JP3909728B2 - 印刷配線基板の製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子部品を実装して電子機器を構成するための印刷配線基板の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、各種の電子機器には、プリント配線基板などの印刷配線基板が、電子機器を構成するために必要な電子部品を実装するために用いられている。電子部品は、たとえば半導体集積回路化され、高度の機能を有するようになってきているけれども、他の部品と組合せて使用する必要がある以上、印刷配線基板に実装することが必要となる。印刷配線基板としては、電子部品の高集積化、小形化などに併せ、高密度でかつ高精度に導体パターンを形成することができる必要がある。
【0003】
図5は、従来の印刷配線基板の製造方法として、最も広く行われているサブトラクティブ等の概要を示す。図5(1)に示すような銅張積層板1を先ず製造する。銅張積層板1は、表面にCu(銅)箔2を貼り付けたポリイミドシートあるいはガラスエポキシシートなどの樹脂積層板3から成る。Cu箔2の表面には、図5(2)に示すように、レジスト材4によるパターンが形成される。レジスト材4は、たとえばホトレジスト材であり、始めCu箔2の表面の全面に塗布した後、配線パターンに対応する形状で硬化するように光学的なパターン形成を行う。硬化しなかった部分は、薬液で溶解して除去する。この薬液は、Cu箔2に対しては殆ど影響しないものを用いる。
【0004】
図5(3)に示すように、レジスト材4が形成された後、レジスト材4は溶解しないで、Cu箔2を溶解するエッチング材で、レジスト材4で覆われていないCu箔2を除去する。さらに図5(4)に示すように、エッチングによって除去された後残留しているCu箔2の表面のレジスト材4を薬液処理によって除去し、樹脂積層板3上にCu箔2による配線パターンを形成する。エッチングによる配線パターンの形成では、図5(5)に示すように、配線パターンとして残るCu箔2の側面に対してもエッチングが進行し、配線パターンの高密度化は困難である。
【0005】
図6は、セラミックシート上に配線パターンを形成する製造工程を示す。図6(1)は、アルミナなどのセラミックシートの焼成前の状態であるグリーンシート5の表面に、ステンレスメッシュなどを用いるスクリーン6で支える印刷用版下7を付着させようとしている状態を示す。図6(2)は、グリーンシート5上にスクリーン6によって支持する印刷用版下7を接触させ、導電性ペースト8を印刷してパターンを形成している状態を示す。導電性ペースト8は、金属粒子とバインダとなる樹脂と溶剤とから構成する。図6(3)に示すように、グリーンシート5上に塗布された導電性ペースト8は、シルクスクリーン6および印刷用版下7を除去すると、流動性によって平坦化され、溶剤が蒸発して金属粒子とバインダとによる被膜が形成される。図6(4)に示すように、グリーンシート5を約1000℃程度で焼成すると、導電性ペースト8も焼成されてバインダが除去され、導電性パターン10が得られる。導電性パターン10は、金属粒子が焼結した状態であり、必要に応じてさらに金属のメッキなどが行われる。
【0006】
図5のようなサブトラクティブ法では、図5(2)に示すようなレジスト材4のパターンを形成するために、印刷あるいはホトエッチングの工程が必要であり、その際に印刷用版下あるいはホトエッチング用版下が必要となる。また図6の方法でも、印刷用版下7が必要となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の印刷配線基板の製造方法では、印刷やエッチングの工程が必要であり、また版下も必要とする。印刷配線基板が必要とする配線パターンの密度が高くなり、かつ高精度が要求されるようになると、版下の製造も高密度、かつ高精度が要求され、製造コストが上昇するとともに製造に要する時間も長くなる。
【0008】
このような版下を必要としないドライ方式、特に電子写真方式も含む静電記録法を印刷配線基板の製造に応用する考え方も従来から各種提案されているけれども、実用化はされていない。その理由として考えられるのは、従来、静電記録法(電子写真方式を含む)に採用されている乾式の現像方式では、トナーの付着量の制御が困難なことである。従来の各方式に採用されている現像方式では、高絶縁性トナーに摩擦帯電によって電荷を与え、その電荷と感光体表面の電荷との静電的吸着力を利用する。しかしながら、導電性金属粒子を重量比で80%以上含むトナーに均一な高帯電量を、摩擦で与えることは非常に困難である。この結果として、感光体へのトナー付着量は少なくなって、また不均一となり、さらに不要部分への付着が多くなってしまう。また、一般的な現像方式として、2成分型現像方式があるが、従来の複写印刷用のトナーでは比重が真比重で1前後であるのに対し、金属を主体とするトナーでは比重が6以上となり、従来のトナーとキャリアの混合体を用いて穂を形成し、その穂で感光体表面を集刷する方式では、高比重のトナーの持つ運動エネルギが大きいので、トナーがその穂から離脱して制御不能になり、制御不能の状態で感光体上に付着するからであると考えられる。現像ローラ上のトナーを像受容体に飛翔させる方式においても、高比重トナーのために、大きなエネルギを必要とし、実現は不可能である。
【0009】
本発明の目的は、電子写真方式を利用して配線パターンを高密度、高精度かつ安価に製造することができる印刷配線基板の製造装置を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
現像ローラと、
導電性の供給ローラと、半導電性ゴム材料からなり、電位が印加されて供給ローラに付着する現像剤量を規制する現像剤量規制ブレードとを含み、導電性金属粒子を主成分として、表面が電気絶縁性樹脂被膜で覆われる現像剤粒子に電荷注入方式で電荷を付与してから、現像剤粒子を現像ローラの表面上に2〜3層の薄い層として形成する薄層形成手段と、
配線パターンに対応する形状の静電潜像が形成され、現像ローラと接触して静電潜像を現像剤粒子像として顕像化させて付着させることおよび光学的な静電潜像の形成が可能な像受容体と、
像受容体上に付着している現像剤粒子を、1成分接触現像方式で電気絶縁性基体上に転写して現像剤粒子像を形成する転写手段と、
転写手段によって電気絶縁性基体上に転写された現像剤粒子像を加熱して、電気絶縁性樹脂を除去し、導電性金属粒子を焼結させて、電気絶縁性基体上に導電性の配線パターンを形成する加熱手段とを含むことを特徴とする印刷配線基板の製造装置である。
【0019】
本発明に従えば、現像ローラ表面の現像剤粒子の薄層を電気的に制御して電気絶縁性基体上に現像剤粒子像を形成し、現像剤粒子像を加熱溶融して導電性の配線パターンを形成することができるので、版下などを必要とせず、高精度に高密度の配線パターンを得ることができる。また、本発明に従えば、像受容体は感光体であるので、電気写真方式等に従って、配線パターンに対応する静電潜像を光学的に形成することができる。薄層形成手段は、現像ローラ上に、安定に現像剤の薄層を形成することができる。また、本発明に従えば、半導電性ゴム材料からなり、電位が印加されて供給ローラに付着する現像剤量を規制する現像剤量規制ブレードを用いることによって、本発明で使用するような現像剤粒子を用いても、導電性金属粒子を覆う電気絶縁性の樹脂層がブレークダウンを起こすことがなく、現像剤粒子に充分な荷電を与えることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明においては、配線パターンに対応する形状の静電潜像を像受容体上に形成し、現像ローラ上から現像剤粒子を1成分接触現像方式で像受容体上に付着させ、像受容体上に現像剤粒子像を形成して、電気絶縁性基体上に転写するので、高密度かつ高精度の現像剤粒子像を容易に形成することができる。像受容体上に静電潜像を形成する方法としては、光導電性材料を表面に有し、光学像を照射することにより静電潜像を形成する感光体を用いるような、電子写真方式の複写機やレーザプリンタなどで広く利用されている方法を適用することができる。特にレーザプリンタなどの方法を利用すれば、プリント配線基板を設計するCAD装置からの出力で直接配線パターンを形成することも可能となる。
図1は、本発明の実施の一形態としての印刷配線基板製造装置の概略的な構成を示す。像受容体である感光ドラム11は、表面に光導電性材料による皮膜が形成されている。感光ドラム11の周囲には、現像器12、帯電器13が設けられ、現像器12から供給される現像剤粒子であるトナーを、電気絶縁性基体であるグリーンシート14の表面に転写させる。感光ドラム11は、図1の時計まわり方向に回転し、感光ドラム11の表面に付着している余分のトナーは、清掃器16で除去される。感光ドラム11の回転とともに、グリーンシート14は図1の左方向に搬送され、定着器17の加熱ローラ18および加圧ローラ19間で加熱・加圧され、表面に付着しているトナーの定着が行われる。トナーが表面に定着されたグリーンシート14は、さらに焼成装置20内で焼成される。グリーンシート14が、アルミナを主成分とするセラミックシートの焼成前の状態であるとき、焼成装置20の焼成温度は約1000℃となる。
【0023】
現像器12では、粒状のトナー21がトナー容器22に貯留され、供給ローラ23を介して現像ローラ24の表面に供給される。供給ローラ23は、導電性繊維25が植毛されて形成され、トナー21を荷電させる。トナー量規制ブレード26は、供給ローラ23に付着するトナーの量を規制する。トナー厚規制ブレード27は、現像ローラ24の表面に付着するトナー21の厚みを規制する。トナー量規制ブレード26およびトナー厚規制ブレード27には、半導電性(106 〜108 Ω)のゴム材料が用いられる。通常、このような規制ブレードには金属材料が用いられるが、本件トナー21のような低抵抗粒子が使用される場合は、金属粒子を覆う電気絶縁性の樹脂層がブレークダウンを起こしてしまい、トナー21に充分な荷電を与えることができない。また、トナー量規制ブレード26には、トナー21に荷電を与えるために、電位が印加される。清掃器16のブレード28は、回収されるトナー21の電荷をリセットするためのものであり、半導電性材料で形成され、接地されるか、あるいは電位が印加される。
【0024】
現像ローラ24は、たとえば弾性を有する半導電性(106 〜108 Ω)のゴム材料で形成され、トナー厚規制ブレード27も弾性を有するゴム材料で形成される。現像ローラ24の表面には、粒子層として2〜3層となる均一な厚みのトナー層が形成される。供給ローラ23によるトナー21への電荷付与は、摩擦帯電や電荷注入方式を主体として行われる。電子写真方式で一般的に行われるトナーの電荷付与は、▲1▼摩擦帯電、▲2▼電荷注入、▲3▼分極、▲4▼電荷誘起等が考えられている。通常用いられるのは▲1▼の摩擦帯電であるけれども、摩擦帯電方式を成立させるためには、トナー自身が高絶縁性であり、あるいは使用する樹脂の摩擦帯電系列を考慮する必要があるなど、金属粒子を主体とするトナーに対してはかなりの制約となる。▲2▼の電荷注入方式は、現時点ではトナー電荷付与がどのように行われているか良く判っていない点があるけれども、本実施形態のように導電性繊維25を表面に植毛した供給ローラ23で電荷注入を行うと、トナー21の表面がある程度の電気絶縁性を有して、ブレークダウンしなければ、そのトナー21を所定の電界中に移動させることによって、トナー21に電化を与えることが可能となる。これによって、トナー21には所定の極性に均一に帯電させることが可能となる。したがって、トナー21としては、現像時では電荷注入が可能な半導電性を示し、転写時には絶縁性の性質を示すことが好ましい。
【0025】
またトナー層は、現像ローラ24の表面に、トナー21の層厚が粒子層として2〜3層という薄層で存在し、しかも均一に帯電している。所定の付着量の現像を行い、転写されるトナー像の精度を高める要求に対しては、必要最小限の量しか現像ローラ24の表面に存在しないために、感光ドラム11上の静電潜像に対応して現像されるトナーの量を単位面積あたりの付着トナー量として容易に制御することができる。
【0026】
感光ドラム11上に静電潜像を形成するために、先ず帯電器13で感光ドラム11の表面を均一に帯電させ、光照射30によって配線パターンに対応する静電潜像を形成する。形成された静電潜像には、現像ローラ24の表面に均一に帯電しているトナーが吸引され、高精度のトナー像を形成する現像を行うことができる。このトナー像は、前述のように、電気絶縁性基体であるグリーンシート14に転写、定着され、導電性の配線パターンが形成される。このように、本発明では、電気的な制御によってトナー像を形成するので、印刷用版下やエッチング用版下などを製造する必要がなく、また現像ローラ24上に薄層化されるトナーからトナー像が形成されるので、高密度のトナー像を精度良く形成できる。
【0027】
図2は、図1の印刷配線基板製造装置で印刷配線基板を製造する過程での各部の状態を示す。図2(1)は、現像ローラ24の表面に粒子層として形成されるトナー21の状態を示す。各トナー21は、金属粒子31の表面に樹脂被膜32がコーティングされて形成される。このようにトナー21の粒子は、たとえば銅などの金属の比率が90%、平均粒径9μmの粒子である。このような粒子状のトナー21は、トナー厚規制ブレード27によって厚みが規制され、現像ローラ24の表面に粒子層として2〜3層という薄い層で付着している。
【0028】
図2(2)は、感光ドラム11の表面に形成されている静電潜像によって、現像ローラ24の表面のトナー21を静電的に移行させ、トナー21による像を感光ドラム11の表面に形成している状態を示す。このトナー像は、図2(3)に示すようにグリーンシート14上に転写される。この転写の際には、転写器15による静電的な吸引力を利用する。グリーンシート14の表面に付着したトナー像は、定着器17で加熱ローラ18によって加熱され、樹脂被膜32が部分的に溶融して定着される。さらに図2(4)に示すように、グリーンシート14およびトナー21を、たとえば1000℃で焼成すると、焼成セラミックシート33上に金属粒子31のみが残留し、導電性の配線パターンが得られる。本実施形態では、約2μm厚の均一な金属パターンが得られている。このように、本発明では、セラミックシートの焼成前のグリーンシート14の状態でトナー像を形成するので、可撓性がある状態で表面にトナー像を容易に形成できる。そして、セラミックシートを焼成によって製造する際に、トナー像も導電性パターンに変化し、硬質のセラミック基板上に高密度かつ高精度に配線パターンを形成できる。
【0029】
本実施形態のトナー21は、次のような製法で製造する。
▲1▼金属粒子(3μm以上)の表面をスチレンアクリル樹脂でコートする。
▲2▼金属粒子微粉(2μm以下)をスチレンアクリルと熱混練し、その後粉砕して10μm前後に粒子化する。
【0030】
以上のような2つの方法で、本実施形態のトナー21を製造することができる。金属粒子31の材料としては、銅(Cu)の他に、銀パラジウム(Ag−Pd)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)あるいは錫(Sn)など、通常電子配線基板に使用するような金属材料であればどのようなものでも使用することができる。特に亜鉛、錫、インジウム(In)などを使用すれば、300℃程度以下の低温でも、トナー像の導電性パターン化処理を行うことができる。
【0031】
なお、金属粒子31を含むトナー21の製造法は、基本的に、次のような方法で可能である。
(1)熱混練法
1)金属/樹脂を溶融混練
2)高速気流で粉砕
3)分球
金属粒子面をチタン(Ti)系のカップリング剤で処理する必要がある。金属表面を疎水性にする必要があるからである。
(2)湿式法
1)金属および樹脂を低沸点有機溶剤中で均一混合・分散
2)水中で上記分散液を分散させ、ミクロン(μm)オーダーの粒子を形成
3)有機溶剤除去
4)乾燥
金属粒子の表面をチタン系のカップリング剤で処理する必要がある。
(3)衝撃コート法
1)金属粒子と微小樹脂粒子を高速混合(金属表面に樹脂を付着させる)
2)上記粒子に衝撃力あるいは外部圧力で樹脂を溶融させ成膜させる
衝撃コート法用装置として、奈良機械社製造の「ハイブリダイザーション」や細川ミクロン社製造の「メカノフュージョン」などが使用可能である。
(4)物理化学法(乾式)
1)金属粒子表面に樹脂をヘテロ凝集させる
2)上記粒子に熱あるいは溶剤にて樹脂を成膜させる
(5)重合法
1)金属粒子を含む樹脂モノマー相に疎水性反応物を溶解させる
2)この溶液を親水性反応物を含む水中に分散させ、カプセル膜(ポリマー)を形成させる。
【0032】
図3は、本発明の実施の他の形態の印刷配線基板製造装置の概略的な構成を示す。図1の実施形態に対応する部分には同一の参照符を付し、重複した説明を省略する。本実施形態では、電気絶縁性基体として、ポリイミドやガラスエポキシなどの合成樹脂による絶縁基板34を使用する。絶縁基板34には、直接感光ドラム11が接触しないで、転写ドラム35を介してトナー像の転写が行われる。転写ドラム35内には、熱源36が設けられ、加圧ローラ37との間で絶縁基板34を挟んで、トナー像の加熱および加圧を行う。このような転写ドラム35は、ベルト状に形成することもできる。転写用の中間媒体を用いると、最終の被転写体である絶縁基板34が厚い場合、および非常に堅い場合であっても良好にトナー像の転写を行うことができる。
【0033】
通常転写は、静電的に行うけれども、絶縁基板34が厚い場合には静電気的に転写を行うことは困難である。像受容体から中間媒体への転写は静電気的に行い、次いで中間媒体から、熱的に、絶縁基板34に転写を行う。被転写体が非常に堅い場合には、感光ドラム11を直接接触させて転写させる方式では、感光ドラム11を著しく傷つける恐れがある。中間媒体を用いれば、感光ドラム11などの感光体を損ねる恐れを解消させることができる。
【0034】
絶縁基板34上に転写・定着されたトナー像は、加熱装置38で、絶縁基板34の耐熱温度を越えない予め定める範囲の温度、たとえば絶縁基板34の材料がポリイミドであれば、500℃程度に加熱して、樹脂被膜32を除去させる。また、得られる配線パターンの付着性を改善するため、絶縁基板34の表面をプラズマ処理などで粗くしたり、プライマ処理などを行うこともできる。このように、本発明によれば、ポリイミドやガラスエポキシなどの耐熱性合成樹脂材料の表面にトナー像を形成し、耐熱性合成樹脂材料の耐熱温度を越えない予め定める温度範囲で加熱溶融させて配線パターンを形成できる。また、紙エポキシ基板、ガラスエポキシ基板、フェノール基板等の柔軟性のない固い基板に感光体ドラム11上のトナー像を転写する場合には、いったんトナー像をシリコン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネイト樹脂等で形成される中間転写ベルト上に転写し、その像を電気絶縁性気体上に転写する方式が望ましい。また、中間転写ベルトに代えて、転写ドラムを使用することも有効である。中間転写を利用する方式では、感光体ドラム11などの像受容体の長寿命化を図ることができる。
【0035】
本発明に適用可能なトナーおよび被転写体についてまとめると、次の表1が得られる。なお、従来から磁性トナーとして、マグネタイトを最大で65wt.%含有したトナーは存在する。ただし、マグネタイトは比較的抵抗値が高く、中抵抗である。マグネタイトの比重は5.2である。
【0036】
トナー用の金属としては、表1に示すものの他に、比重が2.69で融点が660℃であるアルミニウム(Al)や、比重が12.03で融点が1555℃であるパラジウム(Pd)を使用することもできる。トナーは、金属粒子をたとえばスチレンアクリル共重合体で樹脂でコートし、電荷制御剤を加え、さらに流動性向上のためにシリカ粉を表面に付着させることが好ましい。
【0037】
【表1】
Figure 0003909728
【0038】
図4は、本発明の実施のさらに他の形態として、以上説明した各実施形態と同様にトナー21によって導電性の配線パターンを形成するとともに、さらにその上に、トナーの導電性を調整して、図4(1)に示すような抵抗素子40を形成したり、完全に電気絶縁性のトナーを用いて誘電体層を形成し、図4(2)に示すようなコンデンサ素子50を形成する考え方を示す。抵抗素子40を形成するためのトナー41は、電気抵抗が大きいタングステン(W)などの金属粒子を用いる。トナー41の焼成後に抵抗値を測定しながら、レーザなどを用いてトリミングを行うと、抵抗値を高精度に調整することができる。コンデンサ50は、誘電体層形成用のトナー51を焼成後に導電性となるトナー21の層の間に介在させ、比較的小さい面積でも静電容量を大きくすることができる。
【0039】
抵抗用のトナー41および誘電体用のトナー51は、厚膜集積回路を形成する際に導電用ペーストとともに用いる抵抗体ペーストおよび誘電体ペーストと、焼成後に同等の機能を有するようになる。ただし、従来の厚膜集積回路ではスクリーン印刷法で各ペーストのパターンを形成するので、高精度で高密度のパターンを形成することは困難である。本実施形態では、トナー21,41,51を、マスクなどを使用しないでも、高精度で高密度にパターン化することができる。
【0040】
また、本発明を適用すれば導電率の高いパターンを細く形成することができるので、たとえば透明なガラス基板上に不透明な配線パターンを形成しても、全体としての透明性をあまり損なわずに導電性を付与することができる。したがって、従来は透明電極を形成していたような用途についても、本発明を適用することができる。
【0041】
【発明の効果】
また本発明によれば、像受容体上に静電潜像を形成して、現像剤粒子によって現像し、現像されて形成される現像剤粒子像を電気絶縁性基体上に転写して電気絶縁性基体上の現像剤粒子像を形成するので、静電潜像の形成の際に電子写真方式として広く用いられている技術を利用することができる。
【0042】
また本発明によれば、セラミック基板上に配線パターンを形成する際に、版下を用いないで高密度かつ高精度の配線パターンを形成することができる。
【0043】
また本発明によれば、耐熱性合成樹脂基板上に高密度かつ高精度の配線パターンを、版下を用いないで容易に形成することができる。
【0044】
さらに本発明によれば、現像ローラの表面の現像剤粒子の薄層から、電気的な制御で形成される現像剤粒子像を加熱溶融して導電性の配線パターンを形成することができるので、版下などを必要とせず、高精度で高密度の配線パターンを得ることができる。
【0045】
また本発明によれば、電子写真方式の複写機やレーザプリンタなどと同様の構成で、高密度かつ高精度の配線パターンを有する印刷配線基板を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の印刷配線基板製造装置の概略的な構成を示す簡略化した断面図である。
【図2】図1の実施形態で印刷配線基板の製造工程を示す簡略化した断面図である。
【図3】本発明の実施の他の形態の印刷配線基板の製造装置の概略的な構成を示す簡略化した断面図である。
【図4】本発明の実施のさらに他の形態の印刷配線基板の概略的な構成を示す簡略化した断面図である。
【図5】従来からのサブトラクティブ法による印刷配線基板の製造工程を示す簡略化した断面図である。
【図6】従来からの導電ペーストの印刷によるセラミック基板上への配線パターンの形成工程を示す簡略化した断面図である。
【符号の説明】
11 感光ドラム
12 現像器
14 グリーンシート
17 定着器
20 焼成装置
21,41,51 トナー
23 供給ローラ
24 現像ローラ
25 導電性繊維
27 トナー厚規制ブレード
30 光照射
31 金属粒子
32 樹脂被膜
33 焼成セラミックシート
34 絶縁基板
35 転写ドラム

Claims (1)

  1. 現像ローラと、
    導電性の供給ローラと、半導電性ゴム材料からなり、電位が印加されて供給ローラに付着する現像剤量を規制する現像剤量規制ブレードとを含み、導電性金属粒子を主成分として、表面が電気絶縁性樹脂被膜で覆われる現像剤粒子に電荷注入方式で電荷を付与してから、現像剤粒子を現像ローラの表面上に2〜3層の薄い層として形成する薄層形成手段と、
    配線パターンに対応する形状の静電潜像が形成され、現像ローラと接触して静電潜像を現像剤粒子像として顕像化させて付着させることおよび光学的な静電潜像の形成が可能な像受容体と、
    像受容体上に付着している現像剤粒子を、1成分接触現像方式で電気絶縁性基体上に転写して現像剤粒子像を形成する転写手段と、
    転写手段によって電気絶縁性基体上に転写された現像剤粒子像を加熱して、電気絶縁性樹脂を除去し、導電性金属粒子を焼結させて、電気絶縁性基体上に導電性の配線パターンを形成する加熱手段とを含むことを特徴とする印刷配線基板の製造装置。
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