JP3911890B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子写真システムを採用した画像形成装置に関し、特に、樹脂製のスリーブベアリングにより支持されるローラと該ローラ以外の装置とを駆動する駆動モータを具えた画像形成装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真システムを採用した画像形成装置には、一般に、用紙等の転写材上に形成されたトナー像を該転写材に加熱定着する定着ローラからなる加熱定着手段と、該定着ローラを加熱する加熱ランプと、定着ローラを回転駆動する駆動モータとが配設されている。
【0003】
このうち、加熱定着手段は、転写材およびトナー像に接触し熱エネルギーを与える定着ローラから構成され、定着ローラは樹脂製のスリーブベアリングに支持されており、この樹脂製のスリーブベアリングは、低温状態ではトルクが高く、高温状態ではトルクが低いという性質がある。
【0004】
また、駆動モータは、定着ローラを回転駆動するとともに、転写材フィードローラと、転写材搬送ローラ、転写材排出ローラなどを回転駆動する。
【0005】
この従来の画像形成装置では、定着ローラを加熱ランプによって所定の温度に加熱するとともに、駆動モータを駆動する。すると、駆動モータの駆動によって転写材フィードローラが回転駆動し、これにより転写材収容トレイ内の転写材が転写材搬送路内に供給される。また、駆動モータの駆動によって転写材搬送ローラが回転駆動するので、転写材搬送路内に供給された転写材は転写材搬送路下流に向け搬送され、転写材がプロセスカートリッジ、現像手段等を通過すると転写材上にはトナー像が形成がされる。
【0006】
そして、トナー像が形成された転写材が転写材搬送ローラによって定着ローラに搬送されると、定着ローラは加圧ローラとの間で該転写材を挟持するとともに、定着ローラを介して転写材およびトナー像に熱エネルギーを与え、これにより、トナー像が転写材に定着される。そしてトナー像が定着された転写材は、駆動モータによって回転駆動する転写材排出ローラによって画像形成装置内から排出される。
【0007】
また、この従来の画像形成装置では、電源投入直後には、画像形成を行うための準備処理として、加熱ランプによる定着ローラの加熱、駆動モータの駆動を行うとともに、駆動モータ駆動モータの駆動に基づいて、ジャム転写材の有無の検出、プロセスカートリッジ装着の有無の検出、トナー残量の検出、像担持体の帯電、露光等の処理(以下、イレースサイクルという。)を行っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の画像形成装置によると、駆動モータによって回転駆動するローラである定着ローラは、樹脂製のスリーブベアリングにより支持されているが、該樹脂製のスリーブベアリングは低温状態でトルクが高い性質を有するので、画像形成装置の電源投入直後、駆動モータを駆動すると、駆動モータの駆動がスリーブベアリングのトルクが高い低温状態で開始される場合には、駆動モータに加わる全トルクが高いため、駆動モータがロックし、安定した動作が阻害されるという問題があった。
【0009】
また、このような駆動モータのロックを防止するため、DCサーブモータ等、出力トルクの高い駆動モータを使用しようとすると、画像形成装置の製造コストが高くなるという問題もあった。
【0010】
また、特開平3−209491号公報の画像形成装置のように、定着ローラが所定温度以上になるまで駆動モータの駆動を停止し、定着ローラが所定温度以上になった際駆動モータを駆動するようにすると、駆動モータに加わる全トルクを低くすることができるので、駆動モータのロックを可及的に防止することができるが、定着ローラが所定温度以上になるまで、駆動モータによって駆動するすべての手段が停止するため、プロセスカートリッジを装置本体に装着した後のトナー残量の検出や、画像形成装置の電源投入直後の画像出力等の処理が終了するまでに、長時間かかってしまうという問題もあった。
【0011】
この発明は、上述した事情に鑑み、電源投入後短時間で画像出力ができ、かつ、安定した動作を行う安価な画像形成装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本願発明では、ローラと、該ローラを支持する樹脂製のスリーブベアリングと、前記ローラを回転駆動するとともに、前記ローラ以外の装置の駆動処理を行う駆動モータとを具えた画像形成装置において、前記ローラ以外の装置に対する前記駆動モータの駆動力を断続するクラッチ手段を具え、前記スリーブベアリングが所定温度以下である場合には、前記クラッチ手段によって前記ローラ以外の装置に対する駆動力の伝達を切断するとともに、前記ローラの回転駆動、および前記ローラ以外の装置であって前記駆動力の伝達が切断された装置以外の駆動処理を行い、前記スリーブベアリングが所定温度以上である場合には、前記クラッチ手段によって前記ローラ以外の装置へ駆動力を伝達するとともに、前記ローラを回転駆動するようにしている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明に係わる画像形成装置について第1の実施例の画像形成装置で詳述する。
【0015】
第1の実施例の画像形成装置1は、ブロック図で示す図1のように、定着ローラ3からなる加熱定着手段2と、定着ローラ3を加熱する加熱ランプ5と、定着ローラ3を回転駆動する駆動モータであるステッピングモータ7と、加熱定着手段2以外の装置の一部へのステッピングモータ7の駆動力を断続するクラッチ手段11と、これらを制御する制御手段12とを具えている。
【0016】
このうち、加熱定着手段2は、画像形成装置の概念構成図で示す図2のように、定着ローラ3と、定着ローラ3との間で転写材51を挟持する加圧ローラ4から構成されており、このうち定着ローラ3は、図示せぬ樹脂製のスリーブベアリングにより支持されている。また、この加熱定着手段2は、スリーブベアリングの温度に関する信号を図1で示す制御手段12に送出する。
【0017】
また、ステッピングモータ7は、制御手段12に基づき通常の一定速度で回転駆動し、この駆動力によって、定着ローラ2およびプロセスカートリッジ21(図2)内のトナーを攪拌する図示せぬアジテータを回転駆動するとともに、クラッチ手段11を介して、転写材フィード手段である転写材フィードローラ27、転写材搬送ローラ26(図2)、転写材排出ローラ29(図2)を駆動する。また、ステッピングモータ7は、制御手段12に、ステッピングモータ7の駆動に関する信号を送出している。
【0018】
また、制御手段12は、図示せぬCPU(中央処理装置)、主記憶装置及び補助記憶装置を主構成要素とする周辺回路から構成される。
この制御手段12には、加熱定着手段2からスリーブベアリングの温度に関する情報が入力される。また、制御手段12には、転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29から、それぞれ、転写材51の搬送、転写材収容トレイ25からの転写材51の供給、転写材51の排出に関する情報が入力される。
【0019】
また、制御手段12には電源投入に関する情報が入力される。
【0020】
そして、制御手段12は、加熱定着手段2からのスリーブベアリングの温度に関する情報に基づき、加熱ランプ5をONし、ステッピングモータ7、アジテータを駆動するとともに、スリーブベアリングが120℃以下であると判断した場合には、クラッチ手段11をOFFにして、転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29へのステッピングモータ7の駆動力の伝達を切断し、また、スリーブベアリングが120℃以上であると判断した場合には、クラッチ手段11をONにして転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29へステッピングモータ7の駆動力を伝達する。
【0021】
また、制御手段12は、ステッピングモータ7からの駆動に関する情報、およびステッピングモータ7によって駆動される転写材搬送ローラ26からの転写材51の搬送に関する情報に基づき、イレースサイクルの処理の一部である、転写材搬送路24にジャム転写材があるか否かについての検出、像担持体23の帯電処理、露光処理をそれぞれ行う。また、制御手段12は、ステッピングモータ7からの駆動に関する情報に基づいて、イレースサイクルの一部の処理である、プロセスカートリッジ21内の使用可能なトナーの残量が所定量以上であるか否かについての検出、プロセスカートリッジ21が装置本体22内の所定位置に装着されたか否かについての検出を行う。
【0022】
また、ここでクラッチ手段11をON/OFFするしきい値としたスリーブベアリングの温度120℃は、クラッチ手段11をONしてステッピングモータ7に全トルクを加えた場合であってもステッピングモータ7がロックしない程度に十分に高い温度である。
【0023】
次に、上述した第1の実施例の画像形成装置1について、その制御手段12の処理手順を図3で示すフローチャートで説明する。
【0024】
第1の実施例の画像形成装置1では、電源投入直後、制御手段12には電源投入に関する情報が入力されるので、この入力に基づき、画像形成を行うための準備処理として、加熱ランプ5をONし定着ローラ3の加熱を開始するとともに(ステップ101)、クラッチ手段11をOFFにし(ステップ102)、ステッピングモータ7を駆動する(ステップ103)。すると、ステッピングモータ7の駆動力は、定着ローラ2およびプロセスカートリッジ内のトナーを攪拌する前記アジテータに伝達され、定着ローラ2およびアジテータが回転駆動する。
【0025】
また、制御手段12は同時に、ステッピンングモータ7の駆動に関する情報に基づき、イレースサイクルの処理の一部(前処理)である、プロセスカートリッジ21が装置本体22に装着されたか否かについての検出およびプロセスカートリッジ21内の使用可能なトナーの残量が所定量以上であるか否かについての検出を行う(ステップ104)。
一方、転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29には、クラッチ手段11がOFFしているため、ステッピングモータ7の駆動力は伝達されない。
【0026】
このように、スリーブベアリングが120℃以下である場合に、クラッチ手段11をOFFにして定着ローラ3以外の装置の一部である転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29に対し、ステッピングモータ7の駆動力の伝達を切断するとともに、定着ローラ2の回転駆動および定着ローラ2以外の装置であって、駆動力の伝達が切断された装置以外の装置であるアジテータによる駆動処理を行うと、スリーブベアリング2によって支持される定着ローラ3が低温状態にあってトルクが高い場合であっても、ステッピングモータ7に加わる全トルクは、可及的に低くされる。
【0027】
そのため、スリーブベアリングのトルクによる影響を可及的に小さくすることができ、このときステッピングモータ7を駆動しても、ステッピングモータ7がロックする虞は可及的に防止されることとなる。
【0028】
次に、制御手段12はスリーブベアリングが120℃以上であるか否かを判断し(ステップ105)、スリーブベアリングが120℃以上でないと判断した場合には、ステップ105以降の処理を繰り返す。一方、ステップ105で、スリーブベアリングが120℃以上であると判断した場合には、クラッチ手段11をONにする(ステップ106)。すると、ステッピングモータ7の駆動力は、定着ローラ3、アジテータに伝達されるとともに、転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29に伝達され、転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29が回転駆動する。
【0029】
また、制御手段12は同時に、ステッピングモータ7の駆動および転写材搬送ローラ26による転写材51の搬送に関する情報に基づき、イレースサイクルの残りの処理(後処理)である、転写材搬送路24にジャム転写材があるか否かについて検出、像担持体23の帯電処理、露光処理を行い(ステップ107)、画像形成処理前の待機状態に移行する。
【0030】
また、制御手段12は、画像形成処理前の待機状態から所定時間経過後、像担持体23の帯電処理、露光処理、トナー像の現像等の処理、および定着ローラ3からなる加熱定着手段2によるトナー像の定着処理等、画像形成処理を行い、転写材排出ローラ29によってトナー像が定着された転写材51を排出する。
【0031】
このように、第1の実施例の画像形成装置1では、定着ローラ3以外の装置の一部である転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29に対するステッピングモータ7の駆動力を断続するクラッチ手段11を具え、スリーブベアリングが所定温度以下である場合には、クラッチ手段11によって定着ローラ3以外の装置の一部である転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29に対する駆動力の伝達を切断するとともに、定着ローラの回転駆動および定着ローラ3以外の装置であって、駆動力の伝達が切断された装置以外の装置であるアジテータによる駆動処理を行い、また、スリーブベアリングが所定温度以上である場合には、クラッチ手段11によって定着ローラ3以外の装置の一部である転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29、アジテータへ駆動力を伝達するとともに、定着ローラ3を回転駆動するようにしたから、電源投入直後、ステッピングモータ7がスリーブベアリングのトルクが高い低温状態で駆動を開始する場合に、ステッピングモータ7に加わる全トルクを、可及的に低くすることができるので、スリーブベアリングのトルクによる影響を可及的に小さくすることができ、そのため、駆動モータがロックする虞は可及的に防止されることとなる。
【0032】
したがって、従来のようにステッピングモータ7のロックによって安定した動作が阻害される虞を、可及的に防止することができる。
【0033】
また、上述のように、低温状態においてステッピングモータに加わる全トルクを可及的に低くすることができるから、この第1の発明の画像形成装置の駆動モータとして、第1の実施例の画像形成装置で使用しているステッピングモータ7のような、出力トルクの低い安価な駆動モータを使用することができ、そのため、画像形成装置の製造コストを可及的に低くすることができる。
【0034】
また、第1の実施例の画像形成装置1では、駆動モータをステッピングモータ7としたが、第1の発明の画像形成装置ではこれに限定せず、駆動モータは、加熱ランプが高温状態にあるときの、比較的低い負荷トルクの画像形成装置を駆動できるモータであればよい。
【0035】
また、第1の実施例の画像形成装置1では、上述したように電源投入直後、直ぐに画像形成の準備処理を開始することができるので、プロセスカートリッジ21を装置本体22に装着した後に行うトナー残量の検出や、電源投入直後の画像出力のためのプロセスに移行するまでの時間を短縮することができる。
【0036】
また、第1の実施例の画像形成装置1では、画像形成処理前の待機状態に移行してから所定時間経過後、像担持体23の帯電処理、露光処理、トナー像の現像等の処理、および定着ローラ3からなる加熱定着手段2によるトナー像の定着処理等、画像形成処理を行うこととしたが、この発明の画像形成装置はこれに限定せず、画像形成処理前の待機状態に移行した後、直ちに画像形成処理を行うものであってもよく、そのようにすると、電源投入直後の画像出力の処理終了までの時間を短縮することができる。
【0037】
また、この第1の実施例の画像形成装置1では、クラッチ手段11をON/OFFするしきい値のスリーブベアリングの温度を、ステッピングモータ7に全トルクを加えてもロックすることのない程度に十分に高い温度として設定したが、イレースサイクル終了時点で、定着ローラの温度が、画像形成処理へ直ちに移行するために十分な温度(例えば、トナー像を加熱定着させる温度以下である待機温度)に達しているように、そのしきい値を設定することで、電源投入直後、画像出力の処理終了までの時間をさらに短縮することができる。
【0038】
また、このことは、転写材51が収容する転写材収容トレイ25が多段に配設されるタイプの画像形成装置では特に有効である。すなわち、転写材51を収容する転写材収容トレイ25が多段に配設されるタイプの画像形成装置では、転写材収容トレイ25から定着加熱手段2までの転写材搬送距離が転写材収容トレイの配置位置によって異なるので、転写材51が定着加熱手段2に達する時間がそれぞれ異なる。そのため、転写材51が定着ローラ3に達した際、画像形成処理へ直ちに移行するために十分な温度に達しているように、それぞれの転写材収容トレイについてしきい値を設定し、転写材収容トレイごとに最適なタイミングで転写材51の搬送を開始させると、電源投入直後、その画像出力処理終了までを転写材収容トレイに応じて最短時間で行わせることができる。
【0039】
また、この第1の実施例の画像形成装置1では、クラッチ手段11は、定着ローラ2以外の装置である転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29、前記アジテータのうち、その一部である転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29に対して前記駆動モータの駆動力を断続するものとしたが、クラッチ手段11はこれに限定せず、上述した定着ローラ2以外の装置の全部、すなわち、転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29、前記アジテータに対して駆動力を断続するものであってもよい。
【0040】
また、この第1の実施例の画像形成装置1では、定着ローラ2以外の装置は、転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29、前記アジテータであるとしたが、この発明はこれに限定せず、ステッピングモータ7によって駆動される定着ローラ2以外の装置であればよい。
【0041】
また、第1の実施例の画像形成装置1では、ステッピングモータ7の駆動力を断続するクラッチ手段11は、転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29からなる転写材搬送装置について、1つ配設することとしたが、クラッチ手段11の数はこれに限定されず、たとえば、定着ローラ3以外の装置である転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29毎にクラッチ手段を配設してもよい。
また、その場合、スリーブベアリングの前記所定温度を複数段設定し、該設定された複数段の所定温度に応じて、各クラッチ手段に、ローラ3以外の対応するそれぞれの装置に対し、ステッピングモータ7の駆動力の断続を行わせるようにしてもよい。
【0042】
また、第1の実施例の画像形成装置1では、クラッチ手段11は上述のように、転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29からなる転写材搬送装置に対し、ステッピングモータ7の駆動力を断続するものとしたが、クラッチ手段によってステッピングモータ7の駆動力の断続がなされる装置は、これに限定されない。
【0043】
また、第1の実施例の画像形成装置では、図3のステップ104で行う処理からステップ107で行う処理まで、常にステッピングモータ7を駆動させているが、この発明ではこれに限定せず、例えば、ステップ104で行う処理の終了後、スリーブベアリングの温度がしきい値に達するまでステッピングモータ7の駆動を一時停止させてもよい。
【0045】
次に、低温状態において駆動モータ自体の出力トルクを大きくするようにした画像形成装置について、第2の実施例の画像形成装置で説明する。
【0046】
第2の実施例の画像形成装置31は、図1と同一部分を同一符号で示す図4のブロック図で示すように、第1の実施例の画像形成装置1のクラッチ手段11を配設せず、また、制御手段12に代え、制御手段32を配設している。
【0047】
また、ステッピングモータ7は、その駆動力によって、定着ローラ2、プロセスカートリッジ21(図2)内のトナーを攪拌するアジテータ、転写材フィードローラ27、転写材搬送ローラ26(図2)、転写材排出ローラ29(図2)を直接駆動する。また、ステッピングモータ7は、制御手段32に、ステッピングモータ7の駆動に関する信号を送出している。
【0048】
また、この制御手段32は、図示せぬCPU(中央処理装置)、主記憶装置及び補助記憶装置を主構成要素とする周辺回路から構成されている。
【0049】
この制御手段32には、加熱定着手段2、転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29から、第1の実施例の画像形成装置1と同様の各種情報が入力される。また、制御手段32には、電源投入に関する情報、ジャム転写材の除去に関する情報が入力される。
【0050】
そして、制御手段32は、加熱定着手段2からのスリーブベアリングの温度に関する情報に基づき、加熱ランプ5を駆動し、また、スリーブベアリングが120℃以下である場合に、ステッピングモータ7を所定速度で低速駆動し、スリーブベアリングが120℃以上である場合には、前記所定速度より速い通常速度でステッピングモータ7を駆動する。
【0051】
また、制御手段32は、ステッピングモータ7からの駆動に関する情報、およびステッピングモータ7によって駆動される転写材搬送ローラ26からの転写材51の搬送に関する情報に基づき、イレースサイクルの処理の一部である、転写材搬送路24にジャム転写材があるか否かについての検出、像担持体23の帯電処理、露光処理をそれぞれ行う。また、制御手段32は、ステッピングモータ7からの駆動に関する情報に基づいて、イレースサイクルの一部の処理である、プロセスカートリッジ21内の使用可能なトナーの残量が所定量以上であるか否かについての検出、プロセスカートリッジ21が装置本体22内の所定位置に装着されたか否かについての検出を行う。
【0052】
また、ここでステッピングモータ7の速度切替のしきい値としたスリーブベアリングの温度120℃は、ステッピングモータ7を通常速度で回転駆動させた場合であっても、ステッピングモータ7がロックしない程度に十分に高い温度である。
【0053】
次に、上述した第2の実施例の画像形成装置31の制御手段32の処理手順を図5のフローチャートで説明する。
【0054】
第2の発明の画像形成装置31では、電源投入直後、制御手段32には電源投入に関する情報が入力されるので、この入力に基づき、画像形成を行うための準備処理として、加熱ランプ5をONし、定着ローラ3の加熱を開始するとともに(ステップ201)、ステッピングモータ7を従来の通常速度より低速で駆動する(ステップ202)。このようにステッピングモータ7を低速駆動すると、ステッピングモータ7の駆動力は、定着ローラ2、プロセスカートリッジ内のトナーを攪拌する前記アジテータ、転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27および転写材排出ローラ29に伝達され、定着ローラ2、前記アジテータ、転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27および転写材排出ローラ29が低速で回転駆動する。
【0055】
また、制御手段32は、同時に、ステッピングモータの駆動7および転写材搬送ローラ26による転写材51の搬送に関する情報に基づき、イレースサイクルの処理の一部(前処理)である、プロセスカートリッジ21が装置本体22に装着されたか否かについての検出、ジャム転写材が転写材搬送路24内にあるか否かについての検出を行う(ステップ203)。
【0056】
このように、スリーブベアリングが120℃以下である場合に、ステッピングモータ7を従来の通常速度より低速駆動すると、ステッピングモータ7自体の出力トルクを、通常速度での出力トルクに比し、高くすることができるので、電源投入直後、スリーブベアリングからなる加熱定着手段2が低温状態にあってトルクが高い場合であっても、加熱定着手段2のトルクの影響を可及的に小さくすることができ、これにより、ステッピングモータ7がロックする虞を可及的に防止することができる。
【0057】
次に、制御手段32はスリーブベアリングが120℃以上であるか否かを判断し(ステップ204)、スリーブベアリングが120℃以上でないと判断した場合には、ステップ204以降の処理を繰り返す。一方、ステップ204で、スリーブベアリングが120℃以下であると判断した場合には、ステッピングモータ7を通常速度で駆動し(ステップ205)、これにより、定着ローラ2、前記アジテータ、転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27および転写材搬送ローラ26を通常速度で回転駆動する。
【0058】
また、制御手段32は、同時に、ステッピングモータ7の駆動および転写材搬送ローラ26による転写材51の搬送に関する情報に基づき、イレースサイクルの残りの処理(後処理)である、トナー残量が所定量有るか否かについての検出、像担持体23の表面の帯電、露光処理を行い(ステップ206)、画像形成処理前の待機状態に移行する。
【0059】
また、制御手段32は、画像形成処理前の待機状態から所定時間経過後、像担持体23の帯電、露光、トナー像の現像等の処理、および定着ローラ3からなる加熱定着手段2によるトナー像の定着処理等、画像形成処理を行い、転写材排出ローラ29によってトナー像が定着された転写材51が排出される。
【0060】
このように、第2の実施例の画像形成装置31では、スリーブベアリングが所定温度以下である場合には、ステッピングモータ7を所定速度で低速駆動し、スリーブベアリングが所定温度以上である場合には、ステッピングモータ7を所定速度より速い通常速度で駆動するようにしたから、電源投入直後、ステッピングモータ7の駆動がスリーブベアリングのトルクが高い低温状態で開始される場合に、ステッピングモータ7の出力トルクを従来に比し高くすることができるので、これによりスリーブベアリングのトルクの影響を可及的に小さくすることができ、ステッピングモータ7がロックする虞を可及的に防止することができる。したがって、従来のようにステッピングモータ7のロックによって安定した動作が阻害される虞を可及的に防止することができる。
【0061】
また、このように第2の実施例の画像形成装置31では、電源投入直後、直ぐに画像形成のための準備処理を開始することができるので、プロセスカートリッジ23の装着後のトナー残量の検出や、電源投入直後の画像出力のプロセスに移行するまでの処理時間を短縮することができる。
【0062】
また、上述のように、駆動モータを低速駆動させることにより低温状態での駆動モータ自体の出力トルクを高くすることができるから、第2の発明の画像形成装置の駆動モータとして、第2の実施例の画像形成装置31で使用しているステッピングモータ7のような、出力トルクの低い安価な駆動モータを使用することができ、これにより、画像形成装置の製造コストを可及的に低くすることができる。
【0063】
また、第2の実施例の画像形成装置31では、駆動モータをステッピングモータ7としたが、第2の発明の画像形成装置ではこれに限定せず、駆動モータは、加熱ランプが高温状態にあるときの、比較的低い負荷トルクの画像形成装置を駆動できるモータであればよい。
【0064】
また、第2の実施例の画像形成装置31では、画像形成処理前の待機状態に移行してから所定時間経過後、像担持体23の帯電処理、露光処理、トナー像の現像等の処理、および定着ローラ3からなる加熱定着手段2によるトナー像の定着処理等、画像形成処理を行うこととしたが、この発明の画像形成装置はこれに限定せず、画像形成処理前の待機状態に移行した後、直ちに画像形成処理を行うものであってもよく、そのようにすると、電源投入直後の画像出力の処理終了まで時間を短縮することができる。
【0065】
また、この第2の実施例の画像形成装置31では、ステッピングモータ7の駆動速度の切替のしきい値のスリーブベアリングの温度を、ステッピングモータ7を通常速度で回転駆動させた場合であってもステッピングモータ7がロックすることのない程度に十分に高い温度として設定したが、イレースサイクル終了時点で、定着ローラ3の温度が、画像形成処理へ直ちに移行するために十分な温度(例えば、トナー像を加熱定着させる温度以下である待機温度)に達しているように、そのしきい値を設定することで、電源投入直後画像出力の処理終了までの時間を短縮することができる。
また、このことは、転写材51が収容する転写材収容トレイ25が多段に配設されるタイプの画像形成装置では特に有効であることは、第1の実施例の画像形成装置1と同様である。
【0066】
また、この第2の実施例の画像形成装置31では、イレースサイクルの前処理として、ジャム転写材有無についての検出、プロセスカートリッジ装着の有無についての検出を行い、後処理として、トナー残量の検出、像担持体表面の帯電処理、露光処理を行うこととしたが、このようにその画像形成装置の構成にあわせて、ステッピングモータ7の駆動速度に拘らず処理できるものを前処理として行い、ステッピングモータ7が通常速度で駆動する際に処理を行う必要のある処理をイレースサイクルの後処理として行うと、ステッピングモータ7の駆動速度の切替えによって、トナー残量、プロセスカートリッジ装着有無、ジャム転写材有無の誤検出や、像担持体表面の帯電過剰、露光過剰等、画像出力に不都合が生じる虞を可及的に防止することができる。
【0067】
また、この第2の実施例の画像形成装置31では、スリーブベアリングの温度がしきい値120℃以上であるか否かによって、加熱定着手段2、転写材搬送ローラ26(図2)、および転写材フィードローラ27(図2)を駆動するか否かを判断することとしたが、これに限定せず、たとえば、これら各手段ごとに駆動させるしきい値のスリーブベアリングの所定温度を、複数段設定してもよく、たとえば、定着ローラ3以外の装置である転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29毎にクラッチ手段を配設してもよい。また、その場合に、設定された複数段の所定温度毎にステッピングモータ7の駆動速度を設定するようにしてもよい。
【0068】
また、この第2の実施例の画像形成装置31では、定着ローラ2以外の装置は、転写材搬送ローラ26、転写材フィードローラ27、転写材排出ローラ29、前記アジテータであるとしたが、この発明はこれに限定せず、ステッピングモータ7によって駆動される定着ローラ2以外の装置であればよい。
【0069】
また、第2の実施例の画像形成装置31では、図5のステップ203で行う処理からステップ206で行う処理まで、常にステッピングモータ7を駆動させているが、この発明ではこれに限定せず、例えば、ステップ203で行う処理の終了後、スリーブベアリングの温度がしきい値に達するまでステッピングモータ7の駆動を一時停止させてもよい。
【0070】
また、第1の実施例の画像形成装置1、第2の実施例の画像形成装置31では、樹脂製のスリーブベアリングによって支持されるローラは、加熱定着手段を構成する定着ローラであることとしたが、第1、第2の発明の画像形成装置は、これに限定せず、樹脂製のスリーブベアリングによって支持されるローラであればよい。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明では、ローラと、該ローラを支持する樹脂製のスリーブベアリングと、前記ローラを回転駆動するとともに、前記ローラ以外の装置の駆動処理を行う駆動モータとを具えた画像形成装置において、前記ローラ以外の装置に対する前記駆動モータの駆動力を断続するクラッチ手段を具え、前記スリーブベアリングが所定温度以下である場合には、前記クラッチ手段によって前記ローラ以外の装置に対する駆動力の伝達を切断するとともに、前記ローラの回転駆動、および前記ローラ以外の装置であって前記駆動力の伝達が切断された装置以外の駆動処理を行い、前記スリーブベアリングが所定温度以上である場合には、前記クラッチ手段によって前記ローラ以外の装置へ駆動力を伝達するとともに、前記ローラを回転駆動するようにしているから、電源投入直後、駆動モータの駆動がスリーブベアリングのトルクが高い低温状態で開始される場合に、駆動モータに加わる全トルクを可及的に低くすることができるので、スリーブベアリングのトルクによる影響を可及的に小さくすることができ、そのため、駆動モータがロックする虞は可及的に防止されることとなる。したがって、従来のように駆動モータのロックによって安定した動作が阻害されるという虞を可及的に防止することができる。
【0072】
また、上述のように低温状態において、駆動モータに加わる全トルクを可及的に低くすることができるから、ステッピングモータのような、出力トルクの低い安価な駆動モータを使用することができ、そのため、画像形成装置の製造コストを可及的に低くすることができる。
【0073】
また、電源投入直後、直ぐに画像形成の準備処理を開始することができるので、プロセスカートリッジを装置本体に装着した後に行うトナー残量の検出や、電源投入直後の画像出力等の処理が終了するまでの時間を短縮することができる。
【0077】
したがって、本願発明により、電源投入後短時間で画像出力ができ、かつ、安定した動作を行う安価な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1のの発明に係る第1の実施例の画像形成装置の構成を示すブロック図。
【図2】図2は、第1、第2の発明に係る画像形成装置の構成を示す概念構成図。
【図3】図3は、第1の発明に係る第1の実施例の画像形成装置の処理動作を示すフローチャート。
【図4】図4は、第2の発明に係る第2の実施例の画像形成装置の構成を示すブロック図。
【図5】図5は、第2の発明に係る第2の実施例の画像形成装置の処理動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
1、31…画像形成装置
2…加熱定着手段
3…ローラ
7…駆動モータ
11…クラッチ手段
26、27、29…ローラ以外の装置

Claims (4)

  1. ローラと、該ローラを支持する樹脂製のスリーブベアリングと、前記ローラを回転駆動するとともに、前記ローラ以外の装置の駆動処理を行う駆動モータとを具えた画像形成装置において、
    前記ローラ以外の装置に対する前記駆動モータの駆動力を断続するクラッチ手段を具え、
    前記スリーブベアリングが所定温度以下である場合には、前記クラッチ手段によって前記ローラ以外の装置に対する駆動力の伝達を切断するとともに、前記ローラの回転駆動、および前記ローラ以外の装置であって前記駆動力の伝達が切断された装置以外の駆動処理を行い、
    前記スリーブベアリングが所定温度以上である場合には、前記クラッチ手段によって前記ローラ以外の装置へ駆動力を伝達するとともに、前記ローラを回転駆動するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記駆動モータによる前記ローラ以外の装置の駆動処理は、電源投入直後に行う画像形成準備処理であることを特徴とする請求項(1)記載の画像形成装置。
  3. 前記ローラは、トナー像を転写材に加熱定着する加熱定着手段を構成し、
    前記所定温度は、前記トナー像を加熱定着させる温度以下の温度であることを特徴とする請求項(1)記載の画像形成装置。
  4. 前記クラッチ手段は、前記ローラ以外の装置の各装置毎に配設され、
    前記スリーブベアリングの所定温度は複数段に設定され、
    該設定された複数段の所定温度に応じて、各クラッチ手段は、前記ローラ以外の装置の各装置へ前記駆動モータの駆動力を断続することを特徴とする請求項(1)記載の画像形成装置。
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