JP3911541B2 - 飛灰の処理法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉛、カドミウム、その他の重金属(これらの金属を総称して単に重金属という。)を含有する飛灰についてキレート剤を用いて不溶化する処理法であって、簡易な分析的手法により処理結果を判定して処理作業の効率化およびキレート剤添加量の最適化を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
産業廃棄物および一般廃棄物等の廃棄物を焼却または加熱酸化処理等を行うと、その反応に伴い炉内および炉からの排ガス中等に重金属等を含有する灰が発生する。これらの灰(総称して飛灰という。)の中には上記の種々の重金属などが含有されており、例えば鉛やカドミウム等の重金属は環境を汚染する恐れがあるため、これらの飛灰は中和処理、重金属の不溶化・無害化処理等が施される。
【0003】
従来より、飛灰中の重金属の不溶化・無害化処理には、セメントやアスファルトによる固化方法、炭酸ガスによって不溶性の炭酸塩とする中和炭酸塩化の処理方法、還元溶融炉によってスラグに固化する方法、有機高分子系のキレート剤によって不溶化する方法などがある。
【0004】
このうち、セメントやアスファルトによる固化方法では20〜30%程度体積増となってしまうことや酸性雨などによる再溶出の恐れがあり、また、炭酸ガスによる炭酸塩化法や溶融炉を用いるスラグ化法では処理設備が大掛かりなものとなり設備費が嵩むことなどがあって、処理設備、工程管理および処理コスト等において比較的有利な有機高分子系のキレート剤による処理法が多く実施されている。
【0005】
上記のキレート剤による処理においては、飛灰の性状、重金属含有量、重金属溶出濃度等に応じてキレート剤および水を添加し、混練することによって処理飛灰を得るものである。この処理により重金属が確実に不溶化されて重金属溶出の恐れが無くなった処理飛灰は最終処分場に移送され、埋立処分などに供される。
【0006】
処理飛灰中の重金属が確実に不溶化されたかどうかは、処理飛灰の溶出液中の重金属濃度を分析することで確認することができる。すなわち、環境省告示13号法試験に基づき、処理飛灰を中性域の溶媒と混合してその溶出液を得、次いで工場排水試験方法(JIS K 0102)に基づき、この溶出液を酸溶解した後に、pH調整、錯体形成、有機溶媒による分液抽出、塩酸による逆抽出などの工程を経て分析用溶出液を得る。さらにその溶出液について原子吸光法、ICP発光分析法などのJISに基づいた定量分析法により重金属濃度を定量し、重金属濃度が埋立基準値以下であるかどうか、すなわちキレート剤による不溶化が確実になされたかどうかを判定する。
【0007】
溶出液中の重金属濃度が基準値以下と判定されることにより、その処理ロットの処理飛灰が最終処分場に向けて出荷される。溶出液中の重金属濃度が基準値を上回る場合は、その処理ロットの処理飛灰は出荷停止され、さらにキレート剤を追加して再処理を行ない、溶出液中への重金属の溶出量が基準値以下になるように繰り返される。
【0008】
なお、前記環境省告示13号法試験の規定によれば、溶出液を得るための試料液は、「イ 埋立処分(海面埋立処分を除く)を行おうとする燃え殻、汚泥、鉱さい、ばいじん又はこれらの産業廃棄物を処分するために処理したものにあっては、試料(単位:グラム)と溶媒(純水に水酸化ナトリウムまたは塩酸を加えて、水素イオン濃度指数が5.8以上、6.3以下となるようにしたもの)(単位:ミリリットル)とを重量体積比10%の割合で混合し、かつ、その混合液が500ミリリットル以下となるようにしたものとする。」と規定され、溶出操作については、「常温(おおむね摂氏20度)、常圧(おおむね1気圧)で振とう機(あらかじめ振とう回数を毎分約200回に、振とう幅を4センチメートル以上、5センチメートル以下に調整したもの)を用いて、6時間連続して振とうする。」と規定されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来は、キレート剤と混練して処理された処理飛灰に十分な量のキレート剤が添加され、重金属が確実に不溶化されたかどうかは、全処理飛灰中の重金属の溶出値をその溶出液についてJISの機器分析手法にしたがって測定する必要があった。また、その測定値をもとに再処理の必要の有無を判断し、キレート剤の過不足量を判断している状況にあった。
【0010】
従来、処理工程においてJISの原子吸光法やICP発光分析法など機器分析手法による溶出液中の重金属濃度の確認作業に際しては、前記溶出液から分析用のサンプル液を調製するまでの手順が多く、時間や分析費用が大きいという欠点があった。また、再処理飛灰の場合を含めて重金属濃度の確認作業の全てにJISの機器分析手法を適用するには、それらの機器を揃えて調整・管理をしなければならず、また分析にかかる時間や人手も大きいという問題があった。
【0011】
さらには、前記溶出液は処理飛灰のサンプリングの場所や処理時間(混練、養生)の違い等も考慮し、また、処理飛灰の溶出液の分析によりキレート処理が不十分と判定された場合を考慮すると、必要なサンプル液の調製および分析を行なう時間およびコストの負担は著しく増加し、分析必要量が設備の処理能力を上回ったり、飛灰の処理量にも影響を及ぼすことがある。また、重金属無害化処理に用いたキレート剤がどれほど過剰であったかは正確には不明であった。
【0012】
したがって、本発明の目的とするところは、前記の問題点に鑑み、飛灰のキレート剤による重金属不溶化処理の途上において、代用特性を用いて処理飛灰中の重金属の溶出の有無を簡易に判定できる方法を提供し、機器分析およびそのための分析用サンプル液の調製などに要する時間およびコスト負担の軽減を図り、前記重金属不溶化処理作業の効率化および分析コスト低減を図ること、ならびに、重金属再溶出防止に必要なキレート剤過剰添加の最適化によりキレート剤コスト低減を図ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この点を解決するため、本発明者は金属含有溶液を試薬として扱い、溶出液中の未反応キレート剤を定量的に判定する手法を見出した。すなわち、本発明は第1に、重金属を含有する飛灰にキレート剤を添加して混練し、該飛灰中の該重金属を不溶化する処理法であって、該処理後の飛灰に溶媒を添加してなるスラリーからの溶出液中に、着色銅含有溶液の試験溶液を添加し、該試験溶液添加前後における該溶出液の色について該溶出液中に残留する前記キレート剤による変化が無くなるまでに要した該試験溶液の添加量によって該溶出液中に残留する前記キレート剤量を求めることを特徴とする飛灰の処理法であり、第2に、前記試験溶液が青色の硝酸銅溶液である第1記載の飛灰の処理法であり、第3に、前記試験溶液の添加量が前記溶出液中に残留する未反応の前記キレート剤量に相当する第1または2記載の飛灰の処理法である。
【0014】
次に、本発明は第4に、前記試験溶液の添加量によって前記処理における前記キレート剤の添加量不足と判定した後、該処理後の飛灰に該判定結果に基づく不足量の該キレート剤をさらに添加して混練し該処理を継続する第1〜3のいずれかに記載の飛灰の処理法であり、第5に、前記試験溶液の添加量によって前記処理における前記キレート剤の添加量不足と判定した後、該処理対象の次ロットの飛灰に該判定結果に基づく不足分の該キレート剤を増量して添加して混練し該処理を行う第1〜4のいずれかに記載の飛灰の処理法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
キレート剤が添加された処理飛灰のサンプリング試料から得られる溶出液については、キレート剤がある一定の添加量を超えて添加された場合では、測定される重金属濃度はほぼゼロ付近で一定となる。キレート剤添加量が不足の場合には重金属溶出の原因になるため再処理が必要であり、この再処理を省くためには、キレート剤が過剰サイドで添加されていれば良いが、大過剰となることは処理コストおよび資源浪費の観点から悪影響を与えるので好ましくない。
【0016】
すなわち、金属含有溶液の滴下によって溶出液中における未反応キレート剤および溶出性の重金属の有無を評価することにより、大過剰もしくは不足する未反応キレート剤量を知ることができる。未反応キレート剤が過剰に存在する場合は、前記のように、溶出液中の重金属はほぼゼロである。したがって、過剰の未反応キレート剤の存在を証明、判定できれば、溶出液中の重金属濃度は基準値以下であることがいえる。また、未反応キレート剤の過剰量を判定および調整できれば、コスト削減につながる。すなわち、キレート剤添加量が大過剰と判定された場合には次ロットの飛灰処理に用いるキレート剤量を削減して混練処理を行なうことができる。
【0017】
試験溶液となる金属含有溶液はその金属イオンが銅イオンであれば青色を呈するが、この金属含有溶液が添加される溶出液中に未反応キレート剤が残存していれば、そのキレート剤との反応で褐色の錯体が形成される。この場合、重金属の溶出は殆ど無い。すなわち、キレート剤の量が重金属不溶化に対して過剰であると判定できる。
【0018】
ただし、未反応キレート剤の処理飛灰中における経時失活(消費)による、重金属の再溶出作用を考慮する場合、再溶出を防止するための褐色錯体の必要生成量は飛灰により異なる。従って、経時再溶出に耐えうる未反応キレート剤量は、未反応キレート剤量と経時重金属の溶出値との関係を予め調査した統計的データから決定しておく。これは、飛灰の成分等の性状により異なるほか、他の要因として飛灰の保管環境(温度、湿度、その他)なども考慮されなければならないからである。
【0019】
本発明における飛灰の処理工程の概略は次のとおりである。
焼却炉等においてごみ等を焼却した際に飛散するいわゆる飛灰は、電気集塵機やバグフィルターにて捕集され、飛灰ホッパーに一次貯留される。この飛灰は一般に乾燥した粉体である。この飛灰をサンプリングしてJIS法に則して重金属成分の定性分析または定量分析を行なう。飛灰は飛灰ホッパーからコンベアーによって混練機に搬送し、前記重金属成分の分析結果値に基づいた量のキレート剤および加湿水を添加して混練する。
【0020】
混練作業の終了後、処理飛灰はコンテナに移す。この処理飛灰のサンプリングは飛灰のコンテナロット毎に行ない、得られたサンプリング試料から前記したように溶出液を得、前記金属含有溶液の滴定手法による本発明の簡易分析を行ない、溶出液中の金属イオンの有無および未反応キレート剤の量または有無の判定を行なう。この間、処理飛灰は分析結果の判定待ちの状態にある。判定結果で、搬出基準を達成しなかった処理飛灰については、判定結果に基づく不足分のキレート剤を添加して混練し、無害化処理を行うことになる。搬出基準を達成した処理飛灰については、その後、JIS法に則して分析用サンプル液の調製と機器分析からなる出荷検査を行った後、最終処分場などに移送する。
なお、前記出荷検査は、経時変化を含めて処理飛灰が埋立基準を達成するものであることを対外的に証明するための出荷時の必要な分析作業である。
【0021】
前記の混練処理後の処理飛灰サンプリング試料によって溶出液を得る手順は、前記環境省告示13号法試験に則ったものである。すなわち、処理飛灰のサンプル50gを取り、pH5.8〜6.3に調製された500mlの脱塩水を加え、常温、常圧において、振幅4〜5cm、200rpmの振とう数で連続6時間振とうする。振とう後は、孔径1μmのグラスファイバーフィルターペーパー(GFPということがある。)で吸引濾過した溶出液を抽出する。
【0022】
さらに、着色変化を利用した判定検査においては、抽出された溶出液に硝酸銅溶液など着色銅含有溶液を滴下し、溶出液が青色に着色したままのサンプル液はキレート剤添加量が不十分であると判定する。この場合、既知の濃度のキレート剤を溶出液に褐色になるまで添加し、その後、銅含有液を添加し、溶出液の色が褐色になった時点での銅含有溶液の添加量により不足キレート剤量が推算される。
【0023】
一方、溶出液が褐色に変色した場合は、この液を濾過し銅含有溶液を更に添加し、青色になるまで濾過および銅含有溶液の添加操作を繰り返す。添加した銅溶液の量から添加されたキレート剤のうちの未反応キレート剤量を判定する。未反応キレート剤量が不十分である場合には重金属の再溶出が起こりうるため再処理が必要となり、未反応キレート剤判定量から再処理に必要なキレート剤量を推算する。
【0024】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例の記載によって限定されるものではない。
【0025】
[実施例1] キレート剤の必要添加量は主に鉛と銅の含有量に比例することが知られている。鉛および銅の含有量が既知の飛灰を混練機に移し、鉛および銅の含有量を基に予め算出した必要添加設定量の高分子液体キレート剤(ジチオカルバミン酸基を有する有機化合物)と水とを加えて混練し、キレート処理を行なった。その後養生コンテナに移し、養生コンテナを変えて10ヶ所から処理飛灰Aをサンプリングした。このサンプリングした処理飛灰Aからそれぞれ50g取り、pH5.8〜6.3に調製された500mlの脱塩水を加え、常温、常圧において、振幅4〜5cm、200rpmの振とう数で連続6時間振とうした。振とう後は、孔径1μmのGFPで吸引濾過し、溶出液を抽出した。
【0026】
この溶出液に青色の硝酸銅溶液を添加して、銅-キレート錯体形成による褐色を呈さなくなるまでの硝酸銅溶液の添加量から、10サンプルとも未反応キレート剤量は適量であることが分かり、重金属は不溶化されており、溶出の無いことが確認できた。この時溶出液抽出後に硝酸銅溶液の添加による判定に要した時間は10サンプルで15分であった。経時再溶出に耐えうる未反応キレート剤量は、未反応キレート剤量と経時重金属の溶出値との関係を予め調査した統計的データから決定しておく。
【0027】
この後、処分場に移送する前に、埋立基準値を実際に達成しているのを証明するため、出荷検査として鉛、カドミウム等所定の重金属元素についてJIS法に準じて発光分析により定量分析を行なった。
【0028】
この分析用サンプル液の液調製は、次のようにして行なった。
すなわち、溶出液500mlに塩酸を2ml、硝酸を1ml添加し、約10分加熱後冷却し分液漏斗で濾過した。その液にクエン酸水素アンモニウム(10%)10ml、指示薬メタクレゾールパープル(0.1%)2、3滴、NHOH(1+1)で中和してpH7.5〜9.0(青〜紫色)にする。さらに着色がピンク色から黄色、薄水色になった後、過剰にNHOHを4ml加える。その後DDTC(ジエチルジチオカルバミン酸(ソーダ)、1%)を5ml添加し、手で振とうする。次いでMIBK(メチルイソブチルケトン)約10mlを滴下して水20mlを加えて約2分間振とうし、その後分層するまでしばらく待つ。水層を捨て、MIBK層にHCl(1.5N)を正確に10ml加えて約2分間振とうし、その後分層するまでしばらく待つ。次いで、MIBK層を捨て水層(HCl)を三角フラスコに抜き取って分析用サンプル液とした。
【0029】
その分析用サンプル液について原子吸光分析した結果、重金属は検出されなかった。なお、このサンプル液調製を含めて分析に要した時間は90分であった。実施例1の結果を表1に記載した。
【0030】
[実施例2] 実施例1と別ロットの鉛および銅の含有量が既知の飛灰を混練機に移し、予め算出した必要設定量の高分子液体キレート剤(ジチオカルバミン酸基を有する有機化合物)と水とを加えて混練し、キレート処理を行なった。その後養生コンテナに移し、養生コンテナを変えて10ヶ所から処理飛灰Bをサンプリングした。このサンプリングした処理飛灰Bからそれぞれ50g取り、pH5.8〜6.3に調製された500mlの脱塩水を加え、常温、常圧において、振幅4〜5cm、200rpmの振とう数で連続6時間振とうした。振とう後は、孔径1μmのGFPで吸引濾過し、溶出液を抽出した。
【0031】
この溶出液に青色の硝酸銅溶液を添加して、銅-キレート錯体形成による褐色を呈さなくなるまでの硝酸銅溶液の添加量から、10サンプルとも未反応キレート剤残量は重金属の経時再溶出に対して不足であることが分かり、硝酸銅溶液の添加量を基に必要なキレート剤量を算出し、処理飛灰Bの再度無害化処理を実施した。また、次ロットの飛灰(実施例3)へ添加するキレート剤の添加量設定値についても、鉛および銅含有量から算出したものに対し硝酸銅溶液の判定量に基づく必要量を増量した。
【0032】
再処理を行なった処理飛灰Bを10ヶ所からサンプリングした。これらの溶出液に青色の硝酸銅溶液を添加して、銅-キレート錯体形成による褐色が消失して青色を呈するまでの硝酸銅溶液の添加量から、10サンプルとも未反応キレート剤量は重金属の経時再溶出に対して十分であることが分かり、重金属は不溶化されており、溶出の無いことが確認できた。
【0033】
この後、処分場に移送する前に、埋立基準値を実際に達成しているのを証明するため、出荷検査として鉛、カドミウム等所定の重金属元素についてJIS法に準じて原子吸光分析により定量分析を行なったところ、重金属の溶出は殆ど見られず埋立基準を十分に達成していることが分かった。
実施例2の結果を表1に記載した。
【0034】
[実施例3] さらに実施例1、2と別ロットの飛灰について実施例2に基づきキレート剤添加量を増量して無害化処理を行なった処理飛灰Cを10ヶ所からサンプリングした。実施例1、2と同様に、これらの溶出液に青色の硝酸銅溶液を添加して銅-キレート錯体形成による褐色が呈さなくなるまでの硝酸銅溶液の添加量から、10サンプルとも未反応キレート剤残量は重金属の経時再溶出に対して十分であることが分かり、重金属は不溶化されており、溶出の無いことが確認できた。
【0035】
この後、処分場に移送する前に、埋立基準値を実際に達成しているのを証明するため、出荷検査として鉛、カドミウム等所定の重金属元素についてJIS法に準じて原子吸光分析により定量分析を行なったところ、重金属の溶出は殆ど見られず埋立基準を十分に達成していることが分かった。
実施例3の結果を表1に記載した。
【0036】
[比較例1] 実施例1の処理飛灰Aについて、実施例1と同様に溶出液を抽出した。その後JIS法に準じて原子吸光分析による重金属の定量分析を行なった。この時の分析用サンプル液の調製は、実施例1の処分場搬出前の出荷検査における原子吸光分析用サンプル液の調製手順によって行なった。
【0037】
この結果、いずれのサンプルとも重金属はほぼゼロに近い値を示し、十分に環境基準値を達成していたが、この時、溶出液からの分析用サンプル液の調製から分析試験の終了まで、10サンプルで3時間を要した。
【0038】
この後、処分場に運ぶ前に、環境基準値を具体的に達成しているのを証明するため、出荷検査として前記の溶出液から分析用サンプル液を調製し、所定の重金属元素についてJIS法に準じて原子吸光分析により定量分析を行なった。その結果を表1に記載した。
【0039】
【表1】
Figure 0003911541
【0040】
所定重金属は全て検出されなかったが、この出荷検査では、分析用サンプル液の調製から原子吸光分析の終了まで1時間を要した。また、この処理飛灰Aが経時重金属溶出に対して未反応キレート剤が十分に残っているかは不明であった。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明で示した無害化処理工程において未反応のキレート剤量を簡易的かつ定量的に判定できる方法を用いることにより、従来の分析に要する時間、コスト、手間およびキレート剤使用量を大幅に削減できる。また、この工程で原子吸光度測定装置や原子吸光分析装置などの大掛かりな測定装置を利用すること無く、振盪機、濾過器、銅含有溶液など最低限の機材と試薬により前記判定が可能になる上に、キレート剤添加量の不足した処理飛灰サンプルを簡単に分別できる。特に、検体サンプル数が多くても容易に適用できるので、従来必要とした全工程における原子吸光法や原子吸光分析法などによる正規の分析を行なう回数を大幅に低減することが可能になり、飛灰処理において時間や費用を削減することができる。

Claims (5)

  1. 重金属を含有する飛灰にキレート剤を添加して混練し、該飛灰中の該重金属を不溶化する処理法であって、該処理後の飛灰に溶媒を添加してなるスラリーからの溶出液中に、着色銅含有溶液の試験溶液を添加し、該試験溶液添加前後における該溶出液の色について該溶出液中に残留する前記キレート剤による変化が無くなるまでに要した該試験溶液の添加量によって該溶出液中に残留する前記キレート剤量を求めることを特徴とする飛灰の処理法。
  2. 前記試験溶液が青色の硝酸銅溶液である、請求項1記載の飛灰の処理法
  3. 前記試験溶液の添加量が前記溶出液中に残留する未反応の前記キレート剤量に相当する、請求項1または2記載の飛灰の処理法。
  4. 前記試験溶液の添加量によって前記処理における前記キレート剤の添加量不足と判定した後、該処理後の飛灰に該判定結果に基づく不足量の該キレート剤をさらに添加して混練し該処理を継続する、請求項1〜3のいずれかに記載の飛灰の処理法。
  5. 前記試験溶液の添加量によって前記処理における前記キレート剤の添加量不足と判定した後、該処理対象の次ロットの飛灰に該判定結果に基づく不足分の該キレート剤を増量して添加して混練し該処理を行う、請求項1〜4のいずれかに記載の飛灰の処理法。
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