JP3913375B2 - インジェクタ - Google Patents
インジェクタ Download PDFInfo
- Publication number
- JP3913375B2 JP3913375B2 JP29139498A JP29139498A JP3913375B2 JP 3913375 B2 JP3913375 B2 JP 3913375B2 JP 29139498 A JP29139498 A JP 29139498A JP 29139498 A JP29139498 A JP 29139498A JP 3913375 B2 JP3913375 B2 JP 3913375B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pressure chamber
- needle
- pressure
- chamber
- control pressure
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Fuel-Injection Apparatus (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインジェクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃料噴射用等として、先端に噴孔が形成された筒状のケーシング内に直線動して噴孔を開閉するニードルを挿通し、ケーシング内には、ニードルの外周に、噴孔と連通し高圧の流体である高圧燃料が導入される弁室と、ニードルと摺接するガイド孔とを形成したインジェクタが用いられる。ニードルの開閉駆動用に、ソレノイドに代えて作動応答性のよい圧電式等の電歪アクチュエータを用いたものがある。電歪アクチュエータは変位量が大きくないので、十分なリフト量を確保するには次の構成がとられる。すなわち、例えば、ニードルと摺接するガイド孔とニードルの後端面とで圧力室を形成し、これに、ポンプ室から流体を供給して圧力室の流体圧によりニードルを駆動する。電歪アクチュエータの作動によりポンプ室の容積を拡縮して圧力室の流体圧を増減しニードルの開閉制御を行う。
【0003】
図5は、かかるインジェクタを模式的に表したもので、ポンプ室94の容積変化量が圧力室93の逆の容積変化量となるので、ニードル91の変位量(開弁量)xn とピストン92の変位量xp の比率である変位拡大率xn /xp は、ピストン92の断面積Ap とニードル91の断面積Ac の比率Ap /Ac で与えられる。ここで、ピストン92の径をニードル91の径よりも大きくすることで、上記電歪アクチュエータによるピストン92の変位量を拡大してニードル91に与えられるようにしている(特公平4−54065号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ニードル91に作用する油圧力(開弁力)Fc とピストン92に作用する油圧力Fp の比率Fc /Fp は、逆にAc /Ap で与えられる。したがって、開弁量xn が大きくなるようにニードル91の断面積Ac を小さくすると、開弁力Fc が小さくなってしまう。この開弁力の低下を補うためには規模の大きな電歪アクチュエータが必要であり、インジェクタを小型にできないという問題があった。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、開弁力と開弁量とを両立することのできるインジェクタを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、先端に噴孔が形成された筒状のケーシング内に直線動して噴孔を開閉するニードルを挿通し、ケーシング内には、ニードルの外周に、噴孔と連通し高圧の流体が導入される弁室と、ニードルと摺接するガイド孔とを形成する。ガイド孔には、ニードルを駆動せしめる流体がポンプ室から供給される圧力室を形成し、圧力室の流体圧の増減によりニードルの開閉制御を行う。かかる構成に加え、上記ガイド孔の途中に拡径部を環状に形成して上記圧力室となす。上記ニードルには上記圧力室と対応する位置に、上記圧力室に突出し圧力室のニードル移動方向幅よりも薄い鍔部を形成して鍔部により上記圧力室を仕切るとともに仕切られた両圧力室を絞りを介して連通せしめ、両圧力室のうち鍔部よりも先端側の圧力室と上記ポンプ室とを連通せしめる。かつ、鍔部よりも上記先端側のニードルおよびガイド孔の径を鍔部の基端側よりも小さくする。
【0007】
開弁時にはポンプ室の容積を縮小し、ポンプ室の圧力を上昇せしめる。鍔部よりも上記先端側の圧力室(第1の圧力室)ではポンプ室の圧力上昇と同程度に上昇するが、絞りにより流体の流通が規制されている基端側の圧力室(第2の圧力室)では圧力上昇が抑制される。しかして、ポンプ室の容積縮小により発生する開弁力は、実質的に、第1の室の圧力が、鍔部の上記先端側の端面にかかる力となり、この端面の面積に比例する。
【0008】
開弁量は次の通りである。第1室の、縮径したニードルの外周の環状の空間にポンプ室の容積減少に応じた流体が流入し、鍔部が変位する。ここで、上記環状空間の外径はニードルの第2の室側の径である。したがって、開弁量は、(ニードルの第2室側の断面積−ニードルの第1室側の断面積)に反比例する。この面積は、開弁力に寄与する上記鍔部の上記先端側の端面の面積よりも、鍔部の第2室側の端面の面積分、小さい。
【0009】
したがって、従来の、開弁量が、開弁力がかかるニードルの受圧面の面積に反比例するインジェクタ(図5参照)と比べ、開弁量が同じとすると、本発明の方が大きな開弁力を得ることができ、開弁力を損なうことなく十分な開弁量を確保することができる。
【0010】
請求項2記載の発明では、上記鍔部の径を上記圧力室よりも小さくし、上記鍔部の外周端面と上記圧力室の周面との間隙で上記絞りを形成する。
【0011】
これにより、絞りを別途設ける必要がないので、構成が簡単になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に本発明のインジェクタの断面を示し、図2に図1におけるA−A線に沿う断面を示す。コモンレール式のディーゼルエンジンの燃料噴射用に適用したものとして説明する。
【0013】
インジェクタはノズル部1aとアクチュエータ部1bとからなり、ノズル部1aは、複数の円形のケーシング部材21,22,23,24と下部リテーナ25によりケーシング2が構成されている。ケーシング部材21〜24は下方からノズルケーシング21、制御室ケーシング22、バランスピストンケーシング23、隔離板24であり、重ねられた状態で下部リテーナ25によりアクチュエータ部1bのアクチュエータケーシング41に固定されている。
【0014】
アクチュエータケーシング41の上方には抑え板42とジョイント43が設けられ、上部リテーナ44によりアクチュエータケーシング41に固定されている。
【0015】
ノズル部1aのノズルケーシング21、制御室ケーシング22内には、ニードル31が挿通せしめてあり、ニードル31の外周には、弁室63と、ニードル31と摺接するガイド孔66とが形成される。弁室63はガイド孔66直下位置に拡径部が形成され、燃料溜まり631としてある。燃料溜まり631は燃料通路64と連通している。燃料通路64の上流端はアクチュエータ部1bのジョイント43先端に開口し燃料入口65としてある。ジョイント43には図示しないコモンレールと通じる供給配管が接続され、コモンレールから高圧燃料が燃料通路64を介して燃料溜まり631に導入される。
【0016】
またノズルケーシング21には、下端部にサック部62が形成され、ノズルケーシング21下端部に形成した噴孔61において外部に開口している。サック部62の上端はニードル31の先端の円錐状のシート部311を受ける弁座62aとなっており、ニードル31がガイド孔66に沿って上下動することにより、燃料溜まり631とサック部62との連通と遮断とを切り替え、燃料の噴射制御を行うようになっている。
【0017】
ニードル31の上部には軸状のスプリングガイド312が形成され、その外周にスプリング32が配設される。スプリング32はニードル31の上端面とバランスピストンケーシング23の間に圧縮状態で介設され、ニードル31を常時、下方へ付勢している。
【0018】
バランスピストンケーシング23内にはバランスピストン33が液密かつ摺動自在に保持されている。バランスピストン33はニードル31と同軸位置に設けられ、下端面がニードル31のスプリングガイド312の上端面と当接している。またバランスピストン33の上方には、バランスピストンケーシング23および隔離板24で画成される空間71が形成され、空間71には常時、燃料通路64を介して上記コモンレールからの高圧燃料が導入され、常時、バランスピストン33を介してニードル31を下方へ付勢している。
【0019】
また制御室ケーシング22およびバランスピストンケーシング23と、ニードル31とバランスピストン33とで囲まれた空間72は、その一部しか図示しない燃料リターン通路68と連通しており、燃料リターン通路68は図示しない外部の燃料リターン配管を介して図示しない燃料タンクと連通している。かくして空間72の圧力が、ニードル31を下方へ付勢する一方、バランスピストン33を上方へ付勢している。
【0020】
かかる、ニードル31への上向き荷重と下向き荷重とのバランスを制御してニードル31を開閉制御するべく、上記アクチュエータ部1bと圧力室74等の構成を備えている。
【0021】
アクチュエータ部1bのアクチュエータケーシング41内は段付き形状をなし上側が大径で下側が小径としてある。小径部にはピストン51が挿通せしめてある。ピストン51の下方には、アクチュエータケーシング41と隔離板24とで画成される空間によりポンプ室たる第1制御圧力室73が形成される。第1制御圧力室73はピストン51の上下動により容積が拡縮するようになっている。
【0022】
アクチュエータケーシング41の内周面には環状溝67が形成され、これとピストン51の間にOリング52が設けられており、第1制御圧力室73から上部への燃料の漏洩を防止している。
【0023】
ピストン51は上端部がアクチュエータケーシング41の大径部に突出し、上端部には円板部511を有している。円板部511とアクチュエータケーシング41の段面の間にピストンスプリング53が配設され、ピストン51を常時、上方に付勢している。
【0024】
アクチュエータケーシング41の大径部にはピストン51の円板部511の上方に電歪アクチュエータ54が嵌挿され、その下端面は上記円板部511の上端面と当接し、電歪アクチュエータ54の上端面は抑え板42により位置決めされている。電歪アクチュエータ54は圧電式のもので、その側面上部から通電用のリード線55が出ており、抑え板42およびジョイント43の内部を通ってインジェクタ外部の図示しない駆動回路と接続されている。電歪アクチュエータ54は上記駆動回路からの通電制御により伸縮して下端面位置が上下し、ピストン51を上下動せしめ、第1制御圧力室73の容積を拡縮する。
【0025】
また、ガイド孔66の途中には拡径部661が形成してある。拡径部661は次のように形成される。インジェクタの、制御室ケーシング22の下端面位置における断面を示す図2により知られるように、制御室ケーシング22の下端面に小判形の穴221を形成する。穴221は長寸方向には制御室ケーシング22の周縁部まで形成される広い穴である。この穴221とノズルケーシング21の上端面とで拡径部661が形成される。ニードル31の外周には拡径部661により圧力室74が形成される。
【0026】
一方、ニードル31の周面には、圧力室74に突出する鍔部313が形成してある。鍔部313は、上記穴221よりもやや小振りの小判形で、その端面は、ニードル31がガイド穴66と摺接する部分の断面積よりもかなり大きな面積を有する。また、鍔部313は、圧力室74の高さよりも薄く成形され、圧力室74を仕切っている。以下、鍔部313により仕切られた下側の圧力室74aを第2制御圧力室74aと、鍔部313により仕切られた上側の圧力室74bを第3制御圧力室74bという。
【0027】
ニードル31の鍔部313よりも下側部分(第1のガイド部)31aおよび上側部分(第2のガイド部)31bは、径を違えてあり、第1のガイド部31aの方が小さくしてある。したがってこれら第1のガイド部31aと摺接するガイド孔66の圧力室74よりも下側部分の径は、第2のガイド部31bと摺接するガイド孔66の圧力室74よりも上側部分の径よりも小さくなっている。
【0028】
第2制御圧力室74aの圧力は鍔部313の下端面を受圧面として上向きに作用し、第3制御圧力室74bの圧力は鍔部313の上端面を受圧面として下向きに作用する。
【0029】
また、第2制御圧力室74aは制御室連通孔69により、アクチュエータ部1bの第1制御圧力室73と連通している。また、鍔部313の径を圧力室74よりも小さくし、鍔部313の外周端面と圧力室74の周面との間の隙間により絞り75が形成してあり、第2制御圧力室74aと第3制御圧力室74bとは流通が制限された状態で連通している。第1制御圧力室73、第2制御圧力室74a、第3制御圧力室74b、制御室連通孔69には燃料が充填されており、電歪アクチュエータ54の伸縮による第1制御圧力室73の容積の拡縮で第2制御圧力室74a、第3制御圧力室74bの圧力を増減し、ニードル31の開閉制御を行う。
【0030】
本インジェクタの作動を説明する。図3はインジェクタ各部の作動を示すタイムチャートであり、(a)が電歪アクチュエータ54の印加電圧、(b)が第1制御圧力室73の圧力、(c)が第2制御圧力室74aの圧力、(d)が第3制御圧力室74bの圧力、(e)がニードル31のリフト量を示している。無噴射時には、電歪アクチュエータ54の印加電圧は低く(基準電圧)、電歪アクチュエータ54は長さが基準長となっている。
【0031】
また、第1制御圧力室73、第2制御圧力室74a、第3制御圧力室74bは圧力が互いに等しく、その圧力は、上記コモンレールからの直接の供給圧である燃料噴射圧にある燃料溜まり631の圧力と、上記燃料リターン配管の燃料リターン圧と等しい圧力にある、ニードル31とバランスピストン33の間の空間72の圧力の中間の圧力であり、その大きさは両圧力の大きさとともに、ニードル31の第1のガイド部41aとガイド孔66の間のクリアランスと、ニードル31の第2のガイド部31bとノズルケーシング23の間のクリアランスの比率により決定される。
【0032】
また、バランスピストン33の上方の空間71は上記コモンレールからの直接の供給圧である燃料噴射圧にある。
【0033】
この状態でニードル31に対する直線動方向の荷重をみると、先ず、上向き荷重は、サック部62の圧力が、ニードル31のシート部311の断面積分にかかり、弁室63の燃料噴射圧が、(ニードル31の第1ガイド部31aの断面積−シート部311の断面積)分にかかり、第2制御圧力室74a、第3制御圧力室74bの中間圧が、(ニードル31の第2ガイド部31bの断面積−ニードル31の第1ガイド部31aの断面積)分にかかっている。一方、下向き荷重は、バランスピストン33上方の空間71の燃料噴射圧が、バランスピストン33の断面積分にかかり、ニードル31とバランスピストン33の間の空間72の燃料リターン圧が、(ニードル31の第2ガイド部31bの断面積−バランスピストン33の断面積)分にかかり、ニードルスプリング32のバネ力がかかっている。無噴射時はこの下向き荷重が優勢であるが、ニードル31がリフトして、ニードル31のシート部311の断面積分にかかる上向き圧力が、サック部62の圧力から、これよりも高い燃料噴射圧になっても下向き荷重が優勢となるように各部を設定しておく。
【0034】
さて、所望する開弁時期に電歪アクチュエータ54の印加電圧を上昇せしめる(噴射電圧)と、電歪アクチュエータ54が伸びてピストン51を押し下げ第1制御圧力室73の容積が減少して圧力が上昇する。第1制御圧力室73の圧力上昇と同時に、第1制御圧力室73と制御圧力室連通孔69を介して通じている第2制御圧力室74aの圧力が第1制御圧力室73と同程度に上昇し、鍔部313の広い下端面に作用する。一方、第3制御圧力室74bの圧力上昇は絞り75による流通規制作用で小さく抑えられるから、開弁力に実質的に寄与する受圧面面積は鍔部313の下端面の面積となる。
【0035】
しかも、ニードル31の第1のガイド部31aは第2のガイド部31bよりも小径であるから、その分、鍔部313の下端面の面積の方が上端面の面積よりも大きく、第2制御圧力室74aの圧力上昇によるニードル31への上向き荷重の増加量は、第3制御圧力室74bの圧力上昇によるニードル31への下向き荷重の上昇よりもはるかに大きくなり、上向き荷重が下向き荷重よりも優勢となってニードル31は上昇し、開弁する。
【0036】
ニードル31の上昇により第2制御圧力室74aの容積が増大するので、第2制御圧力室74aおよびこれと連通する第1制御圧力室73は、ニードル31上昇開始時をピークに圧力が減少するが、開弁によりサック部62は燃料溜まり631と連通して高圧燃料が流入し、サック部62の圧力は燃料噴射圧近くまで上昇し、ニードル31のシート部311に働く上向き荷重が増加する。ここで、この上向き荷重の増加分が第2制御圧力室74aの圧力減少分を上回るように各部を設定しておけば、第2制御圧力室74aは、開弁以後は、高い開弁力を維持する必要はなくなる。しかして、ニードル31への上向き荷重は下向き荷重に対する優勢を維持し、ニードル31は上昇を続ける。
【0037】
一方、開弁後、しばらくすると、第2制御圧力室74aから第3制御圧力室74bへの燃料リークにより、第2制御圧力室74a、第3制御圧力室74b(および第1制御圧力室73)の圧力は互いに等しくなる圧力(噴射時圧力)に向けて収斂する。このとき、ニードル31は第1制御圧力室73の容積減少量に応じた変位量まで上昇している。
【0038】
この変位量は次のようになる。第1制御圧力室73の容積減少に応じて圧力室74の容積が増加するが、容積増加するのは、第2制御圧力室74aの、第1のガイド部31aの外周の、第2のガイド部31bの直径を外径とする環状空間である。したがって、変位量は、この環状空間の断面積すなわち(第2ガイド部31bの断面積−第1ガイド部31aの断面積)に反比例する。この断面積は、開弁力に寄与する実質的な面積である鍔部313の下端面の面積よりも鍔部313の上端面の面積分、小さい。
【0039】
これを、従来のインジェクタ(図5参照)では開弁量を規定する面積と開弁力に寄与する面積とが同じであることと比べると、同じ開弁量を得ようとすれば、開弁力に寄与する面積の大きい本発明の方が大きな開弁力を得ることができる。このように、本発明では、開弁力を損なうことなく十分大きなニードル31の開弁量を確保することができる。
【0040】
さて、閉弁時には、電歪アクチュエータ54の印加電圧を無噴射時の電圧まで下げることにより、電歪アクチュエータ54が基準長まで縮むとともにピストン51も上昇し、第1制御圧力室73が容積拡大により圧力が低下する。このとき、制御室連通孔69により連通した第2制御圧力室74aも同程度に圧力が低下し、第3制御圧力室74bは絞り75の流通規制作用により圧力低下は抑えられる。また、上記のごとく鍔部313の下端面は上端面よりも面積が大きいから、鍔部313において、第2制御圧力室74aの圧力による上向き荷重が第3制御圧力室74bの圧力による下向き荷重よりも大幅に減少し、ニードル31への下向き荷重が上向き荷重よりも優勢となってニードル31は下降する。
【0041】
しばらくすると、第3制御圧力室74bからの燃料の移動により第2制御圧力室74aの圧力と第3制御圧力室74bの圧力とは等しくなり、開弁前の圧力である、噴射燃料圧と燃料リターン圧の中間の圧力に戻る。上記のごとく、第2制御圧力室74a、第3制御圧力室74bの圧力が上記中間圧のときには、ニードル31のシート部311に作用するサック部62の圧力が閉弁時の圧力よりも高い燃料噴射圧になっていても下向き荷重が上向き荷重よりも優勢となるように設定されているから、ニードル31は下降を続け、ついに着座、閉弁する。
【0042】
次に開弁力および開弁量の、絞り75によるリーク量に対する特性について説明する。図4に開弁力および開弁量と上記リーク量の関係を示す。
【0043】
開弁力に関しては、リーク量が少ないほど、第2制御圧力室74aと第3制御圧力室74bの差を大きく維持できるため、大きな開弁力が得られる。逆にリーク量が多いと、開弁力は小さくなる。つまり、リーク量は、確保すべき必要な開弁力に対応する上限値以下である必要がある。
【0044】
一方、リフト量に関しては、リーク量が少ないと、変位拡大率は、ピストン51断面積と、鍔部313の下端面の面積の比率(一般に1よりも小さい値)となり、変位は拡大されず、開弁量は小さくなる。逆にリーク量が多いと、変位拡大率は、ピストン51断面積と、(ニードル31の第2ガイド部31bの断面積−ニードル31の第1ガイド部31aの断面積)の比率となり、大きな拡大率が得られる。つまり、リーク量は、確保すべき必要な開弁量に対応する下限値以上である必要がある。
【0045】
したがって、必要な開弁力と開弁量との両方を確保するには、リーク量は開弁量から決まる下限値と開弁力から決まる上限値との間の範囲で管理するのが望ましい。
【0046】
なお、本実施形態では、上記鍔部の外周端面と上記圧力室の周面との間隙で絞りを形成することで構成を簡単にしているが、鍔部の径を上記圧力室と略同じとして鍔部の外周端面と圧力室の周面とを摺接せしめ、絞りは別途設ける構成でもよい。
【0047】
また、本実施形態では、燃料噴射用に適用したものを示したが、本発明の主旨に反しない限り他の用途に適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインジェクタの全体断面図である。
【図2】図1におけるA−A線に沿う断面図である。
【図3】本発明のインジェクタの作動を説明するタイムチャートである。
【図4】本発明のインジェクタの作動を説明するグラフである。
【図5】従来のインジェクタの概念図である。
【符号の説明】
2 ケーシング
31 ニードル
31a 第1のガイド部
31b 第2のガイド部
313 鍔部
61 噴孔
63 弁室
66 ガイド孔
661 拡径部
73 第1制御圧力室(ポンプ室)
74 圧力室
74a 第2制御圧力室
74b 第3制御圧力室
75 絞り
Claims (2)
- 先端に噴孔が形成された筒状のケーシング内に直線動して噴孔を開閉するニードルを挿通し、ケーシング内には、ニードルの外周に、噴孔と連通し高圧の流体が導入される弁室と、ニードルと摺接するガイド孔とを形成するとともに、ニードルを駆動せしめる流体がポンプ室から供給される圧力室を形成し、圧力室の流体圧の増減によりニードルの開閉制御を行うようにしたインジェクタにおいて、上記ガイド孔の途中に拡径部を環状に形成して上記圧力室となし、上記ニードルには上記圧力室と対応する位置に、上記圧力室に突出し圧力室のニードル移動方向幅よりも薄い鍔部を形成して鍔部により上記圧力室を仕切るとともに仕切られた両圧力室を絞りを介して連通せしめ、両圧力室のうち鍔部よりも先端側の圧力室と上記ポンプ室とを連通せしめ、かつ、鍔部よりも上記先端側のニードルおよびガイド孔の径を鍔部の基端側よりも小さくしたことを特徴とするインジェクタ。
- 請求項1記載のインジェクタにおいて、上記鍔部の径を上記圧力室よりも小さくし、上記鍔部の外周端面と上記圧力室の周面との間隙で上記絞りを形成してなるインジェクタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29139498A JP3913375B2 (ja) | 1998-09-29 | 1998-09-29 | インジェクタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29139498A JP3913375B2 (ja) | 1998-09-29 | 1998-09-29 | インジェクタ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000104644A JP2000104644A (ja) | 2000-04-11 |
JP3913375B2 true JP3913375B2 (ja) | 2007-05-09 |
Family
ID=17768348
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29139498A Expired - Fee Related JP3913375B2 (ja) | 1998-09-29 | 1998-09-29 | インジェクタ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3913375B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104989573A (zh) * | 2015-07-16 | 2015-10-21 | 江苏大学 | 一种涡流室式柴油机用长型短结构喷油器 |
-
1998
- 1998-09-29 JP JP29139498A patent/JP3913375B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104989573A (zh) * | 2015-07-16 | 2015-10-21 | 江苏大学 | 一种涡流室式柴油机用长型短结构喷油器 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000104644A (ja) | 2000-04-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7950414B2 (en) | Regulating check valve and fuel injecton valve having the same | |
JP4325589B2 (ja) | コモンレール用インジェクタ | |
EP1851427B1 (en) | Common rail injector with active needle closing device | |
JP2001355534A (ja) | 燃料噴射弁 | |
JP2007502384A (ja) | 2段式の変換器を備えた燃料インジェクタ | |
US7690587B2 (en) | Damping arrangement for a fuel injector | |
JP2006522899A (ja) | 可変式のアクチュエータストローク変換器を備えた燃料インジェクタ | |
JP2003510504A (ja) | 液体を制御する弁 | |
JP4297879B2 (ja) | インジェクタ | |
JP3922780B2 (ja) | 燃料噴射弁及びその駆動方法 | |
JP4270293B2 (ja) | 燃料噴射弁 | |
JP4952737B2 (ja) | コモンレール用インジェクタ | |
JP3913375B2 (ja) | インジェクタ | |
US7234650B2 (en) | Three-way valve and fuel injection device having the same | |
JP4023804B2 (ja) | 内燃機関用インジェクタ | |
JP4968180B2 (ja) | インジェクタ | |
JP2004176656A (ja) | 燃料噴射弁 | |
JP3527215B2 (ja) | 燃料噴射弁 | |
JP3994893B2 (ja) | 燃料噴射弁 | |
JP3556921B2 (ja) | 燃料噴射弁 | |
JP2016050561A (ja) | 燃料噴射弁 | |
JP4308449B2 (ja) | 燃料噴射弁 | |
JP3099546B2 (ja) | 燃料噴射弁 | |
JPH10141168A (ja) | 燃料噴射弁 | |
JP4079078B2 (ja) | 内燃機関の燃料噴射弁 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050131 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070116 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070130 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070131 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110209 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120209 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130209 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |