JP3913604B2 - 証明写真の作成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、証明写真の作成方法に係り、特に、撮影された画像データ中の人物の顔に相当する顔領域の傾きを修正するように、自動的に画像データを修正する証明写真の作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、例えばパスポートや免許証等の交付申請、あるいは履歴書の作成等のように、本人の顔等が写っている予め定められたサイズの写真(証明写真)の添付または提出が求められる機会は多い。このため、利用者の撮影を行うための撮影室が設けられ、撮影室内の椅子に着座した利用者を撮影し、利用者の証明写真用の画像を単一のシートに複数記録した証明写真シートを作成することを自動的に行う証明写真の自動作成装置が従来より利用されている。
【0003】
また、近年、写真フィルムに記録されているフィルム画像を読み取ることによって得られた画像データや、デジタルカメラ等から入力された画像データに対して、各種の画像処理を行った後に、印画紙等の記録材料に画像を記録したり、その他の出力形態(例えば、スマートメディア等の情報記録媒体に画像データを格納する等)で画像を出力可能な画像処理システムも一般的となってきている。それに伴い、DPE店(ラボ)や写真館などでは、銀塩カメラを用いて顧客を撮影して証明写真を作成したり、顧客が持ち込んだ証明写真作成用に撮影された写真フィルムから証明写真を作成する従来のサービスに加えて、デジタルカメラを用いて撮影して証明写真を作成したり、顧客が持ち込んだ情報記録媒体に記録された証明写真作成用の画像の画像データから証明写真を作成するサービスも提供されるようになってきている。
【0004】
ところで、証明写真として用いられる写真は、証明する人物の顔が所定のサイズ内に適切な大きさで適切な位置に配置されていることが必要である。
そのため、証明写真撮影の際に、利用者(顧客)が無意識的に首や上半身を傾けたり、カメラが傾いた状態で撮影されることによって、撮影された画像中の顔領域が傾いている場合には、画像を出力した後に画像中の顔領域の傾きを修正するようにカットしたり、画像を出力する前に画像処理装置において画像データを加工し、顔領域の傾きを修正していた。
【0005】
画像データの傾きを修正する画像処理装置として、特開平11−341272号公報には、証明写真の作成に用いる画像(人の顔が写された画像)を拡大縮小して所定の位置に配置してプリントアウトする画像処理装置であって、オペレータが画像データの回転角度を指示すると、コンピュータが指示された回転角度だけ画像データを回転させる画像処理装置が提案されている。
また、オペレータの指示した角度だけ画像データを回転させる処理は、既存の画像処理ソフトウエアなどを用いても行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような証明写真用等の画像において、画像処理を行わない場合には、顔領域が傾いていない写真を撮影することが望まれるが、利用者(顧客)や撮影者が利用者(顧客)の首や上半身の傾きを撮影時に矯正するのは、利用者(顧客)にとっても撮影者にとっても困難であり、負担が大きい。一方、画像出力後に被写体の顔の傾きを修正するようにカットする場合には、利用者やオペレータの作業の負担が大きく、また、切り落とす分を考慮して必要な画像サイズに余分を加えた大きなサイズで出力しておく必要があるため、出力に要する時間が長く、出力用紙の無駄も多いという問題があった。
【0007】
一方、画像処理を行う場合、上述した特開平11−341272号公報に記載の技術や、既存の画像処理ソフトウエアなどでは、オペレータが表示装置に表示されている原画像を確認して、原画像データの回転角度を指示し、回転された画像データを表示装置で確認する、という作業を行うが、指示する回転角度を決定するに際してはオペレータや利用者の感覚に頼るところが多く作業の負担が大きい上に、特にその作業に慣れていない利用者にとっては、傾きを修正し終えるまでには複数回作業を繰り返さなければならないことも多いため、非常に大きな負担となり、処理時間も長いという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の問題を解消し、原画像中の人物の顔に相当する顔領域の傾きを自動的に修正して証明写真を作成する、証明写真の作成方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、証明写真を見る人がまず画像中の人物の両眼部に着目し、それによって画像中の人物が証明写真の切取り辺に対して真っ直ぐに配置されているかどうかを判断する傾向が強いことを知見し、原画像中の人物の顔に相当する顔領域の傾きを自動的に修正する画像処理方法としては、画像中の人物の両眼部に相当する位置が、証明写真の切取り辺に相当する画像の枠に対して平行、または垂直な同一直線上に位置するように、修正画像データを作成する方法が有効であることを知見した。
【0010】
上記に基づき、本発明は、人物の顔に相当する顔領域を含む原画像の画像データを取得し、
前記原画像に対するトリミング枠、および、前記トリミング枠の一辺に平行な基準線を設定し、
前記原画像の画像データに基づいて、前記原画像中の人物の両眼部に相当する位置を各々検出し、
検出された前記原画像中の人物の両眼部を結ぶ直線と、前記基準線に平行または垂直な直線との成す鋭角の角度を演算して、前記原画像の傾き角度とし、
前記原画像中の人物の両眼部に相当する位置の略中央の1点を中心に、前記原画像を前記傾き角度だけ回転させるように、前記原画像の画像データを修正し、
前記修正画像データに基づいて、修正された前記原画像中の人物の頭頂部に相当する位置を検出し、
検出された前記頭頂部に相当する位置および前記両眼部の少なくとも一方に相当する位置に基づいて、前記顔領域が所定のサイズで前記トリミング枠内の所定の領域に位置するように、修正された前記原画像のトリミング領域を設定し、
前記トリミング領域に相当する前記原画像の画像データによって証明写真を作成する、証明写真の作成方法を提供するものである。
【0011】
ここで、前記トリミング領域の設定は、
前記頭頂部の位置と前記眼部の位置との前記顔領域に関する天地方向の距離を所定倍することにより、前記眼部の位置と顎の先端部の位置との前記天地方向の距離を算出して、前記顎の先端部の位置を推定し、
前記頭頂部の位置と前記顎の先端部の位置とから、前記顔領域の前記天地方向の長さを算出し、
予め設定された頭上/顔/顎下比率に従って前記トリミング領域の前記天地方向の長さを算出して、前記トリミング領域の前記天地方向の位置を設定し、
算出された前記トリミング領域の前記天地方向の長さ、および、予め設定された作成すべき証明写真のアスペクト比に従って、前記トリミング領域の前記天地方向に直交する左右方向の長さを算出するとともに、前記両眼部の中央の位置が前記トリミング領域の前記左右方向の中央に一致するように、前記トリミング領域の前記左右方向の位置を設定することにより行うのが好ましい。
【0014】
なお、本発明の一態様では、顔領域を含む原画像の画像データに基づいて、原画像中の人物の眼部に相当する位置および頭頂部に相当する位置が各々検出される。
原画像中の人物の眼部に相当する位置の検出には、例えば特開2000−242768号公報に記載されているように、眼部に相当する明暗のパターンを検出するフィルタによりフィルタリング処理を施し、一方の眼部に相当する領域が含まれる所定領域を設定し、設定した所定領域の中央部に黒目部分を含む特定領域を設定し、前記所定領域のうち前記特定領域を除いた領域を、原画像中の被写体の天地方向に平行な軸を対称軸として反転し、特定領域と合成することによってテンプレートを作成し、他方の眼部に相当する領域が存在していると推定される探索エリア内でテンプレートを操作させながら相互相関係数を求めることにより、他方の眼部に相当する領域が含まれる所定領域を設定するアルゴリズムが好適に例示される。しかし、これに限定されるものではなく、他のアルゴリズムを用いてもよいのはもちろんである。
【0015】
また、原画像中または原画像の修正画像中の人物の頭頂部に相当する位置の検出には、例えば被写体の略天地方向の予め設定された基準線に直交する横方向に沿った原画像上の複数箇所において、前記天地方向に上方側から下方側へ向けて原画像をスキャンしながら濃度変化量を繰り返し演算し、濃度変化量が最初に所定値以上となった位置を候補として記憶し、前記天地方向に沿って候補の位置が集中している部分のうちの最も上方に位置している候補を頭頂部に相当する位置として検出するアルゴリズムが好適に例示される。しかし、これについても、この方法に限定されるものではなく、他のアルゴリズムを用いてもよい。
【0016】
また、トリミング領域の設定には、人物の顔に相当する顔領域を含む原画像の画像データに基づいて、前記顔領域が所定サイズ比で所定位置に位置するように、前記原画像に対するトリミング領域を設定するアルゴリズムが好適に例示される。しかし、他のアルゴリズムを用いてもよい。
【0017】
なお、上記のトリミング領域設定アルゴリズムにおいて、原画像中または原画像の修正画像中の被写体の天地方向についてのトリミング領域の設定は、例えば、トリミング領域内のうち前記天地方向に沿って顔領域よりも上方に存在する頭上領域、顔領域、トリミング領域内のうち前記天地方向に沿って顔領域よりも下方に存在する顎下領域の各々の、前記天地方向に沿ったサイズ比の適性値を記憶手段等に記憶しておき、検出された原画像中の人物の頭頂部に相当する位置および眼部に相当する位置に基づいて、人物の顎の先端に相当する位置を推定し、頭頂部に相当する位置と顎の先端に相当する位置の原画像上または修正画像上での距離に基づき、トリミング領域内のうち頭上領域、顔領域、および顎下領域の各々の前記天地方向に沿ったサイズ比が、記憶手段等に記憶されているサイズ比の適性値に一致するように、前記天地方向に沿ったトリミング領域の位置およびサイズを設定することにより実現できる。
【0018】
また、原画像中または原画像の修正画像中の被写体の天地方向に直交する横方向についてのトリミング領域の設定については、例えば、検出された両眼部に相当する位置の前記横方向に沿った略中央に相当する位置を、前記横方向に沿ったトリミング領域の中心位置とし、前記天地方向に沿ったトリミング領域のサイズに基づき、トリミング領域のアスペクト比が記憶手段等に記憶されているアスペクト比を表す情報(例えばアスペクト比そのものを表す情報であってもよいし、トリミング領域内に相当する画像領域を記録材料に記録する際の記録画像の縦横のサイズを表す情報であってもよい)に一致するように、前記横方向に沿ったトリミング領域の位置およびサイズを設定することにより実現できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係る証明写真の作成方法を添付の図面に示す好適実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
図1に、本発明に係る証明写真の作成方法における画像処理を実行する画像処理方法により画像加工を行う画像作成システムの一実施形態の概略構成が示されている。
【0020】
図1に示す画像作成システム1は、撮影手段2と、画像データ入力手段3と、画像表示手段4と、画像加工手段5と、キー入力手段6と、画像出力手段7とを備える。
ここで、撮影手段2は、原画像の画像データ(以下、単に原画像データという)の取得手段の一つであり、人物の顔に相当する顔領域を含む被写体を撮影して原画像データを取得できるものであればどのようなものでも良く、例えばデジタルスチルカメラ等を挙げることができる。
画像データ入力手段3は、原画像データの取得手段の一つであり、人物の顔に相当する顔領域を含む被写体が撮影された原画像データを取得できるものであればどのようなものでも良く、例えば写真フィルムの画像を読み取るフィルムスキャナ(透過原稿読取装置)、原画像データなどが記録された磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の情報記録媒体(メディア)から原画像データを読み出す各種のメディアリーダ(メディアドライバ)およびインターネット等の通信網を介して原画像データを受信する画像データ受信装置等を挙げることができる。
【0021】
画像表示手段4は、撮影手段2や画像データ入力手段3によって取得された原画像データを表示し、あるいは、画像加工手段5によって原画像データから修正および加工された証明写真用画像データ等の修正画像データおよび加工画像データや関連する付加情報を表示するためのもので、例えば、CRT表示装置、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイなどのモニタやディスプレイを挙げることができる。
画像加工手段5は、撮影手段2や画像データ入力手段3によって取得された原画像データに基づいて、人物の両眼部に相当する位置が、原画像に対して予め設定されている基準線またはこの基準線に直交する直線に平行な同一直線上に位置するように画像データを修正するとともに、人物の顔領域が所定サイズ比で所定位置に位置するように原画像に対するトリミング領域を設定して、証明写真用画像データ等の加工画像データを作成するものであり、例えば、これらの機能を有する専用の画像処理装置であっても良いが、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)に、詳細を後述する証明写真用画像データ作成ソフトウエアをインストールすることによって構成しても良い。
【0022】
キー入力手段6は、証明写真用画像データ等の修正画像データおよび加工画像データを作成するために、加工画像データの所定サイズ比および画像出力手段7によって出力される証明写真等の出力画像の所定サイズを入力したり、画像修正処理や画像加工処理を指示するものであるが、これに加え、上記の画像作成システム1の動作に必要な情報やデータ等を入力するものであっても良く、例えば、上記画像加工手段5としてのPCに接続されるキーボードあるいはマウス等で構成することができる。
画像表示手段4、画像加工手段5およびキー入力手段6は、いわゆるPCとして一体的に構成されているものを用いることができる。
画像出力手段7は、画像加工手段5によって加工された証明写真用画像データ等の加工画像データを用いて証明写真等の所定サイズの画像を出力するもので、例えば、証明写真等の所定サイズの画像が可視像として記録された記録材料(写真プリント)等を出力するフォトプリンタ等を含む、ハードコピー画像を出力するレーザプリンタや、証明写真等の所定サイズの画像をハードコピー画像として出力するための画像データをCD−R等の情報記録媒体(メディア)に記録するメディアドライバ(書込装置)等を挙げることができる。
【0023】
図1に示す画像作成システム1において、撮影手段2を用いて画像を取得する場合には、オペレータ(撮影者)が、顧客を撮影手段2を用いて撮影すると、撮影手段2で撮影された撮影画像は、直ちに画像加工手段5に送られ、あるいは、画像加工手段5は、直ちに撮影画像を撮影手段2から読み込み、画像表示手段4に表示する。
一方、画像データ入力手段3を用いて画像を取得する場合には、オペレータが、顧客によって持ち込まれた証明写真用画像等の原画像を記録した写真フィルムや原画像データを記録した情報記録媒体から、フィルムスキャナやメディアリーダなどの画像データ入力手段3によって原画像(原画像データ)を読み出すと、読み出された原画像は、直ちに画像加工手段5に送られ、あるいは、画像加工手段5は、直ちに読み出された原画像を画像データ入力手段3から読み込み、画像表示手段4に表示する。
また、オペレータによって、キー入力手段6から証明写真等の画像のサイズ比や適切な画像を作成するための各種の処理を実行する指示、画像出力手段7から出力される証明写真等の画像のサイズや種類や必要枚数などの情報が入力されていると、画像加工手段5では、入力された指示やサイズ比、サイズなどの情報に基づいて、撮影画像や原画像に証明写真加工等の画像修正および加工が行われ、オペレータやユーザの指示に従って画像出力手段7に証明写真画像等の加工画像が出力される。
【0024】
次に、本実施形態に係る画像処理方法により画像加工を行う画像作成システムをより具体化した画像処理システムについて、図2を参照し、さらに詳細に説明する。
図2に、本実施形態に係る画像作成システムをより具体化した画像処理システム10の概略構成が示される。同図に示す画像処理システム10は、画像データを取得する取得手段である撮影手段2として、デジタルスチルカメラ(DSC;以下、デジタルカメラという)13を備え、同じく取得手段である画像データ入力手段3として、フィルムスキャナ14、メディアドライバ15および画像データ受信装置16を各々備える。以下では、デジタルカメラ13、フィルムスキャナ14、メディアドライバ15および画像データ受信装置16をまとめて画像データ入力装置12と呼ぶ。また、画像処理システム10は、画像加工手段5として、画像データ入力装置12から入力された画像データを加工処理する画像処理装置18、および、キー入力手段6として、キー入力部64が設けられている。画像処理装置18は、例えば、PCにより構成することができる。さらに、画像処理システム10は、画像処理装置18による処理を経た画像データ(または画像)を出力する出力装置として、画像を表示するためのディスプレイ20、印画紙に画像を露光記録するレーザプリンタ22、CD−Rに画像データを書き込むCD−R書込装置24を各々備えている。ここで、ディスプレイ20は、画像表示手段4に相当し、レーザプリンタ22およびCD−R書込装置24は、画像出力手段7に相当する。
【0025】
デジタルカメラ13は、例えば、証明写真等の画像作成を依頼する顧客の人物の顔を被写体として撮影して、人物の顔に相当する顔領域を含む原画像データを取得するものである。デジタルカメラ13としては、証明写真等の画像作成が可能な原画像データを取得できるものであれば、特に制限的ではないが、証明写真等の出力画像の要求品質を考慮すると、100万画素程度以上の画素数、あるいは1000×1000程度の撮影解像度を持つものであるのが好ましい。
【0026】
本実施例においては、デジタルカメラ13は、画像処理装置18に直接接続されている。従って、デジタルカメラ13で撮影された人物の顔を含む被写体の撮影画像(画像データ)は、即座に画像処理装置18に取り込まれ、ディスプレイ20にモニタ表示される。すなわち、画像処理装置18は、オペレータ(撮影者)がデジタルカメラ13のシャッタを押下したタイミングで、デジタルカメラ13から撮影画像を読み込み、ディスプレイ20にモニタ表示させる。ここで、デジタルカメラ13は、複数の撮影画像を一時記憶可能なバッファを持っているのが好ましい。その結果、ディスプレイ20への撮影画像の連続表示やデジタルカメラ13での連写が可能となる。
また、ディスプレイ20においては、デジタルカメラ13で撮影された撮影画像を撮影順に逐次表示するのが好ましい。その結果、ディスプレイ20で撮影履歴が一目で確認できる。
なお、ディスプレイ20に表示された撮影画像は、デジタルカメラ13のモニタに表示された撮影画像より高い解像度で、高精細に表示されているので、撮影者あるいは被写体となる顧客は、撮影画像が証明写真等の画像として適切であるかどうかを容易かつ正確に確認でき、適切でない場合には、直ちに取り直すことができる。
【0027】
メディアドライバ15は、例えばフレキシブルディスク(FD)等の磁気ディスクやCD−R等の光ディスク、光磁気ディスク(MO)、デジタルスチルカメラ(DSC)に装填可能なPCカードやスマートメディア、ICカード等の各種情報記憶媒体の何れかがセットされ、セットされた情報記憶媒体に記憶されている画像データを読み出して画像処理装置18に出力する。また、画像データ受信装置16は、インターネット等のコンピュータネットワークに接続されており、コンピュータネットワークを介して情報処理装置(例えばパーソナルコンピュータ(PC))からR,G,Bの画像データを受信し、受信した画像データを画像処理装置18に出力する。
【0028】
フィルムスキャナ14は、写真フィルム38(例えばネガフィルムやリバーサルフィルム)等の写真感光材料(以下単に写真フィルムと称する)に記録されているフィルム画像(被写体を撮影後、現像処理されることで可視化されたネガ画像またはポジ画像)を読み取り、該読み取りによって得られた画像データを画像処理装置18に出力するものであり、LED光源30から射出され光拡散ボックス34によって光量むらが低減された光が、フィルムキャリア36にセットされている写真フィルム38に照射され、写真フィルム38を透過した光がレンズ40を介してエリアCCDセンサ42(ラインCCDセンサでもよい)の受光面上に結像されるように構成されている。
【0029】
フィルムキャリア36は、フィルム画像がLED光源30からの射出光の光軸上(読取位置)に順に位置するように写真フィルム38を間欠搬送する。またLED光源30は、R光を射出する多数個のLED、G光を射出する多数個のLED、B光を射出する多数個のLEDが、図示しない基板の全面に一定かつ高い密度で各々配列されて成り、単一の画像が読取位置に位置している状態でR,G,Bの光を順位射出するようにドライバ32によって駆動される。これにより、写真フィルム38に記録されているフィルム画像がCCDセンサ42によって順に読み取られ、CCDセンサ42からはフィルム画像に対応するR,G,Bの信号が出力される。CCDセンサ42から出力された信号はA/D変換器44によってデジタルの画像データに変換されて画像処理装置18に入力される。
【0030】
画像処理装置18は、画像データ前処理部50、第1メモリ52、第2メモリ54、第1画像処理部56、画像処理制御部58、第2画像処理部60、および色再現変換部62から構成され、画像処理制御部58にはキー入力部64が接続される。画像データ前処理部50には第1メモリ52および第2メモリ54が接続されており、第1メモリ52には第1画像処理部56および画像処理制御部58が接続され、第2メモリ54には第2画像処理部60が接続されている。
先に説明した、デジタルカメラ13、フィルムスキャナ14、メディアドライバ15および画像データ受信装置16は、図2に示すように、画像処理装置18の画像データ前処理部50に接続されており、これらの画像データ入力装置12から出力された画像データは画像データ前処理部50に入力される。
【0031】
画像データ前処理部50は、入力された画像データに対し、画像データ入力元に応じて異なる所定の前処理を行う。デジタルカメラ13から入力された画像データに対する前処理としては、例えば、情報記憶媒体に記録する場合と同様な圧縮画像データである場合には、その解凍や、鮮鋭度向上等の画像処理等が、デジタルカメラ13での画像処理前の画像データである場合には、暗補正や濃度変換、欠陥画素補正等が挙げられる。また、フィルムスキャナ14から入力された画像データに対する前処理としては、例えば暗補正や濃度変換、シェーディング補正、欠陥画素補正等が挙げられる。また、メディアドライバ15から入力された画像データに対する前処理としては、例えば情報記憶媒体に圧縮されて記録されていた画像データの解凍や、鮮鋭度向上等の画像処理が挙げられる。また、画像データ受信装置16から入力された画像データに対する前処理としては、例えば画像データ受信装置16が受信した圧縮画像データ(例えばJPEG形式の画像データ)の解凍等が挙げられる。
【0032】
ところで、本実施形態に係るフィルムスキャナ14は、写真フィルムに記録されている個々のフィルム画像に対して異なる解像度で2回の読み取りを行う。1回目の比較的低解像度での読み取り(以下、プレスキャンという)では、フィルム画像の濃度が非常に低い場合(例えばネガフィルムにおける露光アンダのネガ画像)にも、CCDセンサ42で蓄積電荷の飽和等の不都合が生じないように決定した読取条件で読み取りが行われる。
画像データ前処理部50は、プレスキャンが行われることでフィルムスキャナ14から入力される低解像度の画像データに対し、所定の前処理を施した後に第1メモリ52へ出力する。
【0033】
また、画像データ前処理部50は、デジタルカメラ13、メディアドライバ15および画像データ受信装置16の各々から入力された画像データについては、第1メモリ52および第2メモリ54へ各々出力するが、このうち第1メモリ52に出力する画像データについては、プレスキャンによって得られた低解像度画像データと同等の低解像度の画像データに変換した後に第1メモリ52へ出力する。第1メモリ52に出力された低解像度画像データは、さらに、画像処理制御部58へ入力される。
【0034】
画像処理制御部58および第1画像処理部56は、CPU、ROM、RAMおよび入出力ポートがバスを介して互いに接続されていると共に、入出力ポートにハードディスク装置(HDD)等の記憶装置が接続された構成の単一の画像処理用PCによって実現することができ、この画像処理用PCに所定のプログラムを実行させることで、画像処理用PCを第1画像処理部56および画像処理制御部58として各々機能させることができる。
【0035】
画像処理制御部58は、第1メモリ52を介して入力された低解像度画像データが、フィルムスキャナ14でプレスキャンによって得られた画像データである場合には、低解像度画像データに基づいて濃度等の画像特徴量を演算し、プレスキャンを行った写真フィルムに対し、フィルムスキャナ14が比較的高解像度での再度の読み取り(以下、ファインスキャンという)を行う際の読取条件を決定し、決定した読取条件をフィルムスキャナ14に出力する。フィルムスキャナ14は、この読取条件を受け取ってファインスキャンを実行する。
【0036】
また、画像処理制御部58は、入力された低解像度画像データに基づいて、画像データ前処理部50から第2メモリ54を介して第2画像処理部60へ出力される同一の画像の高解像度画像データ(ファインスキャンを行うことでフィルムスキャナ14から入力された画像データ、またはデジタルカメラ13、メディアドライバ15または画像データ受信装置16のいずれかから入力された画像データ)に対し、第2画像処理部60によって行われる各種の画像処理の処理条件を演算により自動的に決定し(セットアップ演算)、決定した処理条件を第1画像処理部56へ通知する。
【0037】
なお、第2画像処理部60で実行される画像処理としては、例えば画像のグレーバランス調整、濃度調整、階調コントロール、画像の超低周波輝度成分の階調を圧縮するハイパートーン処理、粒状を抑制しながらシャープネスを強調するハイパーシャープネス処理等の出力画像の画質向上のための画像処理が挙げられる。また、画調を意図的に変更する画像処理(例えば出力画像をポートレート調に仕上げる画像処理等)や、画像を加工する画像処理(例えば原画像中に存在する人物を主画像上で細身に仕上げるための画像処理等)等の画像処理も実行可能としてもよい。
【0038】
第1画像処理部56は、画像処理制御部58から通知された処理条件に基づき、高解像度画像データを対象として第2画像処理部60で行われる画像処理と等価な画像処理を、第1メモリ52に記憶されている低解像度画像データに対して行って、シミュレーション画像データを生成する。第1画像処理部56には色再現変換部62、ディスプレイ20が順に接続されている。また、ディスプレイ20は、入力された画像データを保持するバッファを備え、バッファに保持した画像データに基づいてアナログの電気信号を生成し、前記画像データが表す画像をディスプレイ20に表示する機能を有している。第1画像処理部56で生成されたシミュレーション画像データは色再現変換部62へ出力され、色再現変換部62によって濃度変換等の色再現変換処理が行われた後にディスプレイ20へ出力され、シミュレーション画像(出力画像)としてディスプレイ20に表示される。ディスプレイ20に表示された出力画像は、オペレータによって画像の仕上がり等の検定に供される。
【0039】
また、画像処理制御部58にはキー入力部64が接続されている。このキー入力部64は、図1に示すキー入力手段6に相当し、例えばキーボードやマウス(これらは前述の画像処理用PCの入出力ポートに接続される)で構成することができる。ディスプレイ20に表示された出力画像を検定したオペレータはキー入力部64を操作し、検定結果を入力する。そして画像処理制御部58は、オペレータによる検定を経て処理条件が確定すると、確定した処理条件を第2画像処理部60へ通知する。
【0040】
第2画像処理部60は、前述した各種の画像処理を行う複数種の画像処理回路を各々備えており、画像データ前処理部50から第2メモリ54を介して高解像度画像データが入力されると、入力された高解像度画像データに対し、画像処理制御部58から通知された処理条件に従って各種の画像処理を行う。第2画像処理部60は色再現変換部62に接続されており、第2画像処理部60から出力された画像データは、色再現変換部62における色再現変換処理を経て、レーザプリンタ22またはCD−R書込装置24へ出力され、レーザプリンタ22による印画紙への画像の記録に用いられるか、またはCD−R書込装置24によってCD−Rに書込まれる。このように、証明写真等の加工画像は、プリントとしても、また加工画像の画像データの(情報記録媒体への)画像ファイルとしても、出力することができる。その結果、撮影画像(写真フィルムや情報記録媒体の原画像を含む)を他の用途や製品(プロダクト)に転用することもできるし、再注文(リオーダ)も容易に行うことができる。
【0041】
なお、レーザプリンタ22は、R,G,Bのレーザ光源を備えており、前記レーザ光源から射出されるR,G,Bのレーザ光を、画像処理装置18から入力された画像データに基づいて変調すると共に、ポリゴンミラー等の偏向手段によって偏向させて印画紙上を走査させることで、印画紙に画像を露光記録する。画像が露光記録された印画紙は、ペーパプロセッサへ送られて発色現像、漂白定着、水洗、乾燥の各処理が施される。これにより、印画紙に露光記録された画像が可視化される。なお、レーザプリンタ22は、画像処理装置18に、直結されているものに限定されず、LAN等の通信網を介して接続されているものであっても良い。
【0042】
次に、本実施形態の作用として証明写真の作成について説明する。
証明写真の作成は、例えば、本発明の画像形成システムが適用されるデジタル証明写真作成システムを備えたDPE店(ラボ)や写真館などで、顧客が証明写真のために撮影されることによって、もしくは、例えば証明写真作成対象の画像が記録された写真フィルムや、証明写真作成対象の画像の画像データが記録されたスマートメディア等の情報記録媒体が顧客によってDPE店や写真館等に持ち込まれ、顧客から証明写真の作成が依頼されることによって行われる。証明写真の作成依頼時には、同時に作成すべき証明写真の種類や種別(カラー/モノクロ)毎の枚数等の条件が指定される。なお、証明写真の作成依頼を、証明写真作成対象の画像の画像データの受信を含めてオンラインで受付可能としてもよい。
【0043】
証明写真の撮影および作成が依頼された場合、まず、撮影者またはオペレータは、所定位置において顧客をデジタルカメラ13で撮影する。デジタルカメラ13で撮影された撮影画像の画像データは、撮影後直ちに画像処理装置18に送られ、一旦、第1メモリ52および第2メモリ54に記憶されるとともに、第1メモリ52から読み出されて、第1画像処理部56、色再現変換部62を経てディスプレイ20に表示される。撮影者、オペレータまたは顧客によってディスプレイ20にモニタ表示された顧客の顔を含む撮影画像が観察され、証明写真用原画像として適切であることが確認されると、オペレータは、証明写真対象の原画像の高解像度画像データが第2メモリ54に記憶された状態で、証明写真の作成を指示する。ここで、顧客が目をつぶった状態で撮影された場合や、撮影された顧客の表情が顧客の気に入らない場合等、撮影画像が不適切であると確認された場合は、撮影をやり直すことは言うまでもない。しかしながら、本発明の画像処理方法を利用した画像処理システムにおいては、被写体の傾きやサイズを自動的に修正することが可能であるから、傾きやサイズを調整するために撮影をやり直す必要はない。
【0044】
一方、顧客の写真フィルムや情報記録媒体により、あるいは証明写真作成対象の画像の画像データを含むオンライン受付により、証明写真の作成が依頼された場合、持ち込まれた写真フィルム38に記録されている証明写真作成対象の画像に対しフィルムスキャナ14によってファインスキャンが行われるか、情報記録媒体から証明写真作成対象の画像の画像データがメディアドライバ15によって読み出されるか、あるいは画像データ受信装置16が受信した証明写真作成対象の画像の画像データが読み出されることにより、前記証明写真対象の画像の高解像度画像データが第2メモリ54に記憶され、また、同時に、フィルムスキャナ14によるプレスキャン画像や、メディアドライバ15および画像データ受信装置16の各々から入力され低解像度化された画像データが、第1メモリ52に記憶された状態で、オペレータにより証明写真の作成が指示される。
なお、デジタルカメラ13による撮影画像、フィルムスキャナ14によるフィルムスキャン画像、メディアドライバ15による情報記録媒体からの読出画像、画像データ受信装置16によるオンライン受信画像は、画像処理装置に接続された図示しないHDDやデータベース等に格納させ、バックアップを取っておくのが好ましく、より好ましくは、枚数制限設定付きの自動バックアップをするようにしておくのが良い。
【0045】
以下、オペレータによる指示に応じて画像処理装置18の画像処理制御部58および第1画像処理部56で実行される証明写真作成処理について、図3のフローチャートを参照して説明する。
なお、この証明写真作成処理は、本発明に係る証明写真の作成方法における画像処理方法が適用された処理であり、詳しくは、画像処理制御部58および第1画像処理部56を構成する画像処理用PCのCPUが証明写真作成プログラムを実行することによって実現される。証明写真作成プログラムは、当初は情報記憶媒体68(図2参照)に記憶されている。図2では情報記憶媒体68をフレキシブルディスクとして示しているが、CD−ROMやメモリカード等で構成してもよい。
【0046】
画像処理用PCが内蔵している情報読出装置(図示省略)に情報記憶媒体68が装填され、情報記憶媒体68から画像処理装置18へのプログラムの移入(インストール)が指示されると、情報読出装置によって情報記憶媒体68から証明写真作成プログラムが読み出され、画像処理用PCのHDDに記憶される。そして、証明写真作成処理を実行すべきタイミングが到来すると、HDDから証明写真作成プログラムが読み出され、該プログラムがCPUによって実行される。
【0047】
証明写真作成処理では、まずステップ100において、証明写真作成対象として指定された画像の低解像度画像データを、第1メモリ52から画像処理制御部58へ取り込み、次のステップ102では、ステップ100で取り込んだ画像データを用いて、例として図6に示すように、証明写真の作成条件を指定するための作成条件指定画面をディスプレイ20に表示させる。
なお、ステップ100において、証明写真作成対象として指定された画像の高解像度画像データを、第2メモリ54から第2画像処理部60へ取り込み、第2画像処理部60で低解像度化した後、画像処理制御部58へ取り込んで、ステップ102以降の処理を行ってもよい。
【0048】
図6に示す作成条件指定画面は、証明写真作成対象の画像を表示するための表示領域70A、表示された画像の傾き自動修正を指示する指示ボタン70B、画像の回転を指示するための指示ボタン群70C、トリミング領域の設定を自動で行うか手動で行うかを選択するための選択欄70D、作成する証明写真の種類(サイズ)を選択するための選択欄70E、証明写真の種別(カラー/モノクロ)毎の作成枚数を入力するための入力欄70F、表示領域70Aに表示されている画像の拡縮を指示するための指示ボタン群70G、トリミング領域の位置の移動を指示するための指示ボタン群70H、および、証明写真の作成条件を確定させるための決定ボタン70Jが各々設けられている。また、証明写真の画質を調整するための選択欄や入力欄も設けられている。
【0049】
表示領域70Aに証明写真作成対象の画像が表示されると、表示される証明写真作成対象画像における基準線Lが設定される。本実施例においては、表示領域70Aの横方向の枠線の一方(例えば、表示領域70Aの底辺)に対応する画像中の直線が、表示中の画像における基準線Lとして設定される。
ここで、画像データが矩形である場合には、画像データの一辺(例えば、被写体の横方向の一辺)が表示領域70Aの横方向の枠線の一方(例えば、底辺)に平行になるように表示され、表示中の画像の基準線Lは画像データの一辺に平行となる。また、後述するトリミング領域の縁辺(トリミング枠)Kは、その一辺(例えば、底辺P)が表示領域70Aの枠線の一つ(例えば、底辺)に平行となる位置に表示される。よって、基準線Lはトリミング領域の縁辺(トリミング枠)Kの底辺Pとも平行となる。
【0050】
なお、本実施形態では、互いにサイズが異なる複数種の証明写真を作成可能とされており、HDDには、次の表1に示すように、作成可能な各種の証明写真について、「種類(名称)」「プリントサイズ」「頭上/顔/顎下比率(詳細は後述)」が各々設定された証明写真情報が記憶されている(図10参照)。
【0051】
【表1】
【0052】
ディスプレイ20に作成条件指定画面が表示されている状態において、上記の証明写真情報は、選択欄70Eの右側に「▽」と表記されているボタンをクリックする等の操作をオペレータが行うことで参照され、作成可能な証明写真の種類(名称)が選択欄70Eに選択肢として一覧表示される。
一方、70Eに選択されている証明写真の種類に対応したサイズのトリミング領域の外縁を表す矩形状の図形(以下、トリミング枠Kという:図6参照)が、表示領域70A内に表示している証明写真作成対象の画像に重ねて、表示領域70Aの略中央に表示される。ここで表示されるトリミング枠Kのサイズは、初期値として設定された画像データの表示倍率とプリント時の画像データの変換倍率により決定される、実プリントサイズに応じたサイズとなっており、表示画像中の被写体の位置や大きさ等とは関係なく設定される。
【0053】
次のステップ104では、オペレータがキー入力部64(キーボードやマウス等)を介して何らかの情報を入力したか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。何らかの情報が入力されると、ステップ104の判定が肯定されてステップ106へ移行し、入力された情報の内容を判定し判定結果に応じて処理を分岐する。
【0054】
オペレータが指示ボタン70Bの「傾き自動修正」または選択欄70Dの「自動トリミング」を選択したことを表す情報が入力された場合にはステップ110へ移行し、「傾き自動修正」が選択された場合にはステップ110が肯定されてステップ112へ、そうでなければステップ110が否定されてステップ116へ移行する。また、オペレータが決定ボタン70Jを選択したことを表す情報が入力された場合にはステップ118へ移行する(何れも詳細は後述)。これら以外の操作が有ったことを表す情報が入力された場合には、ステップ106からステップ108へ移行し、入力された情報に応じた処理を行い(例えば作成すべき証明写真の種類が選択された場合は選択された証明写真の種類を記憶し、種別毎の証明写真の作成枚数が入力された場合は入力された種別毎の作成枚数を記憶する等)、その後ステップ104に戻る。
【0055】
オペレータによって指示ボタン70Bの「傾き自動修正」が選択された場合には、ステップ112で傾き修正の自動処理を行う。以下、この処理について図4のフローチャートを参照して説明する。
ステップ150では、ステップ100で画像処理制御部58に取り込んだ証明写真作成対象の画像の画像データに基づいて、前記画像中の人物の両眼部に相当する位置を検出する。
以下の説明では画像データの基準線Lの方向をX方向、基準線Lに直交する方向(被写体の略天地方向に相当)をY方向と称する。
【0056】
前記両眼部に相当する位置の検出に際し、まず、原画像中の人物の顔領域の略中央を通る軸Mを設定する。証明写真の場合、通常、顔領域は画像の中央部にあるため、図7(A)に破線で示すように、Y方向に平行で、X方向に関して原画像データの略中央を通る軸Mを設定し、軸Mを境界として一方の側(ここでは、図7(A)〜(D)における左側とする)に対し、例えば図7(E)または(F)に示すような明暗のパターンを検出するフィルタを用いてフィルタリング処理を施すことにより、左目に相当する眼部領域を含む第1の所定領域A1を設定する(図7(B)参照)。
【0057】
次に、図7(G)に示すように、第1の所定領域A1の中央部に、黒目に相当する領域を含むと推定される特定領域N1を設定し、特定領域N1以外の領域N2の左右を反転(Y方向に平行な軸を線対称軸として反転)して特定領域N1と合成することにより、図7(H)に示すようなテンプレートTを作成する。続いて軸Mを境界として他方の側(図7(A)〜(D)における右側)に、テンプレートTよりも面積が充分大きい探索エリアEを設定し(図7(C)参照)、探索エリアE内でテンプレートTを走査させながら相互相関係数を繰り返し演算し、相関係数が最大となった領域を第2の所定領域A2として設定する。
【0058】
そして、所定領域A1の中心座標値(X1,Y1)を左眼部の位置とし、所定領域A2の中心座標値(X2,Y2)を右眼部の位置とする。これにより、画像中の両眼部の位置を短時間で精度良く検出することができる。
【0059】
なお、証明写真作成対象の画像中の人物の両眼部に相当する位置の検出は、上記のアルゴリズムに限定されるものではない。例えば軸Mは所定領域A1,A2の設定時に処理対象範囲を絞るためのものであるので、後述する方法などにより画像中の人物の頭頂部に相当する点(頭頂点)を検出し、軸Mとして頭頂点を通る軸を用いてもよいし、軸Mを用いることなく証明写真作成対象の画像全面を処理対象範囲とするフィルタリング処理によって第1の所定領域A1を設定し、テンプレートTを作成し、第1の所定領域A1の近傍に設定した探索エリア内でテンプレートTを走査させることで、第2の所定領域A2の設定を行うようにしてもよい。
【0060】
次のステップ152では、ステップ150で検出した両眼部の位置に基づいて、両眼部を結ぶ直線S1と基準線Lに平行な直線S2との成す鋭角の角度Rを演算する(図8(A)参照)。この角度Rは画像中の人物の顔領域の傾き角度を表す。
ステップ154では、ステップ150で演算した両眼部の座標(X1,Y1)および(X2,Y2)から、X座標値の平均値およびY座標値の平均値をそれぞれ演算し、両眼部の中央に相当する位置の座標を求める。そして、ステップ156では、ステップ154で演算した両眼部の中央に相当する位置を回転の中心として、ステップ152で演算した顔領域の傾き角度Rが減少する方向に、角度Rだけ画像データ全体を回転させる(図8(B)参照)。すなわち、両眼部を結ぶ直線S1が基準線Lに平行になるように、言い換えればトリミング枠Kの底辺Pに平行になるように画像を回転することにより、傾きが修正される。
【0061】
なお、基準線Lの設定において、表示領域70Aの縦方向の枠線を基準線とした場合には、両眼部を結ぶ直線がこの基準線に直交する直線に対して平行になるように画像を回転するプログラムとすればよい。
【0062】
上記のようにして、証明写真作成対象の画像の画像データの回転処理を行うと、次のステップ158において、作成条件指定画面の表示領域70Aに傾き修正処理後の画像(図8(B))を表示し、図3のステップ114へ移行する。
【0063】
上記傾き修正処理において、画像データの回転の中心は、回転処理によって表示領域内の画像の位置が大きく変わったり、表示領域外に大幅に出てしまわないような点とするのが好ましく、画像の略中央の1点とするのが好ましい。また、証明写真においては顔領域、特に両眼部の位置が重要であり、両眼部の中央に相当する位置で回転させた場合の両眼部の位置変化量が比較的小さいこと、さらに、両眼部の中央に相当する位置の座標は両眼部の位置座標から容易に求められ、演算上効率が良いことから、両眼部の中央に相当する位置を回転の中心とすることがより好ましい。
【0064】
上述したように「傾き自動修正」が選択された場合に、証明写真作成対象の画像の眼部位置を自動的に検出し、検出した眼部位置を基に自動的に傾きを修正する回転処理を行うので、証明写真を作成する際のオペレータや利用者の負担を軽減することができる。
【0065】
次のステップ114では、選択欄70Dの「自動トリミング」が選択されているか否かを判定して、選択されていた場合にはステップ116へ移行し、そうでなければステップ104へ戻る。
【0066】
ステップ104において、オペレータが選択欄70Dの「自動トリミング」を選択したことを表す情報が入力された場合、あるいは、「自動トリミング」が選択された状態で指示ボタン70Bにより「傾き自動修正」を指示したことを表す情報が入力され、ステップ112により傾き修正の自動処理が終了すると、ステップ116でトリミング領域の自動設定処理を行う。以下、この処理について図5のフローチャートを参照して説明する。
ステップ170では、証明写真作成対象の画像の画像データに基づいて、前記画像中の人物の頭頂部に相当する点(以下、単に頭頂点という)の位置を検出する。頭頂点の位置は、例えば以下のようにして検出することができる。
【0067】
すなわち、証明写真作成対象の画像(一例を図9(A)に示す)を、画像中の被写体(人物)の略天地方向であるY方向を長手方向とする一定幅(例えば数画素分程度の幅)の多数本の長尺状領域に分割し(分割線の一部を図9(B)に破線で示す)、長尺状領域を被写体の略天地方向上方側から下方側へスキャンしながら、濃度変化量を繰り返し演算し、濃度変化量が最初に所定値以上となった位置を頭頂点候補として記憶することを、各長尺状領域について各々行う。
【0068】
これにより、図9(B)においては分割線が破線で示されている各長尺状領域毎に、頭髪部と背景との境界位置が頭頂点候補として各々記憶される。そして、図9(C)に示すように、頭頂点候補の位置がY方向に沿って集中している部分のうち、最も上方に位置している頭頂点候補を頭頂点とし、そのX座標値およびY座標値を検出する。これにより、画像中の頭頂点位置を短時間で精度良く検出することができる。
なお、頭頂点の検出方法としては、予め画像中の人物の両眼部に相当する位置を検出しておき、上記の方法で検出された頭髪部と背景との境界位置のうち両眼部の垂直二等分線上にある点を頭頂点としてもよい。
【0069】
次のステップ172では、証明写真作成対象の画像の画像データに基づいて、前記画像中の人物の両眼部に相当する位置を検出する。これは、上述のステップ112(図3参照)の傾き自動修正処理におけるステップ150(図4参照)の処理と同様の処理であり、ステップ112で傾き修正処理を先に行った場合には、両眼部の位置は既に検出されているので、ここでの処理は省略される。
【0070】
次のステップ174では、ステップ170で検出した頭頂点位置(詳しくは頭頂点のY座標値)およびステップ172で検出した両眼部の位置(詳しくは何れか一方の眼部のY座標値、または両眼部のY座標値の平均値)に基づいて、画像中の人物の顎の先端に相当する位置のY座標値を推定する。本発明者は、眼部位置と顎の先端部の位置とのY方向に沿った距離が、頭頂点位置と眼部位置とのY方向に沿った距離に対して略一定の比率(例えば2.1倍程度)になることを経験的に見出した。
【0071】
HDDには経験的に見出された上記の比率が記憶されており、ステップ174では、頭頂点位置と眼部位置とのY方向に沿った距離と上記の比率に基づき、眼部位置と顎の先端部の位置とのY方向に沿った距離を演算し、眼部位置から前記演算した距離だけY方向に隔てた位置のY座標値を、顎の先端部の位置のY座標値として求めている。なお、上記の比率は、オペレータの指示やその他をトリガとして変更可能としてもよい。
【0072】
ステップ176では、証明写真作成対象の画像中の人物の顔に相当する顔領域は、ステップ170で検出した頭頂点位置とステップ174で推定した顎先端位置との間に分布しているものとみなし、顔領域のY方向長さとして、頭頂点位置と顎先端位置とのY方向に沿った距離(例えば証明写真作成対象の画像上での画素数に換算した距離)を演算する。
【0073】
次のステップ178では、証明写真を作成するために作成対象画像に対して設定するトリミング領域のY方向長さを演算する。先の表1に示した証明写真情報のうちの「頭上/顔/顎下比率」は、図10に示すような、トリミング領域内のうち顔領域よりも上方に存在する頭上領域と、顔領域と、トリミング領域内のうち顔領域よりも下方に存在する顎下領域の各々のY方向長さの適正比率を表しており、証明写真の種類によって証明写真中の顔領域の望ましい大きさ(サイズ比)が相違している場合があることを考慮し、本実施形態では「頭上/顔/顎下比率」が証明写真の種類毎に各々記憶されている。このため、ステップ178では、作成条件指定画面上で選択された証明写真の種類に対応して記憶されている「頭上/顔/顎下比率」を取り込み、ステップ180で、取り込んだ比率と先のステップ176で演算した顔領域のY方向長さに基づいて頭上領域および顎下領域のY方向長さを各々求め、ステップ182において、トリミング領域のY方向長さとしてこれらの領域のY方向長さの合計を演算する。
【0074】
そしてステップ184では、頭頂点位置のY座標値と頭上領域のY方向長さに基づき証明写真作成対象の画像上でのトリミング領域の上端位置を演算するか、または顎先端位置のY座標値と顎下領域のY方向長さに基づき証明写真作成対象の画像上でのトリミング領域の下端位置を演算することで、トリミング領域のY方向位置を設定する。これにより、トリミング領域内の頭上領域、顔領域、および顎下領域の各々のY方向に沿ったサイズ比が、証明写真の種類毎に定められた適正比率に一致するように、Y方向に沿ったトリミング領域の位置が設定されることになる。
【0075】
次のステップ186では、作成条件指定画面上で選択された証明写真の種類に対応するトリミング領域のアスペクト比を取得する。トリミング領域のアスペクト比は作成すべき証明写真のアスペクト比と同一であり、ステップ186では、HDDに記憶されている証明写真情報の中から選択された証明写真の種類に対応する「実プリントサイズ」を取り込み、取り込んだ「実プリントサイズ」が表す縦横の長さからアスペクト比を演算することでトリミング領域のアスペクト比を取得する。
【0076】
ステップ188では、ステップ182で演算したトリミング領域のY方向長さと、ステップ186で取得したトリミング領域のアスペクト比に基づき、トリミング領域のX方向長さを演算する。
ステップ190では、ステップ172で演算した左眼部のX座標値(=X1)と右眼部のX座標値(=X2)の平均値、すなわちX方向に沿った両眼部の中央に相当する位置のX座標値を演算する。これは、上述のステップ112(図3参照)の傾き自動修正処理におけるステップ154(図4参照)の処理と同様の処理であり、ステップ112の傾き自動修正処理を先に行った場合には、両眼部の中央に相当する位置のX座標値は既に求められているので、ここでの処理は省略される。
【0077】
そして、ステップ192では、ステップ190で演算したX方向に沿った両眼部の中央に相当する位置が、X方向に沿ったトリミング領域の中央に一致するように、X方向に沿ったトリミング領域の位置を設定する。これにより、顔領域がX方向に沿ったトリミング領域内の略中央に位置するように、トリミング領域のX方向位置が設定されることになる。
【0078】
上記のようにして、トリミング領域のY方向に沿った位置および長さ、X方向に沿った位置および長さが各々設定されると、次のステップ194において、作成条件指定画面の表示領域70A内に表示している証明写真作成対象の画像に重ねて、X方向およびY方向について各々位置および長さを設定したトリミング枠を表示し、同時にそれまで表示されていたトリミング枠は消去され、図3のステップ104に戻る。
【0079】
上述したように「自動トリミング」が選択された場合には、証明写真作成対象の画像の頭頂点位置および眼部位置を自動的に検出し、検出した頭頂点位置および眼部位置から自動的にトリミング領域を設定されるが、「自動トリミング」が選択された状態で「傾き自動修正」が指示された場合は、画像の傾きが自動的に修正された後、トリミング領域が自動的に設定されるので、証明写真を作成するためのオペレータの負担を軽減することができる。
【0080】
そして、表示された枠を顧客の好みに応じて調整する場合などには、指示ボタン群70Hの何れかのボタンをクリックする等の操作をオペレータが行うことにより、自動トリミングが選択されていた場合には選択が解除されて手動トリミングが選択された状態となり、トリミング枠(領域)の移動を手動で指示することができる。なお、トリミング枠(領域)のサイズの変更は、表示されているトリミング枠に対してドラッグ&ドロップ等の操作をオペレータが行うことで指示することができる。
また、指示ボタン群70Cの何れかのボタンがオペレータにより操作されると、表示画像のトリミング枠に対する角度を手動で変更することができる。この指示ボタン群70Cは、1度のクリックに対して予め設定された単位角度分だけ時計回りあるいは反時計回りに回転させるものでもよいし、角度入力に応じて回転させるものでもよい。1度のクリックで回転させる角度は、オペレータの指示やその他をトリガとして変更可能としてもよい。
トリミング枠(領域)の位置やサイズの変更、表示画像の回転が指示されると、ステップ104からステップ106を経由してステップ108へ移行し、入力された情報に応じた処理として、表示領域70A内に表示しているトリミング枠の位置またはサイズを変更する処理が行われる。
【0081】
一方、表示領域70A内に表示されている画像の傾き、トリミング枠の位置およびサイズが適正であると判断されると、オペレータによって、決定ボタン70Jが選択される。これにより、ステップ104からステップ106を経由してステップ118へ移行し、証明写真として記録すべき全ての画像の指定が完了したか否かをオペレータに問い合わせるメッセージをディスプレイ20に表示し、このメッセージに応答してオペレータが入力した情報に基づいて、全ての画像の指定が完了したか否かを判定する。
【0082】
本実施形態では、単一の証明写真作成対象の画像から複数種の証明写真を各々作成することも可能とされており、複数種の証明写真を作成する場合には、個々の種類毎にトリミング領域の設定を含む作成条件の指定を行う必要がある。作成すべき複数種の証明写真のうち作成条件を未指定のものがあればステップ118の判定が否定されてステップ102に戻り、ステップ102以降の処理を繰り返す。また、作成すべき全種類の証明写真について、トリミング枠の設定を含む作成条件の指定が完了している場合には、ステップ118の判定が肯定されてステプ120へ移行する。
【0083】
ステップ120では、証明写真として記録する画像の数および個々の画像の実プリントサイズに基づいて、記録フレーム(例えばLサイズの写真プリントと同一サイズのフレーム)内に記録する個々の画像の位置や向き等のレイアウトを決定する。そしてステップ122では、例として図11に示すように、先のステップ120で決定したレイアウトをオペレータが確認するためのレイアウト確認画面をディスプレイ20に表示させる。
【0084】
図11に示すレイアウト確認画面は、作成が指示された証明写真に対応する画像が、印画紙上にどのように記録されるかを表すシミュレーション画像を表示するための表示領域72A、選択された証明写真の種類に対応する実プリントサイズに対し、印画紙上に実際に記録する画像のサイズを微調整するための選択欄72B、証明写真(画像)の記録間隔を選択するための選択欄72C、画像の配置順序の変更を選択するための選択欄72D、画像と共に印字すべき文字情報の種類を選択するための選択欄72E、および、画像のプリントを指示するためのプリントボタン72Fが各々設けられている。
【0085】
そしてステップ122では、第2画像処理部60において、証明写真作成対象の画像の高解像度画像データから、先に設定したトリミング領域内に相当する画像領域のデータを抽出し、抽出した画像データを実プリントサイズに応じて拡大または縮小し、先のステップ120で決定したレイアウトに従い、指示された作成枚数と同数だけ台紙画像(例えば前面が白色の画像)上に貼り付ける(種別としてモノクロが指定された画像については、モノクロ化した後に貼り付ける)ことを、作成が指示された証明写真の種類数分繰り返すことで、印画紙への証明写真の記録に用いる記録用画像データを生成する。そして、生成した記録用画像データをディスプレイ20に表示するために第2画像処理部60で低解像度化し、レイアウト確認画面の表示領域72Aに画像として表示させる。これにより、表示領域72Aに表示された画像を目視することで、オペレータは、作成を指示した証明写真が印画紙上にどのようなレイアウトで記録されるのかを容易に把握することができる。
【0086】
次のステップ124ではオペレータが何らかの情報を入力したか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。何らかの情報が入力されると、ステップ124の判定が肯定されてステップ126へ移行し、入力された情報の内容を判定し判定結果に応じて処理を分岐する。オペレータが選択欄72Eに表示されている印字文字に関する複数の選択肢の何れかを選択したことを表す情報が入力された場合にはステップ130へ移行する。
【0087】
選択欄72Eに表示されている選択肢は、画像と共に印字可能な文字情報の種類を表しており、図11では、一例として「日付」「サイズ」「コメント」の3種類が選択肢として表示されている。ステップ130では、オペレータによって選択された文字情報を表示領域72Aに表示されている画像上の所定位置に付加させ、ステップ124に戻る。なお、日付を表す文字情報は画像処理用PCのオペレーティングシステムから日付情報を入手することで生成することができ、サイズを表す文字情報は予めHDDに記憶された証明写真情報から取得することができる。また、コメント等のようにオプションで付加する文字情報は、画像処理用PCのレジストリ等に設定しておいてもよいし、HDDに保存しておいてもよい。これにより、例として図11に示すように、付加された文字情報をオペレータが目視で確認することが可能となる。なお、図12にも示すように、証明写真の種類や店名等の他の文字情報を印字可能としてもよいことは言うまでもない。
【0088】
また、画像の記録サイズや記録間隔、配置順序の変更等がオペレータから指示された場合は、ステップ124からステップ126を経由してステップ128へ移行し、オペレータの指示に応じて表示領域72Aに表示している画像を変更する処理が行われる。そして、オペレータによってプリントボタン72Fが選択された場合には、ステップ124からステップ126を経由してステップ132へ移行し、表示領域72A内に表示している画像と同一の画像を印画紙に記録するために、第2画像処理部60において、高解像度画像データを基に前述した記録用画像データの生成を再度行う。
【0089】
そしてステップ134では、ステップ132で生成した記録用画像データを、第2画像処理部60から色再現変換部62を経由してレーザプリンタ22へ出力する。これにより、レイアウト確認画面の表示領域72Aに最終的に表示された画像と同一の画像がレーザプリンタ22によって印画紙上に露光記録され、ペーパプロセッサによる現像等の処理を経て可視化されることになる。証明写真は画像が記録されている印画紙から所定のサイズで画像を切り出すことによって得られるが、オペレータによってサイズ等の印字が指定された場合には、図11および図12にも示すように、個々の画像の近傍に規定のサイズを表す文字情報が印字されているので、画像切り出し時の切り出しサイズの誤認等が生ずることを防止することができる。
【0090】
なお、上記ではトリミング領域を矩形状としていたが、これに限定されるものではなく、任意の形状を採用可能である。この場合、作成対象画像の基準線を作成したい記録画像の形態に応じて設定すればよい。
【0091】
また、上述した例では、本発明の証明写真の作成方法における画像処理方法を用いた画像作成システムを証明写真作成用画像処理システム10に適用した場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、顧客が自宅のPCに証明写真作成プログラムをインストールし、顧客のデジタルスチルカメラやプリンタやスキャナをPCに接続して、本発明の画像作成システムを構成し、このデジタルスチルカメラで被写体を撮像するか、または通常のカメラによって被写体を写真フイルムに露光記録し、該写真フイルムに対して撮像等の処理を行った後に可視化された画像をスキャナ等で読み取ることで得られた画像データを用いて、証明写真作成処理を実行することにより、前記PCに接続されたプリンタによって証明写真を作成するようにしてもよい。
【0092】
なお、上記では原画像の傾き自動修正処理を対象画像ごとに選択的に行うプログラムとしていたが、これに限定されるものではなく、取得画像データの全てについて行うプログラムとしてもよい。この場合、本発明の証明写真の作成方法は、オペレータを介さない証明写真自動作成装置等においても好適に利用可能である。
【0093】
また、上記では証明写真の作成を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、学校のアルバムに掲載する個々の生徒の写真の作成等にも適用可能である。
【0094】
以上、本発明に係る証明写真の作成方法について、種々の実施形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0095】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、人物の顔に相当する顔領域を含む原画像データを、原画像中の両眼部の位置が予め設定された基準線に対して所定の角度となるように自動的に修正し、証明写真等の用途に適切な画像を作成することができるので、撮影の際の撮影者や撮影される顧客等の負担、および画像の傾きを修正する際のオペレータ等の負担を軽減することができ、また、PC等による画像処理操作に熟達していない利用者でも容易に修正画像を作成することができる。
【0096】
また、本発明の一態様によれば、原画像の傾きを修正した修正画像データを基に修正画像中の人物の顔に相当する顔領域が所定のサイズ比でトリミング領域内の所定位置に位置するようにトリミング領域をより正確に自動的に認識し、自動的に設定することができるので、証明写真等の用途に適切な画像を迅速かつ容易に作成することができ、撮影の際の撮影者や撮影される顧客等の負担や、トリミング領域の設定の際のオペレータ等の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る証明写真の作成方法を適用した画像作成システムの一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 図1に示す画像作成システムを適用する画像処理システムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】 証明写真作成処理の内容を示すフローチャートである。
【図4】 本発明における傾き自動修正処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】 トリミング領域自動設定処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】 作成条件指定画面の一例を示すイメージ図である。
【図7】 (A)〜(H)は、両眼部の検出を説明するための概念図である。
【図8】 画像の傾き修正処理を説明するための概念図であり、(A)は修正前、(B)は修正後を示す図である。
【図9】 (A)〜(C)は、頭頂点の検出を説明するための概念図である。
【図10】 頭上/顔/顎下比率を説明するためのイメージ図である。
【図11】 レイアウト確認画面の一例を示すイメージ図である。
【図12】 証明写真の画像と共に印字可能な文字情報の他の例を示すイメージ図である。
【符号の説明】
1 画像作成システム
2 撮影手段
3 画像データ入力手段
4 画像表示手段
5 画像加工手段
6 キー入力手段
7 画像出力手段
10 画像処理システム
12 画像データ入力装置
13 デジタルカメラ
14 フィルムスキャナ
15 メディアドライバ
16 画像データ受信装置
18 画像処理装置
20 ディスプレイ
22 レーザプリンタ
24 CD−R書込装置
50 画像データ前処理部
52 第1メモリ
54 第2メモリ
56 第1画像処理部
58 画像処理制御部
60 第2画像処理部
62 色再現変換部
64 キー入力部
68 情報記憶媒体
Claims (2)
- 人物の顔に相当する顔領域を含む原画像の画像データを取得し、
前記原画像に対するトリミング枠、および、前記トリミング枠の一辺に平行な基準線を設定し、
前記原画像の画像データに基づいて、前記原画像中の人物の両眼部に相当する位置を各々検出し、
検出された前記原画像中の人物の両眼部を結ぶ直線と、前記基準線に平行または垂直な直線との成す鋭角の角度を演算して、前記原画像の傾き角度とし、
前記原画像中の人物の両眼部に相当する位置の略中央の1点を中心に、前記原画像を前記傾き角度だけ回転させるように、前記原画像の画像データを修正し、
前記修正画像データに基づいて、修正された前記原画像中の人物の頭頂部に相当する位置を検出し、
検出された前記頭頂部に相当する位置および前記両眼部の少なくとも一方に相当する位置に基づいて、前記顔領域が所定のサイズで前記トリミング枠内の所定の領域に位置するように、修正された前記原画像のトリミング領域を設定し、
前記トリミング領域に相当する前記原画像の画像データによって証明写真を作成する、証明写真の作成方法。 - 前記トリミング領域の設定は、
前記頭頂部の位置と前記眼部の位置との前記顔領域に関する天地方向の距離を所定倍することにより、前記眼部の位置と顎の先端部の位置との前記天地方向の距離を算出して、前記顎の先端部の位置を推定し、
前記頭頂部の位置と前記顎の先端部の位置とから、前記顔領域の前記天地方向の長さを算出し、
予め設定された頭上/顔/顎下比率に従って前記トリミング領域の前記天地方向の長さを算出して、前記トリミング領域の前記天地方向の位置を設定し、
算出された前記トリミング領域の前記天地方向の長さ、および、予め設定された作成すべき証明写真のアスペクト比に従って、前記トリミング領域の前記天地方向に直交する左右方向の長さを算出するとともに、前記両眼部の中央の位置が前記トリミング領域の前記左右方向の中央に一致するように、前記トリミング領域の前記左右方向の位置を設定することにより行う、請求項1に記載の証明写真の作成方法。
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