、高解像格子分光器と本発明のコンパクト分光器とで計測されたマイクロリソグラフィーKrFレーザの一般的スペクトルを比較した。該格子分光器は、FWHMレベルにおいて約0.12ピコメートルのスリット関数を持ち、米国カリフォルニア州サンディエゴ所在のサイマー・インコーポレーテッド製のKrFエキシマレーザ試験用のものであった。エタロン分光器及び格子分光器によって得られた各結果は、非常に良く一致した。本発明の複光路エタロン及び格子分光器により計測されたレーザ帯域幅のFWHM値は、各々、0.65ピコメートル及び0.62ピコメートルであって、一方、本発明の複光路エタロン分光器及び高解像格子分光器により計測された帯域幅の95%積分値は、各々、1.67ピコメートル及び1.70ピコメートルであった。
【0014】
本発明の複光路エタロン分光器は、従来技術エタロン分光器と同様のフリンジパターンを形成するが、その違いは、該フリンジは、実際のスペクトルにより近密に一致し、エタロン解像度によるコンボルブがより少ないことである。従って、よく知られた手法のどれでも、該フリンジパターンの分析に使用できる。このエタロン分光器はまた、中心波長の計測を正確なものにするために、比較的低解像度の格子分光器と組み合わせて使用することができる。そのような応用は、例えば、米国特許第5、025、445号、及び、第5、450、207号に記述されている。エタロン分光器は、単独に波長の絶対値を計測することはできず、従って、エタロンのデータを較正する手段が必要となる。エタロンの自由スペクトル領域(FSR)によって正確に分離されたエタロンから、複数の中心波長を得ることができる。好ましい実施形態において、FSRは、約5ピコメートルである。正確なエタロンデータを使用して正しい中心波長の値を測定することを可能にするため、米国特許第5、025、445号において説明されるように、低解像格子分光器を使用してもよい。その格子分光器の解像度は、FSRの約半分にすることができ、従って、一意的な中心波長の値が選択できる。好ましい較正手段は、米国特許第5、450、207号に記述されている。
【0015】
(第2の好ましい実施形態)
本発明の第2の好ましい実施形態は、図5に示されている。
レーザビーム16は、望遠鏡32により、第1の実施形態と類似の方法によりサイズを縮小された後に拡散器34を照射する。しかし、第2の実施形態においては、拡散光の一部分を選択するために空間フィルタ52が使用される。空間フィルタ52は、焦点距離が各々10センチメートルで焦点距離の2倍すなわち約20センチメートルの距離だけ分離された2つのレンズ54及び58から成る。直径約0.1センチメートルのアルミニウム開口56は、レンズ54の焦点に置かれる。空間フィルタ52の目的は、拡散器から入射する扇形光線を約0.01ステラジアンの角度(空間周波数)内に選択するためである。この濾過された扇形光線は、ビーム分割器46に入射する。ビーム分割器46は、部分反射鏡であり、光の約50%を透過し、残りを反射して除く(図示しない)。拡散光62のビーム分割器46を通過する部分は、エタロン25を照射する。エタロン25を通過する光は、2回目の通過のためにビームをエタロンに戻す中空再帰反射器70により反射される。ビームのこの反射部分が64で示されている。ビームの各成分は、正確に180度、又は、ほぼ正確に180度でエタロン25を通る2回目の通過のために反射される。
ビーム64のエタロン25を通過する部分の約50%は、ビーム分割器46により反射される。この反射された部分は、焦点距離1メートルのレンズ42によって線型PDAアレー44上に集束し、そこでフリンジパターンが検出される。
【0016】
この実施形態において、エタロン25は、空間フィルタ52を通って透過される入射扇形ビームの軸線に対して約0.01ラジアンの小さな角度で傾けられる。その結果、PDA44によって記録される2セットのフリンジが存在する。PDAの一方の側には、エタロン25を2度通過するビームによって生成されるフリンジのセットである図5に示すフリンジセット45Bが存在する。しかし、PDA44のもう一方の側には、異なるセットのフリンジが存在する。同様に図5に示されるこれらのフリンジ45Aは、第1の光路においてエタロン25により反射された初期のビーム62の一部分により作り出される。この反射フリンジのセットは、フリンジセット45Bとは違って見える。フリンジ45Aはディップであるが、一方、フリンジ45Bはピークである。エタロンを通過する複光路の後のビーム強度は、エタロンから反射されるビーム強度よりも相当に弱い可能性があるので、随意的な光低減フィルタ48をPDAのフリンジセット45Aが形成される部分の上方に置くことができる。この随意的フィルタ48は、透過率が約30%の中間密度フィルタであることが可能である。図7は、PDA44上でのフリンジ45A及び45Bの相対的な定位を示す。もし空間フィルタ52がなく、エタロン25が傾けられていなかったとしたら、反射フリンジ45A及び2回透過フリンジ45Bの両方は、PDA44の平面に同心円として生成されていたであろう。フリンジ45A及び45Bのこれらの円の直径は、正確に同じであったであろうから、従って、それらは互いに相殺する傾向にあったであろう。空間フィルタ52の目的は、円45の一部分のみが形成されるように、フリンジのための光を制限することである。エタロンを傾斜させる目的は、図7に示すように、円45の反射(45A)及び透過(45B)ビームにより生成される各部分を分離するためである。従って、PDA44は、反射及び透過円の両方の部分を検出するが、アレーは、一方の円の左側ともう一方の円の右側とを検出する。
【0017】
ディップ45Aの位置が従来のエタロン分光器のピークがあるべき位置と正確に同じであるため、複光路エタロン分光器は、従来のエタロン分光器が可能な全ての計測をすることができる。すなわち、フリンジ45Bは、スペクトル形状を分析するために使用することができ、一方、実際の波長は、較正データと共にフリンジ45の直径(図7)により測定される。従来のエタロン分光器においては、この直径は、ピーク15A及び15B(図1)の間の距離として測定される。本発明のエタロンにおいては、この直径は、ピーク45B及び対応するディップ45A(図5)の間の距離として測定される。従って、スペクトル形状及び中心波長情報を測定する従来の手法の全ては、本発明のエタロンにおいても同様に使用することができる。
【0018】
(第3の好ましい実施形態)
本発明の第3の好ましい実施形態は、図8に示されている。
本実施形態は、下記の点を除いてちょうど図5に示した第2の好ましい実施形態と同様である。
1)45度50%ビーム分割鏡は、偏光ビーム分割器47によって置き換えられる。このビーム分割器は、レーザ光の支配的な偏光を最大限透過し、他の偏光を反射するために配置される。
2)中空反射器70は、中空プリズム72によって置き換えられる。このプリズムは、レーザ光を効率的に反射する材料で被覆された2つの反射矩形鏡72A及び72Bにより作り出される。平面72A及び72Bが交差する線72C(以下に説明される図9に示す)は、偏光ビーム分割器47を通って透過されたビーム62の偏光に対して約45度の角度に位置合わせされる。
図9は、ビーム62(図8)の方向に沿って見たプリズム72を示す。図9は、線72Cに対するビーム62(図8に示す)の偏光162の方向のほか、反射光の偏光164の方向を示す。この偏光164は、中空プリズム72によって反射して戻された後、90度だけ回転している。図8に戻ると、この反射戻り光は、第2の実施形態(図5)と同じようにエタロン37を通って2回目の通過をする。この複光路ビーム64は、その90度回転した偏光のためにここで偏光ビーム分割器47によって反射されることになり、レンズ42によりPDAアレー44上に集束されて、第2の実施形態(図5)と類似のフリンジパターン45A及び45Bを形成するであろう。
【0019】
しかし、本実施形態においては、偏光ビーム分割器47によってもたらされる処理能力が第2の実施形態(図5)の50%反射器46と比較して高いために、PDA44により検出される信号の振幅はより大きい。しかし、この実施形態におけるフリンジパターンは、第2の実施形態のそれと同様であり、従って、スペクトル形状と中心波長とを計測する同じ手法をこの実施形態でも同様に使用できる。マイクロリソグラフィーに使用されるエキシマKrFレーザなどの多くのレーザは高度に偏光された光を生成するので、この第3の実施形態の使用は、信号を相当に(最大2から3倍)増大させるであろう。好ましい偏光ビーム分割器47は、一方の偏光に対しては約90%の透過率、また、もう一方の偏光に対しては97%を超える反射率を持つであろう。
3つの実施形態の全てにおいて、ビームが同じエタロンを通って2度進むという利点がある点を理解されたい。従って、反射面が真に平行であると仮定すると、実際上、両方の光路にとってエタロンのプレート間の同じ間隔が保証される。
【0020】
どのような直列式エタロン分光器装置においても、エタロン間隔を正確に合わせることは極めて重要である。248ナノメートルの光に対して、最小6.33ナノメートル(633ナノメートル周波数2倍化アルゴンイオンレーザ波長の1/100)のエタロンプレート間の間隔差は、分光器の解像度を実質的に破壊する。そのような間隔差の結果は、図6に示されており、太線の曲線が6.33ナノメートルの間隔差の結果を示し、細線の曲線が完全に一致した間隔を持つ2つのエタロンスペクトルを表す。6ナノメートルで一致する間隔(一般に1から15ミリメートルの範囲である)を備える2つのエタロンを持つことは極めて困難である。本発明のエタロン分光器におけるのと同様な1つのエタロンを用いると、2つの光路の間隔は、エタロンが正確な平行反射面を備えて高品質を保つ限り、同じままである。本出願人は、第1及び第2の実施形態を試験して大きな成果を得ている。
【0021】
(第4の好ましい実施形態)
本発明の第4の好ましい実施形態は、図10に示されている。この実施形態は、第2のエタロンが装置に追加された以外は、図5に示す実施形態及び上記の第1の実施形態と実質的に同じである。複光路エタロンは、25Aで表され、単一光路エタロンである第2のエタロンは、25Bで表される。この実施形態において、縮小望遠鏡32は3対1縮小望遠鏡であり、拡散器34は小さな回折拡散器であり、複光路エタロン25Aは10ピコメートルエタロンであり、再帰反射器70は中空コーナーキューブであり、エタロン25Bは2ピコメートルエタロンであり、また、レンズ42は1.5メートルレンズである。特殊フィルタは、扇形光線を選択し、スペクトルを歪めかねないどのようなゼロのオーダーの成分も除去する。折り畳み鏡(図示しない)は、装置全体を2フィート×1フィートの光学ブレッドボード上に装着することを可能にする。
【0022】
2つのエタロンの透過関数を正確な比の値5まで調整するのに、エタロンの同調が必要であった。2ピコメートルエタロンは、空気間隙エタロンであり、10ピコメートルエタロンと合わせるために圧力同調された。圧力同調は、エタロンを密閉ハウジングに閉じ込め、調節可能ベローズに空気線により接続して達成された。ベローズを圧縮することにより、エタロンの空気圧と、従ってFSRとを調節することができた。使用された実験室の温度安定性は、中実の10ピコメートルエタロンには適さないことが判明した。10ピコメートルエタロンの安定性を向上させるために、温度制御アセンブリが構築された。該アセンブリは、抵抗加熱部材、抵抗温度センサ、及び、温度制御モジュールで構成された。
【0023】
多重光路多重エタロン(MPME)分光器のインパルス応答試験は、単色光源としてFreDレーザを使用して行われた。1024要素のハママツ線型フォトダイオード・アレー(PDA)、及び、デジタル化オシロスコープは、分光器によって生成されたフリンジパターンを記録した。フリンジ画像に加え、ダークレベルの画像が記録された。その2つのファイルの各々は、約90ヘルツの線速度で走査される60フレームのPDAの平均を表した。各フレームの積分時間は、約10.5マイクロ秒であった。記録された画像は、フリンジ画像からダークレベル画像を減き、得られたデータに基底線を当てはめることにより処理された。次に、得られたデータは、図11にグラフで表され、ノイズを拡大した図は、図12に表されている。
記録された実験透過関数は、MPME分光器のモデル関数と近密に合致する。モデル値に対して分光器の僅かに優れるFWHM性能は、1つ又は両方のエタロンのフィネス値をモデル値30よりも高くすることにより生み出されたかもしれない。
【0024】
分光器の好ましい実施形態においては、両方のエタロンを空気間隙タイプとし、同調を10ピコメートルエタロンを圧力同調することにより達成させるであろう。これにより分光器の温度安定性が増し、2ピコメートルエタロンを圧力同調する必要がなくなるであろう。10ピコメートルエタロンを同調することにより、第1のフリンジの位置変動もまた減少するであろう。エタロンのFSRは、波長に関してフリンジ位置の境界を定めるので、10ピコメートルエタロンを同調することは、フリンジの位置変動を2ピコメートルに設定するであろう。フリンジ位置の変動が小さいと、積分95%幅を計算するより一貫性のある積分範囲を全ての波長に関して維持することができる。
【0025】
使用する線型PDAは、分光器の解像度を制限していることにも注意されたい。25ミクロンの大きさの画素は、生成されるフリンジパターンの幅と比較すれば比較的大きいものであった。この問題を和らげるために、より長い焦点長さ1.5メートルのレンズを使用して、フリンジパターンのサイズが拡大された。この倍率では、第1のフリンジの直径は、中心から5ピコメートルに置かれた時に検出器による画像化には大きすぎる。PDA全体は、波長空間での約12ピコメートルに変換するフリンジパターンの放射状区画を覆うのみである。たとえこの最大倍率においても、フリンジのFWHMは、3画素又はそれ以下である。従って、この分光器デザインの全解像度を利用するには、少なくとも2048画素を持つ線型アレーが必要であろう。
【0026】
このタイプのデザインの実用上の制限は、エタロンの各空隙の最大比を約10に設定する。2つのエタロンの隙間比が10を超える時、第1の付帯ピークが設計透過帯域に近接することは、積分95%幅のかなりの増加を引き起こす。この隙間比の指針と最小FSR10ピコメートルという追加制限とを使用することにより、最高解像度多重光路多重エタロン分光器を10ピコメートルエタロン及び1ピコメートルエタロンを使用する装置に設定する。両方のエタロンに対して推定フィネス値30を持つそのような装置の理論的透過関数は、0.03ピコメートルのFWHMと0.15ピコメートルの積分95%とを生み出す。
【0027】
(第5の好ましい実施形態)
本出願人が製作及び試験した第5の実施形態は、2ピコメートル単一光路エタロンを20ピコメートル複光路エタロンと組み合わせたもので、MPME装置がKrFレーザビームの帯域幅を計測するために使用され、その結果は、最新の正確な格子ベース分光器を使用した同様な結果と比較された。生の結果は、図13及び図14に示されている。図14は、図13の一部分を拡大したものである。これらのグラフは、遙かにコンパクトなMPMEの方が格子分光器よりもかなり高い解像度を持つことを示している。
【0028】
当業者は、本発明の精神から逸脱することなく他の修正が可能であることを理解することができる。例えば、迅速な応答が必要でない場合、走査出口スリット及び光度計がフォトダイオード・アレーの代わりに使用できる。このスリット・光度計アセンブリは、PDAの区域を走査でき、異なる波長の光の強度を計測する。第2の単一光路エタロンは、図3及び図8に示す複光路エタロン装置のほか、図5に示すものと組み合わせることが可能であろう。また、第4及び第5の実施形態で説明した形態は、本明細書において参照文献として援用されている2000年2月25日出願の米国特許出願シリアル番号第09/513、325号の開示とも組み合わせることが可能であろう。従って、本発明は、特許請求範囲及びその法的同等事項によってのみ制限されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術による分光器の図である。
【図2】従来技術によるエタロン分光器のスリット関数のグラフである。
【図3】本発明の第1の好ましい実施形態の図である。
【図4】図3の実施形態で測定された周波数2倍化アルゴンイオンレーザビームのスペクトルを示す図である。
【図5】本発明の第2の好ましい実施形態の図である。
【図6】微小エタロンプレート不整合の効果を示す図である。
【図7】フォトダイオード・アレー上のフリンジパターンを示す図である。
【図8】本発明の第3の好ましい実施形態の図である。
【図9】偏光回転中空プリズムの図である。
【図10】本発明の第4の好ましい実施形態の図である。
【図11】第4の実施形態における試験結果を示す図である。
【図12】第4の実施形態における試験結果を示す図である。
【図13】MPME分光器の試験結果と格子分光器との比較を示す図である。
【図14】MPME分光器の試験結果と格子分光器との比較を示す図である。
【符号の説明】
25 エタロン
32 望遠鏡
34 拡散器
38 中空再帰反射器
40 45度の鏡
42 レンズ
44 線型フォトダイオード・アレー(PDA)
Claims (12)
- ビームのスペクトル測定をする複光路2重エタロンベースの分光器であって、
A)拡散ビームを生成するために、前記ビームの光を非常に多くの方向に向ける拡散光学装置と、
B)第1のエタロンであって、前記拡散ビームが通る光路内に、前記ビームの各部分を透過させるように置かれ、角度的に離れたスペクトル成分を持つ前記第1のエタロンを1度透過したビームを生成するように形成された、前記第1のエタロンと、
C)前記第1のエタロンを1度透過したビームの少なくとも一部分が前記第1のエタロンを再度透過するように反射させて戻し、角度的に離れたスペクトル成分を持つ前記第1のエタロンを2度透過したビームを生成するように置かれた再帰反射光学装置と、
D)第2のエタロンと、
E)前記第1のエタロンを2度透過したビームの少なくとも一部分を反射して前記第2のエタロンに向けて出力するように置かれた反射光学装置と、
F)前記反射光学装置で反射され前記第2のエタロンを透過したビームを集束する集束光学装置と、
G)前記第2のエタロン及び前記集束光学装置を透過したビームのスペクトル成分を検出する光検出器と、
を含み、さらに、
前記再帰反射光学装置は、中空矩形プリズムであり、
前記拡散ビームは、主たる偏光方向を形成し、
前記反射光学装置は、偏光ビーム分割器であり、
前記中空矩形プリズムは、交差する位置で交差線を形成して互いに対して90度の角度で置かれた2つの交差する反射プレートから成り、
前記反射プレートの交差線は、前記拡散ビームの主たる偏光方向に対して約45度の角度で置かれる、
ことを特徴とする分光器。 - 前記中空矩形プリズムは、選択された波長の範囲内の光を反射するように被覆された2つの鏡から成ることを特徴とする請求項1に記載の分光器。
- 前記反射光学装置は、前記第1のエタロンを2度透過したビームを反射するが、前記拡散ビームの少なくとも一部分の前記第1のエタロンへの伝達を可能にするように置かれた鏡であることを特徴とする請求項1に記載の分光器。
- 前記中空矩形プリズムは、波長の選択された範囲内の光を反射するように被覆された2つの鏡から成ることを特徴とする請求項1に記載の分光器。
- 前記光検出器は、検出器アレーであることを特徴とする請求項1に記載の分光器。
- 前記光検出器アレーは、線型フォトダイオード・アレーであることを特徴とする請求項5に記載の分光器。
- 前記拡散光学装置と前記第1のエタロンとの間に置かれた空間フィルタを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の分光器。
- 前記空間フィルタは、スリットと、前記拡散ビームの少なくとも一部分を前記スリットを通して集束する第1のレンズとを含むことを特徴とする請求項7に記載の分光器。
- 前記スリットを通過する拡散ビームを平行にする第2のレンズを更に含むことを特徴とする請求項8に記載の分光器。
- 前記第2のエタロンは、前記第1のエタロンと透過関数の比が正確な整数比となるように位置合わせされることを特徴とする請求項1に記載の分光器。
- 前記比は、5であることを特徴とする請求項10に記載の分光器。
- 前記第1のエタロンは、約10の透過関数を持ち、前記第2のエタロンは、約2の透過関数を持つことを特徴とする請求項11に記載の分光器。
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