JP3909742B2 - マスタシリンダのストローク調整装置 - Google Patents

マスタシリンダのストローク調整装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスタシリンダ圧が発生したとき、ポンプによってマスタシリンダからブレーキ液を吸い込んでホイールシリンダ側に吐出することでホイールシリンダ圧を制御するようになっているブレーキシステムに用いられるマスタシリンダの技術分野に属し、特に、通常ブレーキ作動以外の回生協調ブレーキ作動やブレーキアシスト作動等の他のブレーキ作動時にストロークが変化するのを防止するようにしたマスタシリンダのストローク調整装置の技術分野に属する。なお、以下の説明においてはマスタシリンダをMCYと、またホイールシリンダをWCYともそれぞれ表記する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車のブレーキシステムにおいては、従来、液圧によりブレーキペダルのペダル踏力を所定の大きさに倍力させて大きなブレーキ液圧を発生させるブレーキ液圧倍力装置が採用されている。このブレーキ液圧倍力装置は、小さなブレーキペダル踏力で大きなブレーキ力を得ることができ、これにより、制動を確実にしかつ運転者の労力を軽減することができるものである。
【0003】
このような従来のブレーキ液圧倍力装置は、ブレーキペダルのペダル踏力に基づく入力で制御弁が作動して入力に応じた作動液圧を発生させ、この作動液圧を動力室に導入することで、入力を所定の倍力比で倍力して出力するようになっている。そして、このブレーキ液圧倍力装置の出力でブレーキマスタシリンダのピストンを作動させて、このMCYがMCY圧を発生し、このMCY圧がホイールシリンダにブレーキ液圧として導入されることにより、ブレーキが作動するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のブレーキシステムにおいては、例えば回生協調ブレーキシステムやブレーキアシストシステム等の他のブレーキシステムと併用されているMCY圧による通常のブレーキシステムが種々提案されている。
このようなブレーキシステムとして、MCY圧が発生したとき、ポンプによってMCYからブレーキ液を吸い込んでホイールシリンダ側に吐出することでホイールシリンダ圧を制御するブレーキシステムが考えられている。このブレーキシステムにおいては、例えば回生協調ブレーキ作動時にこの回生ブレーキ力の分だけホイールシリンダによるブレーキ力を小さくする必要があるため、ホイールシリンダ圧が通常ブレーキ作動時より低く制御されるようになる。また、ブレーキアシスト作動時には通常ブレーキ作動時より大きなブレーキ力を発生させる必要があるため、ホイールシリンダ圧が通常ブレーキ作動時より高く制御されるようになる。
【0005】
しかしながら、ホイールシリンダ圧が同じ入力に対して通常ブレーキ作動時より低く制御されると、ポンプでMCYから吸い込むブレーキの量が少なくなり、その分マスタシリンダピストンのストローク、すなわちブレーキペダルのペダルストローク等の入力側のストロークが小さくなってしまう。また、ホイールシリンダ圧が同じ入力に対して通常ブレーキ作動時より高く制御されると、ポンプでMCYから吸い込むブレーキの量が多くなり、その分入力側のストロークが大きくなってしまう。このように種々のブレーキ作動時に入力側のストロークが変化してしまうと、ブレーキ操作フィーリングが悪くなるという問題がある。しかも、種々のブレーキ作動時にホイールシリンダ圧が変化してしまうと、マスタシリンダの入力も変化してしまい、更にブレーキフィーリングが悪くなってしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ホイールシリンダ圧が変化しても、入力側のストロークを、例えば通常ブレーキ作動時のストロークと同じになるように種々調整することのできるマスタシリンダのストローク調整装置を提供することである。
本発明の他の目的は、ホイールシリンダ圧が変化しても、入力が変化しないようにすることのできるマスタシリンダのストローク調整装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明は、入力が加えられてマスタシリンダ液圧室にマスタシリンダ圧を発生する第1ピストンを有し、前記マスタシリンダ圧をホイールシリンダに供給可能となっているマスタシリンダと、前記マスタシリンダ液圧室のブレーキ液を前記ホイールシリンダに吐出してホイールシリンダ圧を発生するポンプと、前記マスタシリンダ液圧室のマスタシリンダ圧が作用する受圧面と、前記ホイールシリンダのホイールシリン圧が前記マスタシリンダ圧が作用する向きと逆向きに作用する受圧面とを有する第2ピストンと、前記第2ピストンを前記マスタシリンダ圧が作用する方向と対向する方向に付勢して前記第2ピストンの移動を制御することで前記第1ピストンのストロークを制御する付勢手段とを備え、前記第2ピストンの移動により前記マスタシリンダのブレーキ液の消費量を制御することで前記第1ピストンのストロークを制御することを特徴としている。
【0008】
また、請求項2の発明は、前記第2ピストンが前記マスタシリンダ内で前記第1ピストンと同軸に設けられていることを特徴としている。
更に、請求項3の発明は、前記第2ピストンが、前記第1ピストンに液密にかつ相対摺動可能に設けられており、前記第2ピストンに前記ホイールシリンダ圧を作用させてこの第2ピストンを前記第1ピストンに対して相対摺動させて前記マスタシリンダのブレーキ液の消費量を制御することで前記第1ピストンのストロークを調整することを特徴としている。
【0009】
更に、請求項4の発明は、前記第2ピストンが外周段部を有して筒状に形成されているとともに前記ハウジングの軸方向孔またはこのハウジングに固定される筒状部材の内孔に液密にかつ摺動可能に嵌合され、前記第1ピストンは前記第2ピストン内に液密にかつ相対摺動可能に嵌合されており、前記第2ピストンの外周段部によって前記第2ピストンの外周と前記ハウジングの軸方向孔の内周または前記筒状部材の内孔の内周との間に形成され、前記ホイールシリンダ圧が導入されるブレーキ力制御圧室を備えているとともに、このブレーキ力制御圧室に導入された前記ホイールシリンダ圧が前記第2ピストンの外周段部に作用させて前記マスタシリンダのブレーキ液の消費量を制御することで前記第1ピストンのストロークを調整することを特徴としている。
【0010】
更に、請求項5の発明は、前記第2ピストンが内周段部を有する筒状に形成されているとともに、前記第1ピストンは前記第2ピストン内に液密にかつ相対摺動可能に嵌合されており、前記第2ピストンの内周段部によって前記第2ピストンの内周と前記第1ピストンの外周との間に形成され、前記ホイールシリンダ圧が導入されるブレーキ力制御圧室を備えているとともに、このブレーキ力制御圧室に導入された前記ホイールシリンダ圧が前記第2ピストンの内周段部に作用させて前記マスタシリンダのブレーキ液の消費量を制御することで前記第1ピストンのストロークを調整することを特徴としている。
【0011】
更に、請求項6の発明は、ブレーキ操作力による入力でストロークする入力軸が前記第1ピストンに対して相対移動可能に設けられているとともに、前記付勢手段は、前記入力軸と前記第1ピストンとの間に縮設された、前記入力軸のストロークを制御する制御スプリングであり、前記入力軸に前記入力と前記制御スプリングのばね力とが同方向に作用するとともに、前記ホイールシリンダ圧が前記入力軸に前記入力および前記制御スプリングのばね力に対向するように作用するようになっており、前記ホイールシリンダ圧による力と前記入力および前記制御スプリングのばね力とがバランスするように前記ホイールシリンダ圧が制御されることを特徴としている。
【0012】
更に、請求項7の発明は、前記第2ピストンが、前記第1ピストンの中心軸から外れた位置に設けられていることを特徴としている。
【0013】
更に、請求項の発明は、前記第2ピストンが、その一側が大径ピストン部に形成されているとともにその他側が小径ピストン部に形成されており、前記大径ピストン部に前記マスタシリンダ圧が作用されるとともに、前記小径ピストン部に前記ホイールシリンダ圧が作用するようになっていることを特徴としている。
【0014】
更に、請求項の発明は、前記第2ピストンが、その一側が大径ピストン部に形成されているとともにその他側が小径ピストン部に形成されており、前記大径ピストン部に前記マスタシリンダ圧が作用されるとともに、前記大径ピストン部と前記小径ピストン部との段部に前記ホイールシリンダ圧が作用するようになっていることを特徴としている。
【0015】
更に、請求項10の発明は、前記第2ピストンを前記マスタシリンダ圧の作用方向と対向する方向に付勢する前記付勢手段が設けられており、前記マスタシリンダ圧による力が前記ホイールシリンダ圧による力および前記付勢手段の付勢力にバランスするように、前記ホイールシリンダ圧が制御されることを特徴としている。
【0016】
更に、請求項11の発明は、前記大径ピストン部はメタルシールでシールされているとともに、前記小径ピストン部はメタルシールおよび弾性シールの少なくとも1つでシールされていることを特徴としている。
更に、請求項12の発明は、前記ポンプの失陥時には、前記マスタシリンダ圧が前記ホイールシリンダに供給されるようになっていることを特徴としている。
【0017】
更に、請求項13の発明は、前記入力が、圧力源の圧力で前記ブレーキ操作の操作力を所定のサーボ比で倍力して出力するブレーキ倍力装置の出力により前記第1ピストンに加えられるようになっているとともに、前記サーボ比が通常ブレーキ作動のためのサーボ比より小さく設定されていることを特徴としている。
更に、請求項14の発明は、前記ブレーキ倍力装置が前記圧力源の失陥時に前記ブレーキ操作の操作力を倍力することなく出力することを特徴としている、
【0018】
【作用】
このような構成をした本発明のマスタシリンダのストローク調整装置においては、このストローク調整装置の第2ピストンがホイールシリンダ圧によって作動制御されることにより、第1ピストンのストロークが調整されるようになる。したがって、本発明のマスタシリンダのストローク調整装置は、例えば通常ブレーキ作動、回生協調ブレーキ作動、あるいはブレーキアシスト作動等の他の種々のブレーキ作動によってホイールシリンダ圧が同じ入力に対して種々変化しても、第1ピストンのストローク、つまりマスタシリンダピストンのストロークが通常ブレーキ作動時のストロークと同じにすることが可能となる。
【0019】
その場合、請求項3の発明では、このように種々のブレーキ作動にかかわらず、第1ピストンのストロークが通常ブレーキ作動時のストロークと同じにすることが可能となるが、第1ピストンに加えられる入力がホイールシリンダ圧の変化に応じて変化するようになる。したがって、請求項3の発明のマスタシリンダのストローク調整装置はこのように入力が変化しても支障がないようなブレーキシステムに適用することが好ましい。
【0020】
また、請求項4ないし11の各発明では、前述のように種々のブレーキ作動にかかわらず、第1ピストンのストロークが通常ブレーキ作動時のストロークと同じにすることが可能となるが、このとき第1ピストンに加えられる入力が、ホイールシリンダ圧が変化しても変化しないようになる。したがって、請求項4ないし11の各発明のマスタシリンダのストローク調整装置は種々のブレーキ作動に好適に採用することが可能となる。
【0021】
更に、請求項7ないし11の各発明では、ストローク調整装置がマスタシリンダの第1ピストンの中心軸から外れた位置に設けられるようになる。したがって、マスタシリンダおよびストローク調整装置の構造が簡単になり、組立性が向上するとともにコストが低減する。しかも、構造が簡単になることにより、ストローク調整装置の摺動抵抗の個所が減少されるようになるので、ストローク調整装置によるストローク制御の精度がより向上する。
【0022】
更に、請求項12の発明では、ポンプの失陥時は、マスタシリンダ圧がホイールシリンダに直接供給されるようになる。したがって、ポンプが失陥しても、マスタシリンダ圧によってブレーキが作動されるようになる。
更に、請求項13の発明では、ブレーキ倍力装置のサーボ比が通常ブレーキ作動のためのサーボ比より小さく設定されるので、より小型のブレーキ倍力装置が採用可能となる。
【0023】
更に、請求項14の発明では、ブレーキ倍力装置が、その圧力源の失陥時にはブレーキ操作の操作力を倍力することなく出力する。したがって、このブレーキ倍力装置の出力により第1ピストン、つまりマスタシリンダピストンが作動されるので、圧力源の失陥時にもマスタシリンダ液圧室にはマスタシリンダ圧が確実に発生されるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係るマスタシリンダの実施の形態の第1例を示す断面図である。なお、以下の説明において、「前」はいずれの図において図の左を指し、「後」は図の右を指す。
【0025】
図1に示すように、この第1例におけるマスタシリンダ1は、マスタシリンダ1はハウジング2を有し、このハウジング2は右端に開口する第1孔3と、この第1孔3の左端に連続して形成され、第1孔3の径より小さい径の第2孔4と、この第2孔4の左端に連続して形成され、第2孔4の径より小さい径の第3孔5とからなる前端が閉塞された段付孔を有している。
【0026】
この段付孔の第2孔4内には、第1円筒状部材6が液密に嵌合されており、この第1円筒状部材6は第1孔3内を貫通してハウジング2の後方に延びている。また、第1孔3内には有底の第2円筒状部材7が液密に嵌合されている。この第2円筒状部材7は、その後端部にハウジング2の雌ねじ部2aに螺合される雄ねじ部7aを有している。そして、この雄ねじ部7aが雌ねじ部2aに螺合されて第2円筒状部材7が軸方向に移動不能に固定されているとともに、第1円筒状部材6が第2孔4と第3孔5との境のハウジング2の段部2bと第2円筒状部材7の後端底部7bとの間に挟圧されて軸方向に移動不能に固定されている。
【0027】
第1円筒状部材6内には筒状のプライマリアウタピストン(本発明の第2ピストンに相当)8が液密にかつ摺動可能に嵌合されているとともに、このプライマリアウタピストン8は第2円筒状部材7を液密にかつ摺動可能に貫通し、この第2円筒状部材7の後方に延出している。プライマリアウタピストン8は、第1円筒状部材6を液密に摺動可能に嵌合する大径部8aと、第2円筒状部材7を液密に摺動可能に貫通しかつ大径部8aより若干小径の小径部8bとから段付ピストンに形成されている。
【0028】
更に、このプライマリアウタピストン8内にはプライマリインナピストン(本発明の第1ピストンに相当)9が液密にかつ摺動可能に嵌合されているとともに、このプライマリインナピストン9はプライマリアウタピストン8を液密に摺動可能に嵌合する大径部9aと、この大径部9aから前方に突出し大径部9aより小径の第1中径部9bと、更にこの第1中径部9bから前方に突出し第1中径部9bより小径の小径部9cと、大径部9aから後方に突出し大径部9aより小径の第2中径部9dとから段付ピストンに形成されている。このプライマリインナピストン9は、従来周知の、例えば負圧倍力装置(この例では不図示)等のブレーキ倍力装置の出力が加えられるようになっているとともに、このブレーキ倍力装置は従来周知のように図示しないブレーキペダルによって作動制御されるようになっている。
【0029】
その場合、この第1例のMCY1とともに用いられるブレーキ倍力装置のサーボ比は、従来周知のブレーキ倍力装置のサーボ比より小さく設定されている。つまり、通常ブレーキ作動時に、この例のMCY1に用いられるブレーキ倍力装置の出力が同じ入力に対して従来周知のブレーキ倍力装置の出力より小さくなるように設定されている。したがって、通常ブレーキ作動時は、MCY1がこのブレーキ倍力装置の出力で作動して発生するMCY圧を後述するようにブレーキ力制御装置で倍力して通常ブレーキ作動に必要なブレーキ力となるようにされている。
【0030】
プライマリインナピストン9の第2中径部9dには第1および第2スプリングリテーナ10,11が嵌合されており、第1スプリングリテーナ10は大径部9aと第2中径部9dとの外周段部9eに当接することで、プライマリインナピストン9に対しそれより前方への移動が規制されているとともに、プライマリアウタピストン8の第1内周段部8cに当接することで、このプライマリアウタピストン8に対しそれより前方への移動が規制されている。また、第2スプリングリテーナ11は第2中径部9dの後端部に組み付けられたストッパリング12に当接することで、プライマリインナピストン9に対しそれより後方への移動が規制されているとともに、プライマリアウタピストン8の第2内周段部8dに当接することで、このプライマリアウタピストン8に対しそれより前方への移動が規制されている。そして、これらの第1および第2スプリングリテーナ10,11の間には、制御スプリング(本発明のストローク制御スプリングに相当)13が縮設されている。
【0031】
プライマリインナピストン9の第1中径部9bの前部は、ハウジング2の第3孔5内に液密にかつ摺動可能に嵌合された第3円筒状部材14の内孔に第1カップシール15により液密にかつ摺動可能に内嵌されている。第3円筒状部材14は、小径部9cの前端部に組み付けられた筒状ストッパ16に当接することで、プライマリインナピストン9に対しそれより前方への移動が規制されている。そして、プライマリインナピストン9と第3円筒状部材14との間には、プライマリリターンスプリング17が縮設されている。その場合、プライマリインナピストン9には、プライマリリターンスプリング17のばね力が第3リテーナ18を介して加えられるようになっている。このプライマリリターンスプリング17のばね力でプライマリインナピストン9が後方にかつ第3円筒状部材14が前方にそれぞれ常時付勢されている。
【0032】
更に、ハウジング2の第3孔5内には第4円筒状部材19が液密に嵌合固定されており、この第4円筒状部材19の内孔および第3孔5内にはセカンダリピストン20が収容されている。このセカンダリピストン20は中央の大径部20aと、この大径部20aより前方に延び大径部20aより小径の小径部20bと、大径部20aより後方に延び大径部20aより小径でかつ小径部20bより大径での中径部20cとから段付ピストンに形成されており、大径部20aは第3孔5の内周に液密にかつ摺動可能に内嵌されているとともに、小径部20bは第4円筒状部材19の内孔に第2カップシール21により液密にかつ摺動可能に内嵌されている。第4円筒状部材19とセカンダリピストン20との間には、セカンダリリターンスプリング22が縮設されており、このセカンダリリターンスプリング22のばね力でセカンダリピストン20が後方に常時付勢されている。また、セカンダリピストン20の中径部20cの後端と第3円筒状部材14の前端とが当接していて、これらのセカンダリピストン20と第3円筒状部材14は一体的に軸方向に移動するようになっている。
セカンダリピストン20は、その大径部20aと中径部20cとの間の段部20dがハウジング2に設けられたストッパ45に当接することで、その後退限が規制されている。
【0033】
セカンダリピストン20の後端部は内孔を有するシリンダ状に形成されており、このセカンダリピストン20の内孔および第3円筒状部材14の内孔内でプライマリインナピストン9の前端とセカンダリピストン20の後端との間には第1大気圧室23が形成されており、この第1大気圧室23は、セカンダリピストン20の中径部20cの径方向孔24、第3円筒状部材14の前端部外周およびセカンダリピストン20の中径部20cの外周とハウジング2の第3孔5の内周との間の環状空間25、ハウジング2の通路孔26および第1リザーバ接続口27を介してブレーキ液を蓄える図示しないリザーバに常時連通している。また、第4円筒状部材19の内孔内でセカンダリピストン20の前端とハウジング2との間には第2大気圧室28が形成されており、この第2大気圧室28は、第4円筒状部材19の前端の径方向溝29、ハウジング2の通路孔30および第2リザーバ接続口31を介してリザーバに常時連通している。
【0034】
また、第1円筒状部材6の内側およびハウジング2の第3孔5内でプライマリアウタピストン8の前端およびプライマリインナピストン9の外周段部9fと第3円筒状部材14の後端との間には第1MCY圧室32が形成されており、この第1MCY圧室32は、第1円筒状部材6の前端部に形成された径方向溝33およびハウジング2に形成された第1出力口34を介して第1ブレーキ系統のWCY(不図示)に常時接続されている。更に、第3円筒状部材14の後端部には第1MCY圧室32に常時連通する径方向孔35が穿設されている。そして、図示のように第1カップシール15のリップ部が径方向孔35より後方に位置しているときは、径方向孔35が第3円筒状部材14の内孔の内周面とプライマリインナピストン9の小径部9cの外周面との間の環状空間36を介して第1大気圧室23と連通するので、第1MCY圧室32は径方向孔35および環状空間36を介して第1大気圧室23つまりリザーバに接続され、また、第1カップシール15のリップ部が径方向孔35より前方に位置すると、径方向孔35が環状空間36および第1大気圧室23から遮断されるので、第1MCY圧室32は第1大気圧室23つまりリザーバから遮断されるようになっている。
【0035】
一方、ハウジング2の第3孔5の内側でセカンダリピストン20と第4円筒状部材19の後端との間には第2MCY圧室37が形成されており、この第2MCY圧室37は、ハウジング2に穿設された第2出力口38を介して第2ブレーキ系統のWCY(不図示)に常時接続されている。更に、第4円筒状部材19の後端部には第2MCY圧室37に常時連通する径方向孔39が穿設されている。そして、図示のように第2カップシール21のリップ部が径方向孔39より後方に位置しているときは、径方向孔39が第2大気圧室28と連通するので、第2MCY圧室37は径方向孔39を介して第2大気圧室28つまりリザーバに接続され、また、第2カップシール21のリップ部が径方向孔39より前方に位置すると、径方向孔39が第2大気圧室28から遮断されるので、第2MCY圧室37は第2大気圧室28つまりリザーバから遮断されるようになっている。
【0036】
第1円筒状部材6の内孔内でプライマリアウタピストン8の外周段部8eと第2円筒状部材7の後端部との間にはブレーキ力制御圧室40がプライマリアウタピストン8およびプライマリインナピストン9と同軸に形成されている。このブレーキ力制御圧室40は、第1円筒状部材6の後端部に形成された径方向溝41、第1円筒状部材6外周面と第2円筒状部材7の内周面との間に形成された環状の通路42、第1孔3と第2孔4との境のハウジング2の段部2cと第2円筒状部材7の前端との間の間隙により構成される環状空間43を介して、ハウジング2に形成されたブレーキ力制御圧導入口44に常時連通している。ブレーキ力制御圧導入口44は図示しないブレーキ力制御装置に接続されている。なお、ブレーキ力制御装置の一例は後述する第4例においてその詳細を説明するので、この第1例ではこのブレーキ力制御装置について簡単に説明する。
【0037】
すなわち、ブレーキ力制御装置は第1および第2MCY圧室32,37にMCY圧が発生すると、これらの第1および第2MCY圧室32,37と各WCYとの間を遮断するとともにブレーキ力制御装置のポンプを作動させる。すると、ポンプは第1および第2MCY圧室32,37のブレーキ液を吸い込んでWCYに吐出して、MCY圧より高い液圧をWCYに供給する。このとき、ブレーキ力制御装置は、通常ブレーキ作動時、回生協調ブレーキ作動時、あるいはブレーキアシスト作動時等のその時のブレーキ作動条件に応じてWCY圧を制御することにより、任意のサーボ比を設定する。すなわち、通常ブレーキ作動時はブレーキペダルのペダル踏力に応じた通常のブレーキ力が得られるようにWCY圧を制御し、例えば回生協調ブレーキ作動時はその回生ブレーキ力の分だけ通常のブレーキ力より小さいブレーキ力が得られるようにWCY圧を制御し、更にブレーキアシスト作動時は通常のブレーキ力より大きいブレーキ力が得られるようにWCY圧を制御するようになってる。
そして、この第1例のMCY1では、このブレーキ力制御装置によって制御されたWCY圧がブレーキ力制御圧導入口44を通してブレーキ力制御圧室40に供給される。
【0038】
ところで、この第1例のMCY1の作動時でのプライマリアウタピストン8およびプライマリインナピストン9のバランス式は次のようになる。いま、
W:プライマリインナピストン9に加えられる入力
m:MCY圧
p:ブレーキ力制御圧室40のブレーキ力制御圧(=WCY圧Pw
of:プライマリアウタピストン8の大径部8aの断面積(有効受圧面積)
ob:プライマリアウタピストン8の小径部8bの断面積(有効受圧面積)
ii:プライマリインナピストン9の第1中径部9bの断面積(有効受圧面 積)
io:プライマリインナピストン9の大径部9aの断面積(有効受圧面積)
s:制御スプリング13のばね力
sm:プライマリリターンスプリング17のばね力
1:第1カップシ−ル15によるプライマリインナピストン9の摺動抵抗力
2:プライマリアウタピストン8とプライマリインナピストン9の大径部9aとの間の液密のためのシールによる両ピストン8,9の摺動抵抗力
3:プライマリアウタピストン8と第1円筒状部材6との間の液密のためのシールによるプライマリアウタピストン8の摺動抵抗力
4:プライマリアウタピストン8と第2筒状部材7との間の液密のためのシールによるプライマリアウタピストン8の摺動抵抗力
とすると、
▲1▼ プライマリアウタピストン8のバランス式
p×(Aof−Aob)+Fs−f3−f4+f2=Pm×(Aof−Aio) (1)
▲2▼ プライマリインナピストン9のバランス式
W=Pm×(Aio−Aii)+Fs+Fsm+f1+f2 (2)
となる。式(1)および(2)より、
Figure 0003909742
また、式(1)より、
s=Pm×(Aof−Aio)−Pp×(Aof−Aob)+f3+f4−f2 (4)
【0039】
これらの式に基づいてこの第1例のMCY1を用いた場合のブレーキペダルのペダルストロークについて検討する。MCY1が作動してMCY圧が発生するとブレーキ力制御装置が作動するが、ブレーキ力制御装置の作動時は、前述のようにこのブレーキ力制御装置によってMCY圧が倍力されたブレーキ制御圧がWCYに供給されるので、ブレーキ制御圧(=WCY圧Pw)Pp>MCY圧Pmとなる。このとき、式(4)において(Aof−Aio)および(Aof−Aob)が正でかつ一定であるから、ブレーキ力制御圧Pp(WCY圧Pw)のMCY圧Pmに対する増圧分が大きいと、この式(4)より制御スプリング13のばね力Fsが小さくなる、つまり制御スプリング13の撓み量が小さくなる。また、逆にブレーキ力制御圧Pp(WCY圧Pw)のMCY圧Pmに対する増圧分が小さいと、制御スプリング13のばね力Fsが大きくなる、つまり制御スプリング13の撓み量が大きくなる。そして、制御スプリング13の撓み量が大きいときはプライマリインナピストン9に対するプライマリアウタピストン8の相対移動が大きくなり、逆に、制御スプリング13の撓み量が小さいときはプライマリインナピストン9に対するプライマリアウタピストン8の相対移動が小さくなる。このように、この相対移動の大きさは、ブレーキ力制御装置により制御されたブレーキ力制御圧Pp(WCY圧Pw)にしたがって種々変化するようになる。
【0040】
そこで、この相対移動を種々変化させることにより、MCY1は種々のブレーキ特性を発揮するようになる。いま、相対移動が通常ブレーキ作動時での相対移動よりも小さくなるように設定された場合、ブレーキペダルに連動するプライマリインナピストン9が通常ブレーキ作動時でのそのストロークと同じだけストロークすると、プライマリアウタピストン8が通常ブレーキ作動時より相対移動量が小さい分大きく前方へストロークする。したがって、この場合には、通常ブレーキ作動時より大きな液量が吐出されることになる。また、逆に相対移動が通常ブレーキ作動時での相対移動よりも大きくなるように設定された場合は、プライマリインナピストン9が通常ブレーキ作動時でのそのストロークと同じだけストロークすると、プライマリアウタピストン8が通常ブレーキ作動時より小さくストロークするので、通常ブレーキ作動時より小さな液量が吐出されることになる。
【0041】
このMCY1を回生ブレーキシステムと協調して用いた場合、ペダルストロークは次のようになる。すなわち、回生協調ブレーキ作動時はこの回生ブレーキ作動によるブレーキ力の分、WCYによるブレーキ力を小さくなるように設定されるので、WCY圧Pwが通常ブレーキ作動時のWCY圧Pwより小さくなる。したがって、プライマリアウタピストン8のプライマリインナピストン9に対する相対移動が大きくなるので、通常ブレーキ作動時と同じペダルストローク(つまり、プライマリインナピストン9も通常ブレーキ作動時と同じ)では、MCY1の吐出液量は通常ブレーキ作動時より小さくなる。そして、この回生協調ブレーキ作動時では前述のようにWCY圧が通常ブレーキ作動時より小さく設定されることから、ブレーキ力制御装置のポンプがMCY1側からブレーキ液を吸い込む液量が通常ブレーキ作動時より小さくなるので、前述のようにこの回生協調ブレーキ作動時でのペダルストロークを通常ブレーキ作動時と同じにすることができるようになる。
【0042】
一方、このMCY1を通常ブレーキ作動を補助するブレーキアシストに用いた場合、ペダルストロークは次のようになる。すなわち、ブレーキアシスト作動時はブレーキ力のアシストの分、WCYによるブレーキ力が大きくなるように設定されるので、WCY圧Pwが通常ブレーキ作動時のWCY圧Pwより大きくなる。したがって、プライマリアウタピストン8のプライマリインナピストン9に対する相対移動が小さくなるので、通常ブレーキ作動時と同じペダルストロークでは、MCY1の吐出液量は通常ブレーキ作動時より大きくなる。そして、このブレーキアシスト作動時では前述のようにWCY圧が通常ブレーキ作動時より大きく設定されることから、ブレーキ力制御装置のポンプがMCY1側からブレーキ液を吸い込む液量が通常ブレーキ作動時より大きくなるので、前述のようにこのブレーキアシスト作動時でのペダルストロークを通常ブレーキ作動時と同じにすることができるようになる。
【0043】
このように、この第1例のMCY1においては、同じ入力に対してブレーキ制御装置の作動によりWCY圧を変化させても、ペダルストロークを通常ブレーキ作動時と同じにすることができるようになる。すなわち、プライマリアウタピストン8とブレーキ力制御圧室40とによりストローク調整装置129が構成されている。
【0044】
なお、このMCY1では、入力W、MCY圧Pmおよびブレーキ力制御圧Pp(WCY圧Pw)の関係が前述の式(3)で与えられるので、入力Wがブレーキ力制御圧Pp(WCY圧Pw)に関係し、ブレーキ力制御圧Pp(WCY圧Pw)が変化すると入力Wも変化する。したがって、この第1例のMCY1では、WCY側でのブレーキ制御時におけるペダルストロークの変化は前述のように抑制できるが、ペダル踏力の変化を抑制することはできない。
【0045】
次に、このように構成された第1例のマスタシリンダ1の作動について説明する。
ブレーキペダルが踏み込まれないマスタシリンダ1の非作動時には、ブレーキ倍力装置が非作動となっているとともに、セカンダリピストン20がストッパ45に当接することにより、プライマリアウタピストン8、プライマリインナピストン9、第1筒状部材14およびセカンダリピストン20がいずれも図示の後退限となっている。このとき、第1カップシール15は径方向孔35より後方に位置し、第1MCY圧室32は第1大気圧室23を経てリザーバに連通しているとともに、第2カップシール21は径方向孔39より後方に位置し、第2MCY圧室37は第2大気圧室28を経てリザーバに連通している。また、ブレーキ力制御装置も非作動となっており、ポンプは停止している。
【0046】
ブレーキペダルの踏込により通常ブレーキ操作が行われるとブレーキ倍力装置が作動し、ブレーキ倍力装置はペダル踏力を倍力した出力を発生する。このとき、前述のようにブレーキ倍力装置のサーボ比が比較的小さいので、この出力も比較的小さい。このブレーキ倍力装置の出力がプライマリインナピストン9に加えられ、プライマリインナピストン9およびプライマリアウタピストン8が一体的に前進ストロークする。
【0047】
プライマリインナピストン9の前進で、第1カップシール15が径方向孔35を通過してこの径方向孔35より前方へ移動すると、第1MCY圧室32が第1大気圧室23から遮断され、第1MCY圧室32内にMCY圧が発生する。この第1MCY圧室32内のMCY圧により、第3円筒状部材14およびセカンダリピストン20が一体的に前進ストロークし、第2カップシール21が径方向孔39を通過してこの径方向孔39より前方へ移動すると、第2MCY圧室37が第2大気圧室28から遮断され、第2MCY圧室37内にMCY圧が発生する。これらの第1および第2MCY圧室32,30の各MCY圧はペダル踏力あるいはペダルストロークに応じた液圧となっているが、ブレーキ倍力装置の出力が小さいことから、通常ブレーキ力が発生するために必要な液圧より小さい。
【0048】
第1MCY圧室32のMCY圧はプライマリアウタピストン8の前端に後方に向けて作用するようになり、このため制御スプリング13が撓んで、プライマリアウタピストン8はプライマリインナピストン9に対して相対的に後方に移動する。
また、MCY1にMCY圧が発生すると、図示しないコントローラによってブレーキ力制御装置が作動し、ブレーキ力制御装置のポンプがMCY1からブレーキ液を吸い込んでWCYに吐出し、WCY圧が発生する。このとき、WCY圧は、このときのペダル踏力あるいはペダルストロークに応じた通常ブレーキ力が得られるようにブレーキ力制御装置によってMCY圧より高い圧力に制御される。このWCY圧はブレーキ力制御圧導入口44を介してブレーキ力制御圧室40に供給されてプライマリアウタピストン8の段部8eに前方に向けて作用する。したがって、プライマリアウタピストン8は、MCY圧による後方への力、ブレーキ力制御圧室40のWCY圧による前方への力、制御スプリング13のばね力による前方への力、プライマリアウタピストン8が液密に摺動する部分の摺動抵抗力とがバランスするようにプライマリインナピストン9に対して相対移動するようになる。このときのプライマリアウタピストン8のバランス式は前述の式(1)で与えられる。
【0049】
また、プライマリインナピストン9は、前方への入力(ブレーキ倍力装置の出力)、MCY圧による後方への力、制御スプリング13のばね力による後方への力、プライマリインナピストン9が液密に摺動する部分の摺動抵抗力とがバランスするように移動するようになる。このときのプライマリインナピストン9のバランス式は前述の式(2)で与えられる。
【0050】
そして、このようにブレーキ力制御圧室40で制御されたWCY圧により通常ブレーキ力が得られ、通常ブレーキが作動する。このとき、プライマリアウタピストン8とプライマリインナピストン9との相対移動は、ペダルストロークが前述の従来周知のサーボ比の高いブレーキ倍力装置を用いた場合における通常ブレーキ作動時のペダルストロークと同じになるように調整される。
【0051】
ブレーキペダルの踏込が解放されると、プライマリインナピストン9がプライマリリターンスプリング17のばね力および第1MCY圧室32のMCY圧により後退するとともに、プライマリアウタピストン8もこのプライマリインナピストン9と一体に後退する。プライマリインナピストン9の後退で第1カップシール15が径方向孔35より後方へ移動すると第1MCY圧室32が第1大気圧室23に連通して第1MCY圧室32のMCY圧が低下し、消滅する。第1MCY圧室32のMCY圧の低下により、セカンダリピストン20がセカンダリリターンスプリング22のばね力および第2MCY圧室37のMCY圧により後退する。セカンダリピストン20の後退で第2カップシール21が径方向孔39より後方へ移動すると第2MCY圧室37が第2大気圧室28に連通するので、第2MCY圧室37のMCY圧が低下し、消滅する。MCY圧の消滅により、ブレーキ力制御装置は非作動となり、ポンプが停止する。すると、ポンプ吐出によるWCY圧が消滅するとともに、ブレーキ力制御圧室40の液圧も消滅する。 これにより、プライマリアウタピストン8は制御スプリング13のばね力でプライマリインナピストン9に対して相対的に前進し、第1スプリングリテーナ10がプライマリインナピストン9の段部9eに当接すると、プライマリアウタピストン8のプライマリインナピストン9に対する相対移動が停止する。そして、セカンダリピストン20の後端がストッパ45に当接すると、プライマリアウタピストン8、プライマリインナピストン9、第3円筒状部材14、およびセカンダリピストン20がともに図示の後退限位置となる。こうして、第1および第2MCY圧室32,37、ブレーキ力制御圧室40がいずれも大気圧となって、マスタシリンダ1が非作動となり、通常ブレーキが解除する。
【0052】
一方、回生協調ブレーキ作動時は、前述のようにブレーキ力制御装置は回生ブレーキ作動によるブレーキ力の分に見合うだけ、WCY圧を通常ブレーキ作動時より小さく制御することで、回生ブレーキ力とブレーキ力制御装置で制御されたWCY圧によるブレーキ力との合力である全体のブレーキ力は、通常ブレーキ作動時の通常ブレーキ力とほぼ同じになる。そして、この回生協調ブレーキ作動時でのペダルストロークは通常ブレーキ作動時でのペダルストロークと同じになる。
【0053】
また、ブレーキアシスト作動時は、前述のようにブレーキ力制御装置によりWCY圧が通常ブレーキ作動時より大きく制御されることで、ブレーキ力は通常ブレーキ作動時の通常ブレーキ力より大きくなり、ブレーキアシストが効果的に行われる。そして、このブレーキアシスト作動時においてもペダルストロークは通常ブレーキ作動時でのペダルストロークと同じになる。
【0054】
図2は、本発明の実施の形態の第2例を示す、図1と同様の断面図である。なお、以下の各例の説明において、それより前の例の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。
前述の第1例では、プライマリアウタピストン8が外周段部8eを有する段付ピストンに形成されているが、この第2例のMCY1では、図2に示すようにプライマリアウタピストン8がこの外周段部8eを有しなく、その外周が前端から後端にわたって同一径にされている。プライマリアウタピストン8は第1円筒状部材6の内周面に対してメタルシール107で液密とされているが、図示のようにメタルシール107はプライマリアウタピストン8のできるだけ前方に設けるとともに、図示のプライマリアウタピストン8の後退限でこのメタルシール107より後方の第1円筒状部材6の内周面の径が、第1円筒状部材6のメタルシール107が摺動する部分の内周面より大きい拡径部6aとされている。この拡径部6aにより、円筒状部材6の内周面とプライマリアウタピストン8の外周面との間に所定の軸方向長さを有する環状の間隙108が形成されている。この間隙108により、プライマリアウタピストン8がストロークしても、ブレーキ制御圧室40と制御圧導入口44とが常時連通するようになっている。
【0055】
また、第1例では、プライマリインナピストン9が単一部材で構成されているが、この第2例のプライマリインナピストン9がこのフロント側部材9gとリヤ側部材9hとの2部材からなり、これらは互いに螺合連結されて一体的に移動可能となっている。更に、第1例ではプライマリインナピストン9の大径部9aがプライマリアウタピストン8の前端部内周に液密にかつ摺動可能に嵌合されているが、第2例では、プライマリインナピストン9のフロント側部材9gに形成された大径部9aがプライマリアウタピストン8の前端内周に液密にかつ摺動可能に嵌合されている(大径部9aの外周とプライマリアウタピストン8の内周との間は、第1例のようなカップシールによるシールではないが、適宜のシール手段でシールされている)。
【0056】
更に第2例では、第1例の第1スプリングリテーナ10は設けられていなく、代わりにプライマリアウタピストン8の前端部内周側に環状のスプリングリテーナ部8fが設けられている。このスプリングリテーナ部8fはフロント側部材9gの大径部8aの後端に当接可能となっている。同様に、第1例の第2スプリングリテーナ11は設けられていなく、代わりにプライマリインナピストン9のリヤ側部材9hに形成されかつフロント側部材9gの大径部9aの径より大きな大径部9iが設けられている。そして、この大径部9iによる段部9jとスプリングリテーナ部8fとの間に、制御スプリング13が縮設されている。リヤ側部材9hの大径部9iはプライマリアウタピストン8の後端部内周に液密にかつ摺動可能に嵌合されている。
【0057】
更に、第1例のブレーキ力制御圧室40は、プライマリアウタピストン8の外周と第1円筒状部材6の内周との間に設けられているが、第2例では、このブレーキ力制御圧室40は、プライマリアウタピストン8の内周内でプライマリインナピストン9の2つの大径部9a,9iの間にかつプライマリアウタピストン8およびプライマリインナピストン9と同軸に設けられている。そして、このブレーキ力制御圧室40はプライマリアウタピストン8の径方向孔46、第1円筒状部材6の径方向孔47(第1例では、径方向溝41となっている)、および通路42を通してブレーキ力制御圧導入口44に連通している。
この第2例のMCY1の他の構成は第1例と同じである。
【0058】
この第2例のMCY1の作動時でのプライマリアウタピストン8およびプライマリインナピストン9のバランス式は次のようになる。いま、
ib:プライマリインナピストン9のリヤ側部材9hにおける大径部9iの断面積(有効受圧面積)
5:プライマリアウタピストン8とプライマリインナピストン9の大径部9iと間の液密のためのシールによる両ピストン8,9の摺動抵抗力
とすると、
▲1▼ プライマリアウタピストン8のバランス式
Figure 0003909742
▲2▼ プライマリインナピストン9のバランス式
Figure 0003909742
となる。式(5)および(6)より、
W=Pm×(Aof−Aii)+Fsm+f1+f3+f4 (7)
また、式(5)より、
Figure 0003909742
【0059】
式(8)より明らかなように、この第2例のMCY1においても、第1例と同様にブレーキ力制御装置で制御されるブレーキ力制御圧Pp(WCY圧Pw)に応じて制御スプリング13のばね力Fsが変化するので、プライマリアウタピストン8とプライマリインナピストン9との相対位置をブレーキ力制御圧Pp(WCY圧Pw)に応じて変化させることが可能となる。したがって、この第2例のMCY1を用いたブレーキシステムでも、第1例と同様に回生協調ブレーキ作動時やブレーキアシスト作動時のペダルストロークを通常ブレーキ作動時と同じにすることができる。このようにして、この第2例のMCY1でも、すなわち、プライマリアウタピストン8とブレーキ力制御圧室40とによりストローク調整装置129が構成されている。
【0060】
また、式(7)より明らかなように、この第2例のMCY1においては、入力WがMCY圧Pmのみに関係してブレーキ力制御圧Pp(WCY圧Pw)には関係しない。したがって、ブレーキ力制御によりブレーキ力制御圧Pp(WCY圧Pw)を調整しても、入力Wはこのブレーキ力制御圧Pp(WCY圧Pw)の調整に影響されず、通常ブレーキ作動時と同じにできる。
この第2例のMCY1の作動は前述の第1例と同じである。
【0061】
このように、この第2例のMCY1によれば、回生協調ブレーキ作動あるいはブレーキアシスト作動等によりWCY圧Pwを制御しても、このときのペダルストロークおよびペダル踏力をこのWCY圧Pwの制御の影響を阻止して通常ブレーキ作動時と同じにすることができる。
なお、プライマリアウタピストン8を第1例のように大径部8aと小径部8bとからなる段付ピストンにしてプライマリアウタピストン8のストローク時に、制御圧室40と制御圧導入口44とが常時連通するようにすることもできるが、この場合には、大径部8aと小径部8bとの段差部をできるだけ小さくして、WCY圧が変化してもこの変化による入力への影響をできるだけ小さくする。
この第2例のMCY1の他の作用効果は前述の第1例と同じである。
【0062】
図3は、本発明の実施の形態の第3例を示す、図1と同様の断面図である。
前述の第1および第2例では、いずれも、第1および第2カップシール15,21がそれぞれ可動側のプライマリインナピストン9およびセカンダリピストン20に設けられているとともに、これらの第1および第2カップシール15,21と協働する径方向孔35,39がそれぞれ固定側の第3および第4円筒状部材14,19に設けられているが、この第3例のMCY1では、逆に径方向孔35,39がそれぞれ可動側のプライマリインナピストン9およびセカンダリピストン20に設けられているとともに、これらの径方向孔35,39と協働する第1および第2カップシール15,21がそれぞれ固定側に設けられている。
【0063】
すなわち、この第3例のMCY1では、第2例のMCY1の第3および第4円筒状部材14,19がともに設けられておらず、代わりに第5ないし第7円筒状部材48,49,50が前からこれらの順にハウジング2の軸方向孔2a内に嵌合されかつ第1円筒状部材6によって軸方向に固定されている。その場合、第6円筒状部材49は軸方向孔2aに液密に嵌合されている。そして、第1カップシール15が第1および第7円筒状部材6,50の間に配置されているとともに、第2カップシール21が第5および第6円筒状部材48,49の間に配置されている。
【0064】
プライマリインナピストン9のフロント側部材9gの前端部は軸方向の内孔9kを有するシリンダ状に形成されているとともに、セカンダリピストン20が前方に開口する軸方向の内孔20eを有する有底のシリンダ状に形成されている。径方向孔35は、プライマリインナピストン9のフロント側部材9gの前端部にその外周面と内孔9kの内周面とを連通するように穿設されているとともに、径方向孔39は、セカンダリピストン20の前端部にその外周面と内孔20eの内周面を連通するように穿設されている。
【0065】
プライマリインナピストン9のフロント側部材9gが第1円筒状部材6に液密にかつ摺動可能に嵌合されているとともに、第1カップシール15を液密に且つ摺動可能に貫通している。更に、セカンダリピストン20が第6円筒状部材49に液密にかつ摺動可能に嵌合されているとともに、第2カップシール21を液密に且つ摺動可能に貫通している。
このように、第3例のMCY1は第1および第2カップシール15,21がそれぞれ固定側に設けられて各ピストン9,20に設けられなく、各ピストン9,20には径方向孔35,39のみが設けられるので、各ピストン9,20の全長を短くでき、結果として全長が短いミニMCYとされている。
【0066】
第1大気圧室23が第1円筒状部材6の外周面とハウジング2の軸方向孔2aの内周面との間に環状に形成されているとともに、第2大気圧室28が第6円筒状部材49の外周面とハウジング2の軸方向孔2aの内周面との間に環状に形成されている。また、第1MCY圧室32はプライマリインナピストン9のフロント側部材9gの前端部の内孔9k内、第7円筒状部材50の内孔内および第6円筒状部材49の内孔内にかけて設けられている。更に、第2MCY圧室37はセカンダリピストン20の内孔20e内、第5円筒状部材48の内孔内およびハウジング2の軸方向孔2a内にかけて設けられている。
【0067】
そして、この第3例のMCY1では、図示のMCY1の非作動状態では、各径方向孔35,39がそれぞれ第1および第2カップシール15,21の各リップ部より後方位置にある。このときには、第1MCY圧室32は径方向孔35、第1カップシール15の背面(後面)と第1円筒状部材6との間の隙間、第1円筒状部材6にそれぞれ穿設された軸方向孔51および径方向孔52を通して第1大気圧室23に連通して大気圧となっているとともに、第2MCY圧室37は径方向孔39、第2カップシール21の背面(後面)と第6円筒状部材49との間の隙間、第6円筒状部材49にそれぞれ穿設された軸方向孔53および径方向孔54を通して第2大気圧室28に連通して大気圧となっている。
【0068】
各ピストン9,20が前進して各径方向孔35,39がそれぞれ第1および第2カップシール15,21の各リップ部より前方位置になると、各径方向孔35,39と第1および第1カップシール15,21の各背面と第1および第6円筒状部材6,49との間の各隙間とが遮断される。これにより、第1および第2MCY圧室32,37はそれぞれ第1および第2大気圧室23,28から遮断され、これらのMCY圧室32,37にはそれぞれMCY圧が発生するようになっている。更に、プライマリリターンスプリング17はプライマリインナピストン9とセカンダピストン20との間に、最大伸長が規制された伸縮可能な2つのスプリングリテーナ55,56を介して縮設されているとともに、セカンダリスプリング22はセカンダピストン20とハウジング2との間に、最大伸長が規制された伸縮可能な2つのスプリングリテーナ57,58を介して縮設されている。
この第3例のMCY1の他の構成は、第2例のMCY1と同じである。
【0069】
また、第3例のMCY1作動時のプライマリアウタピストン8およびプライマリインナピストン9のバランス式はそれぞれ前述の第2例と同様の式(5)および(6)で与えられ、したがって入力Wは同じく式(7)でまた制御スプリング13のばね力は同じく式(8)で与えられる。
更に、第3例のMCY1の作動においては、径方向孔35,39が移動しかつ第1および第2カップシール15,21が移動しない点が第2例と異なるだけで、他の作動は第2例と同じである。第3例のMCY1の作用効果はMCY1の軸長が短くなる点が異なるだけで、他の作用効果は第2例と同じである。
【0070】
図4は、本発明の実施の形態の第4例を示すブレーキシステムを示す図である。
この第4例のブレーキシステムは前述の第3例のMCY1を用いたブレーキシステムである。すなわち、第3例のMCY1において第1ブレーキ系統の第1出力口34にはブレーキ液供給通路59が接続されており、このブレーキ液供給通路59の先端側は2つの第1および第2ブレーキ液供給分岐通路59L,59Rに分岐されている。第1ブレーキ液供給分岐通路59Lは左前輪FLのWCY60に接続され、また第2ブレーキ液供給分岐通路59Rは右前輪FRのWCY61に接続されている。
【0071】
ブレーキ液供給通路59には常開のリリーフ弁付切換弁62が配設されており、このリリーフ弁付切換弁62は非作動時は連通位置に、また作動時にはリリーフ弁位置に設定されようになっている。このリリーフ弁はこの弁の下流側(WCY側)の液圧がリリーフ圧以上になったときのみ、この弁の下流側から上流側(MCY側)へブレーキ液が流れるのを許容するようになっている。リリーフ弁のリリーフ圧は設定変更可能となっている。更に、このリリーフ弁付切換弁62をバイパスして、リリーフ弁付切換弁62の上流側から下流側へのブレーキ液の流れのみを許容する第1チェックバルブ63が設けられている。
【0072】
第1および第2ブレーキ液供給分岐通路59L,59Rには、それぞれ、常開の開閉弁からなる第1および第2増圧弁64,65が設けられているとともに、これらの増圧弁64,65をそれぞれバイパスして、これらの弁の下流側から上流側へのブレーキ液の流れのみを許容する第2および第3チェックバルブ66,67が設けられている。これらの第1および第2増圧弁64,65はそれぞれ後述するようにアンチロック制御(以下、ABS制御ともいう)時にブレーキ液をWCY60,61に供給制御することによりABS制御におけるWCY圧の増圧制御を行うものである。更に、各WCY60,61はそれぞれ常閉の開閉弁からなる第1および第2減圧弁68,69を介して低圧アキュムレータ70に接続可能となっている。これらの第1および第2減圧弁68,69はそれぞれABS制御時にWCY60,61からブレーキ液を低圧アキュムレータ70に排出制御することによりABS制御におけるWCY圧の減圧制御を行うものである。
【0073】
更に、ブレーキ液供給通路59のブレーキ液供給分岐通路59L,59Rへの分岐点Aと低圧アキュムレータ70とを接続する通路71には、この分岐点A側から順に3つの第4ないし第6チェックバルブ72,73,74が設けられているとともに、第4および第5チェックバルブ72,73の間の通路71には、ポンプ75が設けられている。このポンプ75は第5チェックバルブ73側の通路71からブレーキ液を吸い込んで、第4チェックバルブ72側の通路71に吐出するようになっている。更に、第1出力口34と切換弁62との間のブレーキ液供給通路59と第5および第6チェックバルブ73,74の間の通路71を接続する通路76が設けられているとともに、この通路76には常閉の開閉弁77が設けられている。更に、第1出力口34と切換弁62との間の通路59には、第1出力口34から出力されるMCY圧を検出する第1圧力センサ78が設けられているとともに、分岐点Aと第4チェックバルブ72との間の通路71には、ポンプ79によってMCY圧より高く昇圧されてWCY60,61に供給される液圧を検出する第2圧力センサ79が設けられている。第1出力口34に接続される第1ブレーキ系統の各弁62,64,65,68,69,77はいずれも電磁力で作動する電磁弁で構成されている。
【0074】
第2出力口38に接続されて、後輪RR,RLの各WCY80,81に対してブレーキ液の給排制御を行う第2ブレーキ系統においても、第1圧力センサ78を除いて第1ブレーキ系統に設けられる各弁、ポンプおよび圧力センサとまったく同じ弁、ポンプおよび圧力センサが同じようにして設けられている。したがって、これらには対応する第1ブレーキ系統のものの符号に「a」を添付することで、それらの詳細な説明は省略する。
【0075】
更に、第1および第2両ブレーキ系統の両ポンプ75および75aは1つのモータM82で駆動されるようになっている。各圧力センサ78,79,79aはいずれも図示しないコントローラに接続されて検出した液圧情報をこのコントローラに供給するようになっている。また、コントローラには、いずれも図示しないが回生ブレーキ用コントローラやブレーキアシスト用のペダルストロークセンサ、ペダル踏力センサ、ABS用コントローラ、および各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速センサが接続されていて、これらコントローラやセンサからの情報も入力されるようになっている。更に、各電磁弁およびモータMもコントローラに接続されている。
【0076】
そして、このコントローラは各圧力センサ78,79,79aの液圧情報、回生ブレーキ用コントローラからの回生協調ブレーキ作動情報、あるいはペダルストロークセンサからペダルストローク情報またはペダル踏力センサからのペダル踏力情報による通常ブレーキ作動情報およびブレーキアシスト制御情報に基づいて切換弁62,62aおよび開閉弁77,77aの各作動を制御するようになっている。すなわち、例えば通常ブレーキ作動時、回生協調ブレーキ作動時、あるいはブレーキアシスト制御時には、コントローラは開閉弁77,77aを開閉制御するとともにモータM82つまりポンプ75,75aを駆動制御する。その場合、コントローラは、通常ブレーキ作動時、回生協調ブレーキ非作動時、あるいはブレーキアシスト制御時にWCY圧の増圧制御が必要であると判断したときには、切換弁62,62aをそれぞれリリーフ弁位置に切換設定してWCY圧をリリーフ圧以下の範囲で増圧するとともに、通常ブレーキ作動時あるいは回生協調ブレーキ作動時にWCY圧の減圧制御が必要であると判断したときには、切換弁62,62aをそれぞれ連通位置に切換設定してWCY圧をMCY1側に逃して減圧するようになっている。
【0077】
また、ABS制御用コントローラは、ペダルストロークセンサからペダルストローク情報またはペダル踏力センサからのペダル踏力情報による通常ブレーキ作動情報および各車輪速センサからの各車輪速情報に基づいて通常ブレーキ作動時に車輪のロック傾向を検知したとき、各増圧弁64,65,64a,65aおよび各減圧弁68,69,68a,69aの開閉を制御してロック傾向にある車輪に対してABS制御を行うようになっている。すなわち、ABS制御用コントローラは、例えば車輪のロック傾向によりその車輪に対してABS制御を行う必要があると判断したときは、増圧弁64,65,64a,65aのうちその車輪に対する増圧弁を閉じる。更に、ABS制御用コントローラは、ABS制御においてロック傾向の車輪のWCY圧の減圧制御が必要であると判断したときには、減圧弁68,69,68a,69aのうちその車輪に対する減圧弁を開いてWCY圧を低圧アキュムレータ70,70aに排出することにより、そのWCY圧を減圧する。そして、このロック傾向にある車輪の車輪速が回復してきてABS制御の減圧制御が不要であると判断したときには、開かれた減圧弁を閉じる。更に、ロック傾向にある車輪の車輪速が所定速度に回復してきてABS制御の増圧制御が必要であると判断したときには、その車輪に対する増圧弁を再び開いてWCY圧を増圧する。このようにして、ABS制御用コントローラは、各増圧弁64,65,64a,65aおよび各減圧弁68,69,68a,69aの作動を制御することにより、ABS制御を行うようになっている。
【0078】
更に、分岐点Aと第1増圧弁64との間のブレーキ液供給分岐通路59Lはブレーキ力制御圧導入通路83を介してブレーキ力制御圧導入口44に接続されており、ポンプ75によって吐出制御されたWCY圧Pwがブレーキ力制御圧Ppとしてブレーキ力制御圧導入通路83およびブレーキ力制御圧導入口44を通してブレーキ力制御圧室40に導入されるようになっている。
【0079】
このように構成されたこの第4例のブレーキシステムにおいては、ブレーキ作動時、MCY1が作動して第1および第2MCY圧室32,37にそれぞれMCY圧が発生する。このとき、MCY1に入力を加えるブレーキ倍力装置はそのサーボ比が小さくその出力が小さいことから、発生したMCY圧も小さい液圧となっている。これらのMCY圧がそれぞれ第1および第2出力口34,38から出力される。
【0080】
第1出力口34から出力されたMCY圧が第1圧力センサ78によって検出されてコントローラへ供給されると、コントローラはリリーフ弁付切換弁62,62aをリリーフ弁位置に切り換えるとともに、常閉の開閉弁77,77aを開き、更にモータM82を駆動する。これにより、ポンプ75,75aがともに運転され、これらのポンプ75,75aによってそれぞれMCY1からブレーキ液が開いた開閉弁77,77aを通して吸い込まれ、分岐点A,Aaの方へ吐出される。このようにポンプ75,75aから吐出されたブレーキ液はそれぞれ第1および第2増圧弁64,64a;65,65aを通って各ホイールシリンダ60,61,80,81に供給され、ブレーキが作動する。
【0081】
そして、コントローラは、第1圧力センサ78からのMCY圧情報、第2圧力センサ79,79aからのWCY圧情報、回生ブレーキ用コントローラからの回生協調ブレーキ作動情報、ペダルストロークセンサからペダルストローク情報またはペダル踏力センサからのペダル踏力情報によるブレーキアシスト作動情報に基づいて、今回のブレーキ作動が通常(ノーマル)ブレーキ作動であるか、回生協調ブレーキ作動であるか、あるいはブレーキアシスト作動であるかを判断し、WCY圧Pwが予め設定されたブレーキ特性のうちその判断結果に応じたブレーキ特性の液圧に制御されるように切換弁62,62aを切換制御する。例えば、通常ブレーキ作動あるいは回生協調ブレーキ作動と判断した場合は、コントローラはWCY圧Pwがそれぞれ図5に示すブレーキ特性の液圧に制御されるように切換弁62,62aを切換制御する。これにより、前述の判断結果に応じたブレーキ特性のブレーキ力が得られるように、ブレーキ力制御が行われる。また、このとき、制御されたWCY圧Pwがブレーキ力制御圧導入通路83およびブレーキ力制御圧導入口44を介してブレーキ力制御圧室40に導入され、図5に示すように回生協調ブレーキ作動の場合にはインナピストン9のストロークつまりペダルストロークが通常ブレーキ作動時のペダルストロークとほぼ同じになる(近似する)ように制御される。なお、ブレーキアシスト作動の場合は図5に示されていないが、WCY圧が通常ブレーキ作動時より大きくなるブレーキ特性となるとともに、ブレーキアシスト作動時のペダルストロークも通常ブレーキ作動時のペダルストロークとほぼ同じになるように制御される。
【0082】
更に、切換弁62,62aのリリーフ弁のリリーフ圧は、前述の図5のいずれのブレーキ特性の液圧に制御されたWCY圧より高くなるように設定されており、したがってポンプ75,75aから吐出されたブレーキ液が切換弁62,62aのリリーフ弁からMCY1側に漏出することはなく、圧力ロスがなく、WCY圧がより正確に制御される。また、何らかの原因でWCY圧がこのリリーフ弁のリリーフ圧より高くなったときはリリーフ弁が開いて圧力がリリーフされて、WCY圧はこのリリーフ圧以下に制御される。
【0083】
モータM82あるいはポンプ75,75aの失陥時はポンプ75,75aによる増圧ができないので、コントローラは切換弁62,62aのうち、少なくともポンプによる増圧ができないブレーキ系統の切換弁を連通位置の状態に保持する。これにより、プライマリインナピストン9の前進により発生したMCY圧が直接WCYに供給されるので、ポンプによる増圧ができないブレーキ系統のブレーキも確実に作動されるようになる。この失陥時のブレーキ特性は、図5に示すようにポンプによる増圧がないのでWCY圧が通常時より小さくなり、またペダルストロークが短くなる特性となる。
【0084】
なお、前述の第4例の説明ではブレーキ倍力装置を用いるものとしているが、ブレーキ倍力装置は必ずしも必要ではなく省略して、MCY1のプライマリインナピストン9をブレーキペダルのペダル踏力で直接作動させるようにすることもできる。また、この第4例ではMCY1として第3例のMCYを用いるものとしているが、前鬱の第1または第2例のMCY1を用いることもできる。
【0085】
図6は、本発明の実施の形態の第5例を示す断面図である。
この第5例のMCY1は第3例のMCY1と次の構成が異なる。すなわち、第3例のMCY1ではプライマリインナピストン9がフロント側部材9gとリヤ側部材9hとを螺合連結して構成されているが、図6に示すように、この第5例のMCY1ではフロント側部材9gが筒状に形成されているとともにリヤ側部材9hの前端部がこのフロント側部材9gの後端部を液密に貫通してフロント側部材9gの内孔内に延出されている。そして、この延出されているフロント側部材9gの部分にナット84を螺合締結することにより、フロント側部材9gの後端部がこのナット84とフロント側部材9gの外周段部9mとの間に挟持され、フロント側部材9gとリヤ側部材9hとが一体に連結されている。
この第5例のMCY1の他の構成は第3例のMCY1と実質的に同じである。
【0086】
更に、第5例のMCY1にはブレーキ倍力装置として負圧倍力装置85が取り付けられている。この負圧倍力装置85は従来の一般的な負圧倍力装置とほぼ同じ構成を有するものであるが、後述するようにそのサーボ比が従来の一般的な負圧倍力装置のサーボ比より小さく設定されている。
【0087】
この負圧倍力装置85については従来の一般的な負圧倍力装置とほぼ同じであることから、ここでは簡単に説明する。
負圧倍力装置85が図示の非作動状態では、リターンスプリング86のばね力によりバルブボディ87、ダイヤフラムパワーピストン88、弁プランジャ89および入力軸90はキー部材91がリヤシェル92に当接して後退限にある。この非作動状態では、バルブプランジャ89の後端部に形成されている第1弁座93が弁体94に当接してこれらからなる大気弁95が閉じているとともに、弁体94がバルブボディ87に形成されている第2弁座96から離間してこれらからなる負圧弁97が開いている。これにより、変圧室98はバルブボディ87内の第1通路99、弁体94と第2弁座96との間隙およびバルブボディ87内の第2通路100を介して常時負圧が導入されている定圧室101に連通し、かつ大気から遮断されて、この定圧室101の負圧と同じ大きさの負圧になっている。
【0088】
この非作動状態から、図示しないブレーキペダルが踏み込まれると、入力軸90が前進するので、弁体94が第2弁座96に着座して負圧弁97が閉じ、変圧室98が定圧室101から遮断されるとともに、第1弁座93が弁体94から離れて大気弁95が開き、変圧室98が大気に連通する。すると、大気導入口102から大気がバルブボディ87の内孔103、第1弁座93と弁体94との間隙およびバルブボディ87内の第1通路99を通って変圧室98に供給され、変圧室98と定圧室101との間に圧力差が生じる。この圧力差によりダイヤフラムパワーピストン98およびバルブボディ87が前方へストロークするので、負圧倍力装置85は出力軸104から出力する。この出力により、MCY1のプライマリインナピストン9が前進し、前述のようにMCY1はMCY圧を発生する。
【0089】
また、この出力による反力がリアクションディスク105、弁プランジャ89および入力軸90を介してブレーキペダルに伝達され、運転者は負圧倍力装置85の出力を認識できる。そして、負圧倍力装置85は入力軸90の入力との反力とがバランスするようにサーボ制御を行うので、負圧倍力装置85の出力は予め設定されたサーボ比で入力を倍力した大きさとなっている。このサーボ比は従来の負圧倍力装置のサーボ比より小さく設定されており、したがって負圧倍力装置85の出力は通常ブレーキ作動時にその時のペダル踏力に対応して必要な通常ブレーキ力を得るための出力より小さくなっている。
【0090】
ブレーキペダルが解放されると入力軸90が後退するので、第1弁座93が弁体94に当接して大気弁95が閉じるとともに、弁体94が第2弁座96から離間して負圧弁97が開き、変圧室98が大気から遮断されて定圧室101に連通する。すると、変圧室98に供給された大気は、バルブボディ87内の第1通路99、第2弁座96と弁体94との間隙およびバルブボディ87内の第2通路100を通って定圧室101に排出され、更に定圧室101から負圧導入口106を介して図示しない負圧源に排出される。こうして、変圧室98が定圧室101と同じ負圧となって両室98,101の間に生じた圧力差が消滅し、負圧倍力装置85は出力しなく図示の非作動状態になる。
【0091】
負圧倍力装置85の図示しない負圧源(圧力源)の失陥時は、入力軸90の前進で弁プランジャ89が前進してリアクションディスク105を介して出力軸104を直接押圧する。これにより、負圧倍力装置85は入力軸90の入力を倍力することなく出力し、この出力によりプライマリインナピストン9が作動されるので、負圧源の失陥時にもMCY圧が確実に発生するようになる。
【0092】
一方、図6には図示しないが、この第5例のMCY1にも前述の図4に示す第4例のブレーキシステムが設けられている。したがって、第5例のMCY1がMCY圧を発生すると第4例のブレーキシステムと同様にポンプ75,75aが運転され、通常ブレーキ作動、回生協調ブレーキ作動あるいはブレーキアシスト作動に応じてMCY圧を倍力してWCY圧を制御する。そして、制御されたWCY圧がMCY1のブレーキ力制御圧室40に導入されることで、ペダルストロークを通常ブレーキ作動時のペダルストロークと同じにすることができる。
【0093】
なお、この第5例のMCY1において、ブレーキ力制御圧室40とブレーキ力制御圧導入口とを接続する通路42からブレーキ力制御圧(ホイールシリンダ圧)を取り出すように開口が設けられているが、これは例えばブレーキ力制御圧を検出するための圧力センサを取り付けるため等のものであり、ブレーキ力制御圧を取り出す必要がない場合は、この開口は塞がれることは言うまでもない。
この第5例のブレーキシステムの他の構成、他の作動および他の作用効果は前述の各例と同じである。
【0094】
図7は、本発明の実施の形態の第6例を示す断面図、図8は図7に示す第6例の部分拡大断面図である。
前述の第5例ではMCY1に負圧倍力装置85が取り付けられているが、この第6例ではMCY1に液圧倍力装置109が取り付けられている。この液圧倍力装置109は従来の一般的な液圧倍力装置とほぼ同じ構成を有するものであるが、第5例の負圧倍力装置85の場合と同様にそのサーボ比が従来の一般的な液圧倍力装置のサーボ比より小さく設定されている。
【0095】
この液圧倍力装置109については従来の一般的な液圧倍力装置とほぼ同じであることから、ここでは簡単に説明する。
液圧倍力装置109が図示の非作動状態では、MCY1のプライマリリターンスプリング17のばね力によりパワーピストン110の後端がプラグ部材111に当接して後退限にあるとともに、入力軸112の前端部に連結固定された筒状部材113がプラグ部材111に当接して入力軸112が後退限にある。この非作動状態では、パワーピストン110内に設けられた弁体114がパワーピストン110に固定された第1弁座115に着座しているとともに、入力軸112の前端に固定された第2弁座116が弁体114から離れている。
これにより、動力室117がパワーピストン110の径方向孔118、ハウジング119に設けられた液圧供給口120を介して図示しない液圧源に常時連通するパワーピストン110の軸方向孔121から遮断されているとともに、弁体114と第2弁座116との間の隙間、入力軸112に穿設された軸方向孔122および径方向孔123、プラグ部材111に穿設された径方向孔124、ハウジング119に穿設された軸方向孔125およびハウジング119に設けられた液圧排出口126を介して図示しないリザーバに連通している。したがって、動力室117は大気圧となっている。
【0096】
この非作動状態から、図示しないブレーキペダルが踏み込まれると、入力軸112が前進するので、第2弁座116が弁体114に当接して動力室117が軸方向孔118から遮断されるとともに、弁体114が第1弁座115から離座する。すると、軸方向孔121に常時供給されている液圧源の液圧が弁体114と第1弁座115との間の隙間を通って動力室117に供給され、パワーピストン110が前進し出力する。このパワーピストン110の出力によりMCY1のプライマリインナピストン9が前進し、前述と同様にMCY圧が発生する。一方、動力室117の液圧が所定圧になると、反力ピストン127の後端が入力軸112の段部112aに当接し、入力軸112に反力ピストン127から反力が加えられ、ジャンピング作用が行われる。以後、動力室117の液圧が入力軸112の入力に応じた液圧となるように前述のサーボ比でサーボ制御が行われ、パワーピストン110の出力が入力軸112の入力をこのサーボ比で倍力した大きさとなる。前述のように、このサーボ比は従来の液圧倍力装置のサーボ比より小さく設定されており、したがって液圧倍力装置109の出力は通常ブレーキ作動時にその時のペダル踏力に対応して必要な通常ブレーキ力を得るための出力より小さくなっている。
【0097】
ブレーキペダルが解放されると入力軸112が後退するので、弁体114が第1弁座115に着座するとともに第2弁座116が弁体114から離れ、動力室117が軸方向孔121から遮断されるとともに軸方向122に連通する。したがって、動力室117の液圧がリザーバに排出され、パワーピストン110が後退する。最後に、動力室117の液圧が大気圧となって、液圧倍力装置109が図示の非作動状態になる。
【0098】
液圧倍力装置109の液圧源(圧力源)の失陥時は、入力軸112の前進で第2弁座116を介して弁体114が前進してパワーピストン110に当接し、このパワーピストン110を直接押圧する。これにより、液圧倍力装置109は入力a軸112の入力を倍力することなく出力し、この出力によりプライマリインナピストン9が作動されるので、液圧源の失陥時にもMCY圧が確実に発生するようになる。
この第6例のMCY1およびブレーキシステムの他の構成、他の作動および他の作用効果は、それぞれ図6に示す第5例と同じである。
【0099】
図9は、本発明の実施の形態の第7例のブレーキシステムを示す、図4と同様の図である。
前述の各例のMCY1では、いずれも、プライマリピストンが互いに相対摺動可能に設けられたプライマリアウタピストン8およびプライマリインナピストン9の2部材から構成されているが、図9に模式的に示すようにこの第7例のMCY1では、従来周知の通常のタンデムマスタシリンダと同様にプライマリピストン128が単に一部材で構成されている。なお、このMCY1の非作動時に、MCY1の第1および第2MCY圧室32,37も、それぞれ、従来の通常のMCYと同様にあるいは前述の各例のMCY1と同様に第1および第2リザーバ接続口27,31を介してリザーバ147に連通するようになっている。
【0100】
また、前述の各例のMCY1では、いずれも、ストローク調整装置129のブレーキ力制御圧室40がMCY1内でプライマリアウタピストン8およびプライマリインナピストン9と同軸に設けられているが、この第7例のMCY1では、図9に示すようにストローク調整装置129のブレーキ力制御圧室40はプライマリピストン128の中心軸から外れた位置で、MCY1の外に外付けされて設けられている。
すなわち、第7例のMCY1のストローク調整装置129は、ハウジング130内にストローク調整ピストン131が設けられている。このストローク調整ピストン131は、一側に形成された大径ピストン部131aと他側に形成された小径ピストン部131bとからなる段付きピストンに形成されており、これらの大、小径ピストン部131a,131bは、それぞれ、ハウジング130の段付き軸方向孔(符号不付与)内にOリング135,136により液密にかつ摺動可能に配設されている。
【0101】
ハウジング130内には、大径ピストン部131aの図9において左側にMCY圧導入室133が設けられており、また、小径ピストン部131bの図9において右側にブレーキ力制御圧室40が設けられている。MCY圧導入室133はMCY圧導入通路134、ブレーキ液供給通路59および第1出力口34を介して第1MCY圧室32に常時連通されている。すなわち、MCY圧導入室133に導入されたMCY圧Pmが大径ピストン部131aに右方に作用するようになっている。また、ブレーキ力制御圧室40は、前述の各例と同様にブレーキ力制御圧導入口44を介してブレーキ力制御圧導入通路83に常時連通されている。すなわち、ブレーキ力制御圧室40に導入されたポンプ吐出圧であるブレーキ力制御圧Pp(WCY圧Pw)が小径ピストン部131bに左方に作用するようになっている。
【0102】
更に、ストローク調整ピストン131は制御スプリング(本発明の付勢手段に相当)132のばね力によって常時左方につまりMCY圧Pmの作用方向と対向する方向に付勢されており、MCY1の非作動時は、その左端がハウジング130に当接した図示の左限位置に設定されている。
更に、この第7例のMCY1は、前述の第5例の場合と同様に低サーボ比の負圧倍力装置85によって作動されるようになっている。すなわち、ブレーキペダル148の踏込によって入力軸90が左方へストロークすると、前述と同様に負圧倍力装置85が出力軸104から出力し、この出力によってMCY1のプライマリピストン128が作動するようになっている。
【0103】
そして、前述の第4例の場合と同様に、コントローラは、各センサからの各情報に基づいて、今回のブレーキ作動が通常(ノーマル)ブレーキ作動であるか、回生協調ブレーキ作動であるか、あるいはブレーキアシスト作動であるかを判断し、WCY圧Pwが予め設定されたブレーキ特性のうちその判断結果に応じたブレーキ特性の液圧に制御されるようにリリーフ弁付き切換弁62,62aを切換制御する。例えば、通常ブレーキ作動あるいは回生協調ブレーキ作動と判断した場合は、コントローラはWCY圧Pwがそれぞれ図5に示すブレーキ特性の液圧に制御されるように切換弁62,62aを切換制御する。これにより、前述の判断結果に応じたブレーキ特性のブレーキ力が得られるように、ブレーキ力制御が行われる。
【0104】
このとき、第1MCY圧室32のMCY圧Pmが第1出力口34、ブレーキ液供給通路59およびMCY圧導入通路134を介してストローク調整装置129のMCY圧導入室133に導入されて大径ピストン部131aに右向きに作用するとともに、制御されたブレーキ力制御圧Pp(WCY圧Pw)がブレーキ力制御圧導入通路83およびブレーキ力制御圧導入口44を介してブレーキ力制御圧室40に導入されて小径ピストン部131bに左向きに作用する。すると、ストローク調整ピストン131は右方へストロークし、MCY圧Pmによる力、ブレーキ力制御圧Ppによる力、大、小径ピストン部131a,131bのシール部の摺動抵抗力、および制御スプリング132のばね力がバランスする位置で停止する。そして、ストローク調整ピストン131が右方へストロークした分だけ、MCY1のブレーキ液が消費されることになる。
【0105】
この第7例のMCY1の作動時でのストローク調整ピストン131のバランス式は次のようになる。いま、
1:ストローク調整ピストン131の大径部131aの断面積(有効受圧面積)
2:ストローク調整ピストン131の小径部131aの断面積(有効受圧面積)
s:制御スプリング132のばね力
6:ストローク調整ピストン131の大径ピストン部131aの摺動抵抗力
7:ストローク調整ピストン131の小径ピストン部131bの摺動抵抗力
とすると、
m×A1=Pp×A2+Fs+f6+f7 (9)
【0106】
式(9)より明らかなように、この第7例のMCY1においては、同じMCY圧Pmでは、ブレーキ力制御圧PpつまりWCY圧Pwが小さいと、制御スプリング132のばね力Fsが大きくなる、つまりストローク調整ピストン131の右方へのストロークが大きくなり、また、WCY圧Pwが大きいと、制御スプリング132のばね力Fsが小さくなる、つまりストローク調整ピストン131の右方へのストロークが小さくなる。換言すると、この例のストローク調整装置129により、同じMCY圧Pmでは、WCY圧Pwが小さいときは、MCY1のブレ−キ液の消費量が大きくなるように制御され、WCY圧Pwが大きいときはMCY1のブレ−キ液の消費量が小さくなるように制御される。
【0107】
一方、回生ブレーキの非作動時、つまり通常ブレーキ作動時には、ポンプ75,75aが作動してWCY圧Pwが、所定の通常ブレーキ力が得られるように大きな液圧に制御される。この通常ブレーキ作動時では、ポンプ作動により大きなサーボ比が得られる。また、回生ブレーキの作動時にはポンプ75,75aが同様に作動してWCY圧Pwが増圧されるが、このとき回生ブレーキによるブレーキ力の分だけ、WCY圧Pwが通常ブレーキ作動時でのWCY圧Pwより小さい液圧になるように制御される。この回生協調ブレーキ作動時では、ポンプ作動により小さなサーボ比が得られる。
【0108】
そして、通常ブレーキ作動時にはWCY圧Pwが大きくなるのでWCY60,61,80,81のブレーキ液消費量が大きくなるが、このときにはWCY圧Pwが大きくなることから、ストローク調整装置129によりMCY1のブレ−キ液の消費量が比較的小さいので、全体としてのブレーキ液消費量は予め設定された所定の量となる。また、回生協調ブレーキ作動時にはWCY圧Pwが小さくなるのでWCY60,61,80,81のブレーキ液消費量が小さくなるが、このときにはWCY圧Pwが小さくなることから、ストローク調整装置129によりMCY1のブレ−キ液の消費量が比較的大きいので、全体としてのブレーキ液消費量は、前述の通常ブレーキ作動時でのブレーキ液消費量とほぼ同じになる。したがって、回生ブレ−キ作動時におけるMCY1のプライマリピストン128のストロークつまりブレーキペダル148のペダルストロークは、通常ブレーキ作動時でのそのストロークとほぼ同じに(近似するように)なり、ペダルストロークは通常ブレーキ作動時と回生協調ブレーキ作動時とでほとんど変化しない。
【0109】
また、ブレーキアシスト作動の場合は図5に示されていないが、WCY圧が通常ブレーキ作動時より大きくなるブレーキ特性となるとともに、ブレーキアシスト作動時のペダルストロークも通常ブレーキ作動時のペダルストロークとほぼ同じになるように制御される。
なお、第7例のストローク調整装置129のハウジング130はMCY1のハウジング2と兼用させる、つまりストローク制御装置129をMCY1のハウジング2にストローク調整ピストン131がプライマリピストン128の中心軸にはずれた位置となるように設けることもできる。
第7例のMCY1およびブレーキシステムの他の構成は第4例と同じである。
【0110】
このように構成された第7例のストローク制御装置129によれば、前述の各例に比べて次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、前述の各例では、プライマリアウタピストン8が式(4)から明らかなように3個所の摺動抵抗f2,f3,f4に影響されるかあるいは式(8)から明らかなように4個所の摺動抵抗f2,f3,f4,f5に影響されるが、この第7例のMCY1では、式(9)から明らかなようにストローク調整ピストン131の作動は2個所の摺動抵抗f6,f7だけに影響されるようになっている。したがって、第7例のストローク調整装置129では摺動抵抗の個所が前述の各例に比べて減少しているので、この第7例のストローク調整装置129によるストローク制御の精度が前述の各例よりも向上する。
【0111】
また、この第7例のストローク調整装置129はMCY1外でプライマリピストン128の中心軸から外れた位置に外付けされているので、MCY1内でプライマリインナピストン9と同軸に設けられている前述の各例のストローク調整装置129に比べて構造が簡単になり、組立性を向上できるとともにコストを低減できる。
第7例のMCY1とブレーキシステムの他の作動、およびこの第7例のストローク調整装置129の他の作用効果は、それぞれ第4例と同じである。
なお、この第7例では、ブレーキ倍力装置として負圧倍力装置85を用いているが、前述の液圧倍力装置109を用いることもできるし、また、ブレーキ倍力装置は省略することもできる。
【0112】
図10(a)ないし()は、それぞれ、本発明の実施の形態の第8ないし10例のストローク調整装置129を示す断面図である。
前述の第7例のストローク調整装置129では2つのOリング135,136でストローク調整ピストン131とハウジング130の軸方向孔の内周面との間が液密とされているが、図10(a)に示すようにこの第8例のストローク調整装置129では、ストローク調整ピストン131の大、小径ピストン部131a,131bとハウジング130の軸方向孔の内周面との間がメタルシール137,138により液密とされている。
また、この第8例ではスプリング132が大、小径ピストン部131a,131bの段部とハウジング130との間に縮設されている。
【0113】
この第8例のストローク調整装置129によれば、第7例のOリング135,136に比べて摺動抵抗を大幅に低減できるとともに、部品点数を削減できる。しかし、第8例のストローク調整装置129では、液密性が第7例より悪いので、液密性を向上させるためにハウジング130の軸方向孔の摺動面および大、小径ピストン部131a,131bの摺動面を高い面精度で加工する必要がある。
この第8例のストローク調整装置129の他の構成および他の作用効果は第7例と同じであるとともに、第8例のMCY1の構成およびブレーキシステムの他の構成と作用効果は第7例と同じである。
【0114】
図10(b)に示すように第9例のストローク調整装置129では、ストローク調整ピストン131の大、小径ピストン部131a,131bとハウジング130の軸方向孔の内周面との間が、大、小径ピストン部131a,131bにそれぞれ設けられたテフロンシール等のシールリング139,140により液密とされている。
この第9例のストローク調整装置129によれば、第8例のメタルシール137,138に比べて液密性は向上するが、摺動抵抗が第8例よりは小さくできない。
この第9例のストローク調整装置129の他の構成および他の作用効果は第8例と同じであるとともに、第9例のMCY1の構成およびブレーキシステムの他の構成と作用効果は第8例と同じである。
【0115】
図10(c)に示すように第10例のストローク調整装置129では、ストローク調整ピストン131の大、小径ピストン部131a,131bとハウジング130の軸方向孔の内周面との間が、大、小径ピストン部131a,131bにそれぞれ設けられたゴム性のカップシール141,142により液密とされている。
この第10例のストローク調整装置129によれば、第9例のシールリング139,140に比べて液密性は向上するが、摺動抵抗が第9例よりは小さくできない。
この第10例のストローク調整装置129の他の構成および他の作用効果は第9例と同じであるとともに、第10例のMCY1の構成およびブレーキシステムの他の構成と作用効果は第9例と同じである。
【0116】
図11は、本発明の実施の形態の第11例のストローク調整装置129を示す断面図である。
前述の第7例のストローク調整装置129ではストローク調整ピストン131の小径ピストン部131bにブレーキ力制御圧Pp(WCY圧Pw)を作用させているが、図11に示すようにこの第11例のストローク調整装置129では、ストローク調整ピストン131の大、小径ピストン部131a,131bの段部にブレーキ力制御圧Ppを作用させている。つまり、ブレーキ力制御圧室40が、この段部、小径ピストン部131bの外周およびハウジング130で囲まれて環状に形成されている。
【0117】
前述の第7例〜第10例では、リザーバへの洩れ箇所が、ストローク調整ピストン131の大径ピストン部131aと小径ピストン部131bの2個所であるのに対して、この第11例のストローク調整装置129では、小径ピストン部131bの1個所であるので、液密性が向上する。
この第11例のストローク調整装置129の他の構成および他の作用効果は第8例と同じであるとともに、第11例のMCY1の構成およびブレーキシステムの他の構成と作用効果は第8例と同じである。
【0118】
図12は、本発明の実施の形態の第12例のストローク調整装置129を示す断面図である。
前述の図10(a)に示す第8例のストローク調整装置129では、ストローク調整ピストン131がハウジング130の軸方向孔に直接摺動するようになっているが、この第12例のストローク調整装置129では、ハウジング130の軸方向孔にこのハウジング130とは別部材のシリンダ部材143が嵌合され、このシリンダ部材143の軸方向孔に、ストローク調整ピストン131の大、小径ピストン部131a,131bがそれぞれ液密にかつ摺動可能に設けられている。
【0119】
このように構成されたこの第12例のストローク調整装置129においては、ストローク調整ピストン131が摺動する部分を、ハウジング130とは別のシリンダ部材143で形成しているので、摺動面の加工をより正確にかつより簡単に行うことができるようになる。したがって、この第12例のストローク調整装置129は、加工性およびコスト面で前述の第9ないし13例のストローク調整装置129より優位となる。
この第12例のストローク調整装置129の他の構成および他の作用効果は第8例と同じであるとともに、第12例のMCY1の構成およびブレーキシステムの他の構成と作用効果は第8例と同じである。
【0120】
図13は、本発明の実施の形態の第13例のストローク調整装置129を示す断面図である。
前述の第12例では、ストローク調整ピストン131の大、小径ピストン部131a,131bがいずれもハウジング130の軸方向孔に嵌合されたシリンダ部材143に液密にかつ摺動可能に設けられているが、この第13例のストローク調整装置129では、図13に示すようにストローク調整ピストン131の大径ピストン部131aはハウジング130の軸方向孔に嵌合されたシリンダ部材143に液密にかつ摺動可能に設けられているとともに、ストローク調整ピストン131の小径ピストン部131bはハウジング130の軸方向孔に液密にかつ摺動可能に設けられている。
【0121】
また、前述の第11および第12例では、大、小径ピストン部131a,131bは、いずれも、それらの外周面が摺動する内周面との間がいずれもメタルシールでシールされているが、この第13例では、大径ピストン部131aの外周面がシリンダ部材143の軸方向孔の内周面との間をメタルシールでシールされているとともに、小径ピストン部131bの外周面とハウジング130の軸方向孔の内周面との間を弾性シールであるカップシール144でシールされている。これらのメタルシールとカップシール144とにより、ブレーキ力制御圧室40が画成されている。
【0122】
更に、前述の第11例ではスプリング132が収容されている室がリザーバ135に接続されている、この第13例ではスプリング132が収容されているスプリング室145は大気に連通している。
更に、このスプリング室145内には、スプリング受け部材146が設けられており、スプリング132およびスプリング受け部材146のみを変更するだけで、ストローク調整装置129の性能を種々任意に変更することができるようになっている。
【0123】
このように構成されたこの第13例のストローク調整装置129においては、小径ピストン部131bの外周面とハウジング130の軸方向孔の内周面との間をカップシール144でシールしているので、この間をメタルシールでシールする場合に比べて、より確実にブレーキ力制御圧室40の液漏れを防止することができるようになる。したがって、第1MCY圧室32のブレーキ液がブレーキ力制御圧室40に供給されるインライン方式では、ブレーキ力制御圧室40の液漏れが生じると、その分、第1MCY圧室32のブレーキ液が多く消費されるが、このようにブレーキ力制御圧室40の液漏れを防止できることで、第1MCY圧室32のブレーキ液の消費を抑制でき、MCY1のプライマリピストン9のストロークの増大つまりペダルストロークの増大を防止できるようになる。
【0124】
また、第13例のストローク調整装置129では、カップシール144によりストローク調整ピストン131の摺動抵抗が若干大きくなるが、ストローク調整ピストン131がMCY1に内蔵される場合に比べると、カップシールの数が少ないので摺動抵抗は小さい。
この第13例のストローク調整装置129の他の構成および他の作用効果は第11例と同じであるとともに、第13例のMCY1の構成およびブレーキシステムの他の構成と作用効果は第8例と同じである。
【0125】
図14は、本発明の実施の形態の第14例のストローク調整装置129を示す断面図である。
前述の第13例では、ストローク調整ピストン131の小径ピストン部131bがハウジング130の軸方向孔のみに液密にかつ摺動可能に設けられているが、この第14例のストローク調整装置129では、この小径ピストン部131bがハウジング130の軸方向孔とシリンダ部材143とに液密にかつ摺動可能に設けられている。
【0126】
また、前述の第13例では、小径ピストン部131bがカップシール144のみでハウジング130の軸方向孔に液密にされているが、この第14例のストローク調整装置129では、この小径ピストン部131bはカップシール144でハウジング130の軸方向孔にシールされているとともにメタルシール145でシリンダ部材143の軸方向孔にシールされている。この第14例では、大径ピストン部131aの前述のメタルシールとメタルシール145とでブレーキ力制御圧室40が画成されている。
【0127】
このように構成されたこの第14例のストローク調整装置129においては、メタルシール145から洩れたブレーキ力制御圧室40の液がカップシール144に作用するようになる。しかし、このカップシール144に作用する液の液圧はメタルシール145を通ることで前述の第13例に比べてより小さくなっている。したがって、ストローク調整ピストン131のカップシール144による摺動抵抗を小さくすることができる。
この第14例のストローク調整装置129の他の構成および他の作用効果は第13例と同じであるとともに、第14例のMCY1の構成およびブレーキシステムの他の構成と作用効果は第8例と同じである。
【0128】
図15は、本発明の実施の形態の第15例を示す、図4と同様の断面図である。
前述の各例と同様に、この第15例のMCY1およびブレーキシステムも第1MCY圧室32のブレーキ液をポンプで吐出するとともに、そのポンプ吐出圧を圧力制御弁でペダル踏力あるいはペダルストロークに応じて制御し、制御されたポンプ吐出圧をMCY1内のブレーキ力制御圧室40および各ホイールシリンダ60,61に供給するインライン方式が採用されている。
【0129】
この第15例のMCY1を具体的に説明すると、図15に示すように第15例のMCY1では、図4に示す第3例のMCY1のプライマリアウタピストン9に代えてこれに対応する筒状のプライマリピストン9がハウジング2の軸方向孔に液密にかつ摺動可能に設けられている。また、図7に示す第6例のMCY1の入力軸112がプライマリピストン9の軸方向孔に液密にかつ相対移動可能にハウジング2の外部から嵌挿されている。第3例と同じ制御スプリング13がこれらのプライマリピストン9および入力軸112の間に縮設されている。
【0130】
プライマリピストン9とセカンダリピストン20との間に形成される第1大気圧室23は、プライマリピストン9の小径孔9n、入力軸112に穿設された軸方向孔122および径方向孔123、プライマリピストン9とプラグ部材111との間の空間124およびハウジング2の通路孔125を介して常時リザーバ135(図9に図示)に連通している。
【0131】
この第15例のブレーキ力制御圧室40は、入力軸112の前方で、プライマリピストン9の軸方向の内周面と入力軸112の外周面との間に形成されている。そして、このブレーキ力制御圧室40は、プライマリピストン9に形成された径方向孔33および環状凹部55を介してブレーキ力制御圧導入口44に常時連通している。
【0132】
そして、第15例のMCY1においては、入力軸112に入力Wと制御スプリング13のばね力とが同方向に作用するとともに、ホイールシリンダ圧PWが入力軸112に入力Wおよび制御スプリング13のばね力に対向するように作用するようになっている。そして、ホイールシリンダ圧PWによる力および入力軸112の摺動抵抗と入力Wおよび制御スプリング13のばね力とがバランスするように、ホイールシリンダ圧PWが制御されるようになっている。
第15例のMCY1およびブレーキシステムの他の構成は、図4に示す第4例と同じである。
【0133】
この第15例のMCY1の作動時の入力軸112のバランス式は次のようになる。
W:入力軸112に加えられる入力
m:第1MCY圧室32のMCY圧
p:ブレーキ力制御圧室40の液圧(ポンプ吐出圧=WCY圧PW
3:ポンプ吐出圧Ppをそれぞれ受圧する入力軸112の大径部112aおよびプライマリピストン9の各受圧面積
4:MCY圧Pmを受圧するプライマリピストン10の受圧面積
s1:制御スプリング13のセット荷重
s2:プライマリピストン10の第1リターンスプリング17のばね力
1:制御スプリング13のばね定数
L:プライマリピストン9と入力軸112との相対移動量
8:入力軸112の摺動抵抗
9:プライマリピストン9の摺動抵抗
として、入力軸112のバランス式は、ポンプ吐出圧Ppの入力軸112に作用する力および入力軸112の摺動抵抗f8が入力Wおよび制御スプリング13のばね力(Fs1+K1・L)にバランスするように制御されるから、
W=Pp・A3−(Fs1+K1・L)+f8 (10)
式(10)より、
L=(Pp・A3−W−Fs1+f8)/K1 (11)
p=(W+Fs1+K1・L−f8)/A3 (12)
となる。また、プライマリピストン9のバランス式は、ポンプ吐出圧Ppのプライマリピストン9に作用する力が、マスタシリンダ圧Pmのプライマリピストン9に作用する力、制御スプリング13のばね力(Fs1+K1・L)、第1リターンスプリング17のばね力Fs2およびプライマリピストン9の摺動抵抗f9にバランスするように制御されるから、
p・A3=Pm・A4+Fs1+K1・L+Fs2+f9 (13)
となる。更に、式(12)および(13)により、
m・A4=W−Fs1−f8−f9 (14)
となる。
【0134】
式(11)から明らかなように、前述の各例と同様にポンプ吐出圧Ppつまり圧PWが大きくなるにしたがって、相対移動量Lが大きくなるから、入力軸112のストロークがポンプ吐出圧Ppに応じてプライマリピストン9のストロークより(ポンプ吐出圧に応じた相対移動量Lの分だけ)小さくなる。そして、相対移動量Lはポンプ吐出圧Ppが大きいほど大きくなるから、結局、ポンプ吐出圧Ppが大きいほど、入力軸112のストロークSiの短縮量が大きくなる。
【0135】
したがって、通常ブレーキ作動時および回生協調ブレーキ作動時におけるペダルストローク制御は次のようになる。
すなわち、通常ブレーキ作動時では回生ブレーキが作動していなくホイールシリンダ圧Pwが大きくなるように制御される、つまりポンプ吐出圧Ppが大きく制御されることから、入力軸112のストロークの短縮量が大きくなり、入力軸112のストロークが効果的に短縮される。したがって、通常ブレーキ作動時にはペダルストロークが効果的に短縮されるようになる。
【0136】
また、回生協調ブレーキ作動時ではポンプ吐出圧Ppが小さく制御されてホイールシリンダ圧Pwが減圧されるので、ポンプ吐出圧Ppによるブレーキ力が回生ブレーキによるブレーキ力の分だけ小さくなるように制御される。このとき、各ホイールシリンダ60,61;80,81のブレーキ液はそれぞれ第1および第2MCY圧室32,37に戻されるようになっているため、プライマリピストン9およびセカンダリピストン20のストロークは小さくなる。しかし、ポンプ吐出圧Ppが小さいため、入力軸112のストロークが小さくなるので、結局、回生協調ブレーキ作動時でのペダルストロークは通常ブレーキ作動時とほぼ同じになる。
このように、ペダルストロークは通常ブレーキ作動時と回生協調ブレーキ作動時とでほとんど変化することなく、ほぼ同程度になる。
【0137】
また、式(14)から明らかなように、MCY圧Pmが入力軸112の入力Wで決まるので、通常ブレーキ作動時と回生協調ブレーキ作動時とでホイールシリンダ圧Pwが変わってもペダル踏力は変化しない。
こうして、この第15例のMCY1においても、回生協調ブレーキの作動の有無に関係なく、ペダル踏力に対する車両減速度(つまりブレーキ力)およびペダルストロークがほぼ一定になる。
【0138】
そして、通常ブレーキ作動時は、ホイールシリンダ圧PWが比較的大きく制御されてポンプ吐出圧Ppが大きく制御されることから、前述のようにペダルストロークは比較的大きく短縮されて小さくなる。
【0139】
一方、回生協調ブレーキ作動時は、コントローラは第1増圧弁64をPWM制御により制御して、回生ブレーキ作動によるブレーキ力の分に見合うだけ、ポンプ吐出圧PPおよびホイールシリンダ圧PWを通常ブレーキ作動時より小さく制御する。これにより、この回生協調ブレーキ作動時は、各ホイールシリンダ60,61;80,81が発生するブレーキ力もその分小さくなる。したがって、回生協調ブレーキ作動時における全体のブレーキ力は回生ブレーキ力とMCY圧PMによるブレーキ力との合力となるが、この回生協調ブレーキ作動時における全体のブレーキ力は前述の通常ブレーキ作動時のブレーキ力とほぼ同じになる。このとき、前述のようにMCY圧PMが入力軸112の入力Wで決まるので、ホイールシリンダ圧PWが変わってもペダル踏力は変化しない。また、回生協調ブレーキ作動時でのペダルストロークは通常ブレーキ作動時でのペダルストロークとほぼ同じになる。
【0140】
以上のことから、第15例のマスタシリンダ1におけるペダル踏力−MCY圧特性は、通常ブレーキ作動時には比較的大きなMCY圧Pmが発生するので、図16(a)に実線で示すように同じペダル踏力に対して比較的大きなMCY圧Pmの特性となり、また、回生協調ブレーキ作動時には、前述の圧力制御弁47の切換設定を遅らせて比較的小さなMCY圧が発生される場合では、同図に点線で示すように同じペダル踏力に対して比較的小さなMCY圧Pmの特性となる。
【0141】
したがって、図16(c)に示すペダル踏力に対する全体のブレーキ力は図16(b)に実線で示すようになる。このとき、全体のブレーキ力におけるポンプ吐出圧によるブレーキ力は、通常ブレーキ作動時では全体のブレーキ力からブレーキ倍力装置の出力によるブレーキ力を除いた部分であり、また回生協調ブレーキ作動時では全体のブレーキ力からブレーキ倍力装置の出力によるブレーキ力と回生協調ブレーキ作動によるブレーキ力を除いた部分(点線で区画される部分)である。すなわち、回生協調ブレーキ作動時には通常ブレーキ作動時に比べて、ポンプ吐出圧によるブレーキ力は回生協調ブレーキ作動によるブレーキ力の分、小さくなる。
【0142】
一方、第15例のブレーキ増圧マスタシリンダ1におけるペダル踏力−ペダルストローク特性は、通常ブレーキ作動時ではプライマリピストン10のストロークが大きくなるにつれてペダルストロークが大幅に短縮されるので、図16(d)に実線で示すように比較的緩やかな勾配の特性となり、また、回生協調ブレーキ作動時ではMCY圧が小さく、プライマリピストン10のストロークが小さいが、プライマリピストン10のストロークに対するペダルストロークの短縮量が小さくなるようにストローク補正されるので、図16(d)に点線で示すように通常ブレーキ作動時のストロークとほぼ同じ程度の比較的緩やかな勾配の特性となる。このように、ペダル踏力−ペダルストローク特性は通常ブレーキ作動時と回生協調ブレーキ作動時とでほとんど変化することなく、ほぼ同じになる。
この第15例の他の作動および他の作用効果は、図4に示す第4例と実質的に同じである。
【0143】
なお、ブレーキ倍力装置としては、前述の負圧倍力装置85および液圧倍力装置109以外の他の倍力装置を用いることもできる。また、ブレーキシステムも、第4例以外の他のブレーキシステムを用いることもできる。
また、前述の各例では、いずれもマスタシリンダピストンをプライマリアウタピストン8とプライマリインナピストン9の2部材で構成するものとしているが、本発明のマスタシリンダは、回生協調ブレーキ作動時あるいはブレーキアシスト作動時にマスタシリンダピストンのストロークをホイールシリンダ圧で制御することで通常ブレーキ作動時のストロークと同じにすることができるものであれば、どのようなものにも適用できる。
【0144】
更に、前述の各例では、いずれもタンデム型のマスタシリンダを用いるものとしているが、本発明はマスタシリンダピストンが1つのシングル型のマスタシリンダにも適用できる。
更に、回生協調ブレーキ作動あるいはブレーキアシスト作動以外の、例えばエンジンブレーキ作動とうの他のブレーキ作動にも本発明のMCYを適用できる。
【0145】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のマスタシリンダによれば、ホイールシリンダ圧で作動制御されるストローク調整装置により、ホイールシリンダ圧が変化したとき、第1ピストン、すなわちマスタシリンダピストンのストロークを調整できるようになる。したがって、例えば通常ブレーキ作動、回生協調ブレーキ作動、あるいはブレーキアシスト作動等の他の種々のブレーキ作動によってホイールシリンダ圧が種々変化しても、マスタシリンダピストンのストロークを通常ブレーキ作動時のストロークと同じにすることができる。
【0146】
特に、請求項4ないし11の各発明によれば、ホイールシリンダ圧が変化したとき、第1ピストン、すなわちマスタシリンダピストンのストロークを通常ブレーキ作動時のストロークと同じにすることができるばかりでなく、このときマスタシリンダピストンに加えられる入力を、ホイールシリンダ圧が変化しても変化させないようにすることができる。したがって、この請求項4ないし11の各発明のマスタシリンダは種々のブレーキ作動に好適に採用することが可能となる。
【0147】
更に、請求項7ないし11の各発明によれば、ストローク調整装置をマスタシリンダの第1ピストンの中心軸から外れた位置に設けているので、マスタシリンダおよびストローク調整装置の構造を簡単にでき、組立性を向上させることができるとともにコストを低減できる。しかも、構造を簡単にできることにより、ストローク調整装置の摺動抵抗の個所を減少できるようになるので、ストローク調整装置によるストローク制御の精度をより向上させることができる。
【0148】
更に、請求項12の発明によれば、ポンプの失陥時は、マスタシリンダ圧をホイールシリンダに直接供給するようにしているので、ポンプが失陥しても、マスタシリンダ圧によってブレーキを作動させることができる。
更に、請求項13の発明によれば、ブレーキ倍力装置のサーボ比を通常ブレーキ作動のためのサーボ比より小さく設定できるので、より小型のブレーキ倍力装置を採用可能となる。
【0149】
更に、請求項14の発明によれば、ブレーキ倍力装置の圧力源の失陥時にはブレーキ倍力装置がブレーキ操作の操作力を倍力することなく出力するようにしているので、このブレーキ倍力装置の出力により第1ピストンを作動することができる。したがって、圧力源の失陥時にもマスタシリンダ液圧室にはマスタシリンダ圧を確実に発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るマスタシリンダの実施の形態の第1例におけるマスタシリンダを示す断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態の第2例のマスタシリンダを示す断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態の第3例のマスタシリンダを示す断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態の第4例を示し、図3に示す本発明の第3例のマスタシリンダを用いたブレーキシステムを示す図である。
【図5】 種々のブレーキ作動におけるブレーキ特性を示す図である。
【図6】 本発明の実施の形態の第5例を示し、図3に示す本発明の第3例のマスタシリンダとほぼ同じでかつ負圧倍力装置を組み合わせたマスタシリンダを示す断面図である。
【図7】 本発明の実施の形態の第6例を示し、図6に示す本発明の第5例のマスタシリンダと同じでかつ液圧倍力装置を組み合わせたマスタシリンダを示す断面図である。
【図8】 図7に示す第6例の部分拡大断面図である。
【図9】 本発明の実施の形態の第7例のブレーキシステムを示す、図4と同様の図である。
【図10】(a)ないし()は、それぞれ、本発明の実施の形態の第8ないし10例のストローク調整装置を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態の第11例のストローク調整装置129を示す断面図である。
【図12】本発明の実施の形態の第12例のストローク調整装置129を示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態の第13例のストローク調整装置129を示す断面図である。
【図14】本発明の実施の形態の第14例のストローク調整装置129を示す断面図である。
【図15】本発明の実施の形態の第15例を示す、図4と同様の断面図である。
【図16】図15に示すブレーキ増圧マスタシリンダのブレーキ特性を示し、(a)はペダル踏力に対するMCY圧特性を示す図、(b)はブレーキ力を示す図、(c)はペダル踏力を示す図、(d)はペダル踏力に対するペダルストローク特性を示す図である。
【符号の説明】
1…マスタシリンダ(MCY)、2…ハウジング、6…第1円筒状部材、7…第2円筒状部材、8…プライマリアウタピストン、9…プライマリインナピストン、13…制御スプリング、14…第3円筒状部材、15…第1カップシール、17…プライマリリターンスプリング、19…第4円筒状部材、20…セカンダリピストン、21…第2カップシール、22…セカンダリリターンスプリング、23…第1大気圧室、27…第1リザーバ接続口、28…第2大気圧室、31…第2リザーバ接続口、32…第1MCY圧室、34…第1出力口、35…径方向孔、37…第2MCY圧室、38…第2出力口、39…径方向孔、40…ブレーキ力制御圧室、44…ブレーキ力制御圧導入口、59…ブレーキ液供給通路、60,61,80,81…ホイールシリンダ(WCY)、62,62a…リリーフ弁付切換弁、64,64a…第1増圧弁、65,65a…第2増圧弁、68,68a…第1減圧弁、69,69a…第2減圧弁、75,75a…ポンプ、77,77a…開閉弁、78…第1圧力センサ、79,79a…第2圧力センサ、83…ブレーキ力制御圧導入通路、85…負圧倍力装置、109…液圧倍力装置、129…ストローク調整装置、131…ストローク調整ピストン、132…制御スプリング、144…カップシール、145…メタルシール

Claims (14)

  1. 入力が加えられてマスタシリンダ液圧室にマスタシリンダ圧を発生する第1ピストンを有し、前記マスタシリンダ圧をホイールシリンダに供給可能となっているマスタシリンダと、
    前記マスタシリンダ液圧室のブレーキ液を前記ホイールシリンダに吐出してホイールシリンダ圧を発生するポンプと、
    前記マスタシリンダ液圧室のマスタシリンダ圧が作用する受圧面と、前記ホイールシリンダのホイールシリン圧が前記マスタシリンダ圧が作用する向きと逆向きに作用する受圧面とを有する第2ピストンと、
    前記第2ピストンを前記マスタシリンダ圧が作用する方向と対向する方向に付勢して前記第2ピストンの移動を制御することで前記第1ピストンのストロークを制御する付勢手段とを備え、
    前記第2ピストンの移動により前記マスタシリンダのブレーキ液の消費量を制御することで前記第1ピストンのストロークを制御することを特徴とするマスタシリンダのストローク調整装置。
  2. 前記第2ピストンが前記マスタシリンダ内で前記第1ピストンと同軸に設けられていることを特徴とする請求項1記載のマスタシリンダのストローク調整装置。
  3. 前記第2ピストンは、前記第1ピストンに液密にかつ相対摺動可能に設けられており、
    前記第2ピストンに前記ホイールシリンダ圧を作用させてこの第2ピストンを前記第1ピストンに対して相対摺動させて前記マスタシリンダのブレーキ液の消費量を制御することで前記第1ピストンのストロークを調整することを特徴とする請求項2記載のマスタシリンダのストローク調整装置。
  4. 前記第2ピストンは外周段部を有して筒状に形成されているとともに前記ハウジングの軸方向孔またはこのハウジングに固定される筒状部材の内孔に液密にかつ摺動可能に嵌合され、前記第1ピストンは前記第2ピストン内に液密にかつ相対摺動可能に嵌合されており、
    前記第2ピストンの外周段部によって前記第2ピストンの外周と前記ハウジングの軸方向孔の内周または前記筒状部材の内孔の内周との間に形成され、前記ホイールシリンダ圧が導入されるブレーキ力制御圧室を備えているとともに、このブレーキ力制御圧室に導入された前記ホイールシリンダ圧が前記第2ピストンの外周段部に作用させて前記マスタシリンダのブレーキ液の消費量を制御することで前記第1ピストンのストロークを調整することを特徴とする請求項3記載のマスタシリンダのストローク調整装置。
  5. 前記第2ピストンは内周段部を有する筒状に形成されているとともに、前記第1ピストンは前記第2ピストン内に液密にかつ相対摺動可能に嵌合されており、
    前記第2ピストンの内周段部によって前記第2ピストンの内周と前記第1ピストンの外周との間に形成され、前記ホイールシリンダ圧が導入されるブレーキ力制御圧室を備えているとともに、このブレーキ力制御圧室に導入された前記ホイールシリンダ圧が前記第2ピストンの内周段部に作用させて前記マスタシリンダのブレーキ液の消費量を制御することで前記第1ピストンのストロークを調整することを特徴とする請求項3記載のマスタシリンダのストローク調整装置。
  6. ブレーキ操作力による入力でストロークする入力軸が前記第1ピストンに対して相対移動可能に設けられているとともに、前記付勢手段は、前記入力軸と前記第1ピストンとの間に縮設された、前記入力軸のストロークを制御する制御スプリングであり、
    前記入力軸に前記入力と前記制御スプリングのばね力とが同方向に作用するとともに、前記ホイールシリンダ圧が前記入力軸に前記入力および前記制御スプリングのばね力に対向するように作用するようになっており、前記ホイールシリンダ圧による力と前記入力および前記制御スプリングのばね力とがバランスするように前記ホイールシリンダ圧が制御されることを特徴とする請求項2記載のマスタシリンダのストローク調整装置。
  7. 前記第2ピストンは、前記第1ピストンの中心軸から外れた位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のマスタシリンダのストローク調整装置。
  8. 前記第2ピストンは、その一側が大径ピストン部に形成されているとともにその他側が小径ピストン部に形成されており、前記大径ピストン部に前記マスタシリンダ圧が作用されるとともに、前記小径ピストン部に前記ホイールシリンダ圧が作用するようになっていることを特徴とする請求項記載のマスタシリンダのストローク調整装置。
  9. 前記第2ピストンは、その一側が大径ピストン部に形成されているとともにその他側が小径ピストン部に形成されており、前記大径ピストン部に前記マスタシリンダ圧が作用されるとともに、前記大径ピストン部と前記小径ピストン部との段部に前記ホイールシリンダ圧が作用するようになっていることを特徴とする請求項記載のマスタシリンダのストローク調整装置。
  10. 前記第2ピストンを前記マスタシリンダ圧の作用方向と対向する方向に付勢する前記付勢手段が設けられており、前記マスタシリンダ圧による力が前記ホイールシリンダ圧による力および前記付勢手段の付勢力にバランスするように、前記ホイールシリンダ圧が制御されることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1記載のマスタシリンダのストローク調整装置。
  11. 前記大径ピストン部はメタルシールでシールされているとともに、前記小径ピストン部はメタルシールおよび弾性シールの少なくとも1つでシールされていることを特徴とする請求項8または9記載のマスタシリンダのストローク調整装置。
  12. 前記ポンプの失陥時には、前記マスタシリンダ圧が前記ホイールシリンダに供給されるようになっていることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1記載のマスタシリンダのストローク調整装置。
  13. 前記入力は、圧力源の圧力で前記ブレーキ操作の操作力を所定のサーボ比で倍力して出力するブレーキ倍力装置の出力により前記第1ピストンに加えられるようになっているとともに、前記サーボ比は通常ブレーキ作動のためのサーボ比より小さく設定されていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1記載のマスタシリンダのストローク調整装置。
  14. 前記ブレーキ倍力装置は前記圧力源の失陥時に前記ブレーキ操作の操作力を倍力することなく出力することを特徴とする請求項13記載のマスタシリンダのストローク調整装置。
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