JP3911785B2 - Manufacturing method of solid electrolytic capacitor - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解コンデンサの製造方法に係り、特に、導電性高分子を電解質に用いた固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
電解コンデンサは、タンタル、アルミニウム等の弁作用金属からなるとともに微細孔やエッチングピットを備えた陽極電極の表面に、誘電体となる酸化皮膜層を形成し、この酸化皮膜層から電極を引き出して構成されている。
【0003】
そして、酸化皮膜層からの電極の引出しは、導電性を有する電解質層により行っている。したがって、電解コンデンサにおいては電解質層が真の陰極を担うことになる。例えば、アルミニウム電解コンデンサでは、液状の電解質を真の電極として用い、陰極電極はこの液状電解質と外部端子との電気的な接続を担っているにすぎない。
【0004】
真の陰極として機能する電解質層は、酸化皮膜層との密着性、緻密性、均一性などが求められる。特に、陽極電極の微細孔やエッチングピットの内部における密着性が電気的な特性に大きな影響を及ぼしており、従来数々の電解質層が提案されている。
【0005】
固体電解コンデンサは、イオン伝導であるために高周波領域でのインピーダンス特性に欠ける液状の電解質の替わりに導電性を有する固体の電解質を用いるもので、なかでも二酸化マンガンや7、7、8、8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られている。
【0006】
このうち、二酸化マンガンからなる固体電解質層は、硝酸マンガン水溶液に、タンタルの焼結体からなる陽極素子を浸漬し、300℃〜400℃前後の温度で熱分解して生成している。このような固体電解質層を用いたコンデンサでは、硝酸マンガンの熱分解の際に酸化皮膜層が破損し易く、そのため漏れ電流が大きくなる傾向が見られ、また二酸化マンガン自体の比抵抗も高いためにインピーダンス特性において充分満足できる特性を得ることは困難であった。
また熱処理によるリード線の損傷もあり、後工程として接続用の外部端子を別途設ける必要があった。
【0007】
一方、TCNQ錯体を用いた固体電解コンデンサとしては、特開昭58−191414号公報に記載されたものなどが知られており、TCNQ錯体を熱溶融して陽極電極に浸漬、塗布して固体電解質層を形成している。このTCNQ錯体は、導電性が高く、周波数特性や温度特性において良好な結果を得ることができる。
【0008】
しかし、TCNQ錯体は、融点と分解点が近く、温度コントロールによっては溶融したのち短時間で絶縁体に移行する性質があるため、コンデンサの製造過程における温度管理が困難であるほか、TCNQ錯体自体が耐熱性に欠けるため、プリント基板に実装する際のはんだ熱により著しい特性変動が見られる。
【0009】
さらに、以上のような二酸化マンガンやTCNQ錯体の持つ不都合を解決するため、最近では、ポリピロール等の導電性高分子を固体電解質層として用いることが試みられている。
【0010】
ポリピロールに代表される導電性高分子は、主に化学的酸化重合法(化学重合)や電解酸化重合法(電解重合)により生成されるが、化学重合では、強度の強い皮膜を緻密に生成することは困難であった。
一方、電解重合では、皮膜を生成する対象物に電圧を印加する必要があり、そのため表面に絶縁体である酸化皮膜層が形成された電解コンデンサ用の陽極電極に適用することは困難で、酸化皮膜層の表面に、予め導電性のプレコート層、例えば酸化剤を用いて化学重合した導電性高分子膜をプレコート層とし、その後このプレコート層を電極として電解重合による電解質層を形成する方法などが提案されている(特開昭63−173313号公報、特開昭63−158829号公報:二酸化マンガンをプレコート層とする)。
【0011】
しかし、予めプレコート層を形成するため製造工程が煩雑となるほか、電解重合では、陽極電極の被皮膜面に配置した重合用の外部電極の近傍から固体電解質層が生成されるため、広範囲にわたって均一な厚さの導電性高分子膜を連続的に生成することは非常に困難であった。
【0012】
そこで、箔状の陽極電極及び陰極電極を、セパレータを介して巻き取って、いわゆる巻回型のコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子にピロール等のモノマーと酸化剤を浸漬して化学重合のみにより生成した導電性高分子膜からなる電解質層を形成することが試みられた。
【0013】
このような巻回型のコンデンサ素子は、アルミニウム電解コンデンサにおいて周知であるが、導電性高分子層をセパレータで保持することで電解重合の煩雑さを回避するとともに、併せて表面積の大きい箔状の電極により容量を拡大させることが期待された。
【0014】
さらに、巻回型のコンデンサ素子を用いることで、両極の電極とセパレータが一定の緊締力で保持され、両極の電極と電解質層との密着性に貢献することが期待された。
【0015】
しかし、モノマーと酸化剤とを混合した混合溶液をコンデンサ素子に含浸した場合には、モノマーと酸化剤の重合反応が急激に進むために、コンデンサ素子の内部にまで固体電解質層が形成されておらず、期待された電気的特性を得ることはできないことが判明した。
【0016】
そこで、反応の際の溶液の重合温度を低くする試みがなされ、ある程度良好な電気的特性が得られたが、耐圧特性だけは不充分であるという問題点があった。
また、低温で化学重合をする場合、厳重な温度制御が必要であるほか、製造装置が複雑になり、結果として製品コストが高くなってしまう問題点もあった。
【0017】
一方で、各種の導電性高分子についての検討が重ねられており、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(PEDT)に着目した技術(特開平2−15611号公報)が存在している。
【0018】
本出願人は、このポリエチレンジオキシチオフェンの重合反応速度が緩やかなことに着目して、陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、モノマーと酸化剤溶液とを混合した混合溶液を含浸し、その後緩やかに起きるモノマーと酸化剤との化学重合反応で固体電解質であるポリエチレンジオキシチオフェンをコンデンサ素子内部で生成することを特徴とする発明(特願平8−131374号)を出願した。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、以上のように、コンデンサ素子にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を生成するために、モノマーと酸化剤溶液とを混合した混合溶液を含浸した場合には、この混合溶液の重合反応が経時的に進行することから、混合溶液は、重合反応と並行してコンデンサ素子に含浸されることになる。そのため、コンデンサ素子内部まで混合溶液が浸透せずに途中で固まること等により、生成される固体電解質層が不均一になり易い。また、このように混合溶液が途中で固まった場合を見越して、さらに混合溶液を内部に浸透させるためには、混合溶液を連続的に含浸することになるが、このような混合溶液の連続的な含浸は、材料面及び時間面での無駄が多く、生産性を低下させる。
【0020】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、巻回型のコンデンサ素子の内部に、緻密で均一な導電性高分子からなる固体電解質層を生成し、電気的特性に優れかつ大容量の固体電解コンデンサを製造可能な、生産性に優れた製造方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸して化学重合反応によるポリエチレンジオキシチオフェンを生成する固体電解コンデンサの製造方法において、コンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンからなるモノマーを含浸した後、酸化剤を含浸するようにしたものである。
【0022】
まず、請求項1に記載の製造方法は、コンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンからなるモノマーを含浸する工程と、前記モノマーを含浸する工程の後に、コンデンサ素子に酸化剤を含浸する工程を有することを特徴としている。
【0023】
以上のような構成を有する請求項1に記載の製造方法は、化学重合による固体電解質層の生成は、コンデンサ素子中のモノマーの分布状態によって決定されるとの知見に基づき、モノマーの分布状態の改善を意図したものである。すなわち、請求項1に記載の製造方法においては、モノマーと酸化剤をこの順序で別々に含浸することにより、先に含浸されてコンデンサ素子内部に分布したモノマーと後から含浸された酸化剤がコンデンサ素子の内部で化学重合するため、巻回型のコンデンサ素子の内部に、緻密で均一なポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を生成することができる。
【0024】
請求項2に記載の製造方法は、コンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶液を含浸する工程と、この工程の後に、コンデンサ素子を熱処理する工程と、この工程の後に、コンデンサ素子に酸化剤溶液を含浸する工程を有することを特徴としている。
【0025】
以上のような構成を有する請求項1に記載の製造方法によれば、単純にモノマーと酸化剤溶液とを個別に含浸するだけでなく、モノマーを揮発性溶媒で希釈して含浸し、熱処理した後に、酸化剤溶液を含浸しているため、次のような作用が得られる。
【0026】
すなわち、請求項1に記載の製造方法に基づいて、単にモノマーと酸化剤を個別に含浸する場合には、体積比で約1:3〜1:6と、圧倒的にモノマー量が少ないため、コンデンサ素子中でモノマー量の偏りが生じ、得られるコンデンサの特性が不十分となる可能性がある。なお、この場合のコンデンサの特性を向上するために、熱処理を施すことも考えられるが、コンデンサの特性を満足できる程度まで向上するためには、少なくとも、モノマーの含浸後、一定の温度で長時間放置する必要があり、生産性の向上は難しい。
【0027】
これに対して、請求項2に記載の製造方法においては、モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェンを揮発性溶媒で希釈することにより、モノマーをコンデンサ素子へ均一に含浸することが可能となり、続く熱処理によって揮発性溶媒を揮発させることができる。したがって、この後の酸化剤溶液の含浸により、この酸化剤溶液とコンデンサ素子に均一に含浸されたモノマーとを化学重合反応させることで、巻回型のコンデンサ素子の内部に、より緻密で均一なポリエチレンジオキシチオフェンからなるより高品質の固体電解質層を生成することができる。さらに、熱処理時間も短時間で済むため、生産性にも優れている。
【0028】
請求項3、4に記載の製造方法は、請求項1に記載の製造方法において、さらに揮発性溶媒の材料を具体的に限定したものである。
まず、請求項3に記載の製造方法は、請求項2に記載の製造方法において、前記揮発性溶媒として、炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルコール類、窒素化合物の中から選択された材料を使用することを特徴としている。
また、請求項4に記載の製造方法は、請求項3に記載の製造方法において、前記揮発性溶媒として、メタノール、エタノール、アセトンの中から選択された材料を使用することを特徴としている。
【0029】
以上のような構成を有する請求項3、4に記載の製造方法によれば、次のような作用が得られる。
まず、請求項2に記載の製造方法において、使用される揮発性溶媒としては、3,4−エチレンジオキシチオフェンと相互溶解して揮発性が高く、かつ、アルミニウム等からなる電極箔に作用しないものであれば、何でも使用可能である。しかし、特に、請求項3に記載のように、炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルコール類、窒素化合物等を使用することにより、以上のような揮発性溶媒に要求される条件を満たすことができる。すなわち、これらの材料を揮発性溶媒として使用することにより、モノマーの均一的な含浸を促進できると共に、電極箔への悪影響を生じることがない。
【0030】
そして、以上のような揮発性材料の中でも、特に、現状では、請求項4に記載のように、メタノール、エタノール、アセトン等を使用することが望ましい。すなわち、メタノール、エタノール、及びアセトンは、上に列挙した材料の中で、特に安価であり、取り扱いも比較的容易であるため、これらの材料のいずれかを本発明に係る揮発性溶媒として使用することにより、生産性をより向上できる。
【0031】
請求項5に記載の製造方法は、請求項2に記載の製造方法において、前記モノマー溶液を含浸する工程中で、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒を別々に含浸することを特徴としている。
【0032】
以上のような構成を有する請求項5に記載の製造方法によれば、次のような作用が得られる。
まず、請求項2に記載の製造方法において、前記モノマー溶液を含浸する工程では、モノマーと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶液をそのままコンデンサ素子に含浸することも可能である。しかし、この場合には、混合した後に揮発性溶媒が揮発して経時的に組成が変化してしまう可能性もあるため、請求項5に記載のように、モノマーと揮発性溶媒とを別々に含浸することにより、組成変化の少ないモノマー溶液をコンデンサ素子に含浸することができる。
【0033】
請求項6に記載の製造方法は、請求項2に記載の製造方法において、前記モノマー溶液を含浸する工程中で、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒とを1:1〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を含浸することを特徴している。
【0034】
以上のような構成を有する請求項6に記載の製造方法によれば、次のような作用が得られる。
まず、請求項2に記載の製造方法において、モノマーと揮発性溶媒の体積比は適宜選択可能であるが、揮発性溶媒の割合が少なすぎると、揮発性溶媒の使用によるモノマーの均一な分布作用が十分に得られず、また、揮発性溶媒の割合が多すぎても、大量の揮発性溶媒が無駄に消費されるだけである。そのため、具体的には、請求項6に記載のように、モノマーと揮発性溶媒を1:1〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を含浸することにより、コンデンサ素子に対して、モノマーを均一に含浸することができ、コンデンサ内部に高品質の固体電解質層を生成することができる。また、必要最小限の揮発性溶媒を使用するだけであるため、生産性を低下させることもない。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下には、本発明による固体電解コンデンサの製造方法の一つの実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0036】
図1は、本発明の製造方法によって製造してなる固体電解コンデンサを示しており、具体的には、次の手順で製造されている。まず、アルミニウム等の弁作用金属からなり表面に酸化皮膜層が形成された陽極電極箔(陽極箔)1と、陰極電極箔(陰極箔)2とを、セパレータ3を介して巻回してコンデンサ素子10を形成する。
【0037】
次に、このコンデンサ素子10に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒とを1:1〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を含浸する。具体的には、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒とをコンデンサ素子10に含浸する。そして、このようにモノマー溶液を含浸させたコンデンサ素子10を熱処理することにより、揮発性溶媒を揮発させる。
【0038】
この後、コンデンサ素子10に酸化剤溶液を含浸して、セパレータ3に浸透した前記モノマー溶液との化学重合反応によりポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層5を生成する。この固体電解質層5は、セパレータ3で保持される。
【0039】
なお、以上のように、コンデンサ素子10に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶液を含浸する方法や、熱処理後に酸化剤溶液を含浸する方法としては、公知の手段、例えば減圧含浸法、加圧含浸法等を用いることができる。ここで、3,4−エチレンジオキシチオフェンは、特開平2−15611号公報等により開示された公知の製法により得ることができる。
【0040】
そして、揮発性溶媒としては、炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルコール類、窒素化合物の中から選択された材料を用いる。より具体的に、炭化水素類としては、ペンタン、ヘキサン等が使用可能であり、エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル等が使用可能である。また、エステル類としては、ギ酸エチル、酢酸エチル等が使用可能であり、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等が使用可能である。さらに、アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール等が使用可能であり、窒素化合物としては、アセトニトリル等が使用可能である。
【0041】
以上のような揮発性材料の中でも、特に、前述したように、メタノール、エタノール、アセトン等を使用することが望ましい。なお、水は、3,4−エチレンジオキシチオフェンにほとんど溶解しないため、水を揮発性溶媒として用いることは好ましくない。
【0042】
また、酸化剤は、ブタノールに溶解したp−トルエンスルホン酸第二鉄を用いている。この場合、ブタノールとp−トルエンスルホン酸第二鉄の比率は任意でよいが、本発明では一例として、40〜60%溶液を用いている。なお、3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤との配合比は1:3〜1:6の範囲が好適である。
【0043】
一方、陽極箔1は、アルミニウム等の弁作用金属からなり、図2に示すように、その表面を、塩化物水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面化して多数のエッチングピット8を形成している。さらに、この陽極箔1の表面には、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層4を形成している。
陰極箔2は、陽極箔1と同様にアルミニウム等からなり、表面にエッチング処理のみが施されているものを用いる。
【0044】
陽極箔1及び陰極箔2には、それぞれの電極を外部に接続するためのリード線6、7が、ステッチ、超音波溶接等の公知の手段により接続されている。このリード線6、7は、アルミニウム等からなり、陽極箔1、陰極箔2との接続部と外部との電気的な接続を担う外部接続部を構成しており、巻回したコンデンサ素子10の端面から導出される。
【0045】
セパレータ3は、通常のマニラ紙等のセパレータや、ガラスペーパーもしくはガラスペーパーと、マニラ紙、クラフト紙等の紙とを混抄したセパレータ(特願平8−131374号)を用いてもよいが、ビニロン繊維を主体とする不織布や、ビニロン繊維と、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、マニラ紙等の紙繊維等とを混抄した不織布(特願平9−165230号)を用いることが望ましい。
【0046】
コンデンサ素子10は、上記の陽極箔1と陰極箔2とを、セパレータ3を間に挟むようにして巻き取って形成している。両電極箔1、2の寸法は、製造する固体電解コンデンサの仕様に応じて任意であり、セパレータ3も両電極箔1、2の寸法に応じてこれよりやや大きい幅寸法のものを用いればよい。
【0047】
以上のような構成を有する本実施の形態の作用は次の通りである。
すなわち、モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェンの量は、酸化剤に比べて圧倒的に少ないため、このモノマーのみをコンデンサ素子10に含浸した場合にはコンデンサ素子10中でモノマー量の偏りを生じやすいが、本実施の形態のように、モノマーを、メタノール、エタノール、アセトン等の揮発性溶媒で希釈することにより、モノマーをコンデンサ素子10へ均一に含浸することが可能となる。この場合、モノマーと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶液をそのままコンデンサ素子10に含浸することも可能であるが、本実施の形態においては、特に、モノマーと揮発性溶媒とを別々に含浸することにより、経時的な変化の少ないモノマー溶液をコンデンサ素子に含浸することができる。
【0048】
そして、このように、モノマーと揮発性溶媒を含浸したコンデンサ素子10を熱処理することによって、揮発性溶媒を揮発させることができる。
【0049】
したがって、酸化剤溶液の含浸により、この酸化剤溶液とコンデンサ素子10に均一に含浸されたモノマーとを化学重合反応させることで、巻回型のコンデンサ素子10の内部に、緻密で均一なポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層5を生成することができる。
【0050】
さらに、熱処理時間が短いため、生産性に優れている。また、揮発性溶媒として、安価で取り扱いも比較的容易なメタノール、エタノール、アセトン等を使用することにより、生産性をより向上できる。
【0051】
【実施例】
次に、本発明による固体電解コンデンサの製造方法と、それによって得られる固体電解コンデンサの実施例について、比較例と比較しながら具体的に説明する。
まず、次の表1は、本発明を適用した典型的な実施例1〜5と、比較例1〜3の、固体電解質層生成用の手順を比較的に示している。
【0052】
【表1】

Figure 0003911785
【0053】
この表1に示す各例について説明すれば、本発明に係る実施例1は、モノマーの含浸処理を行い、さらに数分程度の熱処理を行った後に酸化剤を含浸する例である。そして、実施例2〜5は、アセトンやメタノール等の揮発性溶媒を使用してモノマーの含浸処理を行い、さらに数分程度の熱処理を行った後に酸化剤を含浸する例であり、使用する揮発性溶媒の種類とそのモノマーとの体積比について差異を持たせたものである。
また、比較例2,3は、揮発性溶媒を使用せずに室温で放置する例であり、モノマー含浸から酸化剤含浸までの時間に差異を持たせたものである。さらに、比較例1は、従来技術に係るモノマーと酸化剤の混合液を含浸する技術を適用した例である。
以上のような実施例1〜5と比較例1〜3のそれぞれについて、初期特性を測定したところ、次の表2に示すような結果が得られた。
【0054】
【表2】
Figure 0003911785
【0055】
この結果から明らかなように、本発明に係る実施例1〜5は、静電容量、tanδ、及び等価直列抵抗(ESR)のいずれの特性に関しても、比較例1〜3に比べて良好な値を示している。また、比較例2、3は、比較例1に比べれば良好な値を示しているが、特に、比較例3は、モノマー含浸から酸化剤含浸までに長時間を要するものであり、数分程度の短時間の熱処理を行う実施例1〜5に比べて生産性が低い。
【0056】
なお、本発明は、前記実施の形態や実施例1〜5に限定されるものではなく、揮発性溶媒の種類は適宜選択可能であり、モノマーと揮発性溶媒との体積比も、1:1〜1:3の範囲内で適宜選択可能である。また、前記実施例においては、モノマーと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶液をコンデンサ素子に含浸したが、モノマーと揮発性溶媒とを別々に含浸することも可能であり、この場合には、組成変化の少ないモノマー溶液をコンデンサ素子に含浸することができる。さらに、酸化剤やその溶媒の種類、およびその比率等も適宜選択可能である。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法によれば、ポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を生成する際に、コンデンサ素子にモノマーを含浸した後に酸化剤を含浸することにより、巻回型のコンデンサ素子の内部に、均一な導電性高分子からなる固体電解質層を生成し、電気的特性に優れかつ大容量の固体電解コンデンサを製造可能である。
【0058】
特に、本発明に係る典型的な製造方法においては、モノマーと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶液をコンデンサ素子に含浸し、コンデンサ素子を熱処理した後、コンデンサ素子に酸化剤溶液を含浸することにより、巻回型のコンデンサ素子の内部に、より高品質の固体電解質層を生成することができるため、より高い電気的特性を持つ固体電解コンデンサを製造可能である。この製造方法は、特に、数分程度の熱処理を行うだけであり、安価で取り扱いの容易な揮発性溶媒を使用できるため、生産性に優れており、極めて実用的な製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が対象とするコンデンサ素子の一例を示す分解斜視図。
【図2】本発明によって生成された固体電解質層を有する陽極箔を示す拡大断面図。
【符号の説明】
1…陽極箔
2…陰極箔
3…セパレータ
4…酸化皮膜層
5…固体電解質層
6、7…リード線
8…エッチングピット
10…コンデンサ素子[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for manufacturing a solid electrolytic capacitor, and more particularly to a solid electrolytic capacitor using a conductive polymer as an electrolyte.
[0002]
[Prior art]
Electrolytic capacitors consist of valve action metals such as tantalum and aluminum, and an oxide film layer that forms a dielectric on the surface of the anode electrode with micropores and etching pits. The electrode is drawn from this oxide film layer. Has been.
[0003]
And extraction of the electrode from an oxide film layer is performed by the electrolyte layer which has electroconductivity. Therefore, in the electrolytic capacitor, the electrolyte layer serves as a true cathode. For example, in an aluminum electrolytic capacitor, a liquid electrolyte is used as a true electrode, and the cathode electrode is merely responsible for electrical connection between the liquid electrolyte and an external terminal.
[0004]
The electrolyte layer that functions as a true cathode is required to have adhesiveness, denseness, and uniformity with the oxide film layer. In particular, the adhesion within the fine holes of the anode electrode and the etching pits has a great influence on the electrical characteristics, and a number of electrolyte layers have been proposed in the past.
[0005]
A solid electrolytic capacitor uses a solid electrolyte having conductivity instead of a liquid electrolyte lacking in impedance characteristics in a high frequency region because of ionic conduction. Among them, manganese dioxide, 7, 7, 8, 8- Tetracyanoquinodimethane (TCNQ) complexes are known.
[0006]
Among these, the solid electrolyte layer made of manganese dioxide is generated by immersing an anode element made of a tantalum sintered body in a manganese nitrate aqueous solution and thermally decomposing at a temperature of about 300 ° C to 400 ° C. In a capacitor using such a solid electrolyte layer, the oxide film layer tends to be damaged during the thermal decomposition of manganese nitrate, so that the leakage current tends to increase, and the specific resistance of manganese dioxide itself is high. It has been difficult to obtain sufficiently satisfactory impedance characteristics.
In addition, since the lead wire is damaged by the heat treatment, it is necessary to separately provide an external terminal for connection as a subsequent process.
[0007]
On the other hand, as a solid electrolytic capacitor using a TCNQ complex, the one described in Japanese Patent Application Laid-Open No. 58-191414 is known, and the solid electrolyte is obtained by immersing and applying the TCNQ complex to an anode electrode. Forming a layer. This TCNQ complex has high conductivity, and good results in frequency characteristics and temperature characteristics can be obtained.
[0008]
However, since the TCNQ complex has a melting point and a decomposition point close to each other, and depending on the temperature control, it has a property of moving to an insulator in a short time after being melted. Therefore, temperature control in the manufacturing process of the capacitor is difficult. Due to lack of heat resistance, significant characteristic fluctuations are observed due to solder heat when mounted on a printed circuit board.
[0009]
Furthermore, in order to solve the disadvantages of the above manganese dioxide and TCNQ complex, recently, an attempt has been made to use a conductive polymer such as polypyrrole as a solid electrolyte layer.
[0010]
Conductive polymers represented by polypyrrole are mainly produced by chemical oxidative polymerization (chemical polymerization) or electrolytic oxidative polymerization (electrolytic polymerization), but chemical polymerization produces dense films with high strength. It was difficult.
On the other hand, in the electropolymerization, it is necessary to apply a voltage to an object that forms a film, and therefore it is difficult to apply it to an anode electrode for an electrolytic capacitor having an oxide film layer that is an insulator on the surface. For example, a conductive precoat layer, for example, a conductive polymer film chemically polymerized using an oxidant as a precoat layer on the surface of the film layer, and then forming an electrolyte layer by electrolytic polymerization using the precoat layer as an electrode, etc. Have been proposed (Japanese Patent Laid-Open Nos. 63-173313 and 63-158829: Manganese dioxide is used as a precoat layer).
[0011]
However, since the precoat layer is formed in advance, the manufacturing process becomes complicated, and in the electropolymerization, a solid electrolyte layer is generated from the vicinity of the external electrode for polymerization disposed on the coating surface of the anode electrode. It was very difficult to continuously produce a conductive polymer film having a sufficient thickness.
[0012]
Therefore, the foil-like anode electrode and cathode electrode are wound through a separator to form a so-called wound capacitor element, and a monomer such as pyrrole and an oxidizing agent are immersed in this capacitor element only by chemical polymerization. An attempt was made to form an electrolyte layer made of the produced conductive polymer film.
[0013]
Such a wound-type capacitor element is well known in aluminum electrolytic capacitors, but it avoids the complexity of electrolytic polymerization by holding the conductive polymer layer with a separator, and at the same time, it is a foil-shaped capacitor with a large surface area. It was expected to increase the capacity with the electrodes.
[0014]
Furthermore, by using a wound capacitor element, it was expected that the electrodes of both electrodes and the separator could be held with a constant tightening force and contributed to the adhesion between the electrodes of both electrodes and the electrolyte layer.
[0015]
However, when the capacitor element is impregnated with a mixed solution in which a monomer and an oxidant are mixed, the polymerization reaction of the monomer and the oxidant proceeds rapidly, so that a solid electrolyte layer is not formed even inside the capacitor element. Thus, it was found that the expected electrical characteristics could not be obtained.
[0016]
Therefore, an attempt was made to lower the polymerization temperature of the solution during the reaction, and some good electrical characteristics were obtained, but there was a problem that only the withstand voltage characteristics were insufficient.
In addition, when performing chemical polymerization at a low temperature, strict temperature control is required, and the production apparatus becomes complicated, resulting in a problem that the product cost increases.
[0017]
On the other hand, various conductive polymers have been studied, and a technology that focuses on polyethylene dioxythiophene (PEDT), which has a slow reaction rate and excellent adhesion to the oxide film layer of the anode electrode (PEDT) JP-A-2-15611) exists.
[0018]
The present applicant pays attention to the slow polymerization reaction rate of polyethylene dioxythiophene, and the monomer and the oxidant solution are added to the capacitor element in which the anode electrode foil and the cathode electrode foil are wound through the separator. An invention characterized in that polyethylenedioxythiophene, which is a solid electrolyte, is produced inside a capacitor element by a chemical polymerization reaction between a monomer and an oxidant that occurs gently after the impregnation of the mixed solution (Japanese Patent Application No. 8-131374). No.).
[0019]
[Problems to be solved by the invention]
However, as described above, when the capacitor element is impregnated with a mixed solution in which a monomer and an oxidant solution are mixed in order to produce a solid electrolyte layer made of polyethylene dioxythiophene, the polymerization reaction of the mixed solution is caused. Since it progresses with time, the mixed solution is impregnated in the capacitor element in parallel with the polymerization reaction. Therefore, the generated solid electrolyte layer is likely to be non-uniform because the mixed solution does not penetrate into the capacitor element and solidifies in the middle. Further, in anticipation of the case where the mixed solution is solidified in this way, in order to further infiltrate the mixed solution, the mixed solution is continuously impregnated. Such impregnation is wasteful in terms of material and time, and decreases productivity.
[0020]
The present invention has been proposed in order to solve such problems of the prior art, and the object is to provide a solid electrolyte layer made of a dense and uniform conductive polymer inside a wound capacitor element. It is an object of the present invention to provide a production method excellent in productivity, which can produce a solid electrolytic capacitor having excellent electrical characteristics and a large capacity.
[0021]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above problems, a method for producing a solid electrolytic capacitor according to the present invention includes a capacitor element in which an anode electrode foil and a cathode electrode foil are wound via a separator, and 3,4-ethylenedioxythiophene and an oxidizing agent. In a method for producing a solid electrolytic capacitor in which polyethylene dioxythiophene is produced by chemical polymerization reaction by impregnating the capacitor element, the capacitor element is impregnated with a monomer composed of 3,4-ethylenedioxythiophene and then impregnated with an oxidizing agent. It is a thing.
[0022]
First, in the manufacturing method according to claim 1, the capacitor element is impregnated with an oxidizing agent after the step of impregnating the capacitor element with a monomer composed of 3,4-ethylenedioxythiophene and the step of impregnating the monomer. It has the process.
[0023]
The manufacturing method according to claim 1 having the above-described configuration is based on the knowledge that the generation of the solid electrolyte layer by chemical polymerization is determined by the monomer distribution state in the capacitor element. It is intended for improvement. That is, in the manufacturing method according to claim 1, by separately impregnating the monomer and the oxidant in this order, the monomer impregnated first and distributed in the capacitor element and the oxidant impregnated later are capacitor. Since chemical polymerization is performed inside the element, a dense and uniform solid electrolyte layer made of polyethylene dioxythiophene can be formed inside the wound capacitor element.
[0024]
The manufacturing method according to claim 2 includes a step of impregnating a capacitor element with a monomer solution in which 3,4-ethylenedioxythiophene and a volatile solvent are mixed, and a step of heat-treating the capacitor element after this step; The method is characterized by having a step of impregnating the capacitor element with an oxidant solution after this step.
[0025]
According to the manufacturing method of claim 1 having the above-described configuration, not only the monomer and the oxidant solution are simply impregnated individually, but also the monomer is diluted with a volatile solvent, impregnated, and heat-treated. Later, since the oxidant solution is impregnated, the following effects are obtained.
[0026]
That is, based on the production method according to claim 1, when impregnating the monomer and the oxidizing agent separately, the volume ratio is about 1: 3 to 1: 6, and the amount of monomer is overwhelmingly small. There is a possibility that the monomer amount is uneven in the capacitor element and the characteristics of the obtained capacitor are insufficient. In order to improve the characteristics of the capacitor in this case, heat treatment can be considered, but in order to improve the characteristics of the capacitor to a satisfactory level, at least after the impregnation with the monomer, at a certain temperature for a long time. It is necessary to leave it, and it is difficult to improve productivity.
[0027]
On the other hand, in the manufacturing method according to claim 2, it is possible to uniformly impregnate the capacitor element with the monomer by diluting the monomer 3,4-ethylenedioxythiophene with a volatile solvent. The volatile solvent can be volatilized by subsequent heat treatment. Therefore, by the subsequent impregnation of the oxidant solution, the oxidant solution and the monomer uniformly impregnated in the capacitor element are subjected to a chemical polymerization reaction, so that the inside of the wound type capacitor element is more dense and uniform. A higher quality solid electrolyte layer made of polyethylene dioxythiophene can be produced. Furthermore, since the heat treatment time is short, the productivity is excellent.
[0028]
The manufacturing method according to claims 3 and 4 is the manufacturing method according to claim 1, further specifically limiting the material of the volatile solvent.
First, the production method according to claim 3 is the production method according to claim 2, wherein the volatile solvent is selected from hydrocarbons, ethers, esters, ketones, alcohols, and nitrogen compounds. It is characterized by using the material made.
A manufacturing method according to claim 4 is characterized in that, in the manufacturing method according to claim 3, a material selected from methanol, ethanol, and acetone is used as the volatile solvent.
[0029]
According to the manufacturing method of Claim 3 and 4 which has the above structures, the following effects are obtained.
First, in the manufacturing method according to claim 2, the volatile solvent used is highly volatile by mutual dissolution with 3,4-ethylenedioxythiophene and does not act on an electrode foil made of aluminum or the like. Anything can be used. However, in particular, the conditions required for the volatile solvent as described above by using hydrocarbons, ethers, esters, ketones, alcohols, nitrogen compounds and the like as described in claim 3. Can be met. That is, by using these materials as a volatile solvent, uniform impregnation of the monomer can be promoted and no adverse effect on the electrode foil is caused.
[0030]
Among the volatile materials as described above, in particular, as described in claim 4, it is desirable to use methanol, ethanol, acetone, or the like. That is, methanol, ethanol, and acetone are particularly inexpensive and relatively easy to handle among the materials listed above, so any one of these materials is used as the volatile solvent according to the present invention. As a result, productivity can be further improved.
[0031]
The manufacturing method according to claim 5 is characterized in that in the manufacturing method according to claim 2, 3,4-ethylenedioxythiophene and a volatile solvent are separately impregnated in the step of impregnating the monomer solution. It is said.
[0032]
According to the manufacturing method of the fifth aspect having the above configuration, the following operation is obtained.
First, in the manufacturing method according to claim 2, in the step of impregnating the monomer solution, it is possible to impregnate the capacitor element as it is with a monomer solution in which a monomer and a volatile solvent are mixed. However, in this case, since the volatile solvent may volatilize after mixing and the composition may change over time, the monomer and the volatile solvent are separated separately as described in claim 5. By impregnating, the capacitor element can be impregnated with a monomer solution with little composition change.
[0033]
The production method according to claim 6 is the production method according to claim 2, wherein in the step of impregnating the monomer solution, 3,4-ethylenedioxythiophene and a volatile solvent are used in a ratio of 1: 1 to 1: It is characterized by impregnating a monomer solution mixed at a volume ratio of 3.
[0034]
According to the manufacturing method of the sixth aspect having the above configuration, the following operation is obtained.
First, in the production method according to claim 2, the volume ratio of the monomer and the volatile solvent can be appropriately selected. However, if the proportion of the volatile solvent is too small, the uniform distribution of the monomer due to the use of the volatile solvent. Is not sufficiently obtained, and even if the proportion of the volatile solvent is too large, only a large amount of the volatile solvent is wasted. Therefore, specifically, as described in claim 6, the monomer element is impregnated with respect to the capacitor element by impregnating the monomer solution in which the monomer and the volatile solvent are mixed at a volume ratio of 1: 1 to 1: 3. Can be uniformly impregnated, and a high-quality solid electrolyte layer can be formed inside the capacitor. Moreover, since only the minimum necessary volatile solvent is used, productivity is not reduced.
[0035]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, an embodiment of a method for producing a solid electrolytic capacitor according to the present invention will be specifically described with reference to the drawings.
[0036]
FIG. 1 shows a solid electrolytic capacitor manufactured by the manufacturing method of the present invention, and specifically, manufactured by the following procedure. First, an anode electrode foil (anode foil) 1 made of a valve metal such as aluminum and having an oxide film layer formed on the surface, and a cathode electrode foil (cathode foil) 2 are wound through a separator 3 to form a capacitor element. 10 is formed.
[0037]
Next, the capacitor element 10 is impregnated with a monomer solution in which 3,4-ethylenedioxythiophene and a volatile solvent are mixed at a volume ratio of 1: 1 to 1: 3. Specifically, the capacitor element 10 is impregnated with 3,4-ethylenedioxythiophene and a volatile solvent. And the volatile solvent is volatilized by heat-processing the capacitor | condenser element 10 impregnated with the monomer solution in this way.
[0038]
Thereafter, the capacitor element 10 is impregnated with an oxidant solution, and the solid electrolyte layer 5 made of polyethylenedioxythiophene is generated by a chemical polymerization reaction with the monomer solution that has permeated the separator 3. The solid electrolyte layer 5 is held by the separator 3.
[0039]
As described above, as a method of impregnating the capacitor element 10 with a monomer solution in which 3,4-ethylenedioxythiophene and a volatile solvent are mixed, or a method of impregnating an oxidant solution after heat treatment, known methods are known. Means such as a reduced pressure impregnation method and a pressure impregnation method can be used. Here, 3,4-ethylenedioxythiophene can be obtained by a known production method disclosed in JP-A-2-15611.
[0040]
As the volatile solvent, a material selected from hydrocarbons, ethers, esters, ketones, alcohols, and nitrogen compounds is used. More specifically, pentane, hexane or the like can be used as the hydrocarbon, and tetrahydrofuran, dipropyl ether or the like can be used as the ether. Further, as the esters, ethyl formate, ethyl acetate and the like can be used, and as the ketones, acetone, methyl ethyl ketone and the like can be used. Furthermore, methanol, ethanol, propanol, etc. can be used as alcohols, and acetonitrile etc. can be used as a nitrogen compound.
[0041]
Among the volatile materials as described above, it is particularly preferable to use methanol, ethanol, acetone or the like as described above. In addition, since water hardly dissolves in 3,4-ethylenedioxythiophene, it is not preferable to use water as a volatile solvent.
[0042]
The oxidizing agent is ferric p-toluenesulfonate dissolved in butanol. In this case, the ratio of butanol and ferric p-toluenesulfonate may be arbitrary, but in the present invention, a 40 to 60% solution is used as an example. The mixing ratio of 3,4-ethylenedioxythiophene and the oxidizing agent is preferably in the range of 1: 3 to 1: 6.
[0043]
On the other hand, the anode foil 1 is made of a valve action metal such as aluminum, and as shown in FIG. 2, the surface thereof is roughened by electrochemical etching treatment in an aqueous chloride solution to form a large number of etching pits 8. Forming. Furthermore, an oxide film layer 4 serving as a dielectric is formed on the surface of the anode foil 1 by applying a voltage in an aqueous solution such as ammonium borate.
The cathode foil 2 is made of aluminum or the like, similar to the anode foil 1, and has a surface subjected only to etching treatment.
[0044]
Lead wires 6 and 7 for connecting the respective electrodes to the outside are connected to the anode foil 1 and the cathode foil 2 by known means such as stitching and ultrasonic welding. The lead wires 6 and 7 are made of aluminum or the like, and constitute an external connection portion that is responsible for electrical connection between the connection portion of the anode foil 1 and the cathode foil 2 and the outside. Derived from the end face.
[0045]
Separator 3 may be a separator such as ordinary Manila paper, or a separator made of glass paper or glass paper and paper such as Manila paper or kraft paper (Japanese Patent Application No. 8-131374). It is desirable to use a nonwoven fabric mainly composed of fibers, or a nonwoven fabric (Japanese Patent Application No. 9-165230) that is a mixture of vinylon fibers and glass fibers, polyester fibers, nylon fibers, rayon fibers, manila paper or other paper fibers. .
[0046]
The capacitor element 10 is formed by winding the anode foil 1 and the cathode foil 2 with the separator 3 interposed therebetween. The dimensions of both electrode foils 1 and 2 are arbitrary according to the specifications of the solid electrolytic capacitor to be manufactured, and the separator 3 may have a slightly larger width depending on the dimensions of both electrode foils 1 and 2. .
[0047]
The operation of the present embodiment having the above-described configuration is as follows.
That is, the amount of 3,4-ethylenedioxythiophene, which is a monomer, is overwhelmingly smaller than that of the oxidant. Therefore, when the capacitor element 10 is impregnated only with this monomer, the amount of monomer in the capacitor element 10 is uneven. However, it is possible to uniformly impregnate the capacitor element 10 with the monomer by diluting the monomer with a volatile solvent such as methanol, ethanol, or acetone as in the present embodiment. In this case, it is possible to impregnate the capacitor element 10 with the monomer solution obtained by mixing the monomer and the volatile solvent as it is, but in the present embodiment, in particular, the monomer and the volatile solvent are impregnated separately. As a result, the capacitor element can be impregnated with a monomer solution with little change over time.
[0048]
And the volatile solvent can be volatilized by heat-processing the capacitor | condenser element 10 which impregnated the monomer and the volatile solvent in this way.
[0049]
Therefore, by impregnating the oxidant solution, the oxidant solution and the monomer uniformly impregnated in the capacitor element 10 are subjected to a chemical polymerization reaction, so that a dense and uniform polyethylene film is formed inside the wound capacitor element 10. A solid electrolyte layer 5 made of oxythiophene can be generated.
[0050]
Furthermore, since the heat treatment time is short, the productivity is excellent. Moreover, productivity can be further improved by using methanol, ethanol, acetone, etc. which are cheap and relatively easy to handle as a volatile solvent.
[0051]
【Example】
Next, a method for manufacturing a solid electrolytic capacitor according to the present invention and examples of the solid electrolytic capacitor obtained thereby will be described in detail in comparison with comparative examples.
First, the following Table 1 relatively shows a procedure for producing a solid electrolyte layer in typical Examples 1 to 5 to which the present invention is applied and Comparative Examples 1 to 3.
[0052]
[Table 1]
Figure 0003911785
[0053]
Explaining each example shown in Table 1, Example 1 according to the present invention is an example in which an impregnation treatment with a monomer is performed, and a heat treatment for about several minutes is further performed, followed by impregnation with an oxidizing agent. Examples 2 to 5 are examples in which a monomer is impregnated using a volatile solvent such as acetone or methanol, and after further heat treatment for about several minutes, the oxidizing agent is impregnated. The difference is in the volume ratio between the type of the organic solvent and the monomer.
Comparative Examples 2 and 3 are examples in which a volatile solvent is not used and left at room temperature, and the time from monomer impregnation to oxidizing agent impregnation is different. Further, Comparative Example 1 is an example to which a technique for impregnating a mixed solution of a monomer and an oxidizing agent according to the prior art is applied.
When the initial characteristics were measured for each of Examples 1 to 5 and Comparative Examples 1 to 3 as described above, the results shown in the following Table 2 were obtained.
[0054]
[Table 2]
Figure 0003911785
[0055]
As is apparent from the results, Examples 1 to 5 according to the present invention have better values than Comparative Examples 1 to 3 for all the characteristics of capacitance, tan δ, and equivalent series resistance (ESR). Is shown. Further, Comparative Examples 2 and 3 show better values than Comparative Example 1, but in particular, Comparative Example 3 requires a long time from monomer impregnation to oxidant impregnation, and is about several minutes. Productivity is low compared with Examples 1-5 which perform the heat processing of this short time.
[0056]
In addition, this invention is not limited to the said embodiment and Examples 1-5, The kind of volatile solvent can be selected suitably, and the volume ratio of a monomer and a volatile solvent is also 1: 1. It can select suitably in the range of -1: 3. Further, in the above embodiment, the capacitor element is impregnated with the monomer solution in which the monomer and the volatile solvent are mixed, but it is also possible to impregnate the monomer and the volatile solvent separately. The capacitor element can be impregnated with a monomer solution with little change. Furthermore, the kind of oxidizing agent and its solvent, its ratio, etc. can also be selected suitably.
[0057]
【The invention's effect】
As described above, according to the method for producing a solid electrolytic capacitor according to the present invention, when the solid electrolyte layer made of polyethylenedioxythiophene is produced, the capacitor element is impregnated with a monomer and then impregnated with an oxidizing agent. A solid electrolyte layer made of a uniform conductive polymer can be produced inside a wound capacitor element, and a solid electrolytic capacitor having excellent electrical characteristics and a large capacity can be manufactured.
[0058]
In particular, in a typical manufacturing method according to the present invention, the capacitor element is impregnated with a monomer solution in which a monomer and a volatile solvent are mixed, the capacitor element is heat treated, and then the capacitor element is impregnated with an oxidant solution. Since a higher quality solid electrolyte layer can be generated inside the wound capacitor element, a solid electrolytic capacitor with higher electrical characteristics can be manufactured. In particular, this manufacturing method is merely a heat treatment for about several minutes, and since a volatile solvent that is inexpensive and easy to handle can be used, it is excellent in productivity and is an extremely practical manufacturing method.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an exploded perspective view showing an example of a capacitor element targeted by the present invention.
FIG. 2 is an enlarged cross-sectional view showing an anode foil having a solid electrolyte layer produced according to the present invention.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 ... Anode foil 2 ... Cathode foil 3 ... Separator 4 ... Oxide film layer 5 ... Solid electrolyte layer 6, 7 ... Lead wire 8 ... Etching pit 10 ... Capacitor element

Claims (6)

陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸して化学重合反応によるポリエチレンジオキシチオフェンを生成する固体電解コンデンサの製造方法において、
コンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンからなるモノマーを含浸する工程と、
前記モノマーを含浸する工程の後に、コンデンサ素子に酸化剤を含浸する工程を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
A solid electrolytic capacitor in which 3,4-ethylenedioxythiophene and an oxidizing agent are impregnated into a capacitor element in which an anode electrode foil and a cathode electrode foil are wound via a separator to produce polyethylene dioxythiophene by a chemical polymerization reaction In the manufacturing method of
Impregnating a capacitor element with a monomer comprising 3,4-ethylenedioxythiophene;
A method for producing a solid electrolytic capacitor comprising a step of impregnating a capacitor element with an oxidizing agent after the step of impregnating the monomer.
陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸して化学重合反応によるポリエチレンジオキシチオフェンを生成する固体電解コンデンサの製造方法において、
コンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒とを混合したモノマー溶液を含浸する工程と、
前記モノマー溶液を含浸する工程の後に、コンデンサ素子を熱処理する工程と、
前記熱処理する工程の後に、コンデンサ素子に酸化剤溶液を含浸する工程
を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
A solid electrolytic capacitor in which 3,4-ethylenedioxythiophene and an oxidizing agent are impregnated into a capacitor element in which an anode electrode foil and a cathode electrode foil are wound via a separator to produce polyethylene dioxythiophene by a chemical polymerization reaction In the manufacturing method of
Impregnating a capacitor element with a monomer solution obtained by mixing 3,4-ethylenedioxythiophene and a volatile solvent;
A step of heat-treating the capacitor element after the step of impregnating the monomer solution;
A method for producing a solid electrolytic capacitor, comprising a step of impregnating a capacitor element with an oxidant solution after the heat treatment step.
前記揮発性溶媒として、炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルコール類、窒素化合物の中から選択された材料を使用する
ことを特徴とする請求項2記載の固体電解コンデンサの製造方法。
3. The method for producing a solid electrolytic capacitor according to claim 2, wherein a material selected from hydrocarbons, ethers, esters, ketones, alcohols, and nitrogen compounds is used as the volatile solvent. .
前記揮発性溶媒として、メタノール、エタノール、アセトンの中から選択された材料を使用する
ことを特徴とする請求項3記載の固体電解コンデンサの製造方法。
4. The method for manufacturing a solid electrolytic capacitor according to claim 3, wherein a material selected from methanol, ethanol, and acetone is used as the volatile solvent.
前記モノマー溶液を含浸する工程中で、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒を別々に含浸する
ことを特徴とする請求項2記載の固体電解コンデンサの製造方法。
3. The method for producing a solid electrolytic capacitor according to claim 2, wherein in the step of impregnating the monomer solution, 3,4-ethylenedioxythiophene and a volatile solvent are impregnated separately.
前記モノマー溶液を含浸する工程中で、3,4−エチレンジオキシチオフェンと揮発性溶媒とを1:1〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を含浸する
ことを特徴とする請求項2記載の固体電解コンデンサの製造方法。
3. The impregnation with a monomer solution in which 3,4-ethylenedioxythiophene and a volatile solvent are mixed at a volume ratio of 1: 1 to 1: 3 in the step of impregnating the monomer solution. The manufacturing method of the solid electrolytic capacitor of description.
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