JP3909988B2 - 回転斜板式ピストンポンプ - Google Patents

回転斜板式ピストンポンプ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転斜板式ピストンポンプの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の回転斜板式ピストンポンプは、シリンダブロックにその回転軸と平行に配設した複数のシリンダと、各シリンダにそれぞれの容積室を画成する複数のピストンとを備える。ピストンの一端はシリンダから突出され、斜板に接触するシューを介して支持される。シリンダブロックが回転すると、各ピストンは斜板との間で往復動し、シリンダの容積室を拡縮させるようになっている。
【0003】
シリンダの吐出と吸い込みを制御するバルブプレートが設けられ、シリンダブロックの回転軸を中心とする円周上に吸込ポートと吐出ポートが開口される。各シリンダにはバルブプレートに向けてシリンダポートが形成され、シリンダの容積室をそれぞれシリンダブロックの回転角度に応じてバルブプレートの吸込ポートと吐出ポートに選択的に連通させる。
【0004】
シリンダブロックの1回転につき、各ピストンはシリンダを1往復動する。シリンダの容積室が拡張する行程では、バルブプレートの吸込ポートからシリンダポートを通して容積室に流体を吸い込み、シリンダの容積室が収縮する行程では、容積室からシリンダポートを通してバルブプレートの吸込ポートへと流体を吐出する。
【0005】
バルブプレートは鉄系金属からなる母材に、銅合金からなる表面層を形成し、シリンダブロックに摺接する表面硬度を低くしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の回転斜板式ピストンポンプにあっては、バルブプレート上にシリンダブロックの回転に伴ってシリンダポートが吸込ポートから吐出ポートへと向かう昇圧遷移領域があり、この昇圧遷移領域において容積室の圧力が下降から上昇に反転する。容積室の圧力がポンプ吐出圧力まで上昇する前にシリンダポートが吐出ポートに連通すると、容積室の圧力は図4に示すように上昇し、図4の斜線を入れた領域で吐出ポートからシリンダポートへと流体が逆流し、噴流がバルブプレートの昇圧遷移領域に衝突する。このため、バルブプレートの表面硬度を表面層を設けることによって低くすると、昇圧遷移領域にエロージョンが発生する心配がある。
【0007】
この対策として、図5に示すように、シリンダポートが吐出ポートに連通する前に容積室の圧力をポンプ吐出圧より高める設定にすると、エロージョンの発生を防止できる反面、ポンプの騒音が増大する。
【0008】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、回転斜板式ピストンポンプにおいて、バルブプレートのエロージョンを防止することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、シリンダブロックにその回転軸と平行に配設した複数のシリンダと、各シリンダにそれぞれの容積室を画成する複数のピストンと、シリンダブロックの回転に伴って各シリンダの容積室を拡縮するようにピストンを往復動させる斜板と、シリンダブロックの回転軸を中心とする円周上に吸込ポートと吐出ポートを形成したバルブプレートと、各シリンダの容積室をそれぞれシリンダブロックの回転角度に応じてバルブプレートの吸込ポートと吐出ポートに選択的に連通させる複数のシリンダポートとを備え、バルブプレートにシリンダブロックと摺接する表面層を母材より硬度の低い材質により形成する回転斜板式ピストンポンプに適用する。
【0010】
そして、シリンダブロックの回転に伴って吸込ポートから吐出ポートに向かうシリンダポートが対峙するバルブプレートの昇圧遷移領域に表面層を部分的に除く表面層除去部を形成し、シリンダブロックの回転に伴ってシリンダポートが吐出ポートに連通し始めるとき表面層除去部の吸込ポート側の端部とシリンダポートの端部が略同位置にあるものとした。
【0012】
の発明は表面層除去部とシリンダポートを回転軸を中心とする略同一円周上に形成し、回転軸の径方向について表面層除去部の開口幅がシリンダポートの開口幅と略等しいか小さいものとした。
【0013】
の発明はバルブプレートに外側吐出ポートと内側吐出ポートを回転軸を中心とする略同心上に開口させ、外側吐出ポートに連通するシリンダポートと内側吐出ポートに連通するシリンダポートを備え、表面層除去部を外側吐出ポートに連通するシリンダポートに対峙する昇圧遷移領域に限定して形成するものとした。
【0014】
の発明は表面層除去部としてバルブプレートの表面層を削除して母材を露出させるポケットを形成するものとした。
【0015】
の発明はポケットをバルブプレートの表面層を貫通するとともに母材を凹状に削除して形成するものとした。
【0016】
の発明は表面層除去部としてバルブプレートの表面層および母材を貫通する貫通穴を形成するものとした。
【0017】
の発明はバルブプレートに吐出ポートから昇圧遷移領域に延びるノッチを形成し、表面層除去部とノッチとの間を隔てるシールランドを形成するものとした。
【0018】
の発明は表面層除去部としてバルブプレートの表面層に対して開口する凹部を形成し、バルブプレートの母材に凹部を埋める凸部を一体形成するものとした。
【0019】
の発明は表面層除去部としてバルブプレートの表面層に対して開口する凹部を形成し、バルブプレートの凹部を埋める別部材を備えるものとした。
【0020】
【発明の作用および効果】
第1の発明において、シリンダブロックの回転に伴ってシリンダポートがバルブプレートの昇圧遷移領域を通過する過程で容積室の圧力が下降から上昇に反転する。容積室の圧力がポンプ吐出圧力まで上昇する前にシリンダが吐出ポートに連通すると、吐出ポートから容積室に逆流する作動流体の噴流が昇圧遷移領域に衝突する。このため、昇圧遷移領域にエロージョンが発生する可能性がある。
【0021】
これに対処して本発明は、バルブプレートの表面層を昇圧遷移領域にて部分的に除く表面層除去部を設けることにより、硬度の低い表面層にエロージョンが発生することを防止する。この結果、ポンプの耐久性を高められるとともに、エロージョンによる壊食粉が作動流体中に混入することなく、ポンプに接続される機器の二次故障を防げる。
【0022】
また、エロージョンを防止するために、シリンダポートが吐出ポートに連通する前に容積室の圧力をポンプ吐出圧より高める必要がなく、ポンプの騒音を増大させないで済む。
【0023】
さらに、表面層除去部は吐出ポートからシリンダポートへと逆流する作動流体の噴流が当たる部位に形成され、エロージョンを有効に防止できる。
【0024】
の発明において、表面層除去部をエロージョンが発生する可能性があるシリンダポートに対峙する領域に限定し、表面層を除く面積を最小限に抑えられる。
【0025】
の発明において、表面層除去部をエロージョンが発生しやすい外側吐出ポートと吸込ポートの間に限定して形成することにより、表面層を除く面積を最小限に抑えられる。
【0026】
の発明において、ポケットはバルブプレートの表面層を削除して母材を露出させることにより、エロージョンを防止できる。
【0027】
の発明において、ポケットはバルブプレートの表面層を貫通するとともに母材を凹状に削除して形成されることにより、昇圧遷移領域に開口する空間の容積を確保し、シリンダポートが昇圧遷移領域を通過するときに生じる容積室7の圧力勾配を緩やかにし、エロージョンを防止するとともに、ポンプから発生する騒音の低減がはかれる。
【0028】
の発明において、貫通穴はバルブプレートの表面層および母材を貫通して形成されることにより、シリンダポートが昇圧遷移領域を通過するときに生じる容積室7の圧力勾配を緩やかにし、エロージョンを防止するとともに、ポンプから発生する騒音の低減がはかれる。
【0029】
の発明において、吸込ポートがシリンダポートと表面層除去部(ポケットまたは貫通穴)およびノッチを介して吐出ポートと連通することが避けられ、吐出ポートの圧力が保たれ、ポンプ効率を維持できる。
【0030】
の発明において、昇圧遷移領域が表面層より硬度の高い母材によって段差無く形成されることにより、エロージョンを防止するとともに、バルブプレートに対するシリンダブロックの摺動抵抗を低減できる。
【0031】
の発明において、昇圧遷移領域が表面層より硬度の高い別部材によって段差無く形成されることにより、エロージョンを防止するとともに、バルブプレートに対するシリンダブロックの摺動抵抗を低減できる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0033】
図1に示すように、ケーシング1とポートブロック2とにより形成される内部空間にシリンダブロック3および斜板4が収装される。5はシリンダブロック3の中心部を貫通する回転軸(シャフト)であり、その一端がポートブロック2にベアリング12を介して支持され、その途中がケーシング1にベアリング11を介して支持される。回転軸5はケーシング1から外部へ突出されるその一端に図示しない動力源から回転が伝達される。
【0034】
シリンダブロック3には回転軸5と平行に複数のシリンダ6が回転軸5を中心とする略同一円周上に並んで配置され、各シリンダ6にはそれぞれ容積室7を画成するピストン8が挿入される。
【0035】
各ピストン8の一端側はシリンダブロック3から突出され、斜板4に接するシュー9を介して支持される。シリンダブロック3が回転すると、各ピストン8は斜板4との間で往復動し、シリンダ6の容積室7を拡縮させる。
【0036】
斜板4はケーシング1に図示しない支持軸を介して傾転可能に取り付けられる。斜板4の傾転角度を変えることにより、各ピストン8のストロークが変化して回転軸5の1回転当たりの押しのけ容積が変化する。
【0037】
斜板4とケーシング1の間にはスプリング15が介装され、斜板4はスプリング15によってその傾転角度を最大とする方向に付勢される。
【0038】
斜板4とケーシング1の間にはスプリング15に抗して斜板4を動かす油圧シリンダ16が介装される。油圧シリンダ16はケーシング1に形成されたシリンダ17と、シリンダ17に摺動可能に挿入されるピストン18とを備え、両者の間に画成される油室19にはポートブロック2に形成される図示しない油通路を介して作動油圧が導かれる。油圧シリンダ16は作動油圧が上昇するのにしたがってピストン18がシリンダ17から突出して斜板4の傾転角度を減少させ、回転軸5の1回転当たりのポンプ押しのけ容積が減少するようになっている。
【0039】
シリンダブロック3とポートブロック2の間にはバルブプレート20が介装され、バルブプレート20によって各容積室7に吐出と吸込が制御される。
【0040】
図2に示すように、バルブプレート20には回転軸5を中心とする同一円周上に吸込ポート21と吐出ポート27が開口する。ポートブロック2には、吸込ポート21に作動油を導く図示しない入口通路と、吐出ポート27から吐出する作動油を導く外側出口通路とが設けられる。
【0041】
各シリンダ6にはバルブプレート20に向けて開口するシリンダポート13が形成され、シリンダブロック3の回転角度に応じて各容積室7をバルブプレート20の吸込ポート21と吐出ポート27とに選択的に連通する。シリンダポート13は円弧状に湾曲した長円形の開口断面を有する。
【0042】
バルブプレート20はシリンダブロック3の回転に伴ってシリンダポート13が吐出ポート27から吸込ポート21に向かう降圧遷移領域25を有する。吸込ポート21はその一端に吐出ポート27と略同一円周上で降圧遷移領域25に延びるノッチ21aが形成され、このノッチ21aによって容積室7の圧力勾配を滑らかにする。
【0043】
バルブプレート20はシリンダブロック3の回転に伴ってシリンダポート13が吸込ポート21から吐出ポート27に向かう昇圧遷移領域24を有する。吐出ポート27の一端には昇圧遷移領域24に延びるノッチ27aがそれぞれ形成され、このノッチ27aによって容積室7の圧力勾配を滑らかにする。
【0044】
図3に示すように、バルブプレート20の断面は鉄系金属からなる母材31と、銅合金からなるシリンダブロック3に対する表面層32とを有し、シリンダブロック3に摺接する表面硬度を低くしている。表面層32は母材31に溶着あるいは焼結等によって形成される。
【0045】
しかしながら、バルブプレート20の表面硬度を表面層32を設けることによって低くすると、昇圧遷移領域24にエロージョンが発生する心配がある。この対策として容積室7の圧力を昇圧遷移領域24にて高める設定にするとポンプの騒音が増大するという問題点があった。
【0046】
これに対処して本発明は、バルブプレート20の表面層32を昇圧遷移領域24において部分的に除く表面層除去部を設けて、表面層32のエロージョンを防止するものとした。
【0047】
本実施の形態では、表面層除去部にバルブプレート20の表面層32および母材31に座ぐり加工を施し、その奥部が母材31によって画成されるポケット33を形成する。ポケット33は表面層32を貫通し、母材31を凹状に削除して形成される。
【0048】
ポケット33はシリンダポート13と同じく円弧状に湾曲した長円形の開口断面を有し、シリンダポート13および吐出ポート27と略同一円周上に配置される。ポケット33とシリンダポート13は回転軸5の径方向の開口幅が略等しく形成される。
【0049】
図2においてポケット33の左端33lと吐出ポート27のノッチ27aとの間には両者を隔てるシールランド36が形成され、ポケット33とノッチ27aが連通しないようにする。
【0050】
図2においてポケット33の右端33rは、シリンダポート13の左端が吐出ポート27のノッチ27aを含まない端部27bに連通し始めるとき、シリンダポート13の右端と略同位置にあるように形成される。
【0051】
以上のように構成されて、次に作用について説明する。
【0052】
シリンダブロック3の1回転につき、各ピストン8はシリンダ6を1往復動する。シリンダ6の容積室7が拡張する行程では、バルブプレート20の吸込ポート21からシリンダポート13を通して容積室7に作動油を吸い込み、シリンダ6の容積室7が収縮する行程では、容積室7からシリンダポート13を通してバルブプレート20の吐出ポート27へと作動油を吐出する。
【0053】
シリンダブロック3の回転に伴ってシリンダポート13がバルブプレート20の昇圧遷移領域24を通過する過程で容積室7の圧力が下降から上昇に反転する。容積室7の圧力がポンプ吐出圧力まで上昇する前にシリンダ6が吐出ポート27に連通すると、容積室7の圧力は図4に示すように上昇し、図4の斜線を入れた領域で吐出ポート27からシリンダポート13へと作動油が逆流し、作動油の噴流がバルブプレート20の昇圧遷移領域24に衝突する。このため、昇圧遷移領域24にエロージョンを発生し、バルブプレート20の表面の腐食、ピッチング(孔食)を起こす可能性がある。
【0054】
これに対処して本発明は、バルブプレート20の表面層32を昇圧遷移領域24にて部分的に除く表面層除去部を設けることにより、硬度の低い銅合金製表面層32にエロージョンが発生することを防止する。
【0055】
表面層除去部としてバルブプレート20の表面層32に座ぐり加工を施したポケット33を形成することにより、昇圧遷移領域24に母材31が露出する。母材31は鉄系金属により形成され、その硬度が表面層32より高いため、エロージョンを防止できる。
【0056】
表面層除去部としてバルブプレート20の表面層32および母材31に座ぐり加工をしたポケット33を形成することにより、ポケット33の容積を確保し、シリンダポート13が昇圧遷移領域24を通過するときに容積室7に生じる圧力勾配を緩やかにし、エロージョンを防止するとともに、ポンプから発生する騒音の低減がはかれる。
【0057】
ポケット33はシリンダポート13と同じく円弧状に湾曲した長円形の開口断面を有し、回転軸5の径方向についてその開口幅がシリンダポート13と略等しく形成されることにより、シリンダポート13に対峙する領域に限定して形成され、表面層32の削除面積を最小限に抑えられる。なお、回転軸5の径方向についてポケット33の開口幅をシリンダポート13より小さく形成してもよい。
【0058】
図2においてポケット33の左端が、吐出ポート27のノッチ27aとの間にシールランド34を持ち、ノッチ27aに連通しないことにより、吸込ポート21がシリンダポート13とポケット33およびノッチ27aを介して吐出ポート27と連通することが避けられ、吐出ポート27の圧力が保たれ、ポンプ効率を維持できる。
【0059】
図2においてポケット33の右端33rは、シリンダポート13の左端が吐出ポート27のノッチ27aを含まない端部27bに連通する状態でシリンダポート13の右端と略同位置に形成されることにより、ポケット33は吐出ポート27からシリンダポート13へと逆流する作動油の噴流が当たる部位に開口し、エロージョンを有効に防止できる。
【0060】
こうして、昇圧遷移領域24にエロージョンが発生することを防止し、ポンプの耐久性を高められるとともに、エロージョンによる壊食粉が作動油中に混入することなく、ポンプに接続される油圧機器の二次故障を防げる。
【0061】
また、図5に示すように、シリンダポート13が吐出ポート27に連通する前に容積室7の圧力を昇圧遷移領域24にて高める設定にすると、エロージョンの発生を防止できる反面、ポンプの騒音が増大する。本発明は、昇圧遷移領域24にポケット33を形成して、エロージョンを防止することにより、図5に示すような圧力設定にする必要がなく、ポンプの騒音を増大させないで済む。
【0062】
次に図6に示す他の実施の形態は、表面層除去部にバルブプレート20の表面層32および母材31に座ぐり加工を施し、バルブプレート20を貫通する貫通穴35を形成する。貫通穴35は表面層32と母材31をそれぞれ貫通して形成される。
【0063】
この場合、表面層除去部としてバルブプレート20を貫通する貫通穴35を形成することにより、昇圧遷移領域24にポートブロック2が露出する。ポートブロック2は例えば鉄系金属により形成され、その硬度が表面層32より高いため、エロージョンを防止できる。
【0064】
表面層除去部としてバルブプレート20を貫通する貫通穴35を形成することにより、昇圧遷移領域24に開口する空間(貫通穴35)の容積を確保し、シリンダポート13が昇圧遷移領域24を通過するときに容積室7に生じる圧力勾配を緩やかにし、エロージョンを防止するとともに、ポンプから発生する騒音の低減がはかれる。
【0065】
次に図7に示す他の実施の形態は、表面層除去部としてバルブプレート20の表面層32に対して開口する凹部37を形成し、母材31に凹部37を埋める凸部38を一体形成する。凸部38と表面層32は互いに連続する平面状に形成される。
【0066】
この場合、昇圧遷移領域24が表面層32より硬度の高い母材31によって平面状に形成されることにより、エロージョンを防止するとともに、バルブプレート20に対するシリンダブロック3の摺動抵抗を低減できる。
【0067】
次に図8に示す他の実施の形態は、表面層除去部としてバルブプレート20の表面層32および母材31に対して開口する凹部39を形成し、凹部39を埋める別の部材40を結合する。部材40と表面層32は互いに連続する平面状に形成される。
【0068】
この場合、昇圧遷移領域24が表面層32より硬度の高い部材40によって平面状に形成されることにより、エロージョンを防止するとともに、バルブプレート20に対するシリンダブロック3の摺動抵抗を低減できる。
【0069】
また、バルブプレート20に母材31と別部材40を設けることにより、母材31および部材40の材質に対する自由度が増す。
【0070】
次に図9、図10に示す他の実施の形態を説明する。なお、前記実施の形態と同一構成部には同一符号を付す。
【0071】
バルブプレート20には回転軸5を中心とする円周上に開口する吸込ポート21と外側吐出ポート22および内側吐出ポート23が開口する。外側吐出ポート22は内側吐出ポート23の外周に並び、内側吐出ポート23と回転軸5を中心とする略同心上に形成される。
【0072】
シリンダポート13は、外側吐出ポート22と略同一円周上に形成されるものと、内側吸込ポート23と略同一円周上に形成されるものがある。
【0073】
ポートブロック2には、吸込ポート21に作動油を導く図示しない入口通路と、外側吐出ポート22から吐出する作動油を導く外側出口通路と、内側吐出ポート23から吐出する作動油を導く内側出口通路が設けられ、2系統の油圧回路に加圧作動油を供給するようになっている。
【0074】
バルブプレート20はシリンダブロック3の回転に伴ってシリンダポート13が外側吐出ポート22または内側吐出ポート23から吸込ポート21に向かう降圧遷移領域25を有する。吸込ポート21はその一端に外側吐出ポート22または内側吐出ポート23と略同一円周上で降圧遷移領域25に延びるノッチ21a,21bが形成され、容積室7の圧力勾配を滑らかにする。
【0075】
バルブプレート20はシリンダブロック3の回転に伴ってシリンダポート13が吸込ポート21から外側吐出ポート22または内側吐出ポート23に向かう昇圧遷移領域24を有する。外側吐出ポート22および内側吐出ポート23の一端には昇圧遷移領域24に延びるノッチ22a,23aがそれぞれ形成される。吸込ポート21の一端には外側吐出ポート22と略同一円周上で昇圧遷移領域24に延びるノッチ21cが形成される。これらのノッチ22a,23a,21cによって容積室7の圧力勾配を滑らかにする。
【0076】
前記実施の形態と同様に、図3に示すように、表面層除去部にバルブプレート20の表面層32および母材31に座ぐり加工を施し、その奥部が母材31によって画成されるポケット33を形成する。
【0077】
ポケット33はシリンダポート13と同じく円弧状に湾曲した長円形の開口断面を有し、シリンダポート13および外側吐出ポート22と略同一円周上に配置される。ポケット33とシリンダポート13は回転軸5の径方向の開口幅が略等しく形成される。こうして、ポケット33は外側吐出ポート22と吸込ポート21の間に限定して形成され、内側吐出ポート23と吸込ポート21に間には形成されない。
【0078】
図10においてポケット33の左端と外側吐出ポート22のノッチ22aとの間には両者を隔てるシールランド34が形成され、ポケット33とノッチ22aが連通しないようにする。
【0079】
図10においてポケット33の右端33rは、シリンダポート13の左端が外側吐出ポート22のノッチ22aを含まない端部22bに連通し始めるとき、シリンダポート13の右端と略同位置にあるように形成される。
【0080】
この場合、昇圧遷移領域24において、吸込ポート21から外側吐出ポート22に向かうシリンダポート13が面する領域は、吸込ポート21から内側吐出ポート23へ向かうシリンダポート13が面する領域に比べて、圧力遷移区間が長いため、エロージョンが発生しやすい。これに対処して、ポケット33は外側吐出ポート22と吸込ポート21の間に限定して形成されることにより、表面層32の削除面積を最小限に抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す回転斜板式ピストンポンプの断面図。
【図2】同じくバルブプレートの正面図。
【図3】同じく図2のA−A線に沿う断面図。
【図4】容積室の圧力とポンプ回転角の関係を示す線図。
【図5】容積室の圧力とポンプ回転角の関係を示す線図。
【図6】他の実施の形態を示すバルブプレートの断面図。
【図7】他の実施の形態を示すバルブプレートの断面図。
【図8】他の実施の形態を示すバルブプレートの断面図。
【図9】他の実施の形態を示す回転斜板式ピストンポンプの断面図。
【図10】同じくバルブプレートの正面図。
【符号の説明】
1 ケーシング
2 ポートブロック
3 シリンダブロック
4 斜板
5 回転軸
6 シリンダ
7 容積室
8 ピストン
13 シリンダポート
20 バルブプレート
21 吸込ポート
22 外側吐出ポート
23 内側吐出ポート
24 昇圧遷移領域
27 吐出ポート
31 母材
32 表面層
33 ポケット
37 凹部
38 凸部
39 凹部
40 別部材

Claims (9)

  1. シリンダブロックにその回転軸と平行に配設した複数のシリンダと、
    前記各シリンダにそれぞれの容積室を画成する複数のピストンと、
    前記シリンダブロックの回転に伴って前記各シリンダの容積室を拡縮するように前記ピストンを往復動させる斜板と、
    前記シリンダブロックの回転軸を中心とする円周上に吸込ポートと吐出ポートを形成したバルブプレートと、
    前記各シリンダの容積室をそれぞれ前記シリンダブロックの回転角度に応じて前記吸込ポートと前記吐出ポートに選択的に連通させる複数のシリンダポートとを備え、
    前記バルブプレートに前記シリンダブロックと摺接する表面層を母材より硬度の低い材質により形成する回転斜板式ピストンポンプにおいて、
    前記シリンダブロックの回転に伴って前記吸込ポートから前記吐出ポートに向かう前記シリンダポートが対峙する前記バルブプレートの昇圧遷移領域に前記表面層を部分的に除く表面層除去部を形成し
    前記シリンダブロックの回転に伴って前記シリンダポートが前記吐出ポートに連通し始めるとき前記表面層除去部の前記吸込ポート側の端部と前記シリンダポートの端部が略同位置にあるように形成したことを特徴とする回転斜板式ピストンポンプ。
  2. 前記表面層除去部と前記シリンダポートを前記回転軸を中心とする略同一円周上に形成し、前記回転軸の径方向について前記表面層除去部の開口幅が前記シリンダポートの開口幅と略等しいか小さいことを特徴とする請求項1に記載の回転斜板式ピストンポンプ。
  3. 前記バルブプレートに前記外側吐出ポートと前記内側吐出ポートを前記回転軸を中心とする略同心上に開口させ、前記外側吐出ポートに連通する前記シリンダポートと前記内側吐出ポートに連通するシリンダポートを備え、前記表面層除去部を前記外側吐出ポートに連通する前記シリンダポートに対峙する昇圧遷移領域に限定して形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の回転斜板式ピストンポンプ。
  4. 前記表面層除去部として前記バルブプレートの前記表面層を削除して前記母材を露出させるポケットを形成したことを特徴とする請求項1からのいずれか一つに記載の回転斜板式ピストンポンプ。
  5. 前記ポケットを前記バルブプレートの前記表面層を貫通するとともに前記母材を凹状に削除して形成したことを特徴とする請求項に記載の回転斜板式ピストンポンプ。
  6. 前記表面層除去部として前記バルブプレートの前記表面層および前記母材を貫通する貫通穴を形成したことを特徴とする請求項1からのいずれか一つに記載の回転斜板式ピストンポンプ。
  7. 前記バルブプレートに前記吐出ポートから前記昇圧遷移領域に延びるノッチを形成し、前記表面層除去部と前記ノッチとの間を隔てるシールランドを形成したことを特徴とする請求項4から6のいずれか一つに記載の回転斜板式ピストンポンプ。
  8. 前記表面層除去部として前記バルブプレートの前記表面層に対して開口する凹部を形成し、前記バルブプレートの前記母材に凹部を埋める凸部を一体形成したことを特徴とする請求項1からのいずれか一つに記載の回転斜板式ピストンポンプ。
  9. 前記表面層除去部として前記バルブプレートの前記表面層に対して開口する凹部を形成し、前記バルブプレートの前記凹部を埋める別部材を備えたことを特徴とする請求項1からのいずれか一つに記載の回転斜板式ピストンポンプ。
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