JP5104006B2 - 被覆光ファイバ心線 - Google Patents

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本発明は、光ファイバ心線に樹脂被覆層を被覆形成した被覆光ファイバ心線に関する。
光通信機器等の配線に使用される光コードに、石英ガラスを主成分とするガラスファイバの外側が紫外線硬化型樹脂層で被覆された、外径が250μm〜265μmの光ファイバ心線が用いられている。光ファイバ心線は、通常、その外側に塩化ビニル等からなる外部被覆を設けた被覆光ファイバ心線の形態で使用されている。
被覆光ファイバ心線を光コードとして用いる場合、被覆光ファイバ心線の端部には、通常、他の光通信機器と接続可能に形成されたコネクタが取り付けられる。コネクタを取り付けるには、まず、光ファイバ心線の端部におけるガラスファイバが30mm程度露出するように、被覆光ファイバ心線の被覆(紫外線硬化型樹脂層及び外部被覆)を除去する必要があり、被覆除去性に優れた被覆光ファイバ心線が求められている。
また、被覆光ファイバ心線の外部被覆としては、塩化ビニル樹脂に代表されるハロゲン含有樹脂が用いられているが、ハロゲン含有樹脂は、燃焼時にハロゲンガスを発生したり、あるいはダイオキシン等の発生原因になるとされ、環境対策上ハロゲン含有樹脂に代わり得る外部被覆が求められている。
特許文献1には、外部被覆として非ハロゲン含有樹脂を用いた被覆光ファイバ心線が記載されている。特許文献1によれば、被覆除去が容易で、環境特性(燃焼時に煙や有毒ガスを発生しない特性)と機械特性(側圧に対する耐性)に優れ、コネクタが接続された場合にも光伝送特性の低下(伝送損失と接続損失)を抑制できる被覆光ファイバ心線が得られる。
特開2003−315639号公報
近年、光コードは高温高湿環境下で用いられることも増えてきている。特許文献1に記載の被覆光ファイバは、被覆除去性、環境特性、機械特性に優れているものの、高温高湿環境下に長時間置いた際の被覆除去性及び光伝送特性については改良の余地があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、被覆除去性、環境特性、機械特性に優れ、かつ、高温高湿環境下に長時間置いた場合でも光伝送特性及び被覆除去性が良好に維持される被覆光ファイバ心線を提供することを目的とする。
上記課題は以下の手段により解決することができる。
1.ガラスファイバの外周に少なくとも1層以上の紫外線硬化型樹脂層を設けてなる光ファイバ心線の外周に、さらに、樹脂被覆層として第一被覆層と第二被覆層とを前記光ファイバ心線から離れる方向で順に設けてなる被覆光ファイバ心線であって、前記樹脂被覆層を構成する樹脂がハロゲンを有さない樹脂であるとともに、前記第一被覆層が、スチレンモノマーとモノエンモノマー及び/又はジエンモノマーとの共重合体から構成されるスチレン系エラストマーを含有する樹脂からなり、前記第一被覆層の樹脂100重量部に対して、高級脂肪酸処理又はアルキルアミノシラン処理された水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムを90重量部〜130重量部、及び、スチレン系エラストマーと親和性を有する可塑剤を5重量部〜15重量部含有し、前記第二被覆層が、100℃以上のガラス転移温度を持つポリスチレン系熱可塑性樹脂と、100℃以上の融点を持つα-オレフィン系熱可塑性樹脂とを含有する樹脂からなり、前記第二被覆層の樹脂100重量部に対して、高級脂肪酸処理又はアルキルアミノシラン処理された水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムを90重量部〜130重量部含有し、前記ポリスチレン系熱可塑性樹脂と前記α-オレフィン系熱可塑性樹脂との相溶性を高める相溶化剤を前記第二被覆層の樹脂100重量部に対して5重量部〜15重量部含有することを特徴とする被覆光ファイバ心線。
2.前記被覆光ファイバ心線を85℃、85%RHの条件下で30日間放置した後の前記可塑剤の第一被覆層における残存率が90%以上である上記1に記載の被覆光ファイバ心線。
3.前記可塑剤がピロメリット酸構造を分子構造中に有する化合物である上記1又は2に記載の被覆光ファイバ心線。
4.前記スチレン系エラストマーの共重合比が、スチレンモノマー/(モノエンモノマー及び/又はジエンモノマー)=10/90〜45/55の範囲である上記1〜3のいずれかに記載の被覆光ファイバ心線。
5.前記相溶化剤がスチレンモノマーとジエンモノマーとの共重合体であり、その共重合比がスチレンモノマー/ジエンモノマー=20/80〜80/20の範囲である上記4に記載の被覆光ファイバ心線。
6.前記紫外線硬化型樹脂層が、ガラスファイバから離れる方向に、第一紫外線硬化型樹脂層と第二紫外線硬化型樹脂層とを設けてなるか、又は、第一紫外線硬化型樹脂層と第二紫外線硬化型樹脂層と着色層とを設けてなり、前記第二紫外線硬化型樹脂層の引張弾性率が650MPa〜950MPaである上記1〜5のいずれかに記載の被覆光ファイバ心線。
本発明によれば、樹脂被覆層を構成する樹脂がハロゲンを有さない樹脂であるので環境特性に優れる。また、樹脂被覆層のうち第一被覆層にはスチレン系エラストマーを用い、第二被覆層には所定の熱可塑性樹脂を用いることにより、側圧による光ファイバ心線の光伝送損失の増加を抑制することができ、機械特性に優れる。しかも、第一被覆層には、スチレン系エラストマーと親和性を有する可塑剤を添加しているので、被覆除去性に優れるとともに、高温高湿環境下に長時間置いた後でも光伝送特性や被覆除去性が劣化しない被覆光ファイバ心線を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1(A)は、本発明の実施形態に係る被覆光ファイバ心線10の断面模式図を示している。図1(A)に示すように、被覆光ファイバ心線10は、ガラスファイバ11の外周を紫外線硬化型樹脂層12で被覆した光ファイバ心線13の外周に、さらに、樹脂被覆層16として第一被覆層14と第二被覆層15とを光ファイバ心線13から離れる方向で順に形成してなるものである。ここで、紫外線硬化型樹脂層12は、図1(B)の模式断面図に示すように、ガラスファイバ11から離れる方向に、第一紫外線硬化型樹脂層12Aと第二紫外線硬化型樹脂層12Bと着色層12Cとを設けてなる。
まず、樹脂被覆層16(第一被覆層14及び第二被覆層15)について説明する。第一被覆層14は、スチレンモノマーとモノエンモノマー及び/又はジエンモノマーとの共重合体から構成されるスチレン系エラストマーを含有する樹脂からなる。
モノエンモノマー及び/又はジエンモノマーとしては、例えば、エチレン、ブチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等を挙げることができる。スチレン系エラストマーとしては、具体的には、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレン−ブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン−ブロック共重合体(SBS)等が挙げられる。
スチレン系エラストマーの共重合比は、スチレンモノマー/(モノエンモノマー及び/又はジエンモノマー)=10/90〜45/55の範囲とすることが好ましい。
第一被覆層14中のスチレン系エラストマーの含有量は、特に限定されないが、後述する第一被覆層14の弾性率を鑑みて、30重量%〜60重量%とするのが好ましい。
第一被覆層14には、スチレン系エラストマーと親和性を有する可塑剤を含有する。ここで、本発明でいう「スチレン系エラストマーと親和性を有する」とは、経年放置後でも可塑剤が単体で当該エラストマー表面等に殆ど偏析することなく、エラストマー中に当該可塑剤が存在し続けることを意味する。第一被覆層14に上記可塑剤を添加することで、その可塑効果により第一被覆層14の被覆除去が容易となり、非加熱の被覆除去具の使用も可能となる。また、上記可塑剤は、スチレン系エラストマーとの親和性が高いため、70℃を超えるような高温下に長時間放置しても第一被覆層14から第二被覆層15に可塑剤が移行しにくい。よって、第一被覆層14の可塑効果が維持され、良好な被覆除去性が維持される。また、被覆除去性が良好であることから、被覆除去時にガラスファイバ11に余計な力が加わることがなく、良好な光伝送特性が維持される。
また、上記可塑剤の第一被覆層における残存率は、被覆光ファイバ心線を85℃、85%RHの条件下で30日間放置した後、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
スチレン系エラストマーと親和性を有する可塑剤の具体例としては、芳香族カルボン酸誘導体、ジ−nオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、エチルフタリルエチルグルコール、ジイソノニルフタレート等が挙げられる。中でも、芳香族カルボン酸誘導体を用いることが好ましく、ピロメリット酸構造を有するトリス(2−エチルヘキシル)トリメテート、トリメリット酸エステル構造を有する、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリノルマルアルキル、トリメリット酸トリアルキル、トリメリット酸トリイソデシル等を分子構造中に有する化合物を用いることが好ましい。
可塑剤の添加量は5重量部〜15重量部であり、好ましくは5重量部〜10重量部である。可塑剤の添加量を15重量部以下とすることで被覆光ファイバ心線の表面へのブリードを防ぐことができる。
第二被覆層15は、100℃以上のガラス転移温度を持つポリスチレン系熱可塑性樹脂及び100℃以上の融点を持つα−オレフィン系熱可塑性樹脂を含有する樹脂からなる。
ポリスチレン系熱可塑性樹脂としては、スチレンのホモポリマー、一般用ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS),スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS),スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)など)等から選択される1種の樹脂又は2種以上の樹脂の混合物を好適に例示できる。
α−オレフィン系熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、エチレン・ビニルアセテート樹脂(EVA)、エチレン・エチルアクリレート樹脂(EEA)、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)及びスチレン・ブタジエンゴム(SBR)等から選択される1種の樹脂又は2種以上の樹脂の混合物を好適に例示できる。
第二被覆層15中の前記熱可塑性樹脂の含有量は、特に限定されないが、後述する第二被覆層15の弾性率を鑑みて、20重量%〜50重量%とするのが好ましい。
第二被覆層15は、ポリスチレン系熱可塑性樹脂とα−オレフィン系熱可塑性樹脂の相溶性を高める相溶化剤を含有する。
上記相溶化剤としては、スチレンモノマーとジエンモノマーとの共重合体を用いることが好ましい。その共重合比は、スチレンモノマー/ジエンモノマー=20/80〜80/20であることが好ましい。スチレンモノマーとジエンモノマーの共重合体としては、スチレン−エチレンブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体等を挙げることができる。
上記相溶化剤の添加量としては、第二被覆層15の樹脂100重量部に対して5重量部〜15重量部の範囲であることが好ましい。
また、第一被覆層14及び第二被覆層15はそれぞれ高級脂肪酸処理又はアルキルアミノシラン処理された水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムを含有する。高級脂肪酸処理された水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムとアルキルアミノシラン処理された水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムとを併用してもよい。高級脂肪酸処理又はアルキルアミノシラン処理された水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムは、第一被覆層14及び第二被覆層15に用いられる樹脂との相溶性が良好であり、第一被覆層14及び第二被覆層15の弾性率や後述する押出機による成形性を調整しやすくし、また、被覆光ファイバ心線10の難燃性も向上できる。
高級脂肪酸処理した金属水酸化物としては、ステアリン酸処理水酸化マグネシウム・オレイン酸処理水酸化マグネシウム、パルミチン酸処理水酸化マグネシウム、或いはステアリン酸処理水酸化アルミニウム、オレイン酸処理水酸化アルミニウム、パルミチン酸処理水酸化アルミニウム等を用いることが出来、これらの金属水酸化物は、何れも平均粒子系0.1〜10μmとなっている。アルキルアミノシラン処理した金属水酸化物としては、アミノシラン処理水酸化マグネシウム、ないしアミノシラン処理水酸化アルミニウム等を挙げることが出来、何れも平均粒子系0.1〜10μmとなっている。
高級脂肪酸処理又はアルキルアミノシラン処理された水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムの添加量は、樹脂100重量部に対して90重量部〜130重量部の範囲である。添加量が90重量部以下であるとIEC61034−2に規定される3mキューブ試験における発煙性試験をパスすることができなくなる。また、130重量部以上の場合はトルク、圧力の上昇等で製造性が著しく低下し、押出性が悪化する。
第一被覆層14及び第二被覆層15には、窒素系難燃助剤を添加してもよい。燃焼抑制効果を有する窒素系難燃助剤を添加することで、高い難燃性を発現できる。窒素系難燃助剤としては、メラミンシアヌレート、メラミン誘導体、トリス(β−シアノエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。このような窒素系難燃助剤を使用すれば、燃焼時に塩化水素ガス等の有害ガスを発生しないことから、環境に与える負荷が少ない被覆光ファイバ心線10が得られる。
第一被覆層14及び第二被覆層15は、それぞれ、必要に応じて酸化防止剤、滑剤、老化防止剤等の添加剤などを含有してもよい。これらの添加剤の含有量は、第一被覆層14又は第二被覆層15中に通常数%とされる。
以上のように、本実施形態に係る被覆ガラスファイバ心線10は、樹脂被覆層16のうち第一被覆層14にスチレン系エラストマーを用い、第二被覆層には100℃以上のガラス転移温度を持つポリスチレン系熱可塑性樹脂と、100℃以上の融点を持つα-オレフィン系熱可塑性樹脂とを含有する樹脂を用いているので、樹脂被覆層16の弾性が高くなり、光ファイバ心線13の優れた緩衝材となりうる。よって、側圧による光ファイバ心線の光伝送損失の増加を抑制することができ、機械特性に優れたものとなる。
また、第一被覆層14の引張弾性率は1MPa〜100MPa(より好ましくは、5MPa〜50MPa)、第二被覆層15の引張弾性率は200MPa〜1500MPa(より好ましくは、250MPa〜1000MPa)とすることが好ましい。ここで、各被覆層の引張弾性率は、各化合物の種類及び添加量を変更することにより適宜調整することができる。なお、本明細書中、引張弾性率とは、JIS K 7113に準じて、2号型試験片を使用して測定される弾性率のことをいうものとする。
このように、第一被覆層14を柔軟な層とし、第二被覆層15を堅固な層とすることによって、被覆光ファイバ心線10が受ける側圧(被覆光ファイバ心10の外周面から受ける外界からの圧力)に対して、第二被覆層15で該圧力を吸収させ、また、該圧力が、第二被覆層15で完全に吸収できない程、大きな力であっても第一被覆層15で該圧力を緩衝させることができるので、ガラスファイバ11が圧力を受けることによる光伝送損失をより一層低減できる。
第一被覆層14までの外径(Dp)は0.3mm〜0.7mm(より好ましくは、0.35mm〜0.60mm)、第二被覆層15までの外径(Ds)は0.75mm〜1.0mm(より好ましくは、0.85mm〜0.95mm)とするのが好ましい。
次に、光ファイバ心線13について説明する。ガラスファイバ11は、コア及びクラッドからなるものであって、用途により、シングルモードファイバ、マルチモードファイバ等の各種のガラスファイバを用いることができる。紫外線硬化型樹脂層12を構成する樹脂は、紫外線硬化型液状樹脂組成物が紫外線照射によって硬化された樹脂であり、紫外線硬化型液状樹脂組成物(以下、単に、“液状樹脂組成物”ともいう)とは、紫外線照射により硬化しうる液状の樹脂組成物を意味する。
液状樹脂組成物は、繰り返し単位構造と重合性二重結合とを併有する重合性オリゴマー、重合性不飽和モノマー(以下、“反応希釈性モノマー”ともいう)、及び光重合開始剤を含有するものが好ましい。
重合性オリゴマーは、“ウレタン結合を有する繰り返し単位構造”と(メタ)アクリル基とを併有する重合性オリゴマーが好ましく、特に、ポリオール化合物とジイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートを用いて、ジイソシアネートのイソシアネート基を、ポリオール化合物の水酸基及び水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基と反応させて得られる重合性オリゴマーが好ましい。
ポリオール化合物としては、ポリエーテルジオールなどに代表されるポリエーテルポリオールを挙げることができ、より具体的には、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、プロピレンオキシドと他の一種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルポリオールなどが好適に挙げられる。上記イオン重合性環状化合物としては、例えばエチレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステルなどの環状エーテル類が挙げられる。これらのポリエーテルポリオールの平均官能基数(例えばヒドロキシ基の数)は、硬化物の良好なゲル分率及び液状樹脂組成物の適度な粘度を得る観点から1.5〜6.0が好ましい。
上記ポリエーテルポリオールは、例えば、EXCENOL720、1020、2020、3030、4030、PREMINOL3010、4002、4010(以上、旭硝子ウレタン製)、PPTG2000、PPTG1000、(以上、保土谷化学工業製)などの市販品としても入手することができる。
重合性オリゴマーの合成に用いられるジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。芳香族ジイソシアネートとして、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族ジイソシアネートとして、例えば、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとして、例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。これらのうち、樹脂被覆層の耐黄変性の観点から、脂環式ポリイソシアネートあるいは脂肪族ポリイソシアネートがより好ましく、イソフォロンジイソシアネートが特に好ましい。これらのジイソシアネート化合物は単独で用いても、2種以上併用してもよい。
重合性オリゴマーの合成に用いられる水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応性の点から、水酸基が第一級炭素原子に結合した水酸基含有(メタ)アクリレート(第一水酸基含有(メタ)アクリレートという)及び水酸基が第二級炭素原子に結合した水酸基含有(メタ)アクリレート(第二水酸基含有(メタ)アクリレートという)が好ましい。第一水酸基含有(メタ)アクリレートとして、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、及び、一般式CH2=C(R1)-COOCH2CH2-(OCOCH2CH2CH2CH2CH2)n-OH(式中、R1 は水素原子又はメチル基を示し、nは1〜3の数を示す)で表される(メタ)アクリレート等が挙げられる。第二水酸基含有(メタ)アクリレートとして、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、さらに、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物が挙げられる。ポリオール化合物とジイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応を実施する具体的方法としては、例えばポリオール化合物、ジイソシアネート化合物及び水酸基含有(メタ)アクリレートを一括して仕込んで反応させる方法;ポリオール化合物及びジイソシアネート化合物を反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法;ジイソシアネート化合物及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオール化合物を反応させる方法;ジイソシアネート化合物及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオール化合物を反応させ、最後にまた水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法などが挙げられる。
重合性オリゴマーの合成においては、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、2,6,7−トリメチル−1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン等のウレタン化触媒を、反応物の総量に対して0.01重量%〜1重量%用いるのが好ましい。また、反応温度は、通常5℃〜90℃、特に10℃〜80℃が好ましい。
なお、重合性オリゴマーの合成においてポリオールとともにジアミンを併用することも可能であり、このようなジアミンとしてはエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、パラフェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン等のジアミンやヘテロ原子を含むジアミン、ポリエーテルジアミン等が挙げられる。
また、水酸基含有(メタ)アクリレートの一部をイソシアネート基に付加しうる官能基を持った化合物に置き換えて用いることもできる。この化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。これらの化合物を使用することにより、光ファイバへの密着性をさらに高めることができる。
重合性オリゴマーの好ましい分子量は、液状樹脂組成物として適度な粘度、及び、前記したプライマリ層又はセカンダリ層として好ましい物性値を鑑みて設定されるものであるが、ゲルパーミュエーションクロマトグラフ法によるポリスチレン換算の数平均分子量で500〜40,000の範囲内とされるのが好ましく、700〜30,000の範囲内とされるのがより好ましい。重合性オリゴマーは、以上例示したものを、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合性オリゴマーの液状樹脂組成物に対する含有量は、液状樹脂組成物として適度な粘度、及び、後述する好ましい弾性率等を鑑みて設定されるものであるが、20重量%〜85重量%の範囲内とされるのが好ましく、25重量%〜80重量%の範囲内とされるのがより好ましい。
次に、重合性不飽和モノマー(反応希釈性モノマー)について説明する。重合性不飽和モノマーとしては単官能性化合物及び/又は多官能性化合物を用いることができる。単官能性化合物としては、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタム;イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン等が挙げられる。さらに、一般式CH2=C(R2)-COO(R3O)m-R4(式中、R2は水素原子又はメチル基を示し、R3は炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレン基を示し、R4は水素原子又は炭素数1〜12、好ましくは1〜9のアルキル基を示し、mは0〜12、好ましくは1〜8の数を示す)で表される(メタ)アクリレート類;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のエーテル基含有(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート;ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類等が挙げられる。このうち、一般式CH2=C(R2)-COO(R3O)m-R4で表される(メタ)アクリレート類としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記の重合性不飽和モノマーの単官能性化合物の市販品としては、アロニックスM111、M113、M114、M117(以上、東亞合成製);KAYARAD、TC110S、R629、R644(以上、日本化薬製);IBXA、ビスコート3700(大阪有機化学工業製)等が挙げられる。
また、多官能性化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加体のジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加体のジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。これら多官能性化合物の市販品としては、例えばユピマーUV SA1002、SA2007(以上、三菱化学製);ビスコート700(大阪有機化学工業製);KAYARAD R−604、DPCA−20、−30、−60、−120、HX−620、D−310、D−330(以上、日本化薬製);アロニックスM−210、M−215、M−315、M−325(以上、東亞合成製)等が挙げられる。重合性不飽和モノマーは、以上例示したものを、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合性不飽和モノマーの液状樹脂組成物に対する含有量は、液状樹脂組成物として適度な粘度、及び、後述する好ましい弾性率等を鑑みて設定されるものであるが、10重量%〜80重量%の範囲内とされるのが好ましく、15重量%〜75重量%の範囲内とされるのがより好ましい。
光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。その市販品としては、I.651、I.369、I.907、I−184(チバスペシャルティケミカル社製)等を挙げることができる。
光重合開始剤の液状樹脂組成物に対する含有量は、0.1重量%〜10重量%の範囲内とされるのが好ましく、0.3重量%〜7重量%の範囲内とされるのがより好ましい。
また、液状樹脂組成物には、添加剤として、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等の酸化防止剤、アミン系重合禁止剤等の重合禁止剤等を含有できる。
なお、着色層12Cを形成するための液状樹脂組成物(以下、着色層用樹脂組成物という)としては、前記紫外線硬化型液状樹脂組成物に、顔料(有機系顔料など)及び顔料分散剤を添加してなる組成物を用いることができる。また、着色層用樹脂組成物は、重合性オリゴマーとして、エポキシ(メタ)アクリレートやウレタンアクリレート、或いはエステル系アクリレート等の他の硬化性のオリゴマーを用いることが好適である。
その他、着色層用樹脂組成物には、反応希釈性モノマーとしてシリコーン系アクリレート、剥離剤としてシリコーンオイル等を添加してもよい。
光ファイバ心線13に関し、第二紫外線硬化型樹脂層12Bの引張弾性率は650MPa〜950MPaとすることが好ましい。第二紫外線硬化型樹脂層12Bの引張弾性率を650MPa以上とすることで、第二紫外線硬化型樹脂層12Bの外表面のタック性を小さくし、ガラスファイバ11を線引きしながら紫外線硬化型樹脂層12を形成する際の光ファイバ心線13の断線を防止することができる。なお、一般には引張弾性率を高く設定すると被覆除去性が低下するが、本実施形態においては第一被覆層14に所定の可塑剤を添加しているので、上記のように高引張弾性率であっても低引張弾性率のものと同等又はそれ以上の被覆除去性が得られる。
また、第一紫外線硬化型樹脂層12Aの引張弾性率は0.5MPa〜2MPa、着色層12Cの引張弾性率は500MPa〜1500MPaとするのが好ましい。このように、第一紫外線硬化型樹脂層12Aを柔軟な層とし、第二紫外線硬化型樹脂層12B及び着色層12Cを堅固な層とすることによって、光ファイバ心線13が受ける側圧(光ファイバ心線13の外周面から受ける外界からの圧力であって、特に、光ファイバ心線13に樹脂被覆層16が設けられる前に受ける圧力)に対して、第二紫外線硬化型樹脂層12Bで圧力を吸収させ、また、該圧力が、第二紫外線硬化型樹脂層12Bで完全に吸収できない程に大きな力であっても第一紫外線硬化型樹脂層12Aで該圧力を緩衝させることにより、ガラスファイバ11が圧力を受けることによる光伝送損失を低減できる。
光ファイバ心線13を構成する各層の好ましい寸法を以下に示す。
ガラスファイバ11の外径(D) : 125μm
第一紫外線硬化型樹脂層12Aまでの外径(DU1) : 200μm
第二紫外線硬化型樹脂層12Bまでの外径(DU2) : 245μm
着色層12Cまでの外径(D) : 255μm
次に、本実施形態に係る被覆光ファイバ心線10を製造する方法について説明する。まず、ガラスファイバ11の外周に第一紫外線硬化型樹脂層12Aと第二紫外線硬化型樹脂層12Bと着色層12Cとを設けてなる光ファイバ心線13を製造する。光ファイバ心線13は通常の樹脂塗布装置、紫外線照射装置を用いて好適に製造できる。すなわち、光ファイバ母材を線引炉において線引して、ガラスファイバ11を得る。次いで、ガラスファイバ11の表面に通常の樹脂塗布装置により第一紫外線硬化型樹脂層用の液状樹脂組成物を塗布した後、紫外線を照射して液状樹脂組成物を硬化することによって、第一紫外線硬化型樹脂層12Aを設けることができる。
次いで、第二紫外線硬化型樹脂層用の液状樹脂組成物を第一紫外線硬化型樹脂層12Aの上に塗布した後、紫外線を照射して液状樹脂組成物を硬化する。これにより、第一紫外線硬化型樹脂層12Aの外側に第二紫外線硬化型樹脂層12Bを設けることができる。第一紫外線硬化型樹脂と第二紫外線硬化型樹脂とをほぼ同時に塗布して、両者に同時に紫外線を照射して硬化させることもできる。さらに、着色層用樹脂組成物を第二紫外線硬化型樹脂層12Bの表面に塗布した後、着色層用樹脂組成物を硬化し、着色層12Cを形成する。これにより、光ファイバ心線13が得られる。
次いで、光ファイバ心線13の外周に樹脂被覆層16を通常の押出機を用いることによって、被覆光ファイバ心線10を製造することができる。すなわち、まず、第一被覆層14及びと第二被覆層15の液状樹脂組成物を溶融状態で押出機に供給し、順に押出成形することによって被覆光ファイバ心線10を製造することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
〔被覆光ファイバ心線の作製1〕
図1に示す被覆光ファイバ心線10と同様の構成の被覆光ファイバ心線を作製した。ガラスファイバ11としては、石英ガラスを主成分とするシングルモード型ガラスファイバ(D:125μm)を用いた。このガラスファイバ11の外周に、示す樹脂組成物を用いて第一紫外線硬化型樹脂層12A(DU1:200μm)と第二紫外線硬化型樹脂層12B(DU2:245μm)と着色層12C(DC:255μm)とを前記した方法により形成し、光ファイバ心線13を作製した。次いで、この光ファイバ心線13の外周に、表2に示す組成の第一被覆層14と第二被覆層15とを前記した方法により形成して被覆光ファイバ心線10を作製した(実施例1、2、比較例1〜4)。
第一紫外線硬化型樹脂層、第二紫外線硬化型樹脂層及び着色層の引張弾性率はそれぞれ、5Mpa、850Mpa及び1100Mpaであった。
Figure 0005104006
被覆光ファイバ心線10の可塑剤残存率を液体クロマトグラフ重量分析器(島津製作所製:LCMS-2010EV)で計測した。可塑剤となるピークの面積をエージング(=85℃×85%RH)前後で比較したところ、その面積(=可塑剤残量を表す)に明確な変化は認められない
〔評価〕
(被覆除去性)
被覆光ファイバ心線10を作製直後及び85℃、85%RHの条件下で30日間放置後、被覆ファイバ心線10の末端から長さ30mmの部分を被覆除去具(商品名:JR−25、住友電気工業株式会社製)を用いて除去した。判断基準は以下のとおりとした。
○ : 1.5kgf程度の引き抜き力で容易に除去可能
× : 2.5kgf程度の引き抜き力で無理に除去可能
(光伝送特性)
被覆光ファイバ心線10を85℃、85%RHの条件下で30日間放置後、伝送損失量Δα(db/km)を測定した。測定波長は1.55μmとした。
(3mキューブ試験)
被覆光ファイバ心線10に対しIEC規格試験No.61034−2に従い3mキューブ試験を行った。
○ : 透過光量が60%以上だと○
× : 透過光量が60%未満だと×
(製造性)
上記と同じ材料を用いて高速押出(200m/分)により被覆光ファイバ心線10を作製し、その表面状態を目視により観察した。
○ : 表面が滑らかで光沢等が認められるケース
× : 表面が鮫肌の様で光沢感が認められないケース
a)実施例1,実施例2 : 本発明の構成の被覆光ファイバ心線。製造性良好。製造直後の被覆除去性良好。高温高湿下においても伝送特性、被覆除去性の悪化がない。環境特性良好(ハロゲン不使用、発煙性良好)。
b)比較例1 : 可塑剤がスチレン系エラストマーと親和性を有さない。高温高湿下におくことで被覆除去性悪化。
c)比較例2 : 可塑剤が少なすぎる。被覆除去性が製造直後から悪い。
d)比較例3 : 水酸化マグネシウムが少なすぎる。3mキューブ試験時における透過光量が低下する(=3mキューブ試験にパスしない)。
e)比較例4 : 水酸化マグネシウムが多すぎる。製造性悪い。
本発明の実施形態に係る被覆光ファイバ心線の模式断面図である。
符号の説明
10 被覆光ファイバ心線
11 ガラスファイバ
12 紫外線硬化型樹脂層
12A 第一紫外線硬化型樹脂層
12B 第二紫外線硬化型樹脂層
12C 着色層
13 光ファイバ心線
14 第一被覆層
15 第二被覆層
16 樹脂被覆層

Claims (5)

  1. ガラスファイバの外周に少なくとも1層以上の紫外線硬化型樹脂層を設けてなる光ファイバ心線の外周に、さらに、樹脂被覆層として第一被覆層と第二被覆層とを前記光ファイバ心線から離れる方向で順に設けてなる被覆光ファイバ心線であって、
    前記樹脂被覆層を構成する樹脂がハロゲンを有さない樹脂であるとともに、
    前記第一被覆層が、スチレンモノマーとモノエンモノマー及び/又はジエンモノマーとの共重合体から構成されるスチレン系エラストマーを含有する樹脂からなり、前記第一被覆層の樹脂100重量部に対して、高級脂肪酸処理又はアルキルアミノシラン処理された水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムを90重量部〜130重量部、及び、スチレン系エラストマーと親和性を有する可塑剤を5重量部〜15重量部含有し、
    前記第二被覆層が、100℃以上のガラス転移温度を持つポリスチレン系熱可塑性樹脂と、100℃以上の融点を持つα-オレフィン系熱可塑性樹脂とを含有する樹脂からなり、前記第二被覆層の樹脂100重量部に対して、高級脂肪酸処理又はアルキルアミノシラン処理された水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムを90重量部〜130重量部含有し、前記ポリスチレン系熱可塑性樹脂と前記α-オレフィン系熱可塑性樹脂との相溶性を高める相溶化剤を前記第二被覆層の樹脂100重量部に対して5重量部〜15重量部含有し、
    85℃、85%RHの条件下で30日間放置した後の前記可塑剤の第一被覆層における残存率が90%以上であることを特徴とする被覆光ファイバ心線
  2. 前記可塑剤がピロメリット酸構造を分子構造中に有する化合物である請求項に記載の被覆光ファイバ心線。
  3. 前記スチレン系エラストマーの共重合比が、スチレンモノマー/(モノエンモノマー及び/又はジエンモノマー)=10/90〜45/55の範囲である請求項1又は2に記載の被覆光ファイバ心線。
  4. 前記相溶化剤がスチレンモノマーとジエンモノマーとの共重合体であり、その共重合比がスチレンモノマー/ジエンモノマー=20/80〜80/20の範囲である請求項に記載の被覆光ファイバ心線。
  5. 前記紫外線硬化型樹脂層が、ガラスファイバから離れる方向に、第一紫外線硬化型樹脂層と第二紫外線硬化型樹脂層とを設けてなるか、又は、第一紫外線硬化型樹脂層と第二紫外線硬化型樹脂層と着色層とを設けてなり、前記第二紫外線硬化型樹脂層の引張弾性率が650MPa〜950MPaである請求項1〜のいずれかに記載の被覆光ファイバ心線。
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