JP3914090B2 - 眼球運動解析システム及び眼球撮像装置 - Google Patents

眼球運動解析システム及び眼球撮像装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスプレイに映し出されたターゲットを追従する眼球の動きを撮像してその運動解析を行う眼球運動解析システムと、それに用いる眼球撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
眼球運動は脳神経の働きと深い関係があり、特に、眼球の基本的運動機能である指標追跡機能の検査は、パーキンソン病、アルツハイマー病、脊髄小脳変性症及びめまい等の脳神経系疾患の診断に用いられている。
この指標追跡機能検査は、スクリーンなどのディスプレイに映し出されるターゲット(指標)を直線的に一定速度で移動させ、このターゲットを追従する眼球の動きをビデオカメラで撮像し、その画像データに基づいて眼球運動を解析するものである。
【0003】
例えば、ターゲットを左から右に一定速度で移動させたときの眼球の動きを撮像し、その眼球画像から眼球位置の時間変化を読み出し、ターゲットの移動開始時刻及び移動終了時刻を表わすパルス波形と共にグラフ表示させるようにしている。
【0004】
これによれば、眼球の移動開始時刻がターゲットの移動開始時刻からどの程度送れているか、ターゲットの移動開始時刻から移動終了に至るまで眼球が直線的に移動しているか、ターゲットが停止した後に眼球がどのように動いているかなどをグラフから読み取ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般的な指標追跡機能検査は、被験者前方のスクリーンにターゲットを投影するようにしているため、比較的大がかりな投影装置や専用の検査室を必要とし、総合病院であればともかく、一般の開業医にとってそのような設備を設けることは負担が大きい。
【0006】
また、前方にあるスクリーンに投影されたターゲットを追従する場合に人間は本能的に頭の向きを変えてしまうため、頭部を固定しない限り正確な指標追跡機能検査を行うことができない。
この場合に、額と顎を押し当てて使用するのが一般的であるが、それでも頭部が拘束されているわけではないので、頭部移動による画像ブレをなくすことはできない。
【0007】
すなわち、指標追跡機能検査を行う場合に、ターゲットを映し出すスクリーンに対して頭部が静止していることが必要であり、また、眼球を撮像する撮像カメラに対して頭部が静止していることが必要である。
【0008】
単に眼球画像を撮像するのであれば、ゴーグル型のヘッドセットに眼球に対向して撮像カメラを設けたタイプの眼球撮像装置を用いることにより、撮像カメラに対して頭部を静止させることができるが、この場合は、撮像カメラが邪魔になって前方にあるスクリーンを見ることができなくなってしまう。
また、撮像カメラの位置などを工夫して、スクリーンを見ることができるようにしても、結局は、ターゲットを映し出すスクリーンに対して頭部を静止させることができない。
【0009】
さらに、解析結果は、眼球位置の時間変化をターゲットの移動開始時刻及び移動終了時刻と共にグラフ表示するようにして、その眼球運動パターン等により脳神経疾患の診断を行っている。
ここで、健常者の場合はターゲットの位置に対して眼球位置がずれることはないが、脳神経系疾患を有する患者は位置ずれを生ずる。
しかし、従来のグラフでは、眼球位置とターゲットの位置との相対関係を正確に把握することが困難であるので、病状をより詳細に把握することが困難であった。
【0010】
例えば、ターゲットが動き出してもすぐ追随せず時間遅れを生じた後ターゲットに追いついたり、ターゲットの移動量に対して眼球の移動量がオーバーシュート又はアンダーシュートする場合に、眼球位置がどの時点でターゲットの動きに追いついたか、また、オーバーシュート量又はアンダーシュート量がどの程度であるかというように、ターゲットの位置と眼球位置の相対関係を把握することが難いという問題があった。
【0011】
そこで本発明は、第一に、頭部を固定することなく、ターゲットを映し出すスクリーン等のディスプレイに対して頭部を静止させ、また、眼球を撮像する撮像カメラに対しても頭部を静止させた状態で眼球を撮像することにより、正確な指標追跡機能検査を行えることができ、第二に、眼球位置とターゲット位置との相対関係をより正確で且つ容易に把握できるようにすることを技術的課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明は、ディスプレイに映し出されたターゲットを追従する眼球の動きを撮像する眼球撮像装置と、撮像された眼球画像に基づきその運動解析を行うアナライザとを備えた眼球運動解析システムであって、
前記眼球撮像装置は、眼鏡と同様に左右両側の耳掛けフレームとノーズパットにより頭部に装着可能なヘッドセットの少なくとも片方の眼球と対向する位置にディスプレイが設けられ、耳掛けフレームには、前記ディスプレイを覆うように配されたハーフミラーを介して眼球を撮像する撮像カメラが、正面を向いた眼球の視軸に対して撮像光軸を斜め後方から交差させるように配されて成り、
前記アナライザが、前記眼球撮像装置により撮像された眼球画像に基づき眼球位置の時間変化を眼球運動データとして読み出す画像処理手段と、当該画像処理手段で読み出された眼球運動データと前記ディスプレイ上に映し出されるターゲットの移動データを同期的に重ねてグラフ表示する解析グラフ出力手段とを備えていることを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、眼球撮像装置のヘッドセットにターゲットを映し出すディスプレイと、眼球を撮像する撮像カメラが設けられているので、このヘッドセットを頭部に装着すれば、ディスプレイと撮像カメラが頭部に対して固定されることとなる。
なお、撮像カメラは、例えば、ヘッドセットの耳掛フレームに取付金具を介してXYZ方向に位置調整可能及び首振可能に取り付けられており、これにより正確に眼球を撮像できるように光軸が可能となる。
【0014】
この眼球撮像装置を頭部に装着すれれば、頭部はディスプレイ及び撮像カメラに対して相対的に静止していることとなり、したがって、頭部が多少動いても、頭部移動による画像ブレを起すことなく、ターゲットに追従する眼球運動を正確に撮像することができ、眼球の指標追跡機能を正確に検査することができる。
【0015】
ここで、ディスプレイに映し出される画像を制御するコントローラを設け、デイスプレイの輝度調整を行って画像のコントラストを高く設定すれば、周囲の明るさにかかわらず、また、視力の弱い患者でもターゲットを見易く映し出すことができる。
また、コントローラにより、ターゲットの移動速度、方向を自由に設定したり、ターゲットの点灯および消灯を制御するようにしてもよい。
これにより、ターゲットを水平垂直方向に動かしたときの水平垂直指標運動や、ターゲットを急速に動かしたときのサッケード(衝動性眼球運動)や、ターゲットをゆっくりと動かしたときのスムーズパーシュート(滑動性眼球運動)を観察することができる。
【0016】
そして、眼球撮像装置で撮像された眼球画像から画像処理手段により眼球運動データが読み出され、ディスプレイ上に移動表示されたターゲットの移動データと同期的に重ねたグラフが解析結果として出力される。
【0017】
これにより、眼球位置及びターゲット位置の位置−時間変化を表わすグラフ線が重ねて表示されるので、両者のグラフ線の重なり及びずれに基づいて、ターゲットの位置と眼球位置の相対関係をより正確に且つ容易に把握することができ、したがって、医師が他の臨床所見を勘案して総合的に診断する際の補助的なデータを提供することができる。
【0018】
また、運動解析を行うアナライザが、前記ターゲットの移動データ及び前記眼球運動データに基づいて眼球運動のパターンデータを抽出するパターンデータ抽出手段と、当該パターンデータ抽出手段で抽出されたパターンデータを疾患に応じて予め登録された眼球運動のパターンデータと比較する疾患判定手段を備えていれば、疾患の有無及び疾患の種類に関する補助的なデータが得られる。
【0019】
例えば、測定した眼球運動を検討し、(1)ターゲットの動きと眼球運動との誤差および誤差の時間的解析結果(眼球運動の速度、加速度を含む)や、(2)ターゲットの動きと眼球運動との誤差パターンの疾患特異性や、(3)眼球の移動開始時刻の時間遅れや、(4)ターゲットの移動開始時刻から移動終了に至るまで眼球が直線的に移動しているか、(5)ターゲットが停止した後の眼球の動き、あるいは、(6)眼振などを読み取ってそのパターンデータを抽出し、これを予め登録された眼球運動のパターンデータと比較することにより、病気の鑑別、判定に有用な補助的なデータを追跡することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明に係る眼球運動解析システムを示す説明図、図2は眼球撮像装置を示す説明図、図3は撮像時の画面を示す説明図、図4はアナライザの処理手順を示すフローチャート、図5は解析グラフである。
【0021】
図1に示す眼球運動解析システム1は、ターゲットを追従する眼球の動きを撮像する眼球撮像装置2と、ターゲットの動きを制御すると共に撮像された眼球画像に基づきその運動解析を行うコントローラ3を備えている。
【0022】
眼球撮像装置2は、少なくとも片方(右眼)の眼球と対向する位置にターゲットを表示するディスプレイ4が設けられたヘッドセット5に、前記ディスプレイ4に対向する眼球の像を反射させるハーフミラー6と、当該ハーフミラー6により反射された眼球を撮像する撮像カメラ7を備えている。
【0023】
前記ヘッドセット5は、両眼と対向する個別の液晶ディスプレイ4、4が形成されたオリンパス社製の市販のヘッドマウントディスプレイEye−Trek(商品名)を使用した。
また、ディスプレイ4の大きさは決まっているので、ヘッドセット5を装着した状態で、正面を向いた眼球と対向するディスプレイ4の中心から左右に移動するターゲットを追従したときに、眼球の視軸の傾斜角が夫々の方向に30°確保できるように、ノーズパッド8によりディスプレイ4と眼球との距離が23mm以下に設定されている。
【0024】
撮像カメラ7は、CCD素子内蔵型の超小型プローブカメラが用いられ、画像を取り込むレンズ9の周囲に照明光発光部10が環状に配され、その撮像光軸Cxが、正面を向いた眼球の視軸Exに対して斜めに交差するようにヘッドセット5の耳掛けフレーム11に取付金具12を介してXYZ方向に位置調整可能及び首振可能に取り付けられている。
なお、照明光発光部10は、LEDなどの小型発光体を設ける場合でも、外部のハロゲン光源などの光を導く光ファイバであっても良く、また、眼球を撮像できればその設置場所も問わない。
【0025】
また、ハーフミラー6は、片側のディスプレイ4の全面を覆うように配されると共に、耳掛けフレーム11に取り付けられた撮像カメラ7の撮像光軸Cxを眼球に向けて反射させる角度に傾斜して設けられており、照明光発光部10から照射された照明光は、このハーフミラー6に反射させて眼球を照明している。
【0026】
眼球撮像装置2のディスプレイ4及び撮像カメラ7は、パソコンで構成されるコントローラ3に接続され、測定開始時刻Tsから測定終了時刻Teまで、前記コントローラ3から出力されるビデオ信号によりディスプレイ4にターゲットが映し出され、撮像カメラ7で撮像された眼球画像がコントローラ3に取り込まれる。
【0027】
コントローラ3では、キーボード入力又はマウス入力により設定されたターゲットの移動方向及び移動速度に応じて、測定開始時刻Tsから測定終了時刻Teまでのターゲット位置の時間変化がターゲット移動データとして予め設定されたターゲット移動データ記憶領域14に記憶される。
そして、所定のスタートキーが押されると前記ターゲット移動データに基づいてビデオ信号生成手段15により生成されたビデオ信号がディスプレイ4に出力されてターゲットが任意の色で表示されると共に、スタートキーを押した時刻が測定開始時刻Tsとして記録される。
【0028】
なお、ディスプレイ4に映し出されるターゲットは、測定開始時刻Tsから移動開始時刻Taまで静止し、移動開始時刻Taから停止時刻Tbまで所定の移動方向及び移動速度で移動され、停止時刻Tbから測定終了時刻まで静止するようにその移動データが設定される(図5(a)〜(h)TG参照)。
移動速度は自由に設定可能(0.1〜20秒)であるが、本例では移動開始時刻Taから時刻Tbに至るまでの時間が2〜3秒に設定される。
【0029】
また、図3は撮像中のコントローラ3のディスプレイ16を示し、撮像カメラ7から取り込まれた眼球画像を表示するウィンドウWと、眼球撮像装置2のディスプレイ4に表示されているターゲットの画像を表示するウィンドウWが重ねて表示される。
【0030】
一方、撮像カメラ7に取り込まれた眼球画像はコントローラ3に出力され、予め設定されたアナライザ17としてのプログラムに従って解析処理がなされる。
アナライザ17は、眼球撮像装置2により撮像された眼球画像に基づき眼球位置の時間変化を眼球運動データとして読み出す画像処理手段と、当該画像処理手段で読み出された眼球運動データと前記ディスプレイ4上に映し出されるターゲットの移動データを同期的に重ねてグラフ表示する解析グラフ出力手段を備えている。
また、重ねてグラフ表示されるターゲットの移動データ及び眼球運動データに基づいて眼球運動のパターンデータを抽出するパターンデータ抽出手段と、当該パターンデータ抽出手段で抽出されたパターンデータを疾患に応じて予め登録された眼球運動のパターンデータと比較して疾患の有無及び疾患の種類を特定する疾患判定手段を備えている。
【0031】
図4はアナライザ17の処理手順を示すフローチャートであって、ステップSTP1で測定開始時刻Tsを読み出し、ステップSTP2で撮像カメラ7から入力された動画像を時刻Tsから所定の時間間隔(例えば0.05秒おき)の静止画として取り込む。
【0032】
次いで、ステップSTP3で測定開始時刻Tsから測定終了時刻Teまで読み出された夫々の静止画に基づき眼球中心の位置を読み取り、ターゲットの移動方向に対する眼球位置とその時刻を眼球移動データとして予め設定された記憶領域に記憶する。
【0033】
なお、この場合の眼球位置は、ターゲットの移動量で予め正規化したキャリブレーションデータを用いて決定する。
キャリブレーションは測定に先立って行われ、正面を向いた標準的な眼球の視軸と対向するディスプレイ4の中心(基準位置)から標準的な眼球の視軸が左右30°に傾斜する位置までターゲットを移動させ、その始点と終点の眼球画像に基づき、画像上の眼球移動量をターゲットの移動量で正規化して、キャリブレーションデータを算出する。
これにより、眼球が正確にターゲットを追従していれば、眼球画像より読み取られる眼球位置がと、ターゲット移動データのターゲット位置は正確に一致することとなる。
【0034】
そして、ステップSTP4で全ての静止画について処理が終了したと判断されるとSTP5に移行して、測定開始時刻Tsから測定終了時刻Teまでの眼球運動データを読み出して、時刻−眼球位置をX−Y座標とする眼球運動グラフ線をコントローラ3のディスプレイ16に表示する。
【0035】
次いで、ステップSTP6に移行してコントローラ3で設定されたターゲット移動データが読み出され、時刻−ターゲット位置をX−Y座標とするターゲット移動グラフ線をステップSTP5で表示させた眼球運動グラフに同期的に重ねて表示させる。
【0036】
次いで、ステップSTP7に移行し、ターゲット移動データと眼球運動データに基づいて眼球運動のパターンデータを抽出し、ステップSTP8では、抽出された眼球運動のパターンデータを、予め登録された疾患に対応する眼球運動のパターンデータと比較して統計値と比較して、該当する疾患の有無及び疾患の種類を特定し、ステップSTP9でその解析結果を出力して処理を終了する。
【0037】
ここで、眼球運動のパターンデータは、特定の疾患を有する患者に見られる眼球運動パターンの傾向を表わすものであれば何でもよく、例えば、ターゲット移動データに対する眼球移動データの誤差や分散等の統計値が考えられ、ステップSTP7及びステップSTP8で同じ統計処理により算出されたデータが用いられる。
【0038】
なお、上述のステップSTP1〜STP8の処理のうち、ステップSTP1〜STP4の処理が画像処理手段であり、ステップSTP5〜STP6の処理が解析グラフ出力手段、ステップSTP7の処理がパターンデータ抽出手段、ステップSTP8〜STP9の処理が疾患判定手段である。
【0039】
図5(a)〜(h)はターゲットを正面から30°まで水平右方向に5秒間かけてゆっくりと移動させたときの眼球運動データを示すグラフ線図EGと、ターゲット移動データ示すグラフ線図TGを重ねて、ディスプレイ16に出力させ、あるいは、プリントアウトされたものである。
【0040】
図5(a)はターゲットを追従するときに、眼球運動データのグラフ線図EGがターゲット移動データのグラフ線図TGより常に上方にあり、運動ターゲット位置より先に行き過ぎてはターゲット位置まで戻るというOKN様眼振(opto-kinetic-nystagmus:視運動性眼振)が見られる。
図5(b)はターゲットを追従するときに、眼球運動データのグラフ線図EGがターゲット移動データのグラフ線図TGより常に下方にあり、ターゲット位置に遅れては追いつくという注視方向性眼振が見られる。
図5(c)はターゲットを追従するときにある程度の角度まで追従した時点で眼振が発生する中枢異常に起因する注視眼振が見られる。
図5(d)はターゲットを追従するときに眼球が正面の位置にあるときから常に眼球位置が安定しない末梢異常に起因する眼振が見られる。
図5(e)は脊髄小脳変性症特有の眼振であり、ターゲットを追従するときにターゲット位置より先で停止してはターゲット位置より後に戻って停止するという矩形波状の眼振運動が見られる。
図5(f)も脊髄小脳変性症特有の眼球運動であり、眼球運動データのグラフ線図EGがターゲット移動データのグラフ線図TGより常に上方にあり、ターゲットを追従するときにターゲット位置より先に行き過ぎてターゲット位置まで戻らないまま推移するオーバーシュートが見られる。
図5(g)はパーキンソン病特有の眼球運動であり、眼球運動データのグラフ線図EGがターゲット移動データのグラフ線図TGより常に下方にあり、ターゲットを追従するときにターゲットが停止するまでターゲットに追いつけないアンダーシュートが見られる。
図5(h)は眼筋異常・斜視などに見られる眼振であって、ターゲットを正確に追従する部分と、ターゲットから離れて推移する部分が交互に現れている。
【0041】
このように、解析グラフを表示させると、ターゲット位置と眼球運動の関係が一目瞭然であるので、診断する際に眼球運動を正確に把握することができ、グラフを読み違えたりするおそれもない。
【0042】
また、これらのグラフを統計処理することにより得られたパターンデータを、予め登録したパターンデータと比較することにより、疾患の有無及び種類を判断することができる。
この場合、まず、測定された眼球運動データのターゲット移動データに対する誤差及び分散を求め、その大小により、誤差及び分散が0に近い場合は疾患がないと判断し、小さい場合は図5(a)〜(d)のいずれかに該当し、大きい場合は図5(e)〜(h)のいずれかに該当すると判断できる。
【0043】
図5(a)〜(d)のいずれかに該当すると判断された場合、眼球運動データの周波数を測定し、周波数が低く誤差がプラスである場合は図5(a)に該当し、周波数が低く誤差がマイナスである場合は図5(b)に該当し、周波数が最初は低く途中から高くなる場合は図5(c)に該当し、さらに、周波数が最初から高い場合は図5(d)に該当すると判断できる。
【0044】
また、図5(e)〜(h)のいずれかに該当すると判断された場合は、解析グラフより、眼球運動の速度変化を算出すると共に、眼球とターゲットの動きが一致する部分があるか否かを読み取る。
【0045】
そして、眼球停止がある場合は図5(e)に該当し、誤差がプラスで眼球停止が無く、眼球とターゲットの動きも一致しない場合は図5(f)に該当し、誤差がマイナスで眼球停止が無く、眼球とターゲットの動きも一致しない場合は図5(g)に該当し、眼球停止が無く、眼球とターゲットの動きが一致する場合は図5(h)に該当すると判断できる。
【0046】
そして、図5(a)に該当する場合はOKN様眼振の疑い、図5(b)に該当する場合は注視方向性眼振の疑い、図5(c)に該当する場合は中枢異常に起因する注視眼振の疑い、図5(d)に該当する場合は三半規管などの末梢部の異常に起因する眼振の疑い、図5(e)または(f)に該当する場合は脊髄小脳変性症の疑い、図5(g)に該当する場合はパーキンソン病の疑い、図5(h)に該当する場合は眼筋異常などの疑いがあると判断され、パーキンソン病あるいは脊髄小脳変性症の場合は、眼球位置がターゲットからどの程度ずれているかによって、重症度の判定、治療効果、薬理効果の判定ができる。
【0047】
なお、眼球撮像装置2を装着した状態で頭部を回転させ、ターゲットを映し出したときと映し出さないときで、頭部移動によって生じる前庭動眼反射の計測や、めまいにおける眼球運動を行い、両者を比較することも可能であり、臨床的にも有用な装置となると期待される。
【0048】
また、眼球撮像装置1で右側の眼球のみを撮像する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、両眼を同時に撮像できるように撮像カメラ7を左右両側に設けてもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、頭部を固定することなく、ターゲットを映し出すスクリーン等のディスプレイに対して頭部を静止させ、また、眼球を撮像する撮像カメラに対しても頭部を静止させた状態で眼球を撮像することにより、正確な指標追跡機能検査を行えることができるという大変優れた効果を奏し、さらに、眼球運動グラフとターゲット移動グラフが同期的に重ねられて表示されるのでこれらの相対関係をより正確で且つ容易に把握することができるという効果も有する。
【0050】
また、患者の頭部にヘッドセットを装着するだけで足りるので、使用場所を選ばずベッドサイドでも手軽に使うことができ、デイスプレイの輝度を高くすることにより、完全暗所でなくても使用可能であるという大変優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る眼球運動解析システムを示す説明図。
【図2】眼球撮像装置を示す説明図。
【図3】撮像時の画面を示す説明図。
【図4】アナライザの処理手順を示すフローチャート。
【図5】解析結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1………眼球運動解析システム
2………眼球撮像装置
3………コントローラ
4………ディスプレイ
5………ヘッドセット
6………ハーフミラー
7………撮像カメラ
10………照明光発光部
Cx………撮像光軸
Ex………視軸
11………耳掛けフレーム
17………アナライザ

Claims (7)

  1. ディスプレイに映し出されたターゲットを追従する眼球の動きを撮像する眼球撮像装置と、撮像された眼球画像に基づきその運動解析を行うアナライザとを備えた眼球運動解析システムであって、
    前記眼球撮像装置は、眼鏡と同様に左右両側の耳掛けフレームとノーズパットにより頭部に装着可能なヘッドセットの少なくとも片方の眼球と対向する位置にディスプレイが設けられ、耳掛けフレームには、前記ディスプレイを覆うように配されたハーフミラーを介して眼球を撮像する撮像カメラが、正面を向いた眼球の視軸に対して撮像光軸を斜め後方から交差させるように配されて成り、
    前記アナライザが、前記眼球撮像装置により撮像された眼球画像に基づき眼球位置の時間変化を眼球運動データとして読み出す画像処理手段と、当該画像処理手段で読み出された眼球運動データと前記ディスプレイ上に映し出されるターゲットの移動データを同期的に重ねてグラフ表示する解析グラフ出力手段とを備えていることを特徴とする眼球運動解析システム。
  2. ターゲットを基準位置から所定量移動させたときの眼球画像に基づき、画像上の眼球移動量をターゲットの移動量で正規化したキャリブレーションデータを算出し、当該キャリブレーションデータに基づき前記画像処理手段で眼球運動データを読み出す請求項1記載の眼球運動解析システム。
  3. 前記アナライザが、前記ターゲットの移動データ及び前記眼球運動データに基づいて眼球運動のパターンデータを抽出するパターンデータ抽出手段と、当該パターンデータ抽出手段で抽出されたパターンデータを疾患に応じて予め登録された眼球運動のパターンデータと比較して疾患の有無及び疾患の種類を特定する疾患判定手段を備えて成る請求項1記載の眼球運動解析システム。
  4. 前記パターンデータが、前記ターゲットの移動データ及び前記眼球運動データを統計処理することにより得られる統計値である請求項3記載の眼球運動解析システム。
  5. ディスプレイに映し出されたターゲットを追従する眼球の動きを撮像する眼球撮像装置であって、
    眼鏡と同様に左右両側の耳掛けフレームとノーズパットにより頭部に装着可能なヘッドセットの少なくとも片方の眼球と対向する位置にディスプレイが設けられ、
    耳掛けフレームには、前記ディスプレイを覆うように配されたハーフミラーを介して眼球を撮像する撮像カメラが、正面を向いた眼球の視軸に対して撮像光軸を斜め後方から交差させるように配されたことを特徴とする眼球撮像装置。
  6. 正面を向いたときの視軸を0°としたときに前記ディスプレイに映し出されたターゲットを追従する眼球の視軸が左右方向に夫々30°傾斜させることができるように当該ディスプレイの眼球に対する位置及び大きさが設定された請求項5記載の眼球撮像装置。
  7. 前記撮像カメラに、眼球撮像用の照明発光部が一体に取り付けられてなる請求項5記載の眼球撮像装置。
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