JP3913509B2 - 衛星搭載中継器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衛星搭載中継器に関し、特に、TMCC(Transmission & Multiplexing Configuration Control)信号が多重されたデジタル信号伝送の中継において、TMCC信号に基づいて特定変調方式の変調波の信号レベルを所定レベルに設定することを可能とする衛星搭載中継器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、衛星搭載中継器には、微弱な受信波を増幅して所望の振幅の送信波を生成するためのAGC(Auto Gain Controller)増幅器が一構成部として含まれる。例えば、進行波管を用いた増幅器で微弱な受信波を電力増幅する際に、進行波管を飽和点付近で動作させてできるだけ高い増幅率で増幅するため、進行波管の入力信号のレベルを自動的に制御することが行われ、そのためにAGC機能を有する増幅器が用いられる。
【0003】
図2に、従来の衛星搭載中継器200のブロック構成の一例を示す。
図2に示す従来の衛星搭載中継器200は、17GHz帯増幅器101、17GHz/12GHz周波数変換器102、受信フィルタ103、可変減衰器104、励振増幅器105、進行波管増幅器(Traveling Wave Tube Amplifier、以下、TWTAという。)106、送信フィルタ107、およびレベル検出器211から構成される。
【0004】
現在、地上局から放送衛星への送信であるアップリンクには17GHz帯の周波数帯が用いられ、放送衛星から地上受信機ヘのダウンリンクには12GHz帯の周波数帯が用いられている。
17GHz帯増幅器101は、17GHz帯の受信波成分を増幅できる増幅器である。
【0005】
17GHz/12GHz周波数変換器102は、信号周波数をアップリンクの周波数17GHzからダウンリンクの周波数12GHzに変換するための変換器である。
受信フィルタ103は、雑音や不要な信号を含む受信波から中継すべき信号が含まれる周波数帯の受信波成分を抽出するためのフィルタである。
【0006】
可変減衰器104は、受信フィルタ103からの出力を所定減衰量だけ減衰させて出力するための減衰器であり、後述する検出器211からの出力に応じて上記の減衰量を変化させることができる。
励振増幅器105は、可変減衰器104からの出力を増幅して、後述する進行波管増幅器(TWTA)106に出力するための増幅器である。
【0007】
進行波管増幅器(TWTA)106は、衛星中継器から送信するために、信号を最終的に電力増幅するための増幅器である。
送信フィルタ107は、TWTA106から出力された信号のうち、帯域外の周波数成分を除去するためのフィルタである。
レベル検出器211は、TWTA106の入力信号レベルを検出し、その情報を可変減衰器104に出力するための検出器である。なお、このレベルの検出は、TWTAの出力または送信フィルタ107の出力で行っても良い。
【0008】
レベル検出器211はTWTA106の入力信号レベルを監視し、監視している入力信号レベルが所定値以上になった場合、可変減衰器104は減衰量を大きくし、逆に入力信号レベルが所定値以下となった場合は、可変減衰器104は減衰量を小さくする。
TWTA106に入力される信号の信号レベルが可変減衰器104とレベル検出器211とによって上記のように制御されることによって、従来の衛星搭載中継器では、進行波管増幅器によって微弱な受信波を高い増幅率で電力増幅することが可能となっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の放送衛星搭載AGC増幅器では、上記のレベル検出器の追従速度があまり早くないないため、複数の変調方式の変調波が時分割方式によって多重されて入力された場合、各変調波の振幅が異なる場合でもその入力波の信号レベルは時間平均値として検出されてしまい、特定の振幅で多重された変調波に対してTWTAが飴和点で動作するように入力信号レベルを制御しようとしても、そのようにAGC動作を行なわせることはできないという問題がある。
【0010】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、異なる振幅の、複数の変調方式の変調波が時分割方式によって多重されて入力された場合でも、特定変調方式または全ての変調方式の変調波が進行波管増幅器の飽和点付近で増幅されるようにまたは所望の出力バックオフ(Output Back−Off、以下、OBOという。)をとるように入力波の信号レベルを調整するAGC機能を有する衛星搭載中継器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以上の点を考慮して、請求項1に係る発明は、互いに異なる変調方式で変調された複数の変調波とTMCC信号とが時分割方式によって多重されてなる多重信号を受信して中継する衛星搭載中継器において、受信した前記多重信号から、前記TMCC信号を抽出し、抽出したTMCC信号に基づいて、所定変調方式で変調された変調波が多重されている時間帯を検出するTMCC信号受信手段と、前記所定変調方式で変調された変調波の前記時間帯における信号レベルを検出するレベル検出手段と、前記レベル検出手段によって検出された信号レベルに応じて利得を制御する利得調整手段とを備えた構成を有している。
【0012】
この構成により、TMCC信号に基づいて、所定変調方式で変調された変調波が多重されている時間帯を検出し、当該時間帯における所定変調方式で変調された変調波の信号レベルを検出し、その信号レベルに応じて多重信号の利得を制御することにしたため、所定変調方式の変調波の信号レベルのみに応じて電力制御可能な衛星搭載中継器を実現できる。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、請求項1において、前記衛星搭載中継器は、さらに、前記利得調整手段によって利得が制御された信号を増幅する励振増幅器と、前記励振増幅器によって増幅された信号を電力増幅する電力増幅手段とを備え、前記レベル検出手段は、前記励振増幅器、前記電力増幅手段または前記衛星搭載中継器の出力部から出力される信号の信号レベルを検出する構成を有している。
【0014】
この構成により、利得調整手段によって利得が制御された信号を増幅する励振増幅器と、励振増幅器によって増幅された信号を電力増幅する電力増幅手段とを設けたため、所定変調方式の変調波の信号レベルのみに応じて電力制御し、かつ負荷の影響を低減可能な衛星搭載中継器を実現できる。
【0015】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2において、前記レベル検出手段は、前記多重信号中に多重された前記所定変調方式で変調された変調波の信号レベルを検出し、前記利得調整手段は、前記電力増幅する手段で最適に電力増幅されるように前記利得を制御する構成を有している。
【0016】
この構成により、電力増幅手段の入力段における信号中の、所定変調方式の変調波の信号レベルのみを検出し、その変調波の信号レベルのみに応じて多重信号を電力増幅できるため、所定変調方式の変調波以外の変調波が多重されていることによる影響を受けることなく、所定変調方式の変調波を所望のOBOで電力増幅することが可能な衛星搭載中継器を実現できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照し、本発明の第1の実施の形態に係る衛星搭載中継器について説明する。
一般に、デジタル放送波には、周期的にフレーム同期信号及びTMCC信号が多重されている。ここで、フレーム同期信号とは、放送波を構成するフレーム相互の同期を取るための信号であり、TMCC信号とは、複数の変調波によって放送波が構成される場合の各変調波の種類、およびそれらの変調波が多重される時間の割合等の情報を受信機に通知するための信号である。
【0018】
TMCC信号によって、同期信号を基準にどの位置にどの変調波が多重されているかを知ることができる。
本発明は、TMCC信号から得られる情報に基づいて特定変調方式の変調波部分のみを抽出し、その変調波部分の信号レベルを検出し、その信号レベルの情報を用いて上記の抽出された変調波部分が進行波管増幅器(以下、TWTAという。)の飽和点または所望のOBO点付近で増幅されるように動作できるようにしたものである。
【0019】
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る衛星搭載中継器のブロック構成の一例を示す。
図1において、従来の衛星搭載中継器100は、17GHz帯増幅器101、17GHz/12GHz周波数変換器102、受信フィルタ103、可変減衰器104、励振増幅器105、進行波管増幅器(Traveling Wave Tube Amplifier、以下、TWTAという。)106、送信フィルタ107、レベル検出器111、およびTMCC信号受信部112から構成される。
【0020】
現在、地上局から放送衛星への送信であるアップリンクには17GHz帯の周波数帯が用いられ、放送衛星から地上受信機ヘのダウンリンクには12GHz帯の周波数帯が用いられている。
17GHz帯増幅器101は、17GHz帯の受信波成分を増幅できる増幅器である。
【0021】
17GHz/12GHz周波数変換器102は、信号周波数をアップリンクの周波数17GHzからダウンリンクの周波数12GHzに変換するための変換器である。
受信フィルタ103は、雑音や不要波を含む受信波から信号が含まれる周波数帯の受信波成分を抽出するためのフィルタである。
【0022】
可変減衰器104は、17GHz/12GHz周波数変換器102からの出力を所定減衰量だけ減衰させて出力するための減衰器であり、後述する検出器211からの出力に応じて上記の減衰量を変化させることができる。
励振増幅器105は、可変減衰器104からの出力を増幅して、後述する進行波管増幅器(TWTA)106に出力するための増幅器である。
【0023】
進行波管増幅器(TWTA)106は、衛星中継器から送信するために、信号を最終的に電力増幅するための増幅器である。
送信フィルタ107は、TWTA106から出力された信号のうち、帯域外の周波数成分を除去するためのフィルタである。
【0024】
TMCC信号受信部112は、放送波に周期的に多重されている上記の同期信号及びTMCC信号を抽出し、TMCC信号から得られる情報に基づいて、TWTA106に入力される信号中のレベル制御しようとする変調方式の変調波が多重されている部分を検出する。そして、TMCC信号受信部112は、そのレベル制御しようとする変調波部分がTWTA106に入力される時間帯においてだけ、オンとなるゲート信号を生成する機能を有する。
【0025】
レベル検出器111は、TMCC信号受信部112からのゲート信号を入力として、ゲート信号がオンとなっている時間帯だけTWTA106に入力される信号の信号レベルを検出し、検出して得られた信号レベルの情報を可変減衰器104に出力するための検出器である。レベル検出器111は、また、検出した信号レベルが所定値以上になった場合、可変減衰器104で減衰させる減衰量を大きくし、逆に入力信号レベルが所定値以下となった場合は、可変減衰器104で減衰させる減衰量を小さくするように制御する。
【0026】
なお、図1に示す本発明の第1の実施の形態に係る衛星搭載中継器100においては、TMCC受信部112への入力を励振増幅器105の出力から取っているが、衛星搭載中継器100内の変調波が通過する回路上であれば、どの部分から取り出すのでも良い。その場合の衛星搭載中継器100の動作は、上記の説明から自明であり、その説明を省略する。
【0027】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態に係る衛星搭載中継器は、TMCC信号に基づいて上記の制御を行うことにより、レベル制御対象の変調波以外の変調波が多重されていることによる影響を受けることなく、その信号レベルの情報を用いて上記の抽出された変調波部分が進行波管増幅器の飽和点付近で増幅され、高い電力増幅率が得られる。
また、所望のOBO点で動作するように可変減衰器104を制御することも可能となる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、異なる振幅の、複数の変調方式の変調波が時分割方式によって多重されて入力された場合でも、特定変調方式の変調波が進行波管増幅器の飽和点付近で増幅されるように入力波の信号レベルを調整するAGC機能を有する衛星搭載中継器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の衛星搭載中継器のブロック構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る衛星搭載中継器のブロック構成を示す図である。
【符号の説明】
100、200 衛星搭載中継器
101 17GHz帯増幅器
102 17GHz/12GHz周波数変換器
103 受信フィルタ
104 可変減衰器
105 励振増幅器
106 進行波管増幅器(TWTA)
107 送信フィルタ
111、211 レベル検出器
112 TMCC信号受信部

Claims (3)

  1. 互いに異なる変調方式で変調された複数の変調波とTMCC信号とが時分割方式によって多重されてなる多重信号を受信して中継する衛星搭載中継器において、受信した前記多重信号から、前記TMCC信号を抽出し、抽出したTMCC信号に基づいて、所定変調方式で変調された変調波が多重されている時間帯を検出するTMCC信号受信手段と、前記所定変調方式で変調された変調波の前記時間帯における信号レベルを検出するレベル検出手段と、前記レベル検出手段によって検出された信号レベルに応じて利得を制御する利得調整手段とを備えたことを特徴とする衛星搭載中継器。
  2. 前記衛星搭載中継器は、さらに、前記利得調整手段によって利得が制御された信号を増幅する励振増幅器と、前記励振増幅器によって増幅された信号を電力増幅する電力増幅手段とを備え、前記レベル検出手段は、前記励振増幅器、前記電力増幅手段または前記衛星搭載中継器の出力部から出力される信号の信号レベルを検出することを特徴とする請求項1記載の衛星搭載中継器。
  3. 前記レベル検出手段は、前記多重信号中に多重された前記所定変調方式で変調された変調波の信号レベルを検出し、前記利得調整手段は、前記電力増幅する手段で最適に電力増幅されるように前記利得を制御することを特徴とする請求項1または2記載の衛星搭載中継器。
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