JP3912968B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関(以下、「エンジン」と言うものとする。)の吸気弁や排気弁の開閉タイミングを運転条件に応じて制御するためのバルブタイミング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンのクランクシャフトと同期回転するタイミングプーリやチェーンスプロケット等の駆動力伝達部材と、外周に駆動カムを有するカムシャフトとの組付角を回動操作することにより、吸気弁や排気弁の開閉タイミングを可変制御するバルブタイミング制御装置が従来より案出されており、この技術は、例えば、特開平10-110603号公報等に開示されている。
【0003】
この公報に記載のバルブタイミング制御装置は、カムシャフトの端部に一体に取付けたベーン部材を駆動力伝達部材と一体のハウジング部材の内部に収容配置すると共に、このハウジング部材の内部に進角油圧室及び遅角油圧室を設け、この各油圧室に選択的に油圧を吸排することによってベーン部材をハウジング部材に対して相対的に回動させ、それにより駆動力伝達部材とカムシャフトとの回転位相を変化させて吸気弁や排気弁の開閉タイミングを変更するようになっている。
【0004】
このような所謂ベーン式のバルブタイミング制御装置においては、エンジンの回転速度が遅い場合等の供給油圧が低いときに油圧室内の圧力が吸気弁や排気弁から受ける反力に負け、ベーン部材がその反力によって押し動かされることが知られている。これに対処するため上記公報に記載のバルブタイミング制御装置にあっては、ベーン部材とハウジング部材の間に両者の相対回動位置を固定するロックピンを設け、このロックピンによって前記ベーン部材の押し戻しを防止するようにしている。
【0005】
即ち、ロックピンはばね部材で付勢された状態でベーン部材に進退自在に取付けられており、ベーン部材とハウジング部材が設定方向に相対回動制御されると、ロックピンの先端部がハウジング部材の内壁に設けられたロック穴に嵌合されて両者の相対回動をロックし、この状態からベーン部材とハウジング部材が逆向きに相対回動制御されるときには、ロック穴の底部に高圧の作動油が導入されてロックピンの嵌合が解除されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ロック穴の底部に高圧の作動油が導入されたときにロックピンを円滑に後退できるようにするためには、ロックピンの背部を常時大気圧に維持しておかなければならない。このため、従来のバルブタイミング制御装置においては、ベーン部材のシリンダ孔の底部に大気圧導通路が形成され、この導通路を通してロックピンの背部が大気圧に維持されるようになっている。
【0007】
しかし、大気圧導通路は必ずしもシリンダ孔の軸心部に合致させて形成できるものではなく、装置内部のレイアウト上の制約等によってシリンダ孔の軸心部に対して外周側に偏寄した位置に形成せざるを得ないことがある。
【0008】
このように大気圧導通路がシリンダ孔の軸心部に対して偏寄して形成された場合、シリンダ孔内の作動油が大気圧導通路を通して急激に排出されたときに、大気圧導通路の孔の近傍が他の部分よりも流速が速くなり、シリンダ孔の底部側外周の一部に低圧部分ができ易くなる。そして、こうしてシリンダ孔の底部に圧力の偏りが生じると、作動中にロックピンが傾斜してロックピンの円滑な作動の妨げとなる。
【0009】
そこで本発明は、シリンダ孔の軸心から偏寄した位置に形成された大気圧導通路を通してシリンダ孔内の作動油が急激に排出されたときにロックピンが傾斜するのを防止して、常時スムーズなロックピンの作動を得ることのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために請求項1に記載の発明は、内燃機関のクランクシャフトによって駆動される駆動力伝達部材と、外周に機関弁を作動させるための駆動カムを有する一方で前記駆動力伝達部材が必要に応じて相対回転できるように組み付けられ、前記駆動力伝達部材から動力を伝達されて従動回転するカムシャフトと、前記駆動力伝達部材とカムシャフトのいずれか一方と一体化されて回転するハウジング部材と、前記ハウジング部材内に収容され、前記駆動力伝達部材とカムシャフトの他方と一体化されて回転するベーン部材と、前記ハウジング部材内に設けられ、油圧によって前記ベーン部材を回動させる進角油圧室及び遅角油圧室と、前記進角油圧室及び遅角油圧室に連通し、これらの油圧室に選択的に油圧を吸排する油圧吸排手段と、内燃機関の運転状態に応じて前記ハウジング部材とベーン部材を一方側に相対回動させた状態で両者を機械的にロックするロック機構と、を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、このロック機構が、前記ベーン部材とハウジング部材のうちの一方に形成されたシリンダ孔に進退自在に収容されたロックピンと、このロックピンを突出方向に付勢するばね部材と、前記ベーン部材とハウジング部材のうちの他方に形成され、この両者が設定相対回動位置にあるときに前記ロックピンの先端部が嵌合されるロック穴と、油圧室の油圧を導入して前記ロックピンを後退させるロック解除通路と、前記シリンダ孔内の軸心部から偏寄した位置に形成され、前記シリンダ孔の底部側を大気圧に維持する大気圧導通路と、を有するものにおいて、前記シリンダ孔の内部にばね部材の一端を支持するばね支持部材を収容し、このばね支持部材に、円周方向に複数の流通口を有し前記ばね部材の端部を直接支持するフランジ部と、このフランジ部の前記ロックピン側の面に突設されて前記ロックピンがフランジ部に当接する前に前記ロックピンの後退変位を規制するストッパ突起と、前記フランジ部のロックピンと逆側の面に突設されて、前記フランジ部の背面側に前記大気圧導通路に連通する環状空間を形成するスペーサ突起と、を設けるようにした。
【0011】
この発明の場合、ロックピンがばね部材の力に抗してシリンダ孔内に後退しようとすると、シリンダ孔内の作動油は、ばね支持部材のフランジ部に複数形成された流通口を通って環状空間に流れ込み、この環状空間から大気圧導通路に排出される。作動油がフランジ部を通過する際には、作動油が円周方向の複数の流通口に分散されるために、作動油の流速が部分的に速くなることはない。また、環状空間においては大気圧導通路の近傍で流速が速くなるが、ロックピンはばね支持部材のフランジ部に当接する前にストッパ突起によって後退変位を規制されるため、ロックピンは大気圧導通路の近傍の流速の影響を受けることはない。
【0012】
請求項2に記載の発明は、シリンダ孔がベーン部材を軸方向に貫通して形成され、そのシリンダ孔の端部がハウジング部材の内側面に対向する内燃機関のバルブタイミング制御装置において、ばね支持部材を前記シリンダ孔に軸方向変位可能に収容するようにした。
【0013】
この発明の場合、ばね支持部材はシリンダ孔内に圧入等によって固定されているものではないため、ロックピン側からばね支持部材に過大な荷重が一時的に作用することがあっても、ハウジング部材の内側面に押し付けられて突出したままになることはない。
【0014】
請求項3に記載の発明は、ばね支持部材を樹脂によって形成するようにした。
【0015】
この発明の場合、ばね支持部材は軟質な樹脂面によって常時ハウジング部材に当接することとなる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、ばね支持部材のスペーサ突起の端部を平面に形成するようにした。
【0017】
この発明の場合、スペーサ突起の端部が平面でハウジング部材に当接するため、ばね支持部材は常時安定姿勢を維持される。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1において、1は、エンジンの排気側のカムシャフトである。このカムシャフト1は、図外のシリンダヘッドに軸受を介して回転自在に支持されると共に、その基幹部外周に、機関弁としての排気弁を開閉するための図外の駆動カムが設けられている。本発明にかかるバルブタイミング制御装置2はこのカムシャフト1の一端側に設けられている。
【0020】
バルブタイミング制御装置2は、タイミングチェーン(図示せず。)を介してクランクシャフトによって回転駆動される駆動力伝達部材としてのチェーンスプロケット4と、このチェーンスプロケット4が外周面に一体に形成されたハウジング部材5と、一端部にこのハウジング部材5が必要に応じて回動できるように組み付けられた前記カムシャフト1と、このカムシャフト1の一端に一体に組み付けられ前記ハウジング部材5の内部に回動自在に収容されたベーン部材7と、このベーン部材7をエンジンの運転状態に応じて油圧によって正逆回転させる油圧吸排手段8と、前記カムシャフト1に作用する回転変動トルクに伴なうベーン部材7の変動を規制するロック機構9と、を備えている。
【0021】
前記ハウジング部材5は、外周面に前記チェーンスプロケット4が一体に形成された略円筒状のハウジング本体10と、このハウジング本体10の前後の端面に複数のボルト11によって結合された円板状のフロントカバー12及びリヤカバー13を備えており、ハウジング本体10の内周面には、図2に示すように、ほぼ90°間隔で断面台形状の仕切壁14が4つ突設されている。
【0022】
一方、前記ベーン部材7は、略円柱状の胴部16と、この胴部16の外周面に放射状に突設された4つの羽根部17を備えており、胴部16はハウジング部材5の軸心位置に配置され、各羽根部17はハウジング部材5の隣接する仕切壁14,14間に配置されている。そして、ベーン部材7の各羽根部17の一方側の側面とそれに対峙する仕切壁14の間は進角油圧室18とされ、各羽根部17の他方側の側面とそれに対峙する仕切壁14の間は遅角油圧室19とされている。
【0023】
また、ベーン部材7はカムシャフト1の端部が嵌合される凹部20が胴部16の後面側に形成されている。そして、胴部16には、前記各進角油圧室18と凹部20の内周面を連通する第1径方向孔23と、前記各遅角油圧室19と凹部20の内周面を連通する第2径方向孔24が形成され、凹部20にカムシャフト1の端部が嵌合された状態において、各径方向孔23,24がカムシャフト1の第1吸排孔25と第2吸排孔26に夫々連通するようになっている。ベーン部材7とカムシャフト1はベーン部材7の胴部16の軸心部を貫通するボルト3によって結合されている。
【0024】
前記油圧吸排手段8は、第1吸排孔25に接続されて進角油圧室18に油圧を吸排する第1油圧通路28と、第2吸排孔26に接続されて遅角油圧室19に油圧を吸排する第2油圧通路29の2系統の油圧通路を有し、この両油圧通路28,29には、供給通路30とドレン通路31が夫々通路切換用の電磁切換弁32を介して接続されている。前記供給通路30には、オイルパン33内の油を圧送するオイルポンプ34が設けられており、ドレン通路31の端部は前記オイルパン33内に連通している。また、電磁切換弁32はコントローラ35によって制御されるが、このコントローラ35には、エンジンの運転状態を示す各種信号が入力されるようになっている。
【0025】
一方、ロック機構9は、エンジン始動時等にベーン部材7が進角側に回動制御されているときにハウジング部材5とベーン部材7の相対的な回動を機械的にロックするものであり、ベーン部材7の一つの羽根部17に軸方向に沿って形成されたシリンダ孔36と、このシリンダ孔36に進退自在に収容支持された有底円筒状のロックピン37と、シリンダ孔36内に収容されてロックピン37を突出方向(リヤカバー13方向)に付勢するばね部材38と、シリンダ孔36内においてこのばね部材38のロックピン37と逆側の端部を支持するばね支持部材である樹脂製のばね支持ピン39と、リヤカバー13の内側面の設定位置に配置され、ベーン部材7がハウジング部材5に対して進角側に最大に変位した位置でロックピン37の先端が嵌合されるロック穴40とを備えている。
【0026】
そして、ロック穴40の底部には遅角油圧室19に連通するロック解除通路41が接続され、ロックピン37の嵌合時に、その先端部に遅角油圧室19の油圧が作用するようになっている。また、シリンダ孔36の底部はベーン部材7の側面に摺接するフロントカバー12の内側面によって閉塞されると共に、フロントカバー12寄りの周壁の一部に開口形成された大気圧導通路42を通して常時大気圧に維持されている。
【0027】
ばね支持ピン39は、図3,図4に示すように、シリンダ孔36に摺動自在に嵌合されるフランジ部43を有し、このフランジ部43のロックピン37側の端面中央に多段ロッド状のストッパ突起44が形成されると共に、フランジ部43の逆側の端面中央に前記大気圧導通路42の深さ分よりも僅かに高さの高いスペーサ突起45が形成されている。ストッパ突起44にはばね部材38が挿入され、その挿入されたばね部材38の一端がフランジ部43のロックピン37側の端面に直接当接するようになっている。
【0028】
また、フランジ部43の外周縁部には、その前後での作動油の流通を許容するための複数の流通口46が周方向等間隔に形成されており、スペーサ突起45の先端部は平面に形成されている。そして、ばね支持ピン39はシリンダ孔36に対して固定されておらず、ばね部材38の反力を受けて常時フロントカバー12の内側面に押し付けられるようになっている。このとき、ばね支持ピン39はスペーサ突起45の先端の平面でフロントカバー12に当接し、フランジ部43の背部側に大気圧導通路42に連通する環状空間47を形成するようになっている。
【0029】
かかる構造において、電磁切換弁32の操作によって進角油圧室18に高圧の作動油が供給されると、図2に示すように、ベーン部材7がハウジング部材5に対して最進角位置に回動変位し、ロックピン37が図1に示すようにハウジング部材5のロック穴40に係合して、ベーン部材7がハウジング部材5に対して機械的にロックされる。このため、図外のクランクシャフトからチェーンスプロケット4に入力された回転駆動力は、最進角状態で機械的に結合されたハウジング部材5とベーン部材7を介してカムシャフト1に伝達され、図外の駆動カムを介して排気弁を進角タイミングで開閉する。
【0030】
このとき、ハウジング部材5とベーン部材7はロックピン37によって機械的に結合されるため、排気弁からカムシャフト1に変動トルクが入力されてもベーン部材7はハウジング部材5に対して相対回動することがなく、したがって、ベーン部材7がばた付き音を発生する等の不具合は生じない。
【0031】
また、この状態から電磁切換弁32の操作によって遅角油圧室19が供給通路30に連通し、進角油圧室18がドレン通路31に連通するようになると、遅角油圧室19に導入される高圧の作動油がロック解除通路41を通してロックピン37の先端に作用し、ロックピン37がこの作動油の圧力を受けてシリンダ孔36内に後退する。こうしてロックピン37が後退すると、図5に示すように、ロックピン37とロック穴40の係合が解除され、ベーン部材7がハウジング部材5に対して最遅角位置まで回動変位する。排気弁はこれによって遅角タイミングで開閉されるようになる。
【0032】
ロックピン37が高圧を受けてシリンダ孔36内に後退するときには、シリンダ孔36内の作動油は、ロックピン37によって押しやられ、ばね支持ピン39のフランジ部43の複数の流通口46を通って環状空間47へと抜け、さらにこの環状空間47から大気圧導通路42へと排出される。このとき、ばね支持ピン39のフランジ部43を通過する作動油は、円周方向等間隔に形成された複数の流通口46に分散されるため、フランジ部43の近傍には流速が部分的に速くなる部分ができにくい。一方、シリンダ孔36の底部の大気圧導通路42の近傍は流速が部分的に速くなり低圧となるが、この部分はスペーサ突起45によってできた環状空間47を介して流通口46から離間しているため、流通口46付近には大気圧導通路42による圧力変化の影響が現れにくい。
【0033】
そして、さらにばね支持ピン39はストッパ突起44でロックピン37の後退変位を規制することにより、ロックピン37がフランジ部43に当接することがないようになっているため、流通口46付近に僅かに生じる圧力分布の偏りもロックピン37には直接影響することがない。したがって、これらにより後退作動時におけるロックピン37の傾斜は確実に防止され、ロックピン37の円滑な作動は保証される。
【0034】
また、ばね支持ピン39は常時スペーサ突起45の先端の平面でフロントカバー12の内側面に当接するため、シリンダ孔36内におけるばね支持ピン39の姿勢は常時安定している。したがって、ベーン部材7の回動に伴なうばね支持ピン39とフロントカバー12の間の摺動抵抗等によってばね支持ピン39が傾斜する不具合は生じず、この傾斜に伴なうロックピン37の傾斜も確実に防止される。
【0035】
さらに、ばね支持ピン39はシリンダ孔36内に圧入等によって固定した場合、ロックピン37から大きな荷重が一時的に作用したときにシリンダ孔36の外側に突出したままとなって、ベーン部材7の回動時にフロントカバー12の内側面を大きく摩耗させることとなるが、この実施形態の場合、ばね支持ピン39はシリンダ孔36に固定されていないため、一時的な大荷重の入力によってフロントカバー12に大きな摩耗を生じることがない。
【0036】
特に、この実施形態の場合、ばね支持ピン39は樹脂によって形成されており、フロントカバー12に対しては軟質な樹脂面で接触するために、フロントカバー12の摩耗をより確実に防止することができる。したがって、これらのことからフロントカバー12の摩耗に起因する同カバー12とベーン部材7の間のシール性の低下を防止し、装置の作動応答性を長期にわたって良好に維持することができる。
【0037】
尚、以上では本発明にかかるバルブタイミング制御装置を排気側のカムシャフトの端部に設けた場合について説明したが、吸気側のカムシャフトの端部に設ける場合にも同様の構成を採用することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載の発明は、ばね支持部材のフランジ部とスペーサ突起によって大気圧導通路に連通する環状空間を形成すると共に、この環状空間とロックピンの背部空間とをフランジ部の複数の流通口によって連通させてあるため、フランジ部付近での流速の部分的な増大を可及的に少なくすることができ、しかも、ロックピンの後退変位をばね支持部材のストッパ突起によって規制できるようにしてあるため、ロックピンがばね支持部材のフランジ部に直接接触してフランジ部付近の流速変化の影響を受けるのを防止することができる。したがって、この発明によれば、ロックピンの傾斜を確実に防止してロックピンの作動を常時スムーズにすることができ、装置の作動をより安定化することができる。
【0039】
請求項2に記載の発明は、ばね支持部材をシリンダ孔に圧入等によって固定するのでなく、シリンダ孔内での変位を積極的に許容するようにしているため、ロックピン側からばね支持部材に一時的に大荷重が入力されることがあってもばね支持部材がハウジングの内側面側に突出したままになることがなく、したがって、突出したばね支持部材によるハウジングの内側面の摩耗や、それに伴うベーン部材とハウジング部材の間のシール性の低下を確実に防止することができる。
【0040】
請求項3に記載の発明は、ハウジングの内側面に対してばね支持部材を軟質な樹脂面によって当接させることができるため、ハウジング部材の内側面の摩耗をより確実に防止することができる。
【0041】
請求項4に記載の発明は、スペーサ突起の端部を平面でハウジング部材に当接させるため、ばね支持部材の姿勢を常時安定させて、ばね支持部材やロックピンの傾斜をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す図2のA−A線に沿う断面図。
【図2】同実施形態を示す図1のB−B線に沿う断面図。
【図3】同実施形態を示すばね支持ピンの斜視図。
【図4】同実施形態を示すぴね支持ピンの正面図。
【図5】同実施形態を示す部分拡大断面図。
【符号の説明】
1…カムシャフト
2…バルブタイミング制御装置
4…チェーンスプロケット(駆動力伝達部材)
5…ハウジング部材
7…ベーン部材
8…油圧吸排手段
9…ロック機構
18…進角油圧室
19…遅角油圧室
36…シリンダ孔
37…ロックピン
38…ばね部材
39…ばね支持ピン(ばね支持部材)
40…ロック穴
41…ロック解除通路
42…大気圧導通路
43…フランジ部
44…ストッパ突起
45…スペーサ突起
46…流通口
47…環状空間
Claims (4)
- 内燃機関のクランクシャフトによって駆動される駆動力伝達部材と、
外周に機関弁を作動させるための駆動カムを有する一方で前記駆動力伝達部材が必要に応じて相対回転できるように組み付けられ、前記駆動力伝達部材から動力を伝達されて従動回転するカムシャフトと、
前記駆動力伝達部材とカムシャフトのいずれか一方と一体化されて回転するハウジング部材と、
前記ハウジング部材内に収容され、前記駆動力伝達部材とカムシャフトの他方と一体化されて回転するベーン部材と、
前記ハウジング部材内に設けられ、油圧によって前記ベーン部材を回動させる進角油圧室及び遅角油圧室と、
前記進角油圧室及び遅角油圧室に連通し、これらの油圧室に選択的に油圧を吸排する油圧吸排手段と、
内燃機関の運転状態に応じて前記ハウジング部材とベーン部材を一方側に相対回動させた状態で両者を機械的にロックするロック機構と、を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
このロック機構が、前記ベーン部材とハウジング部材のうちの一方に形成されたシリンダ孔に進退自在に収容されたロックピンと、このロックピンを突出方向に付勢するばね部材と、前記ベーン部材とハウジング部材のうちの他方に形成され、この両者が設定相対回動位置にあるときに前記ロックピンの先端部が嵌合されるロック穴と、油圧室の油圧を導入して前記ロックピンを後退させるロック解除通路と、前記シリンダ孔内の軸心部から偏寄した位置に形成され、前記シリンダ孔の底部側を大気圧に維持する大気圧導通路と、を有するものにおいて、
前記シリンダ孔の内部に前記ばね部材の一端を支持するばね支持部材を収容し、
このばね支持部材に、円周方向に複数の流通口を有し前記ばね部材の端部を直接支持するフランジ部と、このフランジ部のロックピン側の面に突設されて前記ロックピンがフランジ部に当接する前にロックピンの後退変位を規制するストッパ突起と、前記フランジ部のロックピンと逆側の面に突設されて、前記フランジ部の背面側に前記大気圧導通路に連通する環状空間を形成するスペーサ突起と、を設けたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。 - シリンダ孔がベーン部材を軸方向に貫通して形成され、そのシリンダ孔の端部がハウジング部材の内側面に対向する請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、ばね支持部材をシリンダ孔に軸方向変位可能に収容したことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- ばね支持部材を樹脂によって形成したことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- ばね支持部材のスペーサ突起の端部を平面に形成したことを特徴とする請求項2または3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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