JP3909085B2 - 高負荷内燃機関用の軽金属ピストン - Google Patents

Description

本発明は，請求項１の上位概念部に記載した高負荷内燃機関用の軽金属ピストンに関する。
本願の優先権時点においてはまだ公開されていないドイツ連邦共和国特許出願公開第43 27 772号明細書は，以下の技術水準から出発するものである。実地において公知の軽金属ピストンにおいては，−点火圧力によって生ずる機械的な負荷に耐え得るようにするために−種々の手段が講じられていて，一面では，特にピストンピンボスのき裂を生じることのあるピストンピンのたわみを減少させ，他面では，燃焼室凹所のき裂を防止するようになっている。このために，このような軽金属ピストンは例えば，ピストンピンボスの孔内にブッシュを備え，かつ，燃焼室凹所を付加的に補強してある。
ドイツ連邦共和国特許第36 09 019号明細書によれば，ボスのき裂を回避するために，ボス孔内にそれぞれ両側でボス孔の内方端部からくぼみ形の凹所を形成し，これらの凹所がボス孔長手方向である程度の長さにわたって延びているようにすることが公知である。これらの凹所と，ボス孔のピストン外面側の端部とは，ボス孔内の相応する溝によって接続される。
本発明の課題は，ドイツ連邦共和国特許出願公開第43 27 772号明細書に記載されている構成を改善することである。
この課題は，請求項１の特徴部に記載した要件を具備する軽金属ピストンによって解決される。
本発明の有利な実施形態は請求項２以下に記載したとおりである。
本発明は図面に示した有利な実施例に基づいて詳細に説明する。
図１は本発明による軽金属ピストンの部分的に断面した側面図を示す。
図２は図１のII−II線に沿って断面した平面図を示す。
車両の内燃機関，特に高負荷ディーゼル機関，のための軽金属ピストン１はピストンヘッド２及びスカート部３から一体的に構成されている。ピストンヘッド２のピストン頂面４には補強されていない燃焼室凹所５及びリング溝６が形成されており，最も上方のリング溝６はリング保持体７によって補強されている。スカート部３にはピストンピンボス８が一体化されており，これは，ピストンピン（図示せず）を受容するために孔９を有している。各孔９はその内方端部１０の部分範囲Ｘにおいて内方端部に向かって拡開されて（反らされて）おり，この拡開湾曲部は多角形に構成することができる。この拡開部からボスの端面への移行は３mmの半径をもって行われており，この丸み部分のピストンピン長手方向での軸方向長さは直径が８０mmの場合に１mmである。更に孔９は，部分範囲Ｚにおいて成形孔１１として構成されており，この成形孔は，外方から内方に延びている支持範囲−これは外方に向かってはピストンピンの固定リングのための溝によって仕切られる−に相応する部分範囲Ｚにおいて内方部から外方部に向かって円すい状に，例えばらっぱ状に，拡開している。この拡開（図面では誇張して大きく示されている）は５分の角度αで行われている。２〜１０分の範囲のこの拡開は段階的に行うこともでき，その際この拡開部は成形孔１１の内方部に位置する部分範囲Ｚにおいては成形孔１１の外方部に位置する範囲におけるよりも小さな角度を有している。
外方に向かって円すい状に拡開している部分範囲Ｚにおける成形孔１１と孔の内方端部１０の部分範囲Ｘの拡開部（反らせ部）との間において，孔９は円筒状に延びる範囲Ｙを有している。
更に，各ピストンピンボス８の孔９内に，孔９の内方端部１０から発する２つのくぼみ状の凹所（くぼみ１２）が形成されており，これらのくぼみはその高さ位置がピストンピン軸線に対して非対称的であり，その最大のへこみ部を孔９の内方端部１０のところに有しており，孔９の長さのほぼ２／３だけ成形孔１１の表面に延びている。この傾斜したくぼみ１２と孔９のピストン外面側の端部とは，それぞれピストンピン縦軸線方向に延びる溝１３によって接続されている。
このような構成によって構造的に簡単な形式で，特にボス強度の点で優れた軽金属ピストンが達成される。

Claims (2)

1. 燃焼室凹所（５）を備えたピストン頂面（４）とリング部（６）とを有するピストンヘッド（２）と、一体化されたピストンピンボス（８）を備えたピストンスカート（３）とから成る高負荷内燃機関用の軽金属ピストン（１）であって、
   （ア） ピストン頂面（４）の燃焼室凹所（５）が補強されておらず、
   （イ） 各ピストンピンボス（８）の孔（９）がその内方端部（１０）にて該内方端部（１０）に向かって拡開させられ、特に反らされており、
   （ウ） 各ピストンピンボス（８）の孔（９）がその内方端部から発する２つの傾斜したくぼみ（１２）を有しており、
   （エ） 燃焼の際に発生する点火圧力が１２０ｂａｒよりも大きい形式のものにおいて、各ピストンピンボス（８）の孔（９）に設けられた２つの傾斜したくぼみ（１２）がその高さ位置に関してピストンピン長手方向軸線に対し非対称的に配置されており、各ピストンピンボス（８）の孔（９）が成形孔（１１）として構成されていて、少なくとも全ボス孔長の、外方から内方に向かって延びる、支持範囲に相当する部分範囲（Ｚ）にて内方から外方に向かってほぼ円すい状に拡開しており、ピシトンボス（８）の孔（９）の内方端部（１０）における部分範囲（Ｘ）の拡開の湾曲部が多角形に構成されていることを特徴とする、高負荷内燃機関用の軽金属ピストン。
2. ピストンピンボス（８）の孔（９）が支持範囲に相当する前記部分範囲（Ｚ）にて内方部から外方部に向かってらっぱ状に拡開させられている、請求項１記載の軽金属ピストン。

Images