JP3913092B2 - 床吹出器具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、床吹出器具に関するものであり、より詳細には、室内人員に足元付近の過冷却を意識させることなく、吹出風量を増大することができる床吹出空調設備の床吹出器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空調機で調温・調湿された調整空気を床下チャンバに送風し、床面に配設した吹出口から調整空気を室内に吹出す床吹出空調方式の空調設備が知られている。この方式の空調設備は、多数の電子制御機器又は情報機器類の配線用にフリーアクセスフロア又はネットワークフロアを施工した室において、床材の下側に形成された床下空間を空調空気送風用の床下チャンバとして有効利用し得ることから、殊に、電子機器室等の空調方式として従来採用されてきた。このような床下配線空間は、近年の高度OA設備の普及により、更に多種多様な用途の室において採用される傾向にあり、これに伴って、床吹出空調方式の空調システムも又、更に普及しつつある。
【0003】
このような床吹出空調方式の空調設備において、床下チャンバの空調空気を床吹出口からインテリアゾーンに吹出すとともに、ペリメータゾーンに送風ユニットを配置し、床下チャンバの空調空気を送風ユニットからペリメータゾーンに吹出すように構成した空調設備が知られている(特開2001-65962号公報等) 。
【0004】
また、垂直軸線を中心に水平面内で回転する風量調整シャッターを床吹出口に設けるとともに、風量調整シャッターの開度を検出して空調機の送風量を制御するように構成された床吹出口空調方式の空調設備が知られている(特開平11-241854 号公報) 。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の床吹出口は、空調空気流を垂直上方に吹出すように構成されているので、室内人員は、床面から上昇する空調空気流のドラフトを体感し、不快感を覚え易い。例えば、冷房運転時に床面から垂直上方に噴流する冷気は、足元付近の過冷却感を室内人員に与える傾向がある。
【0006】
殊に、風量調整シャッターを設けた床吹出口においては、シャッター開度が増大すると、このような傾向が更に顕在化することから、冷房運転時に足元付近の過冷却を意識した室内人員が風量調整シャッターを人為的に閉鎖してしまうという不合理な事態が生じている。
【0007】
このような事態を防止すべく、シャッターの上側に傾斜ベーンを固定し、シャッター通過後の空調空気流を床面に対して傾斜した方向に吹出す構造を採用することも考慮し得るが、このような場合であっても、シャッター開度の増大につれて吹出空気量が増大すると、傾斜ベーンの効果が喪失し、この結果、空調空気流は、従来の床吹出器具と同様、床吹出口から垂直上方に吹出しまう。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、足元付近の過冷却を室内人員に意識させることなく、吹出風量を増大することができる床吹出空調設備の床吹出器具を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成すべく、床下チャンバに送風された建築空調設備の調整空気を床面から室内に吹出すように構成された床吹出空調設備の床吹出器具において、
床材の開口部に取付け可能な円筒状ケーシングと、
該ケーシングの半径方向に延びる回転可能な水平支軸に一体的に支持された扇形可動ベーンと、
垂直軸線を中心に回転可能な半球形カム部材とを有し、
前記扇形可動ベーンは、前記円筒状ケーシングの下半部に配置され、所定角度に傾斜した固定ベーンが、前記円筒状ケーシングの上半部に固定され、前記水平支軸は、前記固定ベーンの下端縁に沿って延び、前記固定ベーン及び可動ベーンは、接線方向且つ斜め上方に調整空気を差向ける調整空気の連続傾斜流路を形成し、
前記カム部材は、前記ケーシングの中心部に回転可能に支持されるとともに、半球面の経線方向に延びるカム溝を備え、
前記水平支軸は、該支軸の半径方向内端部から一体的に延び且つ前記カム溝に係合するカム従動部を備え、
前記カム従動部及びカム溝は、前記カム部材の回転運動を前記水平支軸の回転運動に変換し、前記可動ベーンは、前記カム部材の回転操作により、前記水平支軸を中心に回動し、前記調整空気の流路面積を調節することを特徴とする床吹出器具を提供する。
【0010】
本発明の上記構成によれば、床吹出器具の扇形可動ベーンは、カム溝及びカム従動部のカム作用により水平支軸を中心に回転するので、調整空気の流路面積は、カム部材の回転に相応して変化する。可動ベーンは、垂直な全開位置を除き、床面に対して傾斜し、調整空気を斜め上方且つ概ね接線方向に室内に吹出すように作用する。固定ベーン及び可動ベーンにより形成される連続傾斜流路により、調整空気は、旋回流又は螺旋気流を吹出器具の上方に形成する。従って、本発明の床吹出器具によれば、床面から垂直上方に噴流する空気流の形成を回避し、ドラフトによる不快感、例えば、冷房運転時に床面から垂直上方に噴出する冷気流による足元付近の過冷却感等を防止することができる。
【0011】
本発明は又、床下チャンバに送風された建築空調設備の調整空気を床面から室内に吹出すように構成された床吹出空調設備の床吹出器具において、
床材の開口部に取付け可能な円筒状ケーシングと、
前記円筒状ケーシングの上部に固定され、所定角度に傾斜した固定ベーンと、
該ケーシングの半径方向に延びる回転可能な水平支軸に一体的に支持された扇形可動ベーンとを有し、
前記可動ベーンは、前記水平支軸を中心に回動し、前記調整空気の流路面積を調節するようになっており、
前記水平支軸は、前記固定ベーンの下端縁に沿って延び、
隣合う前記可動ベーン同士の間に形成された調整空気の第1傾斜流路と、隣合う前記固定ベーンの間に形成された調整空気の第2傾斜流路とは、連続する傾斜流路を形成することを特徴とする床吹出器具を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施形態において、床吹出器具の中心部に手動操作可能な操作具が配設され、操作具の下端部は、カム部材の中心部に一体回転可能に連結される。好ましくは、カム部材の球形上面は、最大直径部分(赤道部分)に円形基部を有し、円形基部は、円筒形支承部の中空部に収容される。円筒形支承部は、円筒形ケーシングの下半部中心領域に配置され、円筒形支承部の上縁は、可動ベーンの水平支軸を支承する。
【0013】
好ましくは、上記可動ベーンの扇形ベーン本体は、上記支軸の片側に配置され、上記扇形ベーン本体の挟角は、略45度又は30度に設定される。更に好ましくは、上記カム従動部は、支軸の内端から上方に延びるカム従動アームと、アームの先端部に取付けられたカム従動ピンとから構成される。カム従動アームは、カム部材の球面に沿って湾曲し、カム従動ピンは、カム溝に挿入される。カム従動ピンは、カム部材の回転に追随して回転方向に変位しながらカム溝内を上下動し、カム従動アームは、カム従動ピンの変位に相応して、水平支軸の回転中心軸線を中心に揺動する。
【0014】
好適には、上記円筒状ケーシング及び固定ベーンは、樹脂一体成形法により一体成形され、上記水平支軸、扇形可動ベーン及びカム従動部は、樹脂一体成形品からなり、カム部材の球形部及び円形基部は、樹脂一体成形品からなる。
【0015】
【実施例】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施例について詳細に説明する。
図1(A)は、床吹出方式の空調設備を備えた建築物の部分縦断面図であり、図1(B)は、図1(A)に示す床吹出器具の拡大側面図である。
【0016】
建築物の各階空間は、建築物の外壁W及び窓T及びコンクリート床スラブSによって形成される。床材Fは、フリーアクセスフロア又はネットワークフロア用の支柱(図示せず)によって床スラブSから所定間隔(例えば、30〜60mm) を隔てており、床スラブSと床材Fとの間には、調整空気を送風可能な床下チャンバCが形成される。天井材Dは、軽量鉄骨又はシステム天井等の天井下地材を介して上階床スラブFの下方に取付けられ、上階床スラブFと天井材Dとの間には、天井裏チャンバGが形成される。
【0017】
床面には、床下チャンバCの調温空気を室内に吹出す床吹出器具1が、所定間隔を隔てて配置され、天井面には、室内空気を天井裏チャンバGに流出させる室内空気吸込口2が所定間隔を隔てて配置される。天井裏チャンバGは、空気還流ダクトB1を介して空調機械室等の空調機Aに接続され、空調機Aは、送風ダクトB2を介して床下チャンバCに接続される。空調機Aは、送風機、加熱・冷却器、除湿器及び加湿器等を備えた従来構造の空調機である。
【0018】
空調機Aによって温湿度を調整した調整空気は、送風ダクトB2から床下チャンバC内に送風され、床吹出器具1から室内に吹出し、室内を循環した後、空調機Aの送風・誘引圧力下に天井吸込口2から天井裏チャンバG内に誘引され、空気還流ダクトB1を介して空調機Aに還流する。
【0019】
床吹出器具1の拡大図が図1(B)に示されている。床吹出器具1は、器具本体10と、器具本体10に螺着可能な円環状締付部材20とからなる。器具本体10の円筒状ケーシング11が、床材Fの器具取付用開口部F1に床上から挿入され、締付部材20は、床下チャンバCの側から円筒状ケーシング11に螺合する。器具取付用開口部F1の縁部は、器具本体10の鍔12と、締付部材20の鍔22とに挟持される。円筒状本体10は、固定ベーン15、可動ベーン30、手動式回転操作具40及び半球形カム部材50を内蔵する。
【0020】
図2は、床上から見た床吹出器具10の形態を示す平面図であり、図3は、床吹出器具10の部分破断断面図である。
床吹出器具1の器具本体10は、全体的に円形輪郭を有し、操作具40を備えた中心部60を有する。外周壁14の下半部には、外螺子13が形成される。外螺子13は、締付部材20の環状壁21に形成された内螺子23に螺入する。
【0021】
器具本体10の固定ベーン15は、中心部60の環状側壁61から概ね放射状に径方向外方に延び、外周壁14に達する。固定ベーン15の上縁15aは、器具本体10の上面に位置し、固定ベーン15の上縁15aと連続する多数の円弧状枠16が、中心部60及び外周壁14と同心状に整列配置される。固定ベーン15及び円弧状枠16は、調整空気を吹出し可能な多数の吹出開口17を画成し、吹出開口17は、器具本体10の上面全域に実質的に均等に分散配置される。
【0022】
固定ベーン15は、器具本体10の概ね上半部に配置され、水平平面に対して角度α(図1(A))の傾斜角度をなして環状側壁61及び外周壁14に一体的に固定される。固定ベーン15の傾斜角度αは、約60〜80度、例えば、70度に設定される。外周壁14、固定ベーン15及び中心部60は、例えば、硬質樹脂一体成形により製造される。
【0023】
可動ベーン30は、器具本体10の下半部に配置される。各可動ベーン30の回転軸31が、固定ベーン15の下端縁15bに近接して半径方向に延びる。回転軸31の内端部は、器具本体10の中心に配置された円筒状支承部70の上縁に支承され、回転軸31の外端部は、外周壁14に支承される。
【0024】
図4は、可動ベーン30の構造を示す平面図である。
可動ベーン30のベーン本体32は、約45度の挟角を有する扇状形態を有し、ベーン本体32の外周輪郭は、外周壁14の内周面に近接する。ベーン本体32の中心領域には、中心部60の直径と実質的に同一の直径を有する開口部33が形成される。回転軸31の内端部は、開口部33の縁部を超えて中心部60の径方向内方に延び、中心部60の下側に配置された円筒状支承部70の上縁に支承される。湾曲したカム従動アーム35が、回転軸31の内端から上方に延び、カム従動ピン36が、カム従動アーム35の先端部に形成される。回転軸31、ベーン本体32、カム従動アーム35及びカム従動ピン36は、例えば、硬質樹脂の一体成形品からなる。
【0025】
図3に示す如く、回転操作具40は、中心部60の上面に回転可能に支持された円形拡大ヘッド41と、拡大ヘッド41から一体的に下方に延びる連結部43とから構成される。拡大ヘッド41の上面には、コイン等の操作手段を挿入可能な操作溝42が刻設される。連結部43の下端部は、半球形カム部材50に一体的に連結される。カム部材50は、支承部70の上部に遊嵌状態に収容した円形基部51と、円形基部51の中心部を中心とする半球部52とから構成される。操作具40及びカム部材50は夫々、硬質樹脂の一体成形品からなる。
【0026】
図5は、カム部材50の拡大断面図であり、カム部材50と可動ベーン30との関連が図5に示されている。
半球部52の球面には、半球部52の截頭面53から周方向下方に延びるカム溝55が形成される。カム従動ピン36は、球形面の経線方向に移動可能にカム溝55内に収容される。各カム溝55に挿入したカム従動ピン36の中心線Yは、半球部52の中心Xにおいて交差する。
【0027】
カム部材50は、操作具40の回転により、垂直中心軸線Zを中心に回転し、カム従動ピン36は、カム溝55のカム作用により所定の軌跡を描いて移動し、カム従動アーム35を揺動させる。
【0028】
図6は、半球形カム部材50の回転状態を示す側面図である。
半球形カム部材50が矢印R方向に回転すると、カム溝55に係合したカム従動ピン36は、回転方向に変位するとともに、カム溝55内で上方に変位しながら回転軸31を回転させる。ベーン本体32は、回転軸31の回転により矢印Q方向に回動し、全体的に傾斜する。図6(A)、(B)及び(C)には、ベーン本体32の回転角度Θが、0度(全閉位置)、45度(半開位置)及び90度(全開位置)の状態が夫々図示されている。
【0029】
可動ベーン30の回転軸31は、固定ベーン15(仮想線で示す)の下端縁15bに沿って延びるので、可動ベーン30及び固定ベーン15の上面は、回転軸31の部分で傾斜角度が変化するが、全体的には連続しており、かくして、図1(B)に示す如く、隣合う可動ベーン30同士の間に調整空気の第1傾斜流路18が形成され、隣合う固定ベーン15の間に調整空気の第2傾斜流路19が形成され、これら傾斜流路18、19は、連続する。
【0030】
次に、上記構成の床吹出器具10の作動について説明する。
操作具40の操作溝42にコイン等の操作手段を挿入し、操作具40を回転させることにより、可動ベーン30は回動し、床吹出器具10の風量及び風向は、変化する。
【0031】
床吹出器具1を全閉にする場合、操作手段により操作具40を全閉位置(図5(A))に回転させる。可動ベーン30は、水平姿勢を維持し、図4(A)に示す如く、床吹出器具1の流路を完全に閉鎖する。
【0032】
床吹出器具1を開放する場合、操作手段により操作具40を矢印R方向(図6)に回転させる。操作具40の回転により、カム部材50は回転し、カム従動ピン36は、カム溝55の回転位置に追従して変位し、図6(B)に示す如く、回転軸31、カム従動アーム35及びベーン本体32を回転させる。
【0033】
ベーン本体32は、水平平面に対して角度Θをなして傾斜し、固定ベーン15と連接する傾斜面を形成する。可動ベーン30の間には、角度Θの第1傾斜流路18(図1(A))が形成され、固定ベーン15の間には、固定ベーン15の傾斜角(本例では角度70度)に相応した第2傾斜流路19が形成される。第1及び第2傾斜流路18、19が概ね接線方向且つ斜め上方に調整空気を差向ける指向性を有するので、流路18、19から室内に吹出す調整空気は、図1に示す如く、旋回流又は螺旋気流を床吹出器具1の上方に形成する。
【0034】
固定ベーン15は常時傾斜し、可動ベーン30は、全開位置及び全閉位置を除き、傾斜するので、上記旋回流又は螺旋気流は、可動ベーン30の姿勢制御により流路18の開度が変化するにもかかわらず、床吹出器具1の上方に形成される。
【0035】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において種々の変更又は変形が可能であり、かかる変更又は変形例も又、本発明の範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
【0036】
例えば、可動ベーンの材質、数量、寸法・角度、固定ベーンの材質、数量、傾斜角度、カム部材の操作方法、カム従動部の寸法・形状等は、床吹出機器の使用場所、寸法、風量等に応じて適宜設計変更することができる。
【0037】
また、器具本体10は、可動ベーン30の傾斜角度Θを所定角度(例えば、70度)以下に制限する傾斜角度規制手段を備えても良い。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の床吹出器具によれば、固定ベーン及び可動ベーンにより形成される連続傾斜流路は、調整空気を斜め上方且つ概ね接線方向に室内に吹出すように作用し、調整空気の旋回流又は螺旋気流を吹出器具の上方に形成するので、足元付近の過冷却を室内人員に意識させることなく、吹出風量を増大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は、床吹出方式の空調設備を備えた建築物の部分縦断面図であり、図1(B)は、図1(A)に示す床吹出器具の拡大側面図である。
【図2】床上から見た床吹出器具の形態を示す平面図である。
【図3】床面に取付けられた床吹出器具の部分破断断面図である。
【図4】床吹出器具に内蔵した可動ベーンの構造を示す平面図である。
【図5】可動ベーンを作動する半球形カム部材の拡大断面図である。
【図6】半球形カム部材の回転状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 床吹出器具
10 器具本体
11 円筒状ケーシング
20 円環状締付部材
30 可動ベーン
31 回転軸
32 ベーン本体
35 カム従動アーム
36 カム従動ピン
40 回転操作具
50 半球形カム部材
52 半球部
55 カム溝
60 中心部
70 円筒形支承部

Claims (6)

  1. 床下チャンバに送風された建築空調設備の調整空気を床面から室内に吹出すように構成された床吹出空調設備の床吹出器具において、
    床材の開口部に取付け可能な円筒状ケーシングと、
    該ケーシングの半径方向に延びる回転可能な水平支軸に一体的に支持された扇形可動ベーンと、
    垂直軸線を中心に回転可能な半球形カム部材とを有し、
    前記扇形可動ベーンは、前記円筒状ケーシングの下半部に配置され、所定角度に傾斜した固定ベーンが、前記円筒状ケーシングの上半部に固定され、前記水平支軸は、前記固定ベーンの下端縁に沿って延び、前記固定ベーン及び可動ベーンは、接線方向且つ斜め上方に調整空気を差向ける調整空気の連続傾斜流路を形成し、
    前記カム部材は、前記ケーシングの中心部に回転可能に支持されるとともに、半球面の経線方向に延びるカム溝を備え、
    前記水平支軸は、該支軸の半径方向内端部から一体的に延び且つ前記カム溝に係合するカム従動部を備え、
    前記カム従動部及びカム溝は、前記カム部材の回転運動を前記水平支軸の回転運動に変換し、前記可動ベーンは、前記カム部材の回転操作により、前記水平支軸を中心に回動し、前記調整空気の流路面積を調節することを特徴とする床吹出器具。
  2. 前記床吹出器具の中心部に手動操作可能な操作具が配設され、該操作具の下端部は、前記カム部材の中心部に一体回転可能に連結されることを特徴とする請求項1に記載の床吹出器具。
  3. 前記カム部材の球形上面は、最大直径部分に円形基部を有し、該円形基部は、前記円筒形ケーシングの下半部中心領域に配置された円筒形支承部の中空部に収容され、該円筒形支承部の上縁は、前記水平支軸の内端部を支承することを特徴とする請求項1又は2に記載の床吹出器具。
  4. 前記カム従動部は、前記水平支軸の内端部から上方に延びるカム従動アームと、該アームの先端部に取付けられたカム従動ピンとから構成され、前記カム従動アームは、前記カム部材の球面に沿って湾曲し、前記カム従動ピンは、前記カム溝に挿入され、
    前記カム従動ピンは、前記カム部材の回転に追随して回転方向に変位しながらカム溝内を上下動し、前記カム従動アームは、前記カム従動ピンの変位に相応して、前記水平支軸の回転中心軸線を中心に揺動することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の床吹出器具。
  5. 前記円筒状ケーシング、前記扇形可動ベーン及び前記カム部材は夫々、硬質樹脂の一体成形品からなることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の床吹出器具。
  6. 床下チャンバに送風された建築空調設備の調整空気を床面から室内に吹出すように構成された床吹出空調設備の床吹出器具において、
    床材の開口部に取付け可能な円筒状ケーシングと、
    前記円筒状ケーシングの上部に固定され、所定角度に傾斜した固定ベーンと、
    該ケーシングの半径方向に延びる回転可能な水平支軸に一体的に支持された扇形可動ベーンとを有し、
    前記可動ベーンは、前記水平支軸を中心に回動し、前記調整空気の流路面積を調節するようになっており、
    前記水平支軸は、前記固定ベーンの下端縁に沿って延び、
    隣合う前記可動ベーン同士の間に形成された調整空気の第1傾斜流路と、隣合う前記固定ベーンの間に形成された調整空気の第2傾斜流路とは、連続する傾斜流路を形成することを特徴とする床吹出器具。
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