JP3910846B2 - 二次元光学部材アレイ及び二次元導波路装置並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二次元光学部材アレイ及び二次元導波路装置並びにそれらの製造方法に関する。さらに詳しくは、基板上における光学部材(例えば、光ファイバ、レンズ等)の光を入出射する側の端面における反射特性に優れるとともにその反射特性を長期間保持することが可能であり、かつ光量の損失及び他機器への悪影響を防止することが可能で、安価な二次元光学部材アレイ及び高密度で容量が大であるとともにパッケージングや接続における工数の削減を図ることが可能な二次元導波路装置並びにそれらの効率的な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信データ容量の増大に伴い、通信データ容量の処理能力に優れた光クロスコネクトスイッチ技術に対する需要が高まりつつある。このような技術の一つとして、マイクロマシニング等に用いられている技術で、微細な加工をシリコンエッチング等半導体プロセスにて行うMEMS(マイクロ−エレクトロ−メカニカル−システム)を用いた光スイッチが用いられるようになっている。また、上述の容量の処理能力に加えて、信頼性の確保に対する要求が増大したことに伴い、高精細で安定した通信を可能とする面発光レーザも一般的に用いられるようになっている。
【0003】
このような光スイッチや面発光レーザに用いられる光学部材アレイ(例えば、光ファイバアレイ、レンズアレイ、導波路アレイ(PLC)、半導体レーザ(LD)アレイ、フォトダイオード(PD)アレイ等、以下、「光学部材アレイ」として「光ファイバアレイ」を例にとって説明する)は、処理能力の増大や省スペース化に対する要請から、整列した光ファイバの中心軸に対して垂直な断面で切断した断面形状が二次元的(階層的)構造を有する、いわゆる二次元光ファイバアレイ(以下、「2DFA」ということがある)の構成を有するものが用いられている。
【0004】
図14に示すように、このような従来の二次元光ファイバアレイ100としては、例えば、V溝基板102の厚さを高精度に管理し、V溝基板102相互の間及び最上部はV溝基板102と固定部材103との間に光ファイバ101を配列して、V溝基板102の表面と、対向する隣接V溝基板102の裏面とを接触させた状態で積層することによって、厚さ方向のピッチを決定するものが提案されている(例えば、特開昭56−113114号公報)。
【0005】
このような二次元光ファイバアレイを用いた光通信網には、様々な接続点が存在し、各接続点を通過する光がそこで反射され、反射光が元のファイバに再入力して戻っていくと、レーザ等に悪影響(ノイズが発生する等)を及ぼしてしまうという不都合があった。
【0006】
特に、MEMSスイッチ等が主な用途である2DFAの場合、レンズ結合される場合が多く、2DFAの直後は空間なので反射が大きくなることから、反射光の再入力の影響は甚大であった。
【0007】
このような不都合を解消するため、従来は、基板及び光学部材の、光を出射する側の端面にARコート(一般に、SiO2膜とTiO2膜を1/4λの厚さで積層し、総厚で波長(λ)程度の厚さに形成したもの)を施し、端面における反射特性を向上させることによって、端面における反射を抑えていた。
【0008】
一方、図15に示すように、その表面近傍に一本以上の導波路201がパターニングされた導波路基板(単位)205が、例えば、スプリッター、AWG、導波路型変調器等に用いられている。図15(a)は、入力側が1チャンネルで出力側が8チャンネルのスプリッターを模式的に示す平面図であり、図15(b)は、図15(a)のX−X線における断面図である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の二次元光ファイバアレイの場合、ARコートによって形成されたコーティング膜は、温度、湿度、その他の環境による影響によって劣化し易く、反射特性に悪影響を及ぼすという問題があった。特に、近年では、波長多重(WDM)通信が発達したことにより、1本のファイバで伝送する光量が増大したことに伴い、増大した光(強い光)そのものの影響や発熱等によって、局所的な特性変化や劣化の発生の機会が増大している。さらに、ファイバアレイ端面へのARコートは、ファイバを設置した状態で施すので、ARコートを蒸着させる時に真空処理をすることが困難で、一度に多数をまとめて処理することができず、コストを上昇させるという問題もあった。
【0010】
また、前述の導波路基板の場合、導波路基板と光ファイバアレイとを接続する場合、一つの導波路基板に一つの光ファイバアレイを光学的に調心(位置合わせ)を行う必要があるが、この調心作業は、サブミクロンレベルの位置合わせを導波路基板及び光ファイバアレイの基板同士で行うので、極めて高度でかつ工数の掛かる作業とならざるを得ないという問題があった。
【0011】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、基板上における光学部材の光を入出射する側の端面における反射特性に優れるとともにその反射特性を長期間保持することが可能であり、かつ光量の損失及び他の機器への悪影響を防止することが可能で、安価な二次元光学部材アレイ及び高密度で容量が大であるとともにパッケージングや接続における工数の削減を図ることが可能な二次元導波路装置並びにそれらの効率的な製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の課題を解決するべく鋭意研究した結果、基板及び光学部材の、光を入出射する側の端面のそれぞれに、光学部材の中心軸に垂直な面に対して所定角度(θ)を形成する傾斜を設けることによって(平面的にパターニングされた導波路の場合も同様である)、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明は、以下の二次元光学部材アレイ及び二次元導波路基板装置並びにそれらの製造方法を提供するものである。
【0014】
[1] 光学部材と、一方の表面上に前記光学部材の外形に対応した一以上の溝を有し、この溝の上に一以上の前記光学部材を整列させて固定する基板と、を備えた光学部材アレイ単位の複数組を、二次元的形状になるように、一体的に形成した又は階層的に積層した構造を有する二次元光学部材アレイであって、複数の前記光学部材の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかが、それぞれ光学部材の中心軸に垂直な面に対して所定角度(θ)を形成する傾斜を備えてなることを特徴とする二次元光学部材アレイ。
【0015】
[2] 前記光学部材の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかが、それぞれ前記光学部材の中心軸に垂直な面上に配設されてなる前記[1]に記載の二次元光学部材アレイ。
【0016】
[3] 前記光学部材の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかが、それぞれ前記光学部材の中心軸に垂直な面に対して所定角度(θ)を形成する面上に配設されてなる前記[1]に記載の二次元光学部材アレイ。
【0017】
[4] 前記光学部材の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面のうちの、所定角度(θ)を形成する前記傾斜を備えた端面における中心軸が、それぞれ出射光又は入射光の光軸に垂直な面上に配設されてなる前記[1]に記載の二次元光学部材アレイ。
【0018】
[5] 前記光学部材が、光ファイバ又はレンズである前記[1]〜[4]のいずれかに記載の二次元光学部材アレイ。
【0019】
[6] 複数組の前記光学部材アレイ単位を階層的に積層してなるものである前記[1]〜[5]のいずれかに記載の二次元光学部材アレイ。
【0020】
[7] 前記光学部材アレイ単位を構成する基板上に配列した光学部材の頂点と、それに対向する前記光学部材アレイ単位を構成する基板の表面とが接触し、前記光学部材アレイ単位を構成する基板のそれぞれ対向する表面同士が直接接触することのない状態で、前記光学部材アレイ単位の複数組を階層的に積層してなる前記[6]に記載の二次元光学部材アレイ。
【0021】
[8] 前記光学部材アレイ単位を構成する基板上に配列した光学部材の頂点と、それに対向する前記光学部材アレイ単位を構成する基板の表面との相互間に、接着剤層を介在させるとともに、前記光学部材の頂点と前記基板の表面とを、それぞれ前記接着剤層に接触させ、前記光学部材アレイ単位を構成する基板のそれぞれ対向する表面同士が直接接触することのない状態で、前記光学部材アレイ単位の複数組を階層的に積層してなる前記[6]に記載の二次元光学部材アレイ。
【0022】
[9] 最上層の前記光学部材アレイ単位を構成する前記基板の一方の表面上に、及び互いに隣接する前記光学部材アレイ単位を構成する前記基板の間に、前記光学部材を前記基板の前記溝を有する一方の表面側に押圧又は載置して、整列、固定する固定部材をさらに備えてなる前記[6]に記載の二次元光学部材アレイ。
【0023】
[10] 前記固定部材の表面と前記溝を構成する側壁とに前記光学部材を当接させた状態で、前記光学部材を前記基板上に押圧又は載置して、整列、固定させてなる前記[9]に記載の二次元光学部材アレイ。
【0024】
[11] 前記固定部材の表面と、この固定部材の表面に対向する前記光学部材アレイ単位を構成する前記基板の表面のうちの他方の表面(裏面)との間に、接着剤層をさらに備えてなる前記[9]又は[10]記載の二次元光学部材アレイ。
【0025】
[12] 前記接着剤層の厚さが、2〜100μmである前記[11]に記載の二次元光学部材アレイ。
【0026】
[13] 前記基板の前記溝を有する一方の表面上の所定箇所に、位置決め用ガイドが形成されてなる前記[1]〜[12]のいずれかに記載の二次元光学部材アレイ。
【0027】
[14] 前記溝が、V字溝である前記[1]〜[13]のいずれかに記載の二次元光学部材アレイ。
【0028】
[15] 一方の表面上に光学部材の外形に対応した一以上の溝を有する基板の上に、一以上の前記光学部材を整列させて固定するとともに、複数組の前記基板及び前記光学部材を、二次元的形状になるように、一体的に又は階層的に積層する二次元光学部材アレイの製造方法であって、前記光学部材の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかに、それぞれ光学部材の中心軸に垂直な面に対して所定角度(θ)を形成する傾斜を設けることを特徴とする二次元光学部材アレイの製造方法。
【0029】
[16] 前記光学部材の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかを、それぞれ光学部材の中心軸に垂直な面上に配設する前記[15]に記載の二次元光学部材アレイの製造方法。
【0030】
[17] 前記光学部材の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかを、それぞれ光学部材の中心軸に垂直な面に対して所定角度(θ)を形成する面上に配設する前記[15]に記載の二次元光学部材アレイの製造方法。
【0031】
[18] 前記光学部材の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面のうちの、所定角度(θ)を形成する前記傾斜が設けられた端面における中心軸を、それぞれ出射光又は入射光の光軸に垂直な面上に配設する前記[15]に記載の二次元光学部材アレイの製造方法。
【0032】
[19] 平面的にパターニングされた一以上の導波路を有する基板を備えた導波路基板単位の複数組を、二次元的形状になるように、一体的に形成した又は階層的に積層した構造を有する二次元導波路装置であって、前記導波路基板単位を構成する前記導波路の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかが、それぞれ導波路の中心軸に垂直な面に対して所定角度(θ)を形成する傾斜を備えてなることを特徴とする二次元導波路装置。
【0033】
[20] 前記導波路基板単位を構成する前記導波路の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかが、それぞれ導波路の中心軸に垂直な面上に配設されてなる前記[19]に記載の二次元導波路装置。
【0034】
[21] 前記導波路基板単位を構成する前記導波路の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかが、それぞれ導波路の中心軸に垂直な面に対して所定角度(θ)を形成する面上に配設されてなる前記[19]に記載の二次元導波路装置。
【0035】
[22] 前記導波路基板単位を構成する前記導波路の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面のうちの、所定角度(θ)を形成する前記傾斜を備えた端面における中心軸が、それぞれ出射光又は入射光の光軸に垂直な面上に配設されてなる前記[19]に記載の二次元導波路装置。
【0036】
[23] 複数の前記導波路基板単位のうち互いに隣接する前記導波路基板単位のそれぞれ対向する表面相互間に接着剤層を備えてなる前記[19]〜[22]のいずれかに記載の二次元導波路装置。
【0037】
[24] 前記接着剤層の厚さが、2〜100μmである前記[23]に記載の二次元導波路装置。
【0038】
[25] 前記導波路基板単位の表面上の所定箇所に、位置決め用ガイドが形成されてなる前記[19]〜[24]のいずれかに記載の二次元導波路装置。
【0039】
[26] 平面的にパターニングされた一以上の導波路を有する基板を備えた導波路基板単位の複数組を、二次元的形状になるように、一体的に又は階層的に積層する二次元導波路装置の製造方法であって、前記の導波路の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかに、それぞれ導波路の中心軸に垂直な面に対して所定角度(θ)を形成する傾斜を設けることを特徴とする二次元導波路装置の製造方法。
【0040】
[27] 前記導波路基板単位を構成する導波路の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかを、それぞれ導波路の中心軸に垂直な面上に配設する前記[26]に記載の二次元導波路装置の製造方法。
【0041】
[28] 前記導波路基板単位を構成する導波路の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかを、それぞれ導波路の中心軸に垂直な面に対して所定角度(θ)を形成する面上に配設する前記[26]に記載の二次元導波路装置の製造方法。
【0042】
[29] 前記導波路基板単位を構成する導波路の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面のうちの、所定角度(θ)を形成する前記傾斜が設けられた端面における中心軸を、それぞれ出射光又は入射光の光軸に垂直な面上に配設する前記[26]に記載の二次元導波路装置の製造方法。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の二次元光学部材アレイ及びその製造方法の実施の形態を、「光学部材」として「光ファイバ」を用いた場合を例にとって、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0044】
図1は、本発明の二次元光学部材アレイの第1の実施の形態である二次元光ファイバアレイを模式的に示す断面図であり、図2は、本発明の二次元光ファイバアレイの第2の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【0045】
図1に示すように、第1の実施の形態の二次元光ファイバアレイ10は、光ファイバ1と、一方の表面上に光ファイバ1の外形に対応した一以上の溝(図示せず)を有し、この溝の上に一以上の光ファイバ1を整列させて固定する基板2と、を備えた光学部材アレイ単位5の複数組を、二次元的形状になるように、一体的に形成した又は階層的に積層した構造を有する二次元光学部材アレイ10であって、複数組の光学部材アレイ単位5における基板2及び光ファイバ1の、光を出射する側の端面Sのそれぞれが、光ファイバの中心軸Lに垂直な面Vに対して所定角度(θ)を形成する傾斜を備えてなることを特徴とする。なお、図1においては、光ファイバ1と基板2とを備えた光学部材アレイ単位5の複数組を、二次元的形状になるように、階層的に積層した場合を示すが、これらを一体的に形成したものであってもよい。また、光を出射する側の端面Sのみが傾斜を備えた場合を示すが、光を入射する側の端面が傾斜を備えたものであってもよく、また、光を出射する側の端面S及び光を入射する側の端面のいずれもが傾斜を備えたものであってもよい。
【0046】
このように構成することによって、基板上における光学部材(光ファイバ)の光を入出射する側の端面における反射特性に向上させるとともにその反射特性を長期間保持することを可能にし、かつ光量の損失及び他機器への悪影響を防止することができる。すなわち、反射光は光ファイバのコアの外側に反射するため、再入力して元のファイバに戻ることがなく、優れた反射特性を得ることができる。また、反射特性を向上させるための手段が、光ファイバを直接加工して、光ファイバの、光を出射する側の端面に傾斜を付与することであるので、ARコーティング膜のように、剥離や劣化等が発生することがない。また、強い光に対しても光ファイバそのものの耐久性の問題に帰着するだけで、傾斜を設けたこと自体がマイナス要因になることはない。さらに、端面に傾斜を形成するためには、端面を斜めに研磨するだけで実現することができるので、コスト的にも優れている。
【0047】
この場合、図1に示す第1の実施の形態の場合のように、光ファイバ1の、光を出射する側の端面S及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかが、それぞれ光ファイバ1の中心軸Lに垂直な面V上に配設されてなるものであってもよく、図2に示す第2の実施の形態の場合ように、光ファイバ1の、光を出射する側の端面S及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかが、それぞれ光ファイバ1の中心軸Lに垂直な面Vに対して所定角度(θ)を形成する面U上に配設されてなるものであってもよい。なお、図2に示す第2の実施の形態の場合においても、光を出射する側の端面Sのみが傾斜を備えたものだけではなく、光を入射する側の端面が傾斜を備えたものであってもよく、また、光を出射する側の端面S及び光を入射する側の端面のいずれもが傾斜を備えたものであってもよい。さらに、図1及び図2においては、列方向(厚さ方向)に所定角度を施した傾斜を形成しているが、行方向(幅方向)に角度を設けて傾斜を形成してもよい。
【0048】
前述のように、2DFAはレンズ結合する場合が多く、この場合光学系を吟味する必要が生じる。例えば、レンズに対し斜めに光が入射される場合、レンズの特性にもよるが概ね角度ズレ(光ファイバからの出射光(平板マイクロレンズに対する入射光)の光軸と平板マイクロレンズの光軸のズレ)(Δθ)は15°程度が許容の限界となる(直角に入射した場合がΔθ=0°)。角度ズレ(Δθ)が15°を超えると結合のトレランスが厳しくなり、実際には損失が発生することになる。従って、光学系としての扱い易さの観点からは、角度ズレ(Δθ)が10°以下であると好ましい。
【0049】
図3に示すように、図1に示す第1の実施の形態の場合、光ファイバ1の端面Sの傾斜の角度θが8°の場合で、一般的な石英製SMファイバ(屈折率=1.45)及び平板マイクロレンズ7を用いて、空間系によりレンズ結合を行うと、光ファイバ1の光を出射する側の端面Sは光ファイバの中心軸Lに垂直な面V上に配設されているので、平板マイクロレンズ7は傾けずに焦点距離を等しくすることができる。この場合、従来と同条件の場合、角度ズレ(Δθ)は、3.6°と小さく、この角度であれば高効率に結合することが容易となる。
【0050】
ここで、角度ズレ(Δθ)は、下記式(1)によって算出することができる。
【0051】
【数1】
Δθ=−sin-1(1.45×sinθ)+θ …(1)
【0052】
θが8°の場合、光ファイバ1からの出射光の光軸Pと平板マイクロレンズの光軸Qとの角度ズレ(Δθ)は、前記式(1)から、3.6°と算出される。
【0053】
また、図4に示すように、図2に示す第2の実施の形態の場合、同様に、θ=8°の場合で、一般的な石英製SMファイバ(屈折率=1.45)を用いて、空間系によりレンズ結合を行うと、光ファイバ1からの出射光の光軸Pと平板マイクロレンズの光軸Qとの角度ズレ(Δθ)は、同様の計算から11.6°と算出される。なお、この場合は、焦点距離を等しくするために、平板マイクロレンズ7を光ファイバ1の端面Sと平行、すなわち、8°傾けて結合した場合を示している。
【0054】
2DFAにおける光ファイバ1の端面Sで反射戻り(再入力)がない状態にするためには、一般的な石英ファイバの場合、その端面における傾斜の角度θは8°以上であればよい。また、角度ズレ(Δθ)を15°以下にするには一般的な石英ファイバを用いた場合、図1に示す第1の実施の形態の場合でファイバの端面の傾斜角度θを28°以下とすればよく、図2に示す第2の実施の形態の場合で15°以下とすればよい。さらに、角度ズレ(Δθ)を10°以下にするには、第1の実施の形態の場合で、傾斜角度θを20°以下とすればよい。
【0055】
図5は、本発明の二次元光学部材アレイの第3の実施の形態である二次元光ファイバアレイを模式的に示す断面図である。図5に示すように、光ファイバ1の、光を出射する側の端面Sにおける中心軸及び光を入射する側の端面における中心軸又はそれらのいずれかが、それぞれ入出射光の光軸Pに垂直な面W上に配設されてなるものであってもよい。なお、図5は、光ファイバ1の、光を出射する側の端面Sにおける中心軸が、出射光の光軸Pに垂直な面W上に配設された場合を示している。
【0056】
上述のいずれの実施の形態の場合においても、平板マイクロレンズ7におけるレンズアレイは、通常等ピッチで並んでおり、角度方向及び角度は各層が不統一であると出射光は等ピッチとならないので、角度方向及び角度は各層統一されていることが好ましい。
【0057】
一方、近年のクロスコネクトスイッチは非常に高速なものが求められており、スイッチング光路長に不揃いがあるとスイッチング時間に差が出るため問題となる。このようにスイッチング光路長を揃えることは重要で、従来の構成であるとこのスイッチング光路長に不揃いが生じてしまうが、本発明では揃えることが可能である。図3に示す場合のように、光路長(光学パス長)を同一長さに揃える必要のある用途においてより有利であるということができる。
【0058】
図6に、シンプルなインライン型スイッチの構成を模式的に示す。なお、スイッチング素子は構成、方式に依存するので、ここでは素子内光路長は無視している。図6に示す構成における光路長は、入力側ファイバアレイ24からインライン型光スイッチ26までをL1、インライン型光スイッチ26から出力側ファイバアレイ25までをL2及びL3とすると、スイッチングが▲1▼の場合、L1+L2、スイッチングが▲2▼の場合、L1+L3となる。図6(a)及び(b)に示す構成の場合、L2とL3とは異なっているので、スイッチング(▲1▼又は▲2▼)によって、その素子内光路長が不揃いとなってしまう。一方、図6(c)示す構成の場合、L2とL3は同一であるので、スイッチングによって、その素子内光路長が不揃いとなってしまうことがないため、光路長を同一長さに揃える必要のある用途においてより有利であるということができる。
【0059】
例えば、MEMSスイッチは低損失化・低クロストーク化のため、素子間ピッチが大きく、3mm程度の場合が一般的である。2DFAが10×10の規模で光ファイバの端面の傾斜角度が8°とすると、1層目と10層目間のピッチは3×9=27mmなので、|L−l|=27×tan8=3.8mmとなり、この光路長(パス長)の差は無視できないレベルである。光路長(パス長)の差は、光ファイバの端面の傾斜角度やファイバピッチ等に依存するので一義的には決定することはできないが、光路長(パス長)の差(|L−l|)で1mm以上になるような形態では本発明の形態がより好ましいということができる。
【0060】
本実施の形態においては、光学部材として、光ファイバ又はレンズを用いた場合を説明したが、他に、導波路(PLC)アレイ、半導体レーザ(LD)アレイ、フォトダイオード(PD)アレイ等であってもよい。
【0061】
上述の実施の形態は、一組の光ファイバと基板とを備えた光ファイバアレイ単位の複数組を階層的に積層して構成されている。
【0062】
また、独立した一組の光ファイバアレイ単位を構成する光ファイバの、光を出射する側の端面に光ファイバの中心軸に対し所定角度θの傾斜を形成し、それらを積層して構成されている。一般に、光学部品は、損失、反射の要求から光学研磨を施す必要があり、通常、端面の研磨はラップ・ポリッシュ機で行うが、一体的に構成された2DFAの場合、特殊な砥石研削が必要になる。この場合には、高い品質を得るのが困難でかつコストを上昇させることになる。上述の実施の形態の場合、光学部材アレイ単位の一組ずつに、通常の研磨を施すことにより、光ファイバの端面に簡易に傾斜を形成することができ、それを積層することで光学研磨を施したことにもなるので、品質及びコストの面で好ましい。
【0063】
図7は、本発明の二次元光学部材アレイの第4の実施の形態である二次元光ファイバアレイを模式的に示す断面図である。図7に示すように、第4の実施の形態である二次元光ファイバアレイ10は、最上層の光ファイバアレイ単位5を構成する基板2の一方の表面上に、及び互いに隣接する光ファイバアレイ単位5を構成する基板2の間に、光ファイバ1を基板2の溝21を有する一方の表面側に押圧又は載置して、整列、固定する固定部材3をさらに備えてなるように構成されている。なお、二次元ファイバアレイ10が固定部材3を備えてなる場合に、この固定部材3は基板2の一部である。
【0064】
この場合、基板や固定部材の材料としては特に制限はないが、例えば、光透過性である硼珪酸ガラス等を好適例として挙げることができる。
【0065】
このように構成することによって、複数組の光ファイバアレイ単位のうち互いに隣接する光ファイバアレイ単位を構成する基板のそれぞれ対向する表面同士が直接接触することのない状態を実現することができる。これにより、基板のそれぞれ対向する表面同士が力学的影響を互いに直接及ぼし合うことのない状態とすることができ、基板の厚さ精度によって積層精度が決定されることがなく、極めて困難であった基板の厚さ精度の管理から免れることによって、煩雑さを伴うことなく簡易に光ファイバの基板上における整列精度を高めることができる。
【0066】
また、図7に示す第4の実施の形態の場合、固定部材3の表面と21溝を構成する側壁とに光ファイバ1を当接させた状態で、光ファイバ1を基板2上に押圧又は載置して、整列、固定させている。
【0067】
また、固定部材3の表面と、この固定部材3の表面に対向する光ファイバアレイ単位5を構成する基板2の表面のうちの他方の表面(裏面)との間に、接着剤層4がさらに設けられている。
【0068】
本発明に用いられる接着剤層4としては特に制限はないが、基板2や固定部材3として、光透過性である硼珪酸ガラス等から構成する場合には、例えば、紫外線硬化型接着剤を好適例として挙げることができる。
【0069】
接着剤層4の厚さとしては、用いる接着剤の種類にもよるが、2〜100μmが好ましく、3〜20μmがさらに好ましい。2μm未満であると、接着特性が不十分になることや基板精度が悪いと部分的に各ファイバアレイ単位同士が接してしまい精度が悪化することがあり、100μmを超えると、熱膨張の大きさや硬化収縮による影響を無視できないことがある。
【0070】
このように構成することによって、ファイバアレイ(FA)間に適切な厚さの接着剤層が存在することになるので、接着剤の接着特性を十分に引き出すことが可能となり、良好な長期的信頼性を確保することができる。
【0071】
また、図7に示す第4の実施の形態の場合、基板2の溝21を有する一方の表面上の所定箇所に、位置決め用ガイド6が形成されている。このように構成することによって、光ファイバの整列精度を向上させることができる。
【0072】
上述の第1〜第4の実施の形態の二次元光ファイバアレイにそれぞれ用いられる溝の形状としては、前述のように、光ファイバ1の外形に対応して光ファイバ1を円滑に整列させ、かつ確実に固定することができるものであれば特に制限はないが、光ファイバ1を三点で確実に支持することができるV字溝であることが好ましい。
【0073】
上述の二次元光ファイバアレイを作製する場合、まず、溝の上に一以上のファイバを整列させて固定した基板の一組みである光ファイバアレイ単位を作製することが好ましい。これは通常の、基板の一つの表面上への光ファイバの整列、固定であるので、光ファイバの断線等の危険性は少ない。また、光ファイバアレイ単位の積層も、光ファイバアレイ化されたものを積層するので断線の危険はほとんどなく、また、積層作業は積層作業として独立しているので位置決め作業簡易なものとなる。さらに、前述のように、光ファイバの端部における傾斜の形成を容易化するとともに光学研磨の要請にも同時に応えることができる。現在、二次元光ファイバアレイ(2DFA)は、1000心規模(例えば、32×32)というものも要求されており、心数が多ければ多いほど、この断線を発生することなく組み立てが可能であることの有用性が顕著なものとなる。
【0074】
以下、図1を参照しつつ、本発明の二次元光学部材アレイの製造方法の一の実施の形態である二次元光ファイバアレイの製造方法について説明する。
【0075】
本実施の形態である二次元光ファイバアレイの製造方法は、一方の表面上にその外形に対応した一以上の溝21を有する基板2の上に、一以上の光ファイバ1を整列させて固定するとともに、複数の基板2及び光ファイバ1を、二次元的形状になるように、一体的に又は階層的に積層する二次元光学部材アレイの製造方法であって、光ファイバ1の、光を出射する側の端面S及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかに、それぞれ光ファイバ1の中心軸Lに垂直な面Vに対して所定角度(θ)を形成する傾斜を設けることを特徴とする。
【0076】
このように構成することによって、基板上における光学部材の光を入出射する側の端面における反射特性に優れるとともにその反射特性を長期間保持することが可能であり、かつ光量の損失及び他の機器への悪影響を防止することが可能な二次元光学部材アレイを効率的にかつ低コストで製造することができる。
【0077】
光ファイバの光を出射する側の端面Sへの傾斜の形成としては、例えば、以下のようにすることを挙げることができる。すなわち、各ファイバアレイ単位において、ファイバを組み立て、接着固定後、通常の一次元のファイバアレイと同様、端面Sにラップ研摩機等を用いて研摩を施す。この場合、ラップ研摩機の定盤に対し所望の角度になるように傾けて端面Sを研磨する。このようにして、端面Sに所望の角度を形成することができる。
【0078】
この場合、一組の光ファイバと基板とを備えた光ファイバアレイ単位をまず形成し、この光ファイバアレイ単位の複数組を階層的に積層することが好ましい。
【0079】
また、図8に示すような固定部材3(図1参照)を備えない態様の二次元光ファイバアレイ10の製造方法としては、例えば、光ファイバアレイ単位5(5a、5b)を構成する基板2上に配列した光ファイバ1の頂点と、それに対向する光ファイバアレイ単位5を構成する基板2(2a、2b)の表面との相互間に、接着剤層4(4a、4b)を介在させるとともに、光ファイバ1の頂点と基板2(2a、2b)の表面とを、それぞれ接着剤層(4a、4b)に接触させ、光ファイバアレイ単位5(5a、5b)を構成する基板2(2a、2b)のそれぞれ対向する表面同士が直接接触することのない状態で、光ファイバアレイ単位5の複数組を階層的に積層する方法を挙げることができる。なお、接着剤層4aは、光ファイバアレイ単位5の相互間を接続、固定し、接着剤層4bは、基板2と光ファイバアレイ1相互間を接続、固定している。また、基板2(2a、2b)のそれぞれ対向する表面同士が直接接触することのない状態を実現することができる限りにおいては、接着剤層4を介在させなくてもよい。
【0080】
なお、図8に示すような固定部材3(図1参照)を備えない態様の光ファイバアレイ10を製造する場合、具体的には、光ファイバアレイ単位を構成する基板上に配列した光ファイバの頂点と、それに対向する光ファイバアレイ単位を構成する基板の表面とを接触させ、光ファイバアレイ単位を構成する基板のそれぞれ対向する表面同士が直接接触することのない状態で、光ファイバアレイ単位の複数組を階層的に積層してもよく、また、光ファイバアレイ単位を構成する基板上に配列した光ファイバの頂点と、それに対向する光ファイバアレイ単位を構成する基板の表面との相互間に、接着剤層を介在させるとともに、光ファイバの頂点と基板の表面とを、それぞれ接着剤層に接触させ、光ファイバアレイ単位を構成する基板のそれぞれ対向する表面同士が直接接触することのない状態で、光ファイバアレイ単位の複数組を階層的に積層してもよい。
【0081】
この場合、光ファイバアレイ単位のそれぞれを作製する段階で、一旦、仮の固定部材(図示せず)を用いて光ファイバをV溝に当接させて光ファイバアレイ単位を組立後、この固定部材を取り外し、光ファイバアレイ単位を階層的に積層することで対応することができる。この場合、固定部材として、その材質をポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂にしたり、基板上に離型剤を塗布すること等により、固定部材の取り外しを容易化することができる。
【0082】
このように固定部材を備えない構成にすることによって、光ファイバアレイ全体の厚さを容易に薄くすることができる。すなわち、通常、厚さ方向(積層方向)のピッチは各光ファイバアレイ単位の厚さに依存し、それ以下にすることはできない。狭いピッチを実現するためには各ファイバアレイ単位自体を薄くする必要があるが強度等の面で限界がある。各光ファイバアレイ単位が基板と固定部材とで構成される場合の厚さ限界は、基板の限界と固定部材の限界との総和になる。しかし、固定部材を省略することによって、各ファイバアレイ単位の厚さ限界は基板の限界となり、厚さ方向(積層方向)のピッチを狭めることができる。具体的には、基板の限界は0.5mm程度で、固定部材の限界は0.4mm程度なので、各ファイバアレイ単位が基板と固定部材で構成される場合の厚さ限界は0.9mm程度なのに対し、固定部材を省略することによって、0.5mm程度とすることができる。
【0083】
固定部材を省略する(各ファイバアレイ単位が基板と光ファイバとで構成される)場合の他の利点としては、接着剤層の熱膨張係数(α)の大きさによる悪影響を回避することができることを挙げることができる。すなわち、固定部材を用いる場合は、基板と固定部材との間も接着剤層で固定する必要があり、経験的にこの接着剤層厚さは30μm程度が好ましく、各ファイバアレイ単位間の接着剤層の厚さは10μm程度であるから、1層当たり合計で40μm程度と厚くなり、接着剤層の熱膨張係数(α)の影響を無視できないことになる。具体的には、本発明で用いられる接着剤層の接着剤層の熱膨張係数(α)は、10×10-6程度であり、基板として硼珪酸塩ガラス(コーニング社製、商品名:パイレックス)を用い、ピッチが1.5mmの場合(後述する実施例1の場合)、基板と固定部材との間の接着剤層を加味した積層後の二次元ファイバアレイ全体の熱膨張係数(α)は、幅方向が33×10-7であるのに対し、厚さ方向が58×10-7と大きくなり、差を生じてしまうことになる。MEMS光スイッチ等はケイ素(Si)等の面に形成されることから、本来、熱膨張の方向依存性はあるべきものではないため、上述の熱膨張の方向依存性が問題となる場合がある。
【0084】
この問題を解決するためには、接着剤層を薄くすればよいが、固定部材を省略することによって、殊更、特別の策を講ずる必要なしに、接着剤層を薄くすることができる。また、各ファイバアレイ単位間の接着剤層を10μm程度とする一つの理由は、基板及び固定部材の厚さのバラツキが、一般的な製造方法を用いた場合、±3μm程度は発生するので、各ファイバアレイ単位でみると±6μm程度考慮する必要があるからである。すなわち、各ファイバアレイ単位間の接着剤層が10μm程度であるとは、10±6μm程度であることを意味し、最も薄い場合、4μm程度となることを意味する。固定部材を省略する場合、基板の±3μm程度のバラツキだけを考慮すればよいため、最も薄い場合で4μmを確保するためには、7±3μm程度とすればよく、接着剤層の厚さは7μm程度とすればよいことになる。すなわち、この場合の1層当たりの接着剤層の厚さは7μm程度になる。この場合、厚さ方向の熱膨張係数(α)は、37×10−7となり、熱膨張の方向依存性は無視することができるレベルのものとなる。
【0085】
以下、本発明の二次元光ファイバアレイの製造方法における、二次元光ファイバアレイ単位作製後の、二次元光ファイバアレイ化(2DFA化)についてさらに具体的に説明する。
【0086】
第1の二次元光ファイバアレイ化として、光ファイバアレイ単位をアクティブに調整しつつ、積層して互いに固定することを挙げることができる。例えば、二次元光ファイバアレイ単位の入出射する側の端面とは逆側の出入射する側の端面から白色光を入射し、出射光をCCDカメラにて観察しながら光ファイバアレイ単位の光ファイバの位置を把握し、各層の光ファイバアレイ単位の相対的な位置を調整し、光ファイバアレイ単位を互いに接着剤等で積層、固定することを挙げることができる。複数の光ファイバアレイ単位の積層、固定を同時に行うには装置が大がかりになるため、一層ずつ順次行うことが好ましい。
【0087】
また、接着剤が硬化する際、硬化、収縮により、決めた位置がズレることを防止するために、確実に光ファイバアレイ単位を把持することができる装置を用いることが好ましい。
【0088】
例えば、図9に示すガイドピン治具を用いた方法を好適例として挙げることができる。図9に示すように、先ず、最下層の光ファイバアレイ単位5aを、ガイドピン治具11の2辺の縦梁治具にそれぞれ備わる第1ガイドピン6aと第2ガイドピン6bとの間に挿入する。次に、ガイドピンとFAのV溝基板に備わるガイド溝との接触を確保するために、最下層の光ファイバアレイ単位5aを下方向から引張るようにして荷重G1をかける。次に、下から2層目の光ファイバアレイ単位5bを、第2ガイドピン6bと第3ガイドピン6cとの間に挿入し、ガイドピンとFAのV溝基板に備わるガイド溝との接触を確保するために、上方向から光ファイバアレイ単位5bを押しあてるように荷重G2をかける。この状態で、光ファイバアレイ単位5aと光ファイバアレイ単位5bとの間の隙間に、紫外線硬化性接着剤を流し込み、紫外線を照射して硬化させる。このとき、ガイド溝部分に接着剤が流入するとガイドピンが固定されてしまうので、光ファイバアレイ単位5aのV溝基板と光ファイバアレイ単位5bの上蓋基板との間のみに接着剤が流入するようにする。下から3層目の光ファイバアレイ単位5以降は、光ファイバアレイ単位5bと同様に、ガイドピンとガイドピンとの間に光ファイバアレイ単位5を挿入し上方向から荷重G2をかけた状態で接着固定を行うことを繰り返し、例えば、8層目まで同様の方法にて積層を行う。
【0089】
また、位置調整は、光軸をZ軸、積層方向をY軸、Z軸及びY軸に対してそれぞれ垂直な光ファイバの隣接配列方向をX軸とすると、X軸、Y軸方向は画像認識でビームの中心を把握し調整を行うことが好ましく、各層の光軸平行度θyは、オートフォーカス機能又はビームウェストをサーチする方式でZ軸方向の距離を把握し調整することが好ましい。また、光軸平行度θxについては、側面から光ファイバアレイ単位を観察し、上下の光ファイバアレイ単位のV溝基板底面が平行かつ所望の間隔になるように調整することが好ましい。V溝基板底面とV溝は平行なので、この方式でθx、θzも調整することが可能である。この方法は、装置は複雑になるものの、二次元光ファイバアレイ化(2DFA化)を確実に実現することができる。
【0090】
第2の二次元光ファイバアレイ化として、図7に示すように、光ファイバアレイ単位5にガイド溝(位置決め用ガイド)6を設け、これに合う位置合わせ用ガイドピンにより位置決めを行う方法を挙げることができる。この場合は、大掛りな位置決め装置は不要で、高精度なガイドピン治具さえあればよい。また、一つのV溝基板2表面上に、ファイバ用V溝21とガイド用V溝6とを形成することができるので、ファイバ用V溝21とガイド用V溝6とは位置のみでなく平行度も非常に高い精度を確保することができる。つまり、この方法であれば、X、Y位置とθx、θy、θzの調整が同時にでき、極めて作業性が高い。ここで、位置決めに用いるガイド溝は、積層後の研磨基準として用いてもよく、二次元光ファイバアレイ(2DFA)としての相手側の光学部品との結合に用いてもよい。例えば、他の既設の光学部品の使用者は他の既設の光学部品と新たな2DFAとを結合するに際し、光軸と平行な基準としてこの2DFAのガイド溝を利用することができる。また、使用の必要がなければ小型化のため等からガイド溝は切り落としてもよい。
【0091】
図10及び図11は、本発明の二次元導波路装置の一の実施の形態を模式的に示し、図10(a)は平面図で、図10(b)は、図10(a)のY−Y線における断面図であり、図11(a)は、図10(a)のZ−Z線における断面図の一の態様であり、図11(b)は、図10(a)のZ−Z線における断面図の他の態様である。図10及び図11に示すように、本発明の二次元導波路装置200は、平面的にパターニングされた一以上の導波路201を有する基板202を備えた導波路基板単位205の複数組を、二次元的形状になるように、一体的に形成した又は階層的に積層した構造を有する二次元導波路装置200であって、導波路基板単位205を構成する導波路201の、光を出射する側の端面S’及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかが、導波路の中心軸L’に垂直な面V’に対して所定角度(θ)を形成する傾斜を備えてなることを特徴とする。
【0092】
このように構成することによって、高密度で容量が大であるとともにパッケージングや接続における工数の削減を図ることが可能となる。
【0093】
この場合、図11(a)に示すように、導波路基板単位205を構成する導波路201の、光を出射する側の端面S’及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかが、導波路の中心軸L’に垂直な面V’上に配設されてなるものであってもよく、図11(b)に示すように、導波路基板単位205を構成する導波路201の、光を出射する側の端面S’及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかが、導波路の中心軸L’に垂直な面V’に対して所定角度(θ)を形成する面U’上に配設されてなるものであってもよい。さらに、図5に示す二次元光ファイバアレイの場合と同様に、導波路基板単位を構成する導波路の、光を出射する側の端面S’における中心軸及び光を入射する側の端面における中心軸又はそれらのいずれかが、それぞれ出射光及び入射光又はそれらのいずれかの光軸に垂直な面上に配設されてなるものであってもよい。
【0094】
本発明の二次元導波路装置は、前述の2DFAにおける場合と同様に、導波路201の端面S’で反射戻り(再入力)がない状態にするためには、一般的な石英導波路の場合、その端面S’における傾斜の角度θは8°以上であればよい。また、前述の角度ズレ(Δθ)を15°以下にするには一般的な石英導波路を用いた場合、図11(a)に示す場合で、導波路の光を出射する側の端面S’の傾斜角度θを28°以下とすればよく、図11(b)に示す場合で、15°以下とすればよい。さらに、角度ズレ(Δθ)を10°以下にするには、図11(a)に示す場合で、傾斜角度θを20°以下とすればよい。
【0095】
また、図11(a)、(b)に示すように、複数組の導波路基板単位205のうち互いに隣接する導波路基板単位205のそれぞれ対向する表面相互間に接着剤層204を備えてなるものであってもよい。接着剤層204としては、上述の二次元光ファイバアレイで用いたものと同様のものを用いることができる。
【0096】
接着剤層204の厚さは、上述の二次元光ファイバアレイの場合と同様な理由から、2〜100μmであることが好ましい。
【0097】
また、図11に示すように、本発明の二次元導波路装置の製造方法の一の実施の形態は、平面的にパターニングされた一以上の導波路201を有する基板202を備えた導波路基板単位205の複数組を、二次元的形状になるように、一体的に又は階層的に積層する二次元導波路装置の製造方法であって、導波路201の、光を出射する側の端面S’及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかが、導波路の中心軸L’に垂直な面V’に対して所定角度(θ)を形成する傾斜を設けることを特徴とする。
【0098】
この場合、導波路基板単位205を構成する導波路201の、光を出射する側の端面S’及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかを、導波路の中心軸L’に垂直な面V’上に配設してもよく、また、導波路基板単位205を構成する導波路201の、光を出射する側の端面S’及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかを、導波路の中心軸L’に垂直な面に対して所定角度(θ)を形成する面U’上に配設してもよい。さらに、図5に示す二次元光ファイバアレイの場合と同様に、導波路基板単位を構成する導波路の、光を出射する側の端面S’における中心軸及び光を入射する側の端面における中心軸又はそれらのいずれかを、それぞれ出射光及び入射光又はそれらのいずれかの光軸に垂直な面上に配設してもよい。
【0099】
また、複数組の導波路基板単位205のうち互いに隣接する導波路基板単位205のそれぞれ対向する表面相互間に接着剤層204を形成してもよい。この場合、接着剤層の厚さを、2〜100μmに形成することが好ましい。
【0100】
また、導波路基板単位205を積層して二次元化する方法としては、上述の二次元光ファイバアレイの場合と同様の方法を用いることができる。この場合、例えば、導波路基板単位の表面上の所定箇所に、位置決め用ガイドを形成したものを用いてもよい。
【0101】
図12は、4チップ分の導波路201を、中心位置を揃えた状態で一枚のウエハ上に形成し、これらの導波路201の両横に位置決め用ガイド206を形成した場合を示す。このような導波路201の形成は、例えば、フォトリソグラフィ技術を用いて行うことができる。このようにして形成した一枚のウエハから積層する導波路基板を切り取って確保する。このような方法を用いることによって、導波路201に対する位置決め用ガイド206の横方向及び深さ方向の位置は、絶対的に確保されていなくても、積層する導波路基板同士では相対的に一致するので、積層精度を確保することができる。
【0102】
図13は、二次元導波路装置200を介して二次元光ファイバアレイ10と一次元光ファイバアレイ110とを接続した状態を模式的に示し、(a)は平面図、(b)はその側面図である。図13においては、90°回転させた4チャンネルの一次元光ファイバアレイ110を、二次元導波路装置200を介して、8チャンネルの二次元光ファイバアレイ10に接続した場合であって、二次元導波路装置200は4枚の導波路基板単位205及び固定部材3を積層して構成し、また二次元光ファイバアレイ10は、4枚の光ファイバアレイ単位5及び固定部材3を積層して構成した場合を示している。
【0103】
前述のように、導波路基板と光ファイバアレイとを接続する場合、一つの導波路基板に一つの光ファイバアレイを光学的に調心(位置合わせ)を行う必要があるが、この調心作業は、サブミクロンレベルの位置合わせを導波路基板及び光ファイバアレイの基板同士で行うので、極めて高度でかつ工数の掛かる作業とならざるを得ないという問題があったが、このように構成することによって、一回の調心で4枚の基板分の調心が実現することとなり、調心・接続工数を大幅に削減することができる。
【0104】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限を受けるものではない。
【0105】
実施例1
光ファイバとして、光を出射する側の端面のそれぞれが、光軸に垂直な面に対して所定角度(θ=8°)を形成する傾斜を備えるように研摩したものを用いた光ファイバアレイ単位を多層に積層して、反射減衰流の小さい、1.5mmピッチで8×10チャンネルの仕様の二次元光ファイバアレイを作製した。本実施例においては、光ファイバアレイ単位の作製、光ファイバアレイ単位の積層、作製した二次元光ファイバアレイの評価の順に行った。
【0106】
光ファイバアレイ単位の作製
基板材料として、硼珪酸塩ガラス(熱膨張係数:32×10-7)を用い、これを、50mm×55mm×1.495mm(厚さ)の寸法に加工し、ウエハとした。これに研削加工を施すことによって、光ファイバを整列させて固定するV字溝及び位置決め用ガイド(ガイド用V溝)を形成した。V字溝は、1.5mmピッチで8本形成し、位置決め用ガイド(ガイド用V溝)は1本目のV字溝と8本目のV字溝との外側2mmの位置に1本ずつ形成した。
【0107】
次いで、ウエハから所定寸法で切り出しを行い、光ファイバアレイ単位に用いる基板チップとした。作製する二次元光ファイバアレイが8×10チャンネルであるために、基板チップ(光ファイバアレイ単位)は10個作製した。
【0108】
次いで、光ファイバアレイ単位の組み立てを行った。組み立ては、まず、基板のV字溝に光ファイバを載置し、次に、仮固定用の固定部材(SUS材で厚さが1mmのものにポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂を塗布してあるため仮固定用の固定部材自体は接着することはない)によって光ファイバを押圧して、固定用接着剤(エポキシ樹脂)を塗布し、紫外線光を照射して、固定を行った。固定用接着剤を硬化させた後、仮固定用の固定部材を基板から剥離し、光ファイバアレイ単位とした。
【0109】
次いで、光ファイバの被覆部分がフリーとなって断線の原因となることを防止するため、光ファイバアレイ単位の後端部で被覆固定用接着剤(ウレタンアクリレート樹脂)を用いて光ファイバの被覆部分を固定する構造とした。
【0110】
次いで、光ファイバアレイ単位の端面に傾斜を形成するための研摩加工を行った。光ファイバアレイ単位の端面にθ=8°の角度を持たせるため、専用の治具を作製した。この場合、光軸方向を0°とした場合、光ファイバアレイ単位の端面における傾斜角度は82°となる。この角度付き専用治具を用いて、光ファイバアレイ単位の端面に、粗ラッピング、精ラッピング、ポリッシュの順に研摩を施した。これにより、角度精度は82°に対して±0.3°となった。
【0111】
光ファイバアレイ単位の積層
光ファイバアレイ単位の積層方法は、前述のように種々あるが、本実施例においては、ガイドピン立て治具を用いた。ここで、ガイドピン立て治具とは、光ファイバアレイ単位の、積層方向の位置決めを行うためにガイドピンが高精度に立てられた治具を意味する。ガイドピン及び治具基板の材料として、両者ともジルコニア材料を用いた。ガイドピンを立てる梁には、1.5mmピッチでV字溝が形成されており、このV字溝へガイドピン(直径:0.7mm)を挿入して、固定部材で押圧することでガイドピンを倒立させた。また、ガイドピンを立てた2本の梁の互いの相対位置は、高精度に規定される必要がある。このように、相対位置を高精度に決定するために、互いのピン立て梁を横方向梁及び斜め方向梁を用いて相対位置を正確に規定した。
【0112】
上述のガイドピン立て治具に立てられているガイドピンに対して、光ファイバアレイ単位を順次挿入した。この場合、ガイドピンと、光ファイバアレイ単位に形成した位置決め用ガイド(ガイド用V溝)とが正確に接触している必要がある。そこで、光ファイバアレイ単位に対し、荷重をかけることで両者の確実な接触を可能とした。この場合、光ファイバアレイ単位にかける荷重は約30gとした。光ファイバアレイ単位の光軸方向の相対位置についても高精度に揃えられることが必要となる。本実施例においては、ガイドピン治具の基板に、各光ファイバアレイ単位の端部を当接させることで相対位置を合わせるようにした。このようにして、各光ファイバアレイ単位の端面の整列バラツキは約10μmとなった。このように、光ファイバアレイ単位をガイドピン治具に固定し、さらに、次の段の光ファイバアレイ単位についても同様にガイドピン治具に固定した。
【0113】
次いで、各光ファイバアレイ単位間に接着剤(紫外線硬化型のエポキシ樹脂)を塗布して固定した。各光ファイバアレイ単位間に形成された接着剤層の厚さは約10μmとした。この作業を繰り返すことで、10段の二次元光ファイバアレイを作製した。
【0114】
二次元光ファイバアレイの評価
まず、本実施例で作製した二次元光ファイバアレイの精度評価を行った。下段から光ファイバアレイ単位を行1〜10とし、左側の列から列A〜Hとし、行1〜10のそれぞれのコア位置(それぞれ8チャンネル)を測定しておき、列AとHのコア位置(それぞれ10チャンネル)を測定した。さらに、対角線距離(1、A)−(10、H)及び(1、H)−(10、A)を測定した。このようにして、行1に対応する最下段の光ファイバアレイ単位と行10に対応する最上段の光ファイバアレイ単位の相互位置を把握し、列Aと列Hのコア位置から二次元光ファイバアレイとしての全体のコア位置を測定した。このコア位置マトリクスと、理想的なコア位置マトリクスとの間のズレ量を算出した。
【0115】
この結果、本実施例で作製した二次元光ファイバアレイのコア位置は、すべてのチャンネルにおいて、理想的なマトリクスからそれぞれ±2μmの範囲にあることが確認された。
【0116】
次いで、本実施例で作製した二次元光ファイバアレイの端面における反射減衰量の評価を行った。反射減衰量の測定には、干渉系反射測定器(OCDR)を用いた。なお、二次元光ファイバアレイのコネクタからアレイ端面までの光ファイバの長さは約1.8mとした。
【0117】
この結果、本実施例で作製した二次元光ファイバアレイの端面における反射減衰量は、すべてのチャンネルにおいて、60dB以上であることが確認された。
【0118】
次いで、本実施例で作製した二次元光ファイバアレイの信頼性評価を行った。二次元光ファイバアレイをヒートサイクル試験(−40〜85℃×70サイクル)、高温、高湿試験(85℃、85%×2週間)に曝した。
【0119】
この結果、本実施例で作製した二次元光ファイバアレイには、試験前後において、そのコア位置精度、反射減衰量について変化がないことが確認された。そのコア位置の変動量は0.3μm以下と十分小さく、かつ反射減衰量については変化が無く、良好な結果を得た。
【0120】
実施例2
1×8チャンネルのスプリッターを4段積層した二次元導波路装置を二次元光ファイバアレイと接続した。1mm厚のSiウエハ上にSiウエハの底面から1.03mmの位置に導波路コアが導波路ピッチ(8チャンネル側)250μmで位置し、その上にクラッドを0.025mm形成し、総厚1.055mmのスプリッター単位を形成した。図12に示すように一枚のウエハに4チップのスプリッターを形成し、このウエハに位置決め用ガイド(溝)を5mmのピッチで研削加工により形成した。積層精度確保のため、ガイド溝に積層用ガイドピンを乗せた時の中心位置と導波路に対する相対的な深さとピッチとは同一となるように、以下のようにして加工を施した。ウエハを、特開平5−273442号公報における図3に示されているような加工治具の上に、治具の被加工物側基準面(側面側と底面側の両者)に対し平行になるように貼り付け、加工機側基準面(側面側と底面側の両者)に平行になるように位置決め用ガイド加工を施すことで相対位置を正確に同一とした。この場合、加工治具の被加工物側基準面と加工機側基準面との間の平行関係や直角関係等の必要な相対関係は確保されている。ウエハを切断加工してスプリッターのチップとし、図11(b)に示す積層方法にて積層方向のコアピッチが1.06mmとなるように積層、固定した。つまり、スプリッター単位間の接着層の厚さは5μmとした。この二次元化されたスプリッターの端面を図11(b)に示す形状となるように8°研磨を施した。次に、図1に示す形状の8心×4段の二次元光ファイバアレイを実施例1と同様の方法で作製した。この場合、端面への8°研磨加工は積層後に施した。このときの光ファイバアレイ単位の厚さ(V溝基板底面からファイバの頂部までの距離)はスプリッター単位と合わせ1.055mmとし、積層ピッチは1.06mmとした。つまり、光ファイバアレイ単位間の接着層の厚さは5μmとした。さらに、1段(一次元)の光ファイバピッチ1.06mmの4心光ファイバアレイを作製した。端面は前記二次元化スプリッターと接続時に端面が平行になる方向に8°(一次元光ファイバアレイのファイバピッチの方向に8°)研磨を施した。三者を通常の導波路型スプリッターモジュールと同様、調心を行い、接続、固定し、二次元スプリッターモジュールを作製した。
【0121】
この結果、本実施例で作製した二次元スプリッターモジュールは、接続による損失が0.5dB、反射が60dBと若干一次元的なスプリッターモジュールと比べ損失が大きかったが、十分に使用できる特性の二次元スプリッターモジュールであった。
【0122】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によって、基板上における光学部材の光を入出射する側の端面における反射特性に優れるとともにその反射特性を長期間保持することが可能であり、かつ光量の損失及び他の機器への悪影響を防止することが可能で、安価な二次元光学部材アレイ及び高密度で容量が大であるとともにパッケージングや接続における工数の削減を図ることが可能な二次元導波路装置並びにそれらの効率的な製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の二次元光学部材アレイの第1の実施の形態である二次元光ファイバアレイを模式的に示す断面図である。
【図2】 本発明の二次元光学部材アレイの第2の実施の形態である二次元光ファイバアレイを模式的に示す断面図である。
【図3】 第1の実施の形態における反射特性と角度ズレ(Δθ)との関係を模式的に示す断面図である。
【図4】 第2の実施の形態における反射特性と角度ズレ(Δθ)との関係を模式的に示す断面図である。
【図5】 本発明の二次元光学部材アレイの第3の実施の形態である二次元光ファイバアレイを模式的に示す断面図である。
【図6】 シンプルなインライン型スイッチの構成を模式的に示す説明図である。
【図7】 本発明の二次元光学部材アレイの第4の実施の形態である二次元光ファイバアレイを模式的に示す断面図である。
【図8】 本発明の二次元光学部材アレイの第5の実施の形態である二次元光ファイバアレイを模式的に示す断面図である。
【図9】 本発明の二次元光学部材アレイの実施の形態である二次元光ファイバアレイを二次元化する際に用いられるガイドピン治具を模式的に示す断面図である。
【図10】 本発明の二次元導波路装置の一の実施の形態を模式的に示し、(a)は平面図、(b)は(a)のY−Y線における断面図である。
【図11】 図10(a)のZ−Z線における断面図(二態様)である。
【図12】 本発明の二次元導波路装置の一の実施の形態において、導波路基板単位を積層して二次元化する方法を模式的に示す平面図である。
【図13】 二次元導波路装置を介して二次元光ファイバアレイと一次元光ファイバアレイとを接続した状態を模式的に示し、(a)は平面図、(b)はその側面図である。
【図14】 従来の二次元光学部材アレイ(光ファイバアレイ)の一例を模式的に示す断面図である。
【図15】 従来の導波路装置の一例を模式的に示し、(a)は平面図、(b)はそのX−X線における断面図である。
【符号の説明】
1…光ファイバ、2…基板、3…固定部材、4…接着剤層、5…光ファイバアレイ単位、6…位置決め用ガイド(ガイド用V溝)、6a〜6d…ガイドピン、7…平板マイクロレンズ、10…二次元光ファイバアレイ、21…溝(V字溝)、24…入力側ファイバアレイ、25…出力側ファイバアレイ、26…インライン型光スイッチ、100…従来の二次元光ファイバアレイ、101…光ファイバ、102…V溝基板、103…固定部材、110…一次元光ファイバアレイ、200…二次元導波路装置、201…導波路、202…基板、204…接着剤層、205…導波路基板単位、206…位置決め用ガイド、θ…傾斜の角度、G1、G2…荷重、S…光ファイバの光を入出射する側の端面、S’…導波路の光を入出射する側の端面、L…光ファイバの中心軸、L’…導波路の中心軸、P…光ファイバからの入出射光の光軸、Q…平板マイクロレンズの光軸、V…光ファイバの中心軸に垂直な面、V’…導波路の中心軸に垂直な面、U…光ファイバの中心軸に垂直な面に対して所定角度(θ)を形成する面、U’…導波路の中心軸に垂直な面に対して所定角度(θ)を形成する面、W…入出射光の光軸Pに垂直な面。
Claims (17)
- 光学部材と、一方の表面上に前記光学部材の外形に対応した一以上の溝を有し、この溝の上に一以上の前記光学部材を整列させて固定する基板と、を備えた光学部材アレイ単位の複数組を、二次元的形状になるように、一体的に形成した又は階層的に積層した構造を有する二次元光学部材アレイであって、
複数の前記光学部材の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかが、それぞれ光学部材の中心軸に垂直な面に対して所定角度(θ)を形成する傾斜を備えてなり、
前記光学部材の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面のうちの、所定角度(θ)を形成する前記傾斜を備えた端面における中心軸が、それぞれ出射光又は入射光の光軸に垂直な面上に配設されてなることを特徴とする二次元光学部材アレイ。 - 前記光学部材が、光ファイバ又はレンズである請求項1に記載の二次元光学部材アレイ。
- 複数組の前記光学部材アレイ単位を階層的に積層してなるものである請求項1又は2に記載の二次元光学部材アレイ。
- 前記光学部材アレイ単位を構成する基板上に配列した光学部材の頂点と、それに対向する前記光学部材アレイ単位を構成する基板の表面とが接触し、前記光学部材アレイ単位を構成する基板のそれぞれ対向する表面同士が直接接触することのない状態で、前記光学部材アレイ単位の複数組を階層的に積層してなる請求項3に記載の二次元光学部材アレイ。
- 前記光学部材アレイ単位を構成する基板上に配列した光学部材の頂点と、それに対向する前記光学部材アレイ単位を構成する基板の表面との相互間に、接着剤層を介在させるとともに、前記光学部材の頂点と前記基板の表面とを、それぞれ前記接着剤層に接触させ、前記光学部材アレイ単位を構成する基板のそれぞれ対向する表面同士が直接接触することのない状態で、前記光学部材アレイ単位の複数組を階層的に積層してなる請求項3に記載の二次元光学部材アレイ。
- 最上層の前記光学部材アレイ単位を構成する前記基板の一方の表面上に、及び互いに隣接する前記光学部材アレイ単位を構成する前記基板の間に、前記光学部材を前記基板の前記溝を有する一方の表面側に押圧又は載置して、整列、固定する固定部材をさらに備えてなる請求項3に記載の二次元光学部材アレイ。
- 前記固定部材の表面と前記溝を構成する側壁とに前記光学部材を当接させた状態で、前記光学部材を前記基板上に押圧又は載置して、整列、固定させてなる請求項6に記載の二次元光学部材アレイ。
- 前記固定部材の表面と、この固定部材の表面に対向する前記光学部材アレイ単位を構成する前記基板の表面のうちの他方の表面(裏面)との間に、接着剤層をさらに備えてなる請求項6又は7に記載の二次元光学部材アレイ。
- 前記接着剤層の厚さが、2〜100μmである請求項8に記載の二次元光学部材アレイ。
- 前記基板の前記溝を有する一方の表面上の所定箇所に、位置決め用ガイドが形成されてなる請求項1〜9のいずれかに記載の二次元光学部材アレイ。
- 前記溝が、V字溝である請求項1〜10のいずれかに記載の二次元光学部材アレイ。
- 一方の表面上に光学部材の外形に対応した一以上の溝を有する基板の上に、一以上の前記光学部材を整列させて固定するとともに、複数組の前記基板及び前記光学部材を、二次元的形状になるように、一体的に又は階層的に積層する二次元光学部材アレイの製造方法であって、
前記光学部材の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかに、それぞれ光学部材の中心軸に垂直な面に対して所定角度(θ)を形成する傾斜を設け、
前記光学部材の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面のうちの、所定角度(θ)を形成する前記傾斜が設けられた端面における中心軸を、それぞれ出射光又は入射光の光軸に垂直な面上に配設することを特徴とする二次元光学部材アレイの製造方法。 - 平面的にパターニングされた一以上の導波路を有する基板を備えた導波路基板単位の複数組を、二次元的形状になるように、一体的に形成した又は階層的に積層した構造を有する二次元導波路装置であって、
前記導波路基板単位を構成する前記導波路の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかが、それぞれ導波路の中心軸に垂直な面に対して所定角度(θ)を形成する傾斜を備えてなり、
前記導波路基板単位を構成する前記導波路の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面のうちの、所定角度(θ)を形成する前記傾斜を備えた端面における中心軸が、それぞれ出射光又は入射光の光軸に垂直な面上に配設されてなることを特徴とする二次元導波路装置。 - 複数組の前記導波路基板単位のうち互いに隣接する前記導波路基板単位のそれぞれ対向する表面相互間に接着剤層を備えてなる請求項13に記載の二次元導波路装置。
- 前記接着剤層の厚さが、2〜100μmである請求項14に記載の二次元導波路装置。
- 前記導波路基板単位の表面上の所定箇所に、位置決め用ガイドが形成されてなる請求項13〜15のいずれかに記載の二次元導波路装置。
- 平面的にパターニングされた一以上の導波路を有する基板を備えた導波路基板単位の複数組を、二次元的形状になるように、一体的に又は階層的に積層する二次元導波路装置の製造方法であって、
前記の導波路の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面又はそれらのいずれかに、それぞれ導波路の中心軸に垂直な面に対して所定角度(θ)を形成する傾斜を設け、
前記導波路基板単位を構成する導波路の、光を出射する側の端面及び光を入射する側の端面のうちの、所定角度(θ)を形成する前記傾斜が設けられた端面における中心軸を、それぞれ出射光又は入射光の光軸に垂直な面上に配設することを特徴とする二次元導波路装置の製造方法。
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