JP3912948B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はクリーナレスの転写方式画像形成装置に関する。より詳しくは、転写工程後の像担持体上に残余する現像剤(トナー)を現像装置において現像同時クリーニングで像担持体上から除去・回収し再用するようにしてクリーニング装置を廃したクリーナレス方式の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、転写型の電子写真方式を用いた複写機・プリンタ・ファクシミリ等の転写方式画像形成装置は、回転ドラム型を一般的とする像担持体である感光体、その感光体を所定の極性・電位に一様に帯電処理する帯電装置(帯電工程)、帯電処理された感光体に静電潜像を形成する情報書き込み手段としての露光装置(露光工程)、感光体上に形成された静電潜像を現像剤であるトナーにより顕像化する現像装置(現像工程)、上記トナー画像を感光体面から紙などの転写材に転写する転写装置(転写工程)、転写工程後の感光体上に多少ながら残余するトナーを除去して感光体面を清掃するクリーニング装置(クリーニング工程)、転写材上のトナー画像を定着させる定着装置(定着工程)などから構成されており、感光体は繰り返して電子写真プロセス(帯電・露光・現像・転写・クリーニング)が適用されて作像に供される。
【0003】
転写工程後の感光体上に残余するトナーはクリーニング装置により感光体面から除去されてクリーニング装置内に溜って廃トナーとなるが、環境保全や資源の有効利用等の点からそのような廃トナーは出ないことが望ましい。
【0004】
そこで、クリーニング装置にて回収されている転写残トナーいわゆる廃トナーを現像装置に戻して再利用する画像形成装置が開発されている。
【0005】
また、クリーニング装置を廃し、転写工程後の感光体上の転写残トナーを現像装置において「現像同時クリーニング」で感光体上から除去・回収し再用するようにしたクリーナレス方式の画像形成装置がある。
【0006】
現像同時クリーニングは、転写後の感光体上の転写残トナーを次工程以降の現像工程時、即ち引き続き感光体を帯電し、露光して静電潜像を形成し、該静電潜像の現像工程過程時にかぶり取りバイアス(現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vback)によって、トナーで現像されるべきではない感光体面部分上に存在する転写残トナーは現像装置に回収する方法である。この方法によれば、転写残トナーは現像装置に回収されて次工程以降の静電潜像の現像に再用されるため、廃トナーをなくし、またメンテナンスに手を煩わせることも少なくすることができる。またクリーナレスであることで画像形成装置の小型化にも有利である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
a)上述したような、転写工程後の感光体上の転写残トナーを現像装置において現像同時クリーニングで除去・回収し再用するクリーナレス方式の画像形成装置において、感光体の帯電装置が感光体に当接して感光体面を帯電処理する接触帯電装置であるときには、感光体上の転写残トナーが感光体と接触帯電装置の接触ニップ部である帯電部を通過する際に、転写残トナー中の特に帯電極性が正規極性とは逆極性に反転しているトナーが接触帯電装置に付着して接触帯電装置を許容以上にトナー汚染させて帯電不良の原因となってしまう。
【0008】
すなわち、現像剤としてのトナーには、量的には少ないけれども、帯電極性がもともと正規極性とは逆極性に反転しているトナーが混在している。また帯電極性が正規極性のトナーであっても転写バイアスや剥離放電等に影響されて帯電極性が反転するものや、除電されて帯電量が少なくなるものもある。
【0009】
従って、転写残トナーには帯電極性が正規極性のもの、逆極性の反転トナー、帯電量が少ないものが混在しており、その内の反転トナーや帯電量が少ないトナーが感光体と接触帯電装置の接触ニップ部である帯電部を通過する際に接触帯電装置に付着し易い。
【0010】
b)また、感光体上の転写残トナーを現像装置の現像同時クリーニングにて除去・回収するためには、帯電部を通過して現像部に持ち運ばれる感光体上の転写残トナーの帯電極性が正規極性であり、かつその帯電量が現像装置によって感光体の静電潜像を現像できるトナーの帯電量であることが必要である。反転トナーや帯電量が適切でないトナーについては感光体上から現像装置に除去・回収できず、不良画像の原因となってしまう。
【0011】
c)上記a)の接触帯電装置へのトナーの付着は、転写部から帯電部へ持ち運ばれる、帯電極性が正規極性のもの、逆極性のもの、帯電量が少ないものが混在している感光体上の転写残トナーをトナー帯電量制御手段によって正規極性へと帯電付与して帯電極性を正規極性に揃えるとともに帯電量を均一化することにより防止することができる。
【0012】
しかしながら、接触帯電装置へのトナーの付着を防止するためにトナー帯電量制御手段によって帯電付与された転写残トナーは、感光体の静電潜像を現像できるトナーの帯電量に比べて大きいため、現像装置において現像同時クリーニングにて除去・回収されにくいのである。このような場合、感光体に残留するトナーは次の画像へと重なり、不良画像を起こしてしまうのである。
【0013】
そこで本発明は、転写工程後の像担持体上の転写残現像剤を現像同時クリーニングで除去・回収し再用するクリーナレス方式の画像形成装置について、帯電手段への転写残現像剤の付着を防止するとともに、現像手段での転写残現像剤の回収も効率的になされるようにすることで、帯電不良や不良画像がなく、しかもクリーナレスシステムのメリットを生かした画像形成装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする画像形成装置である。
【0023】
(1)像担持体と、前記像担持体面と接触して前記像担持体面を帯電する帯電手段と、帯電処理された像担持体に静電潜像を形成する情報書き込み手段と、静電潜像に現像剤を供給し静電潜像を反転現像により可視化すると同時に前記像担持体面上の現像剤を回収する現像手段と、可視化した現像剤像を転写材に転写する転写手段と、前記帯電手段より上流に位置していて、像担持体面上の現像剤を帯電する現像剤帯電量制御手段とを有し、
転写工程後の像担持体上に残余する現像剤は、前記現像剤帯電量制御手段で前記現像手段後の現像剤帯電量の2.2倍以上の帯電量でかつ正規極性に帯電処理され、
前記帯電処理された後の現像剤は、前記帯電手段が前記像担持体面を帯電すると同時に、前記帯電手段で、前記現像手段後の現像剤帯電量の0.5〜1.8倍の帯電量にされることを特徴とした画像形成装置。
【0025】
(2)前記帯電手段は振動電圧を印加する(1)に記載の画像形成装置。
【0026】
(3)前記情報書き込み手段は露光手段である(1)又は(2)に記載の画像形成装置。
【0027】
〈作 用〉
即ち本発明は、転写工程後の像担持体上の転写残現像剤(転写残トナー)を現像手段において現像同時クリーニングで除去・回収し再用するクリーナレス方式の画像形成装置について、転写残現像剤のトリボを制御し、クリーナレスシステムのメリットを得るものであり、転写残現像剤のトリボを、現像剤帯電量制御手段で正規極性に帯電処理し、帯電手段で適正帯電量にするものであり、
a)転写部から帯電部へ持ち運ばれる像担持体上の転写残現像剤のトリボを現像剤帯電量制御手段で正規極性に帯電処理することで転写残現像剤の帯電手段への付着を防止しつつ、
b)帯電手段で像担持体面を所定の電位に帯電すると同時に、上記の現像剤帯電量制御手段で正規極性に帯電処理された転写残現像剤の帯電量を、現像手段によって像担持体の静電潜像を現像できる適正帯電量に制御することで現像手段での転写残現像剤の回収も効率的になされるようにした。
【0028】
c)上記において帯電手段よる転写残現像剤の適正帯電量とは、より具体的には、現像剤帯電量制御手段で帯電処理されたときの帯電量の絶対値よりも小さい絶対値の帯電量である。さらには現像剤帯電量制御手段で現像手段後の現像剤帯電量の2.2倍以上の帯電量でかつ正規極性に帯電処理され、帯電手段で像担持体面を帯電すると同時に、現像手段後の現像剤帯電量の0.5〜1.8倍の帯電量とされることである。
【0029】
これにより、帯電不良や不良画像がなく、しかもクリーナレスシステムのメリットを生かした画像形成装置を提供できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
〈実施例1〉
以下、実施例の画像形成装置(画像記録装置)について説明する。
【0031】
図1は本発明に従う画像形成装置例の概略構成模型図である。本例の画像形成装置は、転写方式電子写真プロセス利用、接触帯電方式、反転現像方式、クリーナレス、最大通紙サイズがA3サイズのレーザビームプリンタである。
【0032】
(1)プリンタの全体的概略構成
a)像担持体
1は像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)である。この感光ドラム1は負帯電性の有機光導電体(OPC)で、外径50mmであり、中心支軸を中心に100mm/secのプロセススピード(周速度)をもって矢示の反時計方向に回転駆動される。
【0033】
この感光ドラム1は、図2の層構成模型図のように、アルミニウム製シリンダ(導電性ドラム基体)1aの表面に、光の干渉を抑え、上層の接着性を向上させる下引き層1bと、光電荷発生層1cと、電荷輸送層1dの3層を下から順に塗り重ねた構成をしている。
【0034】
b)帯電手段
2は感光ドラム1の周面を一様に帯電処理する帯電手段としての接触帯電装置(接触帯電器)であり、本例は帯電ローラ(ローラ帯電器)である。
【0035】
この帯電ロ一ラ2は、芯金2aの両端部をそれぞれ不図示の軸受け部材により回転自在に保持させると共に、押し圧ばね2eによって感光ドラム方向に付勢して感光ドラム1の表面に対して所定の押圧力をもって圧接させており、感光ドラム1の回転に従動して回転する。感光ドラム1と帯電ローラ2との圧接部が帯電部(帯電ニップ部)aである。
【0036】
帯電ローラ2の芯金2aには電源S1より所定の条件の帯電バイアス電圧が印加されることにより回転感光ドラム1の周面が所定の極性・電位に接触帯電処理される。本例において、帯電ローラ2に対する帯電バイアス電圧は直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。
【0037】
より具体的には、
直流電圧;−500V
交流電圧;周波数f1000Hz、ピーク間電圧Vpp1400V、正弦波とを重畳した振動電圧であり、感光ドラム1の周面は−500V(暗電位Vd)に一様に接触帯電処理される。
【0038】
帯電ローラ2の長手長さは320mmであり、図2の層構成模型図のように、芯金(支持部材)2aの外回りに、下層2bと、中間層2cと、表層2dを下から順次に積層した3層構成である。下層2bは帯電音を低減するための発泡スポンジ層であり、中間層2cは帯電ローラ全体として均一な抵抗を得るための導電層であり、表層2dは感光ドラム1上にピンホール等の欠陥があってもリークが発生するのを防止するために設けている保護層である。
【0039】
より具体的には、本例の帯電ロ一ラ2の仕様は下記のとおりである。
【0040】
芯金2a ;直径6mmのステンレス丸棒
下層2b ;カーボン分散の発泡EPDM、比重0.5g/cm3 、体積抵抗値102 〜109 Ωcm、層厚3.0mm、長さ320mm
中間層2c;カーボン分散のNBR系ゴム、体積抵抗値102 〜105 Ωcm、層厚700μm
表層2d ;フッ素化合物のトレジン樹脂に酸化錫、カーボンを分散、体積抵抗値107 〜1010Ωcm、表面粗さ(JIS規格 10点平均表面粗さRa)、1.5μm、層厚10μm
図2において、2fは帯電ローラクリーニング部材であり、本例では可撓性を持つクリーニングフィルムである。このクリーニングフィルム2fは帯電ローラ2の長手方向に対し平行に配置され且つ同長手方向に対し一定量の往復運動をする支持部材2gに一端を固定され、自由端側近傍の面において帯電ローラ2と接触ニップを形成するよう配置されている。支持部材2gがプリンタの駆動モーターによりギア列を介して長手方向に対し一定量の往復運動駆動されて帯電ローラ表層2dがクリーニングフィルム2fで摺擦される。これにより帯電ローラ表層2dの付着汚染物(微粉トナー、外添剤など)の除去がなされる。
【0041】
c)情報書き込み手段
3は帯電処理された感光ドラム1の面に静電潜像を形成する情報書き込み手段としての露光装置であり、本例は半導体レーザを用いたレーザビームスキャナである。不図示の画像読み取り装置等のホスト装置からプリンタ側に送られた画像信号に対応して変調されたレーザ光を出力して回転感光ドラム1の一様帯電処理面を露光位置bにおいてレーザ走査露光L(イメージ露光)する。このレーザ走査露光Lにより感光ドラム1面のレーザ光で照射されたところの電位が低下することで回転感光ドラム1面には走査露光した画像情報に対応した静電潜像が順次に形成されていく。
【0042】
d)現像手段
4は感光ドラム1上の静電潜像に現像剤(トナー)を供給し静電潜像を可視化する現像手段としての現像装置(現像器)であり、本例は二成分磁気ブラシ現像方式の反転現像装置である。
【0043】
4aは現像容器、4bは非磁性の現像スリーブであり、この現像スリーブ4bはその外周面の一部を外部に露呈させて現像容器4a内に回転可能に配設してある。4cは非回転に固定して現像スリーブ4b内に挿設したマグネットローラ、4dは現像剤コーティングブレード、4eは現像容器4aに収容した二成分現像剤、4fは現像容器4a内の底部側に配設した現像剤攪拌部材、4gはトナーホッパーであり、補給用トナーを収容させてある。
【0044】
現像容器4a内の二成分現像剤4eはトナーと磁性キャリアの混合物であり、現像剤攪拌部材4fにより攪拌される。本例において磁性キャリアの抵抗は約1013Ωcm、粒径は約40μmである。トナーは磁性キャリアとの摺擦により負極性に摩擦帯電される。
【0045】
現像スリーブ4bは感光ドラム1との最近接距離(S−Dgapと称する)を350μmに保たせて感光ドラム1に近接させて対向配設してある。この感光ドラム1と現像スリーブ4aとの対向部が現像部cである。現像スリーブ4bは現像部cにおいて感光ドラム1の進行方向とは逆方向に回転駆動される。この現像スリーブ4bの外周面に該スリーブ内のマグネットローラ4cの磁力により現像容器4a内の二成分現像剤4eの一部が磁気ブラシ層として吸着保持され、該スリーブの回転に伴い回転搬送され、現像剤コーティングブレード4dにより所定の薄層に整層され、現像部cにおいて感光ドラム1の面に対して接触して感光ドラム面を適度に摺擦する。現像スリーブ4bには電源S2から所定の現像バイアスが印加される。本例において、現像スリーブ4bに対する現像バイアス電圧は直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。より具体的には、
直流電圧;−350V
交流電圧;1600V
とを重畳した振動電圧である。
【0046】
而して、回転する現像スリーブ4bの面に薄層としてコーティングされ、現像部cに搬送された現像剤中のトナー分が現像バイアスによる電界によって感光ドラム1面に静電潜像に対応して選択的に付着することで静電潜像がトナー画像として現像される。本例の場合は感光ドラム1面の露光明部にトナーが付着して静電潜像が反転現像される。
【0047】
このとき感光ドラム上に現像されたトナーの帯電量は−25μC/gである。
【0048】
現像部cを通過した現像スリーブ4b上の現像剤薄層は引き続く現像スリーブの回転に伴い現像容器4a内の現像剤溜り部に戻される。
【0049】
現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度を所定の略一定範囲内に維持させるために、現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度が不図示の例えば光学式トナー濃度センサーによって検知され、その検知情報に応じてトナーホッパー4gが駆動制御されて、トナーホッパー内のトナーが現像容器4a内の二成分現像剤4eに補給される。二成分現像剤4eに補給されたトナーは攪拌部材4fにより攪拌される。
【0050】
e)転写手段・定着手段
5は転写装置であり、本例は転写ローラである。この転写ローラ5は感光ドラム1に所定の押圧力をもって圧接させてあり、その圧接ニップ部が転写部dである。この転写部dに不図示の給紙機構部から所定の制御タイミングにて転写材(被転写部材、記録材)Pが給送される。
【0051】
転写部dに給送された転写材Pは回転する感光ドラム1と転写ローラ5の間に挟持されて搬送され、その間、転写ローラ5に電源S3からトナーの正規帯電極性である負極性とは逆極性である正極性の転写バイアス本例では+2kVが印加されることで、転写部dを挟持搬送されていく転写材Pの面に感光ドラム1面側のトナー画像が順次に静電転写されていく。
【0052】
転写部dを通ってトナー画像の転写を受けた転写材Pは回転感光ドラム1面から順次に分離されて定着装置6(例えば熱ローラ定着装置)へ搬送されてトナー画像の定着処理を受けて画像形成物(プリント、コピー)として出力される。
【0053】
(2)クリーナレスシステムおよびトナー帯電量制御
本例のプリンタはクリーナレスであり、転写材Pに対するトナー画像転写後の感光ドラム1面に若干量残留する転写残トナーを除去する専用のクリーニング装置は具備させていない。転写後の感光ドラム1面上の転写残トナーは引き続く感光ドラム1の回転に伴い帯電部a、露光部bを通って現像部cに持ち運ばれて、現像装置3により現像同時クリーニング(回収)される(クリーナレスシステム)。
【0054】
本実施例においては現像装置4の現像スリーブ4bは前述したように現像部cにおいて、感光ドラム1面の進行方向とは逆方法に回転させており、これは感光ドラム1上の転写版トナーの回収に有利である。
【0055】
感光ドラム1面上の転写残トナーは露光部bを通るので露光工程はその転写残トナー上からなされるが、転写残トナーの量は少ないため、大きな影響は現れない。
【0056】
ただ前述のように、転写残トナーには帯電極性が正規極性のもの、逆極性のもの(反転トナー)、帯電量が少ないものが混在しており、その内の反転トナーや帯電量が少ないトナーが帯電部aを通過する際に帯電ローラ2に付着することで帯電ローラが許容以上にトナー汚染して帯電不良を生じることになる。
【0057】
また、感光ドラム1面上の転写残トナーの現像装置3による現像同時クリーニングを効果的に行なわせるためには、現像部cに持ち運ばれる感光ドラム上の転写残トナーの帯電極性が正規極性であり、かつその帯電量が現像装置によって感光ドラムの静電潜像を現像できるトナーの帯電量であることが必要である。反転トナーや帯電量が適切でないトナーについては感光ドラム上から現像装置に除去・回収できず、不良画像の原因となってしまう。
【0058】
そこで本実施例においては、転写部dよりも感光ドラム回転方向下流側で、帯電部aよりも感光ドラム回転方向上流側の位置において、転写残トナーの帯電極性を正規極性である負極性に揃えるためのトナー(現像剤)帯電量制御手段7を設けている。
【0059】
本実施例ではこのトナー帯電量制御手段7は、適度の導電性を持ったブラシ形状部材であり、ブラシ部を感光ドラム1面に接触させて配設してあり、負極性の電圧が電源S4より印加されている。eはブラシ部と感光ドラム1面の接触部である。トナー帯電量制御手段7を通過する感光ドラム1上の転写残トナーはその帯電極性が正規極性である負極性に揃えられる。
【0060】
転写残トナーの帯電極性を正規極性である負極性に揃えることにより、さらに下流に位置する帯電部aで、該転写残トナーの上から感光ドラム1面上を帯電処理する際に、感光ドラム1への鏡映力が大きくし、転写残トナーの帯電ローラ2への付着を防止するのである。
【0061】
この為に転写残トナーに必要な帯電量は現像時のトナー帯電量と比較すると、2.2倍以上必要である。
【0062】
ここで、トナー帯電量制御手段7への印加電圧と、トナー帯電制御手段7を通過後のトナー帯電量の関係を図3に示す。トナー帯電量制御手段7に電圧を印加させていないときは、上述したように、転写残トナーには画像部の負極性トナー、非画像部の正極性トナー、転写の正極性の電圧に影響され極性が正極性に反転してしまったトナーが含まれるため、帯電量は不定である。また、トナー帯電量制御手段7に電圧を印加させていくことにより、トナー帯電量制御手段7を通過後のトナー帯電量を増加していき、ある値以上において飽和していることがわかる。本実施例において使用したトナーにおいて、飽和したときの帯電量は−90μC/gであった。
【0063】
次に帯電部aに転写残トナーが進入前の、転写残トナー量を1としたときの、転写残トナー帯電量と帯電ローラ2への付着量の関係を表したグラフを図4に示す。転写残トナーの帯電量を大きくすることによって、付着量が低下していることがわかる。また、このときの転写残トナーの帯電ローラ2への付着による帯電不良画像の発生は、−55μC/g以下の転写残トナーの帯電量の時に発生した。
【0064】
よって、転写残トナーの帯電ローラ2への付着を防止し、帯電不良画像の発生を抑制するためには、転写残トナーの帯電量を、現像時のトナー帯電量と比較すると、2.2倍以上必要であることがわかる。
【0065】
本実施例のおいては、トナー帯電制御手段7への印加電圧は−800Vとし、トナー帯電量手段7を通過後の転写残トナーの帯電量は、−70μC/gとした。
【0066】
次に現像工程における転写残トナーの回収について述べる。
【0067】
現像装置4は上述したとおりで、現像と同時に転写残トナーを清掃するクリーナレス方式である。感光ドラム1上の現像されたトナー帯電量は前述したように、本実施例においては一25μC/gである。ここで、本実施例における現像条件において、転写残トナーが現像装置4に回収されるための帯電量との関係を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
感光ドラム1上の転写残トナーが現像装置4に回収されるためのトナー帯電量は、現像時のトナー帯電量(−25μC/g)と比較すると0.5〜1.8倍であることが必要である。
【0070】
しかしながら、上述したように帯電ローラ2へのトナー付着を防止するために、トナー帯電量制御手段7によって−70μC/gと負極性に大きく帯電された転写残トナーを、現像装置4において回収させるためには、除電を行う必要がある。その除電は帯電部aでなされる。即ち、帯電ローラ2には前記したように1000Hz、1400Vの交流電圧が印加されていることにより、転写残トナーは交流除電されるのである。ここで、本実施例の構成において−70μC/gのトナーが帯電ローラ2の位置を通過することで交流除電されるときの、帯電ローラ2への印加交流電圧とトナー帯電量の関係を図5に示す。即ち帯電ローラ2への印加交流電圧の調整により帯電部aを通過後のトナー帯電量を交流除電で調整することができる。本実施例では帯電ローラ2に印加の交流電圧が1400Vであることで、帯電部aを通過後のトナー帯電量は−30μC/gとなる。現像工程においては、トナーが現像されるべきではない感光ドラム1上の転写残トナーは、上記の理由で現像装置4に回収される。
【0071】
かくして、転写部dから帯電部aへ持ち運ばれる感光ドラム1上の転写残トナーのトリボをトナー帯電量制御手段7で正規極性である負極性に揃えて帯電処理することで転写残トナーの帯電ローラ2への付着を防止しつつ、帯電ローラ2で感光ドラム1を所定の電位に帯電すると同時に、上記のトナー帯電量制御手段7で正規極性である負極性に帯電処理された転写残トナーの帯電量を、現像装置4によって感光ドラムの静電潜像を現像できる適切な帯電量に制御することで現像装置での転写残トナーの回収も効率的になされるもので、これにより、帯電不良や不良画像がなく、しかもクリーナレスシステムのメリットを生かした画像形成装置を提供できる。
【0072】
ここで、トナー帯電量の測定方法を説明する。トナーの摩擦帯電量は、例えば以下のようにして測定することができる(ブローオフ法)。図6に摩擦帯電量測定装置の一例の模式斜視図を示す。底に導電性スクリーン83のある金属製の測定容器82に摩擦帯電量を測定しようとする現像剤(トナーのみ、またはトナーとキャリアの混合物)を入れ、金属製のフタ84をする。このときの測定容器82全体の重量を秤り、これをW1(g)とする。
【0073】
次に、吸引機81(少なくとも測定容器82と接する部分は絶縁体からなる)を用いて、吸引口87から吸引し、風量調節弁86を調節して真空計85に示される圧力を2450Paとする。この状態で充分(約1分間)吸引を行ない、トナーを吸引除去する。このときの電位計89の電位を直読し、V(ボルト)とする。88はコンデンサーであり、この容量をC(μF)とする。また、吸引後の測定容器82全体の重量を秤り、W2(g)とする。この場合、現像剤中のトナーの摩擦帯電量T(μC/g)は下式の如く計算される。
【0074】
T(μC/g)=C×V/(W1−W2)
現像時のトナー帯電量の測定は、そのトナーを感光ドラム1面上から採集して測定容器82に入れてなされる。
【0075】
トナー帯電量制御手段7を通過した後の転写残トナーの帯電量の測定は、そのトナーを感光ドラム1面上から採集して測定容器82に入れてなされる。
【0076】
帯電部aを通過した後の転写残トナーの帯電量の測定は、そのトナーを感光ドラム1面上から採集して測定容器82に入れてなされる。
【0077】
〈実施例2〉
本実施例の画像形成装置(プリンタ)の構成は実施例1と同様である。
【0078】
現像剤(トナー)の帯電量は環境や現像剤の物性などにより変化する。本実施例は低湿環境下などにおいて、現像後の感光ドラム1上のトナー帯電量が−35μC/gと、実施例1での−25μC/gに比べ大きい場合について述べる。
【0079】
トナー帯電量制御手段7を通過後の転写残トナーのトナー帯電量は−90μC/gである。よって、帯電部aにおいて帯電ローラ2への転写残トナーの付着も発生せず、帯電不良の発生も無かつた。
【0080】
また、帯電部aを通過後の転写残トナーの帯電量は−40μC/gであり、現像装置4への回収も良好になされた。
【0081】
〈その他〉
1)像担持体は表面抵抗が109 〜1014Ω・cmの電荷注入層を設けた直接注入帯電性のものであってもよい。電荷注入層を用いていない場合でも、例えば電荷輸送層が上記の抵抗範囲にある場合も同等の効果がえられる。表層の体積抵抗が約1013Ω・cmであるアモルファスシリコン感光体もよい。
【0082】
2)可撓性の接触帯電部材は帯電ローラの他に、ファーブラシ、フェルト、布などの形状・材質のものも使用可能である。また各種材質のものの組み合わせでより適切な弾性、導電性、表面性、耐久性のものを得ることもできる。
【0083】
3)接触帯電部材や現像部材に印加する振動電界の交番電圧成分(AC成分、周期的に電圧値が変化する電圧)の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成された矩形波であってもよい。
【0084】
4)像担持体としての感光体の帯電面に対する情報書き込み手段としての像露光手段は実施例のレーザ走査手段以外にも、例えば、LEDのような固体発光素子アレイを用いたデジタル露光手段であってもよい。ハロゲンランプや蛍光灯等を原稿照明光源とするアナログ的な画像露光手段であってもよい。要するに、画像情報に対応した静電潜像を形成できるものであればよい。
【0085】
5)像担持体は静電記録誘電体などであってもよい。この場合は該誘電体面を一様に帯電した後、その帯電面を除電針ヘッドや電子銃等の除電手段で選択的に除電して目的の画像情報に対応した静電潜像を書き込み形成する。
【0087】
6)一般的に、静電潜像の現像方法は、非磁性トナーについてはこれをブレード等でスリーブ等の現像剤担持搬送部材上にコーティングし、磁性トナーについてはこれを現像剤担持搬送部材上に磁気力によってコーティングして搬送して像担持体に対して非接触状態で適用し静電潜像を現像する方法(1成分非接触現像)と、上記のように現像剤担持搬送部材上にコーティングしたトナーを像担持体に対して接触状態で適用し静電潜像を現像する方法(1成分接触現像)と、トナー粒子に対して磁性のキャリアを混合したものを現像剤(2成分現像剤)として用いて磁気力によって搬送して像担持体に対して接触状態で適用し静電潜像を現像する方法(2成分接触現像)と、上記の2成分現像剤を像担持体に対して非接触状態で適用し静電潜像を現像する方法(2成分非接触現像)との4種顛に大別される。
【0088】
7)転写手段は実施形態例のローラ転写に限られず、ブレード転写、ベルト転写、その他の接触転写帯電方式であってもよいし、コロナ帯電器を使用した非接触転写帯電方式でもよい。
【0089】
8)転写ドラムや転写ベルトなどの中間転写体を用いて、単色画像形成ばかりでなく、多重転写等により多色、フルカラー画像を形成する画像形成装置にも本発明は適用できる。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、転写工程後の像担持体上の転写残現像剤を現像同時クリーニングで除去・回収し再用するクリーナレス方式の画像形成装置について、帯電手段への転写残現像剤の付着を防止するとともに、現像手段での転写残現像剤の回収も効率的になされるようにすることで、帯電不良や不良画像がなく、しかもクリーナレスシステムのメリットを生かした画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の画像形成装置の概略構成模型図
【図2】 感光ドラムと帯電ローラの層構成模型図
【図3】 トナー帯電量制御手段に対する印加電圧と転写残トナーの帯電量の関係図
【図4】 転写残トナーの帯電量と帯電ローラに対するトナー付着量の関係図
【図5】 本実施例の構成において−70μC/gのトナーが帯電部を通過することで交流除電されるときの、帯電ローラへの印加交流電圧とトナー帯電量の関係図
【図6】 トナーの摩擦帯電量の測定方法の説明図
【符号の説明】
1・・感光ドラム(像担持体)、2・・帯電ローラ、3・・レーザビームスキャナ、4・・現像装置、5・・転写ローラ、6・・定着装置、7・・トナー帯電量制御手段(現像剤帯電量制御手段)、S1〜S4・・バイアス電圧印加電源
Claims (3)
- 像担持体と、前記像担持体面と接触して前記像担持体面を帯電する帯電手段と、帯電処理された像担持体に静電潜像を形成する情報書き込み手段と、静電潜像に現像剤を供給し静電潜像を反転現像により可視化すると同時に前記像担持体面上の現像剤を回収する現像手段と、可視化した現像剤像を転写材に転写する転写手段と、前記帯電手段より上流に位置していて、像担持体面上の現像剤を帯電する現像剤帯電量制御手段とを有し、
転写工程後の像担持体上に残余する現像剤は、前記現像剤帯電量制御手段で前記現像手段後の現像剤帯電量の2.2倍以上の帯電量でかつ正規極性に帯電処理され、
前記帯電処理された後の現像剤は、前記帯電手段が前記像担持体面を帯電すると同時に、前記帯電手段で、前記現像手段後の現像剤帯電量の0.5〜1.8倍の帯電量にされることを特徴とした画像形成装置。 - 前記帯電手段は振動電圧を印加する請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記情報書き込み手段は露光手段である請求項1又は2に記載の画像形成装置。
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