JP3910328B2 - 軸受鋼全長疵保証製品線材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
ヘッダー加工にて転動体を製造する軸受鋼線材の製造に係わり、圧延状態のままで渦流軽伸にて全長疵保証を行い、さらに球状化焼きなましによって軟化させヘッダー加工寿命に優れる軸受鋼線材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
軸受鋼線材は、後で実施するヘッダー加工ないしは冷間鍛造を良好なものにするため、線材に圧延後、球状化焼きなましを施して軟化させた状態でヘッダー加工用ないしは冷間鍛造用に出荷される。ところで、従来の軸受鋼全長疵保証製品線材の製造方法として、表1に示すように、▲1▼軸受鋼組成の鋼の線材圧延を行い、酸洗を施し、球状化焼きなましを行った後、皮膜処理を経て渦流軽伸して製品線材とする方法、▲2▼線材圧延を行い、酸洗を施し球状化焼きなまし、皮膜処理を経て製品線材とする方法、▲3▼線材の制御圧延を行い、皮膜処理を施し、渦流軽伸し、球状化焼きなましを行い製品線材とする方法がある。
【0003】
【表1】
【0004】
このような従来の軸受鋼線材の製造方法について説明すると、表1の製造方法▲1▼においては、渦流軽伸で製品の疵保証は可能である。しかし、球状化焼きなましの後に渦流軽伸するこの方法では、渦流軽伸による冷間加工が加わり、線材の硬さレベルが94〜98HRBとなり、このものは球状化焼きなまし状態のものに比べて硬さが硬くなっているので、ヘッダー加工ないし冷間鍛造のダイスが摩耗し易く、従ってヘッダー加工性ないしは冷間鍛造性が落ちる。
【0005】
製造方法▲2▼においては、球状化焼きなましの後に渦流軽伸を行なわないので、渦流軽伸を実施しない分だけ冷間加工されないので、硬さレベルが90〜92HRBと軟らかく、ヘッダー加工ないしは冷間鍛造性は良好となる。しかし、この場合は、線材圧延後における製品の疵保証はできない。
【0006】
一方、製造方法▲3▼では、線材圧延時の圧延速度・水量などを制御して圧延仕上げ温度を下げた制御圧延をすることにより、圧延状態での硬さを下げ、さらに皮膜処理を施した後に渦流軽伸を行なうことにより全長疵保証としている。しかし、制御圧延により生産性が低下している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、制御圧延による生産性を低下させることなく、通常圧延により、かつ線材全長における疵保証を行うとともに、炭化物の固溶度を増して球状化率を向上させて軟化した製品線材の製造方法を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題を解決する手段は、高炭素クロム軸受鋼であるSUJ2からなる鋼の通常の線材圧延を行い、圧延線材に被膜処理した状態で圧延線材径に対して0.5mm以内の範囲で小さい径であるダイスで引き代0.5mm以下の渦流軽伸にて全長疵保証とし、その後球状化焼なましを施し、さらに被膜処理を施すことを特徴とする軸受鋼全長疵保証線材の製造方法である。
【0009】
この手段によれば、圧延線材に皮膜処理した状態で渦流軽伸による弱い冷間加工をした後に、該渦流軽伸による加工歪を有する線材に球状化焼きなましを施すことで炭化物の固溶度が増して球状化率が向上し、一層軟化する利点およびコスト低減の利点がある。
【0010】
以上の通り、本発明は線材圧延した後、皮膜処理して渦流軽伸することにより全長疵保証した線材製品を供給できるようにした。
【0011】
圧延線材の疵の検出方法は、皮膜処理した圧延線材を渦電流(渦電流を「渦流」という。)に通し、疵がある場合の生ずる渦電流の波形の乱れを利用する。しかし、圧延線材に皮膜処理した状態で渦流中に通すと、表面肌や寸法精度の問題で、ノイズが生じて正確な疵の確認ができない問題がある。そこで、圧延線材を圧延線材径に対して0.5mm以内の範囲で小さい径であるダイスで引き代0.5mm以下で軽く引抜きながら渦電流中に通すことにより、表面肌や寸法精度の際による線材径の不揃いを解消することにより、ノイズのない渦電流の波形の乱れを検出することによって欠陥を正確に検出するものである。本明細書中における渦流軽伸とは上記のダイスにより軽く引抜きながら渦電流に通して疵を検出することをいう。
【0012】
さらに本明細書でいう皮膜処理とは、リン酸亜鉛カルシウムによる燐酸塩皮膜形成する処理を指し、この皮膜処理による燐酸塩皮膜は塑性加工おけるダイス等との焼き付き防止の潤滑の役目をするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
電気炉にて溶製されたSUJ2のビレットを熱間にて線材に圧延し、次いでリン酸亜鉛カルシウム皮膜処理を施す。この皮膜処理した圧延線材を引き代0.5mm以下の渦流軽伸を施して全長疵保証をし、さらに球状化焼きなまし処理を経て、その後のヘッダー加工または冷間鍛造の潤滑目的の為、再びリン酸亜鉛カルシウム皮膜処理を行い製品線材として出荷する。
【0014】
以上の方法により、線材圧延後に全長疵保証された線材製品を供給できるようになった。
【0015】
また、圧延線材にリン酸亜鉛カルシウム皮膜処理した状態で渦流軽伸により冷間加工することにより加工歪を増すことができ、球状化焼きなましを施すと上記の加工歪の増加により炭化物の固溶度が増し、従って球状化率が向上して軟化する利点を生ずる。
【0016】
【実施例】
表2に示す軸受鋼組成の圧延素材よりφ8.3mmに線材圧延を行い、圧延仕上げ温度840〜870℃にて硬さ37〜40HRCの線材を得た。
【0017】
次にリン酸亜鉛カルシウム皮膜処理を施しφ8.0mmに渦流軽伸を行い、続いて加熱温度800℃で加熱時間13.5時間の球状化焼きなましを行う。この球状化焼きなましにより線材硬さは89〜91HRBとなった。この線材にリン酸亜鉛カルシウム皮膜処理を行うことによって、線材圧延後の全長疵保証された軸受鋼製品線材を得た。
【0018】
表3に実施例の製造工程ならびに各工程の条件および線材の硬さを示し、図1に表1の製造方法▲1▼・▲2▼・▲3▼との硬さ水準との比較を示す。この図からわかるとおり、本発明によるものは全長疵保証されながら、硬さも89〜91HRBでヘッダー加工性ないしは冷間鍛造性を良好とするものである。
【0019】
表3に示すリン酸亜鉛カルシウム皮膜の全酸度とは薬液中の水素イオン量を示す評価尺度を表すものである。
【0020】
本発明の実施例では、線材圧延から線材製品に至るまで支障無しに渦流軽伸でき、折損、断線などの不適合は全く認められなかった。
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】
【発明の効果】
以上に説明したとおり、本発明は、制御圧延を行うことなく、通常の線材圧延した後、リン酸亜鉛カルシウム皮膜を施して渦流軽伸を行うことで圧延線材全長の疵保証を行い、さらに渦流軽伸により加工歪を増して球状化焼きなましを施すことにより、加工歪が増加による炭化物の固溶度の増大により球状化率の向上が図られて線材を軟化でき、この線材の軟化によりその後のヘッダー加工および冷間鍛造性が向上をもたらすことができ、本発明は従来にない画期的な製造方法であり軸受鋼線材分野において新たな革新をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法と従来方法による製品の硬さレベルを示すグラフである。
Claims (1)
- 高炭素クロム軸受鋼であるSUJ2からなる鋼の通常の線材圧延を行い、圧延線材に被膜処理した状態で圧延線材径に対して0.5mm以内の範囲で小さい径であるダイスで引き代0.5mm以下の渦流軽伸にて全長疵保証とし、その後球状化焼なましを施し、さらに被膜処理を施すことを特徴とする軸受鋼全長疵保証線材の製造方法。
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