JP3910872B2 - 偏波モード分散測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏波モード分散の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムでは、伝送速度の高速化による大容量伝送化に伴い、光通信システムを構成する、光増幅器等のサブシステム、光ファイバ、および光サーキュレータ等の光部品が有する偏波モード分散(PMD)値を管理する必要がある。
光部品のPMD値の測定方法は、一般的に、干渉法,ポラリメトリック法,及び固定アナライザ法とに大別される。これらのうちポラリメトリック法は、ジョーンズ行列法(以下、JME法という)、ポアンカレ球法(以下、PS法という)等が提案されている。これらのPMD値測定方法については、DWDM光測定技術((株)オプトロニクス社,波平宜敬編)の122頁に記述されている。
【0003】
さてJME法においては、測定対象である光部品の偏波依存損失が非常に小さいと仮定した場合には、光部品の有する変換行列T(ω)を、損失の項とジョーンズ行列U(ω)との積、すなわち次式:
T(ω)=e- αU(ω) …(1)
で表す。
ここで、ジョーンズ行列U(ω)はユニタリー行列であり、その一般形は次式:
【0004】
【数1】
【0005】
detU=1 …(3)
(ただし、ωは光の角周波数を表す)
で示される。
そして、光部品のPMD値をΔτとしたときにΔτは、次式:
【0006】
【数2】
【0007】
で示される(Poole and Wagner, Electron. Lett.,22,pp. 1029-1030(1986)参照)。
したがって、式(4)の右辺を評価することにより、PMD値Δτが求められる。
【0008】
そして、式(4)の右辺の評価は、一般に、以下のようにして行なわれている。すなわち、
▲1▼まず、互いに異なる二つの角周波数ω(波長)でジョーンズ行列Uを求める。
▲2▼次に、二つの角周波数間の間隔Δωに対して、ジョーンズ行列Uの微分量を差分近似で求める。
▲3▼最後に、式(4)を差分近似して、次式:
【0009】
【数3】
【0010】
を用いてPMD値Δτを求める。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のJME法によりPMD値を測定した場合、すなわち互いに周波数の異なる2つの光を光部品に順次入射させてPMD値を測定した場合、測定可能なPMD値の測定精度は0.06psであって、この値よりも小さいPMD値を測定することができず、この測定精度は低すぎて満足できる水準にあるとは言い難いという問題がある。
【0012】
本発明はJME法における上記した問題を解決し、PS法を採用することによって小さなPMD値の測定を可能としたPMD測定方法の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが従来のポラリメトリック法の測定精度について検討を行なったところ、測定精度の低下は、主に、以下の3つの要因に基づいていることがわかった。
▲1▼ストークスベクトルの測定精度
ストークスベクトルを正確に測定できなければ、正確なジョーンズ行列を求めることができない。そして、差分近似を行なうため、ストークスベクトルの測定誤差は式(5)における右辺の分子に対する誤差として効いてくる。
【0014】
▲2▼波長可変光源の発振誤差
波長可変光源が所定の角周波数あるいは波長で正確に発振しないと、角周波数間隔Δωが誤差を含むこととなる。すなわち、式(5)における右辺の分母が誤差を含むこととなる。
▲3▼差分近似の誤差
式(4)の微分を式(5)に示したように差分近似で置換えていることに基づく誤差である。差分近似を行なうということは、二つの異なる波長(角周波数)を用いたときの測定値だけに基づいて、それらの波長間全域での挙動とするということが前提となっている。そのため、これら二つの波長での測定で、前記したストークスベクトルの測定誤差および波長可変光源の発振波長の誤差のいずれか一方または両方が偶然大きくなれば、得られるPMD値の誤差が大きくなる。
【0015】
そこで本発明者らは、差分近似による誤差を低減することにより、PMD値の測定精度を向上させることを検討し、本発明の方法を確立するに至った。
すなわち、本発明においては、角度π/2を比較基準の偏波モード分散値で除して得られる角周波数範囲に亘って角周波数を変化させて互いに角周波数の異なる3つ以上の光を測定対象の光部品に順次入射させ、前記光部品から出射した前記光のストークスパラメータを前記角周波数毎に測定し、前記ストークスパラメータより成るストークスベクトルの先端がポアンカレ球上において前記角周波数変化に応じて回転する回転角の余弦を求め、前記回転角の余弦の符号が前記角周波数範囲に亘って正であるときには、前記光部品の偏波モード分散値は前記比較基準の偏波モード分散値よりも小さいと判定することを特徴とする偏波モード分散測定方法が提供される。
【0016】
また本発明では、角周波数を変化させて互いに角周波数の異なる3つ以上の光を測定対象の光部品に順次入射させ、前記光部品から出射した前記光のストークスパラメータを前記角周波数毎に測定し、前記ストークスパラメータより成るストークスベクトルの先端がポアンカレ球上において前記角周波数変化に応じて回転する回転角を求め、最小自乗法により前記角周波数変化に対する前記回転角の変化率を求めて前記変化率を前記光部品の偏波モード分散値とすることを特徴とする偏波モード分散測定方法が提供される。
【0017】
そして好ましくは、前記回転角のうち、前記ストークスベクトルの先端が前記回転により描く円状の軌跡から所定角度だけ離れたストークスベクトルに対応して得られる回転角を除外して前記最小自乗法を行なう。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態に係るPMD測定方法(以下、方法Aという)を、光部品として光サーキュレータのPMD値の測定に適用した場合について説明する。
方法AによるPMD値の測定は、例えば図1に示した装置構成にて行なうことができる。
【0019】
まず、波長可変レーザ1から出射した所定の偏光状態を有する光は、測定対象である光サーキュレータ2のポート2Aに入射する。以下では、測定対象に入射した光を入射光という。
そして、光サーキュレータ2のポート2Bから出射した光(以下、出射光という)をPMD測定装置3が検出し、更に、PMD測定装置3は出射光のストークスパラメータS0,S1,S2,S3を求める。
【0020】
本発明では、互いに偏光状態は同じである一方、互いに波長(角周波数)の異なる3つ以上の光を測定対象である光部品に順次入射させる。そのために、波長可変レーザ1の発振波長を正に掃引して変化させ、例えば1500nmから1590nmまでの波長にわたって、0.1nmの波長間隔でレーザ1を順次発振させる。そして、レーザ1が発振している間、PMD測定装置3は出射光のストークスパラメータを入射光の波長毎に測定する。
【0021】
次に、測定された出射光のストークスパラメータS1,S2,S3を、光パワーすなわちストークスパラメータS0で規格化する。図2は、規格化されたストークスパラメータS1,S2,S3を示している。ストークスパラメータS0で規格化されたストークスパラメータS1,S2,S3は、出射光の偏光度(DOP)の大きさに依存しているので、さらに次式:
【0022】
【数4】
【0023】
に示したように、再規格化する。再規格化されたストークスパラメータsx,sy,szを成分とするストークスベクトルの大きさは、出射光の偏光度に無依存であって必ず1となる。そのため、ストークス空間において、入射光の波長に対応して求められた再規格化ストークスパラメータを成分とするストークスベクトルの先端は、単位円であるポアンカレ球の球面上に位置する。
【0024】
ところで、光部品の有する偏波モード分散(PMD)は、ストークス空間においては、所定の方向及びPMD値Δτと同じ大きさを有するベクトル(以下、PMDベクトルΩという)として表される。
そして、レーザ1の発振波長を掃引して入射光の波長(角周波数)を順次変化させた場合、出射光のストークスベクトルの先端は、ストークス空間においてポアンカレ球の球面上を発振波長の変化に対応して移動し、その移動の軌跡は、光部品の複屈折が一様なときには、PMDベクトルΩの方向にみたときに円孤状となる。より具体的には、入射光の角周波数を順次変化させた場合、ストークスベクトルの先端は、PMDベクトルΩと直交する面(以下、回転面という)内において、PMDベクトルΩと回転面との交点を中心とし、所定の半径にて回転する。
【0025】
例えば、図3に示したように、入射光の角周波数ω1を角周波数ω2=ω1+Δωまで、角周波数間隔Δωだけ変化させたときに、各角周波数でのストークスベクトルs(ω1),s(ω2)の先端が回転面内でPMDベクトルΩと回転面との交点を中心として回転する角度をΔθとすると、PMD値Δτは次式:
【0026】
【数5】
【0027】
で示される。
したがって、予め決定された角周波数間隔Δωだけ入射光の波長を変化させ、そのときの再規格化されたストークスベクトルの先端の回転角Δθを求めて、回転角Δθを角周波数間隔Δωで除算することにより、PMD値Δτを求めることができる。
【0028】
さて回転角Δθを求めるためには、回転面、言い換えればPMDベクトルΩの方向を先に決定することが必要であるから、PMDベクトルΩの方向を以下のようにして求める。
まず、入射光の波長をλ1,λ2,…,λNとしたときに、得られる出射光の再規格ストークスベクトルをs(λj)とする(ただしj=1,2,…,Nである)。PMDベクトルΩと直交する回転面上にストークスベクトルの先端が位置している限り、いかなる波長λ1,λ2,…,λNに対しても、ベクトル[s(λj+1)−s(λj)]はPMDベクトルΩと直交する。すなわち、次式:
{s(λj+1)−s(λj)}・Ω=0 …(8)
が成立する。
【0029】
そして、PMDベクトルΩと同じ方向を有する単位ベクトルをベクトルeΩとすると、PMDベクトルΩは、次式:
Ω=Δτ・eΩ …(9)
で示される。このとき、ベクトル[s(λj+1)-s(λj)]及び単位ベクトルeΩの各成分間には、これら式(8)と(9)より、次式:
で示される関係が存在する。
【0030】
したがって、これらの式(10)〜(12)を解いて単位ベクトルeΩを求めれば、回転面を決めることができる。
なお、単位ベクトルeΩの計算を簡単にするために次式:
ai≡sk(λi+1)−sk(λi) …(13)
(ただし、k=x,y,z;i=j,j+1)
で示されるベクトル成分aiを定義し、このベクトル成分aiを用いて式(10)及び式(11)を次式:
【0031】
【数6】
【0032】
のように変形する。そして、式(12),(14),(15)を併せて用いることで、単位ベクトルeΩをより簡単に決定できる。
このようにして波長λj毎に決定されたベクトルeΩには測定誤差も含まれるため、本発明ではこの測定誤差も加味して、波長λn,λn+1,λn+2,λn+3,λn+4,λn+5(ただし、nは0〜Nまでの任意の整数である)のときのベクトルeΩの移動平均をとることで、波長λj毎のベクトルeΩを再決定する。そして、得られたベクトルeΩに基づいて、波長変化に応じたストークスベクトルの回転角Δθの余弦cosΔθを求める。
【0033】
ここで、回転角Δθは波長λ1のときの出射光のストークスベクトルの回転面上への射影成分と、波長λjにおけるストークスベクトルの回転面上への射影成分とのなす角度である。したがって、回転角の余弦cosΔθjは次式:
より求められる。
【0034】
図4及び図5は、波長λ1を1500nmとしたときに、3つの光サーキュレータ10,20,30のポート2Aと2B間及びポート2Bと2C間について、回転角の余弦cosΔθjを求めた結果をそれぞれ示している。
本発明では、図4及び5に示した結果、すなわち回転角の余弦と入射光の波長間の関係曲線に基づいて、比較の基準となる所定のPMD値、例えばメーカが保証するPMD値に比べて光部品のPMD値が小さいか否かを以下のようにして判定する。
【0035】
すなわち、式(7)はΔωについて変形すると、Δωは、次式:
【0036】
【数7】
【0037】
で示される。
式(17)の右辺のΔθに例えば2πを代入すれば、ストークスベクトルの先端が回転面上を一周するのに必要な角周波数間隔Δωを求めることができる。そして、この角周波数間隔Δωを波長間隔Δλに変換すると、Δλは次式:
【0038】
【数8】
【0039】
で示される。
したがって、例えば保証するPMD値が0.03(ps)の場合、角周波数あるいは波長を順次変化させながらストークスベクトルの先端の位置を波長毎に求め、角周波数間隔Δωが2π/0.03≒209(rad/ps)だけ変化したときに、ストークスベクトルの先端が一回転しなければ、あるいは、回転角の余弦cosΔθが1から始まって再び1とならなければ、測定対象の光部品のPMD値が0.03psよりも小さいと判定することができる。
【0040】
このような判定方法によれば、少なくとも3つ以上の複数のストークスベクトルの先端の軌跡に基づいてPMD値の判定を行なっているので、得られる結果は差分近似による誤差を含むことはない。
しかし実際には、比較の基準となるPMD値が0.03(ps)のときに、ストークスベクトルの先端が回転面上を1回転するのに必要な波長間隔Δλは式(17)より267nm(ただし、λ1=1550(nm))である。現在利用可能な波長可変レーザはこのように広い波長間隔に亘って波長を変化させることはできない。
【0041】
そこで本発明では、ストークスベクトルの先端が角度π/2だけ回転する場合を考える。ストークスベクトルが角度π/2だけ回転させるのに必要な波長間隔Δλは、1回転の場合の4分の1であって、66.8nmである。この波長間隔であれば、その波長間隔Δλは通常の波長可変光源により得ることができる。そしてこの波長間隔だけ波長を変化させたときのストークスベクトルの先端の回転角がπ/2未満であれば、光部品のPMDΔτは0.03psより小さいと判定される。
【0042】
言い換えれば、この波長間隔の全域に亘りストークスベクトルの先端の回転角の余弦cosΔθの符号が正であるときには、光部品のPMD値Δτは0.03ps未満であると判定することができる。また、この余弦の符号が負であるときには光部品のPMD値Δτは0.03psより大きいと判定される。
更に本発明では、PMD測定装置によるストークスパラメータの測定誤差及び波長可変レーザの発振波長の精度に起因するPMD値の誤差は以下のようにして回避する。
【0043】
まずストークスパラメータの測定誤差は±1.5(deg.)≒±0.052(rad.)である。そして、ストークスパラメータの測定誤差がストークスベクトルの回転方向に発生した場合、この測定誤差をεとすると、回転角はΔθj+εとなり、求められる回転角の余弦は次式:
【0044】
【数9】
【0045】
のように示される。式(19)から明らかなように、測定誤差εはそのままの大きさで回転角の余弦cosΔθjに重畳する。したがって、PMD値の判定の基準をcos(Δθj)の符号の正負ではなく、cos(Δθj)が0.052よりも大きいか否かとすることでストークスベクトルの測定誤差の影響を吸収することができる。
【0046】
次に、波長可変レーザの発振波長精度に伴う誤差であるが、波長間隔66.8nmであったところを波長間隔70nmまで広げ、波長間隔70nmに亘り回転角の余弦の符号が正または0.052よりも大きいか否かで判定することにより、十分に吸収できる。
上記した判定方法によれば、図4及び5から、いずれの光サーキュレータの場合も、波長範囲70nmに亘って回転角の余弦が0.052よりも大きくなっているので、PMD値が0.03psよりも小さいことがわかる。
【0047】
次に、本発明の別の実施形態に係るPMD値の測定方法(以下、方法Bという)について説明する。
方法Bは、入射光の波長(角周波数)を変化させながら光部品に光を入射させ、各波長毎に出射光のストークスベクトルを求め、そして、単位ベクトルeΩを求めるところまでは、方法Aと同じである。
【0048】
方法Bは、次式:
から、回転角Δθjを求める点が方法Aと異なる。
図6及び図7は、図4及び5の縦軸を式(20)に従って回転角Δθjにて描画した図である。ここで、図6及び図7における回転角Δθjの傾きと、光部品のPMD値Δτとの間には次式:
【0049】
【数10】
【0050】
で示した比例関係があり、波長変化Δλに対する回転角Δθの変化率dθ/dλに所定の係数を乗算することにより、光部品のPMD値Δτを求めることができる。なお、ここで式(21)の右辺に含まれるλは、光部品のPMD値Δτを評価する中心波長である。
【0051】
本発明では、回転角Δθjの傾き、すなわち波長変化Δλに対する回転角Δθの変化率dθ/dλを、波長と回転角Δθjからなるデータに最小自乗法を適用することにより求める。すなわち、互いに異なる3つ以上の波長で回転角Δθを求めることにより差分近似により生ずる誤差の影響を排除したばかりでなく、最小自乗法を使用することにより、ストークスパラメータの測定誤差及び波長可変レーザの発振波長の誤差に基づく回転角Δθjの傾き、若しくは波長変化Δλに対する回転角Δθの変化率dθ/dλの誤差を極小としているので、得られるPMD値の精度が高い。
【0052】
そして本発明では、最小自乗法で用いるデータを次のような態様で取捨選択するのが好ましい。
すなわち、波長毎に得られた全ての回転角Δθjからなるデータに最小自乗法を適用しようとすると、ストークスベクトルの先端が回転面上から外れているときの回転角Δθjもデータとして使用することとなる。また一方、厳密にΔλ(もしくは波長λ)と回転角Δθの関係を描画したときに、描画された線が直線から外れることがあるからである。
【0053】
データの選択は以下のようにして行なうことができる。
まず、図に示したように、ストークスベクトルs(λj)とPMDベクトルΩのなす角度δφを求める。ここで、回転面が一定であれば、角度δφは波長に依存せず一定となるはずである。そこで、次式:
【0054】
【数11】
【0055】
より、波長毎に角度δφ(λj)を求める。そして、角度δφ(λj)の誤差はストークスベクトルの測定誤差に起因すると考え、次式:
-1.5≦δφ(λj)≦1.5 …(23)
を満足する波長λjの場合の回転角Δθjのデータだけを用いて最小自乗法を行なう。すなわち、ストークスベクトルs(λj)がストークス空間で描く円状の軌跡から所定角度だけ離れたストークススベクトルに対応して得られる回転角Δθを除外して前記最小自乗法を行なう。図6及び7に、併せてδφ(λj)の計算結果を示す。
【0056】
かくして、これら図6及び7に基づき、方法Bにより中心波長を1550nmとして求めた光サーキュレータ10,20,30におけるポート2A,2B間及びポート2B,2C間のPMD値Δτを表1に示す。併せて、従来のJME法によるPMD値の測定結果も表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1から、方法Bは従来のJME法よりもPMD値の測定精度が向上し、従来のJME法では結果が同じであった光サーキュレータ10及び30のポート2A,2B間の場合でも、これらサーキュレータ10及び30のPMD値の間に有意な差を得ることができたことがわかる。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明のPMD値の測定方法によれば、互いに異なる3つ以上の波長でストークスベクトルを測定するので、差分近似による誤差が発生せず、PMD値の測定精度が高い。
また、本発明のPMD値の測定方法によれば、互いに異なる3つ以上の波長でストークスベクトルを測定するので、差分近似による誤差が発生しないばかりでなく、最小自乗法を利用することにより、ストークスパラメータの測定誤差及び波長(角周波数)の誤差に基づく波長変化に対する回転角の変化率の誤差を最小にすることができるので、PMD値の測定精度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】偏波モード分散値の測定装置の概略構成図である。
【図2】規格化されたストークスパラメータと波長の関係を示す図である。
【図3】ストークス空間における、角周波数変化に伴うPMDベクトルΩを中心とするストークスベクトルsの回転の説明図である。
【図4】光サーキュレータのポート2Aとポート2B間における、波長と回転角の余弦の関係を示す図である。
【図5】光サーキュレータのポート2Bとポート2C間における、波長と回転角の余弦の関係を示す図である。
【図6】光サーキュレータのポート2Aとポート2B間における、波長と回転角の関係を示す図である。
【図7】光サーキュレータのポート2Bとポート2C間における、波長と回転角の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 波長可変レーザ
2 光サーキュレータ(測定対象)
2A,2B,2C 光サーキュレータのポート
3 偏波モード分散値測定装置
Claims (3)
- 角周波数を変化させて互いに角周波数の異なる3つ以上の光を測定対象の光部品に順次入射させ、前記光部品から出射した前記光のストークスパラメータを前記角周波数毎に測定し、前記ストークスパラメータより成るストークスベクトルの先端がポアンカレ球上において前記角周波数変化に応じて回転する回転角を求め、最小自乗法により前記角周波数変化に対する前記回転角の変化率を求めて前記変化率を前記光部品の偏波モード分散値とすることを特徴とする偏波モード分散測定方法。
- 前記回転角のうち、前記ストークスベクトルの先端が前記回転により描く円状の軌跡から所定角度だけ離れたストークスベクトルに対応して得られる回転角を除外して前記最小自乗法を行なうことを特徴とする請求項1の偏波モード分散測定方法。
- 角度π/2を比較基準の偏波モード分散値で除して得られる角周波数範囲に亘って角周波数を変化させて互いに角周波数の異なる3つ以上の光を測定対象の光部品に順次入射させ、前記光部品から出射した前記光のストークスパラメータを前記角周波数毎に測定し、前記ストークスパラメータより成るストークスベクトルの先端がポアンカレ球上において前記角周波数変化に応じて回転する回転角の余弦を求め、前記回転角の余弦の符号が前記角周波数範囲に亘って正であるときには、前記光部品の偏波モード分散値は前記比較基準の偏波モード分散値よりも小さいと判定することを特徴とする偏波モード分散測定方法。
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