JP3915591B2 - 流体封入式防振装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、自動車用エンジンマウントやボデーマウント,デフマウント等として採用され得る流体封入式防振装置に関する技術に係り、特に、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用や圧力作用を利用して防振効果を得るようにした流体封入式防振装置の新規な製造方法および新規な構造に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振装置の一種として、防振連結される各一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された流体封入領域を形成した構造の流体封入式防振装置が知られている。このような流体封入式防振装置は、流体封入領域に充填された非圧縮性流体の流動作用や圧力作用に基づいて高度な防振効果を得ることが可能であることから、例えば自動車用のエンジンマウント等への適用が検討されている。
【0003】
ところで、かかる流体封入式防振装置では、流体封入領域に充填された非圧縮性流体が漏れ出すと所期の防振性能が発揮されなくなるおそれがあることから、非圧縮性流体を充填した後に流体封入領域を高度な流体密性をもって封止することが要求される。
【0004】
そこで、流体封入領域への非圧縮性流体の充填を容易としつつ、充填後に高度な流体密性を確保するための方策として、流体封入領域における少なくとも一つの封止部位において、該封止部位を構成する一方の封止部材を筒体形状とし、該一方の封止部材を他方の封止部材に外挿して組み付けると共に、該一方の封止部材の内周面と該他方の封止部材の外周面の何れか一方に環状嵌着凹溝を周方向に延びるように形成し、それらの他方に形成された環状嵌着凸部を該環状嵌着凹溝に入り込ませることによって、かかる両封止部材を流体密に嵌着固定せしめた構造が、提案されている。
【0005】
具体的には、例えば特開昭61−189341号公報や実開平5−71490号公報等に記載されているように、第二の取付部材を筒体形状として一方の封止部材を構成し、該第二の取付部材の一方の開口部を本体ゴム弾性体で覆蓋すると共に、他方の開口部側に浅底有底の他方の封止部材としての蓋部材を配設して、それら第二の取付部材と蓋部材の開口部同士を薄肉ゴム膜の外周縁部を挟み込んで重ね合わせてかしめ固定し、該薄肉ゴム膜で第二の取付部材の他方の開口部を覆蓋することによって、上述の如き封止構造が実現されることとなる。即ち、このような封止構造においては、第二の取付部材と蓋部材の各開口部の何れか一方の開口部にフランジ部が形成されて、他方の開口部が該フランジ部の外周縁部を挟み込むかしめ部とされることとなり、結果的に、かしめ部によって環状嵌着凹部が形成され、該かしめ部に対して、フランジ部で形成された環状嵌着凸部を入り込ませて流体密に嵌着固定せしめた封止構造が実現される。
【0006】
或いはまた、上述の如き封止構造は、例えば本出願人が先に出願した特願2001−215551号に記載されているように、一方の封止部材を構成する筒体形状の第二の取付部材を、他方の封止部材を構成するブロック状の仕切部材に外挿すると共に、該仕切部材の外周面に設けた環状嵌着凹溝に対して、該第二の取付部材の開口端縁部に突設した環状嵌着凸部を入り込ませて係止状態で流体密に嵌着固定することによっても、実現され得る。
【0007】
ところが、これら特開昭61−189341号公報や実開平5−71490号公報、或いは特願2001−215551号に記載されているように二つの封止部材を内外挿せしめて環状嵌着凹部と環状嵌着凸部を嵌着固定せしめた封止構造にあっては、封止部位における流体密性が有利に実現され得るが、例えば流体封入領域に非圧縮性流体を充填するために各部材の組付けを非圧縮性流体中で行なったり、或いは完成後に高圧液体洗浄を行なうこと等により、封止部位に封入流体等が入り込んで残留し易いという問題があった。そして、製品完成後における温度変化や振動等の作用で、封止部位に残留した封入流体等が外部に排出された場合に、それが流体封入領域から漏れ出したのか、或いは単に封止部位に残留したものが排出されただけなのか、判断が極めて困難であり、流体封入領域の流体密性が維持されているに拘わらず、封止部位に残留した封入流体等が排出される所謂疑似漏れによって、封入流体が漏れ出しているのではないかという懸念を生じさせ易いという問題があったのである。
【0008】
なお、このような問題に鑑み、例えば特開平7−167200号公報には、第二の取付部材の開口周縁部に形成したかしめ部を、蓋部材に形成したフランジ部の外周縁部にかしめ固定した封止部位において、フランジ部に凹溝を形成し、封止部位に残留した液体を、この凹溝を通じて外部に導出するようにした流体封入式防振装置が提案されている。
【0009】
しかしながら、封止部位に残留した液体は分子間力や隙間負圧等の作用により封止部位からの排出が難しいことから、小さな凹溝では残留液体の封止部位からの排出が極めて困難であり、残留液体の排出を実現するためには凹溝を大きくする必要があるが、凹溝を大きくすると封止部位における流体密性が低下したり、部材強度が低下する等という問題が避けられず、そのために、特開平7−167200号公報に開示されている如き凹溝による残留液体の排出構造は実用的でなかったのである。
【0010】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、流体封入式防振装置において流体封入領域の封止部位における残留液体を有効に且つ速やかに排出することの出来る、流体封入式防振装置の新規な製造方法および新規な構造を提供することにある。
【0011】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0012】
先ず、流体封入式防振装置の製造方法に関する本発明の第一の態様は、防振連結される各一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された流体封入領域を形成するに際して、該流体封入領域における少なくとも一つの封止部位において、該封止部位を構成する一方の封止部材を筒体形状とし、該一方の封止部材を他方の封止部材に外挿して組み付けると共に、該一方の封止部材の内周面と該他方の封止部材の外周面の何れか一方に環状嵌着凹溝を周方向に延びるように形成し、それらの他方に形成された環状嵌着凸部を該環状嵌着凹溝に入り込ませることによって、かかる両封止部材を流体密に嵌着固定せしめる流体封入式防振装置の製造方法であって、前記環状嵌着凹溝が形成された方の前記封止部材において、該環状嵌着凹溝の幅方向一方の壁部を他方の壁部より高くして、前記一方の封止部材を前記他方の封止部材に外挿するに際し、前記環状嵌着凸部が形成された方の該封止部材の軸方向端部を、該環状嵌着凹溝が形成された方の該封止部材において、その高くされた軸方向一方の壁部に当接させて外挿方向で相対的に位置決めすると共に、前記環状嵌着凹溝と前記環状嵌着凸部の嵌着面間における周上の複数箇所に、該環状嵌着凹溝の底部を外部空間に接続する排液通路を設けて、該排液通路を通じて外部空間側から圧縮空気を吹き込むことにより、該環状嵌着凹溝の底部に残留した前記非圧縮性流体等を強制的に排出させることを、特徴とする。
【0013】
このような本発明方法に従えば、流体封入領域の封止部位を優れた流体密性をもって簡単な構造で実現することが出来るのに加えて、かかる封止部位に対して封入流体等が残留した場合にも、排液通路を通じて圧縮空気を吹き込んで強制的に排出することにより、封止部位に残留した封入流体等を速やかに且つ効率的に除去することが出来るのであり、それによって、前述の如き疑似漏れが防止され得て、製造された流体封入式防振装置の流体密性の確認作業の容易化や、製品たる流体封入式防振装置における信頼性の向上等の効果が発揮され得る。
【0014】
また、本発明方法においては、複数の排液通路のうちの適当な排液通路から圧縮空気を吹き込むことにより、環状嵌着凹溝の底部に底部に存在している隙間に圧縮空気を積極的に流通させて別の排液通路から圧縮空気を吹き出させる空気通路を形成するようにしたのであり、それによって、環状嵌着凸部で覆蓋されて環状嵌着凹溝の底部に閉じ込められた封入流体等も強制的に排出されることとなり、封止部位に残留する封入流体等が効率的に且つ極めて速やかに排出され得るのである。
【0015】
しかも、このように圧縮空気を利用して封止部位に残留する封入流体等を強制的に排出させるようにしたことから、封止部位に残留する封入流体等の良好なる排出効率を確保しつつ、排液通路の通路断面積を十分に小さく設定することも可能となるのであり、排液通路の大形化に起因して問題となり易い部材強度の低下や、封止部位における流体密性の低下などが有利に回避され得る。
【0016】
特に、流体封入式防振装置は、一般に非圧縮性流体中で部材の組付けを行なうことにより流体封入領域を画成すると同時に非圧縮性流体を充填する製造方法が従来から採用されており、それ故、殆どの製造ラインにおいて、部材の組付後に各部材の表面に付着したアルキレングリコール等の非圧縮性流体を洗浄し、その後乾燥させるために圧縮空気の吹付設備と工程が、従来から採用されている。ここにおいて、本発明方法では、このような製造ラインに従来から採用されていた圧縮空気の吹付設備と吹付工程を巧く利用して、即ち大幅な設備補充や工程追加を必要とすることなく、流体封入式防振装置の構造の僅かな設計変更だけで容易に且つ有利に実施することが出来るのであり、その実用性が極めて高いのである。
また、本態様の製造方法に従えば、一方の封止部材を他方の封止部材に外挿するに際して、環状嵌着凹溝に対して環状嵌着凸部が入り込むように、外挿方向で両封止部材を容易に且つ精度良く位置合わせすることが出来るのであり、封止部材の組付けひいては流体封入式防振装置の製造が一層容易となる。
【0017】
なお、本発明方法が適用される流体封入式防振装置における封止部位の構造としては、例えば先の出願に係る特願2001−215551号に記載の構造の他、前述の特開昭61−189341号公報や実開平5−71490号公報、或いは特開平7−167200号公報等に記載のものが、何れも採用可能である。また、本発明方法で採用される排液通路の具体的構造は特に限定されるものでなく、例えば、何れか一方の封止部材、或いは両方の封止部材に形成された凹溝や切欠き、貫通孔等を利用して、外部空間から環状嵌着凹溝と環状嵌着凸部の重ね合わせ部位にまで至る排液通路を有利に形成することが可能である。
【0018】
また、流体封入式防振装置の製造方法に関する本発明の第二の態様は、防振連結される各一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された流体封入領域を形成するに際して、該流体封入領域における少なくとも一つの封止部位において、該封止部位を構成する一方の封止部材を筒体形状とし、該一方の封止部材を他方の封止部材に外挿して組み付けると共に、該一方の封止部材の内周面と該他方の封止部材の外周面の何れか一方に環状嵌着凹溝を周方向に延びるように形成し、それらの他方に形成された環状嵌着凸部を該環状嵌着凹溝に入り込ませることによって、かかる両封止部材を流体密に嵌着固定せしめる流体封入式防振装置の製造方法であって、前記環状嵌着凹溝が形成された方の前記封止部材において、該環状嵌着凹溝の幅方向一方の壁部を他方の壁部より高くして、前記一方の封止部材を前記他方の封止部材に外挿するに際し、前記環状嵌着凸部が形成された方の該封止部材の軸方向端部を、該環状嵌着凹溝が形成された方の該封止部材において、その高くされた軸方向一方の壁部に当接させて外挿方向で相対的に位置決めすると共に、前記環状嵌着凹溝と前記環状嵌着凸部の嵌着面間における周上の複数箇所に、該環状嵌着凹溝の底部を外部空間に接続する排液通路を設け、該流体封入領域の封止完了後に真空槽に入れて、該環状嵌着凹溝の底部に残留した前記非圧縮性流体等を該排液通路を通じて強制的に排出させることを、特徴とする。
【0019】
このような本発明方法に従えば、封止部位に封入流体等が残留した場合にも、真空槽の真空圧が排液通路を通じて封止部位に及ぼされることによって残留した封入流体等が強制的に排出され得るのであり、それ故、前述の本発明方法に従う第一の態様と同様に、製造工程で封止部位に残留した封入流体等を速やかに且つ効率的に除去することが可能となって、疑似漏れが防止され、製品たる流体封入式防振装置における信頼性の向上等の効果が発揮され得る。また、真空槽の真空圧は、小さな断面積の排液通路でも、環状嵌着凹溝の底部にまで有利に及ぼされ得ることから、第一の態様と同様に、部材強度や流体密性の低下を伴うことなく、封止部位に残留する封入流体等を効率的に且つ極めて速やかに排出することが可能となる。更にまた、第一の態様と同様、本発明は、特願2001−215551号に係る封止構造や特開昭61−189341号公報,実開平5−71490号公報,特開平7−167200号公報等に記載の封止構造に対して、何れも適用可能であると共に、排液通路として各種構造が採用され得る。
【0021】
また、流体封入式防振装置の製造方法に関する本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る流体封入式防振装置の製造方法であって、前記環状嵌着凹溝が形成された方の前記封止部材において、該環状嵌着凹溝の幅方向一方の壁部を周上の少なくとも一部で薄肉板状とし、該薄肉板状とされた部分に切欠部を設けることによって前記排液通路を形成するようにしたことを、特徴とする。このような本発明方法に従えば、短い長さで環状嵌着凹溝の底部にまで達する排液通路を効率的に形成することが出来るのであり、それによって、環状嵌着凹溝の底部に残留した封入流体等を一層効率的に排出させることが可能となる。
【0022】
また、流体封入式防振装置の製造方法に関する本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様に係る流体封入式防振装置の製造方法であって、前記一方の封止部材の開口端縁部を径方向内方に屈曲させて前記環状嵌着凸部を形成する一方、前記他方の封止部材を筒状外周面を有するブロック状として、前記環状嵌着凹溝を該他方の封止部材の外周面に形成し、該一方の封止部材を該他方の封止部材に対して軸方向に外挿せしめた後、該一方の封止部材を縮径加工して該環状嵌着凸部を該他方の封止部材の該環状嵌着凹溝に入り込ませて嵌着固定することを、特徴とする。このような本態様の製造方法に従えば、環状嵌着凹溝を外周面に開口させたことにより、他方の封止部材を絞り加工等で縮径せしめて環状嵌着凸部を環状嵌着凸部に対して比較的容易に嵌着固定することが出来る。また、特に排液通路に圧縮空気を吹き込んで残留した封入流体等を封止部位から排出させるに際しては、排液通路が外周面側に開口形成することが出来ることから、かかる圧縮空気を排液通路に容易に且つ効果的に導き入れることが可能となって、圧縮空気による排液効果を一層有利に得ることが出来る。
【0023】
また、流体封入式防振装置の製造方法に関する本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に係る流体封入式防振装置の製造方法であって、前記非圧縮性流体中において、前記封止部位を構成する前記一方の封止部材を、前記他方の封止部材に対して外挿することを、特徴とする。このような本態様においては、一方の封止部材を他方の封止部材に外挿して組み付けると同時に封止部位を流体密にして流体封入領域に非圧縮性流体を充填することが可能となる。特に、このような非圧縮性流体中での組付工程を採用する場合には、一般に、非圧縮性流体中での組付後に、非圧縮性流体から取り出した組付体を洗浄および乾燥するために圧縮空気の吹き付けによる乾燥工程が採用されることとなり、そこにおいて、かかる乾燥工程での圧縮空気の吹き付けを巧く利用して、圧縮空気が排液通路に吹き込まれるようにすることで、特別な設備や工程を必要とすることなく、封止部位に残留する非圧縮性流体を排液通路を通じて排出させることが出来るのである。
【0024】
また一方、流体封入式防振装置に関する本発明に係る第一の態様の特徴とするところは、防振連結される各一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された流体封入領域を形成する一方、該流体封入領域における少なくとも一つの封止部位において、該封止部位を構成する一方の封止部材を筒体形状とし、該一方の封止部材を他方の封止部材に外挿して組み付けると共に、該一方の封止部材の開口端縁部を径方向内方に屈曲させて環状嵌着凸部を形成し、該環状嵌着凸部を該他方の封止部材の外周面に形成した環状嵌着凹溝に入り込ませて嵌着固定した流体封入式防振装置において、前記第二の取付部材を筒体形状として前記一方の封止部材を構成すると共に、該第二の取付部材の軸方向一方の開口部側に前記第一の取付部材を離隔配置せしめて、それら第一の取付部材と第二の取付部材を連結する前記本体ゴム弾性体で該第二の取付部材の一方の開口部を流体密に閉塞する一方、前記他方の封止部材を金属や硬質合成樹脂等の剛性材で形成された筒状外周面を有するブロック状の仕切部材により構成すると共に、前記環状嵌着凹溝を該仕切部材の外周面に形成し、該仕切部材の軸方向一方の側から該第二の取付部材の開口部を外挿せしめて、該第二の取付部材の開口端縁部に形成した前記環状嵌着凸部を該仕切部材の該環状嵌着凹溝に入り込ませて嵌着固定することにより、該第二の取付部材の内側で該仕切部材と該本体ゴム弾性体の対向面間に前記流体封入領域を構成する受圧室を形成して、且つ、前記環状嵌着凹溝と前記環状嵌着凸部の嵌着面間における周上の複数箇所に、該環状嵌着凹溝の底部を外部空間に接続する排液通路を複数設けて外周面に開口させることにより、該排液通路を通じて外部の外周面上から圧縮空気を吹き込んで該環状嵌着凹溝の底部に残留した前記非圧縮性流体等を強制的に排出させることが出来るようにしたことを、特徴とする。
【0025】
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、非圧縮性流体中での部材の組付けや、高圧の洗浄液による洗浄等によって封止部位に非圧縮性流体等が入り込んで残留した場合にも、外周面側に開口して形成された排液通路を通じて該封止部位の環状嵌着凹溝の底部まで、圧縮空気を容易に且つ効率的に吹き込むことが出来るのであり、そして、吹き込まれた圧縮空気が、環状嵌着凹溝を通路として、圧縮空気の吹き込まれた排液通路と異なる排液通路から排出されることに伴い、環状嵌着凹溝に残留する非圧縮性流体等が効率的に且つ速やかに排出されることから、封止部位に残留する非圧縮性流体等に起因する疑似もれの問題が効果的に防止され得るのである。なお、本態様において採用される排液通路の具体的構造は特に限定されるものでなく、例えば何れか一方の封止部材、或いは両方の封止部材に形成された凹溝や切欠き、貫通孔等を利用して、外部空間から環状嵌着凹溝と環状嵌着凸部の重ね合わせ部位にまで至るように形成された、前述の如き本発明方法において採用される如き、排液通路が採用可能である。
また、本態様においては、第二の取付部材と仕切部材でそれぞれ相互に組み付けられる封止部材が構成されることにより、少ない部品点数をもって封止部位が有利に実現され得る。しかも、本態様においては、例えば、仕切部材に設けた環状嵌着凹溝に対して、第二の取付部材の開口端縁部に予め形成した環状嵌着凸部を位置合わせして、第二の取付部材を縮径加工することが可能となり、それによって、従来のかしめ加工で封止部位を形成する場合に比して、容易に封止部位を形成することが可能となる。
【0026】
また、流体封入式防振装置に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る流体封入式防振装置において、前記排液通路を、径方向で対向位置するように周上の2箇所に形成したことを、特徴とする。このような本態様においては、一つの排液通路から圧縮空気を吹き込むだけで、封止部位における環状嵌着凹溝の全体に亘って圧縮空気の流れが行き渡って、もう一つの排液通路から残留していた非圧縮性流体等と共に、極めて効率的に排出され得る。しかも、形成される排液通路が最小限であることから、封止部位における部材強度や流体密性の低下が殆ど問題となることもない。
【0028】
また、流体封入式防振装置に関する本発明の第三の態様は、上記第一又は第二の態様に係る流体封入式防振装置において、可撓性ゴム膜の外周縁部に筒状支持金具を固着せしめて、該支持金具の一方の開口部を該可撓性ゴム膜で流体密に閉塞すると共に、該筒状支持金具の他方の開口端縁部に前記環状嵌着凸部を形成することにより、かかる筒状支持金具によって、前記第二の取付部材とは別に、前記一方の封止部材の二つめを構成する一方、前記仕切部材の外周面において、該第二の取付部材の前記環状嵌着凸部が嵌着固定される前記環状嵌着凹溝とは別に、該環状嵌着凹溝から独立して略平行に延びる二つめの環状嵌着凹溝を形成し、該仕切部材に対して該第二の取付部材と反対側から該筒状支持金具を外挿せしめて、該筒状支持金具における該環状嵌着凸部を該仕切部材の該二つめの環状嵌着凹溝に入り込ませて嵌着固定することにより、該仕切部材を挟んで前記受圧室と反対側において該可撓性膜で壁部の一部が構成されて前記流体封入領域を構成する平衡室を形成すると共に、該平衡室を前記受圧室に接続するオリフィス通路を形成したことを、特徴とする。このような本態様においては、一つの仕切部材に対して、軸方向両側から第二の取付部材と筒状支持金具を、それぞれ外挿せしめて、環状嵌着凹溝に対する環状嵌着凸部の嵌着固定せしめることにより、仕切部材を挟んだ両側に流体封入領域を構成する受圧室と平衡室を、それぞれ簡単な構造をもって効率的に形成することが出来るのであり、しかも、それら二つの封止部位において、何れも、疑似もれの問題が有利に回避され得るのである。
【0029】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0030】
先ず、図1には、本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が離隔配置されていると共に、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で弾性連結された構造を有しており、第一の取付金具12が自動車のパワーユニット側に取り付けられる一方、第二の取付金具14が自動車のボデー側に取り付けられることによって、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として、図1中の上下方向をいうものとする。
【0031】
より詳細には、第一の取付金具12は、略逆円錐台形状を有しており、その大径側端部には、軸方向上方に向かって突出するナット部18が一体形成されている。そして、ナット部18のねじ穴20に螺着される図示しないボルトにより、第一の取付金具12がパワーユニット側に取り付けられるようになっている。
【0032】
一方、第二の取付金具14は、全体として大径の段付円筒形状を有する一方の封止部材として構成されており、軸方向中間部分に形成された段差部22を挟んで軸方向上側が大径部24とされていると共に、軸方向下側が小径部26とされている。また、第二の取付金具14における小径部26側の開口端縁部には、径方向内方に向かって屈曲されて僅かに突出する環状嵌着凸部としての係止突部28が、周方向に連続した円環形状で一体形成されている。なお、このような第二の取付金具14は、プレス加工によって有利に製造することが出来、それによって、係止突部28を容易に形成することが可能となる。即ち、ブランクを所定の軸方向長さを有する有底円筒形状に絞り加工した後、底部中央部分を打抜加工することによって、係止突部28を形成することが出来るのである。そして、第二の取付金具14は、図示しない筒状のブラケット金具に圧入固定されて、該ブラケット金具を介して、ボデー側に取り付けられるようになっている。
【0033】
また、このような第二の取付金具14の大径部24側に離隔して、第一の取付金具12が略同一中心軸上で対向配置されており、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14が、本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。
【0034】
この本体ゴム弾性体16は、大径の略円錐台形状を有しており、大径側端面には、中央部分に開口する略すり鉢状の凹所30が形成されている。そして、本体ゴム弾性体16の小径側端部に対して第一の取付金具12が軸方向に差し込まれた状態で加硫接着されていると共に、本体ゴム弾性体16の大径側端部の外周面に対して第二の取付金具14の大径部24の内周面が加硫接着されており、第二の取付金具14の大径部24側の開口部が本体ゴム弾性体16によって流体密に閉塞されている。また、第二の取付金具14の小径部26の内周面には、その全体を覆うようにして、本体ゴム弾性体16と一体形成された薄肉のシールゴム層32が加硫接着されている。なお、このことから明らかなように、本実施形態では、本体ゴム弾性体16が、第一及び第二の取付金具12,14を備えた一体加硫成形品として形成されている。
【0035】
また、第二の取付金具14の小径部26側の開口部には、他方の封止部材としての仕切部材34が組み付けられている。この仕切部材34は、図2〜6に示されているように、硬質の合成樹脂材や金属材等の剛性材によって形成されており、全体として円形ブロック形状を呈している。また、仕切部材34の外周面には、軸方向中間部分において、径方向外方に僅かに突出する位置決め用の環状突出部36が、軸方向に略一定の幅寸法で周方向の全周に亘って連続して延びるように一体形成されており、この環状突出部36を軸方向に挟んだ上下両側において、一つめの環状嵌着凹溝としての第一の周溝38と二つめの環状嵌着凹溝としての第二の周溝40が形成されている。これら第一及び第二の周溝38,40は、何れも、仕切部材34における軸方向中間部分の外周面に開口して略一定の幅寸法で全周に亘って周方向に延びるようにして、互いに平行に形成されている。
【0036】
更にまた、仕切部材34の軸方向上端面の中央には、上方に向かって開口する略すり鉢状の上側凹所42が形成されており、後述する作用空気室44の容積がこの上側凹所42で有利に確保されるようになっている。また、上側凹所42の開口周縁部が上方に向かって突出せしめられていることにより、仕切部材34の上端面には、上方に向かって突出する円環形状の支持突部46が一体形成されている。更に、この支持突部46の基端部には、外周面に開口して略一定の幅寸法で全周に亘って延びる係合溝48が形成されている。また一方、仕切部材34の軸方向下端面には、中央部分に開口する下側凹所50が形成されており、後述する平衡室52の容積がこの下側凹所50で有利に確保されるようになっている。
【0037】
また、仕切部材34には、第二の周溝40よりも軸方向下方に位置する部分において、外周面に開口して周方向に所定長さ(本実施形態では、周方向の全周に僅かに満たない長さ)で延びる外周凹溝54が形成されていると共に、この外周凹溝54の周方向一方の端部が、仕切部材34における下側凹所50の周壁部を軸方向に貫通して延びる貫通孔56を通じて、仕切部材34の上端面において支持突部46の外周側に開口せしめられている。また一方、外周凹溝54の周方向他方の端部は、仕切部材34における下側凹所50の周壁部を径方向に貫通して延びる通孔58を通じて、仕切部材34の下側凹所50に開口せしめられている。
【0038】
さらに、仕切部材34の環状突出部36には、周上の一箇所において外周面に開口する円形の収容凹部60が形成されていると共に、この収容凹部60の底面からポート部62が突設されており、該ポート部62が収容凹部60から突出しない状態で収容されている。また、このポート部62の通孔64は、軸方向上方に向かって屈曲して仕切部材34を貫通し、上側凹所42のテーパ面に開口せしめられている。
【0039】
また、環状突出部36には、上述の貫通孔56と収容凹部60の各形成部位を除いた部分において、外周面に開口するポケット状の肉抜凹部66が周方向に所定長さで延びるようにして複数形成されており、これらの肉抜凹部66で下側凹所50の周壁部が薄肉化されることによって仕切部材34の軽量化が図られている。特に、本実施形態では、貫通孔56と収容凹部60が周方向で互いに近接位置して形成されており、貫通孔56と収容凹部60の形成部位を除く周方向の3/4周弱の領域に、合計4つの肉抜凹部66が、収容凹部60の深さ方向に相当する軸直角方向を形開き方向とする仕切部材34のモールド成形に際しての型開閉等を考慮して形成されている。
【0040】
更にまた、これら肉抜凹部66が形成されることにより、環状突出部36の軸方向両端縁部が、それぞれ、薄肉の板形状をもって周方向に延びる薄肉壁部68,70とされており、これらの薄肉壁部68,70によって、第一及び第二の周溝38,40における幅方向一方の壁部が構成されている。なお、第一及び第二の周溝38,40は、何れも、幅方向両側の壁部の高さが相互に異なっており、仕切部材34の軸方向両外側の壁部よりも、環状突出部36の薄肉壁部68,70で構成された軸方向内側の壁部の方が高くされている。
【0041】
また、第一及び第二の周溝38,40における各幅方向一方の壁部を構成する薄肉壁部68,70には、それぞれ、周上の二箇所において切欠き72,74が形成されている。かかる切欠き72,74は、周方向で0.5mm〜20mmの大きさが好ましく、より好ましくは1.0mm〜15mmとされる。蓋し、切欠き72,74の周方向寸法が小さ過ぎると、後述する残留液の排出効率が十分に得られ難くなり、反対に大き過ぎると、後述する流体封入領域の流体密性が低下するおそれがあるからである。特に本実施形態では、二つの切欠き72,74が、仕切部材34の軸直角方向(径方向一方向)で対向位置せしめられており、一方の切欠き72が、収容凹部60の形成部位において、該収容凹部60の開口部の略全体に亘って形成されている。このような本実施形態の切欠き72,74は、仕切部材34の成形時における型開閉方向に開口していることから、仕切部材34の成形時の型開閉等に問題となることもない。
【0042】
更にまた、これらの切欠き72,74は、何れも、第一及び第二の周溝38,40の底部にまで略達する深さで形成されている。それにより、一方の切欠き72,72を通じて、第一及び第二の周溝38,40の底部が収容凹部60に接続されていると共に、他方の切欠き74,74を通じて、第一及び第二の周溝38,40の底部が肉抜凹部66に接続されている。
【0043】
さらに、仕切部材34には、図1に示されているように、ゴム弾性板76と、隔壁金具78が組み付けられている。ゴム弾性板76は、所定厚さの略円板形状を有しており、その外周面には金属スリーブ80が加硫接着されている。この金属スリーブ80は、薄肉円筒形状を有しており、軸方向下側の開口端縁部には、環状の内方突起82が一体形成されている。
【0044】
そして、図7にも示されているように、金属スリーブ80が仕切部材34の支持突部46に外挿されて八方絞り等で縮径加工され、内方突起82が支持突部46の基端周縁部に形成された係合溝48に係止されることによって、支持突部46に外嵌固定されている。これにより、仕切部材34の上側凹所42の開口部がゴム弾性板76で流体密に覆蓋されており、そこにゴム弾性板76で壁部の一部が構成された密閉状の作用空気室44が形成されている。なお、ゴム弾性板76は、上下両面が拘束されることなく、他の部材から離隔して位置せしめられており、板厚方向(上下方向)への弾性変形が許容されるようになっている。そして、マウント装着状態下では、仕切部材34のポート部62に外部の空気管路が接続されることにより、図示しない圧力制御手段から及ぼされる空気圧変動が、かかる空気管路から空気通路84を通じて作用空気室44に及ぼされるようになっている。
【0045】
一方、隔壁金具78は、図8〜10に示されているように、全体として略ハット形状を有しており、中央に形成された浅底の逆カップ状部86の開口端縁部から径方向外方に広がるようにして鍔状部88が一体形成されている。この隔壁金具78の周壁部90は、径方向一方向で対向位置する部分で、それぞれ、周方向に所定幅に亘って大径化されており、以て、周方向所定幅で径方向外方に向かって突出する一対の径方向突部92,94が一体形成されている。なお、これら径方向突部92,94は、鍔状部88の外周縁部にまで略達する径方向寸法をもって形成されている。更に、各径方向突部92,94には、周壁部90の一部が径方向に突出されることによって形成された径方向の突出先端部分96,98において、それぞれ、径方向に貫通するエア抜孔100が形成されている。また、隔壁金具78の鍔状部88には,一対の径方向突部92,94を繋ぐ周方向一方の側の中間部分において、受圧室側連通孔としての切欠窓102が形成されている。
【0046】
そして、図1及び図11に示されているように、隔壁金具78における逆カップ状部86の開口部分を、仕切部材34に組み付けた金属スリーブ80に対して、軸方向上方から圧入して外嵌固定することにより、隔壁金具78が金属スリーブ80に組み付けられており、これによって、仕切部材34と、金属スリーブ80を備えたゴム弾性板76、および隔壁金具78によって一体的な組付体104が形成されている。
【0047】
かかる組付体104においては、隔壁金具78の鍔状部88が金属スリーブ80から径方向外方に突設されており、金属スリーブ80の外周面上で、仕切部材34の上端面と鍔状部88の軸方向対向面間を周方向に連続して延びる環状溝106が形成されている。また、隔壁金具78は、仕切部材34に対して周方向で相対的に位置合わせされており、その鍔状部88に形成された切欠窓102が、仕切部材34に形成された貫通孔56に対して径方向で対向位置せしめられており、それによって、切欠窓102と貫通孔56の対向位置する径方向が、隔壁金具78の径方向突部92,94が対向位置する径方向に対して略直交せしめられている。
【0048】
また、隔壁金具78における逆カップ状部86の開口部がゴム弾性板76で流体密に覆蓋されており、それら逆カップ状部86とゴム弾性板76の対向面間に、後述する副液室108を形成するための空所110が形成されている。更に、隔壁金具78は、一対の径方向突部92,94において金属スリーブ80から離隔されており、それら径方向突部92,94と金属スリーブ80の離隔部間において、環状溝106を空所110に連通せしめる一対の副液室側連通孔112,112が形成されている。
【0049】
要するに、金属スリーブ80の外周面上に形成された環状溝106は、周上の一箇所で、切欠窓102を通じて隔壁金具78の上面に開口せしめられており、そこから周方向両側に分岐して周方向にそれぞれ略1/4周の長さで延びた位置で、それぞれ副液室側連通孔112,112を通じて空所110に連通せしめられている。更に、これら副液室側連通孔112,112を超えて、切欠窓102から周方向両側にそれぞれ略半周の長さで延びた位置で合流し、貫通孔56を通じて外周凹溝54に接続されている。
【0050】
そして、このような構造とされた組付体104には、軸方向上方から本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品が組み付けられている。かかる組付けは、仕切部材34の軸方向上方から第二の取付金具14を外挿せしめ、第二の取付金具14の係止突部28を環状突出部36の軸方向上面に当接させて位置合わせした状態で、第二の取付金具14を八方絞り等で縮径加工することにより、第二の取付金具14の小径部26の開口部分を仕切部材34の上端部分に対して外嵌固定すると共に、第二の取付金具14の小径部26に設けられた係止突部28を、環状突出部36の上方に形成された第一の周溝38に嵌着固定せしめることによって、行なうことが出来る。
【0051】
これによって、第二の取付金具14における小径部26側の開口部内周面が、シールゴム層32を挟んで仕切部材34の外周面に当接されており、以て、かかる小径部26側の開口が仕切部材34で流体密に閉塞されている。また、第二の取付金具14の縮径加工により、隔壁金具78の鍔状部88の外周縁部が、第二の取付金具14の小径部26に対して径方向で流体密に当接されており、組付体104に形成された環状溝106が小径部26で覆蓋されて、環状通路114が形成されている。更に、径方向突部92,94における径方向の突出先端部分96,98は、第二の取付金具14の小径部26に当接されており、突出先端部分96,98に形成されたエア抜孔100,100が流体密に閉塞されている。
【0052】
また、第二の取付金具14に組付体104が組み付けられることにより、本体ゴム弾性体16とゴム弾性板76の対向面間を仕切るようにして隔壁金具78が配設されており、それによって、隔壁金具78と本体ゴム弾性体16の対向面間に、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて圧力変動が生ぜしめられる受圧室116が形成されている。更にまた、隔壁金具78とゴム弾性板76の対向面間には、壁部の一部がゴム弾性板76で構成されて、作用空気室44の圧力制御によりゴム弾性板76のばね剛性を調節したり、ゴム弾性板76を加振変形させることによって圧力制御することの出来る副液室108が構成されている。
【0053】
さらに、仕切部材34の下方には、可撓性ゴム膜としてのダイヤフラム118が配設されている。このダイヤフラム118は、薄肉のゴム膜によって形成されており、全体として弛みをもった薄肉円板形状を有していると共に、その外周縁部には、二つめの封止部材を構成する筒状支持金具としての筒金具120が加硫接着されている。筒金具120は、全体として大径の円筒形状を呈しており、その軸方向上側の開口端縁部には、径方向内方に向かって屈曲されて僅かに突出する環状嵌着突部としての係止突部122が、周方向に連続した円環形状で一体形成されている。なお、このような筒金具120は、第二の取付金具14と同様に、プレス加工によって有利に製造することが出来る。そして、筒金具120における下側の開口端部内周面に対して、ダイヤフラム118の外周縁部が加硫接着されており、筒金具120の軸方向下側の開口部が流体密に閉塞されている。なお、このことから明らかなように、本実施形態では、ダイヤフラム118は、筒金具120を備えた一体加硫成形品として形成されている。また、筒金具120の内周面には、その全体に亘って、ダイヤフラム118と一体形成されたシールゴム層124が被着されている。
【0054】
そして、仕切部材34の軸方向下方から筒金具120を外挿せしめ、筒金具120の係止突部122を環状突出部36の軸方向下面に当接させて位置合わせした状態で、筒金具120を八方絞り等で縮径加工することにより、筒金具120の上側開口部分が、仕切部材34の下端部分に対して、シールゴム層124を挟んで外嵌固定されていると共に、筒金具120に設けられた係止突部122が環状突出部36の下方に形成された第二の周溝40に嵌着固定されている。これによって、仕切部材34の下側凹所50の開口部がダイヤフラム118で流体密に閉塞されている。なお、第二の取付金具14の縮径加工と筒金具120の縮径加工は、同時に行うことが可能である。
【0055】
而して、仕切部材34にダイヤフラム118が組み付けられて下側凹所50が流体密に覆蓋されることにより、仕切部材34とダイヤフラム118の間には、壁部の一部がダイヤフラム118で構成されて、該ダイヤフラム118の変形に基づいて容易に容積変化が許容され、圧力変化が速やかに解消され得る平衡室52が形成されている。また、仕切部材34に形成された外周凹溝54も、筒金具120によって流体密に覆蓋されており、以て周方向に所定長さで延びる外周通路126が形成されている。
【0056】
また、上述の如くして形成された受圧室116と副液室108および平衡室52には、それぞれ、非圧縮性流体が封入されており、これら三室52,108,116によって協働して流体封入領域が構成されている。なお、かかる封入流体としては、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が何れも採用可能であり、特に後述するオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果を有利に得るためには、粘度が0.1Pa・s以下の低粘性流体が好適に採用される。更にまた、受圧室116は、平衡室52および副液室108に対して、それぞれ、環状通路114を利用して構成された第一のオリフィス通路128および第二のオリフィス通路130によって連通せしめられている。
【0057】
ここにおいて、第一のオリフィス通路128は、受圧室116に開口する切欠窓102から環状通路114を周方向に分岐してそれぞれ周方向に半周の長さで並列的に延び、貫通孔56を通じて外周通路126に至り、通孔58から平衡室52に達する流体流路によって構成されている。また、第二のオリフィス通路130は、受圧室116に開口する切欠窓102から環状通路114内で周方向に分岐してそれぞれ周方向に略四半周の長さで延び、副液室側連通孔112,112を通じて副液室108に至る流体流路によって構成されている。特に本実施形態では、仕切部材34に対してゴム弾性板76を組み付けるための金属スリーブ80と、副液室108を形成するための隔壁金具78を巧く利用して、第一のオリフィス通路128と第二のオリフィス通路130を、少ない部品点数と簡単な構造をもって形成することが出来るのである。なお、本実施形態では、第一のオリフィス通路128が、第二のオリフィス通路130よりも通路長さが大きくされて低周波数域にチューニングされている。
【0058】
また、受圧室116や副液室108,平衡室52に対する非圧縮性流体の充填と封入は、組付体104に対する第二の取付金具14と筒金具120の組付けを非圧縮性流体中で行なうことによって有利に為され得る。
【0059】
より具体的には、例えば、先ず、図7に示されているように、大気中において、仕切部材34に対して、ゴム弾性板76に加硫接着された金属スリーブ80を組み付けた後、図11に示されているように、別途形成した隔壁金具78を金属スリーブ80に外嵌固定することにより、組付体104を得る。そして、この組付体104における仕切部材34のポート部62にゴム栓132(図11参照)を差し入れて作用空気室44や空気通路84の開口を流体密に覆蓋せしめた後、かかる組付体104を非圧縮性流体中に浸漬する。また、必要に応じて、非圧縮性流体中で組付体104を傾斜や回転等させて、下側凹所50や外周凹溝54,空所110,環状溝106等に空気が残留しないように非圧縮性流体を行き渡らせる。
【0060】
ここにおいて、組付体104において略密閉構造とされた空所110は、一対の径方向突部92,94で形成された副液室側連通孔112,112を通じて環状溝106に開口せしめられていることに加えて、一対の径方向突部92,94の突出先端部分96,98にエア抜孔100,100が貫設されており、これらのエア抜孔100,100を通じて、空所110が直接に外部に連通せしめられていることから、比較的容易に非圧縮性流体を空所110に充填することが出来る。特に、例えば、非圧縮性流体中でノズル等から非圧縮性流体を噴出させて、それを一方のエア抜孔100から空所110に吹き込むことにより、残留エアを他方のエア抜孔100から速やかに排出させることも可能である。
【0061】
そして、組付体104のエア除去を完了した後、それぞれ別途加硫成形した本体ゴム弾性体16とダイヤフラム118の加硫成形品を非圧縮性流体中に浸漬し、本体ゴム弾性体16に加硫接着された第二の取付金具14と、ダイヤフラム118に加硫接着された筒金具120を、それぞれ、非圧縮性流体中で組付体104の軸方向両側から外挿し、絞り加工して、第二の取付金具14の係止突部28と筒金具120の係止突部122を、仕切部材34の第一及び第二の周溝38,40に入り込ませて係止する。これにより、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム118の加硫成形品を、それぞれ、仕切部材34に嵌着固定し、以て、受圧室116や副液室108,平衡室52,第一及び第二のオリフィス通路128,130を形成すると同時に、それらに非圧縮性流体を充填して封入せしめる。
【0062】
その後、上述の如き非圧縮性流体中での組付けによって構成されたエンジンマウント10を非圧縮性流体中から取り出し、洗浄することで表面に付着した非圧縮性流体を除去する。なお、かかる洗浄は、例えば、大気中で水や湯をエンジンマウント10の表面全体に吹き付けること等によって行なう。その後、スプレーガン等を利用し、圧縮空気をエンジンマウント10の表面全体に吹き付けることによって乾燥処理して、製品として出荷可能なエンジンマウント10とされる。
【0063】
ここにおいて、上述の如き構造とされたエンジンマウント10においては、仕切部材34の支持突部46の外周面が、第二の取付金具14と筒金具120の間で外部に露呈されており、この外部への露呈面上に、支持突部46に形成された切欠き72,72,74,74が、それぞれ開口せしめられている。要するに、これらの切欠き72,74を通じて、第一及び第二の周溝38,40の底部が大気中に連通せしめられて、排液通路が形成されているのである。
【0064】
そして、上述の如き乾燥処理の工程において、エンジンマウント10の表面に吹き付けられる圧縮空気が、通常の乾燥処理に際して切欠き72,74の開口部に吹き込まれることとなり、或いはそれら切欠き72,74の開口部を狙って圧縮空気が吹き込まれる。更に、切欠き72と切欠き74の一方を通じて吹き込まれた圧縮空気は、第二の取付金具14や筒金具120の係止突部28,122で覆蓋された第一及び第二の周溝38,40内に入り込み、それら第一及び第二の周溝38,40を周方向に通過せしめられて、切欠き72と切欠き74の他方を通じて、外部空間に排出されることとなる。
【0065】
これにより、非圧縮性流体中での組付けによって第一及び第二の周溝38,40内に入り込み、それら第一及び第二の周溝38,40が第二の取付金具14や筒金具120の係止突部28,122で封止状態とされた残留液としての非圧縮性流体が、圧縮空気の流通に伴って押し出されるようにして強制的に第一及び第二の周溝38,40から排出されるのであり、かかる第一及び第二の周溝38,40内への非圧縮性流体の残留が速やかに解消され得るのである。
【0066】
このようにして製造された、前述の如き構造のエンジンマウント10においては、例えば、エンジンシェイク等の低周波数域の振動入力時には、受圧室116と平衡室52の間に受動的に生ぜしめられる相対的な圧力変動に基づいて、第一のオリフィス通路128を通じて流動せしめられる流体の共振作用により有効な防振効果が発揮される。一方、アイドリング振動等の高周波数域の振動入力時には、外部から作用空気室44にアイドリング振動に対応した周期の空気圧変動を及ぼしてゴム弾性板76を加振駆動することによって副液室108に生ぜしめた内圧変動を、第二のオリフィス通路130を通じて受圧室116に及ぼすことにより、受圧室116の圧力変動を能動的乃至は積極的に制御することが可能であり、それによって、能動的な防振効果が発揮され得ることとなる。
【0067】
ここにおいて、本実施形態のエンジンマウント10にあっては、本体ゴム弾性体16に加硫接着された第二の取付金具14とダイヤフラム118に加硫接着された筒金具120を、何れも、仕切部材34に形成された第一及び第二の周溝38,40に対する嵌着係止構造をもって該仕切部材34に対して直接に嵌着固定したことにより、仕切部材34を巧く利用して少ない部品点数で、受圧室116や副液室108,平衡室52が形成され得る。
【0068】
しかも、製造に際して仕切部材34の第一及び第二の周溝38,40に入り込んで残留した非圧縮性流体を、製品の乾燥工程で用いられる圧縮空気の吹き付けを巧く利用して効率的に排出させることが出来ることから、所謂疑似漏れの問題が効果的に回避され得ることとなり、エンジンマウント10における高度な信頼性が実現され得るのである。
【0069】
また、本実施形態のエンジンマウント10においては、仕切部材34における第一及び第二の周溝38,40が軸方向に所定距離を隔てて形成されていることから、それら第一及び第二の周溝38,40の間で外部に露呈された環状突出部36の外周面上に直接に開口するようにして、ポート部62を収容する収容凹部60を容易に形成することが出来るのである。
【0070】
なお、上述の説明では、エンジンマウント10を非圧縮性流体中で組み付け、更に洗浄した後、圧縮空気を吹き付けて乾燥する製造方法に際して本発明を適用した場合を説明したが、圧縮空気による乾燥に代えて、真空槽による乾燥工程を採用することも可能である。具体的には、例えば、エンジンマウント10を非圧縮性流体中で組み付け、その後の洗浄工程を、上述の通りに行なった後、かかるエンジンマウント10を真空槽の室内に収容して真空圧をかけることでエンジンマウント10の表面に付着した洗浄液等を気化させることで乾燥する。その際、第一及び第二の周溝38,40の底部にも、切欠き72,74の外部空間への開口部を通じて真空圧が及ぼされることから、有効な乾燥が行なわれて、第一及び第二の周溝38,40内に残留する非圧縮性流体等が速やかに除去され得るのである。
【0071】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0072】
例えば、前記実施形態では、ゴム弾性板76の背後に形成された作用空気室44に対して、防振すべき振動の周波数に対応した空気圧変動を及ぼして副液室108の圧力を能動制御するようになっていたが、その他、例えば、作用空気室44における静的な空気圧値を、防振すべき振動の周波数に応じて変更設定することにより、ゴム弾性板76の壁ばね剛性を調節し、以て、第二のオリフィス通路130を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて発揮される受動的な防振効果のチューニング周波数を変更するようにしても良い。
【0073】
或いはまた、仕切部材34における上側凹所42の底壁部を設けることなく、仕切部材34を全体として略筒状とし、作用空気室44を形成することなく、ゴム弾性板76とダイヤフラム118の間に平衡室52を形成することも可能である。このような構造のエンジンマウントにおいては、ゴム弾性板76を含んで構成された仕切部材34を挟んで、副液室108と反対側に平衡室52が形成されることとなる。そして、副液室108の壁部を構成するゴム弾性板76と平衡室52の壁部を構成するダイヤフラム118のばね剛性の相違を利用して、第一のオリフィス通路128および第二のオリフィス通路130をそれぞれ流動せしめられる流体の共振作用に基づく受動的な防振効果によって、互いに異なる周波数域の振動に対して有効な防振効果を得ることが出来るのである。
【0074】
また、前記実施形態では、仕切部材34に二つの環状嵌着凹溝としての周溝38,40が形成されており、それら二つの周溝38,40に対して、第二の取付金具14と筒金具120に形成された環状嵌着突部としての係止突部28,122が係止固定されていたが、第二の取付金具14と筒金具120の何れか一方だけにおいて、本発明に従う嵌着固定構造を採用し、他方は圧入等の他の構造で固定するようにしても良い。
【0075】
更にまた、流体封入領域やそこに形成されるオリフィス通路の具体的構造は、防振すべき振動周波数等に応じて適宜に設定,変更され得るものであり、何等、限定されるものでない。
【0076】
加えて、前記第一及び第二の実施形態では、本発明を自動車用のエンジンマウントに適用したものの具体例を示したが、その他、本発明は、振動の低減が要求される各種振動部材における防振装置に対して、何れも、有効に適用され得る。
【0077】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、流体封入領域の封止部位に残留した封入流体等を、速やかに且つ効率的に除去することにより、疑似漏れが防止されて、製品たる流体封入式防振装置における信頼性の向上が図られ得る。
【0078】
また、本発明方法に従えば、流体封入式防振装置の製造に際しての乾燥工程として採用される圧縮空気の吹き付けや真空槽による気化作用を巧く利用することにより、十分に小さな排液通路を通じて、封止部位に残留した非圧縮性流体等を有利に且つ速やかに排出除去することが出来るのであり、封止部位における流体密性も高度に確保され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントを構成する仕切部材を示す縦断面図である。
【図3】図2における左側面図である。
【図4】図2における右側面図である。
【図5】図3における平面図である。
【図6】図3におけるVI−VI断面図である。
【図7】図2に示された仕切部材とゴム弾性板の組付体を示す、図6におけるVII −VII 断面に相当する縦断面図である。
【図8】図1に示されたエンジンマウントを構成する隔壁部材を示す平面図である。
【図9】図8におけるIX−IX矢視図である。
【図10】図1に示されたエンジンマウントを構成する仕切部材とゴム弾性板および隔壁部材の組付体を示す平面図である。
【図11】図10に示された組付体の縦断面図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
28 係止突部
34 仕切部材
36 環状突出部
44 作用空気室
52 平衡室
72,74 切欠き
76 ゴム弾性板
78 隔壁金具
108 副液室
116 受圧室
118 ダイヤフラム
120 筒金具
122 係止突部
128 第一のオリフィス通路
130 第二のオリフィス通路
Claims (8)
- 防振連結される各一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された流体封入領域を形成するに際して、該流体封入領域における少なくとも一つの封止部位において、該封止部位を構成する一方の封止部材を筒体形状とし、該一方の封止部材を他方の封止部材に外挿して組み付けると共に、該一方の封止部材の内周面と該他方の封止部材の外周面の何れか一方に環状嵌着凹溝を周方向に延びるように形成し、それらの他方に形成された環状嵌着凸部を該環状嵌着凹溝に入り込ませることによって、かかる両封止部材を流体密に嵌着固定せしめる流体封入式防振装置の製造方法であって、
前記環状嵌着凹溝が形成された方の前記封止部材において、該環状嵌着凹溝の幅方向一方の壁部を他方の壁部より高くして、前記一方の封止部材を前記他方の封止部材に外挿するに際し、前記環状嵌着凸部が形成された方の該封止部材の軸方向端部を、該環状嵌着凹溝が形成された方の該封止部材において、その高くされた軸方向一方の壁部に当接させて外挿方向で相対的に位置決めすると共に、
前記環状嵌着凹溝と前記環状嵌着凸部の嵌着面間における周上の複数箇所に、該環状嵌着凹溝の底部を外部空間に接続する排液通路を設けて、該排液通路を通じて外部空間側から圧縮空気を吹き込むことにより、該環状嵌着凹溝の底部に残留した前記非圧縮性流体等を強制的に排出させることを特徴とする流体封入式防振装置の製造方法。 - 防振連結される各一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された流体封入領域を形成するに際して、該流体封入領域における少なくとも一つの封止部位において、該封止部位を構成する一方の封止部材を筒体形状とし、該一方の封止部材を他方の封止部材に外挿して組み付けると共に、該一方の封止部材の内周面と該他方の封止部材の外周面の何れか一方に環状嵌着凹溝を周方向に延びるように形成し、それらの他方に形成された環状嵌着凸部を該環状嵌着凹溝に入り込ませることによって、かかる両封止部材を流体密に嵌着固定せしめる流体封入式防振装置の製造方法であって、
前記環状嵌着凹溝が形成された方の前記封止部材において、該環状嵌着凹溝の幅方向一方の壁部を他方の壁部より高くして、前記一方の封止部材を前記他方の封止部材に外挿するに際し、前記環状嵌着凸部が形成された方の該封止部材の軸方向端部を、該環状嵌着凹溝が形成された方の該封止部材において、その高くされた軸方向一方の壁部に当接させて外挿方向で相対的に位置決めすると共に、
前記環状嵌着凹溝と前記環状嵌着凸部の嵌着面間における周上の複数箇所に、該環状嵌着凹溝の底部を外部空間に接続する排液通路を設け、該流体封入領域の封止完了後に真空槽に入れて、該環状嵌着凹溝の底部に残留した前記非圧縮性流体等を該排液通路を通じて強制的に排出させることを特徴とする流体封入式防振装置の製造方法。 - 前記環状嵌着凹溝が形成された方の前記封止部材において、該環状嵌着凹溝の幅方向一方の壁部を周上の少なくとも一部で薄肉板状とし、該薄肉板状とされた部分に切欠部を設けることによって前記排液通路を形成するようにした請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置の製造方法。
- 前記一方の封止部材の開口端縁部を径方向内方に屈曲させて前記環状嵌着凸部を形成する一方、前記他方の封止部材を筒状外周面を有するブロック状として、前記環状嵌着凹溝を該他方の封止部材の外周面に形成し、該一方の封止部材を該他方の封止部材に対して軸方向に外挿せしめた後、該一方の封止部材を縮径加工して該環状嵌着凸部を該他方の封止部材の該環状嵌着凹溝に入り込ませて嵌着固定する請求項1乃至3の何れかに記載の流体封入式防振装置の製造方法。
- 前記非圧縮性流体中において、前記封止部位を構成する前記一方の封止部材を、前記他方の封止部材に対して外挿する請求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式防振装置の製造方法。
- 防振連結される各一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された流体封入領域を形成する一方、該流体封入領域における少なくとも一つの封止部位において、該封止部位を構成する一方の封止部材を筒体形状とし、該一方の封止部材を他方の封止部材に外挿して組み付けると共に、該一方の封止部材の開口端縁部を径方向内方に屈曲させて環状嵌着凸部を形成し、該環状嵌着凸部を該他方の封止部材の外周面に形成した環状嵌着凹溝に入り込ませて嵌着固定した流体封入式防振装置において、
前記第二の取付部材を筒体形状として前記一方の封止部材を構成すると共に、該第二の取付部材の軸方向一方の開口部側に前記第一の取付部材を離隔配置せしめて、それら第一の取付部材と第二の取付部材を連結する前記本体ゴム弾性体で該第二の取付部材の一方の開口部を流体密に閉塞する一方、前記他方の封止部材を金属や硬質合成樹脂等の剛性材で形成された筒状外周面を有するブロック状の仕切部材により構成すると共に、前記環状嵌着凹溝を該仕切部材の外周面に形成し、該仕切部材の軸方向一方の側から該第二の取付部材の開口部を外挿せしめて、該第二の取付部材の開口端縁部に形成した前記環状嵌着凸部を該仕切部材の該環状嵌着凹溝に入り込ませて嵌着固定することにより、該第二の取付部材の内側で該仕切部材と該本体ゴム弾性体の対向面間に前記流体封入領域を構成する受圧室を形成して、且つ、
前記環状嵌着凹溝と前記環状嵌着凸部の嵌着面間における周上の複数箇所に、該環状嵌着凹溝の底部を外部空間に接続する排液通路を複数設けて外周面に開口させることにより、該排液通路を通じて外部の外周面上から圧縮空気を吹き込んで該環状嵌着凹溝の底部に残留した前記非圧縮性流体等を強制的に排出させることが出来るようにしたことを特徴とする流体封入式防振装置。 - 前記排液通路を、径方向で対向位置するように周上の2箇所に形成した請求項6に記載の流体封入式防振装置。
- 可撓性ゴム膜の外周縁部に筒状支持金具を固着せしめて、該支持金具の一方の開口部を該可撓性ゴム膜で流体密に閉塞すると共に、該筒状支持金具の他方の開口端縁部に前記環状嵌着凸部を形成することにより、かかる筒状支持金具によって、前記第二の取付部材とは別に、前記一方の封止部材の二つめを構成する一方、前記仕切部材の外周面において、該第二の取付部材の前記環状嵌着凸部が嵌着固定される前記環状嵌着凹溝とは別に、該環状嵌着凹溝から独立して略平行に延びる二つめの環状嵌着凹溝を形成し、該仕切部材に対して該第二の取付部材と反対側から該筒状支持金具を外挿せしめて、該筒状支持金具における該環状嵌着凸部を該仕切部材の該二つめの環状嵌着凹溝に入り込ませて嵌着固定することにより、該仕切部材を挟んで前記受圧室と反対側において該可撓性膜で壁部の一部が構成されて前記流体封入領域を構成する平衡室を形成すると共に、該平衡室を前記受圧室に接続するオリフィス通路を形成した請求項6又は7に記載の流体封入式防振装置。
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