JP3914268B2 - 列車無線通信システム及びその無線送受信装置 - Google Patents

列車無線通信システム及びその無線送受信装置 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、列車無線通信システムに関する。特に、軌道上を高速で移動する列車と地上の列車管理局との通信を、軌道沿線に配置された無線基地局を中継することにより行う列車無線通信システムに関する。
背景技術
現在、鉄道輸送においては、信号機による列車の運行管理システムが採用されている。この信号システムでは軌道上に電流を流して列車の車軸により軌道が短絡されることにより、列車の在線を検知する。管理局(制御装置)は列車に対して、所定の区間毎に設けられた信号により、この検知した情報に基づく運行制御情報を伝達する。しかし、このような信号システムは多大な地上設備を要し、また運行管理の単位が軌道回路長や信号の設けた間隔に制限されるため、列車の運転間隔を現在以上に狭めることは困難である。
そこで、運転効率を向上させるために、運行制御信号を多数の列車へ高速に伝達でき、かつ地上設備が簡易で保守の容易な無線による列車制御方法が考案されている(例えば特開平2−109770号参照)。この従来技術においては、列車と管理局との間に無線回線を設け、この無線回線を通じて、各列車からの位置情報に基づき、管理局が列車に運行制御信号を与える。
運行管理に無線システムを適用し、高速移動する列車と管理局との間で無線伝送を行う従来方式として、特開平5−83181号に開示された単一周波数による無線中継方式がある。これは、一つの基地局からのバースト信号を、軌道沿にほぼ等間隔で配置された無線送受信装置が順次、時分割的にバースト信号を中継し、列車へ伝達する。この方式は無線中継することにより、基地局と各無線送受信装置間の有線接続を不要とし、また単一周波数を利用することにより、各無線区間での周波数切換を不要としたものである。
発明の開示
軌道上には複数の列車が在線するため、管理局は一定時間内に異なる複数の列車と通信する必要がある。これに対して、従来方式では、第1の問題点として、複数の列車から管理局への各バースト信号が重ならないような構成を含んでいない。また、第2の問題点として、バースト信号が一定距離中継されて電波の減衰をしてからでなければ、次の信号を送信できなかった。そのため、短時間に多数の列車と通信を行うことが困難であった。
本発明では、軌道上を移動する複数の列車に搭載される移動局と、軌道に沿って設置された複数の基地局とを有する無線通信システムにおいて、移動局と基地局とは、それぞれ割り当てられたタイムスロットにおいて、所定の周波数でバースト信号の送受信を行い、軌道は在線する列車の運行管理を行う管理区間に区分されており、管理区間に在線する第一の移動局がバースト信号を送信する第一のタイムスロットと、管理区間に在線する第二の移動局がバースト信号を送信する第二のタイムスロットとの間に、管理区間に属する基地局に、軌道に沿った双方向に隣接する基地局へバースト信号を中継するタイムスロットを割り当てるようにする。
【図面の簡単な説明】
第1図は、列車運行管理システムの一構成例を示す。
第2図は、無線局の構成する時分割多元接続ネットワークを示す図である。
第3図は、無線局へのタイムスロット割当の第1の実施例を示す図である。
第4図は、無線局へのタイムスロット割当の第2の実施例を示す図である。
第5図は、無線局へのタイムスロット割当の第3の実施例を示す図である。
第6図は、第3の実施例における無線基地局のアンテナ指向性を示す図である。
第7図は、無線局の無線送受信装置の一構成例を示す図である。
第8図は、バースト信号のフォーマット例を示す図である。
第9図は、本発明のタイムスロット割当方法の原理を示す図である。
第10図は、列車運行管理システムの別の構成例を示す。
第11図は、本発明のタイムスロット割当方法の原理を示す図である。
第12図は、無線基地局で二重中継を行う場合のタイムスロット割当を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
第1図は列車運行管理システムのシステム構成を示したものである。軌道10上を列車20A〜20Cが移動する。各列車はそれぞれ無線送受信装置21とアンテナ22を搭載する。軌道10は管理区間11A、11Bに分割され、各管理区間内に設置された管理局40A、40Bはそれぞれ管理区間内を移動中の列車の運行を管理する。軌道10側部に無線基地局30C〜30E、30J〜30Lが適当な間隔を隔てて配置される。各無線基地局はそれぞれ無線送受信装置31とアンテナ32を具備する。
管理局40A、40Bは、その管理区間内の一つの無線基地局30D、30Kと接続されている。管理局は各管理区間内の無線基地局を無線中継することにより各管理区間内の列車との通信回線を確立する。各管理局は、通信回線を確立している列車が隣接した管理区間に出る前あるいは隣接管理区間内の列車が新たに自らの管理区間内に入る前に、該当する隣接管理区間内の管理局と一連のハンドシェイクを実行し、当該列車の管理を移行する。
以下、各列車20をそれぞれ移動局と呼び、移動局20および無線基地局30を包括して無線局と呼ぶ。各無線局は、第2図に示すように、全て時間的に同期した時分割多元接続ネットワークを構成する。ネットワークのノードは無線局であり、パスは無線局間の通信路である。無線局間の通信路上をバースト信号が送受信される。同図において、第1図と同じ符号で示したものは同じ構成要素を指す。
各無線基地局30は、軌道10に沿った方向10A、方向10Bに隣接する無線基地局と無線通信路を形成する。例えば、無線基地局30Fは方向10Aに無線基地局30Gと無線通信路を有し、方向10Bに無線基地局30Eと無線通信路を有する。
軌道10上を移動する移動局20は、その近接する無線基地局30のいずれかと無線通信路を有する。例えば、移動局20Aは無線基地局30Gとの無線通信路を有する。
各無線局には周期的に繰り返されるタイムスロットが割り当てられ、無線通信路を介して各無線局間でバースト信号の送受信を行う。各無線局は割り当てられたタイムスロットにおいてバースト信号を送信する。例えば、無線基地局30DはタイムスロットT1で、隣接する無線基地局30Eに方向10Aのバースト信号を送信し、タイムスロットT8で、隣接する無線基地局30Eから方向10Bのバースト信号を受信する。タイムスロットT9は、移動局20から無線基地局にバースト信号を送信するために割り当てられたスロットである。
周波数の再利用を図るため、同じタイムスロットをその無線局からの電波の干渉の影響がなくなる十分遠方に位置する無線局に対しても割り当てる。例えば、無線基地局30Dに対して割り当てられたタイムスロットT1lは、十分遠方に位置する無線基地局30Hのためにも割り当てられる。
各無線基地局に割り当てられたタイムスロットにて隣接無線基地局間の無線通信路を中継することにより、軌道に沿った両方向のバースト信号のフローを形成する。タイムスロットT1、T3、T5、T7は各無線基地局によって方向10Aの順次中継されていくバースト信号のフローを形成し、タイムスロットT2、T4、T6、T8は各無線基地局によって方向10Bの順次中継されていくバースト信号のフローを形成する。
管理区間内の移動局20は、管理区間内の管理局と接続した無線基地局から中継されてくるバースト信号を最寄りの無線基地局から受信することにより、上記管理区間内の管理局から移動局への通信が成立する。また、移動局から管理局への通信は、移動局が割り当てられたタイムスロットにおいて、バースト信号を最寄りの無線基地局に対し送信し、バースト信号が管理局と接続した無線基地局に中継されることにより成立する。
第2図に示すネットワーク構成におけるタイムスロット割当方法について説明する。第3図に管理区間11Aにおけるタイムスロット割り当ての第1の実施例を示す。横軸は、管理区間(11Z、11A〜11C)を示す。管理区間にはそれぞれ管理局40が設置されている。管理区間11Aには無線基地局30A〜Gが、11Bには無線基地局30H〜Nが含まれ、管理局40A、40Bはそれぞれ無線基地局30D、30Kと接続されている。縦軸は時間を示し、タイムスロット(T1,T2…)に区分されている。
各無線基地局は、割り当てられたタイムスロットで隣接する無線基地局にバースト信号を送信することにより、軌道に沿った双方向(10A、10B)にバースト信号のフローを形成する。バースト信号には、管理局40から列車20へ送信される下り信号と、列車20から管理局40へ送信される上り信号とを含む。
タイムスロットの割り当ては次の条件を満たす必要がある。
▲1▼移転局が管理区間内のどの場所に存在していても、所定の周期内に管理局との通信が完了すること
列車の運行制御は、管理局からの運行制御情報の送信と列車からの運行情報の返信とに基づくフィードバック制御である。そのため、列車がどこにあっても、あらかじめ定められた所定の周期内に、管理局から列車への運行制御情報の送信及び列車から管理局への運行情報の返信が完了する必要がある。この所定周期、すなわち、1の列車に対して管理局−列車間での通信が完了する周期を「単位周期」と称する。
なお、管理区間には複数の列車が在線する可能性があり、管理局はあらかじめ定められた所定の周期内に、在線する全ての列車に対して管理局から列車への運行制御情報の送信または列車から管理局への運行情報の返信が実行される必要がある。この所定周期、すなわち、1の管理区間において在線し得る全列車に対する管理局の送信を実行する(または、在線しうる全列車が管理局への送信を実行する)周期を「通信周期」と称する。したがって、「通信周期」は運行制御周期(管理局が各列車に対して運行制御情報を送信する周期)よりも、必ず短い。
▲2▼各無線基地局により中継されるバースト信号が、無線基地局に蓄積されることがないこと
無線基地局にバースト信号が蓄積されると、通信周期内に管理局と列車との間の通信が完了しないおそれが生じる。蓄積を防止するためには、各無線基地局は、通信されるバースト信号の発生から次のバースト信号の発生までに隣接する無線基地局へ中継処理が完了している必要がある。
第9図を用いて、条件▲1▼及び▲2▼を満たすタイムスロット割り当ての要件を説明する。第3図の例と同様に、管理区間内の無線基地局が7つであるとする。横軸に管理区間、縦軸に時間を表す。条件▲1▼を満たすために、管理局から管理区間のいずれかに存在する1の列車に信号の送信が完了するために、8回の中継処理が必要になる(下り通信)。一方、管理区間のいずれかに存在する列車から管理局に信号の送信が完了するために、6回の中継処理が必要になる(上り通信)。
さらに、上り通信及び下り通信のバースト信号がそれぞれ1つだけであれば、上記の計14回(すなわち、管理区間内の無線基地局の数の2倍)の中継処理により、条件▲2▼を満たして管理局−列車間での通信が完了する。したがって、1単位周期のうちに、各無線基地局は軌道に沿って両方向に隣接する無線基地局に対してそれぞれ少なくとも1回中継処理がされるようにタイムスロットが割り当てられればよい。
1つの中継処理に1つのタイムスロットを要する場合、各無線基地局に対し、軌道に沿った一方向(10A)へ中継する送信用タイムスロットとその反対方向(10B)へ中継するための送信用タイムスロットとを割り当てる毎に、移動局送信用のタイムスロットを高々一つ割り当てるようにする。
第3図は、第9図に示したタイムスロット割り当ての原則にしたがってタイムスロットを割り当てている。特に周波数利用効率を高めるため、信号が干渉しない程度に離れた無線基地局で周波数を再利用している。また、管理区間内に最大3両の列車が在線することを考慮している。この場合、1通信周期は27タイムスロット、1単位周期は17タイムスロットである。
各無線局は時間同期して動作している。移動局に割り当てられたタイムスロットはT9、T18、T27である。図中に、各移動局について1単位周期を形成するタイムスロットを符号で示す。タイムスロットT9を使用する移動局Aは符号aで示されるバースト信号のフローのいずれかのタイムスロットで下り信号(運行制御情報)を受信する。また、符号a’で示されるバースト信号のフローのいずれかのタイムスロットで上り信号(運行情報)を送信する。第3図に示すタイムスロット割り当てにしたがえば、移動局AはT1〜T17(1単位周期)を使用して必ず通信が完了する。同様に移動局BはT10〜T26を使用して必ず通信が完了する。
第3図のタイムスロット割り当てでは、十分離れた無線基地局で周波数を再利用している。図では、無線基地局4基おきに再利用している。もちろん、無線基地局は等距離に配置される必要性は必ずしもなく、等間隔の基地局で再利用しなければならない必要性もない。また、管理局と接続される無線基地局は管理区間の無線基地局である限り任意である。第3図の運行制御システムでは単一の周波数を使用するシステムであるため、無線基地局30Dから30Eへの中継動作は、30E〜Gが中継動作を行っているタイムスロットでは信号干渉の影響があるため行えない。図のタイムスロット割り当てでは、中継処理を順次配列し、無線基地局30DはタイムスロットT1、T10、T19において30Eへの中継処理が可能になる。
また、タイムスロットT7において管理区間11Aに属する無線基地局30Gから管理区間11Bに属する無線基地局30Hにバースト信号が送受信されている。このように管理局−列車間のみならず、管理局−管理局間での通信も無線基地局による中継により実現可能である。
また、移動局がバースト信号を発生するタイムスロットは各管理区間において適切に設定することができる。
第4図にタイムスロット割当方法の第2の実施例を示す。この実施例においては、運行制御システムとして複数の周波数を使用することにより、通信周期を短縮するものである。各基地局は、周波数F1で送信した信号が十分遠方に中継されるのを待たずに、異なる周波数F2で次の信号を送信する。異なる周波数の信号は干渉波とはならないため、通信周期を短縮できる。ただし、中継されるバースト信号は送受信で同じ周波数を使用する。管理区間内に在線する最大3両の列車に対応でき、この場合、1通信周期は15タイムスロット、1単位周期は19タイムスロットである。
第4図についても、第3図と同様に各移動局について1単位周期を形成するタイムスロットを符号で示す。第4図に示すタイムスロット割り当てにしたがえば、移動局AはT1〜T19(1通信周期後のT4)(1単位周期)を使用して必ず通信が完了する。同様に移動局BはT6〜T24を使用して必ず通信が完了する。
例えば、無線基地局30DはタイムスロットT1にて軌道に沿った10A方向に周波数F1にてバースト信号を送信し、無線基地局30Eは同信号を受信する。次に、無線基地局30EはタイムスロットT1にて受信した信号をタイムスロットT3にて周波数F1にて中継する。タイムスロットT6では、無線基地局30Dは再び軌道に沿った10A方向に、周波数F2でバースト信号を送信する。この場合、基地局30Dからの送信信号と基地局30Fの送信信号とは周波数が異なるため干渉しない。
このように複数の周波数を使用するため、単位時間当たり、より多数の移動局との通信が可能となる。さらにバースト信号は同一周波数のまま中継されるため、従来の単一周波数方式と同様、移動局の周波数切換は不要である。例えば、タイムスロットT10を割り当てられた移動局Aは、常に周波数F1で受信し、常に周波数F2で送信するように設定しておけばよく、管理区間11Aにおける在線位置によって周波数の設定変更をする必要はない。
第5図にタイムスロット割当方法の第3の実施例を示す。この実施例においては、隣接無線基地局からの信号干渉対策として、各無線局は軌道方向それぞれに指向性を選択して切り換え可能なアンテナを使用することにより、通信周期を短縮するものである。各無線基地局は、バースト信号送信時はバースト信号がフローしていく方向の利得がその逆方向の利得より大きなアンテナを選択して使用し、バースト信号受信時はバースト信号の到来する方向の利得がその逆方向の利得より大きなアンテナを選択して使用する。第5図の例においても、管理区間内に在線する最大3両の列車に対応でき、1通信周期は15タイムスロット、1単位周期は19タイムスロットである。
基地局30DはタイムスロットT1にて軌道に沿った10A方向に指向性をもつアンテナによりバースト信号を送信し、基地局30Eは、軌道に沿った10B方向に指向性をもつアンテナにより同信号を受信する。次に、基地局30Eは、受信した信号をタイムスロットT3にて軌道に沿った10A方向に指向性をもつアンテナにより送信し、無線基地局30Fは、軌道に沿った10B方向に指向性をもつアンテナにより同信号を受信する。このように、各無線基地局は、バースト信号の進行方向および到来方向にアンテナ指向性を選択して送受信を行う。
タイムスロットT6でのバースト信号の送受信の例を説明する。アンテナに指向性をもたせない場合、基地局Eにおいて、基地局30Dから送信された信号と基地局30Fから送信された信号とが干渉を生じることになる。しかし、第6図に示すように、アンテナに指向性をもたせることによって、基地局30Eでは、基地局30Fからの信号は抑圧され、基地局30Dからの信号を受信することができる。このように指向性アンテナを利用することにより、単位時間当たり、より多数の移動局との通信が可能となる。
各無線局の無線送受信装置の一構成例を第7図に示す。無線送受信装置はアンテナ部50、送受信機60、無線制御部70から構成される。アンテナ部50において、51A、51Bはアンテナである。複数のアンテナによりスペースダイバーシチが実行できる。また、第3の実施例の場合には、アンテナ51A,Bはそれぞれ異なる指向特性を有する。アンテナ切換装置52はタイミング同期回路73からの切換信号により、送受信機60と結合するアンテナを選択的に切り換える。
送受信機60は高周波部61とベースバンド部62とを有する。高周波部61は、電力増幅、フィルタ処理、周波数変換を行う。第2の実施例の場合には、変換される無線周波数は、タイミング同期回路73からの切換信号によって送信毎に異なるよう切り換えられる。ベースバンド部62は、バースト信号の変復調、及び誤り制御のための符号化/復号化が実行される。
無線制御部70は、上述したバースト信号のフローを形成するために必要な処理である他の無線局との時間同期処理、送信バースト信号の生成、受信バースト信号の処理に加えて、送受信機60の制御及び監視や、外部入出力装置との接続を実行する。無線制御部70の各構成要素について説明する。
タイミング同期回路73は、他の無線局と同期して中継処理を行うための同期タイミングを与え、上述の第2、第3の実施例の場合には、アンテナおよび無線周波数の切換信号をそれぞれアンテナ部50及び送受信機60に提供する。
制御装置71は、バッファ72A、72Bを介して送受信機60との間でバースト信号を転送する。受信バースト信号の転送を受け、▲1▼タイミング同期回路73の指示する同期タイミングの補正、▲2▼中継された受信バースト信号の処理、▲3▼中継する送信バースと信号の生成を実行する。その他、送受信機60の制御・監視を行う。
記憶装置74は、タイムスロットの割当情報、各無線局のシステム情報、及び中継すべきバースト信号を記憶する。外部入出カインターフェース75は、外部入出力装置からのバーストデータを無線伝送する場合、あるいは無線バーストデータを外部入出力装置へ伝送する場合、外部入出力装置との接続に用いる。
第8図にバースト信号のフォーマットの一例を示す。バースト信号はデータ87に加えて以下の構成部分を含む。プレアンブル81は、同期タイミング再生や搬送波再生に用いられる。タイムスロット番号82は、バースト信号の占めるタイムスロットを識別するためのものである。送信元ID83は送信元の無線局を特定するため、宛先ID84は宛先の無線局を特定するためのものである。送信元タイムスタンプ85は、送信元の無線局におけるバースト信号の発生の時間的順序を識別可能とするため設けられる。中継タイムスタンプ86は、無線基地局がバースト信号を中継伝送する際の送信時刻を示す。チェックビット88は、バースト信号のエラーの有無をチェックするためのものである。
第7図及び第8図に示した無線送受信装置および信号フォーマットにより各無線局が同期する方法について説明する。運行制御システムは基準クロックを有し、これに基づいてバースト信号の送信を行う無線基地局が少なくとも一つ存在する。通常は、管理局に接続された無線基地局が該当する。どの無線基地局がこの基準クロックを持つかは、無線送受信装置の記憶装置74に記憶される。なお、以下の説明は第3図の例に沿って行い、基地局30Dのみが基準クロックを有する場合を想定する。
基準クロックを有する無線基地局30Dからのバースト信号を直接受信可能な無線局(30E等)は、基地局30Dからのバースト信号に含まれるタイムスロット番号82と、送信元タイムスタンプ85あるいは中継タイムスタンプ86とを参照することで無線基地局30Dとタイミングを合わせることが出来る。基地局30Dの送信したバースト信号を受信するのに要する遅延時間を予め算定しておくことで、タイミングを合わせることが可能である。
無線基地局30Dからのバースト信号を直接受信不可能な無線局の場合でも、基準クロックを有する無線基地局30Dと同期している無線基地局からのバースト信号を受信することで、同様にしてタイミングを合わせることができる。
次に、無線基地局の実行するバースト信号の中継処理について説明する。無線基地局は搭載する無線送受信装置の記憶装置74に、割り当てられているタイムスロットとそのタイムスロットにおいてバースト信号を送受信する無線基地局とを登録している。無線送受信装置はバースト信号の受信毎に、チェックビット88を用いてバースト信号内の誤り検出あるいは訂正を行う。誤り検出の結果、バースト信号内に訂正不可能な誤りが検出された場合にはこれを破棄する。誤りなしあるいは訂正され、かつ中継する必要がある場合、バースト信号内の宛先ID84を参照し、次に送信されるべき割り当てられたタイムスロット番号82毎に記憶装置74に記憶する。
記憶装置74には、同じタイムスロット番号に対するバースト信号が既に記憶されている場合がある。この場合、それぞれの送信元ID83、宛先ID84および送信元タイムスタンプ85をもとにどちらか一方を選択して記憶する。具体的には、既記憶のバースト信号が1通信周期前に中継されたバースト信号であれば、それを送信元タイムスタンプ85で判定し、上書きする。既記憶のバースト信号が隣接する基地局から受信した空データのバースト信号であって新たに移動局からバースト信号を受信した場合には、それを送信元ID83で判定し、上書きする。
記憶されたバースト信号は、中継時の送信時刻を示す中継タイムスタンプ86が追加修正され、割り当てられたタイムスロットにおいて送信される。
第10図は、別の列車運行管理システムのシステム構成の例である。第10図のシステム構成においては、管理局間を有線により接続することにより、隣接する管理区間に属する無線基地局の間では、無線による中継処理を行う必要がない。タイムスロットの割り当て原理は第9図に示したものと同様である。ただし、管理局に接続された無線基地局が管理区間の一端に存在する場合は第11図に示したものになる。すなわち、管理局に接続された無線基地局は、軌道に沿った一方向Aのみについて中継処理が必要となる。
時分割多元接続ネットワークにおいて、サイトダイバーシチを行うことによりバースト信号のフローの信頼性を高めることができる。
(上り信号のサイトダイバーシチ)
移動局の送信した信号は、移動局の最寄りの無線基地局のみならず、より遠方の無線基地局でも受信できる。第3図の例では、移動局Aが基地局30Fと30Gの間に存在したとすれば、送信した信号は両無線基地局で受信される。このように複数の基地局が移動局の信号を受信するため、通信の信頼性が向上する。
(下り信号のサイトダイバーシチ)
第12図に示すように、無線基地局はバースと信号を二重に中継する。例えば、タイムスロットT1において基地局30Dで送信したバースト信号は基地局30E及び30Fにより受信される。一方、基地局30EはタイムスロットT1にて受信した信号をタイムスロットT3にて中継送信し、基地局30F及び30Gにより受信される。このように、本実施例ではバースト信号は二重の中継路によって順次中継される。なお、二重の中継路を三重、四重の中継路へと拡張することは容易である。
このように多重中継路によりバースト信号のフローを形成することにより、移動局は複数の異なる無線基地局からデータ内容が同一なバースト信号を受信できる機会が増加する。第12図の例では、移動局Aが基地局30Fと30Gの間に存在したとすれば、移動局は基地局30Eまたは30Fが送信した信号のいずれかを受信できれば、通信が正常に行える。したがって、通信の信頼性が向上する。
さらに、このように多重中継路を構成することにより、基地局の一つが何らかの障害により送受信不能な状態にあったとしても、その基地局をバイバスしてバースト信号の中継処理を行うことができる。例えば、基地局30Eが送受信不可能な場合は、基地局30Fは基地局30Dから中継すべきバースト信号を得る。したがって、一定数の無線基地局の故障を許容し得る頑強性を有するようになる。
産業上の利用可能性
本発明の列車無線通信システムにおいては、無線局をノードとする同期した時分割多重ネットワークを形成する。軌道沿いに配置されるそれぞれの無線基地局に対し、軌道に沿った一方向へ中継するための送信用タイムスロットと、その反対方向へ中継するための送信用タイムスロットとを割り当てる毎に、移動局送信用のタイムスロットを高々1つ割り当てることにより、複数の移動局からのバースト信号の衝突と中継時のバースト信号のオーバーフローを防ぐことが可能とするものである。

Claims (7)

  1. 軌道上を移動する複数の列車に搭載される移動局と、上記軌道に沿って設置された複数の基地局とを有する無線通信システムにおいて、
    上記移動局と基地局とは、それぞれ割り当てられたタイムスロットにおいて、所定の周波数でバースト信号の送受信を行い、
    上記軌道は在線する列車の運行管理を行う管理区間に区分されており、
    第一の管理区間に属する基地局の各々は、上記第一の管理区間に在線する第一の移動局がバースト信号を送信する第一のタイムスロットと上記第一の管理区間に在線する第二の移動局がバースト信号を送信する第二のタイムスロットとの間に、少なくとも軌道に沿った第一の方向に隣接する基地局へバースト信号を中継する第三のタイムスロットと上記第一の方向と反対方向である軌道に沿った第二の方向に隣接する基地局へバースト信号を中継する第四のタイムスロットとが割り当てられていることを特徴とする無線通信システム。
  2. 請求項1記載の無線通信システムにおいて、
    上記第三のタイムスロットと上記第四のタイムスロットとは時間的に交互に配置されたことを特徴とする無線通信システム。
  3. 請求項1または2記載の無線通信システムにおいて、
    上記移動局と基地局とで送受信されるバースト信号は複数の周波数で送受信され、かつ、バースト信号が上記基地局間で中継される限りでは同一の周波数が使用されることを特徴とする無線通信システム。
  4. 請求項1乃至3のいずれか記載の無線通信システムにおいて、
    上記基地局は、バースト信号の送受信時に、通信の相手方向へのアンテナ指向性を強め、それ以外の方向のアンテナ指向性を弱める機能を備えることを特徴とする無線通信システム。
  5. 請求項4記載の無線通信システムにおいて、
    軌道に沿った各方向に指向性を有する複数のアンテナのうち、通信の相手方向に指向性を有する方のアンテナを選択して使用することにより、通信の相手方向へのアンテナ指向性を強め、それ以外の方向のアンテナ指向性を弱める機能を備えたことを特徴とする無線通信システム。
  6. 請求項1乃至4記載のいずれかの無線通信システムにおいて、
    上記基地局はバースト信号を中継する際、複数の無線基地局との間で同時に無線回線を形成して、データ内容が同一な、複数の無線電波の送受を行い、いずれか一方のバースト信号を選択することを特徴とする無線通信システム。
  7. 軌道上を移動する複数の列車に搭載される移動局と通信を行う無線送受信装置であって、
    周期的に割り当てられたバースト信号を送受信するタイムスロットを記憶する手段と、バースト信号の送受信周波数を切り換える手段と、アンテナ指向性を切り換える手段と、各無線送受信装置と時間同期をとって送受信動作と送受信周波数とアンテナ指向性の切換タイミングを指示するタイミング同期手段と、受信バースト信号を一時的に記憶する記憶手段を備え、その属する管理区間に在線する第一の移動局がバースト信号を送信する第一のタイムスロットと上記管理区間に在線する第二の移動局がバースト信号を送信する第二のタイムスロットとの間に、少なくとも軌道に沿った第一の方向に隣接する基地局へバースト信号を中継する第一のタイムスロットと上記第一の方向と反対方向である軌道に沿った上記第二の方向に隣接する基地局へバースト信号を中継する第二のタイムスロットとが割り当てられていることを特徴とする無線送受信装置。
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