JP3908898B2 - 炭素系材料のエッチング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイヤモンドからなる炭素系材料のエッチング方法に関し、特に、トランジスタ、ダイオード、各種センサ等の電子装置、表面弾性波素子及び電子放出素子、これらの基板、X線窓等の光学関連材料、並びに装飾品等に使用される炭素系材料のエッチング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイヤモンドは、耐熱性が優れており、バンドギャップが大きく(5.47eV)、通常は絶縁体であるが、不純物ドーピングにより半導体化できる。また、絶縁破壊電圧及び飽和ドリフト速度が大きく、誘電率が小さいという優れた電気特性を有する。このような特徴により、ダイヤモンドは高温・高周波・高電界用の電子デバイス・センサ材料として期待されている。
【0003】
また、ダイヤモンドのエネルギーギャップが大きいことを利用した紫外線等の短波長領域に対応する光センサ及び発光素子への応用、熱伝導率が大きく、比熱が小さいことを利用した放熱基板材料への応用、物質中において最も硬いという特性を利用した表面弾性波素子への応用、並びに高い光透過性及び屈折率を利用したX線窓及び光学材料への応用等が研究されている。更に、ダイヤモンドは、工具の耐摩耗部にも使用されており、装飾品としても使用されている。
【0004】
これらの種々の応用において、ダイヤモンド製品を作製するためには、その用途に応じてダイヤモンド表面を所望の形状に加工、又はパターニングする必要がある。しかし、ダイヤモンドは固体の中で最も硬度が高く、また、化学的にも極めて安定であるため、物理的エッチング及び化学的エッチングが困難である。
【0005】
例えば、電子デバイスを作製し高特性を得るためには、1mm以下、更には1μm以下の微細なパターンを選択的にエッチングして回路等をパターニングする必要があり、例えば、K. Kobashi, S. Miyauchi, K. Miyata, K. Nishimura, Journal of Materials Research, Vol.11, No.11(1996)p,2744、及びK. Miyata et al, IEEE Trans. Electron Devises, Vol.42, No.11(1995)P.2010に記載されている。
【0006】
ダイヤモンドは炭素でできているため可燃性である。このため、酸素が存在する雰囲気ではダイヤモンドをエッチングすることができる(例えば、特開昭63−220524号公報)。酸素雰囲気でダイヤモンドをエッチングする場合、600℃以上の高温においては、単に熱的に酸素ガスと反応し、エッチングされる。しかしながら、このような熱的過程による場合、ダイヤモンドはその結晶面及び転位等結晶中の欠陥等によりエッチング速度が異なるため、エッチング表面には走査型顕微鏡で確認できる程度の大きな凹凸ができてしまうという問題点がある。
【0007】
一方、もう少しマクロに見れば、ダイヤモンドは等方的にエッチングされる特徴があるため、たとえ部分的にSiO2等のマスクで覆ってもマスクの端部に露出する被エッチング材料の側面においてもエッチングされ、マスクのパターンを正確に投影した形状を得ることができないという問題点がある。
【0008】
そこで、特開平6−132254号公報では、不活性ガス及び酸素原子を含む混合ガスを使用してダイヤモンドを選択的にプラズマエッチングする方法において、不活性ガス及び酸素原子を含む混合ガスの混合比(2×[O]/[不活性ガス+酸素原子を含むガス])を0.01乃至20体積%に限定する方法が開示されている(従来例1)。これにより、エッチング表面が平坦で且つエッチング選択比が実用的に十分大きいエッチングが可能となる。プラズマを発生させる気体の混合比の範囲を規定する理由として、酸素が多いとマスク材料とダイヤモンドとのエッチング選択比が高いが、表面に凹凸が発生しやすく、酸素が少ないと表面が平坦になるがエッチング選択比が低くなることが挙げられている。即ち、表面の平坦性と選択比とはトレードオフの関係があり、酸素と不活性ガスとの混合比を上記の範囲にすることによって、実用的な妥協条件を得ているものである。従来、上記の混合ガス比範囲外では実用的なエッチング方法が見出されていない。
【0009】
また、特開平6−275575号公報では、酸素を含むガスのプラズマとSiO2マスクとを使用して、ECR(電子サイクロトロン共鳴(electron cyclotron resonance))プラズマによりダイヤモンドをエッチングする方法が開示されている(従来例2)。従来例2のエッチング方法においては、基板温度を100乃至400℃に上げることにより実用的なエッチング速度を得ている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例1のダイヤモンドのエッチング速度については、実施例1に記載されているように、混合ガスの混合比が0.01乃至20体積%の範囲でエッチング速度が極大となるが、その速度は最大でも22nm/分程度となっている。即ち、ダイヤモンドを1μmエッチングするために、最短で45分もの長い時間を要してしまう。
【0011】
プラズマ中に長時間、被エッチング材料を曝すことは、被エッチング材の温度上昇及び破損等の影響が顕著化する。ダイヤモンドは、一般的に熱に強いが、例えば、ダイヤモンドに付随して金属電極又は絶縁層を形成して電子デバイスを作製する場合等には、耐熱性が低い金属又は絶縁膜を形成した後にエッチングを行うと、エッチング時間が長時間になるほど、それらが変性、破損、汚染及び剥離等を引き起こしやすい。金属又は絶縁膜を形成する前にエッチングを行えばよいが、その場合、製造プロセスの自由度が著しく損なわれてしまう。従って、従来例1のようにエッチング速度が最大で22nm/分程度では、エッチング速度が不十分な場合がある。
【0012】
また、従来例2のエッチング方法においては、基板温度が100℃程度と低いときにはエッチングが促進されず、実用的なエッチング速度は得られない。即ち、エッチング速度を上げるためには、数百℃まで基板温度を上げなければならず、この場合、熱の影響により、従来例1と同様な問題点がある。
【0013】
このように、従来例1及び2の技術においては、平坦性を確保するという方法が開示されているものの、そのためにエッチング速度が犠牲になっており、十分ではないという問題点がある。
【0014】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、特別な加熱を必要とせず、極めて良好な平坦性及びマスク選択比を保ち、且つマスク形状に忠実な形状及び高いエッチング速度を得ることができる炭素系材料のエッチング方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る炭素系材料のエッチング方法は、ダイヤモンドからなる被エッチング材上のエッチングすべき部分以外の領域を酸素プラズマ耐性材料である酸化物マスクにより被覆する工程と、対向電極又は反応容器を基準として被エッチング材配置側である陰極に1000V以上の高周波バイアス電位を印加し、酸素原子を含有する気体から生成した誘導結合プラズマに前記被エッチング材を曝して前記被エッチング材を選択的にエッチングする工程と、を有し、前記酸素原子を含有する気体は、O2ガス及び/又はCO2ガスを含むものであって、前記気体全体に対するO2分子及び/又はCO2分子の割合である分子比が0.2以上であり、前記プラズマの電子密度が5×1010cm-3以上であり、前記被エッチング材を室温に保持するように冷却することを特徴とする。
【0016】
本発明においては、陰極に1000V以上の高周波電位を印加することによって負電位によりイオンのエネルギを高めることができる。これにより、基板を加熱することなく、良好なエッチング選択比及び平坦性を保ちつつエッチング速度を速くすることができる。
【0018】
また、前記酸化物が、Be、B、Al、Si、Ti、Zn、Mg、Zr、Nb、In、Sn、Hf、Ta、及びWからなる群から選択された1種以上の元素を含む酸化物、又はこの酸化物を含む混合物とすることができる。
【0019】
更に、前記気体は、不活性ガスを含有することが好ましい。この場合、前記不活性ガスは、Arガスであることが好ましく、前記気体は、この気体全体に対するAr分子の割合であるAr分子比が0.3乃至0.9であることが好ましい。
【0021】
また、前記気体の気圧が133mPa以上であることが好ましい。
【0022】
更に、前記プラズマが誘電結合プラズマであり、そのプラズマを維持するための投入電力が70W以上、好ましくは100W以上であることが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
上述の課題を解決すべく本願発明者等が鋭意実験研究を行った結果、酸素を含有する気体及び/又は不揮発性ガスからなる気体から発生したプラズマにダイヤモンドを曝して行うダイヤモンドのエッチング加工方法において、対向電極又は反応容器を基準として陰極に500V以上の高周波電位を印加することにより、エッチング速度が増加し、エッチングの選択比を高くとることができることを見出した。これは、プラズマによるエッチングがイオンを使用したエッチングであるため、負電位によりイオンのエネルギを高めることによってエッチング速度が高まるためである。
【0025】
本発明は、ダイヤモンドからなる炭素系材料のエッチング方法であるが、以下、炭素系材料としてのダイヤモンドのエッチング条件及びその数値限定理由について説明する。なお、周知の通り、ダイヤモンドは、炭素の結晶であり、以下に説明するエッチング法が主に酸素による化学的反応をそのメカニズムとすると考えられる。
【0026】
次に、本発明の実施例について添付の図面を参照して詳細に説明する。図1(a)乃至(c)並びに図2(a)及び(b)は、本実施例のダイヤモンドのエッチング方法をその工程順に示す図であり、右側は平面図、左側は夫々A−A乃至E−E線による断面図である。
【0027】
本実施例においては、プラズマ耐性材料からなる酸化膜マスク形成用エッチング工程及びダイヤモンドエッチングの2段階のエッチング工程からなる。先ず、図1(a)に示すように、エッチング対象であるダイヤモンド1の表面上に、ダイヤモンドのエッチング用マスクとして使用するためのシリコン酸化膜2を形成する。シリコン酸化膜2としては、例えばテトラエトキシシラン(TEOS)を原料として、化学気相堆積(CVD:chemical vapor deposition)法により形成することができる。また、エッチングマスク材としては、例えばBe、B、Al、Si、Ti、Zn、Mg、Zr、Nb、In、Sn、Hf、Ta、又はW等の酸化物を使用することもできる。続いて、シリコン酸化膜2の上にフォトレジスト3を塗布する。
【0028】
次いで、図1(b)に示すように、電子ビームリソグラフィによりフォトレジスト3をパターニングしマスク3aを形成する。このマスク3aはシリコン酸化膜2のパターニング用マスクとして使用する。
【0029】
次に、図1(c)に示すように、フォトレジストマスク3aをマスクにシリコン酸化膜2をエッチングする。エッチングは、例えばCF4及びArの混合気体とその誘電結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)とによるドライエッチング法により行うことができる。
【0030】
そして、図2(a)に示すように、パターニングされたシリコン酸化膜マスク2aをダイヤモンド1の選択的エッチング用マスクとして使用し、ダイヤモンド1のエッチングを行い、最後に、図2(b)に示すように、シリコン酸化膜マスク2aを除去する。
【0031】
本発明においては、ダイヤモンド上のエッチングすべき部分以外の領域をシリコン酸化膜等のプラズマ耐性材料からなるマスクにより被覆し、酸素原子を含む気体、不活性ガス、又は酸素原子を含む気体及び不活性ガスの混合ガスを含有する気体から生成したプラズマにダイヤモンドを曝すことにより、ダイヤモンドをエッチングする。その際、対向電極又は反応容器を基準として、陰極となる基板側に1000V以上の高周波電位を印加することを特徴としている。
【0032】
先ず、1000V以上の高周波電位(陰極電位(Vpp))を印加する理由について説明する。負電位はダイヤモンドを設置するサセプタに付加される高周波電力により調整することができる。即ち、印加する高周波電力に対して、ダイヤモンドを載置するサセプタ側で測定したサセプタ電圧により、その負電位を制御することができ、この負電位によりプラズマ中のイオンのエネルギを高めてエッチング速度を速くすることができる。このサセプタ電圧により、負電位を制御できる理由を以下に説明する。
【0033】
サセプタ電圧が振幅(Vpp/2)の高周波で変化すると、正電位の場合は、プラズマ中に存在する電子がサセプタ側へ流入する。これに対し、サセプタが負電位の場合は、電子がサセプタ側から排斥され、逆にプラズマ中の正のイオンがサセプタ側に流入する。高周波領域では、電子の移動速度がイオンの移動速度に比べて遙かに速いため、正負対称な電圧変化であればプラズマ中の正負のバランスが崩れてしまう。実際には、この正負バランスを保つためにサセプタ側の電位が自ずと負方向にバイアスされる。この負電位が自己バイアス(Vdc)と呼ばれる。
【0034】
ダイヤモンドをエッチングするイオンは、(自己バイアスVdc+サセプタ電圧の振幅(Vpp/2))で表される電圧により加速され、ダイヤモンド表面に衝突、エッチングを行う。これらVdc及びVppは下記数式1の関係を満たす。
【0035】
【数1】
【0036】
ここで、Te:電子温度、M:原子核質量、m:電子質量である。従って、陰極電位Vppを規定することにより、自己バイアスVdcが決定され、結果的にエッチングを行うイオンエネルギが決まることになる。
【0037】
本願発明者等は、この陰極電位Vppの値に対してエッチング性能を種々調査し、極めて効果が高い陰極電位Vpp値の領域を見出した。即ち、対向電極又は反応容器を基準として陰極にVpp=500V以上の高周波電位を印加することにより、飛躍的にエッチング速度が増大することを知見した。
【0038】
図3は、横軸に陰極の高周波電位Vppをとって、縦軸にエッチング速度をとって、ダイヤモンドをエッチングした場合の本発明の効果を示すグラフ図である。ICPエッチング装置を使用し、プラズマ維持のための投入RF(radio frequency)電力は100W、プラズマを生成する気体として、O2100%を使用し、チャンバ内の気圧を266mPaとした。図3には、下記数式2及び数式3に示す夫々二次近似曲線及び一次近似直線を併記した。
【0039】
【数2】
【0040】
【数3】
【0041】
いずれにせよ、図3においては、エッチング速度が急激に増加するのは陰極電位(Vpp)が500V以上であり、電位が増加するほどエッチング速度が増加する。また、エッチング速度が少なくとも10nm/分以上を実用的なエッチング速度とすると、上記の条件においては、1000V以上とすればよい。なお、数式2及び数式3に示す夫々二次近似曲線及び一次近似直線において、yはエッチング速度(nm/分)、xは陰極の高周波電位Vpp(V)、a1、b1、c1は、近似パラメータである。図3においては、a1=1.4×10-5,b1=0.044、c1=−33であった。
【0042】
このように、陰極電位Vppは500V未満ではイオンによるエッチングの促進効果が低いため、十分なエッチング速度が得られない。一方、陰極電位Vppを500V以上に高くすると、垂直方向に強くエッチングを促進させることができ、異方性が高いエッチングをすることができる。更に、陰極電位Vppが500V以上では、結晶方位、結晶欠陥及び粒界の存在に関係なく、エッチング速度が均一になる。即ち、エッチング前の基材表面の凹凸をそのまま引き継いだエッチング後表面を得ることができる。
【0043】
また、本発明においては、ダイヤモンド又はこれを設置する基板の温度は特に加熱する必要がない。例えば、陰極電位Vppを500V未満の電位とするか又は意図的に電位を与えない場合でも、ダイヤモンド又はこれを載置する基板を加熱し50℃以上の温度にすればエッチング速度が増大する。しかしながら、加熱という工程パラメータが増すことにより、装置の複雑化、工程時間の延長、及び条件設定の不安定性等の悪影響が生じ、また、垂直形状の鈍化等も生じる。しかし、500V以上においては、ダイヤモンドを加熱しなくても、電位を高くするに従いエッチング速度は増大し、且つより垂直形状に近づく。以上の理由により、陰極にVpp=500V以上の高周波電位を印加する。更に、陰極電位Vppはより高くすることが好ましく、Vpp=1000V以上がより好ましい。
【0044】
更に、本発明のエッチング方法では、垂直方向に異方性が高いエッチングができることを利用して、エッチングしたくない部分をマスクすることにより、マスクパターンに忠実に選択的エッチングを行うことができる。マスク材料としては、プラズマ耐性が高い材料を被覆して使用することにより、マスクがエッチングされにくく、被エッチング材料のみを選択的にエッチングすることができる。なお、全面的にエッチングする場合には、当然マスクを使用する必要はない。また、何らかの理由により選択比が低いマスクを使用せざるを得ない場合等、マスクが全てエッチングされてしまうことがあるが、このような場合でも、本発明方法では、ダイヤモンドは垂直にエッチングされるため、マスクがなくなった時点の凹凸を忠実に引き継いだままエッチングすることができ、パターンの角が丸みを帯びたり、鈍化したりすることがほとんどないという利点がある。
【0045】
次に、本発明で使用することができるマスク材について説明する。マスクとしては、実質SiO2からなるSi酸化物を使用することにより、SiO2の成膜、リソグラフィ及びエッチング等において、既に確立されたSi集積回路作製プロセス及び装置を格別な工夫することなく流用することができる。この点で、マスク材料はSi酸化物が便利であり、且つ高精度でパターン形成することができる。Si酸化物が酸素プラズマ耐性がある要因は、最大酸化数まで酸素が結合していることが最も大きいと考えられる。従って、マスク材として酸化物又は酸化物を主成分として含有する混合物が使用できる。このようなマスク材としては、例えば、Be、B、Al、Si、Ti、Zn、Mg、Zr、Nb、In、Sn、Hf、Ta、及びWの酸化物等は比較的安定で容易に入手できるという利点がある。これら酸化物のうちの1種、若しくは2種以上の複数種の混合物、これらの酸化物を含有する混合物、又は混合酸化物等の派生物を使用してもよい。
【0046】
次に、本発明のエッチング加工を行うためのプラズマを生成する気体について説明する。本発明においては、上述した如く、酸素原子を含む気体、不活性ガス、又は酸素原子を含む気体及び不活性ガスの混合ガスからなる気体から生成したプラズマを使用するが、プラズマを発生させる気体としてO2を使用すると、入手しやすく、安定且つ無害で、他の元素が混入しておらず、プロセスパラメータを単純化できるという利点がある。O2が100%の気体から生成したプラズマは、SiO2マスクと最も高い選択比が得られ、場合によっては十分に速いエッチング速度を得ることができる。しかしながら、選択比が高いことは、酸化物マスクがほんの少しでも残っていればその下は全くエッチングされないため、柱状にエッチング残り、即ち残渣ができてしまう場合がある。酸化物マスク形成プロセスにおいては、上述した如く、先ず、ダイヤモンド上の全面に酸化物膜を成膜し、その上にフォトレジストを塗布する。その後、フォトリソグラフィによりレジストをパターニングし、ドライエッチングで酸化物膜を選択的にエッチングするという方法で行うことができる。この際、最後のドライエッチング工程で、ダイヤモンドを露出させるべき領域の酸化物膜を少しでも残した場合、O2のみを使用したプラズマでエッチングするとダイヤモンドの残渣が発生する。これは、上記酸化物膜のドライエッチングを完全に行えばよいのであるが、実際には困難である。
【0047】
本願発明者等は、酸化物マスクを使用してダイヤモンドを選択的にエッチングするような場合は、ダイヤモンドエッチング時にプラズマを発生させる気体としてO2にArを10%以上混入させれば、ダイヤモンドの残渣の発生を防止することができることを知見した。その理由は、Ar添加により、酸化物のエッチング速度が上がるため、エッチング滓として残った酸化物マスクもダイヤモンドエッチング工程初期に取り去られるためである。これは、ダイヤモンドエッチング時にO2にAr等の不活性ガスを混入した混合気体から発生させたプラズマを使用しても、Si酸化物マスクのエッチング速度はそれほど上がらないためダイヤモンドのエッチング用マスクとしては十分使用でき、且つ、マスク形成時に残った程度のSi酸化膜であれば、ダイヤモンドと共にエッチング除去できることを示している。なお、酸素に混入する不活性ガスとしては、Arだけでなく他の不活性ガスでもよい。
【0048】
本願発明者等は、ダイヤモンドのエッチング速度は酸素と不活性ガスとの比によって変化するが、特にArを使用する場合、エッチング時の気体全体に対するAr分子の比(以下、Ar分子比という)が0.3乃至0.9の範囲のとき、エッチング速度が最も大きい極大値となることを知見した。また、気体全体に対するO2分子の比(以下、O2分子比という)は、陰極にVpp=500V以上の高周波電位を印加することにより、O2分子の比がどのような値でも大きなエッチング速度及び選択比が得られるが、特に、O2分子比を0.2以上とすることにより、より高速にエッチングできると共に更に高い選択比が得られることを知見した。このO2分子比の範囲は、従来、ダイヤモンドのエッチングにはエッチング表面が平坦でなくなるため不適であるとされていた範囲であり、本願発明が従来技術と最も異なる点である。
【0049】
また、Ar及びO2の両方を使用する場合は、上記の範囲を同時に満たす範囲、即ち、気体中の分子比O2/(O2+Ar)を0.2乃至0.7とすることにより、ダイヤモンドのエッチング速度が速く、良好なエッチング選択比を得ることができる。
【0050】
図4は、横軸にエッチングに使用したO2及びArからなる混合気体の分子比(O2/(O2+Ar))をとり、縦軸にダイヤモンド及びSiO2のエッチング速度及び選択比をとって、ダイヤモンドをエッチングした場合の本発明の効果を示すグラフ図である。ICPエッチング装置を使用し、チャンバ内の気圧は1330mPa、陰極にはVpp=1900Vの高周波電位、投入電力は100Wとした。図4に示すように、ダイヤモンドのエッチング速度は、O2/(O2+Ar)の値によって変化し、その値が0.1乃至0.7の範囲にエッチング速度が最も速くなる極大値が存在することがわかる。一方、O2/(O2+Ar)の値が大きくなるほど選択比、即ちダイヤモンドとSiO2とのエッチング速度比が大きくなることがわかる。特に、O2/(O2+Ar)の値が0.2を境に急激に選択比が大きくなることがわかる。
【0051】
更に、ダイヤモンドのエッチングのメカニズムとして、酸素との化学反応が最も有力である。従って、プラズマ中では分子が解離しているため、O2以外でも、酸素原子を含有する気体であれば、酸素と類似の効果を示す。この場合、分子中の酸素原子の割合が大きい方がより効果が高く、例えば、CO2は、CO又はH2Oより酸素原子の割合が大きいのでその効果が高い。CO2を混入させ、O2を混入させない場合には、気体全体に対するCO2分子比が0.2以上とし、CO2及びO2の両方を混入させる場合には、気体全体に対する(CO2+O2)の分子比が0.2以上とすることにより、O2単独の場合と同様の効果が得られる。但し、CO2には炭素原子が含まれているため、O2単独の場合と比較すると、エッチング速度が低下する。
【0052】
図5及び図6は、夫々分子比(O2/(O2+Ar))=1及び0.5のプラズマによるエッチング後のダイヤモンド表面の形状を示す電子顕微鏡写真である。なお、写真はエッチング面に対して斜め方向から見たものであり、被エッチング材料として、単結晶ダイヤモンドを使用した。酸化物マスクとしては厚さ300nmのSiO2膜を使用した。ダイヤモンドのエッチングには、ICPエッチング装置を使用し、陰極には、Vpp=1900Vの高周波電位を印加し、チャンバ内の気圧は2.66Pa、投入電力は100Wとし、7分間のエッチングを行った後の状態を示す。SiO2膜が垂直にエッチングされなかったため、SiO2マスクの表面側からダイヤモンドに接する側にかけて側壁が斜め方向に広がり、エッチング面に直交する面において、SiO2マスクの断面形状が台形状になった。にも拘わらず、図5及び図6のいずれの場合においても、ダイヤモンドが夫々SiO2マスク40及び50のダイヤモンドに接する面の形状にほぼ忠実にエッチングされており、夫々エッチング後のダイヤモンドの壁41及び51がダイヤモンドのエッチング面に対してほぼ垂直になっている。更に、SiO2マスク40、50はほとんどエッチングされていなかった。また、図5及び図6に示すように、夫々エッチング後のダイヤモンド表面42及び52は、極めて平坦であった。但し、図5では、柱状の残渣43が見られ、図6では見られない。図5におけるダイヤモンドの残渣43は、SiO2マスクをエッチングで形成する際、僅かに残ったSiO2の残渣がダイヤモンドエッチング時にSiO2に対してほとんどエッチング作用がないO2のみのガスでエッチングを行ったため、そのまま不必要なマスクとなり、ダイヤモンドもエッチングされずに残ったものと考えられる。図6では、同様に僅かにSiO2残渣が存在していたが、ダイヤモンドエッチング時にArを混合することにより、SiO2のエッチング速度がやや大きくなり、ダイヤモンド初期に一掃されたものと考えられる。
【0053】
また、本願発明者等は、エッチングチャンバ内の気圧が高いほどエッチング速度が速くなることを知見した。図7は、横軸にチャンバ内の気圧をとり、縦軸にエッチング速度をとり、ダイヤモンドをエッチングした場合の本発明の効果を示すグラフ図である。ICPエッチング装置を使用し、プラズマ投入RF電力は100W、プラズマを生成する気体としてO2100%を使用し、陰極をVpp=1900Vの高周波電位とした。図7に示すように、チャンバ内の気圧が高くなるほどエッチング速度が上がることがわかる。また、実用的なエッチング速度を得るためには、少なくとも133mPa以上の圧力が必要なことがわかる。なお、図7には、下記数式4に示す近似式で近似した曲線を記入した。
【0054】
【数4】
【0055】
ここで、yはエッチング速度(nm/分)、xは気圧(Pa)、a2は近似パラメータで他のエッチング条件によって異なるが、図5においては、a2=27であった。エッチング速度は、陰極の高周波電位Vpp、投入電力、及び酸素混入比に拘わらず、チャンバ内の気圧が上がるに従いエッチング速度が上がる傾向があった。上記の近似式の理論的な解明はできていないが、単純な式にも拘わらず実験結果の再現性がよいことから、何らかのメカニズムを示すものと考えられる。
【0056】
このように、チャンバ内の気圧を133mPa以上とすることにより、実質的に十分なエッチング速度を得ることができる。なお、気圧を高くするほどエッチング速度は速くなるが、気圧を高くして、例えば、プラズマが発生しにくくなるか若しくはプラズマを維持しにくくなるか、又は被エッチング材の電位を安定に保てない等の副次的影響が生じない気圧にする必要がある。
【0057】
次に、プラズマを発生方法について説明する。発生させたプラズマの電子密度を5×1010cm-3以上とすることにより、ダイヤモンド表面に多くの酸素活性種を付与することができ、それ以下の場合より、加工速度を高めることができる。
【0058】
このようなプラズマ発生方法としては、誘電結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)がある。ICPでは高電子密度が得られることは公知であるが、本願発明者等は、ICPにはその他の効果として、O2分子比が1の気体でも容易にプラズマを点灯、維持できること、及びVpp=1500V以上の高周波電位を維持することが容易であることを知見した。その理由はプラズマとチャンバ内壁の金属部分を離すことができることが要因と考えられる。
【0059】
ICPプラズマ発生装置には、例えば、ステンレス製箱形真空チャンバに、直径30cmの円形石英窓を備え、更にその外側に備えた1回巻きのコイルにマッチング回路を接続し、13.56MHzを印加できる構造の装置を使用することができる。図9は、ICPエッチング装置を示す概略断面図である。図9に示すように、ICPエッチング装置100は、電気的に接地されたステンレス製チャンバ11を有し、このチャンバ11は石英窓12、排気管13、及びステンレスのサセプタ支持台14が設けられている。
【0060】
サセプタ支持台14の内部には、冷媒循環パイプ15が設けられ、サセプタの温度が調整される。このサセプタ支持台14上には電気的絶縁層16を介してアルミニウム等の材料からなり、陰極となるサセプタ17が設けられ、更にサセプタ17上には静電チャック18が搭載されている。静電チャック18は、銅板19aの周囲が絶縁ポリイミドフィルム19bに覆われて形成されている。ダイヤモンド板等の被エッチング材料20は、サイズが小さい場合には基板電位を均一にするため、シリコンウエハ等の導電性基板21上に接着し、この導電性基板21を静電チャック18上に載置する。静電チャック18以外の部分はプラズマに曝されないようにするため、アルミナ等の絶縁板22で覆われている。
【0061】
銅板19aには、高圧直流電源23が接続され、そのクーロン力により導電性基板21は静電チャックに吸引保持されると共にサセプタ17と同一の温度になる。サセプタ17には、マッチング回路25及びブロッキングコンデンサ26を介して、高周波電源24が接続され、高周波電源24からの高周波電力、例えば400kHz、1kWがマッチング回路25及びブロッキングコンデンサ26を介して供給される。これにより、陰極であるサセプタ17に電位を発生させる。
【0062】
石英窓12には、ほぼ1回転のループ状アンテナ27が設置され、一方側の端子には、インピーダンス調整用キャパシタ28及びマッチング回路29を介して13.56MHzの高周波電源30が接続され、高周波電力がアンテナ27に供給されるようになっている。アンテナ27の他方側の端子は接地されている。
【0063】
チャンバ11には、複数のガス導入管パイプ34が設けられ、酸化物マスクエッチング用ガスとして使用するCF4及びAr等、並びにダイヤモンド等をエッチングするために使用するO2及びAr等の各種ガスボンベ31がレギュレータ(図示せず)、マスフローコントローラ32、及びバルブ33等を介して接続されている。これにより、各ガスボンベ31のガス流量を制御し、チャンバ11内に所定の混合ガスが均一に導入される。
【0064】
アンテナ27に供給された高周波電力は、石英窓12を介して誘電結合によりチャンバ11内に供給されて石英窓12と基板21との間にほぼ均一にプラズマが発生し、保持される。その後、サセプタ17に高周波電位が印加され、最適条件にてダイヤモンド等の被エッチング材料がエッチングされる。このICPエッチング装置100は、ガス及びその他の条件を変えることにより、ダイヤモンド等のエッチングと共にSiO2等の酸化物マスクのエッチングにも使用することができる。
【0065】
また、他のプラズマ発生方法として、有磁場マイクロ波プラズマを使用することもできる。有磁場マイクロ波プラズマには、電子サイクロトン共鳴(ECR)プラズマが含まれる。ECRプラズマでは、ICPに比べ、1500V以上の高周波電位を安定に維持することは可能であるが難しく、更に基板保持等のためのサセプタが高電界となるためか、絶縁破壊を起こす場合がある。しかし、500V以下の高周波電位では、5nm/分以下のエッチング速度しか得られないが、ICP同等に、電位を500V以上にすることにより、エッチング速度を速くすることができる。なお、被エッチング材料の温度を100℃以上にするとエッチング速度の増加が認められたが、良好な垂直形状が得られず、金属を積層した場合などには金属が剥離しやすくなる。従って、特に高速のエッチング速度を必要としない場合等に限っては、有磁場マイクロ波プラズマ又はECRプラズマを使用することができる。
【0066】
また、本願発明者等は上述のようなプラズマ発生装置で発生させたプラズマを維持するための投入電力においては、70W以上が好ましく、より好ましくは100W以上とすることを知見した。図8は、横軸にプラズマ維持のために投入したRF電力をとり、縦軸にダイヤモンドのエッチング速度をとって、ダイヤモンドをエッチングした場合の本発明の効果を示すグラフ図である。プラズマを生成する気体としてO2が100%の気体を使用し、チャンバ内の気圧を665mPa、陰極を1900Vの高周波電位とした。図8に示すように、エッチング速度は投入電力に対してほぼ線形的に上昇することがわかる。更に、エッチングのしきい値はおよそ70W、実用的なエッチング速度は100W以上で得られることがわかる。なお、図8には、下記数式5に示す一次式で表される直線を記入した。
【0067】
【数5】
【0068】
ここで、yはエッチング速度(nm/分)、xは投入電力(W)、a3及びb3は近似パラメータであり、他のエッチング条件によって変化するが、図8においてはa3=0.66.b3=−47であった。
【0069】
このように、投入電力が70W未満ではエッチング速度が遅くなるが、70W以上とすることにより、エッチング速度を大きくすることができる。プラズマへの投入電力が大きいほど効果が大きいが、実用的なエッチング速度を得るためには、100W以上であることがより好ましい。実用的なエッチング速度が得られる投入電力は、他のパラメータ、例えば、気圧、被エッチング材電位、気体混合比、及びチャンバの大きさ等によって多少異なるが、100W以上とすることが好ましい。
【0070】
【実施例】
以下、本発明方法に従って、実際にダイヤモンドをエッチングした結果について説明する。
【0071】
第1実施例
図3に示すICPエッチング装置を使用し、図1及び図2に示す方法により、ダイヤモンドをエッチングした。ダイヤモンドを選択エッチングするためのマスクとしてシリコン酸化膜を使用し、プラズマを発生させる気体としてはO2及び/又はArを使用し、これらの混合気体の流量、チャンバ内の気圧、投入電力、及び陰極電位(Vpp)を種々変更してエッチング速度を測定した。これらのエッチング条件及びエッチング速度を下記表1に示す。比較例として、特開平6−132254号公報に記載されている装置と原理的に同等な平行平板型エッチング装置を使用して、上述の如く、ICPエッチング装置を使用した実施例と同様にして混合気体の流量、チャンバ内の気圧、投入電力、及び陰極電位(Vpp)を種々変更してエッチング速度を測定した。これらのエッチング条件及びエッチング速度を下記表2に示す。なお、比較例で使用した装置には被エッチング材を室温に保つ能力を持つ冷却機構を備えていない。また、平行平板型エッチング装置を使用した比較例では、いずれも電子密度は5×1010cm-3未満であった。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
全てのダイヤモンド(試料)において、陰極電位(Vpp)が1000V以上と高いため、ダイヤモンドを加熱することなく、良好なエッチング速度が得られた。また、得られたエッチング後のダイヤモンド表面は平坦であった。
【0075】
一方、比較例においては、比較例試料No.27を除いて、いずれの条件においても、ダイヤモンドのエッチング速度が低く、実用的なエッチング速度が得られないことがわかった。比較例試料No.27では、20nm/分のエッチング速度が得られているが、この理由は、30分もの長時間エッチングで被エッチング材の温度が550K以上に上がっていたことから、熱的なエッチング過程が支配的になったと考えられる。前述したように、温度を上げると、確かにエッチング速度も上がるが、ダイヤモンド以外の材料が試料に成膜されている等の場合、熱膨張率の違いによる剥離等の重大な悪影響を及ぼすことになる。特開平6−132254号公報においても、30分以上のエッチングが示されているが、被エッチング材冷却機構は示されておらず、この時間では相当に温度が上がっていることが推測される。いずれにせよ、本発明によるエッチング方法の優位性は明らかである。
【0076】
第2実施例
上述の第1実施例と同様にして、図3に示すICPエッチング装置を使用し、図1及び図2に示す方法により、ダイヤモンドをエッチングした。ダイヤモンドを選択エッチングするためのマスクとしてシリコン酸化膜を使用し、プラズマを発生させる気体を種々変更してエッチング速度を測定した。混合気体の流量、チャンバ内の気圧、投入電力、及び陰極電位(Vpp)のエッチング条件及びエッチング速度を下記表3に示す。なお、表3に示す、Lは{(含酸素ガス分子中の酸素原子の数/2)×流量}を混合する全ての含酸素ガスについて計算したものの合計であり、Mは不活性ガスの総流量である。即ち、O2/(O2+Ar)の計算に準じて、O2+Ar以外のガス系では、混合ガス中の酸素原子2個分をO2として換算し、また、Ar以外の不活性ガスもArの分子の数に含めて換算した。
【0077】
【表3】
【0078】
全てのダイヤモンド(試料)において、良好なエッチング速度が得られた。
【0079】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、特別な加熱を必要とすることがなく、エッチング後の表面が極めて平坦で且つ高いマスク選択比を保つと共に、マスク形状に忠実な形状で、高いエッチング速度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)乃至(c)は、本発明の実施例のダイヤモンドのエッチング方法をその工程順に示す図であり、右側は平面図、左側は夫々A−A乃至C−C線による断面図である。
【図2】 (a)及び(b)は、同じく、本発明の実施例のダイヤモンドのエッチング方法を示す図であり、図1(a)乃至(c)の次の工程をその工程に示す図であって、右側は平面図、左側は夫々D−D及びE−E線による断面図である。
【図3】 横軸に陰極の高周波電位Vppをとって、縦軸にエッチング速度をとって、ダイヤモンドをエッチングした場合の本発明の効果を示すグラフ図である。
【図4】 横軸に混合気体の分子比(O2/(O2+Ar))をとり、縦軸にダイヤモンド及びSiO2のエッチング速度及び選択比をとって、ダイヤモンドをエッチングした場合の本発明の効果を示すグラフ図である。
【図5】 分子比(O2/(O2+Ar))=1のプラズマによるエッチング後のダイヤモンド表面の形状を示す図面代用写真である(倍率50000倍)。
【図6】 分子比(O2/(O2+Ar))=0.5のプラズマによるエッチング後のダイヤモンド表面の形状を示す図面代用写真である(倍率40000倍)。
【図7】 横軸にチャンバ内の気圧をとり、縦軸にエッチング速度をとって、ダイヤモンドをエッチングした場合の本発明の効果を示すグラフ図である。
【図8】 横軸にプラズマ維持のために投入したRF電力をとって、縦軸にダイヤモンドのエッチング速度をとって、ダイヤモンドをエッチングした場合の本発明の効果を示すグラフ図である。
【図9】 ICPエッチング装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1;ダイヤモンド
2;シリコン酸化膜
2a、3a;マスク
3;フォトレジスト
11;チャンバ
12;石英窓
13;排気管
14;サセプタ支持台
15;冷媒循環パイプ
16;電気的絶縁層
17;サセプタ
18;静電チャック
19a;銅板
19b;絶縁ポリイミドフィルム
20;被エッチング材料
21;導電性基板
22;絶縁板
23;高圧直流電源
25;マッチング回路
26;ブロッキングコンデンサ
24;高周波電源
27;ループ状アンテナ
28;インピーダンス調整用キャパシタ
29;マッチング回路
30;高周波電源
34;ガス導入管パイプ
31;ガスボンベ
32;マスフローコントローラ
33;バルブ
100;ICPエッチング装置
Claims (7)
- ダイヤモンドからなる被エッチング材上のエッチングすべき部分以外の領域を酸素プラズマ耐性材料である酸化物マスクにより被覆する工程と、対向電極又は反応容器を基準として被エッチング材配置側である陰極に1000V以上の高周波バイアス電位を印加し、酸素原子を含有する気体から生成した誘導結合プラズマに前記被エッチング材を曝して前記被エッチング材を選択的にエッチングする工程と、を有し、前記酸素原子を含有する気体は、O2ガス及び/又はCO2ガスを含むものであって、前記気体全体に対するO2分子及び/又はCO2分子の割合である分子比が0.2以上であり、前記プラズマの電子密度が5×1010cm-3以上であり、前記被エッチング材を室温に保持するように冷却することを特徴とする炭素系材料のエッチング方法。
- 前記酸化物が、Be、B、Al、Si、Ti、Zn、Mg、Zr、Nb、In、Sn、Hf、Ta、及びWからなる群から選択された1種以上の元素を含む酸化物、又はこの酸化物を含む混合物であることを特徴とする請求項1に記載の炭素系材料のエッチング方法。
- 前記気体は、不活性ガスを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の炭素系材料のエッチング方法。
- 前記不活性ガスは、Arガスであることを特徴とする請求項3に記載の炭素系材料のエッチング方法。
- 前記気体は、この気体全体に対するAr分子の割合であるAr分子比が0.3乃至0.9であることを特徴とする請求項4に記載の炭素系材料のエッチング方法。
- 前記気体の気圧が133mPa以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の炭素系材料のエッチング方法。
- 前記プラズマを維持するための投入電力が70W以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の炭素系材料のエッチング方法。
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