JP3912701B2 - ポリスチレン系樹脂積層発泡シート - Google Patents

ポリスチレン系樹脂積層発泡シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器等の成形品の熱成形用シートとして好適であり、成形品を熱成形した後、各成形品を打ち抜く際に、抜き屑や抜き粉の発生を著しく低減化できるポリスチレン系樹脂積層発泡シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリスチレン系樹脂発泡シートに、ポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層してなるポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、熱成形用として広く利用されている。この種のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡シートは主として熱成形品の断熱性や強度に寄与し、ポリスチレン系樹脂シートは主として熱成形品の強度向上及びポリスチレン系樹脂発泡シートとポリスチレン系樹脂延伸フィルムとの接着層として寄与している。また、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムは、当該フィルムが成形品の外側に位置するように積層発泡シートを熱成形することにより、成形品表面の光沢を高め、また模様等の印刷を施したりして熱成形品の意匠性を高めるために寄与している。
【0003】
熱成形用のポリスチレン系樹脂積層発泡シートとしては、ポリスチレン系樹脂発泡シートの坪量が160g/m2 乃至550g/m2 、全体の厚みが1.5mm乃至3.2mm、全体の坪量が250g/m2 乃至700g/m2 であるものが使用されている。この種のポリスチレン系樹脂積層発泡シートを熱成形して得られる成形品の主たる用途としては、例えば湯戻しして食される即席麺類や即席米飯類の包装用容器、テイクアウト用の調理済み食品の包装用容器等があり、成形に用いる積層発泡シートにおける発泡シートの坪量、積層シート全体の坪量や厚みは、成形される容器等の大きさや収納される食品等に応じ、容器の強度等を考慮しながら上記の範囲内から適宜選択されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ポリスチレン系樹脂積層発泡シートに熱成形を施した後、成形品の周囲部分に打ち抜き加工(パンチングと呼ぶ。)が施されてシートから成形品が分離される。しかしながら、上記従来のポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、熱成形後にパンチングを施すと、長さが1mm以上の切り屑や、これより細かい切り粉が著しく多く発生し、これらが成形品に付着して成形品の製品価値を低下させる。このため、従来はパンチング後、成形品に付着した切り屑や切り粉を吹き飛ばす工程を必要とし、成形品の製造工程が煩雑となるとともに、切り屑や切り粉の吹き飛ばしを行なっても成形品に付着した切り屑や切り粉を完全に除去することは困難であった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、パンチング時の切り屑や切り粉の発生を著しく低減化でき、切り屑や切り粉の吹き飛ばし工程を行わずとも成形品に切り屑や切り粉が付着残留する虞れのないポリスチレン系樹脂積層発泡シートを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、(1)坪量が160g/m2 乃至340g/m2 のポリスチレン系樹脂発泡シートに、ポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されてなり、全体の厚みが1.5mm以上、1.8mm未満で、且つ全体の坪量が250g/m2 以上、430g/m2 未満のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シートの、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する側の表層密度が0.33g/cm3 以下であり、且つ打ち抜き最大荷重(但し、SKD11鋼材よりなる、外径30mm、厚み2.1mm、刃先の角度54.5±0.1°の環状切断刃と、該環状切断刃が貫挿される略30mmの開口径を有する受け刃とを、圧縮試験機に取り付け、積層シートの延伸フィルム側を環状切断刃側に向けて環状切断刃と受け刃との間に積層シートを位置せしめ、環状切断刃を5mm/分の速度で移動させながら、積層シートの打ち抜きを行った際に測定される最大荷重)が130kgf以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート、(2)坪量が260g/m2 乃至470g/m2 のポリスチレン系樹脂発泡シートに、ポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されてなり、全体の厚みが1.5mm以上、1.8mm未満で、且つ全体の坪量が430g/m2 以上、600g/m2 未満のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シートの、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する側の表層密度が0.40g/cm3 以下であり、且つ打ち抜き最大荷重(但し、SKD11鋼材よりなる、外径30mm、厚み2.1mm、刃先の角度54.5±0.1°の環状切断刃と、該環状切断刃が貫挿される略30mmの開口径を有する受け刃とを、圧縮試験機に取り付け、積層シートの延伸フィルム側を環状切断刃側に向けて環状切断刃と受け刃との間に積層シートを位置せしめ、環状切断刃を5mm/分の速度で移動させながら、積層シートの打ち抜きを行った際に測定される最大荷重)が170kgf以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート、(3)坪量が160g/m2 乃至340g/m2 のポリスチレン系樹脂発泡シートに、ポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されてなり、全体の厚みが1.8mm以上、2.2mm未満で、且つ全体の坪量が250g/m2 以上、430g/m2 未満のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シートの、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する側の表層密度が0.31g/cm3 以下であり、且つ打ち抜き最大荷重(但し、SKD11鋼材よりなる、外径30mm、厚み2.1mm、刃先の角度54.5±0.1°の環状切断刃と、該環状切断刃が貫挿される略30mmの開口径を有する受け刃とを、圧縮試験機に取り付け、積層シートの延伸フィルム側を環状切断刃側に向けて環状切断刃と受け刃との間に積層シートを位置せしめ、環状切断刃を5mm/分の速度で移動させながら、積層シートの打ち抜きを行った際に測定される最大荷重)が125kgf以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート、(4)坪量が260g/m2 乃至550g/m2 のポリスチレン系樹脂発泡シートに、ポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されてなり、全体の厚みが1.8mm以上、2.2mm未満で、且つ全体の坪量が430g/m2 乃至700g/m2 のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シートの、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する側の表層密度が0.45g/cm3 以下であり、且つ打ち抜き最大荷重(但し、SKD11鋼材よりなる、外径30mm、厚み2.1mm、刃先の角度54.5±0.1°の環状切断刃と、該環状切断刃が貫挿される略30mmの開口径を有する受け刃とを、圧縮試験機に取り付け、積層シートの延伸フィルム側を環状切断刃側に向けて環状切断刃と受け刃との間に積層シートを位置せしめ、環状切断刃を5mm/分の速度で移動させながら、積層シートの打ち抜きを行った際に測定される最大荷重)が160kgf以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート、(5)坪量が160g/m2 乃至340g/m2 のポリスチレン系樹脂発泡シートに、ポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されてなり、全体の厚みが2.2mm以上、2.6mm未満で、且つ全体の坪量が250g/m2 以上、430g/m2 未満のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シートの、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する側の表層密度が0.30g/cm3 以下であり、且つ打ち抜き最大荷重(但し、SKD11鋼材よりなる、外径30mm、厚み2.1mm、刃先の角度54.5±0.1°の環状切断刃と、該環状切断刃が貫挿される略30mmの開口径を有する受け刃とを、圧縮試験機に取り付け、積層シートの延伸フィルム側を環状切断刃側に向けて環状切断刃と受け刃との間に積層シートを位置せしめ、環状切断刃を5mm/分の速度で移動させながら、積層シートの打ち抜きを行った際に測定される最大荷重)が120kgf以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート、(6)坪量が260g/m2 乃至550g/m2 のポリスチレン系樹脂発泡シートに、ポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されてなり、全体の厚みが2.2mm以上、2.6mm未満で、且つ全体の坪量が430g/m2 乃至700g/m2 のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シートの、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する側の表層密度が0.43g/cm3 以下であり、且つ打ち抜き最大荷重(但し、SKD11鋼材よりなる、外径30mm、厚み2.1mm、刃先の角度54.5±0.1°の環状切断刃と、該環状切断刃が貫挿される略30mmの開口径を有する受け刃とを、圧縮試験機に取り付け、積層シートの延伸フィルム側を環状切断刃側に向けて環状切断刃と受け刃との間に積層シートを位置せしめ、環状切断刃を5mm/分の速度で移動させながら、積層シートの打ち抜きを行った際に測定される最大荷重)が155kgf以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート、(7)坪量が160g/m2 乃至340g/m2 のポリスチレン系樹脂発泡シートに、ポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されてなり、全体の厚みが2.6mm乃至3.2mmで、且つ全体の坪量が250g/m2 以上、430g/m2 未満のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シートの、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する側の表層密度が0.28g/cm3 以下であり、且つ打ち抜き最大荷重(但し、SKD11鋼材よりなる、外径30mm、厚み2.1mm、刃先の角度54.5±0.1°の環状切断刃と、該環状切断刃が貫挿される略30mmの開口径を有する受け刃とを、圧縮試験機に取り付け、積層シートの延伸フィルム側を環状切断刃側に向けて環状切断刃と受け刃との間に積層シートを位置せしめ、環状切断刃を5mm/分の速度で移動させながら、積層シートの打ち抜きを行った際に測定される最大荷重)が115kgf以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート、(8)坪量が260g/m2 乃至550g/m2 のポリスチレン系樹脂発泡シートに、ポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されてなり、全体の厚みが2.6mm乃至3.2mmで、且つ全体の坪量が430g/m2 乃至700g/m2 のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シートの、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する側の表層密度が0.41g/cm3 以下であり、且つ打ち抜き最大荷重(但し、SKD11鋼材よりなる、外径30mm、厚み2.1mm、刃先の角度54.5±0.1°の環状切断刃と、該環状切断刃が貫挿される略30mmの開口径を有する受け刃とを、圧縮試験機に取り付け、積層シートの延伸フィルム側を環状切断刃側に向けて環状切断刃と受け刃との間に積層シートを位置せしめ、環状切断刃を5mm/分の速度で移動させながら、積層シートの打ち抜きを行った際に測定される最大荷重)が150kgf以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シートを要旨とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シート1は、ポリスチレン系樹脂発泡シート2にポリスチレン系樹脂シート3を介して、ポリスチレン系樹脂延伸フィルム4を積層して構成されている。また図2は本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートを製造する方法の一例を示し、図2中左側から移送されてくるポリスチレン系樹脂発泡シート2と、図2中右側から移送されてくるポリスチレン系樹脂延伸フィルム4とを、加圧ロール5a、5bによって挟圧する前に、ポリスチレン系樹脂発泡シート2とポリスチレン系樹脂延伸フィルム4との間に、押出機6から溶融状態のポリスチレン系樹脂3aをシート状に押出した後、加圧ロール5aと5bとでポリスチレン系樹脂発泡シート2とポリスチレン系樹脂延伸フィルム4とを挟圧することにより、ポリスチレン系樹脂発泡シート2にポリスチレン系樹脂シート3を介してポリスチレン系樹脂延伸フィルム4が積層した積層発泡シート1を得ることができる。尚、図2において7a、7bはポリスチレン系樹脂発泡シート2の押さえロールである。
【0008】
本発明の積層発泡シート1は、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の表層密度(ポリスチレン系樹脂延伸フィルム4を積層する前の発泡シート2の表層密度)と、積層シート1の打ち抜き最大荷重とを特定の範囲に規定することにより、パンンチングの際の切り屑や切り粉の発生を著しく低減化できたものであるが、上記表層密度と打ち抜き最大荷重の好適な値の範囲は、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の坪量、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート1全体の厚み、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート1全体の坪量の違いによって、下記▲1▼〜▲8▼に示すように異なる。
【0009】
即ち、
▲1▼ポリスチレン系樹脂発泡シート2の坪量が160g/m2 乃至340g/m2 であり、全体の厚みが1.5mm以上、1.8mm未満で、全体の坪量が250g/m2 以上、430g/m2 未満の積層発泡シート1の場合、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の表層密度は0.33g/cm3 以下であり、且つ積層発泡シート1の打ち抜き最大荷重は130kgf以下であることが必要である。
【0010】
▲2▼ポリスチレン系樹脂発泡シート2の坪量が260g/m2 乃至470g/m2 であり、全体の厚みが1.5mm以上、1.8mm未満で、全体の坪量が430g/m2 以上、600g/m2 未満の積層発泡シート1の場合、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の表層密度は0.40g/cm3 以下であり、且つ積層発泡シート1の打ち抜き最大荷重は170kgf以下であることが必要である。
【0011】
▲3▼ポリスチレン系樹脂発泡シート2の坪量が160g/m2 乃至340g/m2 であり、全体の厚みが1.8mm以上、2.2mm未満で、全体の坪量が250g/m2 以上、430g/m2 未満の積層発泡シート1の場合、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の表層密度は0.31g/cm3 以下であり、且つ積層発泡シート1の打ち抜き最大荷重は125kgf以下であることが必要である。
【0012】
▲4▼ポリスチレン系樹脂発泡シート2の坪量が260g/m2 乃至550g/m2 であり、全体の厚みが1.8mm以上、2.2mm未満で、全体の坪量が430g/m2 乃至700g/m2 の積層発泡シート1の場合、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の表層密度は0.45g/cm3 以下であり、且つ積層発泡シート1の打ち抜き最大荷重は160kgf以下であることが必要である。
【0013】
▲5▼ポリスチレン系樹脂発泡シート2の坪量が160g/m2 乃至340g/m2 であり、全体の厚みが2.2mm以上、2.6mm未満で、全体の坪量が250g/m2 以上、430g/m2 未満の積層発泡シート1の場合、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の表層密度は0.30g/cm3 以下であり、且つ積層発泡シート1の打ち抜き最大荷重は120kgf以下であることが必要である。
【0014】
▲6▼ポリスチレン系樹脂発泡シート2の坪量が260g/m2 乃至550g/m2 であり、全体の厚みが2.2mm以上、2.6mm未満で、全体の坪量が430g/m2 乃至700g/m2 の積層発泡シート1の場合、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の表層密度は0.43g/cm3 以下であり、且つ積層発泡シート1の打ち抜き最大荷重は155kgf以下であることが必要である。
【0015】
▲7▼ポリスチレン系樹脂発泡シート2の坪量が160g/m2 乃至340g/m2 であり、全体の厚みが2.6mm乃至3.2mmで、全体の坪量が250g/m2 以上、430g/m2 未満の積層発泡シート1の場合、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の表層密度は0.28g/cm3 以下であり、且つ積層発泡シート1の打ち抜き最大荷重は115kgf以下であることが必要である。
【0016】
▲8▼ポリスチレン系樹脂発泡シート2の坪量が260g/m2 乃至550g/m2 であり、全体の厚みが2.6mm乃至3.2mmで、全体の坪量が430g/m2 乃至700g/m2 の積層発泡シート1の場合、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の表層密度は0.41g/cm3 以下であり、且つ積層発泡シート1の打ち抜き最大荷重は150kgf以下であることが必要である。
【0017】
ポリスチレン系樹脂発泡シート2の表層密度が上記した範囲よりも大きいか、積層発泡シート1の打ち抜き最大荷重の値が上記した範囲より大きい場合には、積層発泡シート1を熱成形した後、成形品を分離するために打ち抜き加工を施した際に、抜き屑や抜き粉が多量に発生するようになり、本発明の所期の目的を達成することができない。ポリスチレン系樹脂発泡シート2の表層密度は、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の坪量、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート1全体の厚み、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート1全体の坪量の違いに応じ、それぞれ上記▲1▼〜▲8▼に示した値以下であることが必要であるが、いずれの場合も表層密度は、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の全体密度以上であることが好ましく、特にポリスチレン系樹脂発泡シート2の全体密度の1.2倍以上であることが好ましい。表層密度が小さくなり過ぎると積層発泡シート1、ひいてはそれから得られる成形品の機械的強度を著しく低下させる虞れがある。また、積層発泡シート1の打ち抜き最大荷重も、それぞれ上記▲1▼〜▲8▼に示した値以下であることが必要であるが、打ち抜き最大荷重は、▲1▼の積層発泡シートでは30〜120kgf、▲2▼の積層発泡シートでは40〜160kgf、▲3▼の積層発泡シートでは30〜115kgf、▲4▼の積層発泡シートでは40〜150kgf、▲5▼の積層発泡シートでは30〜110kgf、▲6▼の積層発泡シートでは35〜145kgf、▲7▼の積層発泡シートでは30〜105kgf、▲8▼の積層発泡シートでは35〜140kgfであることが好ましい。打ち抜き最大荷重が上記した好ましい範囲の下限よりも小さくなると、積層発泡シート1、ひいてはそれから得られる成形品の機械的強度を著しく低下させる虞れがある。
【0018】
本発明において、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の表層密度とは、ポリスチレン系樹脂延伸フィルム4を積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シート2の、ポリスチレン系樹脂延伸フィルム4を積層する側の表層密度であり、表面から200±10μmの範囲内の表層部から、長さ20±1mm、幅5±1mmに切断した試料片を切り出し、3点平均値として求めた値を言う。ポリスチレン系樹脂発泡シート2の表層密度は、ポリスチレン系樹脂発泡シート2を製造する際に、押出発泡された発泡シートの冷却を控え目にすることにより、上記範囲に調整することができる。
【0019】
本発明において、積層発泡シート1の打ち抜き最大荷重は、図3に示すように圧縮試験機の可動台8には環状切断刃9を、固定台10には上記環状切断刃8が貫挿される開口部11を有する受け刃12を取り付け、環状切断刃9と受け刃12との間で積層発泡シート1の打ち抜きを行って測定される値を言う。この際、積層発泡シート1を延伸フィルム4側が環状切断刃9側に向くように環状切断刃9と受け刃12との間に位置せしめ、環状切断刃9を5mm/分の速度で下降させて打ち抜きを行う。また環状切断刃9としては、SKD11鋼材(JIS G4404)よりなり、図4に示すように、外径:rが30mm、厚み:dが2.1mm、刃先の角度:αが54.5±0.1°のものを用いる。尚、本発明において用いた環状切断刃9は、環状刃の深さ:hが7.5mmである。また受け刃12は環状切断刃9が貫挿できるように構成されている。本発明において用いた受け刃12は、図5に示すように開口部11の開口端から深さ:Hまでの内径:R1 は略30mm、それ以降の内径:R2 は31.2mmであり、角度:βは90°、深さ:Hは5mmである。上記圧縮試験機としては、一定速度(5mm/分)での圧縮が可能な上、圧縮時の荷重が測定可能なものであればどのようなものでも使用できる。その圧縮試験機としては、株式会社エー・アンド・デイの万能試験機:製品名「テンシロンRTC−50型」が例示される。圧縮試験機のロードセルとしては500kgfまたは250kgfのものが使用される。
【0020】
上記環状切断刃9を5mm/分で降下せしめ、環状切断刃9と受け刃12との間で積層発泡シート1を打ち抜くが、図6の荷重〜時間曲線Aに示すように、環状切断刃9の降下に伴って環状切断刃9に加わる荷重は増加し、積層発泡シート1が打ち抜かれる直前に荷重は最大値となり、その後、急激に減少する。本発明において上記した積層発泡シート1の打ち抜き最大荷重とは、図6に示す荷重〜時間曲線Aにおける荷重の最大値:pで示される値である。尚、打ち抜き最大荷重の測定用試料としては、縦横の寸法が各60〜80mmのものが好ましい。
【0021】
ポリスチレン系樹脂積層発泡シート1の上記打ち抜き最大荷重は、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の厚みが厚くなるほど、表層密度が高くなるほど、坪量が大きくなるほど大きな値を示し、またポリスチレン系樹脂シート3の厚みが厚くなるほど大きな値を示し、更にはポリスチレン系樹脂延伸フィルム4の厚みが厚くなるほど、ポリスチレン系樹脂延伸フィルム4の延伸度が大きくなるほど大きい値を示す。特にこの中でもポリスチレン系樹脂発泡シート2の表層密度は極めて重要である。ポリスチレン系樹脂発泡シート2の表層密度が、前記▲1▼〜▲8▼に示した上限値以下の場合には、積層発泡シート1の打ち抜き最大荷重を、それぞれ▲1▼〜▲8▼に示した範囲に調節することが容易となる。しかしながらポリスチレン系樹脂発泡シート2の表層密度が、前記▲1▼〜▲8▼に示した上限値以下であっても、積層発泡シート1の打ち抜き最大荷重が▲1▼〜▲8▼に各々示す範囲の上限を上回る場合には、その他の値(ポリスチレン系樹脂発泡シート2の厚みや坪量、ポリスチレン系樹脂シート3の厚み、ポリスチレン系樹脂延伸フィルム4の厚みや延伸度)を適宜調節することにより、積層発泡シート1の打ち抜き最大荷重を▲1▼〜▲8▼の範囲内に調節することができる。
【0022】
本発明の積層発泡シート1を構成するポリスチレン系樹脂発泡シート2の基材樹脂であるスチレン系樹脂としては、ゴムで強化されていない一般用ポリスチレン系樹脂(GPPSと略す。)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPSと略す。)、GPPSとHIPSとの混合物、GPPSと15重量%以下のエラストマーとの混合物等が好適に用いられる。
【0023】
上記GPPSとしては、スチレン単独重合体、スチレンを主成分とするスチレン系共重合体、或いはこれらの混合物等が挙げられる。スチレン系共重合体としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。HIPSとしては、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム等のゴムにスチレンを共重合したものが用いられる(この共重合体のゴムの割合は15重量%を上限とすることが好ましい。)。またGPPSと混合して用いられるエラストマーとしては、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0024】
ポリスチレン系樹脂発泡シート2は、上記したポリスチレン系樹脂と発泡剤、気泡調整剤及び更に必要に応じて熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤等の各種添加剤を押出機内に供給して、ポリスチレン系樹脂の溶融温度以上の温度で溶融混練し、次いで環状ダイスから押出して環状に発泡させるとともに、冷却しつつ環状発泡体の径を拡張させ、次いで環状発泡体を押出方向に沿って一端から切り開いてシート状に展開する方法等により製造される。
【0025】
ポリスチレン系樹脂発泡シート2の製造に用いる発泡剤としては、揮発性発泡剤、無機ガス系発泡剤、分解型発泡剤等を、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。揮発性発泡剤としては、例えばプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化水素類、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、1,2-ジクロロ-1,1,2,2- テトラフロロエタン、1-クロロ-1,1- ジフロロエタン、1,1-ジフロロエタン、1,1-ジクロロ-2,2,2- トリフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、エチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。無機ガス系発泡剤としては、二酸化炭素、窒素、空気等の不活性ガスが用いられる。また分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。発泡剤の添加量は、発泡剤の種類、基材樹脂の種類、目的とする発泡倍率等によって異なるため、発泡剤の種類、基材樹脂の種類に応じて目的とする発泡倍率が得られるように添加量を選択する。
【0026】
ポリスチレン系樹脂発泡シート2を発泡する際に、発泡剤とともに併用される気泡調整剤としては、タルク、シリカ等の無機粉末や、多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム或いは重炭酸ナトリウムとの反応混合物等が挙げられる。気泡調整剤の添加量は、樹脂100重量部当たり、通常は多くても5重量部程度である。
【0027】
積層発泡シート1におけるポリスチレン系樹脂発泡シート2の厚みは、通常、(積層発泡シート1全体の厚み−0.1mm)〜(積層発泡シート1全体の厚み−0.3mm)程度が好ましい。このポリスチレン系樹脂発泡シート2の厚みは、積層発泡シート1の切断面の顕微鏡写真より測定することができる。またポリスチレン系樹脂発泡シート2の密度は、0.07〜0.35g/cm3 (発泡倍率で約3〜15倍)が好ましい。ポリスチレン系樹脂発泡シート2の密度とは、ポリスチレン系樹脂発泡シート2にポリスチレン系樹脂シート3を介してポリスチレン系樹脂延伸フィルム4を積層した後の、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の層の密度であり、ポリスチレン系樹脂延伸フィルム4を積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シート2の密度ではない。従って、上記ポリスチレン系樹脂発泡シート2の密度は、積層発泡シート1から発泡シート2の層を切り取って測定した値である。
【0028】
ポリスチレン系樹脂シート3の基材樹脂としては、ポリスチレン系樹脂発泡シート2と同様のスチレン系樹脂が挙げられるが、特にHIPSが好ましい。積層発泡シート1におけるポリスチレン系樹脂シート3の厚みは0.1〜0.3mm程度とすることが好ましい。
【0029】
一方、ポリスチレン系樹脂延伸フィルム4としては、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムを用いることができる。ポリスチレン系樹脂延伸フィルム4の厚みは20〜50μmが好ましい。ポリスチレン系樹脂延伸フィルム4の基材樹脂としては、GPPS、高透明性で且つ高光沢を有するHIPS、又はこのタイプのHIPSとGPPSとの混合物のいずれかが好ましい。
【0030】
本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シート1は前記したように、図2に示す如き方法によって製造することができるが、積層に際してポリスチレン系樹脂発泡シート2とポリスチレン系樹脂延伸フィルム4とを挟圧する一対の加圧ロール5aと5bのうち、ポリスチレン系樹脂延伸フィルム4と接する側の加圧ロール5bは冷却されたロールであることが好ましく、且つ溶融したポリスチレン系樹脂3aを接着剤としてポリスチレン系樹脂発泡シート2と、ポリスチレン系樹脂延伸フィルム4とを積層後に、積層発泡シート1を冷却された加圧ロール5bに抱かせるようにすることが好ましい。このようにすると、ポリスチレン系樹脂延伸フィルム4における配向の低下(延伸度の低下)を小さくすることができる。また、同様の観点から溶融したポリスチレン系樹脂3aの押出位置は、ややポリスチレン系樹脂発泡シート2側に寄った位置とすることが好ましい。
【0031】
またポリスチレン系樹脂発泡シート2にポリスチレン系樹脂延伸フィルム4を積層する前に、必要に応じてポリスチレン系樹脂発泡シート2に、該シート2の成形性を改善するため(表面部におけるストレス緩和のため)の加熱処理を施すことができる。加熱処理を施す方法としては、ポリスチレン系樹脂発泡シート2を、図示しない加熱ロールの表面に巻き付けて加熱する方法を採用することができる。
【0032】
ポリスチレン系樹脂発泡シート2に加熱処理を施した場合、ポリスチレン系樹脂延伸フィルム4は、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の加熱処理を施した面側に積層しても、加熱処理を施していない面側に積層しても良い。ポリスチレン系樹脂積層発泡シート1の、ポリスチレン系樹脂延伸フィルム4が積層されている側の面は滑り性が優れているが、ポリスチレン系樹脂延伸フィルム4を加熱処理を施したポリスチレン系樹脂発泡シート2の加熱処理を施していない面側に積層した場合、積層発泡シート1における発泡シート2側の面の滑り性も向上する。このような積層発泡シート1から熱成形した容器等の熱成形品は、複数個を積み重ねて保管し、この状態から1個ずつ取り出して使用する際に、各熱成形品間での滑り性が良好であるために2個以上が重なって取り出される等のトラブルを生じる虞れが少ない。
【0033】
積層発泡シート1から熱成形した容器等の熱成形品の上記した滑り性を改善するには、積層発泡シート1のポリスチレン系樹脂発泡シート2側の表面に、前記したような熱処理を施す方法の他に、シリコンオイル等の潤滑剤を積層発泡シート1の片面または両面に塗布する方法も有効である。特に、積層発泡シート1のポリスチレン系樹脂発泡シート2側の表面をより滑り易くするためには、発泡シート2の加熱処理と潤滑剤塗布の両方法を併用することが望ましい。このように両方法を併用する場合は、通常、積層発泡シート1のポリスチレン系樹脂発泡シート2の表面の加熱処理を先に行う。
【0034】
また、積層発泡シート1のポリスチレン系樹脂延伸フィルム4の表面にシリコンオイル等の潤滑剤を塗布した場合には、滑り性向上効果に加え、印刷性向上効果も付与される。従って、積層発泡シート1のポリスチレン系樹脂延伸フィルム4側が外側となるように熱成形された熱成形品のポリスチレン系樹脂延伸フィルム4面に印刷を施すような場合には非常に有効である。但し、成形品表面に模様等の印刷を必要とする場合、成形後に表面側のポリスチレン系樹脂延伸フィルム4面に印刷して絵柄等を施すより、ポリスチレン系樹脂延伸フィルム4をポリスチレン系樹脂発泡シート2に積層する前に、予めポリスチレン系樹脂延伸フィルム4面に絵柄等を印刷しておくと、歪み等のない美麗な絵柄を成形品に形成することができるため好ましい。
【0035】
尚、シリコンオイル等の潤滑剤は、通常、水で希釈されてロールコーター等により積層発泡シート表面に塗布して乾燥される。この乾燥は、塗布後、積層発泡シートをロール状に巻き取ってから行っても差し支えない。
【0036】
上記した本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シート1は、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の一方の面に、ポリスチレン系樹脂シート3を介してポリスチレン系樹脂延伸フィルム4を積層した構成を有しているが、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の他方の面側(便宜上、上記積層発泡シート1においてポリスチレン系樹脂延伸フィルム4が積層されている側を表面側、積層されていない側を裏面側と呼ぶ。)にもポリスチレン系樹脂シートが積層されたり、ポリスチレン系樹脂シートを介して、更にポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されていても良い。尚、ポリスチレン系樹脂発泡シート2の裏面側にも、ポリスチレン系樹脂シートを積層したり、更にポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する場合、表面側のポリスチレン系樹脂シート3の層の厚みを、積層発泡シート1を前記した三層構成とする場合よりも薄くし、薄くした分を裏面側に積層するようにすることが好ましい。
【0037】
本発明の積層発泡シート1は加熱ゾーンで加熱軟化した後、常法により成形する。成形方法としては、真空成形、圧空成形や、これらの応用として、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形等やこれらを組合せた方法等が採用される。成形後、公知の打ち抜き機によって各成形品を打ち抜くことができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1〜8、比較例1〜10
図2に示す方法により、ポリスチレン発泡シート(PSP)の表面にHIPS(ブタジエン成分5重量%)シートを介して二軸延伸ポリスチレンフィルム(旭化成工業株式会社の商品名「OPSフィルムGMタイプ」。以下、OPSフィルムという。)を積層してなる積層発泡シートを得た。PSPの坪量、表層密度、HIPSシートの坪量、OPSフィルムの坪量、積層発泡シート全体の坪量、積層発泡シート全体の厚みを表1に示す。また得られた積層発泡シートから切り出した70mm×70mmの試料を用いて打ち抜き最大荷重を測定した結果及び、得られた積層発泡シートを用いて口径180mmφのドンブリ状容器を連続成形し、次いで個々の容器に分離するためパンチングを100回(パンチング1回当たり25個の容器が打ち抜かれる。)行った後に切り屑や切り粉の発生を観察した結果(パンチング特性)を表1にあわせて示す。
【0039】
【表1】
Figure 0003912701
【0040】
パンチング特性は、
○・・・切り屑の発生がなく、目立った切り粉の発生も認められない。
×・・・切り屑が発生し、目立った切り粉の発生も認められる。
として評価した。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されてなるポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層される前のポリスチレン系樹脂発泡シートの、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層される側の表層密度を特定の範囲とし、且つ積層発泡シートの打ち抜き最大荷重が一定の値以下となるようにしたことにより、積層発泡シートを熱成形した後、パンチングを行う際の切り屑や切り粉の発生を著しく低減化できる。この結果、成形品に付着した切り屑や切り粉を吹き飛ばす煩雑な作業を行う必要がなく、また成形品に切り屑や切り粉が付着して残って製品価値を低下させる虞れもない等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートの縦断面図である。
【図2】 本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートの製造方法の一例を示す工程略図である。
【図3】 打り抜き最大荷重の測定に用いる圧縮試験機の断面略図である。
【図4】 打ち抜き最大荷重の測定に用いる環状切断刃の拡大図である。
【図5】 打ち抜き最大荷重の測定に用いる受け刃の拡大図である。
【図6】 打ち抜き最大荷重測定における時間〜荷重曲線を示すグラフである。

Claims (8)

  1. 坪量が160g/m2 乃至340g/m2 のポリスチレン系樹脂発泡シートに、ポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されてなり、全体の厚みが1.5mm以上、1.8mm未満で、且つ全体の坪量が250g/m2 以上、430g/m2 未満のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シートの、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する側の表層密度が0.33g/cm3 以下であり、且つ打ち抜き最大荷重(但し、SKD11鋼材よりなる、外径30mm、厚み2.1mm、刃先の角度54.5±0.1°の環状切断刃と、該環状切断刃が貫挿される略30mmの開口径を有する受け刃とを、圧縮試験機に取り付け、積層シートの延伸フィルム側を環状切断刃側に向けて環状切断刃と受け刃との間に積層シートを位置せしめ、環状切断刃を5mm/分の速度で移動させながら、積層シートの打ち抜きを行った際に測定される最大荷重)が130kgf以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
  2. 坪量が260g/m2 乃至470g/m2 のポリスチレン系樹脂発泡シートに、ポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されてなり、全体の厚みが1.5mm以上、1.8mm未満で、且つ全体の坪量が430g/m2 以上、600g/m2 未満のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シートの、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する側の表層密度が0.40g/cm3 以下であり、且つ打ち抜き最大荷重(但し、SKD11鋼材よりなる、外径30mm、厚み2.1mm、刃先の角度54.5±0.1°の環状切断刃と、該環状切断刃が貫挿される略30mmの開口径を有する受け刃とを、圧縮試験機に取り付け、積層シートの延伸フィルム側を環状切断刃側に向けて環状切断刃と受け刃との間に積層シートを位置せしめ、環状切断刃を5mm/分の速度で移動させながら、積層シートの打ち抜きを行った際に測定される最大荷重)が170kgf以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
  3. 坪量が160g/m2 乃至340g/m2 のポリスチレン系樹脂発泡シートに、ポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されてなり、全体の厚みが1.8mm以上、2.2mm未満で、且つ全体の坪量が250g/m2 以上、430g/m2 未満のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シートの、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する側の表層密度が0.31g/cm3 以下であり、且つ打ち抜き最大荷重(但し、SKD11鋼材よりなる、外径30mm、厚み2.1mm、刃先の角度54.5±0.1°の環状切断刃と、該環状切断刃が貫挿される略30mmの開口径を有する受け刃とを、圧縮試験機に取り付け、積層シートの延伸フィルム側を環状切断刃側に向けて環状切断刃と受け刃との間に積層シートを位置せしめ、環状切断刃を5mm/分の速度で移動させながら、積層シートの打ち抜きを行った際に測定される最大荷重)が125kgf以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
  4. 坪量が260g/m2 乃至550g/m2 のポリスチレン系樹脂発泡シートに、ポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されてなり、全体の厚みが1.8mm以上、2.2mm未満で、且つ全体の坪量が430g/m2 乃至700g/m2 のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シートの、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する側の表層密度が0.45g/cm3 以下であり、且つ打ち抜き最大荷重(但し、SKD11鋼材よりなる、外径30mm、厚み2.1mm、刃先の角度54.5±0.1°の環状切断刃と、該環状切断刃が貫挿される略30mmの開口径を有する受け刃とを、圧縮試験機に取り付け、積層シートの延伸フィルム側を環状切断刃側に向けて環状切断刃と受け刃との間に積層シートを位置せしめ、環状切断刃を5mm/分の速度で移動させながら、積層シートの打ち抜きを行った際に測定される最大荷重)が160kgf以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
  5. 坪量が160g/m2 乃至340g/m2 のポリスチレン系樹脂発泡シートに、ポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されてなり、全体の厚みが2.2mm以上、2.6mm未満で、且つ全体の坪量が250g/m2 以上、430g/m2 未満のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シートの、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する側の表層密度が0.30g/cm3 以下であり、且つ打ち抜き最大荷重(但し、SKD11鋼材よりなる、外径30mm、厚み2.1mm、刃先の角度54.5±0.1°の環状切断刃と、該環状切断刃が貫挿される略30mmの開口径を有する受け刃とを、圧縮試験機に取り付け、積層シートの延伸フィルム側を環状切断刃側に向けて環状切断刃と受け刃との間に積層シートを位置せしめ、環状切断刃を5mm/分の速度で移動させながら、積層シートの打ち抜きを行った際に測定される最大荷重)が120kgf以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
  6. 坪量が260g/m2 乃至550g/m2 のポリスチレン系樹脂発泡シートに、ポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されてなり、全体の厚みが2.2mm以上、2.6mm未満で、且つ全体の坪量が430g/m2 乃至700g/m2 のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シートの、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する側の表層密度が0.43g/cm3 以下であり、且つ打ち抜き最大荷重(但し、SKD11鋼材よりなる、外径30mm、厚み2.1mm、刃先の角度54.5±0.1°の環状切断刃と、該環状切断刃が貫挿される略30mmの開口径を有する受け刃とを、圧縮試験機に取り付け、積層シートの延伸フィルム側を環状切断刃側に向けて環状切断刃と受け刃との間に積層シートを位置せしめ、環状切断刃を5mm/分の速度で移動させながら、積層シートの打ち抜きを行った際に測定される最大荷重)が155kgf以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
  7. 坪量が160g/m2 乃至340g/m2 のポリスチレン系樹脂発泡シートに、ポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されてなり、全体の厚みが2.6mm乃至3.2mmで、且つ全体の坪量が250g/m2 以上、430g/m2 未満のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シートの、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する側の表層密度が0.28g/cm3 以下であり、且つ打ち抜き最大荷重(但し、SKD11鋼材よりなる、外径30mm、厚み2.1mm、刃先の角度54.5±0.1°の環状切断刃と、該環状切断刃が貫挿される略30mmの開口径を有する受け刃とを、圧縮試験機に取り付け、積層シートの延伸フィルム側を環状切断刃側に向けて環状切断刃と受け刃との間に積層シートを位置せしめ、環状切断刃を5mm/分の速度で移動させながら、積層シートの打ち抜きを行った際に測定される最大荷重)が115kgf以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
  8. 坪量が260g/m2 乃至550g/m2 のポリスチレン系樹脂発泡シートに、ポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムが積層されてなり、全体の厚みが2.6mm乃至3.2mmで、且つ全体の坪量が430g/m2 乃至700g/m2 のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン系樹脂シートを介してポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する前のポリスチレン系樹脂発泡シートの、ポリスチレン系樹脂延伸フィルムを積層する側の表層密度が0.41g/cm3 以下であり、且つ打ち抜き最大荷重(但し、SKD11鋼材よりなる、外径30mm、厚み2.1mm、刃先の角度54.5±0.1°の環状切断刃と、該環状切断刃が貫挿される略30mmの開口径を有する受け刃とを、圧縮試験機に取り付け、積層シートの延伸フィルム側を環状切断刃側に向けて環状切断刃と受け刃との間に積層シートを位置せしめ、環状切断刃を5mm/分の速度で移動させながら、積層シートの打ち抜きを行った際に測定される最大荷重)が150kgf以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
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