JP3912532B2 - 被覆光ファイバ心線、コネクタ付被覆光ファイバ心線、及び、光ファイバケーブル - Google Patents

被覆光ファイバ心線、コネクタ付被覆光ファイバ心線、及び、光ファイバケーブル Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被覆光ファイバ心線、コネクタ付被覆光ファイバ心線、及び、光ファイバケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
石英ガラスを主成分とする外径125μmのガラスファイバ101の外側を紫外線硬化型樹脂層102で被覆した外径250μm〜265μmの光ファイバ心線103が、光コード用等に使用する光ファイバ心線として知られている。ここで、光コードは、通常、光ファイバ心線103の外側に塩化ビニル等からなる外部被覆104を設けた被覆光ファイバ心線100の形態とされており、光通信機器等の配線に用いられている(図10(A)の横断面図を参照)。
【0003】
被覆光ファイバ心線100を光コードとして用いる場合、被覆光ファイバ心線100の端部には、通常、他の光通信機器と接続可能に形成されたコネクタが取り付けられるが、コネクタを取り付けるには、先ず、後に述べる被覆除去具を用いて、光ファイバ心線の端部におけるガラスファイバ101が、所定距離(30mm程度)で露出するように、被覆光ファイバ心線100の被覆(紫外線硬化型樹脂層102及び外部被覆104)を除去する必要がある。
【0004】
図9は、被覆光ファイバ心線の被覆除去に使用する被覆除去具を示す図であって、図9(A)は、被覆除去具の側面図、図9(B)は、X方向断面図である。被覆除去具20は、片方の端部が枢軸して連結された板状レバー部材21a、21bのそれぞれの開閉側の端部近傍内側に、2対のガイド部23と1対の刃22が内側に向かって垂直に固定されており、被覆光ファイバ心線100の端末から30mm程度離れた箇所を挟んで板状レバー部材21a、21bを閉じることによって、2対のガイド部のそれぞれのV溝23a内に被覆光ファイバ心線100を保持して、1対の刃22でもって被覆光ファイバ心線100の被覆に切り込みを入れる。刃22の刃先には、被覆光ファイバ心線100が配設される位置に半円状の窪み(図示せず)が形成されているので、被覆光ファイバ心線100の中にあるガラスファイバの表面にまで刃先が至らず、ガラスファイバを傷つけることはない。
【0005】
次いで、板状レバー部材21a、21bを閉じたままで、被覆除去具20を被覆光ファイバ心線100の端末側に移動させることによって、被覆光ファイバ心線100の被覆の端末側部分を端末方向に引抜き、被覆光ファイバ心線100の端末部分におけるガラスファイバを露出させる。この時、ガラスファイバの表面と刃先の間及び刃先同士の間にはわずかな隙間があるので、その隙間部分の被覆は、刃先の切り込みでは切れないで刃先の移動によって引きちぎられる。
【0006】
そして、露出したガラスファイバを収容可能な中空を有するフェルールが内蔵されたコネクタを用意し、ガラスファイバを中空に収容しながら被覆除去端面をフェルールの突き当て端面に当接させることによって、被覆光ファイバ心線の端末部分にコネクタが取り付けられ、次いで、ガラスファイバの先端面とフェルールの開放端面とが所定の形状になるように加工される。
【0007】
被覆光ファイバ心線100の外部被覆104としては、前記したように、塩化ビニル樹脂に代表されるハロゲン含有樹脂が知られている。通常、被覆光ファイバ心線は、光ファイバ心線が押出装置内に流し込まれた樹脂と接しながら被覆された後、押出装置から押し出されて製造されるが、ハロゲン含有樹脂によれば、押出装置による押出加工性が良好であり(より具体的には、押出中に、樹脂が切れにくいと共に、押出時の加工温度が比較的低温であり、また、所望の外径が得られやすい)、これにより、機械的強度、特に、側圧特性(被覆光ファイバ心線の側面方向からの圧力に対する機械的強度)に優れた被覆光ファイバ心線が得られるとされている。
しかしながら、塩化ビニル樹脂は、燃焼時に塩素ガスを発生したり、あるいはダイオキシン等の発生原因になるとされ、環境対策上、ハロゲン含有樹脂に代わり得る外部被覆が求められている。
【0008】
特開2000−241676公報には、外部被覆がノンハロゲンのオレフィン系樹脂とノンハロゲンのスチレン系樹脂とで構成された被覆光ファイバ心線が記載されており、難燃性、光伝送特性、環境特性、機械特性(耐側圧)に優れるとされている(従来例1)。
また、特開2001−159725公報には、特定の引張弾性率を有する熱可塑性エラストマーからなる内層(第1被覆層)と熱可塑性樹脂からなる外層(第2被覆層)とで外部被覆が構成された光ファイバユニット(被覆光ファイバ心線)が記載されており、光ファイバ送通用パイプへの送通性、側圧の影響による光の伝送損失の増加が抑制されるとされている(従来例2)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ハロゲン含有樹脂に代えて、ポリオレフィン樹脂を使用すれば、燃焼時における有毒ガスの発生等の環境対策上の問題は解消される。しかし、本願発明者らの検討によれば、外部被覆104がポリオレフィン樹脂とされた被覆光ファイバ心線100に、被覆除去具20を用いて被覆の端末側部分を端末方向に引抜いて、ガラスファイバ101を露出させようとしても、ガラスファイバ101が破断したり(図10(B)参照)、あるいは、紫外線硬化型樹脂層102がガラスファイバ101上に残留することが頻発することが分かった(図10(C)参照)。そのため、本発明品が適用されるMU・SCコネクタでは、125μmφガラスファイバの使用が必要となり、被覆除去が出来ないため、コネクタ成形加工が出来ないという問題があった。
【0010】
なお、従来例1および従来例2に記載の被覆光ファイバ心線では、被覆除去性が悪く、上記した、コネクタ付き光コード(および心線)への適用が難しい。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、環境特性(燃焼時に有毒ガスを発生しない特性)と機械特性(側圧に対する耐性)に優れるととともに、コネクタが接続された場合にあっても、光伝送特性の低下(伝送損失と接続損失)を抑制できる被覆光ファイバ心線、環境特性と機械特性と光伝送特性に優れたコネクタ付被覆光ファイバ心線を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、紫外線硬化型樹脂層と、外部被覆としての樹脂被覆層(ハロゲンを有さない樹脂)とを、被覆除去具を用いてガラスファイバから引抜くように分離した時に、「分離された被覆除去片中の紫外線硬化型樹脂層の長さ/分離された樹脂被覆層の長さ」が特定範囲内となるように、被覆光ファイバ心線を構成することにより、被覆除去性が容易になり、環境特性と機械特性と光伝送特性に優れたコネクタ付被覆光ファイバ心線を製造できることを見出し、本発明を完成したものである。すなわち、本発明の技術的構成およびその作用効果は以下の通りである。
【0013】
請求項1に係る被覆光ファイバ心線は、ガラスファイバの外周に少なくとも1層以上の紫外線硬化型樹脂層を設けてなる光ファイバ心線の外周に、さらに、樹脂被覆層として第一被覆層と第二被覆層とを光ファイバ心線から離れる方向で順に設けてなる被覆光ファイバ心線であって、樹脂被覆層を構成する樹脂がハロゲンを有さない樹脂であるとともに、樹脂被覆層からガラスファイバの方向へ、切り込みの頂点がガラスファイバには達しないように切り込み、紫外線硬化型樹脂層と樹脂被覆層とをガラスファイバから引抜くように分離した時に、「分離された被覆除去片中の紫外線硬化型樹脂層の長さ/分離された樹脂被覆層の長さ」が15%〜85%となるように構成されている。
【0014】
このような構成によれば、先ず、樹脂被覆層を構成する樹脂がハロゲンを有さない樹脂であるので環境特性に優れる。
また、樹脂被覆層は、第一被覆層と第二被覆層とを光ファイバ心線から離れる方向で順に設けてなるので、例えば、第一被覆層を柔軟な層とし、第二被覆層を堅固な層として、被覆光ファイバ心線が受ける側圧(被覆光ファイバ心線の外周面から受ける外界からの圧力)に対して、第二被覆層で該圧力の一部を吸収させ、また、該圧力が、第二被覆層で完全に吸収できない程に大きな力であっても第一被覆層で該圧力を緩衝させる等、第一被覆層と第二被覆層の各物性を調整することにより、ガラスファイバが圧力を受けることによる光伝送損失を低減できる。
【0015】
被覆光ファイバ心線の樹脂被覆層からガラスファイバの方向へ、切り込みの頂点がガラスファイバには達しないように切り込み、紫外線硬化型樹脂層と樹脂被覆層とをガラスファイバから引抜くように分離するとき、樹脂被覆層は完全に切断されているので、刃とともに移動するが、紫外線硬化型樹脂層は、完全に切断されていないので(紫外線硬化型樹脂層の内部に切り込みの頂点がある)、刃が移動してもしばらくは引き伸ばされ、ガラスファイバと密着した部分は刃とともに移動しない(図2参照)。この間は、樹脂被覆層が紫外線硬化型樹脂層の上を滑るのである。よって、分離された被覆除去片に関して、引抜き方向長さは、通常、紫外線硬化型樹脂層の方が樹脂被覆層よりも短くなる。
【0016】
本発明の被覆光ファイバ心線においては、前記したように、30mm程度被覆を除去した時、「分離された被覆除去片中の紫外線硬化型樹脂層の長さ(LUV)/分離された樹脂被覆層の長さ(LSH)」(以下、“LUV/LSH”とも表現する)が15%〜85%となるように構成されている。LUV/LSHが15%未満であると、紫外線硬化型樹脂層の樹脂被覆層に対する滑り性が高すぎ、紫外線硬化型樹脂層のガラスファイバ上への残留が頻発する。一方、LUV/LSHが85%を超えると、紫外線硬化型樹脂層の樹脂被覆層に対する滑り性が低すぎて、ガラスファイバが引抜き力に伴う負荷を大きく受けることになり、ガラスファイバの破断が頻発する。
よって、本発明の上記構成によれば、紫外線硬化型樹脂層のガラスファイバ上への残留が頻発せず、かつ、ガラスファイバの破断が頻発しないので、容易にコネクタ成端加工が出来る。
以上により、請求項1に係る被覆光ファイバ心線によれば、環境特性と機械特性とに優れるととともに、コネクタ成端加工の容易な被覆光ファイバ心線を製造することができる。
【0017】
また、本発明者らは、紫外線硬化型樹脂層の最外層、あるいは、第一被覆層に剥離剤を添加して、紫外線硬化型樹脂層の最外層と第一被覆層との摩擦係数を調整することにより、LUV/LSHを15%〜85%にできることを見出した。しかしながら、前記摩擦係数が0.2未満であると、紫外線硬化型樹脂層の樹脂被覆層に対する滑り性が高すぎ、LUV/LSHを15%以上としにくくなり、一方、0.5を超えると、紫外線硬化型樹脂層の樹脂被覆層に対する滑り性が低すぎ、LUV/LSHを85%以下としにくくなる。
よって、請求項2に係る被覆光ファイバ心線は、紫外線硬化型樹脂層の最外層に、最外層と第一被覆層との摩擦係数が0.2〜0.5となるように、剥離剤が添加されたことを特徴としている。
また、請求項3に係る被覆光ファイバ心線は、第一被覆層に、紫外線硬化型樹脂層の最外層と第一被覆層との摩擦係数が0.2〜0.5となるように、剥離剤が添加されたことを特徴としている。
【0018】
請求項4に係る被覆光ファイバ心線は、紫外線硬化型樹脂層と樹脂被覆層とを、引張り試験に基づいてガラスファイバから引抜く際の引抜力が2.5kgf以下となるように構成されている。このような構成によれば、前記した被覆除去具を用いて、容易に(大きな負荷を感じることなく)、紫外線硬化型樹脂層と樹脂被覆層とを引抜いて、ガラスファイバを露出できる。
【0019】
請求項5に係る被覆光ファイバ心線は、紫外線硬化型樹脂層が、ガラスファイバから離れる方向に、第一紫外線硬化型樹脂層と第二紫外線硬化型樹脂層とを設けてなるか、あるいは、第一紫外線硬化型樹脂層と第二紫外線硬化型樹脂層と着色層とを設けてなり、第二紫外線硬化型樹脂層の引張弾性率が5MPa〜600MPaとなるように構成されている。このような構成によれば、先ず、紫外線硬化型樹脂層が少なくとも第一紫外線硬化型樹脂層と第二紫外線硬化型樹脂層とを有しているので、第一紫外線硬化型樹脂層を柔軟な層とし、第二紫外線硬化型樹脂層を堅固な層として、光ファイバ心線が受ける側圧(光ファイバ心線の外周面から受ける外界からの圧力であって、特に、光ファイバ心線に樹脂被覆層が設けられる前に受ける圧力)に対して、第二紫外線硬化型樹脂層で該圧力を吸収させ、また、該圧力が、第二紫外線硬化型樹脂層で完全に吸収できない程に大きな力であっても第一紫外線硬化型樹脂層で該圧力を緩衝させる等、第一紫外線硬化型樹脂層と第二紫外線硬化型樹脂層の各物性を調整することにより、ガラスファイバが圧力を受けることによる光伝送損失を低減できる。
【0020】
上記構成にいては、第二紫外線硬化型樹脂層の引張弾性率が5MPa〜600MPaとなっている。前記引張弾性率が5MPa未満であると、上記した目的で第一紫外線硬化型樹脂層を第二紫外線硬化型樹脂層よりも柔軟な層とする場合において、外界からの圧力を吸収しにくく、ガラスファイバを損傷しやすくなる。一方、前記引張弾性率が600MPaを超えると、上記した被覆除去具の刃が第二紫外線硬化型樹脂層に入りにくく、紫外線硬化型樹脂層を被覆光ファイバ心線から分離しにくくなる。
なお、紫外線硬化型樹脂層は、光ファイバ心線の識別および視認を目的に、上記した着色層をしばしば有する。
【0021】
また、本発明者らは、具体的には、第一被覆層が、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂100重量部に対して、金属水酸化物を20重量部〜150重量部で添加してなることによって、被覆除去時に紫外線硬化樹脂層がガラスファイバに残留することが少なく、ガラスファイバが断線することも少なくできることを見出した。よって、請求項6に係る被覆光ファイバ心線は、第一被覆層が、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂100重量部に対して、金属水酸化物を20重量部〜150重量部で添加してなることを特徴としている。
【0022】
請求項7に係る被覆光ファイバ心線は、第一被覆層が、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂もしくはポリフェニレンエーテルまたはこれらの混合樹脂100重量部に対して、金属水酸化物を20重量部以上250重量部未満で、窒素系難燃助剤を100重量部未満で添加してなる。このような構成によれば、燃焼時に吸熱性を発現する金属水酸化物が20重量部以上を添加するとともに、燃焼抑制効果を有する窒素系難燃助剤を添加するので、高い難燃性を発現できる。また、金属水酸化物を250重量部未満、窒素系難燃助剤を100重量部未満で添加するので、被覆光ファイバ心線の製造時において、光ファイバ心線に対して樹脂組成物を押出して被覆することを良好に実施できる。さらに、金属水酸化物に加え、窒素系難燃助剤を使用することから、燃焼時に塩化水素ガス等の有害ガスやポリリン酸を発生せず、環境に与える負荷が少ない被覆光ファイバ心線とすることができる。
【0023】
また、本発明者らは、具体的には、第二被覆層が、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂100重量部に対して、金属水酸化物を20重量部〜150重量部で添加してなることによって、被覆除去時に紫外線硬化樹脂層がガラスファイバに残留することが少なく、ガラスファイバが断線することも少なくできることを見出した。よって、請求項8に係る被覆光ファイバ心線は、第二被覆層が、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂100重量部に対して、金属水酸化物を20〜150重量部で添加してなることを特徴としている。
【0024】
請求項9に係る被覆光ファイバ心線は、第二被覆層が、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂もしくはポリフェニレンエーテルまたはこれらの混合樹脂100重量部に対して、金属水酸化物を20重量部以上250重量部未満で、窒素系難燃助剤を100重量部未満で添加してなる。このような構成によれば、燃焼時に吸熱性を発現する金属水酸化物が20重量部以上を添加するとともに、燃焼抑制効果を有する窒素系難燃助剤を添加するので、高い難燃性を発現できる。また、金属水酸化物を250重量部未満、窒素系難燃助剤を100重量部未満で添加するので、被覆光ファイバ心線の製造時において、第一被覆層が被覆された光ファイバ心線に対して樹脂組成物を押出して被覆することを良好に実施できる。さらに、金属水酸化物に加え、窒素系難燃助剤を使用することから、燃焼時に塩化水素ガス等の有害ガスやポリリン酸を発生せず、環境に与える負荷が少ない被覆光ファイバ心線とすることができる。
【0025】
請求項10に係る被覆光ファイバ心線は、第一被覆層の弾性率が5MPa〜100MPa、第二被覆層の弾性率が250MPa〜1500MPa、第一被覆層までの外径が0.3mmφ〜0.7mmφ、第二被覆層までの外径が0.75mmφ〜1.0mmφとなるように構成されている。このような構成によれば、より確実に、ガラスファイバが圧力を受けることによる光伝送損失を低減できる。
【0026】
請求項11に係るコネクタ付被覆光ファイバ心線は、ガラスファイバが端末から所定長さで露出されることによりガラスファイバ露出部と被覆除去端面とを有する本発明に係る被覆光ファイバ心線と、ガラスファイバ露出部を収容可能な中空を有するフェルールを内蔵するコネクタとが接続されたコネクタ付被覆光ファイバ心線であって、ガラスファイバ露出部が歪力のかからない状態で中空に収容されるように被覆除去端面がフェルールの突き当て端面に当接されている。
【0027】
このような構成によれば、前記した本発明に係る被覆光ファイバ心線を使用するので、環境特性と機械特性とに優れたコネクタ付被覆光ファイバ心線とすることができる。
また、本発明に係る被覆光ファイバ心線を使用することによって、前記したように、ガラスファイバ上に紫外線硬化型樹脂層が残留しないので、本発明に係るコネクタ付被覆光ファイバ心線において、被覆除去端面とフェルールの突き当て端面との当接は確実である。これにより、ガラスファイバの先端面の中心が所望の位置に存在している。よって、歪による伝送損失がなく、かつ、ガラスファイバの位置がずれることによる接続損失がないので、請求項9に係るコネクタ付被覆光ファイバ心線は、光伝送特性に優れる。
【0028】
請求項12に係る光ファイバケーブルは、本発明に係る被覆光ファイバ心線をテンションメンバの外周面上に複数配置し、被覆光ファイバ心線の外側に緩衝材を配置し、押え巻き層を緩衝材の外側に設け、押え巻き層の外周面を樹脂層で被覆してなる。
このような構成によれば、前記した本発明に係る被覆光ファイバ心線を使用するので、環境特性と機械特性とに優れた光ファイバケーブルとすることができる。また、光ファイバケーブルを他の光通信機器と接続するために、ガラスファイバを露出してコネクタを接続する場合、光伝送特性の低下を抑制できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る被覆光ファイバ心線10は、図1(A)の模式断面図に示すように、ガラスファイバ11の外周に紫外線硬化型樹脂層12を設けてなる光ファイバ心線13の外周に、さらに、樹脂被覆層16として第一被覆層14と第二被覆層15とを光ファイバ心線13から離れる方向で順に設けてなる。ここで、紫外線硬化型樹脂層12は、図1(B)の模式断面図に示すように、ガラスファイバ11から離れる方向に、第一紫外線硬化型樹脂層12Aと第二紫外線硬化型樹脂層12Bと着色層12Cとを設けてなる。
【0030】
本発明の実施形態に係るコネクタ付被覆光ファイバ心線を製造するためには、先ず、前記した被覆除去具20(図9参照)を用いて被覆光ファイバ心線10の端末を加工する。
すなわち、被覆除去具20のV溝23a内に被覆光ファイバ心線10を保持して、被覆光ファイバ心線10の端末から約30mm離れた箇所を挟んで板状レバー部材21a、21bを閉じることによって、図2(A)に示すように、刃22の刃先22A(切り込みの頂点)がガラスファイバには達しないように切り込みが入れられる。ここでは、ガラスファイバ11が傷つくことなく、かつ、樹脂被覆層16は確実に切断されている。
【0031】
次いで、紫外線硬化型樹脂層12と樹脂被覆層16とをガラスファイバ11から引抜くように分離すると、樹脂被覆層16は完全に切断されているので、刃22とともに移動するが、紫外線硬化型樹脂層12は、完全に切断されていないので(紫外線硬化型樹脂層12の内部に切り込みの頂点がある)、刃22が移動してもしばらくは引き伸ばされ、ガラスファイバ11と密着した部分は刃22とともに移動しない(図2(B)参照)。この間は、樹脂被覆層16が紫外線硬化型樹脂層12の上を滑るのである。また、ここで、刃22近傍の紫外線硬化型樹脂層12は圧縮されている。そして、さらに被覆除去具20を移動すると、紫外線硬化型樹脂層12は引きちぎられる。よって、分離された被覆除去片に関して、紫外線硬化型樹脂層12’は長手方向に収縮して、紫外線硬化型樹脂層12’の引抜き方向長さの方が樹脂被覆層16’の引抜き方向長さよりも短くなる(図2(C)参照)。
【0032】
本発明の実施形態に係る被覆光ファイバ心線10においては、「分離された被覆除去片中の紫外線硬化型樹脂層12’の長さ(LUV)/分離された樹脂被覆層16’の長さ(LSH)」(以下、“LUV/LSH”とも表現する)が15%〜85%となるように構成されている。これにより、紫外線硬化型樹脂層12’の樹脂被覆層16’に対する滑り性が適度に調整されているので、紫外線硬化型樹脂層12のガラスファイバ11上への残留が頻発せず、かつ、ガラスファイバ11の破断が頻発しない。紫外線硬化型樹脂層の残留がないので、コネクタを接続した場合に、光の接続損失が生じにくい。
【0033】
なお、上記した被覆除去具20を用いる紫外線硬化型樹脂層12に樹脂被覆層16
を加えた複合被覆と、ガラスファイバ11との分離に関し、板状レバー部材21a、21bを閉じる力は、通常2kgf程度であり、紫外線硬化型樹脂層12と樹脂被覆層16とを引抜き速度は、約500mm/分である。
【0034】
また、樹脂被覆層16(第一被覆層14,第二被覆層15)を構成する樹脂は、ハロゲンを有さない樹脂であるので、環境特性に優れる。
樹脂被覆層16を構成する樹脂は、ハロゲンを有さない樹脂であれば特に限定されないが、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を挙げることができ、より具体的には、第一被覆層14を構成する樹脂は、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、エチレン・ビニルアセテート樹脂(EVA)、エチレン・エチルアクリレート樹脂(EEA)、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)及びスチレン・ブタジエンゴム(SBR)等から選択される1種の樹脂または2種以上の樹脂の混合物を好適に例示できる。第一被覆層14中の樹脂の含有量は、LUV/LSHが前記した範囲となれば特に限定されないが、後述する第一被覆層の弾性率を鑑みて、50重量%〜65重量%とされるのが好ましい。
また、第一被覆層14は、フィラーとして無機化合物を含有でき、無機化合物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、シリカ、黒鉛、およびこれらの材料をシラン処理したもの等を挙げることができる。
【0035】
また、第二被覆層15を構成する樹脂は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂から選択される1種の樹脂または2種以上の樹脂の混合物を好適に例示できる。ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、前掲ものを例示できる。また、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)を挙げることができる。第二被覆層15中の前記樹脂の含有量は、特に限定されないが、後述する第二被覆層の弾性率を鑑みて、40重量%〜60重量%とされるのが好ましい。
また、第二被覆層15は、前掲の無機化合物をフィラーとして含有できる。
【0036】
第一被覆層14及び第二被覆層15に関し、前記無機化合物として金属水酸化物を使用すれば、第一被覆層14及び第二被覆層15の弾性率や後述する押し出し機による成形性を調整しやすく、また、被覆光ファイバ心線10の難燃性も向上できる。金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等を挙げることができる。金属水酸化物の含有量は、第一被覆層14及び第二被覆層15を構成する樹脂組成物の全量に対して30重量%〜65重量%であるのが好ましい。
【0037】
第一被覆層14は、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂もしくはポリフェニレンエーテル(PPE)またはこれらの混合樹脂100重量部に対して、金属水酸化物を20重量部以上250重量部未満で、窒素系難燃助剤を100重量部未満で添加してなるのも好ましい。また、第二被覆層15は、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂もしくはポリフェニレンエーテルまたはこれらの混合樹脂100重量部に対して、金属水酸化物を20重量部以上250重量部未満で、窒素系難燃助剤を100重量部未満で添加してなるのも好ましい。このような構成によれば、燃焼時に吸熱性を発現する金属水酸化物が20重量部以上を添加するとともに、燃焼抑制効果を有する窒素系難燃助剤を添加するので、高い難燃性を発現できる。また、金属水酸化物を250重量部未満、窒素系難燃助剤を100重量部未満で添加するので、被覆光ファイバ心線の製造時において、第一被覆層14の場合は光ファイバ心線に対して、第二被覆層15の場合は第一被覆層15が被覆された光ファイバ心線に対して、樹脂組成物を押出して被覆することを良好に実施できる。金属水酸化物及び窒素系難燃助剤の重量は前記上限値以上となると、“所望の形状に被覆することが困難となる”、“押出し時にダイスの周囲にカスが付着し、その結果、長手方向に渡って被覆層の表面に異物が付着して、外観に劣る”等の不具合が発生する傾向となる。なお、窒素系難燃助剤は、上記樹脂100重量部に対して10重量部以上で添加されるのが好ましく、これにより、被覆光ファイバ心線10に難燃性を確実に付与できる。
【0038】
ポリスチレン系熱可塑性樹脂としては、スチレンのホモポリマー、一般用ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS),スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS),スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)など)等を例示できる。
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、前掲の例示物(ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂(TPOも含む)を挙げることができる。
窒素系難燃助剤としては、メラミンシアヌレート、メラミン誘導体、トリス(β−シアノエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。金属水酸化物に加え、このような窒素系難燃助剤を使用すれば、燃焼時に塩化水素ガス等の有害ガスを発生しないことから、環境に与える負荷が少ない被覆光ファイバ心線10とすることができる。
【0039】
前記したように、樹脂としては、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂及びポリフェニレンエーテル(PPE)の1種以上を選択して使用できるが、より具体的には、ポリスチレンないしスチレン系熱可塑性エラストマーとポリフェニレンエーテルとを使用する形態をより好適に例示できる。この場合、ポリスチレンないしスチレン系熱可塑性エラストマーとポリフェニレンエーテルとの重量比は、9:1〜1:9とされるのが好ましく、8:2〜2:8とされるのがより好ましい。
【0040】
このように、上記形態では、十分な難燃性を得るべく、金属水酸化物が上記下限値以上で添加されるとともに、窒素系難燃助剤が併用されるが、窒素系難燃助剤は、特にポリスチレン系熱可塑性樹脂及びポリフェニレンエーテルに対して相溶性が高い。よって、例えば、第一被覆層14内に金属水酸化物や窒素系難燃助剤が前記した範囲で添加されても、窒素系難燃助剤が紫外線硬化型樹脂層12へ染み出すなどして紫外線硬化型樹脂層12と第一被覆層14との滑り性が所望の範囲からはずれることによって被覆光ファイバ心線10の被覆除去性が劣ってしまう虞れはない。
【0041】
また、第一被覆層14および第二被覆層15は、それぞれ、必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、老化防止剤等の添加剤などを含有してもよい。これらの添加剤の含有量は、第一被覆層14または第二被覆層15中に通常数%とされる。
【0042】
本発明の実施形態に係る被覆ガラスファイバ心線10においては、第一被覆層14の弾性率は1MPa〜100MPa(より好ましくは、5MPa〜50MPa)、第二被覆層15の弾性率は200MPa〜1500MPa(より好ましくは、250MPa〜1000MPa)、第一被覆層14までの外径(Dp)が0.3mmφ〜0.7mmφ(より好ましくは、0.35mmφ〜0.60mmφ)、第二被覆層15までの外径(Ds)は0.75mmφ〜1.0mmφ(より好ましくは、0.85mmφ〜0.95mmφ)とされるのが好ましい。ここで、第一被覆層14および第二被覆層15の弾性率は、前記した第一被覆層14および第二被覆層15を構成する各化合物の種類および添加量を変更することにより好適に調整される。
なお、本明細書中、弾性率とは、JIS K 7113に準じて、2号型試験片を使用して測定されるヤング率のことをいうものとする。
【0043】
このように、第一被覆層14を柔軟な層とし、第二被覆層15を堅固な層とすることによって、被覆光ファイバ心線10が受ける側圧(被覆光ファイバ心線10の外周面から受ける外界からの圧力)に対して、第二被覆層15で該圧力を吸収させ、また、該圧力が、第二被覆層15で完全に吸収できない程、大きな力であっても第一被覆層14で該圧力を緩衝させることができるので、ガラスファイバ11が圧力を受けることによる光伝送損失を低減できる。
【0044】
次に、紫外線硬化型樹脂層12について説明する。紫外線硬化型樹脂層12を構成する樹脂は、紫外線硬化型液状樹脂組成物が紫外線照射によって硬化された樹脂であり、紫外線硬化型液状樹脂組成物(以下、単に、“液状樹脂組成物”ともいう)とは、紫外線照射により硬化しうる液状の樹脂組成物を意味する。
【0045】
液状樹脂組成物は、繰り返し単位構造と重合性二重結合とを併有する重合性オリゴマー、重合性不飽和モノマー(以下、“反応希釈性モノマー”ともいう)、および光重合開始剤を含有するものが好ましい。
【0046】
重合性オリゴマーは、“ウレタン結合を有する繰り返し単位構造”と(メタ)アクリル基とを併有する重合性オリゴマーが好ましく、特に、ポリオール化合物とジイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートを用いて、ジイソシアネートのイソシアネート基を、ポリオール化合物の水酸基および水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基と反応させて得られる重合性オリゴマーが好ましい。
【0047】
ポリオール化合物としては、ポリエーテルジオールなどに代表されるポリエーテルポリオールを挙げることができ、より具体的には、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、プロピレンオキシドと他の一種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルポリオールなどが好適に挙げられる。上記イオン重合性環状化合物としては、例えばエチレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステルなどの環状エーテル類が挙げられる。これらのポリエーテルポリオールの平均官能基数(例えばヒドロキシ基の数)は、本発明硬化物の良好なゲル分率および液状樹脂組成物の適度な粘度を得る観点から1.5〜6.0が好ましい。
【0048】
上記ポリエーテルポリオールは、例えば、EXCENOL720、1020、2020、3030、4030、PREMINOL3010、4002、4010(以上、旭硝子ウレタン製)、PPTG2000、PPTG1000、(以上、保土谷化学工業製)などの市販品としても入手することができる。
【0049】
重合性オリゴマーの合成に用いられるジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。芳香族ジイソシアネートとして、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族ジイソシアネートとして、例えば、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとして、例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。これらのうち、樹脂被覆層の耐黄変性の観点から、脂環式ポリイソシアネートあるいは脂肪族ポリイソシアネートがより好ましく、イソフォロンジイソシアネートが特に好ましい。これらのジイソシアネート化合物は単独で用いても、2種以上併用しても良い。
【0050】
重合性オリゴマーの合成に用いられる水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応性の点から、水酸基が第一級炭素原子に結合した水酸基含有(メタ)アクリレート(第一水酸基含有(メタ)アクリレートという)および水酸基が第二級炭素原子に結合した水酸基含有(メタ)アクリレート(第二水酸基含有(メタ)アクリレートという)が好ましい。第一水酸基含有(メタ)アクリレートとして、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、および、一般式CH2=C(R1)-COOCH2CH2-(OCOCH2CH2CH2CH2CH2)n-OH(式中、R1 は水素原子又はメチル基を示し、nは1〜3の数を示す)で表される(メタ)アクリレート等が挙げられる。第二水酸基含有(メタ)アクリレートとして、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、さらに、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物が挙げられる。
ポリオール化合物とジイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応を実施する具体的方法としては、例えばポリオール化合物、ジイソシアネート化合物及び水酸基含有(メタ)アクリレートを一括して仕込んで反応させる方法;ポリオール化合物及びジイソシアネート化合物を反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法;ジイソシアネート化合物及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオール化合物を反応させる方法;ジイソシアネート化合物及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオール化合物を反応させ、最後にまた水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法などが挙げられる。
【0051】
重合性オリゴマーの合成においては、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、2,6,7−トリメチル−1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン等のウレタン化触媒を、反応物の総量に対して0.01重量%〜1重量%用いるのが好ましい。また、反応温度は、通常5℃〜90℃、特に10℃〜80℃が好ましい。
【0052】
なお、重合性オリゴマーの合成においてポリオールとともにジアミンを併用することも可能であり、このようなジアミンとしてはエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、パラフェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン等のジアミンやヘテロ原子を含むジアミン、ポリエーテルジアミン等が挙げられる。
【0053】
また、水酸基含有(メタ)アクリレートの一部をイソシアネート基に付加しうる官能基を持った化合物に置き換えて用いることもできる。この化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。これらの化合物を使用することにより、光ファイバへの密着性をさらに高めることができる。
【0054】
重合性オリゴマーの好ましい分子量は、液状樹脂組成物として適度な粘度、および、前記したプライマリ層またはセカンダリ層として好ましい物性値を鑑みて設定されるものであるが、ゲルパーミュエーションクロマトグラフ法によるポリスチレン換算の数平均分子量で500〜40,000の範囲内とされるのが好ましく、700〜30,000の範囲内とされるのがより好ましい。
重合性オリゴマーは、以上例示したものを、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0055】
重合性オリゴマーの液状樹脂組成物に対する含有量は、液状樹脂組成物として適度な粘度、および、後述する好ましい弾性率等を鑑みて設定されるものであるが、20重量%〜85重量%の範囲内とされるのが好ましく、25重量%〜80重量%の範囲内とされるのがより好ましい。
【0056】
次に、重合性不飽和モノマー(反応希釈性モノマー)について説明する。重合性不飽和モノマーとしては単官能性化合物及び/または多官能性化合物を用いることができる。単官能性化合物としては、例えばN−ビニルピロリドン,N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタム;イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン等が挙げられる。さらに、一般式CH2=C(R2)-COO(R3O)m-R4 (式中、R2 は水素原子またはメチル基を示し、R3 は炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレン基を示し、R4 は水素原子または炭素数1〜12、好ましくは1〜9のアルキル基を示し、mは0〜12、好ましくは1〜8の数を示す)で表される(メタ)アクリレート類;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のエーテル基含有(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート;ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類等が挙げられる。このうち、一般式CH2=C(R2)-COO(R3O)m-R4で表される(メタ)アクリレート類としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0057】
また、上記の重合性不飽和モノマーの単官能性化合物の市販品としては、アロニックスM111、M113、M114、M117(以上、東亞合成製);KAYARAD、TC110S、R629、R644(以上、日本化薬製);IBXA、ビスコート3700(大阪有機化学工業製)等が挙げられる。
【0058】
また、多官能性化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体のジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体のジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。これら多官能性化合物の市販品としては、例えばユピマーUV SA1002、SA2007(以上、三菱化学製);ビスコート700(大阪有機化学工業製);KAYARAD R−604、DPCA−20、−30、−60、−120、HX−620、D−310、D−330(以上、日本化薬製);アロニックスM−210、M−215、M−315、M−325(以上、東亞合成製)等が挙げられる。
重合性不飽和モノマーは、以上例示したものを、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
重合性不飽和モノマーの液状樹脂組成物に対する含有量は、液状樹脂組成物として適度な粘度、および、後述する好ましい弾性率等を鑑みて設定されるものであるが、10重量%〜80重量%の範囲内とされるのが好ましく、15重量%〜75重量%の範囲内とされるのがより好ましい。
【0060】
光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。その市販品としては、I.651、I.369、I.907、I−184(チバスペシャルティケミカル社製)等を挙げることができる。
【0061】
光重合開始剤の液状樹脂組成物に対する含有量は、0.1重量%〜10重量%の範囲内とされるのが好ましく、0.3重量%〜7重量%の範囲内とされるのがより好ましい。
【0062】
また、液状樹脂組成物には、添加剤として、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤,イオウ系酸化防止剤等の酸化防止剤、アミン系重合禁止剤等の重合禁止剤等を含有できる。
【0063】
本発明の実施形態に係る被覆光ファイバ心線10は、図1(B)に示すように、紫外線硬化型樹脂層12が、ガラスファイバ11から離れる方向に、第一紫外線硬化型樹脂層12Aと第二紫外線硬化型樹脂層12Bと着色層12Cとを設けてなる。このような被覆光ファイバ心線10を得るためには、通常、先ず、ガラスファイバ11の外周に第一紫外線硬化型樹脂層12Aと第二紫外線硬化型樹脂層12Bと着色層12Cとを設けてなる光ファイバ心線13が製造される。
【0064】
光ファイバ心線13は、図3の模式断面図に示すような樹脂塗布装置43a,43b、紫外線照射装置44a,44bを用いて好適に製造できる。
すなわち、光ファイバ母材41を線引炉42において線引して、光ファイバ11を得る。次いで光ファイバ11を第1の樹脂塗布装置43aに通過させて、第一紫外線硬化型樹脂層用の液状樹脂組成物(図示せず)を光ファイバ11の表面に設けた後、第1の紫外線照射装置44aに通過させて、該樹脂組成物を硬化することによって、光ファイバ11に第一紫外線硬化型樹脂層を設ける。上記第1の紫外線照射装置44aは、光ファイバ1が通過すべき中空筒状体45aと、液状樹脂組成物に紫外線を照射する紫外線ランプ46aとから構成されている。
【0065】
次いで、第一紫外線硬化型樹脂層12Aが設けられた光ファイバ11を、第2の樹脂塗布装置43bに通過させて、第二紫外線硬化型樹脂層用の液状樹脂組成物(図示せず)を第一紫外線硬化型樹脂層12Aの上に設けた後、第2の紫外線照射装置44bに通過させて、該樹脂組成物を硬化する。これにより、第一紫外線硬化型樹脂層12Aの外側に第二紫外線硬化型樹脂層12Bが設けられ、次いで、巻取機48aに巻き取られる。
上記第2の紫外線照射装置44bは、前記第1の紫外線照射装置44aと同様に、光ファイバ11が通過すべき中空筒状体45bと、液状樹脂組成物に紫外線を照射する紫外線ランプ46bとから構成されている。
【0066】
なお、以上に示した、第一紫外線硬化型樹脂層12Aと第二紫外線硬化型樹脂層12Bとの被覆方法は、タンデムコーティング方法として知られているが、光ファイバの表面に第一紫外線硬化型樹脂層用の液状樹脂組成物を設けるとともに、この外側に第二紫外線硬化型樹脂層用の液状樹脂組成物を設け、次いで、紫外線を照射して、第一紫外線硬化型樹脂層12Aと第二紫外線硬化型樹脂層12Bとを作製する“デュアルコーティング方法”を使用してもよい。
【0067】
以上のように、光ファイバ11に第一紫外線硬化型樹脂層12Aと第二紫外線硬化型樹脂層12Bとを設けた後、図4の模式断面図に示すような樹脂塗布装置と、紫外線照射装置とを用いて、着色層12Cを設けることによって、光ファイバ心線13を好適に得ることができる。
【0068】
すなわち、第一紫外線硬化型樹脂層12Aと第二紫外線硬化型樹脂層12Bとが設けられた光ファイバを、第3の樹脂塗布装置43cに通過させて、着色剤組成物(図示せず)を第二紫外線硬化型樹脂層12Bの表面に設けた後、第3の紫外線照射装置44cに通過させて、該着色剤組成物を硬化する。これにより、着色層12Cが設けられて、被覆光ファイバ13が得られる。上記第3の紫外線照射装置44cは、図3で示した第1の紫外線照射装置44aおよび第2の紫外線照射装置44bと同様に、被覆光ファイバ21が通過すべき中空筒状体45cと、着色剤組成物に紫外線を照射する紫外線ランプ46cとから構成されている。上記のようにして得られた光ファイバ心線13は、次いで、巻取機48bに巻き取られる。
【0069】
着色剤組成物としては、前記紫外線硬化型液状樹脂組成物に、着色剤としての顔料(有機系顔料など)および公知の顔料分散剤を添加してなる組成物を例示できる。また、着色剤組成物は、重合性オリゴマーとして、エポキシ(メタ)アクリレートやウレタンアクリレート、或いはエステル系アクリレート等の他の硬化性のオリゴマーを好適に含有できる。
【0070】
光ファイバ心線13に関し、第一紫外線硬化型樹脂層12Aの弾性率は0.5MPa〜2MPa、第二紫外線硬化型樹脂層12Bの弾性率は5MPa〜1500MPa、着色層12Cの弾性率は500MPa〜1500MPaとされるのが好ましい。このように、第一紫外線硬化型樹脂層12Aを柔軟な層とし、第二紫外線硬化型樹脂層12Bを堅固な層とすることによって、光ファイバ心線13が受ける側圧(光ファイバ心線13の外周面から受ける外界からの圧力であって、特に、光ファイバ心線13に樹脂被覆層16が設けられる前に受ける圧力)に対して、第二紫外線硬化型樹脂層12Bで該圧力を吸収させ、また、該圧力が、第二紫外線硬化型樹脂層12Bで完全に吸収できない程に大きな力であっても第一紫外線硬化型樹脂層12Aで該圧力を緩衝させることにより、ガラスファイバ11が圧力を受けることによる光伝送損失を低減できる。
【0071】
より、好ましくは、第二紫外線硬化型樹脂層12Bの弾性率は、5MPa〜600MPaとなっている。前記引張弾性率が5MPa未満であると、外界からの圧力を吸収しにくく、ガラスファイバを損傷しやすくなる。一方、前記引張弾性率が600MPaを超えると、上記した被覆除去具20の刃が第二紫外線硬化型樹脂層12Bに入りにくく、紫外線硬化型樹脂層12を被覆光ファイバ心線から分離しにくくなる。
【0072】
光ファイバ心線13を構成する各層の好ましい寸法を以下に示す。
ガラスファイバ11の外径(Dg):125μm
第一紫外線硬化型樹脂層12Aまでの外径(DU1):200μm
第二紫外線硬化型樹脂層12Bまでの外径(DU2):245μm
着色層12Cまでの外径(DC):255μm
【0073】
次いで、以上のようにして得られる光ファイバ心線13の外周に樹脂被覆層16を塗布することによって、被覆光ファイバ心線10は好適に製造される。
すなわち、図5に示すように、供給リール31から光ファイバ心線13を繰り出し、張力制御装置32を通して押し出し機33に供給する。ここで、押し出し機33は、第一被覆層14の成分が収容された第一収容部33Aと、第二被覆層15の成分が収容された第二収容部33Bと、第一被覆層14の成分と第二被覆層15の成分を順に押し出すことによって光ファイバ心線13の外周に樹脂被覆層16を塗布できるクロスヘッド33Cとを備えている。第一被覆層14の成分および第二被覆層15の成分は、溶融状態で光ファイバ心線13の外周に塗布されるのが好ましく、通常、押し出し機33は、所定位置に加熱器(図示せず)を備える。
次いで、押し出し機33から押し出されたものを冷却水槽34に導いて冷却して樹脂被覆層16を硬化させ、被覆光ファイバ心線10とする。
【0074】
以上に、被覆光ファイバ心線10の製造方法について説明したが、LUV/LSHを15%〜85%とするためには、着色層12C(紫外線硬化型樹脂層12の最外層)と第一被覆層14との摩擦係数が0.2〜0.5に調整されるのが好ましい。
着色層12Cと第一被覆層14との摩擦係数を上記範囲内とする方法としては、これらの層を構成する化合物の種類や添加量を調整する方法を挙げることができるが、着色層12C、あるいは、第一被覆層14に剥離剤を添加して、前記摩擦係数を調整する手法を好適に挙げることができる。
【0075】
剥離剤を含有する着色層12Cは、反応希釈性モノマーの一部としてシリコン系アクリレートが添加された着色剤組成物を使用することにより、好適に得られる。または、着色剤組成物に剥離剤としてシリコンオイルを添加しても良い。
【0076】
また、第一被覆層14に添加する剥離剤としては、シリコーンオイル,離型シリコーン(ワニス・ゴム型)等のシリコン化合物を挙げることができ、前記範囲の摩擦係数を得るためには、通常、第一被覆層14を構成する樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲で添加されるものである。
この場合、より具体的には、第一被覆層14及び第二被覆層15の前記した弾性率の好適な範囲を鑑みれば、第一被覆層14及び第二被覆層15の各組成は、以下のようにされるのが好ましい。
【0077】
第一被覆層:ポリオレフィン系熱可塑性樹脂100重量部に対して、金属水酸化物を20〜150重量部
第二被覆層:ポリオレフィン系熱可塑性樹脂および/または熱可塑性エラストマー樹脂100重量部に対して、金属水酸化物を20〜150重量部
【0078】
また、被覆光ファイバ心線10は、紫外線硬化型樹脂層12と樹脂被覆層16とを、引張り試験に基づいてガラスファイバ11から引抜く際の引抜力が2.5kgf以下となるように構成されているのが好ましく、前記した被覆除去具20を用いて、容易に(大きな負荷を感じることなく)、紫外線硬化型樹脂層12と樹脂被覆層16とを引抜いて、ガラスファイバ11を露出できる。前記引抜力を2.5kgf以下とするには、被覆光ファイバ心線10作製時における押出温度を上昇させて樹脂の溶融粘度を下げ、押出圧力(光ファイバ心線13に対する圧力)を低減させることや、押出後(=冷却後)の収縮率が比較的小さい樹脂を使用することが重要である。
【0079】
次に、本発明の実施形態に係るコネクタ付被覆光ファイバ心線について説明する。
前記したように被覆除去具20(図9参照)を用いて被覆光ファイバ心線10の端末を加工することによって作製したガラスファイバ露出部11Aと被覆除去端面16Aとを有する被覆光ファイバ心線10と、ガラスファイバ露出部11Aを収容可能な中空17Aを有するフェルール17を内蔵するコネクタ18とを接続することによって、本発明の実施形態に係るコネクタ付被覆光ファイバ心線19は製造される(図6参照)。より具体的には、ガラスファイバ露出部11Aを歪力のかからない状態で中空17Aに収容しながら被覆除去端面16Aをフェルールの突き当て端面17Bに当接させ、通常、この状態を維持すべく、固定手段(図示せず)によって被覆光ファイバ心線10とコネクタ18とを接続する。
【0080】
次いで、ガラスファイバの先端面11Bとフェルールの開放端面17Cとを研磨するなどして所望の形状となるように加工する。なお、ガラスファイバの先端面11Bとフェルールの開放端面17Cとが構成する面としては、平面、球面および曲面を挙げることができ、コネクタ付被覆光ファイバ心線19の仕様に応じて、適宜、選択される。
【0081】
コネクタ付被覆光ファイバ心線19は、前記したようにガラスファイバ露出部11Aに紫外線硬化型樹脂層12が残留していないので、ガラスファイバ露出部11Aは、歪力を受けることなく中空17Aに収容されるとともに、被覆除去端面16Aとフェルールの突き当て端面17Bとの当接は確実となっている。また、ガラスファイバの先端面11Bの中心が所望の位置に存在している。よって、コネクタ付被覆光ファイバ心線19は、歪による伝送損失がなく、ガラスファイバの位置がずれることによる接続損失がないので、光伝送特性に優れる。
また、コネクタ付被覆光ファイバ心線19は、本発明の実施形態に係る被覆光ファイバ心線10が使用されているので、環境特性と機械特性とに優れる。
【0082】
次に、本発明の実施形態に係る光ファイバケーブルについて説明する。
本発明の実施形態に係る光ファイバケーブル50は、図7の模式断面図に示すように、本発明に係る被覆光ファイバ心線10をテンションメンバ51の外周面上に複数配置し、被覆光ファイバ心線10の外側に緩衝材52を配置し、押え巻き層53を緩衝材52の外側に設け、押え巻き層53の外周面を樹脂層54で被覆してなる。ここで、被覆光ファイバ心線10は、テンションメンバ51の軸方向に沿って配置されても、テンションメンバ51の螺旋方向に配置されても良い。
【0083】
テンションメンバ51としては、ポリエチレン樹脂で被覆された鋼線(単線または撚線)を、緩衝材52としては、ポリプロピレン解繊糸を好適に例示できる。また、押え巻き層53は、緩衝材52を介して被覆光ファイバ心線10をテンションメンバ51に圧接できるように、ポリエチレンテレフタレート製あるいはポリエチレン製のフィルム状テープが巻回されてなる層であることが好ましい。樹脂層54としては、ポリエチレン樹脂を好適に例示できる。
【0084】
光ファイバケーブル50は、以上のように、本発明の実施形態に係る被覆光ファイバ心線10を使用するので、環境特性と機械特性とに優れる。また、光ファイバケーブル50を他の光通信機器と接続するために、ガラスファイバ11を露出してコネクタを接続する場合、光伝送特性の低下を抑制できる光ファイバケーブルとすることができる。
【0085】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0086】
(被覆光ファイバ心線の作製)
石英ガラスを主成分とするシングルモード型ガラスファイバ(Dg:125μm)の外周に第一紫外線硬化型樹脂層(DU1:200μm)と第二紫外線硬化型樹脂層(DU2:245μm)と着色層(DC:255μm)とを前記した方法および表1及び表2に示す組成に準じて設けることによって、光ファイバ心線を製造する(なお、比較例の一部は、上記着色層を設けない。)。次いで、この光ファイバ心線の外周に、表1及び表2に示す組成の第一被覆層と第二被覆層とを前記した方法に準じて設けることによって、実施例1〜9,比較例1〜7の被覆光ファイバ心線を作製する。被覆光ファイバ心線の各特性値を表1及び表2に示す。なお、同一樹脂の弾性率の違いは硬化条件による。また、比較例7は、第一被覆層と第二被覆層とが同様のものであり、一層の樹脂被覆層と考えることもできる。
【0087】
【表1】
Figure 0003912532
【0088】
【表2】
Figure 0003912532
【0089】
表1および表2に関し、各樹脂層の組成は以下の通りである。
<紫外線硬化型樹脂層を構成する樹脂>
樹脂A(紫外線硬化型樹脂1層目=第一紫外線硬化型樹脂層):ウレタンアクリレートオリゴマーI(80部)+反応希釈性モノマー(15部)+光重合開始剤(3部)+その他添加剤(2部)
【0090】
(樹脂Aの構成要素)
ウレタンアクリレートオリゴマーI:ポリプロピレングリコール+イソホロンジイソシアネート+2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレートの重合により得られた平均分子量8000の成分
反応希釈性モノマー:N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、イソボニルアクリレートの混合物(配合比=3:3:1)
光重合性開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド
その他添加剤:γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、酸化防止剤
【0091】
樹脂B(紫外線硬化型樹脂3層目=着色層):ウレタンアクリレートオリゴマーII(10部)+エポキシアクリレートオリゴマー(55部)+反応希釈性モノマー(20部)+光重合開始剤(10部)+有機顔料(3部)+その他添加剤(2部)
【0092】
(樹脂Bの構成要素)
ウレタンアクリレートオリゴマーII:ポリテトラメチレングリコール+トリレンジイソシアネート+トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレートの重合により得られた平均分子量3500の成分
エポキシアクリレート:ビスフェノールA+2ヒドロキシルブチル(メタ)アクリレートの重合により得られた平均分子量2500の成分
反応希釈性モノマー:ビスフェノールAエチレンオキサイド変性アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、シリコンアクリレート
光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾインエーテル
有機顔料:有機系顔料(例:フタロシアニンブルー)
その他添加剤:酸化防止剤、酸化チタン等
【0093】
樹脂C(紫外線硬化型樹脂2層目=第二紫外線硬化型樹脂層)
ウレタンアクリレートオリゴマーIII(65部)+反応希釈性モノマー(30部)+光重合開始剤(4部)+その他添加剤(1部)
【0094】
(樹脂Cの構成要素)
ウレタンアクリレートオリゴマーIII:ポリプロピレングリコール+トリレンジイソシアネート+2−ヒドロキシル(メタ)アクリレートの重合により得られた平均分子量4000の成分
反応希釈性モノマー:N−ビニルピロリドン、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの混合物(配合比=3:5)
光重合性開始剤:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン
その他添加剤:酸化防止剤、老化防止剤
【0095】
樹脂D:(紫外線硬化型樹脂2層目=第二紫外線硬化型樹脂層)
ウレタンアクリレートオリゴマーIV(55部)+反応希釈性モノマー(35部)+光重合性開始剤(5部)+その他添加剤(数部)
【0096】
(樹脂Dの構成要素)
ウレタンアクリレートIV:ポリテトラメチレングリコール+トリレンジイソシアネート+2−ヒドロキシル(メタ)アクリレートの重合により得られた平均分子量4500の成分
反応希釈性モノマー:N−ビニルカプロラクタム、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートの混合物(混合比=2:3)
光重合性開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1
その他添加剤:酸化防止剤、老化防止剤
【0097】
樹脂E:(紫外線硬化型樹脂2層目=第二紫外線硬化型樹脂層)
ウレタンアクリレートオリゴマーV(60部)+反応希釈性モノマー(35部)+光重合性開始剤(5部)+その他添加剤(数部)
【0098】
(樹脂Eの構成要素)
ウレタンアクリレートオリゴマーV:プロピレンオキシド+3−フェニルジイソシアネート+4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの重合により得られた平均分子量6500の成分
反応希釈性モノマー:イソポニルアクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート(混合比=4:3)
光重合性開始剤:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン
その他添加剤:酸化防止剤、老化防止剤
【0099】
樹脂F:(紫外線硬化型樹脂2層目=第二紫外線硬化型樹脂層)
ウレタンアクリレートオリゴマーVI(65部)+反応希釈性モノマー(30部)+光重合性開始剤(5部)+その他添加剤(数部)
【0100】
(樹脂Fの構成要素)
ウレタンアクリレートオリゴマーVI:プロピレンオキシド+3,3−ジメチルフェニレンジイソシアネート+2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレートの重合によリ得られた平均分子量5500の成分
反応希釈性モノマー:イソボニルアクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート
光重合性開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1
その他添加剤:酸化防止剤、老化防止剤
【0101】
<樹脂被覆層を構成する樹脂(熱可塑剤樹脂)>
1)I−A
密度0.92〜0.94のEVA100部に対して、金属水酸化物80部、その他添加剤(フェノール系酸化防止剤,滑剤)約3部を添加したもの。
2)I’−A
密度0.92〜0.94のEVA100部に対して、金属水酸化物80部、シリコンゴム3部、その他添加剤(フェノール系酸化防止剤、滑剤)約3部を添加したもの。
3)I−B
毎度0.92〜0.94のEVA100部に対して、金属水酸化物120部、その他添加剤(フェノール系酸化防止剤、滑剤)約3部を添加したもの。
4)I−C
密度0.92〜0.94のEVA100部に対して、金属水酸化物30部、その他添加剤(フェノール系酸化防止剤、滑剤)約3部を添加したもの。
5)I−D
スチレン系熱可塑性エラストマーとPPEの混合樹脂(SEBS(スチレン:エチレンブタジエン=1.5:8.5):PPE=8:2)100部に対して、金属水酸化物240部、窒素系難燃助剤30部、その他添加剤(フェノール系酸化防止剤、滑剤)約3部を添加したもの。
6)I−E
スチレン系熱可塑性エラストマーとPPEの混合樹脂(SBS(スチレン:ブタジエン=3:7):PPE=8:2)100部に対して、金属水酸化物200部、窒素系難燃助剤60部、その他添加剤(フェノール系酸化防止剤、滑剤)約3部を添加したもの。
7)I−F
ポリスチレン100部に対して、金属水酸化物200部、窒素系難燃助剤90部、その他添加剤(フェノール系酸化防止剤、滑剤)約3部を添加したもの。
【0102】
8)II−A
密度0.90〜0.92のPP100部に対して、金属水酸化物90部、その他添加剤(フェノール系酸化防止剤、滑剤)約3部を添加したもの。
9)II−B
密度0.96〜0.97のEVAと密度0.95〜0.97のPE(ポリエチレン樹脂)のブレンド品100部に対して、金属水酸化物120部、その他添加剤(フェノール系酸化防止剤、滑剤)約3部を添加したもの。
10)II−C
密度0.96〜0.97のEVAと密度0.95〜0.97のPEのブレンド品100部に対して、金属水酸化物50部、その他添加剤(フェノール系酸化防止剤、滑剤)約3部を添加したもの。
11)II−D
スチレン系熱可塑性エラストマーとPPEの混合樹脂(SEBS(スチレン:エチレンブタジエン=9:1):PPE=2:8)100部に対して、金属水酸化物240部、窒素系難燃助剤30部、その他添加剤(フェノール系酸化防止剤、滑剤)約3部を添加したもの。
12)II−E
スチレン系熱可塑性エラストマーとPPEの混合樹脂(SBS(スチレン:ブタジエン=8:2):PPE=2:8)100部に対して、金属水酸化物200部、窒素系難燃助剤60部、その他添加剤(フェノール系酸化防止剤、滑剤)約3部を添加したもの。
13)II−F
ポリスチレン100部に対して、金属水酸化物200部、窒素系難燃助剤90部、その他添加剤(フェノール系酸化防止剤、滑剤)約3部を添加したもの。
14)III
密度0.92〜0.94のEVAと密度0.95〜0.97のPEのブレンド品100部に対して、金属水酸化物40部、その他添加剤(フェノール系酸化防止剤、滑剤)約3部を添加したもの。
【0103】
また、表1及び表2に記載の各種試験の方法は、以下のようにして行う。
(光伝送特性)
実施例1〜9,比較例1〜7の被覆光ファイバ心線の末端から長さ30mmの部分を図9に示す被覆除去具に対応する「被覆除去具JR−22」(住友電気工業株式会社の商品名)を用いて樹脂層を除去する。分離された樹脂層に関し、紫外線硬化型樹脂層が全く見られなかったものを“LUV/LSH=0%”と定義し、紫外線硬化型樹脂層の引抜方向長さと樹脂被覆層の引抜方向長さとが同じものを“LUV/LSH=100%”と定義する。
また、“紫外線硬化型樹脂層の残留率”は、「ガラスファイバ露出部上に残留した紫外線硬化型樹脂層の長手方向長さ/ガラスファイバ露出部の長手方向長さ×100(%)」である。
【0104】
また、以下の判断基準により、被覆除去性を評価する。
A:引抜力が2.5kgf以下であるとともに、非加熱リムーバ(被覆除去具)で容易に被覆除去出来る。
B1:引抜力は2.5kgf以下だが、ガラスファイバ上に紫外線硬化型樹脂層が残留する。
B2:引抜力は2.5kgfを超えるが、ガラスファイバ上に紫外線硬化型樹脂層が残留しない。
C:被覆除去時にガラスファイバが破断してしまう。
UV/LSHが15%〜85%であり、被覆除去性良好なものは、コネクタ付被覆光ファイバとしたときに光伝送特性に優れる。
【0105】
(機械特性(側圧特性))
実施例1〜9,比較例1〜7の被覆光ファイバ心線に対して、長手方向長さ100mm当たり100kgの荷重を加え(R5のエッジを有する平板に当該心線に挟んで、オートグラフ試験器にて所定の荷重を加えていく。)、伝送損失量(dB)を測定する。この値を「側圧ロス(dB/km)」として表1及び表2に示す。なお、荷重を加える前の伝送損失量(dB/km)を測定し、この値も「初期ロス(dB/km)」として示す。側圧ロスが少ない程、側圧特性に優れる。
伝送損失の測定条件:1.55μm連続モニター(安藤電気製安定化光源AQ−4139使用)
【0106】
以下の判断基準により、側圧特性を評価する。
A:側圧ロスが0.05より小さい。
B:側圧ロスが0.05以上0.1未満
C:側圧ロスが0.1以上
【0107】
(摩擦係数測定)
図8に示すように、実施例1〜9,比較例1〜7の被覆光ファイバ心線に対応する光ファイバ心線60(長手方向長さ:10cm)を7本並列に揃えて短冊体61とし、これを第一被覆層に相当する素材がシート状に成形加工されたシート状物62の上に配置するとともに、短冊体61の上に板63を置き、さらに、板63の上に重り64を置く。次いで、短冊体61をその長手方向Pに沿って移動させることにより、最大摩擦係数を測定する。重り64の重さは、短冊体61と板63と重り64が、一体となって移動できる重さとされ、50gである。
【0108】
UV/LSHが15%〜85%となるように構成された実施例1〜9の被覆光ファイバ心線は、ガラスの破断や紫外線硬化型樹脂層が生じず、コネクタ付被覆光ファイバ心線とした場合、光伝送特性に優れる。
特に、第一被覆層の弾性率が5MPa〜100MPa、第二被覆層の弾性率が250MPa〜1500MPaとされた実施例1〜5,7〜9の被覆光ファイバ心線は、側圧特性にも優れる。
一方、LUV/LSHが15%〜85%の範囲外とされた比較例1〜7の被覆光ファイバ心線は、ガラスの破断や紫外線硬化型樹脂層が生じて、コネクタ付被覆光ファイバ心線とした場合、光伝送特性に劣る。
【0109】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、環境特性と機械特性に優れるととともに、コネクタが接続された場合にあっても、光伝送特性の低下を抑制できる被覆光ファイバ心線、並びに、環境特性と機械特性と光伝送特性とに優れたコネクタ付被覆光ファイバ心線および光ファイバケーブルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る被覆光ファイバ心線の模式断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る被覆光ファイバ心線の被覆除去を説明する図である。
【図3】光ファイバ心線の製造を説明する図である。
【図4】光ファイバ心線の製造を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態に係る被覆光ファイバ心線の製造を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態に係るコネクタ付被覆光ファイバ心線の製造を説明する図である。
【図7】本発明の実施形態に係る光ファイバケーブルの模式断面図である。
【図8】摩擦係数測定を説明する図である。
【図9】被覆光ファイバ心線の被覆除去に使用する被覆除去具を示す図である。
【図10】従来の被覆光ファイバ心線の被覆除去を説明する図である。
【符号の説明】
10,100 被覆光ファイバ心線
11,101 ガラスファイバ
11A ガラスファイバ露出部
11B,101B ガラスファイバの先端面
12 紫外線硬化型樹脂層
12A 第一紫外線硬化型樹脂層
12B 第二紫外線硬化型樹脂層
12C 着色層
13,103 光ファイバ心線
14 第一被覆層
15 第二被覆層
16 樹脂被覆層
16A 被覆除去端面
17 フェルール
17A 中空
17B フェルールの突き当て端面
17C フェルールの開放端面
18 コネクタ
19 コネクタ付被覆光ファイバ心線
50 光ファイバケーブル
51 テンションメンバ
52 緩衝材
53 押え巻き層
54 樹脂層

Claims (7)

  1. ガラスファイバの外周に少なくとも1層以上の紫外線硬化型樹脂層を設けてなる光ファイバ心線の外周に、さらに、樹脂被覆層として第一被覆層と第二被覆層とを前記光ファイバ心線から離れる方向で順に設けてなる被覆光ファイバ心線であって、前記樹脂被覆層を構成する樹脂がハロゲンを有さない樹脂であるとともに、前記第一被覆層が、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂もしくはポリフェニレンエーテルまたはこれらの混合樹脂100重量部に対して、金属水酸化物を20重量部以上250重量部未満で、窒素系難燃助剤を100重量部未満で添加してなり、前記第二被覆層が、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂もしくはポリフェニレンエーテルまたはこれらの混合樹脂100重量部に対して、金属水酸化物を20重量部以上250重量部未満で、窒素系難燃助剤を100重量部未満で添加してなり、前記第一被覆層の弾性率が5MPa〜100MPa、前記第二被覆層の弾性率が250MPa〜1500MPa、前記第一被覆層までの外径が0.3mmφ〜0.7mmφ、前記第二被覆層までの外径が0.75mmφ〜1.0mmφとなるように構成された被覆光ファイバ心線。
  2. 前記紫外線硬化型樹脂層の最外層に、前記最外層と前記第一被覆層との摩擦係数が0.2〜0.5となるように、剥離剤が添加された請求項1に記載の被覆光ファイバ心線。
  3. 前記第一被覆層に、前記紫外線硬化型樹脂層の最外層と前記第一被覆層との摩擦係数が0.2〜0.5となるように、剥離剤が添加された請求項1に記載の被覆光ファイバ心線。
  4. 前記紫外線硬化型樹脂層と前記樹脂被覆層とを、引張り試験に基づいて前記ガラスファイバから引抜く際の引抜力が2.5kgf以下となるように構成された請求項1〜3のいずれかに記載の被覆光ファイバ心線。
  5. 前記紫外線硬化型樹脂層が、ガラスファイバから離れる方向に、第一紫外線硬化型樹脂層と第二紫外線硬化型樹脂層とを設けてなるか、あるいは、第一紫外線硬化型樹脂層と第二紫外線硬化型樹脂層と着色層とを設けてなり、前記第二紫外線硬化型樹脂層の引張弾性率が5MPa〜600MPaとなるように構成された請求項1〜4のいずれかに記載の被覆光ファイバ心線。
  6. 前記ガラスファイバが端末から所定長さで露出されることによりガラスファイバ露出部と被覆除去端面とを有する請求項1〜のいずれかに記載の被覆光ファイバ心線と、前記ガラスファイバ露出部を収容可能な中空を有するフェルールを内蔵するコネクタとが接続されたコネクタ付被覆光ファイバ心線であって、前記ガラスファイバ露出部が歪力のかからない状態で前記中空に収容されるように前記被覆除去端面がフェルールの突き当て端面に当接されたコネクタ付被覆光ファイバ心線。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の被覆光ファイバ心線をテンションメンバの外周面上に複数配置し、前記被覆光ファイバ心線の外側に緩衝材を配置し、押え巻き層を前記緩衝材の外側に設け、前記押え巻き層の外周面を樹脂層で被覆してなる光ファイバケーブル。
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