JP3913132B2 - エンドトキシン測定方法及び装置、並びにエンドトキシン計測システム - Google Patents

エンドトキシン測定方法及び装置、並びにエンドトキシン計測システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば血液透析システムなどの医療分野における送液系中のエンドトキシンを検出・定量するのに好適なエンドトキシン測定方法及び装置、並びにこの測定装置を具備するエンドトキシン計測システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、血液中の老廃物、水分を除去する腎臓の機能に障害がある慢性腎不全患者に対する治療方法として、人工透析が広く行われている。人工透析では、多くは透析器(ダイアライザー)を備える血液透析装置(以下、単に「透析装置」という。)を用いて、血液中から尿毒素などのような老廃物及び血液中の余分の水分を除去することが行われる。
【0003】
近年、透析器の透析膜技術の進歩により治療レベルが向上していると考えられる。一方、従来の膜技術レベルでは表面化しなかった問題として、透析液中のエンドトキシンの患者体内への移行、及びそれに基づく各種病状の問題が危惧されている。例えば、透析膜として孔サイズの大きなハイパフォーマンス膜を用いた透析などにおいて、エンドトキシンなどの分子量が大きな物質が逆限外濾過により膜を通過し、透析液側から血液中へ移行するなどの危険性がある。
【0004】
エンドトキシンは、グラム陰性菌の細胞壁の表皮に相当する外膜の一構成成分であり、グラム陰性菌が溶液中に存在するとき、菌体が機械的に損傷を受けたり、死菌が溶解したり、菌体の分裂に際しエンドトキシン(endotoxin,細菌内毒素)が溶液中に放出される。エンドトキシンは耐熱性(加熱に抵抗性が強い)であり、死菌、菌の断片或いは遊離のエンドトキシンとして溶液中に存在する。エンドトキシンはヒトに対しては急性的に悪寒、発熱、低血圧などの症状を示し、慢性的にエンドトキシン抗体の産生、インターロイキン1βや腫瘍壊死因子(TNF)などのサイトカインを誘導し、更に他の外毒素や(1→3)−β−D−グルカンなどの菌体成分との相乗作用により動物に対する致死作用を増強することが報告されている。
【0005】
エンドトキシンの主成分は、リン脂質と多糖類の高分子複合体、即ち、多糖(複数の糖成分が結合してできた高分子)、脂質(脂肪酸を含む複合体)、リンからなるリポ多糖(LPS)である。いずれの細菌から抽出されたリポ多糖も類似した生物活性を示すといわれ、最小サブユニットでも数千から104のけたの高分子である。
【0006】
血液透析システム(以下、単に「透析システム」という。)においては、一般に、逆浸透装置から逆浸透(reverse osmosis:R/O)水を透析液供給装置に供給し、ここで透析液を調整した後患者監視装置(ベッドサイド・コンソール)まで送液して、患者監視装置に接続された透析器において透析膜を介して患者血液と透析液とを接触させる。
【0007】
このような透析システムにおける送液系の各所、例えば逆浸透装置下流、透析液送液系の末端においてエンドトキシンの存在が観察され、一般に、透析液送液系の末端に至る間にエンドトキシン濃度は上昇するようである。又、透析液供給装置では、希釈用水と重炭酸透析液のB液側が特にエンドトキシン産生の場となるといわれている。
【0008】
透析液にエンドトキシンが混入していると、これが血液に移行することで、上述のように急性反応として発熱が起こり、又長期にわたる透析治療を通してサイトカイン誘導などの慢性症状が引き起こされる虞がある。このため、透析システムにおいて、各所のエンドトキシンを検出・定量することにより、透析液中のエンドトキシン量を監視し、又透析システムの送液系のエンドトキシン量を測定することが極めて重要である。これにより、透析液へのエンドトキシンの混入を極力避け、許容限界量(例えば、患者体内の本来のエンドトキシン量(LAL法で約10EU/l程度)以下に管理する必要がある。
【0009】
従来、溶液中のエンドトキシンの検出・定量方法として、カブトガニ血球抽出物LAL(Limulus Amebocyte Lysate)が微量のエンドトキシンで凝集する反応を利用したリムルス試験(limulus test)による検出法(LAL法)が一般に利用されている(日本薬局方解説書(第十三版改正)「7.エンドトキシン試験法」)。この方法には、(1)ゲル形成を指標とするゲル化法、(2)ゲルの濁度変化を指標とする比濁法、及び(3)発色合成基質の加水分解による発色を指標とする比色法の3つの方法がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、LAL法には次のような問題があった。
【0011】
従来のLAL法は生物(カブトガニ)由来の物質を用いた方法であり、作製できる試薬量が限られており、高価である。このため連続的に測定することは、試薬消費量が多量となり、コスト上不可能である。又、従来のLAL法はバッチ法であり連続測定には向いておらず、又試薬が高価であることから、送液系中のエンドトキシン量を高頻度、且つ、迅速に測定して監視するのには対応できない。
【0012】
更に、LAL法では、検体によっては阻害作用や促進作用が起こり、検体の保存安定性を確保する方法も確立されていない。又、手分析による場合、コンタミネーションの虞があり、確実性・信頼性の点で問題がある。
【0013】
従って、本発明の目的は、簡便、且つ、安価な方法でエンドトキシンの検出・定量を行い得るエンドトキシンの測定方法及び装置を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、測定中におけるコンタミネーションの虞がなく、確実性・信頼性の高いエンドトキシンの検出・定量データを提供し得るエンドトキシンの測定方法及び装置を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、試料液中のエンドトキシンの連続測定に対応し得るエンドトキシンの測定方法及び装置を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、例えば、血液透析システムにおける試料液中のエンドトキシンを安価、且つ、確実な方法で、信頼性高く測定することができ、しかも連続測定に対応することのできるエンドトキシン計測システムを提供することである。
【0017】
更に、本発明の他の目的は、透析治療において、透析液中へのエンドトキシンの混入による症状の発生を大幅に改善することを可能とするエンドトキシン計測システムを提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく本発明者らは鋭意検討し、エンドトキシンを含有する試料液に紫外線を照射すると、紫外線照射後の試料液の電気伝導率と、従来のエンドトキシン測定法としてLAL法によるエンドトキシン量とに相関があることを初めて見出した。これは、試料液中のエンドトキシンが紫外線照射により分解してイオン化することによると考えられる。
【0019】
尚、従来、全有機炭素(TOC)値を測定するTOC計、又有機物を有機酸の形態としてイオン交換装置で除去するシステムにおける有機物酸化装置において、紫外線酸化方式が広く利用されている。しかし、本発明者らの知る限りにおいて、試料液に紫外線照射して、その試料液の電気伝導率を検出することによってエンドトキシンを測定したものは皆無である。
【0020】
斯かる新規な知見に基づいて、本発明者らは本発明を完成させるに至った。即ち、上記目的は本発明に係るエンドトキシン測定方法及び装置、並びにエンドトキシン計測システムにて達成される。要約すれば、第1の本発明は、試料液に紫外線を照射し、該紫外線が照射された試料液の電気伝導率を検出することにより試料液中のエンドトキシン量を測定することを特徴とするエンドトキシン測定方法である。本発明の一実施態様によると、試料液に紫外線を照射する際に試料液を光触媒に接触させる。又、本発明の一実施態様では、前記紫外線が照射された試料液の電気伝導率に加えて、紫外線が照射されていない同試料液の電気伝導率を検出し、両者の電気伝導率差を検出することにより試料液中のエンドトキシン量を測定する。
【0021】
第2の本発明によると、試料液が供給される試料液流路と、前記試料液流路内に供給された試料液に紫外線を照射する紫外線照射手段と、前記試料液流路中の前記紫外線照射手段より下流にて試料液の電気伝導率を検出する電気伝導率検出手段と、前記電気伝導率検出手段の検出値に基づいて試料液中のエンドトキシン量を求める制御手段と、を有することを特徴とするエンドトキシンの測定装置が提供される。本発明の一実施態様によると、前記紫外線照射手段による紫外線照射を定期的に停止し、前記電気伝導率検出手段の、紫外線照射された試料液に対する第1の検出値と、紫外線照射されていない試料液に対する第2の検出値と、に基づいて試料液中のエンドトキシン量を求める。本発明の他の実施態様によると、装置は更に、前記試料液流路中の前記紫外線照射手段より上流にて試料液の電気伝導率を検出する電気伝導率検出手段を有する。そして、一実施態様では、前記紫外線照射手段より下流の電気伝導率検出手段による第1の検出値と、前記紫外線照射手段より上流の電気伝導率検出手段による第2の検出値と、に基づいて試料液中のエンドトキシン量を求める。本発明の他の実施態様によると、少なくとも一部が、前記紫外線照射手段からの紫外線がその中を流通する試料液に到達するのを許す材料から作製されるセルを、前記試料液流路中に配置する。一実施態様では、該セルは、少なくとも一部が石英ガラスを用いて作製され、前記紫外線照射手段は、該石英ガラス部分を介して前記セル中の試料液に紫外線が照射される。本発明の他の実施態様によると、前記セルは、試料液に接触し、且つ、前記紫外線照射手段からの紫外線が到達せられる光触媒を有する。一実施態様では、該光触媒は酸化チタンである。本発明の他の実施態様によると、前記制御手段は、予め前記電気伝導率検出手段の検出値とエンドトキシン量とが関係付けられて記憶される記憶手段を有し、該記憶手段に記憶された情報と前記電気伝導率検出手段の検出値とから試料液中のエンドトキシン量を求める。一実施態様では、該記憶手段に前記電気伝導率検出手段の出力と関係づけられて記憶されるエンドトキシン量は、LAL法に基づいて測定されたエンドトキシン量である。
【0022】
第3の本発明によると、測定対象送液系と、前記測定対象送液系から試料液が供給される上記本発明のエンドトキシン測定装置と、を有することを特徴とするエンドトキシン計測システムが提供される。本発明の一実施態様によると、前記測定対象送液系は、逆浸透水供給手段から被供給体への逆浸透水の送液系である。本発明の他の実施態様によると、前記測定対象送液系は、血液透析用透析液の希釈水の供給手段から血液透析装置への希釈水の送液系である。本発明の他の実施態様によると、前記測定対象送液系は、血液透析用透析液の送液系であって、前記透析液送液系の末端から前記測定装置に試料液が供給される。一実施態様では、該エンドトキシン計測システムは、前記透析液送液系を複数系統有し、各系統の末端から前記測定装置にそれぞれ試料液が供給される。
【0023】
第4の本発明によると、血液透析用透析液の希釈水の供給手段と、該希釈水供給手段から供給される希釈水を用いて調製される透析液が流通し得る透析液の送液系を具備する血液透析装置と、を有する血液透析システムにおけるエンドトキシン計測システムであって、前記希釈水供給手段から前記血液透析装置への希釈水供給流路、及び、前記透析液送液系の末端からそれぞれ試料液が供給される上記本発明のエンドトキシン測定装置を有することを特徴とするエンドトキシン計測システムが提供される。
【0024】
第5の本発明によると、血液透析用透析液の希釈水の供給手段と、該希釈水供給手段から供給される希釈水を用いて調製される透析液が流通し得る透析液送液系を複数系統具備する血液透析装置と、を有する血液透析システムにおけるエンドトキシン計測システムであって、前記希釈水供給手段から前記血液透析装置への希釈水供給流路、及び、前記複数系統の透析液送液系の各末端からそれぞれ試料液が供給される上記本発明のエンドトキシン測定装置を有することを特徴とするエンドトキシン計測システムが提供される。
【0025】
上記第4及び第5の本発明において、一実施態様では、前記透析液送液系に前記希釈水供給手段からの希釈水を流通させ、その際に前記測定装置に供給される試料液中のエンドトキシン量を求める。そして、一実施態様によると、前記希釈水供給流路から試料液が供給される前記測定装置と、前記透析液送液系の末端から試料液が供給される測定装置とによってそれぞれ検出されるエンドトキシン量を比較することにより、透析液送液系由来のエンドトキシン量を求める。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るエンドトキシンの測定方法及び装置、並びにエンドトキシン計測システムを図面に則して更に詳しく説明する。
【0027】
実施例1
先ず、図1を参照して、本発明に係るエンドトキシン測定方法を具現化するエンドトキシン測定装置を説明する。図1は、測定対象送液系に接続されるエンドトキシンを検出・定量するための紫外線分解式エンドトキシン測定装置(以下、単に「測定装置」という。)1の一実施例を模式的に示す。測定装置1は、試料液に紫外線を照射し、紫外線照射された試料液の電気伝導率を検出することで試料液中のエンドトキシンの検出・定量を行う。
【0028】
図1に示すように、測定装置1は、測定対象送液系から試料液が供給される試料液流路10中に、セル(分解容器)12を有する。試料液流路10においてセル12の上流側流路10aを介して、測定対象送液系からの試料液がセル12中に導入され、セル12の下流側流路10bから排出される。そして、セル12中の試料液に紫外線を照射するように、紫外線照射手段11が設けられている。
【0029】
セル12は、少なくとも一部が、紫外線照射手段11からの紫外線が内部の試料液に到達するのを許す、即ち、実質的に紫外線を透過する材料から作製される。更に、エンドトキシンの分解を迅速、且つ、確実に行うために、セル12は、試料液に接触し、且つ、紫外線照射手段11からの紫外線が到達する光触媒を有していることが好ましい。
【0030】
測定装置1が備える紫外線照射手段11及びセル12としては、例えば、特開2001−149930号公報に開示されるような紫外線酸化装置の構成を採用することができる。つまり、図3に示すように、セル12は、外筒12aと内筒12bとを有する。そして、外筒12aと内筒12bの両端部をリング状の下底12c、上底12dで連結し、外筒12aと内筒12bとの間を試料液が通過する二重管構造とする。そして、外筒12aの内側に光触媒12Aを被覆する。そして、内筒12bの内側に紫外線照射手段として紫外光源11を配置する。又、入口管12e、出口管12fを介してセル12に試料液を流入、流出させるように、セル12を試料液流路10に接続する。
【0031】
セル12の少なくとも紫外線透過部分は、透明ガラス、好ましくは石英ガラスで作製することが好ましい。図3に示すセル12の場合、少なくとも内筒12bを石英ガラスで作製する。光触媒12Aとしては、酸化チタン(TiO2)が最も好適に使用できるが、その他、SrTiO2、CdS、WO3、Fe23、MO3などが挙げられる。
【0032】
又、紫外光源11としては、水銀ランプが好適に使用できるが、これに特に限定されるものではなく、キセノンフラッシュランプ、無声放電による紫外線ランプなどを使用してもよい。
【0033】
上記構成の紫外線照射手段11及びセル12は、光触媒12Aがコーティングされている外筒12aまで紫外線が実質的に遮られることなく到達して、そこに接触している試料液の分解を効率良く進行させ得る点、紫外線が外筒12aから外部に漏洩し難い点において有利である。しかし本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、筒状紫外線照射ランプの外側にスパイラル状に巻き付けた少なくとも一部が実質的に紫外線を透過する管などの、紫外線照射ランプに近接して配置された中空容器であってもよい。又、試料液が供給される中空容器を、接液側に酸化チタンをコーティングした石英ガラス管としたり、或いは試料液が供給される中空容器内に酸化チタンなどの光触媒を被覆したガラスビーズを収容するようにしてもよい。
【0034】
図1に示す測定装置1では、セル12を通過した後の試料液の電気伝導率を検出するように、電気伝導率検出手段として電気伝導率センサ(電気伝導率検出電極)Dをセル12の下流側流路10b中に1つ配置する。電気伝導率センサDとしては、所望の測定精度などに鑑みて、一般的なものを特に制限なく用いることができるが、フローセル型のものが好適である。
【0035】
測定装置1は更に、演算制御の中心素子たるCPU13a、記憶手段13bなどを備える制御手段13を有する。制御手段13は、電気伝導率センサDの出力から電気伝導率を求め、記憶手段13bに予め記憶されたプログラムに従って、検出した電気伝導率をエンドトキシン量に変換する。制御手段13は、斯界にて一般的に用いられるマイクロコンピュータ制御回路であってよく、制御手段13は、外部の機器との信号の送受信を行うインターフェイス素子などを備えている。又、制御装置10には、測定の開始、停止の指示、各種設定値の入力などを行うために、入力手段(図示せず)が接続されていてよい。
【0036】
制御手段13の記憶手段13bには、予め所定の標準液を用いて求めたLAL法によるエンドトキシン量と、電気伝導率とが関係付けられて記憶されている。その記憶形態は、演算式、テーブルデータなどの任意の形態であってよい。又、測定対象送液系の想定されるエンドトキシン量の範囲をカバーするものであることが好ましい。更に、当業者には容易に理解されるように、記憶手段13bに記憶されるこのデータは、少なくとも実際の測定前に記憶手段13bに記憶されていればよく、装置の工場出荷時に予め記憶されていることに限定されるものではなく、所謂、現場校正により、所定の標準液を用いて記憶させることができる。以下、記憶手段13bに記憶された電気伝導率とエンドトキシン量とが関係付けられたデータを、単に「テーブルデータ」という。
【0037】
尚、このテーブルデータにおいて電気伝導率と関係づけられるエンドトキシン量は、現在広く用いられていいるLAL法による値であるとしたが、本発明はこれに限定されるものではないことを理解されたい。エンドトキシン量を指示するのに適すると考えられる、他の方法による測定値と関係付けられていてもよい。
【0038】
より具体的には、図1に示す構成において、制御手段13は、試料液流路10に試料液が流通中に、所定の測定期間中、紫外光源11を一定時間点灯させ、その後一定時間消灯させる制御を行う。
【0039】
そして、試料液流路10中でセル12の下流側流路10bに1つ配置された電気伝導率センサDの出力から求めた、紫外光源11の点灯時、即ち、紫外線が照射された試料液に対する電気伝導率検出値(第1検出値)と、紫外光源11の消灯時、即ち、紫外線が照射されていない試料液の電気伝導率検出値(第2検出値)との差分から、記憶手段13bに記憶されたテーブルデータを用いることによって試料液中のエンドトキシン量を求める。
【0040】
又、別法として、図2に示すように、試料液流路10においてセル12の下流側流路10bと上流側流路10aとに、それぞれ第1、第2の電気伝導率センサD1、D2の2つの電気伝導率センサを配置してもよい。
【0041】
斯かる構成において、制御手段13は、紫外光源11を点灯させて、第1の電気伝導率センサD1の出力から求めた、即ち、紫外線が照射された試料液に対する電気伝導率検出値(第1検出値)と、第2の電気伝導率センサD2の出力から求めた、即ち、紫外線が照射されていない試料液の電気伝導率検出値(第2検出値)との差分から、記憶手段13bに記憶されたテーブルデータを用いることによって試料中のエンドトキシン量を求める。
【0042】
制御手段13には、記録計14が接続されており、制御手段13は、求めたエンドトキシン量を示す信号を記録計14に送信する。記録計14は、例えば、この信号に応じてエンドトキシン量を必要時に若しくは経時的に表示、記憶、紙などの記録媒体への出力を行うことができ、又エンドトキシン量が所定値を越えた時に警報を発するようにしてもよい。
【0043】
(試験例1)
従来のエンドトキシン測定法である、LAL法によるエンドトキシン量の測定値と、測定装置1による電気伝導率との相関を示す試験例を説明する。ここでは、図1に示す構成の測定装置1に、図3に示す紫外線照射手段11及びセル12をセットして試験した。
【0044】
セル12は、外筒12aの内径18mm、内筒12bの外径16mm、即ち、外筒12aと内筒12bとの間の間隔を1mmとした。又、全長を225mm、全容積を12mLとした。この内、紫外線の照射領域Lは、セル12の長さ方向のほぼ中間位置にあり、その長さは160mm、容積は8.5mL(V=8.5mL)である。内筒12bは石英ガラスで形成し、外筒12aの内側に酸化チタンをコーティングした。内筒12bの内側に、紫外光源11として定格5Wの定圧水銀ランプを挿通した。電気伝導率センサDとして、内容積約1mL、セル定数約0.1のフローセル(東亜ディーケーケー(株)特製)を使用した。
【0045】
セル12の上流側流路10a、下流側流路10bはテフロンチューブとして、それぞれセル12の入口管12e、出口管12fに接続した。又、上流側流路10aを試料水供給源に接続し、下流側流路10bの末端に設けた送液ポンプP1によって試料液流路10中に試料液を流通させた。
【0046】
紫外光源11は、測定期間中、90秒間点灯し、次いで115秒間消灯することを繰り返した。又、送液ポンプP1の駆動を制御して紫外線照射時及び紫外線照射停止時との試料液の流量を制御した。紫外線照射時には、紫外線照射停止時よりも流量を遅くし、5.7mL/minとした。又、紫外線の照射停止時には、流量を、約70mL/minとした。
【0047】
試料水の供給源として、異なる日時に同一の逆浸透装置の出口流路に測定装置1を接続した。又、別途LAL法に従って、測定装置1による測定に供したものと同じ試料水のエンドトキシン量を測定した。LAL法には、生化学工業(株)製の試薬(エンドスペシー;ET特異的比色法リムルス試薬)、装置(ウェルリーダーSK601)を用いて行った。
【0048】
結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
Figure 0003913132
【0050】
表1の結果及び本発明者らの行った他の多くの実験結果から、電気伝導率検出値とLAL法との相関を求めると、
y=ax+b ・・・(1)
y:エンドトキシン(EU/L)
x:電気伝導率(μS/cm)
なる略直線的な相関が得られることが判明した(図7)。表1の結果では定数a、bはそれぞれ30.631、−2.03である。
【0051】
但し、本発明はエンドトキシン量と電気伝導率との関係を一次に限定する意図するものではない。当業者は、所望の系において、試料液の流量、紫外線照射量など、様々な条件設定に基づく日常的な実験により、斯かる相関関係を任意に決定することができる。
【0052】
又、紫外光源11の点灯時の電気伝導率検出値(第1検出値)と、紫外光源11の消灯時の電気伝導率検出値(第2検出値)との差分と、LAL法によるエンドトキシン測定値とは、よりよい相関を示した。更に、図2に示す測定装置1において、紫外光源11を点灯する間に、第1の電気伝導率センサD1と第2の電気伝導率センサD2により検出した電気伝導率の差分と、LAL法によるエンドトキシン測定値とにも同様に良好な相関があることが確かめられた。
【0053】
上述の結果から明らかなように、エンドトキシンを含有すると思われる試料液に紫外線を照射し、紫外線照射された試料液の電気伝導率を測定することによって、より詳しくは、紫外線照射時及び紫外線照射停止時の電気伝導率センサDの電気伝導率検出値の差分、或いはセル12の上下流に配置した電気伝導率センサD1、D2による電気伝導率検出値の差分を検出することによって、予め制御手段13の記憶手段13bに設定されるテーブルデータを用いてエンドトキシンを検出・定量することができる。
【0054】
以上、本実施例によれば、測定装置1に試料液をある時間連続的に流して、その中に存在するエンドトキシン量を連続的に測定することができる。測定装置1では、測定中に試料液に対する人為的な介入は不要であるので、外部からのコンタミネーションは発生しない。従って、確実、且つ、信頼性の高い計測データを提供することができる。更に、測定には特別な試薬は不要であるため、安価で環境に対する負荷も少ない利点も有する。
【0055】
実施例2
次に、本発明に係るエンドトキシン測定方法を透析システムにて具現化する実施例について説明する。
【0056】
図4に示す透析システム100は、透析液の希釈水供給系として逆浸透水供給系20を有する。逆浸透水供給系20では、原水供給流路20aから水道水などの原水が逆浸透装置2に供給される。そして、透析液の希釈水供給手段としての逆浸透装置2によって生成された逆浸透水が、送液ポンプP2によって逆浸透装置出口流路20bを介して透析装置3に供給される。
【0057】
透析装置3は、透析液供給装置31及び患者監視装置32を有し、逆浸透水は逆浸透装置出口流路20bを介して先ず透析液供給装置31に供給される。透析液供給装置31は、一般に行われているように、透析液原液と逆浸透水とを混合することにより、血液透析用の所定処方の透析液を自動調製し、透析液送液系30の透析液供給流路30aを介して患者監視装置32に送る。患者監視装置32は、導入された透析液の温度、流量(圧力)などをコントロールすると共に、透析液中の過剰な溶存酸素や気泡の除去などを行い、患者監視装置32に接続されている透析器(ダイアライザー)33に透析液を供給する。透析器33では、患者から抽出された血液との間で透析が行われ、透析器33を介して患者監視装置32に循環された透析液は、透析液送液系30の透析液送液系末端流路30bを介して廃液として系外へ排出される。
【0058】
本実施例では、測定対象送液系として、逆浸透装置出口流路20bに、測定装置1が接続される。測定装置1は、ここでは、図1を参照して説明したものと同じものとするが、図2を参照して説明したものであってもよい。測定装置1の試料液流路10は、逆浸透装置出口流路20bに設けられた分流手段4を介して逆浸透装置出口流路20aから分岐されており、試料液はこの分流手段4を介して試料液流路10に供給される。分流手段4と、試料液流路10の末端に設けられた送液ポンプP1との間の試料液流量は、制御手段13により制御される。
【0059】
例えば、操作者の指示により若しくは所定時間(或いは日時)間隔毎に、所定流量の試料水を、所定の時間の間、所定の流量(上述のように、紫外線照射時、照射停止時で流量を変えてもよい。)にて、透析装置3への送液と並行して試料液流路10に試料液(逆浸透水)を供給する。或いは、透析装置3が逆浸透水の貯留タンクを有している場合などに、分流手段4として三方弁などを用いて、必要時に択一的に透析装置3又は測定装置1へと流路を変更してもよい。又、測定装置1への試料液の流量は、例えば紫外線照射時/照射停止時で変更するなど、可変であてよい。但し、試料液流路10を流通する試料液の流量、供給/停止の制御態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0060】
上述のエンドトキシン計測システムによれば、透析システムにて利用される逆浸透水中のエンドトキシンを検出・定量することができる。透析システムの管理者は、測定装置1の指示、警報により、点検、交換、清掃など適切な処置を施すことが可能となり、延いては患者の血液へのエンドトキシンの混入の危険を極力避けることができる。
【0061】
以上説明したように、本実施例によれば、逆浸透装置2からの試料液(逆浸透水)を、必要時或いは所定タイミングで測定装置1に所定時間連続的に流することにより、試料液中に存在するエンドトキシン量を連続的に測定することができる。又、特別の試薬を用い、手分析によるバッチ方式で測定する従来法と比較して、安価且つ簡便に、確実性・信頼性の高い計測データを提供することができる。
【0062】
実施例3
図5は、測定装置1を適用した透析システムの他の実施例を示す。図5に示す透析システム101では、逆浸透装置出口流路20aに配設される測定装置1Aに加え、測定対象送液系として透析液送液系30の末端にも測定装置1Bを配設する。本実施例にて用いる測定装置1は、図1又は図2に示すものと同様である。
【0063】
透析システムでは、一般に、患者監視装置32の透析液流路、特に、透析器33の下流側の流路に患者の血液から透析した蛋白質成分、グラム陰性菌、毒素などが付着し易いと言われており、透析液送液系30を定期的に洗浄する必要がある。特に、透析装置3の送液系に付着した蛋白質成分などに隠れて存在するエンドトキシンを十分に洗浄する必要がある。
【0064】
一般的に、透析液送液系30は、逆浸透水によって十分に洗浄することに加えて、クエン酸溶液、二酸化塩素(ClO2)溶液などの消毒液、殺菌液による殺菌洗浄、蛋白質を分解する薬剤を用いて洗浄を行う。又、加熱逆浸透水を透析装置3の送液系に流通させ、殺菌、洗浄を行うことも有効である。
【0065】
そこで、図5に示す透析システムでは、透析液送液系30の末端である透析液送液系末端流路30bに測定装置1Bを配置する。つまり、透析装置3の殺菌洗浄時に、最終的に透析液送液系30に逆浸透水を流通させて洗浄する際に、或いは加熱逆浸透水を透析液送液系30に流通させて殺菌、洗浄する際に透析液送液系末端流路30b中の洗浄水に含まれるエンドトキシンを検出・定量することができる。これにより、斯かる殺菌洗浄の後に、透析液送液系30からのエンドトキシンの殺菌、洗浄の効果を確認することができるようになっている。
【0066】
透析液送液系30を殺菌、洗浄する際に、透析液送液系30に流通させる逆浸透水、加熱逆浸透水などの供給手段は、通常使用時の逆浸透装置2とは別個(図示せず)に設けられていてもよい。
【0067】
このように、透析液送液系30の末端において測定装置1Bによりエンドトキシン量を測定することで、透析装置3の殺菌、洗浄効果を確認することができる。この時、図5に示すように、測定装置1Aが逆浸透装置出口流路20b(或いは洗浄時用の逆浸透水、加熱逆浸透水供給手段の出口流路)に設けられている場合、透析装置3の洗浄時に送液系に逆浸透水を流通させる際に、この逆浸透装置出口流路20bに配設された測定装置1Aにより測定されたエンドトキシン量と、透析液送液系末端流路30bに配設された測定装置1Bにより測定されたエンドトキシン量とを比較することで、透析装置3に由来するエンドトキシン量を正確に把握することができる。
【0068】
以上、本実施例のエンドトキシン計測システムによれば、透析液送液系30の末端に測定装置1を配設することにより、透析装置3の殺菌、洗浄の効果を確認することができ、操作者が測定装置1の指示或いは警報などにより、透析液送液系30の殺菌、洗浄を確実に行うことを可能とし、洗浄後における透析液送液系30内のエンドトキシンの残留を極力防ぐことができる。
【0069】
実施例4
図6は、測定装置1を適用した透析システムの更に他の実施例を示す。図6に示す透析システム102では、透析装置3は、血液透析治療分野で一般に行われているように、多人数用透析液供給装置31から、複数の患者監視装置32に透析液を供給する。
【0070】
この場合、図6に示すように、逆浸透装置出口流路20bに測定装置1Aを配置することで、逆浸透装置2にて生成する逆浸透水中のエンドトキシンを検出・定量することができる。
【0071】
更に、実施例3と同様に、透析装置3の送液系の殺菌、洗浄効果を確認する目的で、各患者監視装置32に対する透析液の各送液系統の末端に、それぞれ測定装置1B〜1Fを配置する。これにより、透析液送液系30に逆浸透水を流通させて洗浄する際に、或いは加熱逆浸透水を透析液送液系30に流通させて殺菌・洗浄する際に、透析液の各送液系統の末端流路30b中の洗浄水に含まれるエンドトキシンを検出・定量することができ、殺菌、洗浄効果を確認することができる。又、測定装置1Aが逆浸透装置出口流路20b(或いは洗浄時用の逆浸透水、加熱逆浸透水供給手段の出口流路)に設けられている場合、逆浸透装置出口流路20bに接続された測定装置1Aによるエンドトキシン量測定結果と、透析液の各送液系統30の末端に接続された測定装置1B〜1Fによるエンドトキシン測定結果とを比較することにより、各送液系統に由来するエンドトキシン量を正確に把握することができる。
【0072】
ここで、実施例3及び実施例4において、透析液送液系30の末端に配設した測定装置1は、消毒液、ブドウ糖液、酢酸などの透析装置3の洗浄残留物をも検出し得る。これは、紫外線酸化されたこれら洗浄残留物をも、電気伝導率センサDが検出し得るためである。
【0073】
但し、一般に、これら測定装置1が洗浄残留物を検出した場合の電気伝導率と、透析液送液系30の末端で確認されるエンドトキシンを検出した際の電気伝導率とは、そのレベル若しくは逆浸透水を流通させることによる減少程度において相当の差が存在する。従って、測定装置1によって透析液送液系30の末端における洗浄水(逆浸透水)の電気伝導率の検出値が予め設定された所定レベル以下となった時から、エンドトキシンの検出値として取り扱うことができる。又、斯かる原理に基づき、透析液送液系30の末端における洗浄水(逆浸透水)の電気伝導率を監視することで、洗浄残留物の除去程度を検出することができると共に、エンドトキシンを測定することができるといった利点をも有する。制御手段13の記憶手段13bに、別途、洗浄残留物量と電気伝導率とを関係づけて記憶したデータを記憶させておいてもよい。
【0074】
一方、実質的に洗浄残留物を全て洗い流せる洗浄水(逆浸透水)の量は、各透析システムで予め分かっているのが通常である。従って、斯かる量の洗浄水によって洗浄を行った後に、透析液送液系30中のエンドトキシンを検出・定量することとしてもよい。
【0075】
又、加熱逆浸透水を透析液送液系30に流通させると、透析液送液系30の洗浄残留物はより効果的に除去することができる。例えば、所定量の加熱逆浸透水を透析液送液系30に流通させて、実質的に洗浄残留物を全て洗い流す。次いで、更に加熱逆浸透水を透析液送液系に所定時間滞留させることによって、透析液送液系30に付着していた細菌を破壊し、エンドトキシンが放出される。その後、この液中のエンドトキシンを透析液送液系30の末端に接続された測定装置1にて検出・定量する。これにより、透析液送液系30内に付着した細菌などを除去して殺菌作用を成すと共に、透析液送液系30内に付着した細菌などからのエンドトキシンが透析液に混入することを防止するために、より厳密、高感度に殺菌、洗浄効果を確認することができると考えられる。
【0076】
尚、上記各実施例において、制御手段13は、測定装置1が備えるとして説明したが、これは透析システム中のいずれかの要素、例えば、逆浸透装置2、透析液供給装置31、患者監視装置32などを制御するいずれかの制御手段と統合されていてもよい。又、透析システムに通信可能に接続され、透析システムを制御するプログラムに従って動作する、例えば、パーソナルコンピュータなどの制御機器であってもよい。当然、図5及び図6に示すように、エンドトキシン計測システム中に複数の測定装置が設けられる場合、制御手段は共用し、統括的に制御するようにしてもよい。更に、制御手段13に接続される記録計14が測定装置に通信可能に接続されるパーソナルコンピュータなどであってもよいことは言うまでもない。当業者は、周知技術に基づいて、システムに最適な制御形態にて本発明の原理を具現化することができる。
【0077】
以上、本発明を例示する目的で、本発明に係るエンドトキシン測定方法を透析システムに適用する場合の、いくつかの態様を具体的に説明した。しかし、本発明はこれらの態様に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、医療分野、例えば、医療用薬品、注射液などの医薬の調整(製造)、医療器具などの医療材料の製造における水管理、或いは食品製造などにおける水管理に広く適用し得るものである。例えば、測定対象送液系としては、上述の逆浸透水送液系、透析液送液系の他、分析用水、検査測定用水が挙げられる。当業者は、本明細書の説明から、容易に各具体的適用に対して本発明を最適化することができる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、エンドトキシン測定方法は、試料液に紫外線を照射し、該紫外線照射された試料液の電気伝導率を検出することにより試料液中のエンドトキシン量を測定する構成とされ、斯かる測定方法を具現化するエンドトキシン測定装置は、試料液が供給される試料液流路と、試料液流路内に供給された試料液に紫外線を照射する紫外線照射手段と、試料液流路中の紫外線照射手段より下流にて試料液の電気伝導率を検出する電気伝導率センサと、電気伝導率センサの検出値に基づいて試料液中のエンドトキシン量を求める制御手段と、を有する構成とされるので、簡便、且つ、安価な方法でエンドトキシンの検出・定量を行うことができ、又測定中におけるコンタミネーションの虞がなく、確実性・信頼性の高いエンドトキシンの検出・定量データを提供することができ、しかも、試料液中のエンドトキシンの連続測定に対応することができる。
【0079】
又、本発明によれば、例えば、血液透析システムにおける透析液の希釈液供給手段、透析液の送液系などの測定対象送液系と、この測定対象送液系から試料液が供給される上記本発明のエンドトキシン測定装置と、を有するエンドトキシン計測システムを提供することができ、安価、且つ、確実な方法で信頼性高く測定対象液送系中のエンドトキシンを測定し、しかも連続測定に対応することができる。従って、透析治療において、透析液中へのエンドトキシンの混入による症状の発生を大幅に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエンドトキシン測定装置の一実施例の概略構成図である。
【図2】本発明に係るエンドトキシン測定装置の他の実施例の概略構成図である。
【図3】(a)本発明に係るエンドトキシン測定装置にて使用し得るセル(分解容器)の一例の概略縦断面図、(b)平面図である。
【図4】本発明に係るエンドトキシン計測システムの一実施例の概略構成図である。
【図5】本発明に係るエンドトキシン計測システムの他の実施例の概略構成図である。
【図6】本発明に係るエンドトキシン計測システムの更に他の実施例の概略構成図である。
【図7】本発明の原理を説明するためのグラフ図である。
【符号の説明】
1 エンドトキシン測定装置
2 逆浸透装置(希釈水供給手段、逆浸透水供給手段)
3 透析装置
4 分流手段
10 試料液流路
11 紫外線照射手段(紫外光源)
12 セル(分解容器)
13 制御手段
20 逆浸透水供給系(希釈水供給系)
20b 逆浸透装置出口流路
30 透析液送液系
30b 透析送液系末端流路
31 透析液供給装置
32 患者監視装置
33 透析器
D 電気伝導率センサ(電気伝導率検出手段)

Claims (22)

  1. 試料液に紫外線を照射し、該紫外線が照射された試料液の電気伝導率を検出することにより試料液中のエンドトキシン量を測定することを特徴とする試料液中のエンドトキシン測定方法。
  2. 試料液に紫外線を照射する際に試料液を光触媒に接触させることを特徴とする請求項1のエンドトキシン測定方法。
  3. 前記紫外線が照射された試料液の電気伝導率に加えて、紫外線が照射されない同試料液の電気伝導率を検出し、両者の電気伝導率差を検出することにより試料液中のエンドトキシン量を測定することを特徴とする請求項1又は2のエンドトキシン測定方法。
  4. 試料液が供給される試料液流路と、前記試料液流路内に供給された試料液に紫外線を照射する紫外線照射手段と、前記試料液流路中の前記紫外線照射手段より下流にて試料液の電気伝導率を検出する電気伝導率検出手段と、前記電気伝導率検出手段の検出値に基づいて試料液中のエンドトキシン量を求める制御手段と、を有することを特徴とするエンドトキシン測定装置。
  5. 前記紫外線照射手段による紫外線照射を定期的に停止し、前記電気伝導率検出手段の、紫外線照射された試料液に対する第1の検出値と、紫外線照射されていない試料液に対する第2の検出値と、に基づいて試料液中のエンドトキシン量を求めることを特徴とする請求項4のエンドトキシン測定装置。
  6. 更に、前記試料液流路中の前記紫外線照射手段より上流にて試料液の電気伝導率を検出する電気伝導率検出手段を有することを特徴とする請求項4のエンドトキシン測定装置。
  7. 前記紫外線照射手段より下流の電気伝導率検出手段による第1の検出値と、前記紫外線照射手段より上流の電気伝導率検出手段による第2の検出値と、に基づいて試料液中のエンドトキシン量を求めることを特徴とする請求項6のエンドトキシン測定装置。
  8. 少なくとも一部が、前記紫外線照射手段からの紫外線がその中を流通する試料液に到達するのを許す材料から作製されるセルを、前記試料液流路中に配置することを特徴とする請求項4〜7のいずれかの項に記載のエンドトキシン測定装置。
  9. 前記セルは、少なくとも一部が石英ガラスを用いて作製され、前記紫外線照射手段は、該石英ガラス部分を介して前記セル中の試料液に紫外線が照射されることを特徴とする請求項8のエンドトキシン測定装置。
  10. 前記セルは、試料液に接触し、且つ、前記紫外線照射手段からの紫外線が到達せられる光触媒を有することを特徴とする請求項8又は9のエンドトキシン測定装置。
  11. 前記光触媒は酸化チタンであることを特徴とする請求項10の測定装置。
  12. 前記制御手段は、予め前記電気伝導率検出手段の検出値とエンドトキシン量とが関係付けられて記憶される記憶手段を有し、該記憶手段に記憶された情報と前記電気伝導率検出手段の検出値とから試料液中のエンドトキシン量を求めることを特徴とする請求項4〜11のエンドトキシン測定装置。
  13. 前記記憶手段に前記電気伝導率検出手段の出力と関係づけられて記憶されるエンドトキシン量は、LAL法に基づいて測定されたエンドトキシン量であることを特徴とする請求項12のエンドトキシン測定装置。
  14. 測定対象送液系と、前記測定対象送液系から試料液が供給される請求項4〜13のいずれかの項に記載のエンドトキシン測定装置と、を有することを特徴とするエンドトキシン計測システム。
  15. 前記測定対象送液系は、逆浸透水供給手段から被供給体への逆浸透水の送液系であることを特徴とする請求項14のエンドトキシン計測システム。
  16. 前記測定対象送液系は、血液透析用透析液の希釈水の供給手段から血液透析装置への希釈水の送液系であることを特徴とする請求項14のエンドトキシン計測システム。
  17. 前記測定対象送液系は、血液透析用透析液の送液系であって、前記透析液送液系の末端から前記測定装置に試料液が供給されることを特徴とする請求項14のエンドトキシン計測システム。
  18. 前記透析液送液系を複数系統有し、各系統の末端から前記測定装置にそれぞれ試料液が供給されることを特徴とする請求項17のエンドトキシン計測システム。
  19. 血液透析用透析液の希釈水の供給手段と、該希釈水供給手段から供給される希釈水を用いて調製される透析液が流通し得る透析液の送液系を具備する血液透析装置と、を有する血液透析システムにおけるエンドトキシン計測システムであって、前記希釈水供給手段から前記血液透析装置への希釈水供給流路、及び、前記透析液送液系の末端からそれぞれ試料液が供給される請求項4〜13のいずれかの項に記載のエンドトキシン測定装置を有することを特徴とするエンドトキシン計測システム。
  20. 血液透析用透析液の希釈水の供給手段と、該希釈水供給手段から供給される希釈水を用いて調製される透析液が流通し得る透析液送液系を複数系統具備する血液透析装置と、を有する血液透析システムにおけるエンドトキシン計測システムであって、前記希釈水供給手段から前記血液透析装置への希釈水供給流路、及び、前記複数系統の透析液送液系の各末端からそれぞれ試料液が供給される請求項4〜13のいずれかの項に記載のエンドトキシン測定装置を有することを特徴とするエンドトキシン計測システム。
  21. 前記透析液送液系に前記希釈水供給手段からの希釈水を流通させ、その際に前記測定装置に供給される試料液中のエンドトキシン量を求めることを特徴とする請求項19又は20のエンドトキシン計測システム。
  22. 前記希釈水供給流路から試料液が供給される前記測定装置と、前記透析液送液系の末端から試料液が供給される測定装置とによってそれぞれ検出されるエンドトキシン量を比較することにより、透析液送液系由来のエンドトキシン量を求めることを特徴とする請求項21のエンドトキシン計測システム。
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